特許第6853693号(P6853693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853693
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】インテリジェントな電池の自己修復
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20210322BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210322BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20210322BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20210322BHJP
   B64G 6/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H02J7/00 302C
   H02J7/00 302D
   H01M10/48 P
   H01M10/44 P
   A41D13/00 102
   B64G6/00
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-39986(P2017-39986)
(22)【出願日】2017年3月3日
(65)【公開番号】特開2017-158427(P2017-158427A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】15/060,986
(32)【優先日】2016年3月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500107762
【氏名又は名称】ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ショーン ケー.マレー
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド エム.ローゼンブッシュ
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−232104(JP,A)
【文献】 特開2013−076695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0055067(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/132311(WO,A1)
【文献】 特開2009−213248(JP,A)
【文献】 特開2013−240155(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0274140(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
H01M 10/42−10/48
A41D 13/00
B64G 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給するように構成された電池であって、複数の電池セルを備え、当該複数の電池セルの少なくとも1つは接続され、当該複数の電池セルの少なくとも1つは接続されていない前記電池と、
前記少なくとも1つの接続された電池セルの個々の電池セルの接続を絶つように構成された第1のスイッチと、
前記少なくとも1つの接続されていない電池セルの個々の電池セルを接続するように構成された第2のスイッチと、
前記複数の電池セルの減少した電流または電圧の状態を監視するように構成されるとともに、前記個々の接続された電池セルの検出した、前記減少した電流または電圧の状態に基づいて、前記第1及び第2のスイッチを制御するように構成されたコントローラと、
を備えた宇宙服であって、
前記電池の電池回路が、前記第1及び第2のスイッチを含む複数のスイッチを備え、各スイッチは、各電池セルに関連付けられ、前記コントローラは、互いに接続された前記電池セルの所定の品質を維持するように前記複数のスイッチを制御するように構成され、
前記個々の接続された電池セルの検出した、前記減少した電流または電圧の状態は、前記個々の接続された電池セルの出力が所定の閾値未満であることを含み、
前記少なくとも1つの接続された電池セルと、前記少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、関連付けられたスイッチを有し、当該関連付けられたスイッチは、当該電池セルが、共有された入力ノード及び共有された出力ノードを介して前記負荷及び前記複数の電池セルの他の電池セルに並列に接続されるか、または、前記負荷及び前記他の電池セルに接続されないかを制御し、各スイッチは、当該各スイッチに関連付けられた電池セルと、前記共有された入力ノードまたは前記共有された出力ノードのいずれかとの間に直列に接続され、
前記第1のスイッチは、前記個々の接続された電池セルの前記関連付けられたスイッチであり、前記第2のスイッチは、前記個々の接続されていない電池セルの前記関連付けられたスイッチである、宇宙服。
【請求項2】
各電池セルについて前記関連付けられたスイッチは、前記共有された入力ノードと前記電池セルの入力、または前記共有された出力ノードと前記電池セルの出力、のいずれかの間に位置する唯一のスイッチである、請求項1に記載の宇宙服。
【請求項3】
宇宙服の電池における電池セルの制御方法であって、
少なくとも1つの接続された電池セルの減少した電流または電圧の状態を検出することと、
前記検出に基づいて、
前記少なくとも1つの接続された電池セルの個々の電池セルの接続を絶つように第1のスイッチを制御することと、
少なくとも1つの接続されていない電池セルの個々の電池セルを接続するように第2のスイッチを制御することと、
前記第1及び第2のスイッチを含む複数のスイッチを制御することであって、複数の電池セルの各スイッチは、各電池セルに関連付けられ、前記複数の電池セルは、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルと、を含んでおり、互いに負荷に接続された前記電池セルの所定の品質を維持するように前記複数のスイッチを制御することと、
を含み、
各スイッチは、当該スイッチに関連付けられた電池セルを共有された入力ノード及び共有された出力ノードを介して負荷及び前記複数の電池セルの他の電池セルに並列に接続するか、または、前記負荷及び前記他の電池セルとは接続しないかを制御し、各スイッチは、当該スイッチに関連付けられた電池セルと、前記共有された入力ノードまたは前記共有された出力ノードとの間に直列に接続され、
前記検出は、
前記個々の接続された電池セルの出力を測定することと、
前記測定に基づいて、前記個々の接続された電池セルの出力が所定の閾値未満であることを検出することと、
を含む、電池セルの制御方法。
【請求項4】
各電池セルについて前記関連付けられたスイッチは、前記共有された入力ノードと前記電池セルの入力、または前記共有された出力ノードと前記電池セルの出力、のいずれかの間に位置する唯一のスイッチである、請求項3に記載の電池セルの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池に関し、より詳細には、電池セルが互いに接続されるか否かを制御する電池制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電池を用いて、特定の電圧及び電流の範囲で、装置に電力を供給することができる。電池は、直列及び/または並列に接続されたセルで構成される。電池の個々のセルは、電圧を提供し、電圧は主にセルの化学組成に左右される。所与のセルの設計によって、そのセルが提供できる電圧と電流は制限を受ける。追加のセルを並列に接続することによって、電池の電流出力を増加させ、追加のセルを直列に接続することによって、電池の電圧出力を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電池セルが消耗すると、電池セルの出力は減衰する。しかしながら、出力減衰率は、セル間で均一でない場合があり、これは、装置に電力を送らずに、より強いセルからの出力が減衰セルに向かう原因になり得る。これは、セル同士の電圧が近くない時に起こる。結果として、減衰セルの損傷、電池からの出力の減少、及び/または、電池の初期故障を招く場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
電池回路の一例の実施形態は、複数の電池セルを含む。複数の電池セルは、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルを含む。第1のスイッチは、少なくとも1つの接続された電池セルの個々の電池セルの接続を断つように構成され、第2のスイッチは、少なくとも1つの接続されていない電池セルの個々の電池セルを接続するように構成される。コントローラは、個々の接続された電池セルの検出状態に基づいて、第1及び第2のスイッチを制御するように構成される。
【0005】
上記電池回路の別の例の実施形態においては、電池回路は、第1及び第2のスイッチを含む複数のスイッチを備え、各スイッチは、各電池セルに関連付けられている。コントローラは、互いに接続された電池セルの所定の品質を維持するように複数のスイッチを制御するように構成される。
【0006】
上記電池回路の別の例の実施形態においては、個々の接続された電池セルの検出状態は、個々の接続された電池セルの出力が所定の閾値未満であることを含む。
【0007】
上記電池回路のいずれかの別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、関連付けられたスイッチを有し、関連付けられたスイッチは、その電池セルが、共有された入力ノード及び共有された出力ノードを介して負荷及び複数の電池セルのうちの他の電池セルに並列に接続されるか、または、負荷及び他の電池セルと接続されないかを制御する。各スイッチは、そのスイッチに関連付けられた電池セルと、共有された入力ノードまたは共有された出力ノードのいずれかとの間に直列に接続される。第1のスイッチは、個々の接続された電池セルの関連付けられたスイッチであり、第2のスイッチは、個々の接続されていない電池セルの関連付けられたスイッチである。
【0008】
上記電池回路のいずれかの別の例の実施形態においては、所与の電池セルの関連付けられたスイッチが、その電池セルと共有された出力ノードとの間にある場合、共有された入力ノードとその所与の電池セルの入力との間にスイッチはない。
【0009】
上記電池回路のいずれかの別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、各入力ノード及び出力ノードを有し、各電池セルは、関連付けられたスイッチ対を有する。関連付けられたスイッチ対は、入力ノード及び出力ノードが、その電池セルを複数の電池セルのうちの他の電池セルに直列に接続する第1の構成、または、入力ノード及び出力ノードが各バイパスラインを介して接続され、その電池セルは、複数の電池セルのうちの他の電池セルと接続されていない第2の構成のいずれかを実施するように構成される。コントローラは、検出状態に応答して、選択的に、個々の接続された電池セルを第2の構成に再構成し、個々の接続されていない電池セルを第1の構成に再構成するようにスイッチ対を制御するように構成される。個々の接続された電池セルのスイッチ対は、第1のスイッチを含み、個々の接続されていない電池セルのスイッチ対は、第2のスイッチを含む。
【0010】
上記電池回路のいずれかの別の例の実施形態においては、複数の電池セルのそれぞれに関して、スイッチ対の接続スイッチは、電池セルと、電池セルの入力ノードまたは出力ノードのいずれかとの間に配置され、スイッチ対のバイパススイッチは、バイパスラインの一部である。
【0011】
上記電池回路のいずれかの別の例の実施形態において、第1の構成においては、接続スイッチがONでバイパススイッチがOFFであり、第2の構成においては、接続スイッチがOFFでバイパススイッチがONである。
【0012】
電池セルを制御する方法の一例の実施形態は、少なくとも1つの接続された電池セルの状態を検出することを含む。検出に基づいて、第1のスイッチは、少なくとも1つの接続された電池セルの個々の電池セルの接続を断つように制御され、第2のスイッチは、少なくとも1つの接続されていない電池セルの個々の電池セルを接続するように制御される。
【0013】
上記方法の別の例の実施形態においては、検出は、個々の接続された電池セルの出力を測定することと、その測定に基づいて、個々の接続された電池セルの出力が、所定の閾値未満であることを検出することと、を含む。
【0014】
上記方法のいずれかの別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、複数の電池セルの所定の品質は、互いに及び負荷と接続されて維持される。
【0015】
上記方法のいずれかの別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、関連付けられたスイッチを有し、関連付けられたスイッチは、その電池セルが、共有された入力ノード及び共有された出力ノードを介して負荷及び複数の電池セルのうちの他の電池セルに並列に接続されるか、または、負荷及び他の電池セルと接続されないかを制御する。各スイッチは、そのスイッチに関連付けられた電池セルと、共有された入力ノードまたは共有された出力ノードのいずれかとの間に直列に接続される。第1のスイッチは、個々の接続された電池セルの関連付けられたスイッチであり、第2のスイッチは、個々の接続されていない電池セルの関連付けられたスイッチである。
【0016】
上記方法のいずれかの別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、各入力ノード及び出力ノードを有し、各電池セルは、関連付けられたスイッチ対を有し、関連付けられたスイッチ対は、入力ノード及び出力ノードが、その電池セルを複数の電池セルの他の電池セルに直列に接続する第1の構成、または、入力ノード及び出力ノードが各バイパスラインを介して接続され、その電池セルは複数の電池セルの他の電池セルと接続されていない第2の構成とのいずれかを実施するように構成される。個々の接続された電池セルのスイッチ対は、第1のスイッチを含み、個々の接続されていない電池セルのスイッチ対は、第2のスイッチを含む。
【0017】
上記方法のいずれかの別の例の実施形態においては、複数の電池セルのそれぞれに関して、スイッチ対の接続スイッチは、電池セルと電池セルの入力ノードまたは出力ノードのいずれかとの間に配置され、スイッチ対のバイパススイッチは、バイパスラインの一部である。
【0018】
上記方法のいずれかの別の例の実施形態において、第1の構成においては、接続スイッチはONで、バイパススイッチはOFFであり、第2の構成においては、接続スイッチはOFFで、バイパススイッチはONである。
【0019】
宇宙服の一例の実施形態は、負荷に電力を供給するように構成された電池を備え、電池は、複数の電池セルを含み、複数の電池セルの少なくとも1つは、接続され、複数の電池セルの少なくとも1つは、接続されていない。第1のスイッチは、少なくとも1つの接続された電池セルの個々の電池セルの接続を断つように構成され、第2のスイッチは、少なくとも1つの接続されていない電池セルの個々の電池セルを接続するように構成される。コントローラは、個々の接続された電池セルの検出状態に基づいて、第1のスイッチ及び第2のスイッチを制御するように構成される。
【0020】
上記宇宙服の別の例の実施形態において、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、関連付けられたスイッチを有し、関連付けられたスイッチは、その電池セルが、共有された入力ノード及び共有された出力ノードを介して負荷及び複数の電池セルのうちの他の電池セルに並列に接続されるか、または、負荷及び他の電池セルと接続されないかを制御する。各スイッチは、各スイッチに関連付けられた電池セルと、共有された入力ノードまたは共有された出力ノードのいずれかとの間に直列に接続される。第1のスイッチは、個々の接続された電池セルの関連付けられたスイッチであり、第2のスイッチは、個々の接続されていない電池セルの関連付けられたスイッチである。
【0021】
上記宇宙服の別の例の実施形態においては、所与の電池セルの関連付けられたスイッチが、その電池セルと共有された出力ノードとの間にある場合、共有された入力ノードとその所与の電池セルの入力との間にスイッチは備えられない。
【0022】
上記宇宙服の別の例の実施形態においては、少なくとも1つの接続された電池セルと、少なくとも1つの接続されていない電池セルは、複数の電池セルの一部であり、各電池セルは、各入力ノード及び出力ノードを有し、各電池セルは、関連付けられたスイッチ対を有し、関連付けられたスイッチ対は、入力ノード及び出力ノードがその電池セルを複数の電池セルのうちの他の電池セルに直列に接続する第1の構成、または、入力ノード及び出力ノードが各バイパスラインを介して接続され、その電池セルは複数の電池セルの他の電池セルと接続されていない第2の構成のいずれかを実施するように構成される。コントローラは、検出状態に応答して、選択的に、個々の接続された電池セルを第2の構成に再構成し、個々の接続されていない電池セルを第1の構成に再構成するようにスイッチ対を制御するように構成される。個々の接続された電池セルのスイッチ対は、第1のスイッチを含み、個々の接続されていない電池セルのスイッチ対は、第2のスイッチを含む。
【0023】
上記宇宙服の別の例の実施形態においては、複数の電池セルのそれぞれに関して、スイッチ対の接続スイッチは、電池セルと、電池セルの入力ノードまたは出力ノードとの間に配置され、スイッチ対のバイパススイッチは、バイパスラインの一部である。第1の構成においては、接続スイッチはONで、バイパススイッチはOFFであり、第2の構成においては、接続スイッチはOFFで、バイパススイッチはONである。
【0024】
これら及び他の特徴は、以下の図面と詳細な説明からよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】複数のセルを有する電池を備える宇宙服を示す概略図である。
図2A】電池のどのセルを使用するかを制御する並列回路の例を示す概略図である。
図2B】セルの負側における制御を伴う代替の回路を示す図である。
図3A】電池のどの直列のセルを使用するかを制御する回路の別の例を示す概略図である。
図3B】セルの両側での制御を有する代替の回路を示す図である。
図4図2Aまたは図2Bの回路と共に使用し得る方法を示すフローチャートである。
図5図3Aまたは図3Bの回路と共に使用し得る方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載の実施形態は、独立してまたは任意の組み合わせで行われてよい。1つの実施形態との関連で記載された特徴は、このような特徴が両立しない場合を除いて、全ての実施形態に適用可能である。
【0027】
図1は、負荷14に電力を供給する電池12を備える宇宙服10を概略的に示す。電池は、複数のセル16を備え、セル16は、負荷14に電力を供給するように直列または並列に選択的に接続できる。負荷14は、例えば、宇宙服10内の空気を冷却及び/または分配するモータ等の部品を含んでよい。宇宙服10は、コントローラ22も備え、コントローラ22は、セル16の出力を測定して、セル16のどのセルを、互いに及び負荷14に接続するかを制御するように構成される。電池セル16の第1のサブセットは、最初に、互いに及び負荷14に並列に接続された主要セルであり、電池セル16の異なる第2のサブセットは、最初は、互いに及び電池セルの第1のサブセットに接続されていない予備セルである。コントローラ22は、必要に応じて、主要セルの接続を絶ち、予備セルを接続できる。これは、宇宙遊泳は、兵站的な計画が困難なので、宇宙服においては特に価値がある。宇宙遊泳中に、電池の故障のために、宇宙飛行士が宇宙船に戻るのは非常な負担である。
【0028】
図2Aは、電池12等の電池のどのセル16を使用するかを制御する回路20の例を概略的に示す。電池セル16A〜16Dは、共有された入力ノード25と共有された出力ノード29との間に備えられ、並列に接続可能である。セル16A〜16Dのそれぞれは、関連付けられたスイッチ18を有し、スイッチ18は、そのスイッチ18に関連付けられた電池セル16が、(ノード25と29の間の)電池セル16のうちの他の電池セル16及び負荷14に並列に接続されるか、または、負荷14及び他の電池セル16と接続されないかを制御する。図2Aの例においては、各スイッチ18は、その電池セル16の出力(すなわち、電池セル16の正端子)とノード29との間に直列に接続される。しかしながら、以下に記載のように、スイッチ18の1つまたは複数は、代わりに、入力ノード25と電池セル16の入力(すなわち、電池セル16の負端子)との間に配置することができる。
【0029】
コントローラ22は、選択的に、セル16を互いに及び負荷14と接続したり、接続を絶ったりするように、制御ライン23を介してスイッチ18を制御するように動作する。これは、例えば、所与のセル16の電圧及び/または電流の減少等、セルの検出状態に基づいて、行うことができる。このような状態は、測定ライン24を介して検出できる。一例においては、コントローラ22は、セル16の出力電圧をモニタし、所与のセルの電圧が所定の電圧閾値未満に降下する(または、所与のセルの電流が所定の電流閾値未満に降下する)時を認識するように構成される。
【0030】
以下の記載においては、セル16A〜16Cは、最初に接続されている主要セル(すなわち、スイッチ18A〜18CはON)であり、セル16Dは、最初は接続されていない予備セル(すなわち、スイッチ18DはOFF)であると仮定する。コントローラ22が、セル16Cの出力電圧が所定の電圧閾値未満に降下するのを検出したとしよう。アクションを取らない場合、セル16Cは、他のセル16Bからの電流を吸収して、セル16Cを加熱し、セル16Cの状態をさらに悪化させ得る。これを回避するために、コントローラは、スイッチ18CをOFFにしてよく、それによって、セル16Cと、セル16A〜16B及び負荷14との接続を絶ち、その代わりにスイッチ18DをONにしてセル16Dを接続してよい。こうすると、電池12は、消耗したセルに依存することなしに、所望の出力を維持することができる。
【0031】
1つまたは複数の実施形態においては、コントローラ22は、互いに並列に接続された電池セル16(例えば、図2Aの3つのセル)の所定の品質を維持するようにスイッチ18を制御するよう構成される。4つのセルのみ(例えば、4つのうち3つは主要セルで、4つのうち1つは予備セル)を図示し、上述したが、任意の数のセルを使用してよく、異なる数のセルを主要セル及び予備セルとして構成してよいことは理解されよう。
【0032】
図2Aの例においては、入力ノード25と、セルの入力(すなわち、セルの負端子)との間にはスイッチ18を備えていない。この点については、各セルに関して1つのスイッチが、そのスイッチに関連付けられたセル16を接続するか否かを制御するように動作する。
【0033】
図2Bに示す代替の構成においては、スイッチ118は、入力ノード125とセル116の入力との間に直列に接続されるように再配置されてよい。セル116と出力ノード129との間にスイッチはない。このような構成によって、スイッチ18に関して図2Aに示した構成と比較して、スイッチ118のON抵抗を増加させてよい。
【0034】
コントローラ22は、各セル16の入力(負)端子及び出力(正)端子と測定ライン24を介して接続される測定回路26を備える。一例においては、測定回路26は、測定を行っているセル16に対して交互に切り替わるマルチプレクサを利用する。測定は、例えば、電圧及び/または電流の測定であってよい。測定回路26は、所定の閾値と比較するためのデジタル電圧値及び/または電流値を提供するアナログ−デジタルコンバータを備えてよい。コントローラ22は、このような比較を行うためのマイクロプロセッサと、関連するメモリ(図示せず)とを備えてよい。
【0035】
コントローラ22は、制御ライン23を介して各スイッチ18の状態を制御するスイッチング制御回路27も備え、制御ライン23は、各スイッチ18A〜18Dのゲートに接続されて、個々のスイッチ18A〜18DがONかOFFかを制御する。
【0036】
図3Aは、電池12のどのセル16を使用するかを制御する別の例の回路28を概略的に示す。図3Aにおいては、電池セル16A〜16Dが備えられ、各セル16A〜16Dは、各入力ノード34及び出力ノード36を有する。各電池セル16A〜16Dは、関連付けられたスイッチ対30、32も有し、スイッチ対30、32は、入力ノード及び出力ノード34、36が、その電池セル16を複数の電池セル16のうちの他の電池セル16に直列に接続する第1の構成、または、入力ノード及び出力ノード34、36が各バイパスライン38を介して接続され、電池セル16は他の電池セルと接続されていない第2の構成とのいずれかを実施するように構成される。
【0037】
図3Aの各電池セル16に関して、電池セル16のスイッチ対の第1の接続スイッチ30は、電池セルの入力ノード34と、所与の電池セルの入力端子(すなわち、電池セルの負端子)との間に配置され、電池セル16のスイッチ対の第2のバイパススイッチ32は、バイパスライン38の一部である。所与のセル16が第1の構成であるためには、そのセル16に関連付けられたスイッチ30はONで、そのセル16に関連付けられたスイッチ32はOFFである。セル16が第2の構成であるためには、セル16のスイッチ30はOFFにされ、セル16のスイッチ32はONにされる。
【0038】
図3Bに示す代替の構成においては、第1のスイッチ130は、代わりに、電池セルの出力端子(すなわち、電池セルの正端子)と、電池セルの出力ノード136との間に配置され、セル116とセル116の入力ノード134との間にスイッチはない。
【0039】
コントローラ22’は、電池セル16のうちの第1のサブセットが、最初、互いに直列に接続された主要セルであり、電池セル16の異なる第2のサブセットが、最初、互いに及び電池セルのうちの第1のサブセットに接続されていない予備セルであるように、スイッチ30、32を制御するように構成される。以下に記載のように、セル16A〜16Cは、最初に接続されている(すなわち、スイッチ30A〜30CはON、スイッチ32A〜32CはOFFにされている)主要セルであり、セル16Dは、最初、接続されていない(すなわち、スイッチ30DはOFF、スイッチ32DはON)である予備セルであると仮定する。
【0040】
コントローラ22’が、セル16Cの出力電圧が所定の電圧閾値未満に降下するのを検出することも仮定する。この検出に基づいて、コントローラ22’は、スイッチ30CをOFFにし、スイッチ32CをONにすることによって、ノード34C、36Cをバイパスライン38を介して接続し、セル16Cと、他のセル16A〜16B及び負荷14との接続を絶つ。コントローラ22’は、また、スイッチ30DをONにし、スイッチ32DをOFFにすることによって、セル16Dを他のセル16A〜16Bに接続する。これによって、電池12は、消耗したセル16に依存することなく、所望の出力を維持することができる。
【0041】
ここでも、4つのセルのみ(例えば、4つのうち3つは主要セルで、4つのうち1つは予備セル)を図示し、上述したが、任意の数のセルを使用してよく、異なる数のセルを主要セル及び予備セルとして構成してよいことは理解されよう。
【0042】
コントローラ22’は、スイッチング制御回路27’を備える。スイッチング制御回路27’は、選択的に、セル16を互いに及び負荷と接続する、及び、接続を絶つように制御ライン23’を介してスイッチ18を制御するように構成される。コントローラ22’は、測定回路26’も備える。測定回路26’は、測定ライン24’を介して、各セル16の出力(例えば、電圧及び/または電流の測定値)を測定するように構成される。上述の例においてのように、アナログ−デジタルコンバータ、マイクロプロセッサ、及び、メモリが、測定回路26’に含まれてよい。
【0043】
図4は、図2Aまたは図2Bの回路と共に使用され得る、並列に接続された複数の電池セル16を制御する方法100のフローチャートである。複数の電池セル16のうちの1つまたは複数の出力(例えば、出力電圧または電流)が測定される(ブロック102)。各セル16は、入力ノード25と出力ノード29との間に並列に接続可能である。各電池セルは、関連付けられたスイッチ18を有し、スイッチ18は、その電池セル16が、共有された入力ノード25及び共有された出力ノード29を介して負荷14及び複数の電池セル16のうちの他の電池セル16に並列に接続されるか、または、負荷14及び他の電池セル16と接続されないかを制御する。各スイッチ18は、入力ノード25とそのスイッチに関連付けられた電池セル16の入力(すなわち、電池セル16の負端子)との間、または、出力ノード29とそのスイッチに関連付けられた電池セル16の出力(すなわち、電池セル16の正端子)との間のいずれかに直列に接続される。スイッチは、ブロック102の測定に基づいて、選択的に、電池セル16のうちの第1の電池セル16と負荷14及び他の電池セル16との接続を絶ち、電池セル16のうちの第2の接続されていない電池セル16を負荷14及び他の電池セル16に接続するように制御される(ブロック104)。
【0044】
図5は、図3Aまたは図3Bの回路と共に用い得る、直列に接続された複数の電池セル16を制御する方法200のフローチャートである。複数の電池セル16のうちの1つまたは複数の出力(例えば、出力電圧または電流)を測定する(ブロック202)。各電池セル16は、各入力ノード34及び出力ノード36を有し、各電池セル16は、関連付けられたスイッチ対30、32も有し、スイッチ対30、32は、入力ノード及び出力ノード34、36が、その電池セル16を電池セル16のうちの他の電池セル16に直列に接続する第1の構成、または、入力ノード及び出力ノード34、36が、各バイパスライン38を介して接続され、その電池セル16は、電池セル16のうちの他の電池セル16と接続されていない第2の構成のいずれかを実施するように構成される。スイッチ対30、32は、測定に基づいて、選択的に、電池セルのうちの第1の電池セルを第2の構成に再構成し、電池セルのうちの第2の接続されていない電池セルを第1の構成に再構成するように制御される(ブロック204)。
【0045】
上記様々な実施形態は、消耗した電池セルの切断を容易にし、それによって、電池12の残りのセルの電力を保存することができる、また、予備電池セルの接続を容易にして、所望の電池出力を維持する。これは、一貫した、信頼できる電力を必要とする宇宙服にとって特に有用であり得る。
【0046】
上記実施形態は、また、少数のスイッチを使用して開示の機能を実施できる。これによって、回路設計の複雑さを減らし、信頼性を高めることができる。
【0047】
宇宙服10への電力供給に関連して、回路20、28を記載したが、当然、複数の電池セルを利用する宇宙服以外の他の適用も可能であることは理解されよう。また、スイッチ18、30、32は、P型MOSFETとして示したが、異なる型のスイッチを使用してもよいことは理解されよう。
【0048】
例示の実施形態を開示したが、当業者は、一定の修正は本開示の範囲内であることを認識されよう。このため、本開示の真の範囲と内容を決定するためには、以下の請求項を検討するべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5