(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来におけるカートニング装置は、以上のように構成され、包装箱が平坦に折り畳まれた状態から90°起立して角筒形に開函されるが、包装箱がG段等の高強度の段ボールで製造される場合、厚い硬質紙で製造される場合、製造後日数が経過して接着強度の増大に伴い、開函強度が増したり、反りが生じたり、湿気を吸収している場合には、包装箱が90°の角度で起立せず、完全な角筒形に開函しないことがある。特に、包装箱がG段の高強度の段ボールで製造される場合には、包装箱が平行四辺形等にしか開函せず、不完全な角筒形に開函することが少なくない。
【0007】
包装箱が完全な角筒形に開函せず、包装箱の開口した両端部が正方形に区画形成されない場合には、ロール体の挿入が困難になったり、包装箱のフラップが折り込み時に一部潰れ、フラップの完全な折り込みに支障を来し、その結果、歩留まりの低下を招くという問題が生じる。この問題を解消するため、(1)各包装箱を手作業で90°起立させて角筒形に開函し、この癖の付いた包装箱を再び平坦に折り畳み、この折り畳んだ状態でカートニング装置にセットする方法、(2)各包装箱を専用の開函バーにより強制的に角筒形に開函する方法、(3)各包装箱を複数のスペーサベルト間に挟持して強制的に角筒形に開函する方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、(1)の方法の場合には、手作業で包装箱に癖を付ける必要があるので、包装箱が多数枚のときには、作業の煩雑化や遅延化を招くという大きな問題が新たに生じる。また、(2)、(3)の方法の場合には、専用の装置を新たに要するので、設備が大規模で複雑になるという問題が新たに生じることとなる。
【0009】
本発明は上記に鑑みなされたもので、包装箱を折り畳まれた状態から適切な略函形に開函し、包装箱に内容品を円滑に充填して歩留まりの低下を抑制することのできる簡易な構成のカートニング装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては上記課題を解決するため、
開函された包装箱の一端部側のフラップを折り込む第一のフラップ折付機構と、開函された包装箱に内容品を充填する充填機構と、開函された包装箱の他端部側のフラップを折り込む第二のフラップ折付機構と、未封函の包装箱の端部のフラップを接着する封函機構とを備え、内容品を、巻芯に長尺品が巻かれたロール体とし、第一のフラップ折付機構、充填機構、第二のフラップ折付機構、及び封函機構に、未封函の包装箱に相対的に接触する制御部材を取り付けたものであって、
包装箱は、ロール体に対向する底板と、この底板の一側部に屈曲可能に接続される第一の側壁板と、底板の他側部に屈曲可能に接続される第二の側壁板と、この第二の側壁板の側部に屈曲可能に接続される天板と、この天板に屈曲可能に接続されて第一の側壁板に接着される重ね胴板とを含み、底板と天板の少なくともいずれか一方の両端部、及び第一、第二の側壁板の両端部に、フラップがそれぞれ屈曲可能に接続され、重ね胴板が、天板の側部に接続されて第一の側壁板に重なる胴片と、この胴片の側部にミシン目を介して接続される剥離片とに分割されており、この剥離片の裏面に、第一の側壁板に接着される接着部が形成されるとともに、この接着部の少なくとも一部分の周縁に沿う切り欠きが形成され、
制御部材は、弾性材により可撓性を有する略板形に形成されて第一のフラップ折付機構、充填機構、第二のフラップ折付機構、及び封函機構の搬送路に配設され、コンベヤで搬送されて来た包装箱の第一の側壁板又は第二の側壁板に上下方向に傾斜した状態で衝突可能であり、コンベヤで搬送されて来た包装箱の第一の側壁板又は第二の側壁板の上部に衝突されて包装箱を一時停止させることにより、包装箱の形態を略函形に制御してその端部を略方形に区画形成することを特徴としている。
【0013】
ここで、特許請求の範囲における包装箱には、少なくとも筒型タイプ(丸め込み式ともいう)の化粧箱や段ボール箱等が含まれる。
内容品には、ロール体等が含まれる。また、制御部材は、不透明でも良いが、包装箱を目視確認する観点から、透明や半透明でも良い。この制御部材は、単数でも良いし、複数でも良く、必要に応じて増減される。
【0014】
制御部材は、可撓性を有するエラストマー製の板とすることができる。また、可撓性を有するバネ材と、このバネ材の両面の内、少なくとも片面の包装箱と接触する被接触領域に取り付けられる弾性層とから構成することもできる。制御部材により、包装箱の形態が略函形に制御される場合、包装箱の端部形状は、略方形(正方形、技術的・実質的におおよそ正方形と認められる形、長方形、技術的・実質的におおよそ長方形と認められる形)に制御されることが好ましい。制御部材は、各種の支持部材(回転軸、固定軸、支持片、吊片等)により取り付けることができる。
【0015】
本発明によれば、未封函の包装箱と制御部材とが接触すると、制御部材が撓むが、この撓んだ制御部材により、包装箱の折り畳み状態に戻ろうとする動きが規制されるので、包装箱の形態が略函形に維持され、包装箱の端部の形状が略方形に区画される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、包装箱を折り畳まれた状態から適切な略函形に開函することができるので、包装箱に
ロール体を円滑に充填することができ、歩留まりの低下を有効に抑制することができるという効果がある。また、手作業で製函前の包装箱に癖を付ける必要が少ないので、例え多数の包装箱を取り扱う場合にも、作業の簡素化や迅速化を図ることができる。また、包装箱を完全な函形に開函する大規模な専用装置を要しないので、設備の簡素化を図ることができる。
【0017】
また、第一のフラップ折付機構により、開函された包装箱の開口した一端部側のフラップを折り込み、充填機構により、開函された包装箱内に
ロール体を充填することができる。また、第二のフラップ折付機構により、包装箱の開口した他端部側のフラップを折り込み、封函機構により、包装箱端部のフラップを接着し、包装箱を完全に封函することが可能となる。
【0018】
また、包装箱の重ね胴板から剥離片をミシン目に沿って除去すれば、重ね胴板の胴片が揺動可能となり、ロール体を被覆保護する天板の開放が可能となる。天板が開放可能になれば、包装箱内に収納されたロール体を自由に取り扱うことができるので、ロール体の長尺品を使用可能な状態とすることが可能になる。
【0019】
また、包装箱に制御部材が接触して撓むと、この撓んだ制御部材の力により、包装箱の折り畳み状態に復元しようとする動きを規制することができる。この動きの規制により、包装箱の形態を、材質や厚さ、反りの有無、開函する応力、湿気の有無にかかわらず、略方形の函形に維持することが可能になる。
【0020】
また、第一のフラップ折付機構に制御部材が取り付けられる場合には、包装箱が適切な形態に開函されてその開口した一端部が十分な大きさ・形となるので、包装箱の一端部側のフラップを支障なく折り込むことが可能になる。また、充填機構に制御部材が取り付けられる場合には、包装箱が適切な形態に開函されてその内部と開口した端部とが十分な大きさ・形となるので、包装箱の開口した端部に
ロール体を円滑に充填することができる。
【0021】
また、第二のフラップ折付機構に制御部材が取り付けられる場合には、包装箱が好適な形態に開函されてその開口した他端部が十分な大きさ・形となるので、包装箱の他端部側のフラップを支障なく折り込むことができる。また、封函機構に制御部材が取り付けられる場合には、包装箱が好適な形態に維持されてその両端部が十分な大きさ・形となるので、包装箱端部のフラップを良好に接着して封函することができる。さらに、制御部材が傾いて包装箱に長く接触するので、包装箱の形態を適切な函形に整えることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるカートニング装置は、
図1ないし
図8に示すように、折り畳まれた包装箱1を開函して食品包装用のロール体20を挿入し、包装箱1の複数枚のフラップを折り込んで封函する装置であり、第一のフラップ折付機構30、充填機構31、第二のフラップ折付機構32、及び封函機構33に、未封函の包装箱1に相対的に衝突、接触する制御板40をそれぞれ配設し、この複数の制御板40により、包装箱1の形態を最適な形態に制御するようにしている。
【0024】
包装箱1は、
図1や
図2に示すように、ロール体20に対向して搭載可能な底板2と、この底板2の一側部に屈曲可能に接続される第一の側壁板3と、底板2の他側部に屈曲可能に接続されて第一の側壁板3に対向する第二の側壁板3Aと、この第二の側壁板3Aの側部に屈曲可能に接続されて底板2に対向する天板4と、この天板4に屈曲可能に接続されて第一の側壁板3に対向可能な重ね胴板5とを備えた握持可能な細長い箱であり、底板2の一側部に、ロール体20のラップフィルム22用の切断刃16が装着される。
【0025】
包装箱1は、底板2、第一、第二の側壁板3・3A、天板4、及び重ね胴板5が段ボール等の厚紙の打ち抜きにより一体形成される。この包装箱1の底板2、第一、第二の側壁板3・3A、天板4、及び重ね胴板5は、ロール体20に対応する細長い長方形にそれぞれ形成され、底板2の一側部と第一の側壁板3との間、底板2の他側部と第二の側壁板3Aとの間、第二の側壁板3Aの側部と天板4との間、及び天板4の側部と重ね胴板5との間には、包装箱1の組立を容易にする屈曲用の折線6がそれぞれ形成される。このような包装箱1は、第一の側壁板3の表面に重ね胴板5が接着された未完成の状態でカートニング装置に平坦に折り畳んでセットされる。
【0026】
底板2の短辺の両端部には、包装箱1の開口した端部に対応する大きさの外フラップ7がそれぞれ折線6を介し屈曲可能に接続され、各外フラップ7が矩形に形成される。外フラップ7の先端部には、天板4の裏面端部に重なる先細りの舌状フラップ8が折線6を介し屈曲可能に接続され、これら外フラップ7と舌状フラップ8とが包装箱1の組立時にL字形に屈曲される。
【0027】
第一の側壁板3の短辺の両端部には、矩形あるいは一部切り欠かれた台形の内フラップ9がそれぞれ折線6を介し屈曲可能に接続され、各内フラップ9の表面が外フラップ7に対向して接着される。この内フラップ9の表面には、ホットメルト接着剤の接着を容易にする複数本のミシン目10が間隔をおき斜めに並べて形成され、各ミシン目10が底板2や天板4の左右幅方向に連続して伸長される。
【0028】
第二の側壁板3Aの短辺の両端部には、包装箱1の開口した端部を被覆可能な内フラップ9がそれぞれ折線6を介し屈曲可能に接続され、各内フラップ9が矩形あるいは一部切り欠かれた台形等に形成されており、各内フラップ9が折り畳まれて対向する第一の側壁板3の内フラップ9裏面に接着される。この内フラップ9の表面には、ホットメルト接着剤の接着を容易にする複数本のミシン目10が間隔をおき斜めに並べて形成され、各ミシン目10が底板2や天板4の左右幅方向に連続して伸長される。
【0029】
第一、第二の側壁板3・3Aの内フラップ9は、天板4の裏面端部との間に外フラップ7の舌状フラップ8を挟持するのであれば、同じ大きさや長さでも良いが、必要に応じて変更される。例えば第一の側壁板3の内フラップ9が短く形成されるとともに、第二の側壁板3Aの内フラップ9が長く形成されたり、逆に第一の側壁板3の内フラップ9が長く形成され、第二の側壁板3Aの内フラップ9が短く形成される。
【0030】
天板4は、底板2と同じ大きさ・長さに形成され、底板2に対向してロール体20を収納する空間を区画形成する。この天板4の短辺の両端部には、底板2の両端部に外フラップ7が接続されない場合、ロール体20のラップフィルム22の引き出しに支障を来さないことを条件として、外フラップ7がそれぞれ折線6を介し屈曲可能に接続される。
【0031】
重ね胴板5は、天板4の側部に接続されて第一の側壁板3の表面に重なる細長い胴片11と、この胴片11の側部にミシン目10Aを介して接続される細長い剥離片12とに分割され、この剥離片12の裏面長手方向に、第一の側壁板3の表面に接着剤により接着される複数の接着部13が所定の間隔をおき並べて形成されており、各接着部13が線状、あるいは点状に区画形成されて所定の接着剤が塗布される。
【0032】
ミシン目10Aの両端部には、必要に応じ、胴片11と剥離片12との分離を容易にする略三角形の切り欠き14が形成される。また、剥離片12の少なくとも表面長手方向には、複数の接着部13のうち、少なくとも一部の接着部13の周縁に部分的に沿う略半円弧形の切り欠き15が所定の間隔をおきそれぞれ形成され、この複数の切り欠き15を利用した押圧操作により、剥離片12の複数の接着部13間等が部分的に浮き上がり、第一の側壁板3の表面から剥離片12が徐々に、かつ簡単に剥離される。
【0033】
このような重ね胴板5は、第一の側壁板3から剥離片12が複数の切り欠き15を介して剥離され、剥離片12が胴片11からミシン目10Aに沿って除去されることにより、胴片11が揺動可能となって天板4の開放を可能とする。天板4が開放可能になると、包装箱1内に収納されたロール体20を自由に取り扱うことができ、ロール体20のラップフィルム22を所定の長さ分引き出すことができる。
【0034】
切断刃16は、例えば金属製の刃からなり、ロール体20から引き出されたラップフィルム22を迅速に切断できるよう、底板2の表面一側部にかしめて装着される。この切断刃16の一側部は、底板2の表面一側部と第一の側壁板3の表面側部との接続部分付近、換言すれば、境界の折線6付近に位置し、刃が底板2の表面一側部から僅かに食み出ており、この僅かに食み出た刃がロール体20から引き出されたラップフィルム22を切断するよう機能する。切断刃16は、細長い長方形が主ではあるが、必要に応じ、細長い略へ字形等の薄板に成形される。
【0035】
ロール体20は、
図3に示すように、筒形の巻芯21に帯形で透明のラップフィルム22が巻替機により所定の長さ分巻回され、バケットコンベヤの循環するバケットで上流から下流のカートニング装置の充填機構31に搬送される。巻芯21は、例えば再生用紙と上質紙との積層紙がスパイラル巻きに巻装され、外周側に上質紙が露出する防塵性や表面平滑性に優れる細長い円筒形に形成される。
【0036】
ラップフィルム22は、食品衛生の観点から、防汚性や防湿性等に優れるポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等で柔軟な薄膜に成形され、巻芯21の外周面に平巻方式で多層に巻回される。このラップフィルム22は、過剰に伸びない45cm×50m、45cm×55m、45cm×100m、30cm×100m、30cm×110m、22cm×100mの幅・長さ、とされる。
【0037】
カートニング装置は、
図4ないし
図7に示すように、胴貼りして平坦に折り畳まれた未完成の包装箱1を複数枚貯えるマガジン機構と、未完成の包装箱1を開函してその開口した一端部側の内フラップ9を折り込む第一のフラップ折付機構30と、開函された包装箱1にロール体20を挿入する充填機構31と、開函された包装箱1の開口した他端部側の内フラップ9を折り込む第二のフラップ折付機構32と、未封函の包装箱1の両端部における内フラップ9と外フラップ7とをそれぞれ接着する封函機構33とを備え、コンベヤと組み合わせて構成される。
【0038】
マガジン機構は、複数枚の包装箱1を起立させた状態で並べて積層し、端部に位置する包装箱1を一枚ずつコンベヤで下流に搬送する機構であるが、複数枚の包装箱1を上下方向に積層してその最下層あるいは最上層の包装箱1を一枚ずつ取り出し、コンベヤで下流に搬送する機構でも良い。
【0039】
第一のフラップ折付機構30は、
図4に示すように、上流のマガジン機構からコンベヤで搬送されて来た未完成の包装箱1を起立させて開函し、この開函された包装箱1の開口した一端部側における一対の内フラップ9を順次内側に折り込むよう機能する。この際、包装箱1は、バキュームパッド、カム、クランク等により、好ましくは角筒形に開函される。
【0040】
充填機構31は、
図5に示すように、上流の第一のフラップ折付機構30からコンベヤで搬送されて来た包装箱1の開口した他端部内に、バケットコンベヤのバケットに保持されたロール体20を挿入するよう機能する。この際、ロール体20は、巻芯21の端部がプッシャロッドで押圧されることにより、包装箱1の開口した他端部内に水平に挿入され、包装箱1内に回転可能に収納される。また、第二のフラップ折付機構32は、
図6に示すように、上流の充填機構31からコンベヤで搬送されて来た包装箱1の開口した他端部側における一対の内フラップ9を順次内側に折り込むよう機能する。
【0041】
封函機構33は、
図7に示すように、上流の第二のフラップ折付機構32からコンベヤで搬送されて来た未封函の包装箱1の両端部における複数の内フラップ9のミシン目10にホットメルト接着剤をそれぞれ塗布し、包装箱1の両端部における外フラップ7をそれぞれ内側に折り込み、一対の内フラップ9と外フラップ7とをホットメルト接着剤で接着することにより、包装箱1の両端部をそれぞれ封函する。
【0042】
複数枚の制御板40は、
図4ないし
図7に示すように、カートニング装置の包装箱1の形態を断面方形の函形に維持する必要のある箇所に設置される。具体的には、カートニング装置の第一のフラップ折付機構30、充填機構31、第二のフラップ折付機構32、及び封函機構33の搬送路にそれぞれ必要数(本実施形態では1枚、又は2枚)が配設され、未封函の包装箱1に同図の右方向から衝突されてその形態を断面方形の函形に制御して維持する。
【0043】
各制御板40は、
図5、
図7、
図8に示すように、所定の弾性材により、可撓性と光透過性を有する細長い平面矩形の板に形成され、上部が支持軸41に取付具42を介し挟持されるとともに、支持軸41がカートニング装置の架台に水平に架設して軸支されており、上下方向に傾斜して包装箱1の搬送の障害となるよう位置する。この制御板40は、包装箱1に可能な限り長く接触してその形態を完全な角筒形とする観点から、上下方向に所定の角度(例えば、30°、45°、60°等)で傾き、下端部が搬送方向下流の斜め下方に指向することが好ましい。
【0044】
制御板40の所定の弾性材としては、特に限定されるものではないが、例えばウレタンゴム、ニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等のエラストマーが使用され、厚さが10mm程度の縦長の板とされる。これらの材料の中では、ウレタンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴムが好適であるが、包装箱1との衝突時に包装箱1の損傷を招くことのないよう、高強度で弾性に富み、食品衛生、機械的強度、耐候性、耐寒性、耐油性・耐溶剤性、耐摩耗性、防汚性、導電性付与性に優れるウレタンゴムの選択が最適である。
【0045】
制御板40の硬度は、特に限定されるものではないが、包装箱1との衝突時に所定の強度特性と緩衝性とを発揮させる観点から、JIS K6301の試験法によるショアA硬度で15〜95、好ましくは30〜90、より好ましくは50〜80程度が良い。これは、制御板40のショアA硬度が15未満の場合には、包装箱1と制御板40との衝突時に制御板40が過剰に変形し、包装箱1の形態の制御に支障を来すからである。
【0046】
制御板40の引張強さは、所定の強度特性を維持する観点から、0.6〜65MPa、好ましくは20〜60MPa、より好ましくは25〜56MPaの範囲が良い。また、制御板40の伸び率は、所定の強度特性を確保するため、350〜740%、好ましくは370〜730%、より好ましくは520〜720%の範囲が良い。
【0047】
このようなエラストマー製の制御板40は、カートニング装置の上流からコンベヤで搬送されて来た包装箱1の第一の側壁板3又は第二の側壁板3Aの上部に傾斜した状態で衝突され、包装箱1の形態を90°起立した完全な角筒形に制御してその各端部の形を正方形に維持し、衝突した後、上方に撓んで包装箱1の通過を許容することにより、包装箱1の下流への搬送を継続させるよう機能する。
【0048】
上記構成において、折り畳まれた包装箱1を開函してロール体20を挿入し、未封函の包装箱1を封函する場合には、カートニング装置のマガジン機構に平坦に折り畳まれた未完成の包装箱1を複数枚セットし、カートニング装置を起動すれば良い。すると、包装箱1は、マガジン機構から下流の第一のフラップ折付機構30にコンベヤで搬送されて角筒形に開函され、傾斜した制御板40の少なくとも下部付近に衝突して一時停止し、開口した一端部側における一対の内フラップ9が順次折り込まれる(
図4参照)。
【0049】
この際、包装箱1は、搬送路の障害物である制御板40に衝突して僅かに撓ませるが、この撓んだ制御板40の制止力・復元力により、折り畳み状態に戻ろうとする動きが規制される。この動きの規制により、包装箱1の形態は、紙の材質や厚さ、湿気の有無にかかわらず、90°起立した角筒の函形に維持され、両端部の形が正方形に区画形成されて内フラップ9の折り込みが容易となる。
【0050】
包装箱1は、開口した一端部側における一対の内フラップ9が折り込まれると、第一のフラップ折付機構30から制御板40を通過して下流の充填機構31にコンベヤで搬送され、傾斜した制御板40の少なくとも下部付近に衝突して一時停止し、開口した他端部内に、バケットコンベヤからロール体20が挿入される(
図5参照)。
【0051】
この際、包装箱1は、搬送路の障害物である制御板40に衝突して僅かに撓ませるが、この撓んだ制御板40の制止力・復元力により、折り畳み状態に戻ろうとする動きが規制されるので、紙の材質や厚さ、湿気の有無にかかわらず、形態が90°起立した角筒の函形に維持され、内部や両端部の形が適正な正方形に区画形成されてロール体20の挿入が容易となる。
【0052】
ロール体20が挿入されると、包装箱1は、充填機構31から制御板40を通過して下流の第二のフラップ折付機構32にコンベヤで搬送され、傾斜した制御板40の少なくとも下部付近に衝突して一時停止し、開口した他端部側における一対の内フラップ9が順次折り込まれる(
図6参照)。この際にも、包装箱1は、制御板40に衝突して僅かに撓ませるが、撓んだ制御板40の制止力・復元力により、折り畳み状態に戻ろうとする動きが規制されるので、紙の材質や厚さ、湿気の有無にかかわらず、形態が角筒形に維持され、両端部の形が正方形に区画形成される。
【0053】
包装箱1の開口した他端部側における一対の内フラップ9が折り込まれると、未封函の包装箱1は、第二のフラップ折付機構32から制御板40を通過して下流の封函機構33にコンベヤで搬送され、傾斜した制御板40の少なくとも下部付近に衝突して一時停止し、両端部における複数の内フラップ9のミシン目10にホットメルト接着剤がそれぞれ塗布されるとともに、両端部における外フラップ7がそれぞれ折り込まれてその舌状フラップ8が内フラップ9と天板4との間に挟持され、複数の内フラップ9と外フラップ7とがホットメルト接着剤で接着されることで封函される(
図7参照)。
【0054】
この際にも、包装箱1は、撓んだ制御板40の制止力・復元力により、折り畳み状態に戻ろうとする動きが規制される。この動きの規制作用により、包装箱1は、紙の材質や厚さ、反りの有無、開函する応力、湿気の有無にかかわらず、形態が90°起立した適切な角筒形に維持されてその両端部が最適な大きさ・形となるので、外フラップ7の接着や舌状フラップ8の挿入が容易となる。
【0055】
上記構成によれば、制御板40が包装箱1を90°起立させるので、例え包装箱1がG段の高強度の段ボールで製造される場合、厚い硬質紙で製造される場合、製造後日数が経過して接着強度の増大に伴い、開函強度が増したり、反りが生じたり、湿気を吸収している場合にも、包装箱1を完全な角筒形に整形し、包装箱1の両端部の形を正方形に区画形成することができる。
【0056】
したがって、例え搬送されて来る包装箱1の開函形態が不完全でも、完全な開函形態とすることができるので、ロール体20の挿入が困難になったり、包装箱1の内フラップ9の折り込みに支障を来したり、舌状フラップ8等が折り込み時に一部潰れ、封函が困難になることが全くなく、歩留まりの低下のおそれを排除することができる。
【0057】
また、包装箱1を手作業で90°起立させて角筒形に開函し、この癖の付いた包装箱1を再び平坦に折り畳む必要がないので、製函作業の著しい簡素化や迅速化を図ることができる。また、構成の簡易な制御板40を既存のカートニング装置に後から取り付けるだけで良いので、大掛かりな専用の装置で包装箱1を角筒形に開函する必要が全くなく、設備が大規模で複雑になることがない。
【0058】
また、制御板40を直接取り付けるのではなく、支持軸41を介して取り付けるので、既存のカートニング装置に必要数の制御板40を自由に取り付けることが可能となり、カートニング装置の改造が非常に容易となる。さらに、包装箱1に金属製の制御板40を接触させるのではなく、エラストマー製の制御板40を接触させるので、接触に伴う包装箱1表面の損傷防止が大いに期待でき、包装箱1の外観不良の発生を有効に防止することが可能になる。
【0059】
次に、
図9は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、制御板40を、可撓性を有する板バネ43と、この板バネ43の両面にそれぞれ積層される弾性のエラストマー層44とから多層構造に構成するようにしている。
板バネ43は、例えばバネ用のステンレス鋼や銅合金等を用いて薄い矩形の板に形成される。また、各エラストマー層44は、上記実施形態と同様、ウレタンゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム等が使用され、板バネ43の表裏両面にそれぞれ積層接着される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0060】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、制御板40を単層構造ではなく、3層構造に構成するので、制御板40の強度や耐久性の向上が期待できるのは明らかである。また、包装箱1に板バネ43を接触させるのではなく、緩衝機能を発揮するエラストマー層44を接触させるので、接触に伴う包装箱1表面の損傷防止が大いに期待できる。また、エラストマー層44の材質の選択により、制御板40の特性に多様性を付与することもできる。例えば、板バネ43に低反発のウレタンゴム製のエラストマー層44を積層し、制御板40の衝撃吸収性や耐久性を向上させることができる。
【0061】
次に、
図10は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、制御板40を、可撓性を有する板バネ43と、この板バネ43の包装箱1と接触可能な接触面に積層接着されて包装箱1と接触する弾性のエラストマー層44とから2層構造に構成するようにしている。
エラストマー層44は、板バネ43の接触面の全面に積層接着することができるが、必要に応じ、接触面のうち、包装箱1と接触する接触部のみに積層接着することもできる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0062】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、板バネ43の包装箱1と接触しない非接触面のエラストマー層44を省略するので、制御板40の構成の簡素化や製造コストの削減を図ることができるのは明らかである。
【0063】
なお、上記実施形態の包装箱1は、カートニング装置の第一のフラップ折付機構30、充填機構31、第二のフラップ折付機構32、及び封函機構33で一時停止しても良いし、搬送を継続しても良い。また、カートニング装置のマガジン機構と第一のフラップ折付機構30との間に、折り畳まれた包装箱1を開函する開函機構を新たに設置し、この開函機構の搬送路に制御板40を取り付け、第一のフラップ折付機構30の開函機能を省略しても良い。
【0064】
また、上記実施形態の切断刃16については、例えば生分解性樹脂により細長い長方形の薄板に成形し、両側のうち、少なくとも一側部の長手方向に複数の鋸歯を連続して形成するとともに、各鋸歯を小さな三角形に形成し、ロール体20から引き出されたラップフィルム22を迅速に切断できるよう、底板2の表面一側部に接着剤等により装着しても良い。この切断刃16の生分解性樹脂としては、例えばバイオポリエステル、バクテリアセルロース、脂肪酸ポリエステル等があげられる。
【0065】
また、上記実施形態の第一のフラップ折付機構30は、包装箱1の開口した一端部側における一対の内フラップ9を折り込んで各内フラップ9のミシン目10にホットメルト接着剤を塗布し、一端部における外フラップ7を折り込んでその舌状フラップ8を内フラップ9と天板4との間に挟持させ、複数の内フラップ9と外フラップ7とをホットメルト接着剤で接着して包装箱1の一端部を封函する機構でも良い。
【0066】
また、上記実施形態では支持軸41に制御板40を傾けて支持させたが、何らこれに限定されるものではなく、特に問題が生じないのであれば、支持軸41に制御板40を垂下して支持させることができる。また、上記実施形態では支持軸41に必要枚数の制御板40を縦長に支持させたが、何らこれに限定されるものではなく、1枚あるいは2枚の制御板40を横長に支持させることができる。また、支持軸41に制御板40の上部ではなく、制御板40の中央部等を支持させることもできる。
【0067】
また、開函された包装箱1を断面方形の函形に制御できるのであれば、必要に応じ、支持軸41を回転軸としたり、制御板40を所定の角度で上下方向に揺動可能とすることができる。また、制御板40を平坦な板ではなく、弓なりに屈曲した板とすることが可能である。また、制御板40の少なくとも包装箱1に接触する被接触面を粗してその摩擦係数を高くし、衝突する包装箱1を滑りにくくすることが可能である。さらに、包装箱1に損傷のおそれがないのであれば、制御板40を板バネ43としてその上部を支持軸41に取付具42を介し支持させ、支持軸41をカートニング装置の架台に支持させることも可能である。