特許第6853744号(P6853744)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853744
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】遊技用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352L
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-139252(P2017-139252)
(22)【出願日】2017年7月18日
(65)【公開番号】特開2019-17740(P2019-17740A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】金井 崇矩
【審査官】 平井 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−100459(JP,A)
【文献】 特開2014−217580(JP,A)
【文献】 特開2003−033556(JP,A)
【文献】 特開2005−034672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機と、
所定の会員登録手続を行った遊技者に対して発行される会員記録媒体と、
不特定多数の遊技者に対して発行される一般記録媒体と、
各遊技機に対応して設けられ、遊技者による入金を受け付ける入金手段と、
各遊技機に対応して設けられ、前記入金手段が受け付けた入金額の範囲内で遊技価値を貸与するための貸与処理を実行する貸与処理手段と、
前記会員記録媒体及び一般記録媒体を受け付けることが可能で、受付中の会員記録媒体又は一般記録媒体に対し、前記入金額の残高を示す入金残高を対応付けるための入金残高処理を実行する入金残高処理手段と、
前記入金残高を対応付ける対象として、前記会員記録媒体及び一般記録媒体の双方を許容する第1モード、及び当該対象として前記会員記録媒体のみを許容する第2モードの何れか一方を設定するモード設定手段と、を備え、
前記モード設定手段により前記第2モードが設定されているときは、前記入金残高処理手段は、前記会員記録媒体を受け付けた場合に限り前記入金残高処理を実行することを特徴とする遊技用システム。
【請求項2】
前記モード設定手段は、前記第1モード及び第2モードの他に、前記会員記録媒体の受付中に限り入金を許容する第3モードを設定可能に構成され、
前記モード設定手段により前記第3モードが設定されているときは、前記入金残高処理手段は、前記会員記録媒体が受け付けられていることを条件として入金を許容することを特徴とする請求項1に記載の遊技用システム。
【請求項3】
従業員が携帯し、未登録の会員記録媒体に対して所定の会員情報を対応付ける会員登録処理を実行した上で会員記録媒体を発行可能な会員記録媒体発行手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技場においては、例えば下記の特許文献1に記載されているように、不特定多数の遊技者に発行される一般記録媒体、及び会員登録の手続を行った遊技者に対して発行される会員記録媒体の双方を使用可能な遊技用装置が一般的となっている。具体的には、例えば貯玉などの会員向けサービスを利用したい遊技者は会員登録をした上で会員記録媒体の発行を受けて、その会員記録媒体を遊技用装置で使用する一方、会員向けサービスを望まない遊技者は一般記録媒体を使用することが多くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−100459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技場によっては、固定客の確保を目的として、会員登録した遊技者のみが遊技できる営業形態を採用したいという要望に応えることができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、会員限定の営業形態に対応可能な遊技用システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技用システムは、遊技者による入金額の範囲内で遊技価値を貸与する貸与処理手段と、入金残高を会員記録媒体又は一般記録媒体に対応付ける入金残高処理手段と、を備えている。この遊技用システムでは、入金残高を対応付ける対象として、会員記録媒体及び一般記録媒体の双方が許容される第1モードと、会員記録媒体のみが許容される第2モードと、を選択的に設定できる。この第2モードが設定されているときは、会員記録媒体を受け付けた場合に限り入金残高処理が実行される。
【0007】
本発明の遊技用システムでは、第2モードを設定した場合、遊技者が入金残高を取り出すために会員登録の手続を行う必要があるため、実質的に会員のみに限定した営業形態を実現できる。この遊技用システムでは、第2モードの設定下であっても入金する時点では会員である必要が無いため、非会員であっても遊技を開始でき、遊技機の稼動率を大きく低下させてしまうおそれもない。
【0008】
このように本発明の遊技用システムは、遊技機の稼動率を大きく低下させることなく、実質的に会員のみに限定した営業形態を実現することができる優れた特性のシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】遊技用システムの構成を示すシステム図。
図2】遊技機と計数貸出ユニットとの組み合わせを示す正面図。
図3】計数貸出ユニットの電気的構成を示すブロック図。
図4】カード登録機を示す斜視図。
図5】カード登録機の電気的構成を示すブロック図。
図6】タブレット端末の電気的な構成を示すブロック図。
図7】管理装置が管理する会員登録データを例示する図。
図8】管理装置が集計する会員登録集計データを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、複数の遊技機21が設置された遊技場への会員登録手続を行った遊技者である会員限定の営業形態に対応可能な遊技用システム1に関する例である。この内容について、図1図8を用いて説明する。
【0011】
図1の遊技場は、遊技用システム1を導入した遊技場の例である。この遊技場は、所定の会員登録手続を行った遊技者に対して、会員であることを証する会員記録媒体の一例である会員カード101を発行している。遊技場内には、会員カード101の使用を条件として遊技者に所定の会員サービスを提供する遊技用装置として、計数貸出ユニット3などが設置されている。
【0012】
遊技場では、パチンコ遊技機やスロットマシン等の遊技機21に対して、玉やメダルなどの遊技価値の計数や貸与を実行する計数貸出ユニット3、呼出ランプの機能を備える遊技情報表示装置23等が個別に設置されている。また、2台の遊技機21毎に、遊技信号や遊技データの送受信を中継する中継装置29が設けられている。遊技情報表示装置23は、各遊技機21の上方に個別に付設され、対応する遊技機21の稼動状況を示す遊技情報を表示可能な装置である。遊技情報表示装置23は、大型の液晶ディスプレイよりなる液晶表示部、従業員を呼び出すための呼出ボタン、呼出ボタンの操作に応じて発光するランプ部等を備えている。
【0013】
遊技場内の景品交換カウンタ(図示略)には、持玉を景品に交換する景品交換端末27のほか、会員カード101の登録を行うためのカード登録機5が設置され、管理スペースには、遊技場内の各種機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置20が設置されている。遊技機21が配列された遊技島の島端等には、会員カード101等の遊技カード10の入金残高を現金に精算する精算機25が設置されている。また、例えば遊技場のフロア係の従業員等は、仮会員登録(仮登録)を実施するためのタブレット端末4を携帯している。
【0014】
遊技場では、管理装置20が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク200が構築されている。遊技機21は、対応する遊技情報表示装置23、及び計数貸出ユニット3と共に、中継装置29を介して場内ネットワーク200に接続されている。中継装置29は、計数貸出ユニット3等と遊技機21との間のデータ通信を実現するほか、計数貸出ユニット3等を含めた遊技機21側と管理装置20との間の各種のデータ通信を実現する。場内ネットワーク200には、さらに、景品交換端末27、精算機25、カード登録機5等の機器が通信可能に接続されている。タブレット端末4は、場内ネットワーク200に設置されたWi−Fi等の無線LANのアクセスポイント(AP)201等を介して場内ネットワーク200に対する無線接続が可能である。
【0015】
遊技用システム1で取り扱う遊技カード10としては、不特定多数の遊技者に対して発行される一般記録媒体である一般カード102と、所定の会員登録手続を行った遊技者に対して発行される会員記録媒体である会員カード101と、がある。
【0016】
一般カード102には、カードの識別情報であるカードIDのほか、入金残高、遊技者が当日に獲得した遊技価値(玉)の数量である持玉数がカード記録情報として記録される。一般カード102に記録された入金残高は翌日以降も使用可能である一方、持玉数については、当日のみ有効である。
会員カード101には、カードの識別情報であるカードIDのほか、入金残高が記録される一方、持玉数等は記録されない。持玉数のほか、会員が当日以前に獲得した遊技場に預け入れた遊技価値の数量である貯玉数は、会員カード101には記録されず管理装置20で記憶・管理される。会員カード101に記録された入金残高や、管理装置20で管理される貯玉数等は、翌日以降も使用可能である。なお、当日の営業終了時点で未精算の会員の持玉数については、自動的に貯玉されて貯玉数に加算される。
【0017】
管理装置20における会員カード101の登録状態としては、本会員登録(本登録)された本登録済みの状態と、本登録前の仮登録済みの状態と、未登録の状態と、がある。未登録状態の会員カードは、カード登録機5が設置された景品交換カウンタに用意されているほか、会員の仮登録を実行可能なタブレット端末4を携帯する従業員が所持している。未登録状態の会員カードは使用不能であり、会員カード101の使用には、少なくとも仮登録が必要である。
【0018】
次に、遊技用システム1を構成する機器の一例である管理装置20、計数貸出ユニット3、景品交換端末27、カード登録機5、精算機25、タブレット端末4について説明する。本例の遊技用システム1では、計数貸出ユニット3、景品交換端末27、及び精算機25等の機器が、会員カード101の使用を条件として会員向けの会員サービスを提供する遊技用装置の一例をなしている。
【0019】
(管理装置)
管理装置20(図1)は、上記の通り、遊技場内の各種機器の稼動状況を集中的に管理するための装置である。この管理装置20は、遊技場に会員登録した遊技者の個人情報を含む会員情報等を記憶する会員データサーバとしての機能を備えている。
【0020】
管理装置20は、液晶ディスプレイ等のPCモニタ20Mや図示しないプリンタ等を含む出力部と、各種の演算処理を実行する装置本体と、キーボード及び図示しないマウスを含む入力部と、を備えている。装置本体は、演算処理を実行するCPUを中心とした制御機能、ハードディスクドライブやROM・RAM等を利用する記憶機能、及び各種信号あるいは情報を送受信する通信機能等を有している。
【0021】
管理装置20は、例えばハードディスクドライブから読み出したソフトウェアプログラムをCPUが実行等することにより、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)会員登録データ記憶手段:遊技場に登録済み(仮登録を含む)の会員に関する情報を記憶する手段。会員登録データ記憶手段は、氏名や生年月日等の個人情報を含む会員情報、仮登録済みであることを示す情報(仮登録情報)、及び本登録済みであることを示す情報(本登録情報)に、会員記録媒体の一例である会員カード101のカードID(識別情報)を対応付けて(ヒモ付けて)会員登録データ(会員登録情報)として記憶している。なお、会員登録データの内容については、図7を参照して後で詳しく説明する。
(2)会員登録データ集計手段:会員登録データを集計して遊技場の会員登録状況を表す会員登録集計データを生成する手段。なお、会員登録集計データの内容については、図8を参照して後で詳しく説明する。
(3)会員登録集計データ記憶手段:会員登録集計データを記憶する手段。
(4)カード管理情報記憶手段:会員カード101あるいは一般カード102の識別情報であるカードIDを対応付けて、後述するカード種別、入金残高や持玉数等のカード管理情報を記憶する手段。
(5)カード認証手段:計数貸出ユニット3等の遊技用装置が受け付けた遊技カード10を認証する手段。カード認証手段は、計数貸出ユニット3等の遊技用装置が遊技カード10から読み出したカード記録情報を、カード管理情報記憶手段が記憶するカード管理情報と照合する。カード認証手段は、カード記録情報をカード管理情報と照合できたとき、遊技カード10の使用を許可する旨を表すカード許可情報をカード記録情報の送信元に返信する。このカード許可情報には、カード種別、入金残高、持玉数等のカード管理情報が含まれている。
(6)モード設定手段:入金残高を対応付ける対象として、会員カード101(会員記録媒体)及び一般カード102(一般記録媒体)の双方を許容する通常モード(第1モード)、及び会員カード101のみを許容する会員限定モード(第2モード)、の何れか一方を設定する手段。管理装置20では、PCモニタ20Mに表示される図示しないモード設定画面上の所定の設定切替操作により、特定の遊技機21の台番を指定でき、この遊技機21に付設された計数貸出ユニット3について通常モード又は会員限定モードを設定可能である。
【0022】
(計数貸出ユニット)
計数貸出ユニット3は、図1に示すごとく、各遊技機21に個別に対応するよう、隣り合う遊技機21との台間スペースに設置されている。パチンコ遊技機向けの図1の計数貸出ユニット3は、遊技用の玉の払出機能、遊技者が獲得した玉の計数機能、遊技カード10の受付機能などを備えている。
【0023】
図2及び図3のごとく、計数貸出ユニット3の前面には、状態表示部31、貸玉代金となる紙幣を投入する紙幣投入口32、入金残高や持玉数などを表示するタッチパネルディスプレイ33、持玉あるいは貯玉から玉を払戻させる払出ボタン34、遊技機21の上皿210に玉を供給する払出ノズル35、遊技カード10を挿入するカード挿入口36が設けられている。なお、貸与する玉(貸玉)の対価となる入金残高は、紙幣投入口32に投入された紙幣のうち貸玉の代金として消費されていない残りの金額であり、持玉数は、遊技を通じて当日に獲得され計数済みの玉の数量である。
【0024】
計数貸出ユニット3の最下部には、玉を計数する計数部37が設けられている。計数部37からは中空ダクト371が延設され、この中空ダクト371の先端側には、遊技機21の下皿212から流下した玉を受け止める計数受け皿372が取り付けられている。下皿212のスライドレバーを操作すると、下皿212から計数受け皿372に玉が流下し、中空ダクト371を経由して計数部37に供給される。
【0025】
カード挿入口36には、会員カード101や一般カード102等の遊技カード10を挿入可能である。上記の通り、会員カード101は、会員登録(仮登録を含む)した遊技者に発行される遊技カードである。一般カード102は、遊技終了時に入金残高あるいは持玉が残っているときに発行される遊技カードである。
【0026】
なお、計数貸出ユニット3に所定の動作を実行させるための操作ボタンとしては、対応する遊技機21に設置されたものがある。遊技機21が備える払出機構から貸玉を払い出させる貸出ボタン214、及び計数貸出ユニット3に遊技カード10を返却あるいは発行させるための返却ボタン215が、遊技機21の上皿210の外周縁部の上面に配置されている。
【0027】
計数貸出ユニット3は、図3のごとく、CPU301、ROM302、RAM303、I/O304等を備える制御部30を中心として電気的に構成されている。制御部30に対しては、上記の構成のほか、外部機器とのインターフェースをなすI/F部38、投入紙幣の種別等を検知する紙幣処理部321、タッチパネルディスプレイ33を構成する液晶表示部331及びタッチスクリーンシート332、カード挿入口36に挿入された遊技カード10を読み書きするカードリーダライタ362、新規発行用の一般カード102を最大10枚ストックするカードストック部363、貸玉等を払い出す払出部341、計数玉を計数する計数部37等が電気的に接続されている。
【0028】
カードリーダライタ362は、遊技カード10に記録されたカードID(識別情報)を読み取るカードID読取手段としての機能を実現する。
カードストック部363の一般カード102が無くなったときには計数貸出ユニット3がエラー状態となり、状態表示部31にその旨が表示される。その後、従業員によって一般カード102が補充されて計数貸出ユニット3が正常状態に復帰すると状態表示部31によるエラー表示が終了する。
【0029】
計数貸出ユニット3は、中継装置29を介して、対応する遊技機21及び遊技情報表示装置23と通信可能に接続されている。さらに、計数貸出ユニット3は、場内ネットワーク200に接続された中継装置29を介して管理装置20との間で各種情報のやり取りが可能である。
【0030】
計数貸出ユニット3は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)入金手段:各遊技機2に対応して設けられ、遊技者による入金を受け付ける手段。
(2)貸与処理手段:各遊技機2に対応して設けられ、入金手段が受け付けた入金額の範囲内で遊技価値の一例である玉を貸与するための貸与処理を実行する手段。
(3)入金残高処理手段:会員カード101(会員記録媒体)及び一般カード102(一般記録媒体)を受け付けることが可能で、受付中の会員カード101又は一般カード102に対して入金額の残高を示す入金残高を対応付けるための入金残高処理を実行する手段。
(4)モード設定手段:入金残高を対応付ける対象として、会員カード101(会員記録媒体)及び一般カード102(一般記録媒体)の双方を許容する通常モード(第1モード)、及び会員カード101のみを許容する会員限定モード(第2モード)、の何れか一方を設定する手段。なお、計数貸出ユニット3では、タッチパネルディスプレイ33上で予め定められたメンテナンスコードを入力すると、図示しないモード設定画面をタッチパネルディスプレイ33に表示でき、このモード設定画面上での所定の設定切替操作により通常モード及び会員限定モードのいずれかを設定可能である。
(5)カード受付手段:カード挿入口36に挿入された遊技カード10について、受付処理を実行する手段。カード受付手段は、遊技カード10に記録されたカードID、入金残高等のカード記録情報を中継装置29経由で管理装置20に送信する。カード受付手段は、管理装置20側から上記のカード許可情報を受信すると、遊技カード10を使用可能に受け付ける。
(6)カード処理手段:遊技カード10を使用して玉を貸与する貸与処理、あるいは玉を払戻する払戻処理を実行する手段。カード処理手段による貸与処理は、遊技カード10に記録された入金残高の範囲内で玉を貸与する処理である。カード処理手段による払戻処理は、遊技カード10に記録された持玉数、あるいは管理装置20から受信したカード許可情報に含まれる持玉数あるいは貯玉数の範囲内で玉を払い戻す処理である。
【0031】
(景品交換端末)
景品交換端末27(図1)は、一般カード102に記録された持玉数、あるいは会員カード101に対応して管理装置20が管理する持玉数・貯玉数、に基づいて景品交換処理を実行する端末である。本例の景品交換端末27には、遊技カード10を読み書きできると共にテンキーによる数字入力が可能なカードユニット275が外付けされている。
【0032】
景品交換端末27は、計数貸出ユニット3と同様、遊技カード10に記録されたカード記録情報を中継装置29経由で管理装置20に送信する。管理装置20側からカード許可情報を受信できたときに遊技カード10を使用可能に受け付け、この遊技カード10に記録された持玉数、あるいは管理装置20から受信したカード許可情報に含まれる持玉数や貯玉数等による景品交換を可能にする。
【0033】
なお、貯玉サービスを利用可能な本登録済みの会員カード101の場合、管理装置20側で管理している貯玉数が有れば、暗証番号の入力を条件に貯玉数を使用した景品交換が可能になる。この貯玉サービスは、本登録済みの会員カード101限定の会員サービスであり、仮登録のみの会員カード101では利用不可能である。このような本登録済みの会員限定のサービスは、本登録の動機付けとなっている。
【0034】
(カード登録機)
図4及び図5のカード登録機5は、未登録又は仮登録済みの会員カード101を読み込んで本登録の処理を実行する装置である。カード登録機5は、仮登録済みあるいは未登録の会員カード101からカードID(識別情報)を読み取った状態で所定の本登録移行操作がされたとき、会員カード101を本登録するための処理を実行する。
【0035】
カード登録機5は、会員登録を希望する遊技者が利用可能なように遊技場内の景品カウンタ等に複数台、設置されている。図4のごとく、奥行き方向に長い筐体の手前側の前面には、カード受付状態を表示する状態ランプ部51と、カード挿入口53と、が上下に配置されている。上面の奥側には、カラー表示が可能なタッチパネルディスプレイ55が斜め上方に面するように傾けて配設されている。
【0036】
カード登録機5は、図5のごとく、CPU521、ROM522、RAM523、I/O524等を備える制御部52を中心として電気的に構成されている。制御部52に対しては、I/F部531、カード挿入口53から挿入された会員カード101を読み書きするカードリーダライタ(カードRW)533、液晶表示部551、タッチスクリーンシート552、状態ランプ部51等が電気的に接続されている。本例のカード登録機5は、I/F部531を介して管理装置20と通信可能な状態で接続されている。
【0037】
(精算機)
精算機25(図1)は、一般カード102や会員カード101等の遊技カード10に記録された入金残高分の現金を遊技者に払い戻す装置である。精算機25は、遊技島の島端など遊技場内の通路に面して設置されている。精算機25の前面には、タッチ操作が可能なタッチパネルディスプレイ、テンキー等が配置された操作パネル、カード挿入口、紙幣払出口、硬貨払出口等が配置されている。なお、入金残高の払戻の際には、計数貸出ユニット3や景品交換端末27の場合と同様、管理装置20による遊技カード10の認証や、遊技カード10に記録された入金残高のチェック等が行われ、問題がなければ現金が払戻される。
【0038】
(タブレット端末)
図1のタブレット端末4は、会員の仮登録に必要な仮登録情報の入力に応じて未登録の会員カードを仮登録して発行するために従業員が携帯する通信端末である。タブレット端末4は、タッチ操作が可能なタッチパネルディスプレイ45を備えるほか、Wi−Fi通信機能を備えており、アクセスポイント201を介して管理装置20との間で無線によるデータ通信が可能である。
【0039】
タブレット端末4は、図6のごとく、CPU421、ROM422、RAM423、I/O424等を備える制御部42を中心として電気的に構成されている。制御部42に対しては、管理装置20とのデータ通信を可能とする無線通信部431、タッチパネルディスプレイ45を構成する液晶表示部451及びタッチスクリーンシート452、会員カード101に記録されたデータを読み取る非接触ICリーダ460等が接続されている。非接触ICリーダ460によるカード読取り面(図示略)は、タブレット端末4の背面に設けられている。
【0040】
タブレット端末4は、以下の各手段としての機能を備えている。
(1)会員情報入力手段:仮登録のために必要な会員情報を入力する手段。会員情報入力手段は、図示しない会員情報入力画面をスクリーンキーボードと共にタッチパネルディスプレイ45に表示し、指先等によるタッチ操作による入力を可能とする。
(2)仮登録情報送信手段:会員の仮登録に必要な仮登録情報を管理装置20に送信する手段。仮登録情報送信手段は、仮登録情報として、未登録の会員カードから読み取ったカードID(識別情報)と共に、上記の会員情報入力画面を利用して入力された会員情報を送信する。
(3)会員記録媒体発行手段:未登録の会員カード(会員記録媒体)に対して所定の会員情報を対応付ける会員登録処理を実行した上で会員カード101(会員記録媒体)を発行可能な手段。上記の仮登録情報送信手段による仮登録情報の送信後に、仮登録済みの会員カード101を発行可能になる。
【0041】
次に、以上のように構成された遊技用システム1の動作内容について説明する。まず、管理装置20が会員登録に関して管理するデータである(A)管理装置20の管理データ、について説明し、続いて(B)計数貸出ユニット3の動作、(C)会員登録の手順、を説明する。
【0042】
(A)管理装置20の管理データ
管理装置20は、各会員の会員登録データ(図7)を記憶し管理していると共に、会員登録の動向を表す会員登録集計データ(図8)を集計して管理している。
図7に例示の会員登録データでは、会員カード101のカードIDが会員を特定する会員No.として取り扱われている。そして、会員毎に、暗証番号、生年月日、氏名などの申込用紙の記入事項のほか、仮登録フラグ及び本登録フラグのフラグデータが記憶、管理されている。
【0043】
仮登録フラグは、上記の仮登録の履歴を表すフラグである。本登録フラグは、本登録の履歴を表すフラグである。管理装置20は、仮登録したときに仮登録フラグ(F)を記憶し、本登録したときに本登録フラグ(F)を記憶する。図7に例示の会員登録データによれば、例えば、会員No.(カードID)「00000001」の会員が、仮登録をしてから本登録へ移行していることがわかる。また例えば、会員No.「00000002」の会員については、仮登録をしてから未だ本登録をしていないことがわかる。本登録を済ませていないこの会員については、氏名などのデータが未登録となっている。さらに、例えば、会員No.「00000003」の会員は、仮登録を経由しないカード登録機5での新規登録により直接、本登録をしていることがわかる。
【0044】
また、管理装置20は、図8に例示する会員登録集計データを集計して管理している。この会員登録集計データを参照すれば、タブレット端末4を利用した仮登録の利用率など会員登録の動向等を精度高く把握できる。この会員登録集計データの各集計項目は、以下の通りである。
【0045】
・総登録件数=仮登録フラグ及び本登録フラグのうち少なくとも何れか一方が記憶された会員数。
・仮登録件数=仮登録フラグが記憶された会員数。
・本登録件数=本登録フラグが記憶された会員数。
・未移行件数=仮登録フラグが記憶されたが本登録フラグが記憶されていない会員数。
・直本登録件数=仮登録フラグが記憶されず本登録フラグのみが記憶された会員数。
・仮登録率=仮登録件数/総登録件数
・本登録移行率=(仮登録件数−未移行件数)/仮登録件数
・直本登録率=直本登録件数/総登録件数
【0046】
続いて、遊技用システム1における(B)計数貸出ユニット3の動作、及び(C)会員登録の手順、を説明する。(B)計数貸出ユニット3の動作については、(B1)通常モード下の基本動作、及び(B2)会員限定モード下の動作、に区分して説明する。(C)会員登録の手順については、(C1)仮登録経由の会員登録、(C2)カード登録機5での新規登録による会員登録、に分けて説明する。
【0047】
(B)計数貸出ユニット3の動作
遊技カード10の取り扱いに関する計数貸出ユニット3の動作は、運用モードが通常モードであるか会員限定モードであるかに応じて相違している。以下、通常モード下の計数貸出ユニット3の基本動作を説明した後、会員限定モード下の遊技カード10の取り扱いについて説明する。
【0048】
(B1)通常モード下の基本動作
計数貸出ユニット3は、紙幣投入口32に紙幣が投入されたとき、入金額を入金残高として記憶すると共に、貸与可能な度数(1度数:125玉)をタッチパネルディスプレイ33に表示し、貸玉の払出が可能な状態を設定する。
【0049】
遊技カード10がカード挿入口36に挿入された場合、計数貸出ユニット3は、カードIDなどのカード記録情報を読み出して中継装置29経由で管理装置20に送信し、カード許可情報の返信を待機する。そして、計数貸出ユニット3は、カード許可情報の受信に応じて、遊技カード10を使用可能に受け付ける。
【0050】
管理装置20が返信するカード許可情報には、上記の通り、「一般カード」、「本登録済みの会員カード」、「仮登録済みの会員カード」等のカード種別、入金残高、持玉数等のカード管理情報が含まれている。計数貸出ユニット3は、遊技カード10に対応する入金残高や持玉数等をタッチパネルディスプレイ33に表示し、貸与や払戻による玉の払出を可能にする。貯玉サービスを利用可能な本登録済みの会員カード101の場合には、暗証番号の入力を条件として貯玉数も表示する。
【0051】
なお、遊技カード10の挿入中では、状態表示部31に遊技カード10の種別や登録状態が表示される。具体的には、一般カード102、仮登録済みの会員カード101、及び本登録済みの会員カード101のうちのいずれであるかが状態表示部31に表示される。さらに、挿入された会員カード101が仮登録済みの状態の場合には、本登録を勧める旨のメッセージがタッチパネルディスプレイ33に表示される。
【0052】
入金残高に対応する貸与可能な度数が表示された状態で遊技機21側に設けられた貸出ボタン214が操作されると、計数貸出ユニット3は、1度数125玉ずつ貸玉が払出されるように遊技機21が備える払出機構を制御する。貸玉の払出が行われると、その代金が入金残高から差し引かれると共に、タッチパネルディスプレイ33の残りの貸与可能な度数表示が更新される。
【0053】
持玉数あるいは貯玉数が表示された状態では、払出ボタン34の操作に応じて持玉あるいは貯玉の中から玉を払戻させることができる。払出ボタン34の1回の操作に応じて、125玉を払戻させることができ、その払戻に応じてタッチパネルディスプレイ33に表示された持玉数あるいは貯玉数が減算更新される。なお、持玉数及び貯玉数の両方が表示された状態では、持玉が優先的に払戻される。
【0054】
計数貸出ユニット3は、遊技者が獲得した玉を計数可能である。遊技機21の下皿212のスライドレバーを操作し、下皿212の玉を計数受け皿372に流下させて計数部37に供給すると、計数貸出ユニット3が供給された玉を検知して計数を開始する。計数された玉数は持玉数に加算され、タッチパネルディスプレイ33の持玉数の表示が更新される。
【0055】
遊技を終了した後、遊技機21が備える返却ボタン215が操作されると、計数貸出ユニット3は、遊技カード10を返却あるいは新規発行する。遊技カード10を使用した遊技の場合には、返却ボタン215の操作に応じて、その時点の入金残高等を記録した遊技カード10を返却する。一方、遊技カード10を未挿入の遊技の場合には、返却ボタン215の操作に応じてカードストック部363から一般カード102を繰り出し、入金残高と持玉数を記録して新規に発行する。遊技カード10を返却あるいは発行する際には、入金残高や持玉数等のカード記録情報がカードIDと共に管理装置20に送信される。なお、返却ボタン215の操作時点の貯玉数については、遊技カード10には記録されず、カードIDを対応付けて管理装置20側で管理される。
【0056】
(B2)会員限定モード下の動作
上記のモード設定手段としての機能を備える管理装置20あるいは計数貸出ユニット3での設定切替操作により、計数貸出ユニット3の運用モードを上記の通常モードから会員限定モードに切替可能である。管理装置20では、モード設定画面上で切替対象の遊技機21の台番を指定することで、対応する計数貸出ユニット3の運用モードを切替可能である。また、計数貸出ユニット3では、上記の通り、メンテナンスコードを入力して表示できるモード設定画面を利用して運用モードを切替可能である。
【0057】
会員限定モードで運用中のとき、すなわち前記モード設定手段により会員限定モード(第2モード)が設定されているときは、前記入金残高処理手段としての計数貸出ユニット3は、一般カード102の使用を禁止し、会員カード101を受け付けた場合に限り入金残高処理を実行する。
【0058】
会員限定モードでは、返却ボタン215(図2)が操作されたとき、本登録済みあるいは仮登録済みの会員カード101が挿入済み(受付済み)であれば、計数貸出ユニット3は、その時点の入金残高を会員カード101に記録して返却する。なお、返却ボタン215の操作に応じた会員カード101の返却処理については、上述の(B1)通常モード下の基本動作の場合と同様である。
【0059】
本例の計数貸出ユニット3では、会員限定モードであっても紙幣を紙幣投入口32に投入して現金を対価として玉の貸与を受けて遊技を開始することが可能である。そのため、返却ボタン215が操作されたときに遊技カード10を未受付という状況が起こり得る。会員カード101を未受付の場合、返却ボタン215が操作されても入金残高処理は行われず、一般カード102は新規発行されない。タッチパネルディスプレイ33には、入金残高や持玉を取り出すためには会員カード101の挿入が必要である旨が表示される。
【0060】
会員カード101の挿入が必要である旨が表示された場合、本登録あるいは仮登録された会員カード101の挿入に応じて入金残高処理が実行され、入金残高等が記録された会員カード101の返却を受けることができる。一般カード102や未登録の会員カードが挿入された場合には、計数貸出ユニット3で受付処理が実行されず直ちに排出される。未登録の会員カードについては、従業員が携帯するタブレット端末4による仮登録を実行後に再度挿入することで、入金残高処理を実行できる。
【0061】
(C)会員登録の手順
会員登録の手順としては、(C1)仮登録経由の会員登録、(C2)カード登録機5での新規登録による会員登録、がある。
【0062】
(C1)仮登録経由の会員登録
仮登録は、従業員が携帯するタブレット端末4を利用する登録処理である。仮登録を希望する遊技者は、タブレット端末4を携帯すると共に未登録の会員カードを所持するフロア係の従業員に以下の仮登録処理を依頼すれば良い。
【0063】
タブレット端末4は、未登録の会員カードがカード読取面(図示略)に近接されるとその会員カードのカードIDを読み取り、タッチパネルディスプレイ45の表示を図示しない会員情報入力画面に切り替える。会員情報入力画面は、仮登録の必要事項(暗証番号、生年月日、性別、電話番号等)の入力画面である。
【0064】
ここで、仮登録の必要事項のうち、生年月日、性別、電話番号等については、遊技者に聞き取りした情報を従業員が入力すると良い。一方、暗証番号については、例えば、テンキー等が配置された図示しない暗証番号入力画面をタブレット端末4に表示させ、遊技者本人のタッチ操作により数字等を入力させると良い。必要事項の入力後に従業員がタブレット端末4上で所定の登録操作を行うと、タブレット端末4は、仮登録する会員カード101のカードIDと共に仮登録の必要事項(会員情報)を管理装置20に送信する。管理装置20は、カードIDを対応付けて(ヒモ付けて)、受信した会員情報(暗証番号、生年月日、性別等)を記憶することで仮登録(会員登録処理)を完了し、仮登録完了通知をタブレット端末4に返信する。
【0065】
従業員は、仮登録完了通知により仮登録の完了を確認後、仮登録済みの会員カード101を遊技者へ手渡すと良い。そのとき、本登録には所定の申込用紙の提出が必要であること、遊技場内の景品交換カウンタでその申込用紙を提出できること、等を遊技者に知らせて早期の本登録を促すと良い。
【0066】
本登録のための申込用紙は、景品交換カウンタ等に用意されている。仮会員の遊技者は、申込用紙に必要事項を記入し、仮登録済みの会員カード101と共に、景品交換カウンタの従業員に提出すれば良い。なお、申込用紙へ記入する事項としては、以下の事項がある。
(申込用紙の記入事項)
・暗証番号
・生年月日
・性別
・氏名
・職業
・住所
・電話番号
・好きな機種 など。
【0067】
景品交換カウンタの従業員は、仮登録を済ませた遊技者から記入済みの申込用紙を受け取ったとき、仮登録済みの会員カード101をカード登録機5へ挿入し、申込用紙の記入事項の入力操作を含む本登録移行操作を実施すれば良い。本登録移行操作を受け付けたカード登録機5は、挿入された会員カード101から読み取ったカードIDや氏名や住所等の入力事項と共に、本登録要求信号を管理装置20に向けて送信する。
【0068】
管理装置20側では、受信したカードIDに対応する会員登録データについて、氏名や住所等の入力事項の追加記憶が正常に完了できたとき、本登録完了通知を返信する。管理装置20側から本登録完了通知の返信を受けたカード登録機5は、挿入された会員カード101の本登録が完了し、遊技者に引渡し可能である旨を表示する。従業員は、この表示を確認し、本登録済みの会員カード101を遊技者へ手渡せば良い。
【0069】
(C2)カード登録機5での新規登録による会員登録
本登録のための申込用紙に記入して景品交換カウンタの従業員に提出すれば、仮登録を経由せずに新規登録による本会員登録が可能である。新規登録を希望する遊技者から記入済みの申込用紙を受け取った従業員は、未登録の会員カードをカード登録機5に挿入した上で、申込用紙に記入された暗証番号、生年月日、性別、氏名、住所等の事項を入力する。
【0070】
このような新規登録の操作を受け付けたカード登録機5は、管理装置20に対してカードIDと共に新規登録要求信号を送信する。管理装置20側では、新規登録要求信号と共に受信したカードIDに対応する会員登録データとして、氏名や住所等の事項を正常に記憶できたとき、新規登録完了通知を返信する。管理装置20から新規登録完了通知の返信を受けたカード登録機5は、挿入された会員カード101の新規登録が完了し、遊技者に引渡し可能である旨を表示する。従業員は、この表示を確認し、本登録済みの会員カード101を遊技者へ手渡すことができる。
【0071】
以上のように、遊技用システム1では、計数貸出ユニット3について、入金残高を対応付ける対象として会員カード101と一般カード102の双方が許容される通常モードと、会員カード101のみが許容される会員限定モードと、を選択的に設定できる。会員限定モードが設定されているときには、計数貸出ユニット3で会員カード101を受付している場合に限り入金残高処理を実行できる。
【0072】
本例の遊技用システム1では、会員限定モードを設定した場合、遊技者が入金残高を取り出すためには会員登録済みである必要があるため、実質的に会員のみに限定した営業形態を実現できる。一方、この遊技用システム1では、会員限定モードであっても計数貸出ユニット3に入金する時点では会員である必要が無いため、非会員であっても遊技を開始でき、遊技機の稼動率を大きく低下させてしまうおそれもない。このような非会員の遊技者については、遊技終了の際の入金残高の取り出しが会員登録の動機付けとなる。
【0073】
このように本例の遊技用システム1は、遊技機の稼動率を大きく低下させることなく、実質的に会員のみに限定した営業形態を実現することができる優れた特性のシステムである。
【0074】
本例の遊技用システム1は、未登録の会員カードに対して会員情報を対応付ける会員登録処理を実行した上で会員カード101を発行可能な会員記録媒体発行手段であって、従業員が携帯するタブレット端末4を含んで構成されている。会員記録媒体発行手段としてのタブレット端末4を利用すれば、会員登録を望む遊技者の元に従業員が出向いて仮登録を実施でき、遊技者は遊技機21の前に着席したままで仮登録済みの会員カード101を受け取ることができる。このように会員登録時に必要となる遊技者側の手間を低減することで、会員登録を促進できる。
【0075】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
本例では、会員カード101が未受付の状態であっても入金による遊技開始を可能とする会員限定モードを例示している。前記モード設定手段について、第1モードである通常モード、及び例示した会員限定モードと同様の第2モードである会員限定モードAの他に、会員カード101の受付中に限り入金を許容する第3モードである会員限定モードBを設定可能に構成することも良い。そして、この第3モードである会員限定モードBが設定されているときは、入金残高処理手段としての計数貸出ユニット3は、会員カード101が受け付けられていることを条件として入金を許容することも良い。会員限定モードBでは、非会員の遊技が完全に禁止されるので、非会員の遊技者については、遊技を行う前の時点で会員カード101の発行を受けることが必須要件となり、遊技前の会員登録手続を遊技者に動機付けできる。
【0076】
本例では、本登録の条件として、必要事項を記入した所定の申込用紙の提出を設定している。本登録の条件は、これに限定されるものではない。例えば、遊技者が自ら本登録の手続を行うための端末を遊技場内に持ち込み、その端末で必要事項が入力されたときに本登録を行うようにしても良い。仮登録済みの会員カード101を所持している遊技者は、その会員カード101のカードIDを上記の端末に読み取らせたうえで所定の手続を行うことで、仮登録から本登録へ移行できる。
【0077】
未登録の会員カードを挿入されたとき、計数貸出ユニット3で仮登録を実行できるように構成することも良い。例えば、未登録の会員カードが挿入されたとき、タッチパネルディスプレイ33に会員情報入力画面を切替表示し、入力された会員情報をカードIDと共に中継装置29経由で管理装置20に送信すると良い。管理装置20側でカードIDを対応付けて会員情報を記憶する処理が完了すれば、計数貸出ユニット3側では、挿入時点では未登録であった会員カード101を仮登録済みとして取扱いできるようになる。
【0078】
仮登録の会員と本登録の会員とで、享受できるサービスの内容に差異を設けることが望ましい。例えば、本登録の会員は貯玉を払い戻して再遊技に使用する貯玉サービスを利用できる一方で、仮登録の会員は貯玉サービスを利用できないように設定すると良い。このような設定、運用を行うことにより、本登録を動機付けでき、仮登録から本登録への移行率を高めることができる。
【0079】
従業員の識別情報である従業員IDを読み取り可能なようにタブレット端末4を構成することも良い。この場合には、氏名や住所や性別などの会員情報、仮登録済みであることを示す情報、本登録済みであることを示す情報、及び従業員IDを、会員カード101のカードIDと対応付けて記憶、管理するように管理装置20を構成すると良い。仮登録の作業を行った従業員の従業員IDを会員カード101のカードIDと対応付けて記憶、管理すれば、各従業員の仮登録の実施状況を把握することが可能となり、従業員の勤務評価に資することができる。
【0080】
仮登録する際に入力する会員情報の種類として、本例では、暗証番号、生年月日、性別を例示している。この組み合わせには限定されないが、少なくとも暗証番号は必要である。
一般カード102に持玉数を記録する構成を例示したが、識別情報であるカードIDのみを一般カード102に記録し、その識別情報に基づいて管理装置20が記憶している持玉数を特定するようにしても良い。
会員カード101に識別情報であるカードIDのほか入金残高を記録し、持玉数や貯玉数を記録しない構成を例示したが、持玉数及び貯玉数の少なくとも一方を会員カード101にも記録し、管理装置20側が記憶している持玉数・貯玉数と照合した上で景品交換するようにしても良い。
【0081】
記録媒体の形態として本例では会員カード101等を例示したが、カードに限定されずコイン形状等どのような形態であっても良い。
一般カード102に記録された入金残高は、本例では翌日以降も有効としたが、当日限り有効とし、翌日以降は使用できないようにしても良い。
また、会員カード101に有効期限を設けるようにしても良い。
【0082】
遊技機として、遊技に応じて遊技媒体である玉を払い出すパチンコ遊技機を例示している。遊技媒体である玉を払い出さず、ポイントを電子データとして加算記憶し、ポイントを消費して玉を発射する封入式遊技機であっても良い。また、遊技機は、パチンコ遊技機に限定されず、例えばパロット(登録商標)やスロットマシンであっても良い。スロットマシンとしては、メダルやコイン等を遊技媒体(遊技価値)として使用して遊技されるタイプであっても良いが、メダル等を使用せず遊技価値としてのポイントを使用して(賭けて)遊技でき、入賞したときにポイントが付与される、いわゆる完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。
【0083】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0084】
1 遊技用システム
10 遊技カード
101 会員カード(会員記録媒体)
102 一般カード(一般記録媒体)
20 管理装置(会員登録データ記憶手段、会員登録データ集計手段、会員登録集計データ記憶手段、カード管理情報記憶手段、カード認証手段、モード設定手段)
201 アクセスポイント(AP)
21 遊技機
23 遊技情報表示装置
25 精算機(遊技用装置)
27 景品交換端末(遊技用装置)
29 中継装置
3 計数貸出ユニット(遊技用装置、入金手段、貸与処理手段、入金残高処理手段、モード設定手段、カード受付手段、カード処理手段、カードID読取手段)
4 タブレット端末(会員情報入力手段、仮登録情報送信手段、会員記録媒体発行手段)
5 カード登録機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8