特許第6853750号(P6853750)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853750輝度制御装置、発光装置および輝度制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853750
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】輝度制御装置、発光装置および輝度制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3291 20160101AFI20210322BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20210322BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20210322BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20210322BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210322BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G09G3/3291
   G09G3/20 641P
   G09G3/20 611E
   G09G3/20 642E
   G09G3/20 612U
   G09G3/3233
   G09G3/20 611A
   G09G5/00 550H
   H05B33/14 A
   H01L27/32
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-155276(P2017-155276)
(22)【出願日】2017年8月10日
(65)【公開番号】特開2019-35794(P2019-35794A)
(43)【公開日】2019年3月7日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】514188173
【氏名又は名称】株式会社JOLED
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】礒部 鉄平
【審査官】 小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−099468(JP,A)
【文献】 特開2008−311977(JP,A)
【文献】 特開2009−181075(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2014−0089945(KR,A)
【文献】 特開2006−065148(JP,A)
【文献】 特開2011−107677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00−3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部を備え、
前記輝度制御部は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御し、
前記輝度制御部は、前記画像信号の輝度レベル、前記画像信号の電流レベル、または前記フレーム画像の動き量に基づいて、前記閾値を設定し、
前記輝度制御部は、前記画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、前記画素ごとに算出した複数の前記信号レベルのヒストグラムを算出し、前記閾値を超える複数の前記ヒストグラムのうち最大の信号レベルを前記最大値とする
輝度制御装置。
【請求項2】
前記輝度制御部は、前記画像信号に対してダウンコンバートを行うことにより得られた信号に基づいて、前記最大値を検出する
請求項1に記載の輝度制御装置。
【請求項3】
前記輝度制御部は、検出した前記最大値に対して急激な時間変動を抑える処理を行った上で、前記電位差を動的に制御する
請求項1または請求項のいずれか一項に記載の輝度制御装置。
【請求項4】
前記輝度制御部は、前記閾値を超えない複数の前記ヒストグラムのうち最大の信号レベルを第1の信号レベルとし、前記閾値を超える複数の前記ヒストグラムのうち最大の信号レベルを第2の信号レベルとしたとき、前記第1の信号レベルが前記第2の信号レベルよりも大きいときには、前記第1の信号レベルから前記第2の信号レベルを減じることにより得られる差分から補正ゲインを導出し、導出した前記補正ゲインを前記第2の信号レベルに掛けることにより得られた値を前記最大値とする
請求項に記載の輝度制御装置。
【請求項5】
前記輝度制御部は、検出した前記最大値に対して急激な時間変動を抑えるフィルタ処理を行う
請求項に記載の輝度制御装置。
【請求項6】
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部と
を備え、
前記輝度制御部は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御し、
前記輝度制御部は、前記画像信号の輝度レベル、前記画像信号の電流レベル、または前記フレーム画像の動き量に基づいて、前記閾値を設定し、
前記輝度制御部は、前記画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、前記画素ごとに算出した複数の前記信号レベルのヒストグラムを算出し、前記閾値を超える複数の前記ヒストグラムのうち最大の信号レベルを前記最大値とする
発光装置。
【請求項7】
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御方法であって、
フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御し、前記画像信号の輝度レベル、前記画像信号の電流レベル、または前記フレーム画像の動き量に基づいて、前記閾値を設定し、前記画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、前記画素ごとに算出した複数の前記信号レベルのヒストグラムを算出し、前記閾値を超える複数の前記ヒストグラムのうち最大の信号レベルを前記最大値とする
輝度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輝度制御装置、発光装置および輝度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置が開発され、商品化が進められている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−99468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記表示装置において、消費電力の増大を抑えるために電流を小さくした場合、発光輝度が低下してしまう。発光輝度の低下量によっては、表示品質に悪影響を及ぼす。従って、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることの可能な輝度制御装置、発光装置および輝度制御方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態の輝度制御装置は、画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部を備えている。輝度制御部は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した閾値を用いて検出された最大値に基づいて、自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する。輝度制御部は、画像信号の輝度レベル、画像信号の電流レベル、またはフレーム画像の動き量に基づいて、上記閾値を設定する。輝度制御部は、画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、画素ごとに算出した複数の信号レベルのヒストグラムを算出し、閾値を超える複数のヒストグラムのうち最大の信号レベルを最大値とする。
【0007】
本開示の実施形態の発光装置は、画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部と、画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部とを備えている。輝度制御部は、上記の輝度制御部と同一の構成要素を有している。
【0009】
本開示の一実施形態の輝度制御方法は、画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御方法である。この輝度制御方法は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した閾値を用いて検出された最大値に基づいて、自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御し、画像信号の輝度レベル、画像信号の電流レベル、またはフレーム画像の動き量に基づいて、上記閾値を設定し、画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、画素ごとに算出した複数の信号レベルのヒストグラムを算出し、閾値を超える複数のヒストグラムのうち最大の信号レベルを最大値とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態の輝度制御装置、発光装置および輝度制御方法によれば、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。なお、上記内容は本開示の一例である。本開示の効果は、上述したものに限らず、他の異なる効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施の形態に係る表示装置の概略構成例を表す図である。
図2図1の各画素の回路構成例を表す図である。
図3図1のコントローラの機能ブロック例を表す図である。
図4】(A)図3のダウンコンバータにおける処理の一例を表す図である。(B)図3のダウンコンバータにおける処理の他の例を表す図である。
図5図3のヒストグラム計測部によって生成されるヒストグラムの一例を表す図である。
図6】最大階調と電源電圧との関係の一例を表す図である。
図7図3のIIRフィルタの特性の一例を表す図である。
図8図3のIIRフィルタの特性の他の例を表す図である。
図9図3ゲイン調整部における処理の一例を表す図である。
図10】(A)図3の閾値算出部において用いられるACL連動ゲインの一例を表す図である。(B)図3の閾値算出部において用いられるALL連動ゲインの一例を表す図である。(C)図3の閾値算出部において用いられる動き量連動ゲインの一例を表す図である。
図11図3のヒストグラム計測部によって生成されるヒストグラムの一例を表す図である。
図12図3のヒストグラム計測部における処理手順の一例を表す図である。
図13図3のヒストグラム計測部において用いられる補正ゲインの一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.変形例
【0014】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置1の断面構成の一例を表したものである。表示装置1は、例えば、表示パネル10、コントローラ20、ドライバ30、電源回路40および検出部50を備えている。表示装置1は、本開示の「発光装置」の一具体例に相当する。コントローラ20は、本開示の「輝度制御部」の一具体例に相当する。ドライバ30は、例えば、表示パネル10の外縁部分に実装されている。コントローラ20および電源回路40は、例えば、FPC(Flexible printed circuits)を介して表示パネル10と連結された基板上に実装されている。
【0015】
表示パネル10は、行列状に配置された複数の画素11を含む画素アレイ部10Aを有している。コントローラ20およびドライバ30は、外部から入力された画像信号Dinおよび同期信号Tinに基づいて、表示パネル10(複数の画素11)を駆動する。電源回路40は、ドライバ30および表示パネル10に所定の電圧を供給する。
【0016】
(表示パネル10)
表示パネル10は、コントローラ20およびドライバ20によって各画素11がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された画像信号Dinおよび同期信号Tinに基づく画像を表示する。表示パネル10は、例えば、行方向に延在する複数の走査線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTL、複数の電源線DSLおよび複数のカソード線CTLと、行列状に配置された複数の画素11とを有している。なお、複数のカソード線CTLの代わりに、画素アレイ部10A全体に形成されたカソードシートが設けられていてもよい。この場合、以下の説明において、カソード線CTLをカソードシートに読み替えるものとする。
【0017】
走査線WSLは、各画素11の選択に用いられるものであり、各画素11を所定の単位(例えば画素行)ごとに選択する選択パルスPwを各画素11に供給するためのものである。信号線DTLは、画像信号Dinに基づいた信号電圧Vsigの、各画素11への供給に用いられるものである。各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端に接続されている。各画素列には、例えば、複数の信号線DTLが1本ずつ、割り当てられている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の走査線WSLが1本ずつ、割り当てられている。
【0018】
電源線DSLおよびカソード線CTLは、電源回路40から出力される電源電圧Vcc(第1電圧)およびカソード電圧Vcath(第2電圧)の、画素11(具体的には後述の有機電界発光素子11B)への供給に用いられるものであり、電源電圧Vccおよびカソード電圧Vcathを各画素11(後述の有機電界発光素子11B)に供給するためのものである。各電源線DSLおよび各カソード線CTLは、電源回路40の出力端に接続されている。
【0019】
画素アレイ部10Aに設けられた複数の画素11は、例えば、赤色光を発する複数の画素11、緑色光を発する複数の画素11および青色光を発する複数の画素11で構成されている。なお、複数の画素11は、例えば、さらに、他の色(例えば、白色や、黄色など)を発する複数の画素11を含んで構成されていてもよい。
【0020】
各画素11は、例えば、画素回路11Aと、電流駆動型の自発光素子である有機電界発光素子11Bとを有している。
【0021】
画素回路11Aは、有機電界発光素子11Bの発光・消光を制御する。画素回路11Aは、後述の書込走査によって各画素11に書き込んだ電圧を保持する機能を有している。画素回路11Aは、例えば、駆動トランジスタTr1、書込トランジスタTr2および保持容量Csを含んで構成されている。
【0022】
書込トランジスタTr2は、駆動トランジスタTr1のゲートに対する、画像信号Dinに対応した信号電圧Vsigの印加を制御する。具体的には、書込トランジスタTr2は、信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに、サンプリングにより得られた電圧を駆動トランジスタTr1のゲートに書き込む。書込トランジスタTr2は、信号線DTLの電圧(信号電圧Vsig)をサンプリングすることにより、信号電圧Vsigを波高値とするデータパルスPdを生成し、生成したデータパルスPdを駆動トランジスタTr1のゲートに印加する。
【0023】
駆動トランジスタTr1は、有機電界発光素子11Bに直列に接続されている。駆動トランジスタTr1は、有機電界発光素子11Bを駆動する。駆動トランジスタTr1は、書込トランジスタTr2によってサンプリングされた電圧の大きさに応じて有機電界発光素子11Bに流れる電流(駆動電流)を制御する。保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。保持容量Csは、所定の期間中に駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に保持する役割を有する。なお、画素回路11Aは、上述の2Tr1Cの回路に対して各種容量やトランジスタを付加した回路構成となっていてもよいし、上述の2Tr1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
【0024】
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端と、書込トランジスタTr2のソースまたはドレインとに接続されている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端と、書込トランジスタTr2のゲートとに接続されている。各電源線DSLは、電源回路40の出力端と、駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインに接続されている。各カソード線CTLは、電源回路40の出力端と、有機電界発光素子11Bのカソードに接続されている。
【0025】
書込トランジスタTr2のゲートは、走査線WSLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機電界発光素子11Bのアノードに接続されている。保持容量Csの一端が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。保持容量Csの他端が駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち有機電界発光素子11B側の端子に接続されている。有機電界発光素子11Bのカソードがカソード線CTLに接続されている。
【0026】
(ドライバ30)
ドライバ30は、例えば、水平セレクタ31およびライトスキャナ32を有している。水平セレクタ31は、例えば、コントローラ20から入力された制御信号に応じて、アナログの信号電圧Vsigを、各信号線DTLに印加する。ライトスキャナ32は、例えば、コントローラ20から入力された制御信号に応じて、アナログの選択パルスPwを各走査線WSLに印加する。水平セレクタ31およびライトスキャナ32は、信号電圧Vsigを、各信号線DTLを介して書込トランジスタTr2のソースまたはドレインに印加するとともに、選択パルスPwを、走査線WSLを介して書込トランジスタTr2のゲートに印加することにより、信号電圧Vsigを波高値とするデータパルスを駆動トランジスタTr1のゲートに書き込む。
【0027】
(電源回路40)
電源回路40は、電源電圧Vccおよびカソード電圧Vcathを各画素に供給する。電源回路40は、電位差ΔV(=Vcc−Vcath)を各画素に印加する。具体的には、電源回路40は、電位差ΔV(=Vcc−Vcath)を、各画素における、駆動トランジスタTr1および有機電界発光素子11Bを含む電流経路Piに印加する。電源回路40は、例えば、電源電圧Vccを電源線DSLに出力する電圧源40A(第1電圧源)と、カソード電圧Vcathをカソード線CTLに出力する電圧源40B(第2電圧源)とを有している。電圧源40Aおよび電圧源40Bの少なくとも一方が、コントローラ20から入力された制御信号に応じて、電圧値を変化させることができるようになっている。
【0028】
(検出部50)
検出部50は、表示装置1に表示される画像や、表示装置1から出力される音声などを視聴するユーザの視線(視聴視線)、および、ユーザと表示装置1との距離(視聴距離E2)のうち少なくとも一方を検出する。検出部50は、さらに、検出した視聴視線に基づいて、フレーム画像中の視聴視線の位置座標(視線位置E1)を導出する。視線位置E1は、例えば、フレーム画像と同様に画素11ごとにデータが付与された画像データとなっており、例えば、位置座標に対応する画素11に対して1が付与され、それ以外の画素11に対して0が付与された画像データとなっている。
【0029】
(コントローラ20)
次に、コントローラ20について説明する。図3は、コントローラ20の機能ブロックの一例を表したものである。コントローラ20は、画素アレイ部10Aの発光輝度を制御する。コントローラ20は、フレーム画像に対応する画像信号Dinに基づいて、画像信号Dinの信号レベルの最大値Cmaxを検出するための閾値nthを設定する。コントローラ20は、さらに、設定した閾値nthを用いて検出された最大値Cmaxに基づいて、有機電界発光素子11Bのアノード側の電圧源40Aから出力される電源電圧Vccと、有機電界発光素子11Bのカソード側の電圧源40Bから出力されるカソード電圧Vcathとの電位差ΔVを動的に制御する。
【0030】
コントローラ20は、例えば、画像信号補正部21、ダウンコンバータ22、ヒストグラム計測部23、最大値検出部24、電圧算出部25、IIRフィルタ26,27、LPF28、ゲイン調整部29、閾値算出部33およびタイミング生成部34を有している。
【0031】
画像信号補正部21は、例えば、外部から入力されたデジタルの画像信号Dinに対して所定の画像処理を行い、それにより得られた画像信号Doutをドライバ(具体的には水平セレクタ31)に出力する。画像信号補正部21は、例えば、画像信号Dinを全色の組み合わせごとにまとめて所定の信号に変換してもよい。タイミング生成部34は、同期信号Tinに基づいて、制御信号Tctlを生成し、ドライバ30(具体的には水平セレクタ31およびライトスキャナ32)に出力する。
【0032】
ダウンコンバータ22は、例えば、画像信号Doutに対してダウンコンバート処理と、空間の高周波変動を除去するLPF処理を行い、それにより映像信号Daを生成する。画像信号Doutが、例えば、図4(A)の左端に記載の画像データのように、高階調の画素が多数、分散した画像データとなっている場合、ダウンコンバータ22は、例えば、画像信号Doutに対してダウンコンバート処理と、空間の高周波変動を除去するLPF処理を行うことにより、高階調だった領域の信号レベルが低下した画像信号Da(例えば、図4(A)の中央の画像データ)を生成する。画像信号Doutが、例えば、図4(B)の左端に記載の画像データのように、高階調の画素が多数、密集した画像データとなっている場合、ダウンコンバータ22は、例えば、画像信号Doutに対してダウンコンバート処理と、空間の高周波変動を除去するLPF処理を行うことにより、高階調だった領域の信号レベルの低下量の少ない画像信号Da(例えば、図4(B)の中央の画像データ)を生成する。ダウンコンバータ22は、例えば、生成した画像信号Daをヒストグラム計測部23に出力する。
【0033】
ヒストグラム計測部23は、画像信号Daの信号レベルを画素11ごとに算出し、画素11ごとに算出した複数の信号レベルのヒストグラムを算出する。ヒストグラム計測部23は、例えば、図4(A)および図4(B)の右端に示したような概念のヒストグラム、または、図5に示したような概念のヒストグラムを算出する。図5において、横軸は、階調である。図5において、縦軸は、全階調を複数の領域で分割し、分割した領域ごとに割り振られた画素11の数(画素数n)を1.0で正規化した値(ヒストグラムHd)である。ヒストグラム計測部23は、例えば、算出したヒストグラムを最大値検出部24に出力する。
【0034】
最大値検出部24は、ヒストグラム計測部23で算出したヒストグラムHdと、閾値nthとを対比することにより、最大値Cmaxを検出する。つまり、閾値nthは、画像信号Dの信号レベルの最大値を検出するためのものであり、例えば、後述の閾値算出部33によって値が設定される変数である。最大値検出部24は、例えば、閾値nthの初期値を有しており、この初期値に対して、閾値算出部33から入力されたゲインを乗算することにより、閾値nthの値を変更する。最大値検出部24は、例えば、閾値nthを超える複数のヒストグラムHdのうち、階調の最も大きな領域(例えば、図5のグレーの棒グラフ)に含まれる最大の階調を、最大階調Cmaxとして抽出する。最大値検出部24は、抽出した最大階調Cmaxに対応する電源電圧Vccを導出する。電圧算出部25は、例えば、図6に示したような概念を有するテーブルもしくは関数をメモリに記憶しており、そのメモリから読み出したテーブルもしくは関数と、抽出した最大階調Cmaxとを用いて、抽出した最大階調Cmaxに対応する電源電圧Vccを導出する。図6には、最大階調Cmaxと、電源電圧Vccとの関係の一例が示されている。電圧算出部25は、導出した電源電圧Vccの値となるように電源回路40を制御する制御信号を生成し、IIRフィルタ25に出力する。
【0035】
IIRフィルタ26は、検出した最大階調Cmaxに対して急激な時間変動を抑える処理を行う。IIRフィルタ26は、具体的には、検出した最大階調Cmaxに対して急激な時間変動を抑えるフィルタ処理を行う。IIRフィルタ26は、例えば、電圧算出部25で導出された制御信号に対して、制御信号の時間的に急激な変化を緩和するフィルタである。IIRフィルタ26は、制御信号に対応する電源電圧Vccの値が急激に大きくなった場合、例えば、図7に示したように、電源電圧Vccの急激な増大を緩やかにする。また、IIRフィルタ26は、制御信号に対応する電源電圧Vccの値が急激に小さくなった場合、例えば、図8に示したように、電源電圧Vccの急激な減少を緩やかにする。
【0036】
IIRフィルタ27は、検出部50で得られた視線位置E1に対して急激な時間変動を抑える処理を行う。IIRフィルタ27は、具体的には、検出部50で得られた視線位置E1に対して急激な時間変動を抑えるフィルタ処理を行う。IIRフィルタ27は、視線位置E1の値が急激に大きくなった場合、例えば、視線位置E1の急激な増大を緩やかにする。また、IIRフィルタ27は、視線位置E1の値が急激に小さくなった場合、例えば、視線位置E1の急激な減少を緩やかにする。LPF28は、例えば、IIRフィルタ27を通過した信号(視線位置E1)に対して、空間の高周波変動を除去するLPF処理を行う。
【0037】
ゲイン調整部29は、視線位置E1に対してLPF処理を行うことにより得られた信号(視線位置E1)に対して、感度調整ゲインG1およびG2のうち少なくとも一方を掛けることにより、視線位置E1のデータを補正する。ゲイン調整部29は、例えば、図9の左下の枠内に記載の感度調整ゲインG1およびG2のうち少なくとも一方を、視線位置E1に対して掛けることにより、視線位置E1のデータを補正する。感度調整ゲインG1は、例えば、フレーム画像内において、視聴視線からの距離が遠くなるにつれて感度が下がるゲインとなっている。感度調整ゲインG2は、例えば、視聴距離E2が近いときや遠いときに感度が下がり、視聴距離E2が適度な距離の範囲にあるときに感度が高くなるゲインとなっている。ゲイン調整部29は、視線位置E1に対してLPF処理を行うことにより得られた信号(視線位置E1)に対して、感度調整ゲインG1およびG2のうち少なくとも一方を掛けることにより、例えば、図9の右下に示したような画像データを生成し、生成した画像データを、視聴者由来のゲインデータとしてヒストグラム計測部23に出力する。
【0038】
ヒストグラム計測部23は、視線位置E1に対してLPF処理を行うことにより得られた信号(所定の処理後の視線位置E1)に基づいて、画像信号Daの信号レベルのヒストグラムの分布を補正する。ヒストグラム計測部23は、例えば、所定の処理後の視線位置E1、または、視聴距離E2に基づいて、画像信号Daの信号レベルのヒストグラムの分布を補正する。ヒストグラム計測部23は、さらに、補正後の画像信号Daの信号レベルを画素11ごとに算出し、画素11ごとに算出した複数の信号レベルのヒストグラムを算出する。このように、ヒストグラム計測部23は、所定の処理後の視線位置E1、または、視聴距離E2を用いた補正処理により、フレーム画像のうち、ユーザの気にならない箇所における信号レベルを下げることができる。例えば、上記補正処理を行っていない図4(B)の右端に示したヒストグラムと、上記補正処理を行った図9の右端に示したヒストグラムとを対比すると、上記補正処理を行った図9の右端に示したヒストグラムの高信号レベルにおいて、ヒストグラムHdが小さくなり、閾値nthを下回っていることがわかる。このように、上記補正処理を行うことにより、最大階調Cmaxの値を低い値に変位させることが可能となることがわかる。
【0039】
閾値算出部33は、画像信号Doutの平均輝度レベルL1、画像信号Doutの平均電流レベルL2、またはフレーム画像の動き量Mに基づいて、閾値nthを設定する。閾値算出部33は、例えば、図10(A)に示したようなACL(Average Current Level
)連動ゲインG3、図10(B)に示したようなALL(Average Luminance Level)連
動ゲインG4、および、図10(C)に示したような動き量連動ゲインG5をメモリに記憶している。図10(A)に示したACL連動ゲインG3では、ACLが大きくなるにつれてゲインが大きくなる。図10(B)に示したALL連動ゲインG4では、ALLが大きくなるにつれてゲインが大きくなる。図10(C)に示した動き量連動ゲインG5では、動き量Mが少なくなるにつれてゲインが小さくなる。
【0040】
閾値算出部33は、例えば、そのメモリに記憶したACL連動ゲインG3を用いて、閾値nthを補正するためのACL連動ゲインG3の値を導出する。閾値算出部33は、例えば、画像信号Doutから平均電流レベルL2を導出し、導出した平均電流レベルL2に応じたACL連動ゲインG3の値を導出する。また、閾値算出部33は、例えば、そのメモリに記憶したALL連動ゲインG4を用いて、閾値nthを補正するためのALL連動ゲインG4の値を導出する。閾値算出部33は、例えば、画像信号Doutから平均輝度レベルL1を導出し、導出した平均輝度レベルL1に応じたALL連動ゲインG4の値を導出する。また、閾値算出部33は、例えば、そのメモリに記憶した動き量連動ゲインG5を用いて、閾値nthを補正するための動き量連動ゲインG5の値を導出する。閾値算出部33は、例えば、画像信号Doutから動き量Mを導出し、導出した動き量Mに応じた動き量連動ゲインG5の値を導出する。最大値検出部24は、例えば、閾値算出部33で導出されたACL連動ゲインG3、ALL連動ゲインG4および動き量連動ゲインG5のうち、少なくとも1つのゲインを、閾値nthの初期値に乗算することにより、閾値nthの値を変更する。
【0041】
[効果]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の効果について説明する。
【0042】
自発光素子を画素ごとに備えた表示装置において、消費電力の増大を抑えるために電流を小さくした場合、発光輝度が低下してしまう。発光輝度の低下量によっては、表示品質に悪影響を及ぼす。
【0043】
一方、本実施の形態では、画像信号Dout(または画像信号Da)に基づいて、画像信号Dout(または画像信号Da)の信号レベルの最大値(最大階調Cmax)を検出するための閾値nthが設定され、設定された閾値nthを用いて検出された最大値(最大階調Cmax)に基づいて、有機電界発光素子11Bのアノード側の電圧源40Aから出力される電源電圧Vccと、有機電界発光素子11Bのカソード側の電圧源40Bから出力されるカソード電圧Vcathとの電位差ΔVが動的に制御される。これにより、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、視聴者の視線位置E1または視聴距離E2に基づいて、画像信号Dout(または画像信号Da)の信号レベルのヒストグラムの分布が補正され、補正されたヒストグラムの分布に基づいて検出した、画像信号Dout(または画像信号Da)の信号レベルの最大値(最大階調Cmax)に基づいて、有機電界発光素子11Bのアノード側の電圧源40Aから出力される電源電圧Vccと、有機電界発光素子11Bのカソード側の電圧源40Bから出力されるカソード電圧Vcathとの電位差ΔVが動的に制御される。これにより、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、画像信号Doutの平均輝度レベルL1、画像信号Dinの平均電流レベルL2、またはフレーム画像の動き量Mに基づいて、閾値nthが設定される。これにより、閾値nthを適正な値に変更することができるので、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、画像信号Doutに対してダウンコンバート処理およびLPF処理を行うことにより得られた信号に基づいて、閾値nthが設定される。これにより、例えば、面積の小さな、視聴者に気が付かれ難い領域の輝度を効果的に下げることができる。従って、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、画像信号Dinの信号レベルが画素11ごとに算出され、画素11ごとに算出され複数の信号レベルのヒストグラムが算出され、算出されたヒストグラムと、閾値nthとが対比されることにより、最大値(最大階調Cmax)が検出される。これにより、最大値(最大階調Cmax)を精度よく検出することができるので、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、検出した最大値(最大階調Cmax)に対して急激な時間変動を抑える処理が行われた上で、電位差ΔVが動的に制御される。例えば、検出した最大値(最大階調Cmax)に対して急激な時間変動を抑えるフィルタ処理が行われる。これにより、有機電界発光素子11Bに流れる電流が急激に変動するのを抑えることができるので、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、視線位置E1に対してLPF処理を行うことにより得られた信号(所定の処理後の視線位置E1)に基づいて、画像信号Daの信号レベルのヒストグラムの分布が補正される。これにより、例えば、視聴者に気が付かれ難い領域の輝度を効果的に下げることができる。従って、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0050】
<2.変形例>
次に、上記実施の形態に係る表示装置1の変形例について説明する。
【0051】
図11は、ヒストグラム計測部23によって生成されるヒストグラムの一例を表したものである。図11に示したように、ある階調において、最大値(最大階調Cmax)が検出されたヒストグラムよりも高レベルのヒストグラムが閾値nthを経時的に上回ったり下回ったりすることに起因して、検出した最大値(最大階調Cmax)が経時的に2値(例えば、Cmax1およびCmax2)の間をスイッチすることがある。このような現象が生じた場合、表示品質への悪影響が生じ得る。そこで、本変形例では、ヒストグラム計測部23は、そのようなスイッチ動作の発生を抑制するための処理を行う。ヒストグラム計測部23は、検出した最大値(最大階調Cmax)よりも高レベルの階調におけるヒストグラムが閾値nthの近傍にある場合には、検出した最大値(最大階調Cmax)を、上記の高レベルの階調を超えない範囲内で大きな値に補正する。
【0052】
図12は、本変形例に係るヒストグラム計測部23における処理手順の一例を表したものである。ヒストグラム計測部23は、まず、ヒストグラムHdが0よりも大きく、かつ閾値nth以下の領域を検出する(ステップS101)。次に、ヒストグラム計測部23は、ステップS101で検出した領域の最大値(最大階調Cmax1)を検出する(ステップS102)。次に、ヒストグラム計測部23は、ヒストグラムHdが閾値nthよりも大きい領域を検出する(ステップS103)。次に、ヒストグラム計測部23は、ステップS103で検出した領域の最大値(最大階調Cmax2)を検出する(ステップS104)。
【0053】
次に、ヒストグラム計測部23は、最大階調Cmax1−最大階調Cmax2を算出し(ステップS105)、補正ゲインG6を算出する(ステップS106)。補正ゲインG6は、例えば、図13に示したような差分(最大階調Cmax1−最大階調Cmax2)と、ゲインとの関係を表したものである。図13に示した補正ゲインG6では、差分(最大階調Cmax1−最大階調Cmax2)が大きくなるにつれて、ゲインが大きくなる。ヒストグラム計測部23は、差分(最大階調Cmax1−最大階調Cmax2)から、補正ゲインC6を導出し、導出した補正ゲインC6を、最大階調Cmax2に掛けることによりえられた値を、最大階調Cmaxとする(ステップS107)。
【0054】
このようにして、最大階調Cmaxを補正することにより、ある階調において、最大値(最大階調Cmax)が検出されたヒストグラムよりも高レベルのヒストグラムが閾値nthを経時的に上回ったり下回ったりすることに起因して、検出した最大値(最大階調Cmax)が経時的に2値(例えば、Cmax1およびCmax2)の間をスイッチするのを抑制することができる。従って、消費電力の増大を抑えつつ、表示品質への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0055】
以上、実施の形態および適用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0056】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部を備え、
前記輝度制御部は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
輝度制御装置。
(2)
前記輝度制御部は、前記画像信号の輝度レベル、前記画像信号の電流レベル、または前記フレーム画像の動き量に基づいて、前記閾値を設定する
(1)に記載の輝度制御装置。
(3)
前記輝度制御部は、前記画像信号に対してダウンコンバートを行うことにより得られた信号に基づいて、前記最大値を検出する
(1)または(2)に記載の輝度制御装置。
(4)
前記輝度制御部は、前記画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、前記画素ごとに算出した複数の前記信号レベルのヒストグラムを算出し、算出したヒストグラムと、前記閾値とを対比することにより、前記最大値を検出する
(1)から(3)のいずれか一項に記載の輝度制御装置。
(5)
前記輝度制御部は、検出した前記最大値に対して急激な時間変動を抑える処理を行った上で、前記電位差を動的に制御する
(1)から(4)のいずれか一項に記載の輝度制御装置。
(6)
前記輝度制御部は、検出した前記最大値よりも高レベルの階調におけるヒストグラムが前記閾値の近傍にある場合には、検出した前記最大値を、前記高レベルの階調を超えない範囲内で大きな値に補正する
(5)に記載の輝度制御装置。
(7)
前記輝度制御部は、検出した前記最大値に対して急激な時間変動を抑えるフィルタ処理を行う
(5)に記載の輝度制御装置。
(8)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部を備え、
前記輝度制御部は、視聴者の視線位置または視聴距離に基づいて、フレーム画像に対応する画像信号の信号レベルのヒストグラムの分布を補正し、補正した前記ヒストグラムの分布に基づいて検出した、前記画像信号の信号レベルの最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
輝度制御装置。
(9)
前記輝度制御部は、前記フレーム画像における前記視線位置についてのデータに対してLPF処理を行うことにより得られた信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルのヒストグラムの分布を補正する
(8)に記載の輝度制御装置。
(10)
前記輝度制御部は、前記画像信号の信号レベルを画素ごとに算出し、前記画素ごとに算出した複数の前記信号レベルのヒストグラムを算出し、算出したヒストグラムの分布を、前記視線位置または前記視聴距離に基づいて補正する
(8)または(9)に記載の輝度制御装置。
(11)
前記輝度制御部は、検出した前記最大値に対して急激な時間変動を抑える処理を行った上で、前記電位差を動的に制御する
(8)から(10)のいずれか一項に記載の輝度制御装置。
(12)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部と
を備え、
前記輝度制御部は、フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
発光装置。
(13)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部と、
前記画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御部と
を備え、
前記輝度制御部は、視聴者の視線位置または視聴距離に基づいて、フレーム画像に対応する画像信号の信号レベルのヒストグラムの分布を補正し、補正した前記ヒストグラムの分布に基づいて検出した、前記画像信号の信号レベルの最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
発光装置。
(14)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御方法であって、
フレーム画像に対応する画像信号に基づいて、前記画像信号の信号レベルの最大値を検出するための閾値を設定し、設定した前記閾値を用いて検出された前記最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
輝度制御方法。
(15)
画素ごとに電流駆動型の自発光素子を有する画素アレイ部の発光輝度を制御する輝度制御方法であって、
視聴者の視線位置または視聴距離に基づいて、フレーム画像に対応する画像信号の信号レベルのヒストグラムの分布を補正し、補正した前記ヒストグラムの分布に基づいて検出した、前記画像信号の信号レベルの最大値に基づいて、前記自発光素子のアノード側の第1電圧源から出力される第1電圧と、前記自発光素子のカソード側の第2電圧源から出力される第2電圧との電位差を動的に制御する
輝度制御方法。
【符号の説明】
【0057】
1…表示装置、10…表示パネル、10A…画素アレイ部、11…画素、11A…画素回路、11B…有機電界発光素子、20…コントローラ、21…画像信号補正部、22…ダウンコンバータ、23…ヒストグラム計測部、24…最大値検出部、25…電圧算出部、26,27…IIRフィルタ、27…LPF、29…ゲイン調整部、30…ドライバ、31…水平セレクタ、32…ライトスキャナ、33…閾値算出部、34…タイミング生成部、40…電源回路、40A,40B…電圧源、50…検出部、ACL…平均電流レベル、ALL…平均輝度レベル、Cmax,Cmax1,Cmax2…最大階調、Cs…保持容量、CTL…カソード線、Din,Dout…映像信号、DSL…電源線、DTL…信号線、E1…視聴視線、E2…視聴距離、Fi…視線位置、G1,G2…感度調整ゲイン、G3…ACL連動ゲイン、G4…ALL連動ゲイン、G5…動き量連動ゲイン、G6…補正ゲイン、Hd…ヒストグラム、L1…距離、L2…視聴距離、M…動き量、nth…閾値、Pd…データパルス、Pw…選択パルス、Pi…電流経路、Tctl…制御信号、Tin…同期信号、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…選択トランジスタ、Vcc…電源電圧、Vcath…カソード電圧、Vgs…ゲート−ソース間電圧、Vsig…信号電圧、WSL…選択線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13