特許第6853757号(P6853757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853757積層造形された物体の表面を処理するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853757
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】積層造形された物体の表面を処理するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/379 20170101AFI20210322BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20210322BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20210322BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20210322BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20210322BHJP
   B29C 64/30 20170101ALI20210322BHJP
【FI】
   B29C64/379
   B33Y30/00
   B33Y40/20
   B29C64/393
   B33Y50/02
   B29C64/30
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-177405(P2017-177405)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-62169(P2018-62169A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2020年9月10日
(31)【優先権主張番号】15/290,674
(32)【優先日】2016年10月11日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロン・イー・ドュフォート
(72)【発明者】
【氏名】リン・シー・フーヴァー
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/077731(WO,A1)
【文献】 特表2010−515606(JP,A)
【文献】 特開2004−029599(JP,A)
【文献】 米国特許第05234636(US,A)
【文献】 特開平02−024122(JP,A)
【文献】 実開平02−080430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形された物体の表面を処理するための方法において、
積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、
前記ハウジング内の前記積層造形された物体の処理プロセス及び材料結合の種類を特定するユーザインターフェースからコントローラによってデータを受け取ることと、
前記積層造形された物体を容器内に下降させた後、前記容器内の第1の流体材料へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の前記第1の流体材料から上昇させるようにアクチュエータを前記コントローラによって動作させることと、
前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を接着し前記積層造形された物体にコーティングを形成するようにUV放射装置を前記コントローラによって動作させることと、
積層造形された物体の形状データを前記コントローラにダウンロードすることと、
前記積層造形された物体の別の表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する前記積層造形された物体の少なくとも1つの表面を前記コントローラによって特定することであって、前記表面の特定は、前記コントローラにダウンロードされた前記積層造形された物体の形状データを参照して行われる、特定することと、
前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に第2の流体材料の液滴を向けるように第2の流体材料源に動作可能に接続された噴霧器を前記コントローラによって動作させることと、
前記噴霧器により向けられた前記第2の流体材料の前記液滴を前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティングに接着するように前記UV放射装置を前記コントローラによって動作させることと、を備える、表面処理方法。
【請求項2】
積層造形された物体の表面を処理するための方法において、
積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、
前記ハウジング内の前記積層造形された物体の処理プロセス及び材料結合の種類を特定するユーザインターフェースからコントローラによってデータを受け取ることと、
前記積層造形された物体を容器内に下降させた後、前記容器内の第1の流体材料へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の前記第1の流体材料から上昇させるようにアクチュエータを前記コントローラによって動作させることと、
前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を接着し前記積層造形された物体にコーティングを形成するようにヒータおよびUV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、
積層造形された物体の形状データを前記コントローラにダウンロードすることと、
前記積層造形された物体の別の表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する前記積層造形された物体の少なくとも1つの表面を前記コントローラによって特定することであって、前記表面の特定は、前記コントローラにダウンロードされた前記積層造形された物体の形状データを参照して行われる、特定することと、
前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に第2の流体材料の液滴を向けるように第2の流体材料源に動作可能に接続された噴霧器を前記コントローラによって動作させることと、
前記噴霧器により向けられた前記第2の流体材料の前記液滴を前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティングに接着するように前記ヒータおよび前記UV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、を備え、
前記第2の流体材料が前記第1の流体材料とは異なり、
前記コントローラが、前記容器から前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を前記積層造形された物体に接着するように前記UV放射装置を動作させ、前記第2の流体材料の前記液滴を前記コーティングに接着するように前記ヒータを動作させる、表面処理方法。
【請求項3】
積層造形された物体の表面を処理するための方法において、
積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、
前記ハウジング内の前記積層造形された物体の処理プロセス及び材料結合の種類を特定するユーザインターフェースからコントローラによってデータを受け取ることと、
前記積層造形された物体を容器内に下降させた後、前記容器内の第1の流体材料へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の前記第1の流体材料から上昇させるようにアクチュエータを前記コントローラによって動作させることと、
前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を接着し前記積層造形された物体にコーティングを形成するようにヒータおよびUV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、
積層造形された物体の形状データを前記コントローラにダウンロードすることと、
前記積層造形された物体の別の表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する前記積層造形された物体の少なくとも1つの表面を前記コントローラによって特定することであって、前記表面の特定は、前記コントローラにダウンロードされた前記積層造形された物体の形状データを参照して行われる、特定することと、
前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に第2の流体材料の液滴を向けるように第2の流体材料源に動作可能に接続された噴霧器を前記コントローラによって動作させることと、
前記噴霧器により向けられた前記第2の流体材料の前記液滴を前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティングに接着するように前記ヒータおよび前記UV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、を備え、
前記第2の流体材料が前記第1の流体材料とは異なり、
前記コントローラが、前記容器から前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を、前記積層造形された物体に接着するように前記ヒータを動作させ、前記第2の流体材料の前記液滴を前記コーティングに接着するように前記UV放射装置を動作させる、表面処理方法。
【請求項4】
積層造形された物体の表面を処理するための方法において、
積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、
前記ハウジング内の前記積層造形された物体の処理プロセス及び材料結合の種類を特定するユーザインターフェースからコントローラによってデータを受け取ることと、
前記積層造形された物体を容器内に下降させた後、前記容器内の第1の流体材料へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の前記第1の流体材料から上昇させるようにアクチュエータを前記コントローラによって動作させることと、
前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を接着し前記積層造形された物体にコーティングを形成するようにヒータおよびUV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、
積層造形された物体の形状データを前記コントローラにダウンロードすることと、
前記積層造形された物体の別の表面の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する前記積層造形された物体の少なくとも1つの表面を前記コントローラによって特定することであって、前記表面の特定は、前記コントローラにダウンロードされた前記積層造形された物体の形状データを参照して行われる、特定することと、
前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に第2の流体材料の液滴を向けるように第2の流体材料源に動作可能に接続された噴霧器を前記コントローラによって動作させることと、
前記噴霧器により向けられた前記第2の流体材料の前記液滴を前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティングに接着するように前記ヒータおよび前記UV放射装置のうちの一方を前記コントローラによって動作させることと、を備え、
前記第1の流体材料および前記第2の流体材料は、同じ流体材料である、表面処理方法。
【請求項5】
前記コントローラが、前記容器から前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を前記積層造形された物体に接着し前記第2の流体材料の前記液滴を前記コーティングに接着するように、前記UV放射装置を動作させる、請求項に記載の表面処理方法。
【請求項6】
前記コントローラが、前記容器から前記積層造形された物体に塗布された前記第1の流体材料を前記積層造形された物体に接着し前記第2の流体材料の前記液滴を前記コーティングに接着するように、前記ヒータを動作させる、請求項に記載の表面処理方法。
【請求項7】
前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に前記第2の流体材料の前記液滴を向けるように前記コントローラが前記噴霧器を動作させるのにともない、前記噴霧器と向かい合わせに前記積層造形された物体を配置し、支持体と前記支持体上の前記積層造形された物体とを回転させるように前記支持体に動作可能に接続されたアクチュエータを前記コントローラによって動作させることをさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表面処理方法。
【請求項8】
溶媒を前記噴霧器に送られる前記第2の流体材料に混合して前記積層造形された物体の前記特定された少なくとも1つの表面の前記コーティング上に前記噴霧器により向けられる前記第2の流体材料の粘度を低減させるように、溶媒源と前記噴霧器との間に動作可能に接続されたポンプを前記コントローラによって動作させることをさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、積層造形システムによって形成された物体に関し、より具体的には、そのような物体の表面を仕上げるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形システムによって形成された部品の一部の表面は、大抵の場合、滑らかではなく、表面の粗さは、その透光性、色、光沢などの部品の視覚的特性に影響を与える。例えば、粗い表面は、透明部分を不透明とする可能性があり、色は鮮やかでなくなり、表面仕上げは、フラット又はマットになる可能性がある。典型的な3次元物体(3D)印刷プロセスは、単一の物体において広範に変化する表面粗さを生み出す。例えば、材料イジェクタの移動と物体が形成されるプラテンとの位置合わせの欠如は、各層の開始点と終了点との間の小さな不整合をもたらす可能性がある。印刷プロセスは、層の端部が互いに整列しないことから、物体の水平面よりも著しく粗い垂直面を有する部品を生成する。それゆえに、イジェクタからの透明な材料液滴にいって形成された部品は、不透明にみえる垂直面を有するとともに、水平面は透明にみえる。同じ物体の他の表面は、透明と不透明との間の半透明の範囲内にある。射出成形などの非積層造形プロセスは、溶融材料が金型の滑らかな研磨面に適合することから、高い光沢を有する透明な部品を生成することができる。それゆえに、部品の垂直壁は、部品の水平面と同じように滑らかに形成される。
【0003】
現在、積層造形された部品は、それらをより均一な又は増強された外観にするために処理されることができる。サンディング、研磨、バフ研磨などの従来の減法的仕上げ技術がよく使用されるが、これらの方法は時間がかかり、複雑な物体形状については実行が困難であり、小さな特徴を損傷し、薄い色層を除去することがある。表面の光沢及び色の鮮やかさを増強するために、グリセロール浸漬又はワニスなどのコーティングもまた使用されるが、それらは、大抵の場合、コーティングのために表面を調製するために研磨又はバフ研磨などの減法的仕上げ技術を必要とし、長い処理時間又は乾燥時間を有する可能性があり、その部分を接触して脂っぽいままにする可能性がある。さらに、コーティングは、その後に表面から分離又は剥離することができ、又は、それらは、表面若しくはその近くにおける画像の色と一致しない。それゆえに、減法的仕上げ技術又はコーティングによって引き起こされる問題なしに、積層造形された物体の不均一な表面を修復するシステムが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
積層造形された物体の不均一な表面を修復するシステムは、ハウジングと、積層造形された物体の表面に流体材料の液滴を向けるように構成された流体材料源に接続された噴霧器、及び、流体材料を含む容器内へと積層造形された物体を下降させ且つ積層造形された物体を容器から上昇させるように構成されたアクチュエータのうちの少なくとも一方であって、流体材料源又は容器内の流体材料が積層造形された物体の表面と同じ材料である流体材料であるものと、噴霧器及びアクチュエータのうちの少なくとも一方に動作可能に接続されたコントローラであって、容器内の流体へと積層造形された物体を下降させ且つ積層造形された物体を容器内の流体から上昇させるようにアクチュエータを動作させるように、又は、積層造形された物体の表面に流体材料を塗布して積層造形された物体の透明性又は光沢性を向上させるために積層造形された物体の表面上に流体材料の液滴を向けるように噴霧器を動作させるように構成されたコントローラとを含む。
【0005】
積層造形された物体の表面を処理する方法は、積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、容器内の流体材料へと積層造形された物体を下降させ且つ積層造形された物体を容器内の流体材料から上昇させるようにアクチュエータをコントローラによって動作させること、又は、積層造形された物体の表面に流体材料を塗布して積層造形された物体の透明性又は光沢性を向上させるために積層造形された物体の表面上に流体材料の液滴を向けるように流体材料源に動作可能に接続された噴霧器をコントローラによって動作させることとを含み、流体材料源若しくは容器内の流体材料が、積層造形された物体の表面を形成するのと同じ材料である流体材料である。本発明に関連する技術は、積層造形された物体の表面を処理するためのシステムにおいて、ハウジングと、積層造形された物体の表面に流体材料の液滴を向けるように構成された流体材料源に接続された噴霧器、及び、流体材料を含む容器内へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器から上昇させるように構成されたアクチュエータのうちの少なくとも一方であって、前記流体材料源又は前記容器内の流体材料が前記積層造形された物体の表面と同じ材料である流体材料であるものと、前記噴霧器及び前記アクチュエータのうちの少なくとも一方に動作可能に接続されたコントローラであって、前記容器内の流体へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の流体から上昇させるように前記アクチュエータを動作させるように、又は、前記積層造形された物体の表面に前記流体材料を塗布して前記積層造形された物体の透明性又は光沢性を向上させるために前記積層造形された物体の表面上に前記流体材料の液滴を向けるように噴霧器を動作させるように構成されたコントローラとを備える、表面処理システムである。上記関連する技術は、さらに、前記ハウジング内に位置決めされたヒータを備え、前記コントローラが前記ヒータに動作可能に接続されており、前記コントローラが前記積層造形された物体の表面に塗布された前記流体材料を乾燥させるように前記ヒータを動作させるようにさらに構成されている。上記関連する技術は、さらに、紫外線(UV)放射源を備え、前記流体源又は前記容器内の前記流体材料が、前記積層造形された物体の表面を形成するために使用されるのと同じUV硬化性流体材料であるUV硬化性流体材料であり、前記コントローラが、前記UV放射源に動作可能に接続されており、前記積層造形された物体の表面の前記UV硬化性流体材料に塗布された前記UV硬化性流体材料を硬化させるように前記UV放射源を動作させるようにさらに構成されている。上記関連する技術は、さらに、前記噴霧器の反対側に前記積層造形された物体を配置するように位置決めされた支持体と、前記支持体に動作可能に接続されたアクチュエータとを備え、前記コントローラが、前記支持体に動作可能に接続された前記アクチュエータに動作可能に接続されており、前記支持体を回転させるように前記アクチュエータを動作させるのにともない、前記積層造形された物体に前記流体材料を塗布するように前記噴霧器を動作させるように構成されている。上記関連する技術では、前記システムが、前記積層造形された物体の表面に前記流体材料の液滴を向けるように構成された前記流体材料源に接続された前記噴霧器と、流体材料を含む容器内へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器から上昇させるように構成されたアクチュエータとの双方を含み、さらに、前記コントローラに動作可能に接続されたユーザインターフェースであって、積層造形された物体の表面を処理するための浸漬又は噴霧動作を特定し、前記噴霧器についての前記流体材料源内の前記流体材料又は前記容器内の前記流体材料がUV硬化性流体材料であるかどうかを特定するように構成されたユーザインターフェースと、前記コントローラに動作可能に接続されたヒータと、前記コントローラに接続されたUV放射源とを備え、前記コントローラが、さらに、前記噴霧器及び前記アクチュエータの双方に動作可能に接続されており、前記コントローラが、さらに、前記容器内の流体へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の流体から上昇させるように前記アクチュエータを動作させ、且つ、前記積層造形された物体の表面に前記流体材料を塗布して前記積層造形された物体の透明性又は光沢性を向上させるために前記積層造形された物体の表面上に前記流体材料の液滴を向けるように噴霧器を動作させ、且つ、UV硬化性流体材料ではない前記積層造形された物体の表面に塗布された前記流体材料を乾燥させるように前記ヒータを動作させ、且つ、前記積層造形された物体の表面に塗布されたUV硬化性流体材料を硬化させるように前記UV放射源を動作させるように構成されている。本発明に関連する技術は、積層造形された物体の表面を処理するための方法において、積層造形された物体をハウジング内に位置決めすることと、容器内の流体材料へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器内の前記流体材料から上昇させるようにアクチュエータをコントローラによって動作させること、又は、前記積層造形された物体の表面に前記流体材料を塗布して前記積層造形された物体の透明性又は光沢性を向上させるために前記積層造形された物体の表面上に前記流体材料の液滴を向けるように流体材料源に動作可能に接続された噴霧器を前記コントローラによって動作させることとを備え、前記流体材料源若しくは前記容器内の前記流体材料が、前記積層造形された物体の表面を形成するのと同じ材料である流体材料である。上記関連する技術では、さらに、前記ハウジング内に位置決めされたヒータを備え、前記積層造形された物体の表面に塗布された前記流体材料を乾燥させるように前記ハウジング内に位置決めされたヒータを前記コントローラによって動作させることを備える。上記関連する技術では、さらに、前記積層造形された物体の表面のUV硬化性材料に塗布されたUV硬化性材料を硬化させるようにUV放射源を前記コントローラによって動作させることを備え、前記流体源又は前記容器内の前記流体材料が、前記積層造形された物体の表面を形成するのに使用されるのと同じUV硬化性材料であるUV硬化性流体材料である。上記関連する技術では、さらに、前記噴霧器の反対側に前記積層造形された物体を配置するように位置決めされた支持体と、前記支持体に動作可能に接続されたアクチュエータとを備え、前記支持体を回転させるように前記噴霧器の反対側に前記積層造形された物体を配置するように位置決めされた支持体に動作可能に接続されたアクチュエータを前記コントローラによって動作させるのにともない、前記コントローラが、前記積層造形された物体に前記流体材料を塗布するように前記噴霧器を動作させることを備える。上記関連する技術では、前記方法が、前記コントローラが、前記積層造形された物体の表面に前記流体材料の液滴を向けるように構成された前記流体材料源に接続された前記噴霧器を動作させることと、流体材料を含む容器内へと前記積層造形された物体を下降させ且つ前記積層造形された物体を前記容器から上昇させるように構成された前記アクチュエータを動作させることとの双方を含み、前記方法が、さらに、前記積層造形された物体の表面が浸漬又は噴霧動作によって処理されることになる旨の特定と、前記噴霧器についての前記流体材料源内の前記流体材料又は前記容器内の前記流体材料がUV硬化性流体材料であるかどうかに関する特定とを前記コントローラに動作可能に接続されたユーザインターフェースを介して受け取ることと、前記噴霧器、前記アクチュエータ、ヒータ、及びUV放射源を前記コントローラによって動作させることとを備え、前記コントローラが、前記ユーザインターフェースから受け取った前記流体材料の特定を参照して、UV硬化性材料ではない前記積層造形された物体の表面に塗布された材料を乾燥させるように前記ヒータを動作させ、前記コントローラが、前記ユーザインターフェースから受け取った前記流体材料の特定を参照して、前記積層造形された物体の表面に塗布されたUV硬化性材料を硬化させるように前記UV放射源を動作させる。
【0006】
所望の視覚的特性を向上させるために積層造形された物体の表面を処理するシステム及び方法の上述した態様及び他の特徴は、添付図面に関連して以下の詳細な説明において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、表面の視覚的特性を向上させるために積層造形された物体の表面を処理するシステムのブロック図である。
図2図2は、表面の視覚的特性を向上させるために積層造形された物体の不均一な表面に結合された材料を示している。
図3図3は、表面の視覚的特性を向上させるために積層造形された物体の表面を処理するプロセスを示している。
図4図4は、不規則に位置合わせされた層によって形成された側面の視点からみたときの、物体の視覚的特性を劣化させる従来技術の積層造形された物体の層の不規則な位置合わせを示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態の一般的な理解のために図面が参照される。図面において、同様の参照符号は、同様の要素を指すために全体を通して使用されている。
【0009】
図4は、管などの従来技術の積層造形された物体404の側面図を示している。物体は層408によって形成される。スタックが時折垂直方向に成長するにつれて、平坦化器は、現在の最上層を平坦化し、その後に形成された層は平坦化する。図においては誇張されているが、層408の端部412の位置合わせは正確ではない。端部412によって形成されたこの不均一な表面は、表面にあたる光を散乱させ、この散乱は、不均一な表面を通してみたとき、物体を不透明又は少なくとも半透明な状態とする。端部がなければならない位置からの端部の実際の変動は、数十ミクロンで測定されることができる。結果として、表面の全体的な不均一性は、おそらく100μm未満である。この効果に対処するための従来公知の方法は、サンディング、バフ研磨、及び研磨を含む。しかしながら、これらの技術は、時間がかかり、複雑な形状を有する特徴に適用するのは困難である。押し出されたABS材料などによって形成された物体について、物体は、アセトン雰囲気を有するチャンバ内に配置されることができ、そのため、アセトン蒸気は、露出表面を溶融して表面を滑らかにすることができる。しかしながら、この技術は、アセトンが硬化したUV材料と化学的に反応しないため、紫外線(UV)硬化性材料によって形成された物体には使用することができない。
【0010】
物体の表面を光沢又は透明な状態とする新たなシステムが図1に示されている。システム100は、ハウジング104と、噴霧器112又は容器116などの流体材料源と、ハウジング104内の回転支持体108と、ヒータ124と、アクチュエータ128と、コントローラ140とを含む。いくつかの実施形態は、一方又は他方のみを有するように構成されることができるが、システム100は、積層造形された物体に対して光沢又は透明性を修復させるのに有用なシステムの図面及び詳細な説明を簡略化するために、噴霧器112及び容器116の双方を有して描かれている。コントローラ140は、アクチュエータ128、噴霧器112、及びユーザインターフェース144に動作可能に接続されている。オペレータは、物体が噴霧されるか又は浸漬されるか、及び物体が加熱されるか又はUV硬化性材料を物体に結合させるようにUV放射を受けるかを特定するために、ユーザインターフェース144を介してデータを入力する。
【0011】
積層造形された物体の不均一な表面を修復するために、物体は、回転支持体108上に配置されるか又はアクチュエータ128の1つから延在する部材130から懸架され、オペレータは、処理プロセス及び使用されることになる材料結合の種類を特定するデータをユーザインターフェース144に入力する。噴霧が特定された場合、コントローラ140は、支持体及び物体を回転させるように支持体108に接続されたアクチュエータ128を動作させるのにともない、コントローラは、物体の不均一な表面に流体材料の液滴を向けるように噴霧器112を動作させる。噴霧器112によって放出される流体材料は、処理される不均一な表面を形成するのと同じ材料又は表面材料と適合する他の材料とすることができる。液滴は、不均一な表面における隙間を充填する。流体材料がUV硬化性であると特定されない場合、コントローラ140は、物体上の流体材料を乾燥させて隙間を充填する材料を不均一な表面に結合させるようにヒータ124を動作させる。側面416の隙間内の物体に結合された流体材料によって充填された物体404の不均一な表面が図2に示されている。側面416は、図4における層408の端部412によって形成された側面よりも滑らかである。この滑らかさは、図4に示される物体404の側面よりも側面416を透明且つ光沢があるようにする。
【0012】
側面416を形成するために噴霧器112ではなく物体の層を形成したイジェクタを使用することは、イジェクタが1から6mmの直径を有する材料の液滴を吐出するように設計されていることから最適ではない。イジェクタは、噴霧器112と同じくらい正確に長距離にわたって材料の液滴を向けることができない。いくつかの実施形態において、ヒータ124が設けられており、そのため、コントローラ140は、塗布された流体材料を加熱して材料の乾燥時間を短縮するようにヒータを動作させることができる。より大きな物体又は噴霧器によって到達することが困難な複雑な形状を有する特徴を有する物体について、オペレータは、物体がアクチュエータ128から延在する部材130から懸架されると、物体処理としての浸漬を特定するように、ユーザインターフェース144を使用する。コントローラ140は、物体の表面を形成する流体材料と同じ流体材料又は物体の表面と適合する材料の浴内へと物体を浸漬するために容器116内へと物体を下降させた後、容器から物体を上昇させるようにアクチュエータを動作させる。物体が上昇すると、コントローラ140は、流体材料の乾燥時間を短縮するようにヒータ124を動作させる。いくつかの流体材料が不均一な表面の隙間に入る能力を向上させるために、流体材料源132から受け取った噴霧器112によって噴霧された材料は、材料の粘度を低減させるように希釈流体源136からの適切に適合する溶媒と混合される。コントローラ140は、この混合を達成するために各供給源から所定量の材料及び溶媒を引き出すようにポンプ及びバルブ148を動作させる。
【0013】
上述したプロセスは、処理される部品の形状に関するデータをダウンロードすることによって増強することができ、そのため、コントローラ140は、仕上げプロセスをカスタマイズするためにこのデータを使用することができる。具体的には、コントローラ140は、ビルドオリエンテーションがより大きな表面粗さを生み出す部品上の領域を特定するようにこのデータを使用し、その後、コントローラは、これらの領域に追加のコーティングを塗布するように噴霧器112を動作させる。これらの選択領域のみに材料を塗布するために噴霧器を動作させることにより、材料は節約され、部品の特徴は保存される。他の仕上げオプションは、部品の浸漬及び噴霧の双方を組み合わせる。このオプションにおいて、コントローラ140は、部品形状データを使用し、部品を浸漬することによって仕上げプロセスをカスタマイズして一般的なオーバーコートを塗布した後、コントローラが部品形状データを参照してより大きな表面粗さを有すると特定した部品の選択領域を噴霧する。
【0014】
上述したように、容器116内の流体材料又は噴霧器112によって噴霧される流体材料は、不均一な表面を形成するために使用されるのと同じ材料とすることができる。部品に同じ材料を塗布することは、異種材料よりも良好に不均一な表面に接着するという利点を有する。さらに、層を形成するために使用されるのと同じ材料を塗布することは、色、屈折率、弾性及び硬度などの2つの材料の特性が一致することを意味する。これらの利点は、UV硬化性造形材料によって形成される物体にとって特に重要である。不均一な表面に同じUV硬化性流体材料を塗布した後に流体材料を硬化させることにより、塗布された材料は、不均一なる表面の隙間内においてUV硬化性材料に結合する。UV硬化性材料によって形成された物体の表面を透明又は光沢にするために使用される実施形態について、システム100はまた、UV放射源120を含む。UV源120は、噴霧器112が動作された後に又は物体に塗布されたUV流体材料を硬化させるように物体が容器116内に沈められた後に動作されることができる。噴霧器が流体材料を塗布するために使用されるとき、UV源120は、塗布された材料の層を硬化させるように動作されることができ、その後、他の層が噴霧器によって塗布され、その後にUV源によって硬化されることができる。各層の硬化後、流体材料の他の層が必要とされるかどうかを判定するために物体の透明性又は光沢が評価されることができる。大部分の物体について、積層造形された物体の不均一な表面の光沢又は透明性は、1から4つの噴霧層の塗布後に著しく向上する。
【0015】
表面の透明性及び光沢性を向上させるために積層造形された物体の不均一な表面を滑らかにするためのプロセスが図3に示されている。プロセス300は、支持材料がハウジング内で除去された積層造形された物体の配置によって始まる(ブロック304)。物体の不均一な表面上に材料を塗布するために流体材料アプリケータが動作される(ブロック308)。アプリケータは、上述した噴霧器であるか又は容器116内への物体の下降である。そして、塗布された流体材料は、塗布された材料を不均一な表面に接着するように物体に塗布される材料の種類に応じて加熱又は硬化される(ブロック312)。表面の仕上げが評価され(ブロック316)、それが所定のレベルの透明性又は光沢性を満たさないか又は超えない場合、流体材料の他の層が不均一な表面に塗布され(ブロック308)、乾燥又は硬化される(ブロック312)。このプロセスは、所定レベルの透明性又は光沢性が満たされるか又は超えるまで継続する(ブロック316)。そのとき、物体はハウジングから取り外される(ブロック320)。
【0016】
上述したシステム及び方法の大部分の実施形態において、不均一な表面を処理するために使用される流体材料は透明である。透明材料を使用することにより、不均一な表面の色が一致する必要はない。いくつかの着色表面について、塗布される材料は、その状況においては色の一致が問題とはならないため、物体の表面を形成するのに使用されるのと同じ材料である。

図1
図2
図3
図4