(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853763
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】障害監視用パスの経路構成方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/70 20130101AFI20210322BHJP
【FI】
H04L12/70 100Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-189620(P2017-189620)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-68165(P2019-68165A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】荻野 長生
(72)【発明者】
【氏名】北原 武
【審査官】
羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−144104(JP,A)
【文献】
特開2014−225775(JP,A)
【文献】
特開2011−124757(JP,A)
【文献】
特開2001−292165(JP,A)
【文献】
特開2010−193012(JP,A)
【文献】
米国特許第09584387(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00−12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のドメインに分割された障害監視対象ネットワーク上の品質監視装置間に障害監視用パスを設定する障害監視用パスの経路構成方法において、
品質監視装置が接続される端点ノードを最初の現ノードに設定し、
現ノードにおいて、当該現ノードが所属するドメインの局所的なリンク障害を特定できる所定の条件を満足する出リンクを選択し、
当該出リンクの終点ノードを新たな現ノードに設定して出リンクを選択することを繰り返して障害監視用パスをホップバイホップに構成することを特徴とする障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項2】
前記ドメインごとに経路計算サーバを設け、
各ドメインにおける障害監視用パスの経路計算が、当該各ドメインに所属する経路計算サーバにより分散的に行われることを特徴とする請求項1に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項3】
各ドメインの経路計算サーバは、
自ドメインにおけるリンク障害特定のみを想定して出リンクの選択を繰り返すことにより障害監視用パスの経路計算を実行し、
前記経路計算の結果に基づいて自ドメイン内の各ノードに障害監視用パスの経路設定要求を送出し、
自ドメイン内で最も下流のノードには更に、自ドメインにおける障害監視用パスの経路情報を付加した障害監視用パスの経路構成要求を転送し、
当該経路構成要求が、前記最も下流のノードにおける障害監視用パスの経路設定結果に基づいて他のドメインに所属するノードに転送されることを特徴とする請求項2記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項4】
前記各経路計算サーバが、異なる障害監視用パスのドメインごとの経路計算を並列的に実行することを特徴とする請求項1に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項5】
一のドメインに所属する経路計算サーバが構成した障害監視用パスの終点端点ノードを、当該一のドメインに所属する経路計算サーバが始点端点ノードと見なして次の障害監視用パスを構成することを特徴とする請求項1に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項6】
前記所定の条件が優先度の異なる複数の条件の論理和であり、最優先の第1条件が、「障害監視用パスが1本も通過していない出リンク」であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項7】
優先度が前記第1条件の次に高い第2条件が、「構成中の障害監視用パスが通過することによって、出リンク選択を行う現ノードが所属する自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在し、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアが存在しない」であることを特徴とする請求項6に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項8】
優先度が前記第2条件の次に高い第3条件および更に次に高い第4条件が、「構成中の障害監視用パスが通過することによって、自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在し、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアも存在する」および「構成中の障害監視用パスが通過することによって、自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在せず、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアも存在しない」の一方および他方であることを特徴とする請求項7に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項9】
前記第1ないし第4条件のいずれも満足できないときの現ノードが非端点ノードであると、自ドメイン内で直近の上流側の端点ノードへフォールバックし、当該端点ノードを現ノードとして障害監視用パスの構成をやり直すことを特徴とする請求項8に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【請求項10】
自ドメイン内で上流側に端点ノードが存在しないと、自ドメイン内で最も上流のノードへフォールバックし、当該ノードを現ノードとして障害監視用パスの構成をやり直すことを特徴とする請求項9に記載の障害監視用パスの経路構成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害監視用パスの経路構成方法に係り、特に、障害監視対象ネットワークを複数のドメインに分割し、出リンクを選択する現ノードが所属するドメインにおける局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件を満足する出リンクを選択することを繰り返す障害監視用パスの経路構成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ネットワーク内の障害監視用パスを終端する品質監視装置において、障害監視用パスの品質劣化が検知されると、障害管理装置が、品質劣化の検知された障害監視用パスが共通に通過するリンクを障害リンクと推定する技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、障害監視対象ネットワークの各リンクを通過する障害監視用パス組を表す組合せグラフを用いることにより、単一リンク障害も含めた同時に発生する2重リンク障害を識別できる障害監視用パス群の経路を容易に決定する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、障害監視対象ネットワークの各リンクを通過する障害監視用パス組を表す組合せグラフを用いることにより、単一リンク障害(保守)復旧以前に発生する単一リンク障害を識別できる障害監視用パス群の経路を容易に決定する技術が開示されている。
【0005】
特許文献4には、少数のノードに品質監視装置を接続することにより、単一リンク障害(保守)復旧以前に発生する単一リンク障害あるいは単一リンク障害も含めた同時に発生する2重リンク障害を識別できる障害監視用パス群の経路を容易に決定する技術が開示されている。
【0006】
特許文献5には、想定するリンク障害シナリオに応じた初期組合せ表が与えられた時、予め指定された端点ノードで終端して、想定するリンク障害シナリオに含まれる任意のリンク障害を識別できる障害監視用パス群の経路を少ない計算量で算出する技術が開示されている。
【0007】
特許文献6には、品質監視装置が接続されている端点ノードから出発して、所定の条件を満足する出リンクをランダムに選択して行くことにより、経路構成の自由度を最大限活用して、最少本数の障害監視用パス群の経路をホップバイホップに構成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3885931号公報
【特許文献2】特許第5794633号公報
【特許文献3】特許第5905358号公報
【特許文献4】特許第5989573号公報
【特許文献5】特開2014-225775号公報
【特許文献6】特願2017-065613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、単一リンク障害を想定した場合でも、障害リンクを正確に特定することができない。特許文献2、3では、障害監視用パス群の発着ノード数が多くなり、多数のノードに品質監視装置を接続する必要がある。
【0010】
特許文献4では、品質監視装置を接続できるノードを予め指定することができない。特許文献5では、想定するリンク障害シナリオに含まれるリンク障害が多数存在する時、必要な障害監視用パス数が多くなる。特許文献6では、想定するリンク障害シナリオに含まれる全てのリンク障害の識別を想定して出リンクをランダムに選択して行くため、障害監視対象ネットワークの規模の増加と共に、障害監視用パス群の経路計算量が増加する。
【0011】
発明の目的は、上記の技術課題を解決し、障害監視対象ネットワークを複数のドメインに分割し、出リンクを選択する現ノードが所属するドメインにおける局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件を満足する出リンクを選択することを繰り返すことで、少ない経路計算量で障害監視用パス群の経路をホップバイホップに構成できる障害管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明は、複数のドメインに分割された障害監視対象ネットワークの品質監視装置間に障害監視用パスを設定する障害監視用パスの経路構成方法において、以下の構成を具備した点に特徴がある。
【0013】
(1) 品質監視装置が接続される端点ノードを最初の現ノードに設定し、現ノードにおいて、当該現ノードが所属するドメインの局所的なリンク障害を特定できる所定の条件を満足する出リンクを選択し、当該出リンクの終点ノードを新たな現ノードに設定して出リンクを選択することを繰り返して障害監視用パスをホップバイホップに構成するようにした。
【0014】
(2) ドメインごとに経路計算サーバを設け、各ドメインにおける障害監視用パスの経路計算が、当該各ドメインに所属する経路計算サーバにより分散的に行われるようにした。
【0015】
(3) 各経路計算サーバが、異なる障害監視用パスのドメインごとの経路計算を並列的に実行するようにした。
【0016】
(4) 一のドメインに所属する経路計算サーバが構成した障害監視用パスの終点端点ノードを当該一のドメインに所属する経路計算サーバが始点端点ノードと見なして次の障害監視用パスを構成することを繰り返すようにした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0018】
(1) 局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件を満足する出リンクを選択するので、障害監視対象ネットワークの規模が増加しても、障害監視用パス群の経路計算量の増加を抑えることができる。
【0019】
(2) 複数の経路計算サーバが、障害監視用パスの経路構成を分担するので、障害監視用パスの経路計算負荷を分散させることができる。
【0020】
(3) 複数の異なる障害監視用パスの経路構成が各ドメインにおいて並列的に行われるので、障害監視用パス群の経路構成時間を短縮することができる。
【0021】
(4) 障害監視用パスの経路構成が直列的に行われるので、障害管理装置から品質監視装置へ送出される障害監視用パスの経路構成要求メッセージの数、および品質監視装置から障害管理装置へ送出される障害監視用パスの経路情報メッセージの数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明が適用される障害監視対象ネットワークの構成を示したブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る障害監視用パスの経路構成方法を模式的に示した図である。
【
図3】第1実施形態における出リンク選択手順を示したフローチャートである。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る障害監視用パスの分散型経路構成方法を示した図である。
【
図5】第2実施形態における障害監視用パスの分散型経路構成の手順の一例を示した図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る障害監視用パスの並列型経路構成方法を模式的に示した図である
【
図7】本発明の第4実施形態に係る障害監視用パスの直列型経路構成方法を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の障害監視用パスの経路構成方法が適用される障害監視対象ネットワークの構成を示したブロック図である。
【0024】
障害監視対象ネットワークは、複数のノード装置Nと、各ノード装置Nを接続するリンクから構成される。複数の品質監視装置Mが、予め指定されたノード装置(端点ノード)に接続され、任意の品質監視装置Mとの間に障害監視用パスが設定される。
【0025】
障害管理装置1は、品質監視装置Mに対して障害監視用パスの設定と障害監視用パスを通した監視データの送信を指示する。監視データを受信した品質監視装置Mは監視データの品質を監視し、品質劣化が検知された場合は障害管理装置1に通報する。
【0026】
障害管理装置1は、品質劣化が検知された障害監視用パス情報および各障害監視用パスが通過するリンクに関する障害監視用パス経路情報に基づいて障害リンクを特定する。これにより、全てのリンクに品質監視装置を設けることなく、障害リンクを特定することができる。
【0027】
本発明の障害監視用パスの経路構成方法は、品質監視装置Mを接続できる端点ノードが予め指定された時に、局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件を満足する出リンクを選択することを繰り返すことで、少ない経路計算量で障害監視用パス群の経路をホップバイホップに構成する。
【0028】
図2は、本発明の第1実施形態に係る障害監視用パスの経路構成方法を模式的に示しており、本実施形態では、任意の1個の端点ノードから出発して、想定するリンク障害シナリオに応じた適切な出リンクを選択することによって、障害監視用パス経路をホップバイホップに構成する。この時、本実施形態では障害監視対象のネットワークを複数のドメインに分割し、出リンクを選択するノードが所属するドメインにおける局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件を満足する出リンクを選択する。
【0029】
局所的なリンク障害としては、例えば、出リンクを選択するノードと同じドメインに所属するノードに接続するリンクの障害が考えられる。本実施形態によれば、出リンク選択の際に想定するリンク障害の範囲が1つのドメインに限定されるので、障害監視対象ネットワークの規模が増加しても障害監視用パス群の経路計算量の増加を抑えることができる。
【0030】
図3は、本実施形態における出リンク選択の手順を示したフローチャートである。本実施形態は、品質監視装置Mが接続される端点ノードを最初の現ノードに設定し、現ノードにおいて、当該現ノードが所属するドメインの局所的なリンク障害を特定できる所定の条件を満足する出リンクを選択し、当該出リンクの終点ノードを新たな現ノードに設定して出リンクを選択することを繰り返して障害監視用パスをホップバイホップに構成する。
【0031】
ステップS1では、構成中の障害監視用パスが既に通過している等の理由で選択できない出リンクを選択対象から除外する。ステップS2では、選択対象出リンクの存否が判断され、存在しなければ出リンクを選択せずに終了する。
【0032】
選択対象出リンクが存在すればステップS3へ進み、第1条件を満足する出リンクの有無が判断される。本実施形態では、「障害監視用パスが1本も通過していない」ことが第1条件とされ、このような出リンクが選択対象出リンク中に存在すれば、ステップS4へ進んで当該出リンクをランダムに1本選択して終了する。
【0033】
前記ステップS3において、第1条件を満足する出リンクが存在しないと判断されると、ステップS5へ進んで第2条件を満足する出リンクの有無が判断される。本実施形態では、「構成中の障害監視用パスが通過することによって、出リンク選択を行う現ノードが所属する自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在し、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアが存在しない」ことが第2条件とされる。このような出リンクが選択対象出リンク中に存在すれば、ステップS6へ進んで当該出リンクをランダムに1本選択して終了する。
【0034】
前記ステップS5において、第2条件を満足する出リンクが存在しないと判断されると、ステップS7へ進んで第3条件を満足する出リンクの有無が判断される。本実施形態では、「構成中の障害監視用パスが通過することによって、自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在し、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアも存在する」ことが第3条件とされる。このような出リンクが選択対象出リンク中に存在すれば、ステップS8へ進んで当該出リンクをランダムに1本選択して終了する。
【0035】
前記ステップS7において、前記第3条件を満足する出リンクが存在しないと判断されると、ステップS9へ進んで第4条件を満足する出リンクの有無が判断される。本実施形態では、「構成中の障害監視用パスが通過することによって、自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在せず、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアも存在しないこと」が第4条件とされる。このような出リンクが選択対象出リンク中に存在すれば、ステップS10へ進んで当該出リンクをランダムに1本選択して終了する。
【0036】
これに対して、前記第4条件を満足する出リンクが存在しない、すなわち障害監視用パスが通過することによって、自ドメイン内に新たに識別可能となるリンク障害ペアが存在せず、かつ自ドメイン内に新たに識別不可能となるリンク障害ペアが存在するような出リンクのみが存在する場合は、出リンクを選択しないで終了する。
【0037】
このとき、現ノードが端点ノードであれば、構成中の障害監視用パスを当該端点ノードにおいて終端する。これに対して、現ノードが非端点ノードであれば、1つ上流の端点ノードまでフォールバックする。1つ上流の端点ノードが自ドメイン内に存在しなければ、自ドメイン内で最も上流のノード(非端点ノード)にフォールバックするようにしても良い。
【0038】
図4は、本発明の第2実施形態に係る障害監視用パスの分散型経路構成方法を示している。本実施形態では、障害監視対象ネットワークを構成する各ドメインに対応して経路計算サーバSvが設けられている。
【0039】
障害管理装置1は、任意の品質監視装置Mに対して障害監視用パスの経路構成を要求する。各経路計算サーバSvは、自身が所属するドメイン(自ドメイン)における障害監視用パスの経路構成を分担する。障害監視用パスの経路は、複数の経路計算サーバSvが連携することによって品質監視装置ペア間に設定される。
【0040】
各経路計算サーバSvは、自ドメインに含まれる各リンクを通過する障害監視用パス群の情報を管理する。そして、自ドメインにおける局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件(例えば、前記第1ないし第4条件)を満足する出リンクを選択する。構成された障害監視用パスの経路を終端した品質監視装置Mは、障害管理装置1に対して、構成された障害監視用パスの経路情報を返送する。
【0041】
本実施形態によれば、複数の経路計算サーバSvが、障害監視用パスの経路構成を分担するので、障害監視用パスの経路計算負荷を分散させることができる。
【0042】
図5は、上記の第2実施形態における障害監視用パスの分散型経路構成の手順の一例を模式的に示している。
【0043】
障害管理装置1から障害監視用パスの経路構成要求を受信した品質監視装置Mは、障害監視対象ネットワークに対して障害監視用パスの経路構成要求パケットを送信する。障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した始点端点ノードは、所属する第1ドメインに対応する経路計算サーバSv1に障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。
【0044】
第1ドメイン用経路計算サーバSv1は、第1ドメインにおけるリンク障害特定のみを想定して、前記第1実施形態の場合と同様に出リンク選択を繰り返すことで、第1ドメインにおける障害監視用パスの経路計算を実行し、管理情報を更新する。
【0045】
ここで、選択された出リンクの終点ノードが第1ドメイン以外のドメイン(第2ドメイン)に属しているノードである場合、第1ドメインにおける障害監視用パスの経路計算を終了する。そして、この時の現ノードが、第1ドメイン内の計算された障害監視用パス上で最も下流のノードとなる。第1ドメイン用経路計算サーバSv1は、障害監視用パスの経路計算結果に基づいて、第1ドメイン内の障害監視用パスが通過する各ノードに対して障害監視用パスの経路設定要求を送出する。
【0046】
第1ドメイン用経路計算サーバSv1は更に、第1ドメイン内の計算された障害監視用パス上で最も下流のノードに対して、第1ドメインにおける障害監視用パスの経路情報を付加した障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。障害監視用パスの経路構成要求パケットは、第1ドメイン内の最も下流のノードにおける障害監視用パスの経路設定結果に基づいて、当該ノードで選択された出リンクを通って第2ドメインに所属するノードに転送される。
【0047】
前記障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した、第2ドメインに所属するノードは、所属する第2ドメインに対応する経路計算サーバSv2へ障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。第2ドメイン用経路計算サーバSv2は、第2ドメイン内の局所情報のみを利用して、前記第1実施形態の場合と同様の手順で障害監視用パスの経路計算を行う。そして、障害監視用パスの経路計算結果に基づいて、第2ドメイン内の障害監視用パスが通過する各ノードに対して障害監視用パスの経路設定要求を送出する。
【0048】
第2ドメイン用経路計算サーバSv2は更に、第2ドメイン内の計算された障害監視用パス上で最も下流のノードに対して、第2ドメインにおける障害監視用パスの経路情報を加えた障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。
【0049】
本実施形態では、下流側の各ドメインにおいても同様な処理が繰り返される。下流側のドメイン(第3ドメイン)において、現ノードが終点端点ノードとなった場合、第3ドメインにおける障害監視用パスの経路計算を終了する。第3ドメイン用経路計算サーバSv3は、障害監視用パスの経路計算結果に基づいて、第3ドメイン内の障害監視用パスが通過する各ノードに対して障害監視用パスの経路設定要求を送出する。第3ドメイン用経路計算サーバSv3は更に、終端端点ノードに対して、第3ドメインにおける障害監視用パスの経路情報を付加した障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した終点端点ノードは、構成中の障害監視用パスを終端する品質監視装置Mに対して、障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。
【0050】
障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した品質監視装置Mは、障害管理装置1に対して、構成された障害監視用パスの経路情報を返送する。
【0051】
図6は、本発明の第3実施形態に係る障害監視用パスの並列型経路構成方法を模式的に示している。本実施形態は、複数の障害監視用パスを同時並列的に構成すべく、予定された障害監視用パス本数分の経路構成要求を当該本数分のドメインに対して同時に要求するようにした点に特徴がある。
【0052】
障害管理装置1は、所属するドメインの異なる複数の品質監視装置M(予定された障害監視用パス本数分)に対して、異なる障害監視用パスの経路構成を同時に要求する。各品質監視装置Mは、異なる複数の障害監視用パスの分散型経路構成を、前記第2実施形態と同様にドメインごとに、かつ複数のドメインを跨いで障害監視用パスが連続するように実行することで、複数のドメインを通過する複数の異なる障害監視用パスを並列的に構成できる。
【0053】
本実施形態では、ドメインを跨ぐドメイン間リンクを除いて、各経路計算サーバSvが管理している情報には重複が無い。更に、各経路計算サーバSvが管理している情報では、障害監視用パスがドメイン間リンクを通過しているにも拘わらず、実際には当該障害監視用パスが当該ドメイン間リンクを通過していないケースは存在しない。従って、複数の経路計算サーバSvが同時に異なる障害監視用パスの経路計算を行っても矛盾は生じない。なお、同一の経路計算サーバSvに複数の障害監視用パス経路構成要求が到着する場合は、例えば、障害監視用パス経路構成要求の到着順に、対応する経路計算を実行して管理情報を更新する。
【0054】
本実施形態によれば、複数の異なる障害監視用パスの経路構成が各ドメインにおいて並列的に行われるので、障害監視用パス群の経路構成時間を短縮することができる。
【0055】
図7は、本発明の第4実施形態に係る障害監視用パスの直列型経路構成方法を模式的に示している。本実施形態は、一のドメイン内で構築された障害監視用パスの終点端点ノードを、当該一のドメインに所属する経路計算サーバが、ドメインを跨いで構成されることになる次の障害監視用パスの始点端点ノードと見なして経路構成要求パケットを送信し、これを各ドメインで繰り返すようにした点に特徴がある。
【0056】
障害管理装置1は、任意の品質監視装置Mに対して、経路構成すべき障害監視用パス数と共に障害監視用パスの経路構成を要求する。経路構成要求を受信した品質監視装置Mは、障害監視対象ネットワークに対して障害監視用パスの経路構成要求パケットを送信する。障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した始点端点ノードは、所属するドメインの第1ドメイン用経路計算サーバSv1に障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。
【0057】
第1ドメイン用経路計算サーバSv1は、対応するドメインにおける局所的なリンク障害の特定のみを想定して、所定の条件(例えば、前記第1ないし第4条件)を満足する出リンクを選択することを繰り返すことで、自ドメインにおける障害監視用パスの経路計算を実行して管理情報を更新する。第1ドメイン用経路計算サーバSv1は、障害監視用パスの経路計算結果に基づいて、第1ドメイン内の障害監視用パスが通過する各ノードに対して障害監視用パスの経路設定要求を送出する。
【0058】
第1ドメイン用経路計算サーバSv1は更に、第1ドメイン内の計算された障害監視用パス上で最も下流のノードに対して、第1ドメインにおける障害監視用パスの経路情報を付加した障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。障害監視用パスの経路構成要求パケットは、第1ドメイン内の最も下流のノードにおける障害監視用パスの経路設定結果に基づいて、当該ノードで選択された出リンクを通って第2ドメインに所属するノードに転送される。
【0059】
前記障害監視用パスの経路構成要求パケットを受信した、第2ドメインに所属するノードは、所属する第2ドメインに対応する経路計算サーバSv2へ障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。第2ドメイン用経路計算サーバSv2は、第2ドメイン内の局所情報のみを利用して、前記第1実施形態の場合と同様の手順で障害監視用パスの経路計算を行う。
【0060】
本実施形態では、下流側の各ドメインにおいても同様な処理が繰り返される。下流側のドメイン(第3ドメイン)において、現ノードが終点端点ノードとなった場合、第3ドメインにおける障害監視用パスの経路計算を終了する。第3ドメイン用経路計算サーバSv3は、障害監視用パスの経路計算結果に基づいて、第3ドメイン内の障害監視用パスが通過する各ノードに対して障害監視用パスの経路設定要求を送出する。
【0061】
その後、第3ドメイン用経路計算サーバSv3は、当該終点端点ノードを次の障害監視用パスの始点端点ノードと見なして、前記第1実施形態の場合と同様の手順で次の障害監視用パスの経路計算を行う。第3ドメイン用経路計算サーバSv3は、以前の障害監視用パスの終点端点ノードであり、次の障害監視用パスの始点端点ノードでもある端点ノードを経由して、当該端点ノードに接続している品質監視装置Mに対して、以前の障害監視用パスを終端して次の障害監視用パスを開始する旨を通知する。
【0062】
第3ドメイン用経路計算サーバSv3は、次の障害監視用パスの経路計算後、第3ドメイン内の計算された障害監視用パス上で最も下流のノードに対して、第3ドメインにおける当該次の障害監視用パスの経路情報に加えて、第3ドメインで終端された以前の障害監視用パスの経路情報も付加した障害監視用パスの経路構成要求パケットを転送する。
【0063】
以下同様に、本実施形態では、一のドメインに所属する経路計算サーバが構成した障害監視用パスの終点端点ノードを当該一のドメインに所属する経路計算サーバが始点端点ノードと見なして障害監視用パスを構成することを繰り返す。
【0064】
指定された本数の障害監視用パスの経路構成が終了すると、最後に、経路構成された障害監視用パスを終端する品質監視装置Mが、障害管理装置1に対して、前記構成された障害監視用パス群の経路情報を返送する。
【0065】
本実施形態によれば、障害監視用パスの直列型経路構成によって、障害管理装置1から品質監視装置Mへ送出される障害監視用パス経路構成要求メッセージの数、および品質監視装置Mから障害管理装置1へ送出される障害監視用パスの経路情報メッセージの数を削減することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…障害管理装置,M…品質監視装置,Nノード装置,Sv…経路計算サーバ