(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1表面、前記第1表面の反対側の第1裏面、および前記第1表面において前記第1表面の外縁に最も近い最外周から前記第1表面の中心に向かって複数列で配列される複数の電極を備える半導体チップと、
前記半導体チップが搭載される第1主面、第1主面の反対側の第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間にある複数の配線層を備える配線基板と、
を有し、
前記半導体チップの前記複数の電極は、入力信号および出力信号の一方である第1信号が伝送される複数の第1信号電極、入力信号および出力信号の他方である第2信号が伝送される複数の第2信号電極、第1電位が供給される複数の第1電位電極、および前記第1電位とは異なる第2電位が供給される複数の第2電位電極、を含み、
前記半導体チップの前記第1表面において、
前記第1表面の外縁と前記第1表面の中心との間の第1列目には、前記複数の第1信号電極が配列され、
前記第1列目と前記第1表面の中心との間の第2列目には、前記複数の第1電位電極および前記複数の第2電位電極が配列され、
前記第2列目と前記第1表面の中心との間の第3列目には、前記複数の第2信号電極が配列され、
前記配線基板の前記複数の配線層は、前記第1主面と前記第2主面との間にある第1配線層、前記第1配線層と前記第2主面との間にある第2配線層、前記第2配線層と前記第2主面との間にある第3配線層、前記第3配線層と前記第2主面との間にある第4配線層、および前記第4配線層と前記第2主面との間にある第5配線層、を含み
前記配線基板は、
前記第2配線層に形成され、前記複数の第1信号電極のそれぞれに接続される複数の第1信号配線と、
前記第4配線層に形成され、前記複数の第2信号電極のそれぞれに接続される複数の第2信号配線と、
前記第1配線層に形成され、前記第2電位が供給される第1導体パターンと、
前記第2配線層に形成され、前記第1導体パターンと電気的に接続される第2導体パターンと、
前記第3配線層に形成され、前記第2導体パターンと電気的に接続される第3導体パターンと、
前記第4配線層に形成され、前記第3導体パターンと電気的に接続される第4導体パターンと、
前記第5配線層に形成され、前記第4導体パターンと電気的に接続される第5導体パターンと、
を備え、
平面視において、前記複数の第1信号配線のそれぞれの一部分は、前記複数の第2信号配線のそれぞれの一部分と重なり、
平面視において、前記第1導体パターン、前記第3導体パターン、および前記第5導体パターンのそれぞれは、前記第2導体パターン、前記第4導体パターン、前記複数の第1信号配線、および前記複数の第2信号配線と重なる、半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0013】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金メッキ、Cu層、ニッケル・メッキ等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0014】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0015】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0016】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0017】
<電子装置>
まず、
図1および
図2を用いて、マザーボード上に複数の半導体装置(半導体パッケージ)が搭載され、複数の半導体装置の間で、電気信号を伝送する電子装置の構成例について説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置を含む電子装置の構成例を示す説明図である。また、
図2は、
図1に示す電子装置が備える回路の構成例を示す説明図である。なお、
図1では、半導体装置PKG1と半導体装置PKG2とが電気的に接続されていることを明示的に示すため、
図2に示す高速伝送経路SGPHを太線により模式的に示す。
【0018】
図1に示す電子装置(電子機器)EDV1は、配線基板(マザーボード、実装基板)MB1と、配線基板MB1に搭載される半導体装置PKG1および半導体装置PKG2と、を有する。半導体装置PKG1と半導体装置PKG2とは、配線基板MB1に形成された信号伝送経路SGPを介して、互いに電気的に接続される。信号伝送経路SGPを介して伝送される信号には、半導体装置PKG1から出力される信号SGTと、半導体装置PKG1に入力される信号SGRとが含まれる。また、信号伝送経路SGPには、信号SGTが伝送される信号伝送経路SGPTと、信号SGRが伝送される信号伝送経路SGPRと、が含まれる。
【0019】
図1に示す例では、信号SGTは、半導体装置PKG1から出力され、かつ、半導体装置PKG2に入力される。また、信号SGRは、半導体装置PKG2から出力され、かつ、半導体装置PKG1に入力される。ただし、信号SGTの出力先や信号SGRの出力元は、
図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。
図1に示す半導体装置PKG1と半導体装置PKG2とは、同様の構造なので、以下では代表的に半導体装置PKG1について説明する。
【0020】
図2に示すように、電子装置EDV1は、複数の信号伝送経路SGPを有する。
図2に示す例では、半導体装置PKG1に接続される複数の信号伝送経路SGPには、第1の伝送速度で電気信号が伝送される低速伝送経路(低速信号伝送経路)SGPLと、第1の伝送速度よりも速い第2の伝送速度で電気信号が伝送される高速伝送経路(高速信号伝送経路)SGPHとが含まれる。また、
図2に示す例では、高速伝送経路SGPHは、差動信号が伝送される、一対の差動信号伝送経路DSp、DSnにより構成される。
【0021】
なお、本実施の形態では、高速伝送経路SGPHの一例として、一対の差動信号伝送経路DSp、DSnを介して、差動信号を伝送する実施態様を取り上げて説明するが、高速信号の種類は、差動信号の他、種々の変形例が適用できる。例えば、一つの信号伝送経路SGPを用いる、所謂、シングルエンド構造の場合であっても、周波数を高くすることにより、高速伝送を行うことができる。
【0022】
図2に示すように、半導体装置PKG1が有する半導体チップCHP1は、複数の電極を備えている。半導体チップCHP1が有する複数の電極は、出力信号(送信信号)である信号SGT(
図1参照)が伝送される信号電極Tx(詳しくは、一対の差動信号が出力される信号電極Txpと信号電極Txn)を含む。また、半導体チップCHP1が有する複数の電極は、入力信号(受信信号)である信号SGR(
図1参照)が伝送される信号電極Rx(詳しくは、一対の差動信号が入力される信号電極Rxpと信号電極Rxn)を含む。また、
図2に示す例では、また、半導体チップCHP1が有する複数の電極は、低速伝送経路SGPLに接続される、信号電極(低速信号電極)TxLおよび信号電極(低速信号電極)RxLを含む。
【0023】
また、半導体チップCHP1が有する複数の電極は、電源電位VDDが供給される電源電位電極Vdと、基準電位VSSが供給される基準電位電極Vsと、を含む。半導体チップCHP1(詳しくは、半導体チップCHP1が備える回路)には、電源電位電極Vdを介して電源電位VDDが供給される。また、半導体チップCHP1(詳しくは、半導体チップCHP1が備える回路)には、基準電位電極Vsを介して基準電位VSSが供給される。半導体チップCHP1が備える複数の回路のうちの少なくとも一部は、電源電位VDDと基準電位VSSとの電位差により生成される駆動電圧により駆動される。基準電位VSSは例えば接地電位であって、電源電位VDDは基準電位VSSより高い。
【0024】
また、電子装置EDV1は、電源回路中に並列接続で挿入される電源回路用のコンデンサCPSを有している。
図2に示すコンデンサCPSは、半導体チップCHP1に基準電位VSSを供給する基準電位供給経路VSPと、半導体チップCHP1に電源電位VDDを供給する電源電位供給経路VDPと、の間に挿入される。コンデンサCPSは、電源電位供給経路VDPに含まれるノイズ(信号)を基準電位供給経路VSP側にバイパスして流す、バイパスコンデンサとして機能させることができる。また、コンデンサCPSは、半導体チップCHP1に形成された回路に流れる電流のループ(経路距離)を小さくすることで、電源電位供給経路VDPおよび基準電位供給経路VSPに含まれるインピーダンス成分の影響を低減する、デカップリングコンデンサとして機能させることができる。また、供給された電力を消費する回路の近傍に、コンデンサCPSを接続することで、瞬間的に駆動電圧が降下する現象を抑制する、バッテリとして機能させることができる。
【0025】
上記したバイパスコンデンサ、デカップリングコンデンサ、あるいはバッテリとして用いる電源回路用のコンデンサCPSは、いずれも電源回路中に並列接続で挿入されている。一方、コンデンサCDCは、信号伝送経路SGP中に直列接続で挿入されている。このため、
図2に示すように、高速伝送経路SGPHが差動信号伝送経路DSp、DSnにより構成される場合には、差動信号伝送経路DSpおよび差動信号伝送経路DSnに対して、コンデンサCDCがそれぞれ挿入される。
【0026】
また、電子装置EDV1のように、高速で信号を伝送する場合、高速伝送経路SGPH中にコンデンサCDCを直列で接続することが好ましい。高速伝送経路SGPH中に挿入されたコンデンサCDCにより、交流信号に含まれる直流成分をカットすることができる。これにより、高速での信号の入出力を安定化させることができる。このように信号伝送経路中に直列接続で挿入され、交流信号中の直流成分をカットするコンデンサCDCのことを、DC(Direct Current)カット用コンデンサ、あるいは、AC(Alternate Current)結合用コンデンサと呼ぶ(以下、DCカット用コンデンサと呼ぶ)。
【0027】
DCカット用コンデンサであるコンデンサCDCは、高速伝送経路SGPH中に少なくとも1個以上挿入されていれば良い。したがって、本実施の形態に対する変形例として、例えば
図1に示す配線基板MB1にコンデンサCDCを搭載することもできる。この場合、半導体装置PKG1や半導体装置PKG2には、コンデンサCDCが搭載されていなくても良い。
【0028】
ただし、
図2に示すように、半導体装置PKG1内にコンデンサCDCが内蔵される場合、配線基板MB1に形成される配線のレイアウトを単純化することができる。これにより、配線基板MB1を小型化することができる。
【0029】
図2に示す低速伝送経路SGPLでは、例えば、3Gbps(Gigabit per second)未満の伝送速度で、電気信号が伝送される。また、信号電極Txと信号電極Rxとを電気的に接続することで形成される高速伝送経路SGPHでは、例えば、10Gbps〜60Gbps程度の伝送速度で電気信号が伝送される。高速伝送経路SGPHでは、伝送ロスの低減やクロストークノイズの低減などに対する要求レベルが高い。特に、50Gbpsを超えるような伝送速度に対応するためには、例えば、電気信号の符号化の方式などに起因して、伝送ロスの低減やクロストークノイズの低減などに対する要求レベルが非常に高くなる。
【0030】
例えば、電気信号を伝送する際に利用される伝送符号の方式として、NRZ(non return to zero)と呼ばれる方式がある。NRZ方式では、信号パルスの2つの状態(例えば正の電圧レベルとゼロボルトの電圧レベル)で1ビットを表す。NRZ方式の場合、パルス信号の周波数を高くすることにより、信号伝送の高速化を図る。パルス信号の高周波化に伴って、伝送ロスの低減やクロストークノイズの低減などに対する要求レベルが高くなる。
【0031】
また、信号のデータレート(データ転送速度)を上げる方法として、パルス振幅変調(PAM:pulse amplitude modulation)と呼ばれる変調方式がある。PAMでは、信号波形の振幅を、シンボルごとに複数種類に分類する。例えば、PAM4では、信号波形を4種類(以下、4値と記載する)の振幅レベルに分類する。PAM4の場合、1周期で4ビットを表すことができるので、信号伝送速度が同じと仮定しても、データレートを上げることが可能である。また、1/2周波数をナイキスト周波数とした場合、例えば、NRZ方式を利用してデータレート56Gbpsで信号伝送する場合には、28GHzであるが、PAM4を利用してデータレート56Gbpsで信号伝送する場合には、14GHzである。このため、同じデータレートであれば、PAM4を利用することにより、伝送ロスを低減することができる。
【0032】
しかし、PAM4の場合、4値に対応したアイパターンの開口(アイ開口)を明確にする必要がある。また、4値に対応したアイ開口は、2値に対応したアイ開口より振幅が小さくなるため、波形品質の向上がさらに重要になる。このため、クロストークノイズの低減やジッタなどに対する要求レベルは、NRZ方式の場合よりさらに厳しくなる。例えば、PAM4を利用してデータレート56Gbpsで信号伝送を行う場合、NRZ方式を利用してデータレート12.5Gbpsで信号伝送を行う場合と比較して、高速伝送経路SGPHに対するクロストークは、1/10以下にする必要がある。また、上記の通り、PAM4の場合、NRZ方式と比較すると、伝送ロスを低減できるが、例えば、データレート12.5Gbpsで信号伝送を行う場合と比較すれば、伝送ロスの低減が必要になる。また、クロストーク削減のため、互いに隣り合う高速伝送経路SGPHの間に、接地電位が供給される導体パターンを配置する方法がある。ただし、PAM4を利用して56Gbpsで信号伝送を行う場合、NRZ方式を利用して12.5Gbpsで信号伝送を行う場合と比較して、高速伝送経路SGPHを構成する電極などの導体パターンの面積は、1.5倍程度大きくする必要がある。
【0033】
そこで、本願発明者は、伝送ロス、あるいはクロストークノイズを低減させることにより、高速での信号伝送経路の信頼性を向上させる取り組みの一環として、半導体装置PKG1内の信号伝送経路の構造について検討した。この結果、以下で説明する技術を見出した。
【0034】
<半導体装置>
図1に示す半導体装置PKG1を例として、半導体装置PKG1内における信号伝送経路の構造例について説明する。まず、半導体装置PKG1の概要を説明した後、信号伝送経路の構造について説明する。
図3は、
図1に示す二個の半導体装置のうちの一方の半導体装置の上面図である。
図4は、
図3に示す半導体装置の下面図である。また、
図5は、
図3に示す放熱板を取り除いた状態で配線基板上の半導体装置の内部構造を示す平面図である。また、
図6は、
図3のA−A線に沿った断面図である。また、
図7は、
図6に示す半導体チップの電極配置面の平面図である。
【0035】
なお、本実施の形態では、端子の数やコンデンサの数が少ない実施態様を例示的に取り上げて説明している。ただし、端子の数やコンデンサの数は、本実施の形態に示す例の数には限定されず、種々の変形例が適用可能である。
【0036】
本実施の形態の半導体装置PKG1は、配線基板SUB1、および配線基板SUB1に搭載された半導体チップCHP1(
図5参照)を備える。また、本実施の形態の例では、半導体装置PKG1は、配線基板SUB1に搭載された複数のコンデンサCPS(
図5参照)および複数のコンデンサCDC(
図5参照)を備える。
【0037】
図6に示すように、配線基板SUB1は、半導体チップCHP1が搭載される上面(面、主面、チップ搭載面、第1主面)2t、上面2tとは反対側の下面(面、主面、実装面、第2主面)2bを有する。また、配線基板SUB1は、上面2tおよび下面2bのそれぞれの外縁に交差する複数の側面2s(
図3〜
図5参照)を有する。本実施の形態の場合、配線基板SUB1の上面2t(
図3参照)および下面2b(
図4参照)はそれぞれ四角形である。
【0038】
配線基板SUB1は、上面2t上に搭載された半導体チップCHP1と、マザーボード(実装基板)である配線基板MB1(
図1参照)と、を互いに電気的に接続するインタポーザ(中継基板)である。配線基板SUB1は、チップ搭載面である上面2t側の端子と実装面である下面2b側の端子とを電気的に接続する複数の配線層(
図6に示す例では10層)WL1、WL2、WL3、WL4、WL5、WL6、WL7、WL8、WL9、WL10を有する。各配線層は、電気信号や電力を供給する経路である配線などの導体パターンを有する。また各配線層の間には、絶縁層2eが配置されている。各配線層は、絶縁層2eを貫通する層間導電路であるビア2v、あるいはスルーホール配線2THWを介して電気的に接続されている。
【0039】
また、複数の配線層のうち、最も上面2t側に配置される配線層WL1の大部分は、ソルダレジスト膜である絶縁層SR1に覆われる。また、複数の配線層のうち、最も下面2b側に配置される配線層WL10の大部分は、ソルダレジスト膜である絶縁層SR2に覆われる。
【0040】
また、配線基板SUB1は、例えば、ガラス繊維に樹脂を含浸させたプリプレグからなる絶縁層(コア材、コア絶縁層)2CRの上面2Ctおよび下面2Cbに、それぞれ複数の配線層をビルドアップ工法により積層することで、形成されている。また、絶縁層2CRの上面2Ct側にある配線層WL5と下面2Cb側にある配線層WL6とは、上面2Ctと下面2Cbのうちの一方から他方までを貫通するように設けられた複数の貫通孔(スルーホール)に埋め込まれた、複数のスルーホール配線2THWを介して電気的に接続されている。
【0041】
配線基板SUB1の上面2tには、半導体チップCHP1と電気的に接続される複数のパッド(端子、ボンディングパッド、ボンディングリード、半導体チップ接続用端子)2PDが形成されている。また、配線基板SUB1の下面2bには、半導体装置PKG1の外部入出力端子である複数のランド2LDが形成されている。複数のパッド2PDと複数のランド2LDは、配線基板SUB1に形成された配線2d、ビア2v、およびスルーホール配線2THWを介して、それぞれ電気的に接続されている。
【0042】
なお、
図6に示す例では、配線基板SUB1はコア材である絶縁層2CRの上面2Ct側、および下面2Cb側にそれぞれ複数の配線層を積層した配線基板を示している。しかし、
図6に対する変形例としては、プリプレグ材などの硬い材料からなる絶縁層2CRを有さず、絶縁層2eと配線2dなどの導体パターンを順に積層して形成する、所謂、コアレス基板を用いても良い。コアレス基板を用いた場合、スルーホール配線2THWは形成せず、各配線層は、ビア2vを介して電気的に接続される。また、
図6では、10層の配線層を有する配線基板SUB1を例示的に示しているが、変形例としては、例えば、11層以上、あるいは8層以下の配線層を有する配線基板を用いても良い。
【0043】
また、
図6に示す例では、複数のランド2LDのそれぞれには、半田ボール(半田材、外部端子、電極、外部電極)SBが接続されている。半田ボールSBは、半導体装置PKG1を
図1に示す配線基板MB1に実装する際に、配線基板MB1側の複数の端子(図示は省略)と複数のランド2LDを電気的に接続する、導電性部材である。半田ボールSBは、例えば、鉛(Pb)入りのSn−Pb半田材、あるいは、Pbを実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなる半田材である。鉛フリー半田の例としては、例えば錫(Sn)のみ、錫−ビスマス(Sn−Bi)、または錫−銅−銀(Sn−Cu−Ag)、錫−銅(Sn−Cu)などが挙げられる。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0044】
また、
図4に示すように複数の半田ボールSBは、行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。また、
図4では図示を省略するが、複数の半田ボールSBが接合される複数のランド2LD(
図6参照)も行列状(マトリクス状)に配置されている。このように、配線基板SUB1の実装面側に、複数の外部端子(半田ボールSB、ランド2LD)を行列状に配置する半導体装置を、エリアアレイ型の半導体装置と呼ぶ。エリアアレイ型の半導体装置は、配線基板SUB1の実装面(下面2b)側を、外部端子の配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、外部端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。
【0045】
また、半導体装置PKG1は、配線基板SUB1上に搭載される半導体チップCHP1を備えている。
図6に示すように、半導体チップCHP1のそれぞれは、表面(主面、上面)3t、表面3tとは反対側の裏面(主面、下面)3bを備える。また半導体チップCHP1は、表面3tおよび裏面3bと交差する複数の側面3sを備える。半導体チップCHP1は、
図5に示すように平面視において配線基板SUB1よりも平面積が小さい四角形の外形形状を成す。
図5に示す例では、半導体チップCHP1が配線基板SUB1の上面2tの中央部に搭載され、かつ、半導体チップCHP1の四つの側面3sのそれぞれが、配線基板SUB1の四つの側面2sのそれぞれに沿って延びている。
【0046】
また、
図7に示すように、半導体チップCHP1の表面3t側には、複数の電極(パッド、電極パッド、ボンディングパッド)3PDが形成されている。複数の電極3PDは、半導体チップCHP1の表面3tにおいて半導体チップCHP1の表面3tの大部分を覆う絶縁膜(パッシベーション膜、保護絶縁膜)3PFから露出している。複数の電極3PDは、表面3tにおいて表面3tの外縁に最も近い最外周から表面3tの中心に向かって複数列で配列される。本実施の形態では、半導体チップCHP1の表面3tには、複数の電極3PDが行列状(マトリクス状、アレイ状)に配置されている。半導体チップCHP1の複数の電極3PDを行列状に配置することで、半導体チップCHP1の表面3tを電極の配置スペースとして有効活用することができるので、半導体チップCHP1の電極数が増大しても平面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。ただし、図示は省略するが、本実施の形態に対する変形例としては、複数の電極3PDが表面3tの周縁部に配置され、中央部には配置されないタイプの半導体チップに適用することもできる。
【0047】
また、
図6に示す例では、半導体チップCHP1は、表面3tが配線基板SUB1の上面2tと対向した状態で、配線基板SUB1上に搭載されている。このような搭載方式は、フェイスダウン実装方式、あるいはフリップチップ接続方式と呼ばれる。
【0048】
また、図示は省略するが、半導体チップCHP1の主面(詳しくは、半導体チップCHP1の基材である半導体基板の素子形成面に設けられた半導体素子形成領域)には、複数の半導体素子(回路素子)が形成されている。複数の電極3PDは、半導体チップCHP1の内部(詳しくは、表面3tと図示しない半導体素子形成領域の間)に配置される配線層に形成された配線(図示は省略)を介して、この複数の半導体素子と、それぞれ電気的に接続されている。
【0049】
半導体チップCHP1(詳しくは、半導体チップCHP1の基材)は、例えばシリコン(Si)から成る。また、表面3tには、半導体チップCHP1の基材および配線を覆う絶縁膜3PF(
図7参照)が形成されており、複数の電極3PDのそれぞれの一部は、この絶縁膜3PFに形成された開口部において、絶縁膜3PFから露出している。また、複数の電極3PDは、それぞれ金属からなり、本実施の形態では、例えばアルミニウム(Al)からなる。
【0050】
また、
図6に示すように、複数の電極3PDにはそれぞれ突起電極3BPが接続され、半導体チップCHP1の複数の電極3PDと、配線基板SUB1の複数のパッド2PDとは、複数の突起電極3BPを介して、それぞれ電気的に接続されている。突起電極(バンプ電極)3BPは、半導体チップCHP1の表面3t上に突出するように形成された金属部材(導電性部材)である。突起電極3BPは、本実施の形態では、電極3PD上に、下地金属膜(アンダーバンプメタル)を介して半田材が積層された、所謂、半田バンプである。下地金属膜は、例えば、電極3PDとの接続面側からチタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)が積層された積層膜(ニッケル膜上にさらに金(Au)膜を形成する場合もある)を例示することができる。また、半田バンプを構成する半田材としては、上記した半田ボールSBと同様に、鉛入りの半田材や鉛フリー半田を用いることができる。半導体チップCHP1を配線基板SUB1に搭載する際には、複数の電極3PDおよび複数のパッド2PDの双方に、予め半田バンプを形成しておき、半田バンプ同士を接触させた状態で加熱処理(リフロー処理)を施すことで、半田バンプ同士が一体化して、突起電極3BPが形成される。また、本実施の形態に対する変形例としては、銅(Cu)やニッケル(Ni)からなる導体柱の先端面に半田膜を形成したピラーバンプ(柱状電極)を突起電極3BPとして用いても良い。
【0051】
また、
図6に示すように半導体チップCHP1と配線基板SUB1の間には、アンダフィル樹脂(絶縁性樹脂)UFが配置される。アンダフィル樹脂UFは、半導体チップCHP1の表面3tと配線基板SUB1の上面2tの間の空間を塞ぐように配置される。また、アンダフィル樹脂UFは、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成り、半導体チップCHP1と配線基板SUB1の電気的接続部分(複数の突起電極3BPの接合部)を封止するように配置される。このように、複数の突起電極3BPと複数のパッド2PDとの接合部をアンダフィル樹脂UFで覆うことで、半導体チップCHP1と配線基板SUB1の電気的接続部分に生じる応力を緩和させることができる。また、半導体チップCHP1の複数の電極3PDと複数の突起電極3BPとの接合部に生じる応力についても緩和させることができる。さらには、半導体チップCHP1の半導体素子(回路素子)が形成された主面を保護することもできる。
【0052】
また、
図6に示す例では、半導体チップCHP1の裏面3bには、放熱板(ヒートスプレッダ、放熱部材)HSが貼り付けられている。放熱板HSは、例えば、配線基板SUB1よりも熱伝導率が高い金属板であって、半導体チップCHP1で発生した熱を外部に排出する機能を備えている。また、放熱板HSは、接着材(放熱樹脂)BDhsを介して半導体チップCHP1の裏面3bに貼り付けられている。接着材BDhsは、例えば、多数の金属粒子やフィラ(例えばアルミナなど)を含有させることにより、アンダフィル樹脂UFよりも熱伝導率が高くなっている。
【0053】
また、
図5および
図6に示す例では、半導体チップCHP1の周囲には、放熱板HS(
図6参照)を支持する支持枠(スティフナリング)SFRが固定されている。放熱板HSは、半導体チップCHP1の裏面3bおよび支持枠SFRに接着固定されている。半導体チップCHP1の周囲に金属性の支持枠SFRを固定することで、配線基板SUB1の反り変形を抑制することができるので、実装信頼性を向上させる観点から好ましい。また、半導体チップCHP1の周囲を囲むように設けられた支持枠SFRに、放熱板HSを接着固定することで、放熱板HSの平面積を大きくすることができる。つまり放熱板HSの表面積を大きく確保することにより放熱性能を向上でき、かつ半導体チップCHP1上に安定的に固定する観点から、放熱板HSを支持枠SFRに接着固定することが好ましい。
【0054】
なお、本実施の形態では、半導体チップCHP1の裏面3bに放熱板HSが貼り付けられた実施態様を例に取り上げて説明したが、変形例としては、放熱板HSを取り付けず、半導体チップCHP1の裏面3bが露出した実施態様としても良い。
【0055】
また、
図5に示すように、半導体装置PKG1は、配線基板SUB1上に搭載される複数のコンデンサCDC、CPSを備える。複数のコンデンサCDC、CPSには、DCカット用コンデンサであるコンデンサCDCと、バイパスコンデンサ、デカップリングコンデンサ、あるいはバッテリとして用いる電源回路用のコンデンサCPSが含まれる。
図5では、複数のコンデンサCDC、CPSのうちの一部に符号を付して示しているが、平面視において、支持枠SFRの内側に配置されるコンデンサは、全てがコンデンサCPSであり、コンデンサCDCは、支持枠SFRの外側に配置されている。
【0056】
複数のコンデンサCDCのそれぞれは、上記したように高速伝送経路SGPHに直列接続で挿入される。コンデンサCDCが高速伝送経路SGPHに直列接続で挿入されることは、以下のように表現できる。すなわち、
図2に示すように、信号電極Rxp、Rxnのそれぞれは、コンデンサCDCを介して高速伝送用のランドLDHと電気的に接続されている。詳しくは、コンデンサCDCの一方の電極は、半導体チップCHP1の信号電極Rxpまたは信号電極Rxnに接続され、コンデンサCDCの他方の電極は、高速信号用のランドLDHに接続される。一方、低速伝送経路SGPLを構成する信号電極TxL、RxLおよび低速信号用のランドLDLは、コンデンサCDCを介さずに、電気的に接続される。
【0057】
図2に示す例では、半導体装置PKG1が備える複数の高速伝送経路SGPHのうち、信号SGR(
図1参照)が伝送される信号伝送経路SGPRにコンデンサCDCが接続されている。一方、半導体装置PKG2の信号伝送経路SGPRには、コンデンサCDCが接続されていない。半導体装置PKG1の出力信号である信号SGT(
図1参照)に含まれる直流成分は、半導体装置PKG2の半導体チップCHP2に入力される前に、半導体装置PKG2のコンデンサCDCによりカットされる。ただし、変形例としては、半導体装置PKG1の信号伝送経路SGPTおよび信号伝送経路SGPRの両方にコンデンサCDCが接続されていても良い。あるいは、半導体装置PKG1の信号伝送経路SGPTのみにコンデンサCDCが接続され、信号伝送経路SGPRにはコンデンサCDCが接続されていなくても良い。
【0058】
また、複数のコンデンサCPSのそれぞれは、電源回路の第1の電位と第2の電位を接続するように電源回路内に並列接続で挿入される。コンデンサCPSが電源回路に並列接続で挿入されることは、以下のように表現できる。すなわち、
図2に示すように、半導体チップCHP1が有する複数の電極3PD(後述する
図8参照)には、基準電位VSSが供給される電極(電極パッド)Vsと、電源電位VDDが供給される電極(電極パッド)Vdが含まれる。また、配線基板SUB1が有する複数のランド2LDには、基準電位VSSが供給されるランドLVsと、電源電位VDDが供給されるランドLVdが含まれる。また、コンデンサCPSの一方の電極は、基準電位電極VsとランドLVsを接続する基準電位供給経路VSPに接続され、コンデンサCPSの他方の電極は、電源電位電極VdとランドLVdとを接続する電源電位供給経路VDPに接続される。
【0059】
<高速伝送経路の構造例>
次に、半導体装置PKG1が備える高速伝送経路の配線構造について説明する。
図8は、
図7のA部の拡大平面図である。また、
図9は、
図6に示す配線基板の上面において、
図8に示す複数の電極と対向する端子の周辺を拡大して示す拡大平面図である。
図10は、
図9のA−A線に沿った拡大断面図である。
図11は、
図9に示す配線層の下層(第2層目)の配線層の拡大平面図である。
図12は、
図11に示す配線層の下層(第3層目)の配線層の拡大平面図である。
図13は、
図12に示す配線層の下層(第4層目)の配線層の拡大平面図である。
図14は、
図13に示す配線層の下層(第5層目)の配線層の拡大平面図である。
図15は、
図11のA−A線に沿った拡大断面図である。
図6に示す配線基板SUB1の複数の配線層のそれぞれは、半導体チップCHP1と重なる領域(チップ重畳領域)CHR1(
図9参照)を有している。
図9および
図11〜
図14では、領域CHR1の外縁の辺CHRsを二点鎖線で示している。また、
図8、
図9および
図11〜
図14では、各伝送経路に供給される信号や電位の種類を識別するため、
図7と同様にハッチングや模様を付している。出力信号(送信信号)の伝送経路および入力信号(受信信号)の伝送経路には、互いに異なるハッチングを付している。また、基準電位の伝送経路には、ドットパターンを付している。また、電源電位の伝送経路には、基準電位の伝送経路よりも濃いドットパターンを付している。
【0060】
また、
図16は、
図6に示す配線基板の第2層目の配線層の平面図、
図17は、
図16に示す配線基板の第4層目の配線層の平面図である。信号配線Twと信号配線Rwとが重なっている領域を識別し易くするため、
図16では信号配線Rwを点線で示し、
図17では信号配線Twを点線で示している。また、
図16および
図17では、領域CHR1と、信号配線Twと信号配線Rwとが配線層WL3を挟んで並走する領域WR1と、信号配線Twと信号配線Rwとが重ならない領域WR2と、の境界を二点鎖線で示している。
【0061】
図2を用いて説明したように、半導体チップCHP1が有する複数の電極3PD(
図7参照)は、出力信号である信号SGT(
図1参照)が伝送される信号電極Txを含む。また、半導体チップCHP1が有する複数の電極3PDは、入力信号である信号SGR(
図1参照)が伝送される信号電極Rxを含む。また、半導体チップCHP1が有する複数の電極3PDは、電源電位VDDが供給される電源電位電極Vdと、基準電位VSSが供給される基準電位電極Vsと、を含む。
【0062】
信号電極Txは、
図9に示す信号パッドTy、ビア2vT1、
図11に示す信号配線Tw、および
図6に示す配線層WL2〜配線層WL10の各配線層を電気的に接続するビア2v(またはスルーホール配線2THW)を介して半導体装置PKG1の外部入出力端子である複数のランド2LDに電気的に接続されている。信号電極Rxは、
図10に示す信号パッドRy、ビア2vR1、2vR2、2vR3、
図13に示す信号配線Rw、および
図6に示す配線層WL1〜配線層WL10の各配線層を電気的に接続するビア2vまたはスルーホール配線2THWを介して半導体装置PKG1の外部入出力端子である複数のランド2LDに電気的に接続されている。
【0063】
なお、
図2に示すように、入力信号の伝送経路にはコンデンサCDCが直列接続で挿入されている。本実施の形態の場合コンデンサCDCは、
図6に示すように、配線基板SUB1の上面2t上に搭載される。このため、ランド2LDから入力された信号SGR(
図1参照)は、上面2t上のコンデンサCDCを経由して、
図13に示す配線層WL4の信号配線Rwに接続される。また、
図2に示すように、出力信号の伝送経路には、半導体装置PKG1の内部ではコンデンサCDCが接続されない。このため、
図6に示す半導体チップCHP1から出力された信号SGT(
図1参照)は、配線層WL1から配線層WL10に向かって伝送され、ランド2LDから出力される。
【0064】
また、電源電位電極Vdは、
図9に示す電源電位パッドVdy、ビア2vd1、
図11に示す導体パターン2PVD、ビア2vd2、
図12に示す導体パターン2PVD、ビア2vd3、
図13に示す導体パターン2PVD、ビア2vd4、
図14に示す導体プレーン2PLVD、および
図6に示す配線層WL5〜配線層WL10の各配線層を電気的に接続するビア2vまたはスルーホール配線2THWを介してランド2LDに電気的に接続されている。また、基準電位電極Vsは、
図9に示す基準電位パッドVsy、ビア2vs1、導体プレーン2PL1、
図11に示す導体プレーン2PL2、ビア2vs2、
図12に示す導体プレーン2PL3、ビア2vs3、
図13に示す導体プレーン2PL4、ビア2vs4、
図14に示す導体プレーン2PL5、および
図6に示す配線層WL5〜配線層WL10の各配線層を電気的に接続するビア2vまたはスルーホール配線2THWを介してランド2LDに電気的に接続されている。
【0065】
また、
図8に示すように、半導体チップCHP1の表面3tにおいて、表面3tの外縁と表面3tの中心との間の列(第1列目)PDL1には、複数の信号電極Txが配列される。半導体チップCHP1の表面3tにおいて、列PDL1と表面3tの中心との間の列(第2列目)PDL2には、複数の電源電位電極Vdおよび複数の基準電位電極Vsが配列される。半導体チップCHP1の表面3tにおいて、列PDL2と表面3tの中心との間の列(第3列目)PDL3には、複数の信号電極Rxが配列される。本実施の形態の場合、出力信号(送信信号)を伝送する送信用配線と入力信号(受信信号)を伝送する受信配線とが互いに異なる配線層に配置される。出力用の信号電極Txと入力用の信号電極Rxとが互いに異なる列に配置されていることにより、後述するように配線基板における配線のレイアウトを単純化し、出力信号と入力信号のクロストークノイズを低減できる。
【0066】
本実施の形態の場合、
図1に示す信号SGTおよび信号SGRのそれぞれは、差動信号である。このため、信号電極Txには、一対の差動信号が出力される信号電極Txpと信号電極Txnが含まれる。
図8に示すように、差動対を構成する信号電極Txpと信号電極Txnは、複数の信号電極Txの配列方向であるY方向に沿って互いに隣り合うように配列される。また、信号電極Rxには、一対の差動信号が入力される信号電極Rxpと信号電極Rxnが含まれる。差動対を構成する信号電極Rxpと信号電極Rxnは、複数の信号電極Rxの配列方向であるY方向に沿って互いに隣り合うように配列される。
【0067】
また、
図8に示すように、半導体チップCHP1の表面3tにおいて、列PDL2の延在方向であるY方向に沿って、複数の電源電位電極Vdおよび複数の基準電位電極Vsが交互に配列される。基準電位の供給経路は、信号伝送経路のリファレンス経路として利用される場合がある。この場合、信号伝送経路とリファレンス経路との離間距離が一定間隔であることが好ましい。
図8に示すように、列PDL2の延在方向に沿って、複数の電源電位電極Vdおよび複数の基準電位電極Vsが交互に配列される場合、複数の信号伝送経路のそれぞれの近傍にリファレンス経路を配置することができる。
【0068】
また、
図6に示すように、配線基板SUB1は、半導体チップCHP1の複数の電極3PDと対向する複数のパッド2PDを有する。複数のパッド2PDのそれぞれは、配線基板SUB1が備える複数の配線層のうち、最もチップ搭載面に近い配線層WL1に設けられている。
図9に示すように、配線基板SUB1が有する複数のパッド2PD(
図6参照)は、出力信号(送信信号)である信号SGT(
図1参照)が伝送される信号パッドTy(詳しくは、一対の差動信号が出力される信号パッドTypと信号パッドTyn)を含む。また、配線基板SUB1が有する複数のパッド2PDは、入力信号(受信信号)である信号SGR(
図1参照)が伝送される信号パッドRy(詳しくは、一対の差動信号が入力される信号パッドRypと信号パッドRyn)を含む。また、配線基板SUB1が有する複数のパッド2PDは、電源電位VDDが供給される電源電位パッドVdyと、基準電位VSSが供給される基準電位パッドVsyと、を含む。
【0069】
複数の信号パッドTyのそれぞれは、
図8に示す複数の信号電極Txと対向する。複数の信号パッドRyのそれぞれは、
図8に示す複数の信号電極Rxと対向する。複数の電源電位パッドVdyのそれぞれは、
図8に示す複数の電源電位電極Vdと対向する。また、複数の基準電位パッドVsyのそれぞれは、
図8に示す複数の基準電位電極Vsと対向する。
【0070】
配線基板SUB1の領域CHR1において、領域CHR1の外縁の辺CHRsと領域CHR1の中心との間の列(第1列目)PDL1には、複数の信号パッドTyが配列される。配線基板SUB1の領域CHR1において、列PDL1と領域CHR1の中心との間の列(第2列目)PDL2には、複数の電源電位パッドVdyおよび複数の基準電位パッドVsyが配列される。配線基板SUB1の領域CHR1において、列PDL2と領域CHR1の中心との間の列(第3列目)PDL3には、複数の信号パッドRyが配列される。
【0071】
また、
図9に示すように、配線基板SUB1の複数の配線層のそれぞれは、半導体チップCHP1(
図6参照)と重なる領域(チップ重畳領域)CHR1と、領域CHR1の周囲にあり、かつ、半導体チップCHP1と重ならない領域(チップ非重畳領域、周辺領域)CHR2と、を備える。複数の信号伝送経路のそれぞれは、複数の配線層の何れかにおいて、領域CHR1から領域CHR2に引き出される。本実施の形態の場合、出力信号の複数の信号伝送経路と入力信号の複数の信号伝送経路とは、互いに異なる配線層において領域CHR1から領域CHR2に引き出される。
【0072】
図10に示すように、配線基板SUB1の複数の配線層は、上面2tと下面2b(
図6参照)との間にある配線層WL1、配線層WL1と下面2bとの間にある配線層WL2、配線層WL2と下面2bとの間にある配線層WL3、配線層WL3と下面2bとの間にある配線層WL4、および配線層WL4と下面2bとの間にある配線層WL5、を含む。出力信号の複数の信号伝送経路は、配線層WL2において領域CHR1から領域CHR2に引き出される。また、入力信号の複数の信号伝送経路は、配線層WL4において、領域CHR1から領域CHR2に引き出される。
【0073】
詳しくは、配線基板SUB1は、配線層WL2に形成され、複数の信号電極Tx(
図8参照)のそれぞれに接続される複数の信号配線(信号線)Twを備える。
図11に示すように、複数の信号配線Twのそれぞれは、ビア2vT1を介して配線層WL1(
図9参照)の信号パッドTy(
図9参照)と電気的に接続されている。また、平面視において、複数の信号配線Twのそれぞれの一方の端部TwE1は、領域CHR1にある。ビア2vT1は、信号配線Twの端部TwE1に接続される。複数の信号配線Twのそれぞれの他方の端部TwE2(
図16参照)は、領域CHR2にある。複数の信号配線Twのそれぞれは、領域CHR1と領域CHR2との境界を跨ぐように延びる。
【0074】
また、
図13に示すように、配線基板SUB1は、配線層WL4に形成され、複数の信号電極Rx(
図8参照)のそれぞれに接続される複数の信号配線(信号線)Rwを備える。複数の信号配線Rwのそれぞれは、ビア2vR1(
図10参照)、ビア2vR2(
図10参照)、およびビア2vR3を介して配線層WL1(
図9参照)の信号パッドRy(
図9参照)と電気的に接続されている。また、平面視において、複数の信号配線Rwのそれぞれの一方の端部RwE1は領域CHR1にある。ビア2vR3は、信号配線Rwの端部RwE1に接続される。複数の信号配線Rwのそれぞれの他方の端部RwE2(
図17参照)は、領域CHR2にある。複数の信号配線Rwのそれぞれは、領域CHR1と領域CHR2との境界を跨ぐように延びる。
【0075】
また、配線基板は、複数の配線層のそれぞれに大面積の導体パターンである導体プレーン(導体パターン)2PLを備える。詳しくは、
図9に示す配線層WL1には、基準電位VSS(
図2参照)が供給される導体プレーン(導体パターン)2PL1が形成されている。導体プレーン2PL1は、配線層WL1における領域CHR2の大部分を覆っている。また、導体プレーン2PL1は、領域CHR1にもある。導体プレーン2PL1は、領域CHR1において、複数の信号パッドTyの間、複数の信号パッドRyの間、および複数の電源電位パッドVdyの間に配置されている。また、配線層WL1の領域CHR1において、導体プレーン2PL1の一部分は、基準電位パッドVsyとして機能する。なお、差動対を構成する信号パッドTynと信号パッドTypとの間、および差動対を構成する信号パッドRynと信号パッドRypとの間、には導体プレーン2PL1が配置されていない。
【0076】
また、
図11に示す配線層WL2には、導体プレーン2PL1(
図9参照)と電気的に接続される導体プレーン(導体パターン)2PL2が形成されている。導体プレーン2PL2は、複数のビア2vs1を介して導体プレーン2PL1と電気的に接続されている。このため、導体プレーン2PL2には、基準電位VSS(
図2参照)が供給される。導体プレーン2PL2は、配線層WL2において、領域CHR1および領域CHR2の両方にある。領域CHR2において、導体プレーン2PL2は、隣り合う信号配線Twの間に配置されている。詳しくは、導体プレーン2PL2は、隣り合う差動対の間に配置されている。また、導体プレーン2PL2は、差動対を構成する信号配線Twnと信号配線Twpとの間には配置されていない。また、領域CHR1において、導体プレーン2PL2は、電源電位が供給される複数の導体パターン2PVD、および入力信号が伝送される複数の導体パターン2PRの間に配置されている。
【0077】
また、
図12に示す配線層WL3には、導体プレーン2PL2(
図11参照)と電気的に接続される導体プレーン(導体パターン)2PL3が形成されている。導体プレーン2PL3は、複数のビア2vs2を介して導体プレーン2PL2と電気的に接続されている。このため、導体プレーン2PL3には、基準電位VSS(
図2参照)が供給される。導体プレーン2PL3は、配線層WL3において、領域CHR1および領域CHR2の両方にある。領域CHR2において、導体プレーン2PL3は、領域CHR2の大部分を覆っている。また、領域CHR1において、導体プレーン2PL3は、電源電位が供給される複数の導体パターン2PVD、および入力信号が伝送される複数の導体パターン2PRの間に配置されている。
【0078】
また、
図13に示す配線層WL4には、導体プレーン2PL3(
図12参照)と電気的に接続される導体プレーン(導体パターン)2PL4が形成されている。導体プレーン2PL4は、複数のビア2vs3を介して導体プレーン2PL3と電気的に接続されている。このため、導体プレーン2PL4には、基準電位VSS(
図2参照)が供給される。導体プレーン2PL4は、配線層WL4において、領域CHR1および領域CHR2の両方にある。領域CHR2において、導体プレーン2PL4は、隣り合う信号配線Rwの間に配置されている。詳しくは、導体プレーン2PL4は、隣り合う差動対の間に配置されている。また、導体プレーン2PL4は、差動対を構成する信号配線Rwnと信号配線Rwpとの間には配置されていない。また、領域CHR1において、導体プレーン2PL4は、電源電位が供給される複数の導体パターン2PVD、および隣り合う差動対(信号配線Rw)の間に配置されている。
【0079】
また、
図14に示す配線層WL5には、導体プレーン2PL4(
図13参照)と電気的に接続される導体プレーン(導体パターン)2PL5が形成されている。導体プレーン2PL5は、複数のビア2vs4を介して導体プレーン2PL4と電気的に接続されている。このため、導体プレーン2PL5には、基準電位VSS(
図2参照)が供給される。導体プレーン2PL5は、配線層WL5において、領域CHR1および領域CHR2の両方にある。導体プレーン2PL5は、領域CHR1と領域CHR2との境界を跨ぐように形成され、領域CHR2の大部分を覆っている。また、領域CHR1には、電源電位VDD(
図2参照)が供給される大面積の導体パターンである導体プレーン(導体パターン)2PLVDが形成されている。導体プレーン2PLVDは、
図13に示す導体パターン2PVDと重なり、かつ、複数の信号配線Rwとは重ならない。複数の信号配線Rwのそれぞれは、
図14に示す導体プレーン2PL5と重なる。
【0080】
また、
図11と
図13を比較して判るように(
図10に示す上面2t側から視た)平面視において、信号配線Twの一部分は、信号配線Rwの一部分と重なる。言い換えれば、
図10に示すように、配線基板SUB1の上面2tと交差する(
図10では直交する)Z方向の断面視において、信号配線Twの一部分は、信号配線Rwの一部分と重なる。また、
図11および
図13に示す例では、複数の信号配線Tw(
図11参照)と複数の信号配線Rw(
図13参照)のそれぞれは、互いに重なり、かつ、同じ方向(
図11および
図13ではX方向)に延びる。言い換えれば、信号配線Twと信号配線Rwとは重なった状態で並走する。また、平面視において、導体プレーン2PL1、導体プレーン2PL3、および導体プレーン2PL5のそれぞれは、複数の信号配線Tw、および複数の信号配線Rwと重なる。また、平面視において、導体プレーン2PL1、導体プレーン2PL3、および導体プレーン2PL5のそれぞれは、
図11に示す導体プレーン2PL2および
図13に示す導体プレーン2PL4と重なる。
【0081】
本実施の形態によれば、信号配線Twと信号配線Rwとが互いに異なる配線層に配置され、かつ、信号配線Twと信号配線Rwとの間に導体プレーン2PL3が介在する。このため、入力信号の伝送経路と出力信号の伝送経路との間でのクロストークノイズを低減することができる。信号伝送経路間でのクロストークノイズのうち、出力信号の伝送経路から入力信号の伝送経路へのクロストークノイズの影響は、他のモードと比較して特に大きい。しかし、本実施の形態によれば、特に影響が大きいクロストークノイズが導体プレーン2PL3によるシールド効果により低減する。
【0082】
また、信号配線Twと信号配線Rwとを同じ配線層に配置する場合、上記したクロストークノイズ対策として、信号配線Twと信号配線Rwとの離間距離を広くとる必要がある。しかし、本実施の形態の場合、信号配線Twと信号配線Rwとが異なる配線層に配置されているので、信号配線Twおよび信号配線Rwの配置間隔を小さくできる。この結果、単位面積当たりの信号伝送経路の数を増加させることができる。
【0083】
また、半導体チップCHP1と重なる領域CHR1およびその近傍領域では、多数の信号伝送経路が密集する。このため、信号伝送経路間でのクロストークノイズの影響は、領域CHR1およびその周辺領域において特に大きい。
図10に示すように、半導体装置PKG1の場合、半導体チップCHP1と重なる領域CHR1、および領域CHR1の近傍において、信号配線Twと信号配線Rwとの間に導体プレーン2PL3が介在する。言い換えれば、半導体装置PKG1の場合、半導体チップCHP1と重なる領域CHR1において、信号配線Twから発生するノイズの電磁的影響をシールドし、信号配線Rwに伝達しない構造になっている。このため、クロストークノイズの影響が特に大きい領域において、ノイズ影響を低減させることができる。逆に言えば、半導体装置PKG1の場合、領域CHR1およびその近傍において、ノイズ影響を低減させることができるので、多数の信号伝送経路を集積することができる。
【0084】
また、
図10に示すように、本実施の形態の場合、出力信号の伝送経路(信号配線Tw)は、配線層WL2で領域CHR1から領域CHR2に引き出され、入力信号の伝送経路(信号配線Rw)は、配線層WL4で領域CHR1から領域CHR2に引き出される。また、
図8に示すように、出力信号の複数の伝送経路(信号電極Tx)のそれぞれは、半導体チップCHP1の表面3tにおいて、表面3tの外縁に近い列PDL1に配列され、入力信号の複数の伝送経路(信号電極Rx)のそれぞれは、半導体チップCHP1の表面3tにおいて、列PDL1よりも表面3tの中心に近い列PDL3に配列される。この場合、
図10に示すように、配線基板SUB1の内部において、出力信号の伝送経路と入力信号の伝送経路とが互いに交差することを抑制できる。この結果、配線基板SUB1における配線のレイアウトを単純化し、出力信号と入力信号のクロストークノイズを低減できる。
【0085】
また、上記した通り、
図1に示す信号SGTおよび信号SGRのそれぞれは、差動信号である。このため、
図8に示す複数の信号電極Txには、一対の差動信号が出力される信号電極Txpと信号電極Txnが含まれる。また、
図11に示すように複数の信号配線Twには、一対の差動信号が出力される信号配線Twpと信号配線Twnが含まれる。同様に、
図8に示す複数の信号電極Rxには、一対の差動信号が入力される信号電極Rxpと信号電極Rxnが含まれる。また、
図13に示すように複数の信号配線Rwには、一対の差動信号が出力される信号配線Rwpと信号配線Rwnが含まれる。言い換えれば、
図8に示す複数の信号電極Txおよび
図11に示す複数の信号配線Twは、第1差動対を含み、かつ、
図8に示す複数の信号電極Rxおよび
図13に示す複数の信号配線Rwは、第2差動対を含む。
【0086】
また、
図11に示すように、平面視において、複数の信号配線Twのうち、第1差動対を構成する二本の配線(信号配線Twpおよび信号配線Twn)の間には、導体プレーン2PL2が無く、かつ、第1差動対を構成する二本の配線が互いに隣り合って配置される。同様に、
図13に示すように、平面視において、複数の信号配線Rwのうち、第2差動対を構成する二本の配線(信号配線Rwpおよび信号配線Rwn)の間には、導体プレーン2PL4が無く、かつ、第2差動対を構成する二本の配線が互いに隣り合って配置される。
【0087】
また、
図11および
図13に示すように、各差動対の間には、導体プレーン2PLが配置されている。言い換えれば、
図11に示す平面視において、複数の信号配線Twの複数の第1差動対のうち、互いに隣り合う第1差動対の間には、導体プレーン2PL2がある。また、
図13に示す平面視において、複数の信号配線Rwの複数の第2差動対のうち、互いに隣り合う第2差動対の間には、導体プレーン2PL4がある。この場合、
図15に示すように、信号配線Twの第1差動対および信号配線Rwの第2差動対のそれぞれの周囲が導体プレーン2PLによりシールドされる。このため、隣り合う差動対の間でのクロストークノイズを低減できる。
【0088】
また、
図11に示すように、平面視において、複数の信号配線Twの第1差動対の両隣には、第1差動対の延在方向に沿って導体プレーン2PL1(
図9参照)と導体プレーン2PL2とを電気的に接続する複数のビア2vs1(およびビア2vs2)が配置されている。また、
図13に示すように、平面視において、複数の信号配線Rwの第2差動対の両隣には、第2差動対の延在方向に沿って導体プレーン2PL3(
図12参照)と導体プレーン2PL4とを電気的に接続する複数のビア2vs3(およびビア2vs4)が配置されている。このように、差動対の両隣に配線の延在方向に沿って複数のビアが配列されている場合、複数のビアがノイズのシールドとして機能する。この結果、隣り合う差動対の間でのクロストークノイズを低減できる。
【0089】
また、
図11に示すように、隣り合う第1差動対の間にある導体プレーン2PL2には導体プレーン2PL2の延在方向に沿って導体プレーン2PL1(
図9参照)と導体プレーン2PL2とを電気的に接続する複数のビア2vs1が配置される。また、隣り合う前記第2差動対の間にある導体プレーン2PL4には導体プレーン2PL4の延在方向に沿って導体プレーン2PL3(
図12参照)と導体プレーン2PL4とを電気的に接続する複数のビア2vs3が配置される。複数のビア2vs1および複数のビア2vs3のそれぞれは、狭ピッチで設けられている。例えば、
図11に示す例では、隣り合う第1差動対の間に配置される複数のビア2vs1の配置間隔は、隣り合う第1差動対(信号電極Txpおよび信号電極Txn)の配置間隔と同程度であり、第1差動対(信号電極Txpおよび信号電極Txn)の配置間隔の2倍以下である。また、
図13に示す例では、隣り合う第2差動対の間に配置される複数のビア2vs3の配置間隔は、隣り合う第2差動対(信号電極Rxpおよび信号電極Rxn)の配置間隔と同程度であり、第2差動対(信号電極Rxpおよび信号電極Rxn)の配置間隔の2倍以下である。
【0090】
このように、信号伝送経路から発生する電磁波をシールドする導体パターンに狭ピッチで多数のビア2vs1、2vs3を接続することにより、導体パターンの電位が安定し、シールド特性を向上させることができる。
【0091】
また、
図11と
図13を比較して判るように、隣り合う第1差動対の間にある導体プレーン2PL2(
図11参照)と、隣り合う前記第2差動対の間にある導体プレーン2PL4とは、平面視において互いに同じ方向(X方向)に延び、かつ、
図15に示すように、平面視において互いに重なる。
【0092】
また、
図17に示すように、複数の信号配線Rwのそれぞれは、端部RwE1(
図13参照)、端部RwE1の反対側の端部RwE2、および端部RwE1と端部RwE2とを電気的に接続する配線部を備える。また、
図13に示すように、信号配線Rwの配線部は、第1配線幅で延在する配線部分RwW1と、第1配線幅より広い第2配線幅で延在する配線部分RwW2と、を有する。平面視において、配線部分RwW2は配線部分RwW1より配線基板SUB1の外周側にある。
【0093】
図13に示すように、複数の信号配線Rwのそれぞれは、電源電位が供給される複数の導体パターン2PVDの間に配置される。この場合、導体パターン2PVDと信号配線Rwとの間にシールドとして機能する導体パターンを設けることにより、導体パターン2PVDからのノイズ影響を低減させることが好ましい。しかし、領域CHR1では、多数の伝送経路が密集して配置されているので、導体パターン2PVDと信号配線Rwとの間にシールド用の導体パターンを設けるための十分なスペースを確保することが難しい。そこで、本実施の形態では、領域CHR1に配置される配線部分RwW1の配線幅が領域CHR2に配置される配線部分RwW2の配線幅より小さくなっている。これにより、導体パターン2PVDと信号配線Rwとの間にシールドとして機能する導体パターンを設けることができる。
【0094】
言い換えれば、
図13に示す配線層WL4は、複数の電源電位電極Vd(
図8参照)と電気的に接続され、かつ、平面視において領域CHR1に配置されるビア(電源電位ビア)2vd3、2vd4を備える。平面視において、ビア2vd3、2vd4は、複数の信号配線Rwのうち、互いに隣り合う配線部の配線部分RwW1の間に配置される。また、平面視において、ビア2vd3、2vd4は、ビア2vd3、2vd4と離間するように配置される導体プレーン2PL4に囲まれている。
【0095】
図13に示す例では、配線層WL4の領域CHR1には、複数の信号配線Rwの端部RwE1および配線部の配線部分RwW1があり、かつ、配線部の配線部分RwW2は無い。ただし、領域CHR1において、配線部の配線部分RwW2を配置するスペースが確保可能であれば、領域CHR1に配線部の配線部分RwW2があっても良い。
【0096】
また、
図11に示す配線層WL2は、複数の電源電位電極Vd(
図8参照)と電気的に接続され、かつ、平面視において領域CHR1に配置されるビア(電源電位ビア)2vd1、2vd2を備える。また、複数の信号配線Twのそれぞれは、端部TwE1、端部TwE1の反対側の端部TwE2(
図16参照)、および端部TwE1と端部TwE2とを電気的に接続する配線部を備える。平面視において、複数の信号配線Twのそれぞれの端部TwE1は、配線層WL2の領域CHR1にあり、かつ、複数の信号配線Twのそれぞれの間にはビア2vd1、2vd2は無い。このように、信号配線Twの場合、信号配線Twの間に電源電位が供給される導体パターンが無いので、信号配線Twの一部分の配線幅が狭くはなっていない。すなわち、
図13に示す信号配線Rwの配線部には、配線幅の異なる配線部分RwW1と配線部分RwW2とがあるが、
図11に示す信号配線Twの配線部は配線幅が一定である。なお、上記した「配線幅が一定」には、該当する信号伝送経路に要求される誤差範囲内において、実質的に一定と見做せる程度であれば、配線部の位置によって若干の誤差がある場合も含まれる。
【0097】
また、
図11と
図13を比較して判るように、配線層WL2の領域CHR1における複数の信号配線Twのそれぞれの配線部の配線幅は、配線層WL4の複数の信号配線Rwのそれぞれの配線部の配線部分RwW1の配線幅より広い。
【0098】
また、
図16および
図17に示すように、配線基板SUB1は、半導体チップCHP1(
図6参照)と重なる領域CHR1の周囲に、信号配線Twと信号配線Rwとが重なった状態で並走する領域WR1と、信号配線Twと信号配線Rwとが重ならない領域WR2と、を有する。X方向において、領域WR1は、領域CHR1と領域WR2との間にある。言い換えると、配線基板SUB1の複数の配線層のそれぞれは平面視において半導体チップCHP1と重なる領域CHR1と、平面視において領域CHR1より配線基板SUB1の周縁部側にある領域WR2と、領域CHR1と領域WR2との間にある領域WR1と、を含む。平面視において、複数の信号配線Twと複数の信号配線Rwとのそれぞれは、領域WR1において重なり、かつ、領域WR2において重ならない。
【0099】
平面視において、半導体チップCHP1(
図6参照)と重なる領域CHR1およびその近傍にある領域WR1は、多数の信号伝送経路が密集して配置されている。このため、信号配線Twと信号配線Rwとが重なるように配置することで、信号伝送経路の実装密度を増加させることができる。
【0100】
一方、配線基板SUB1の周辺領域である領域WR2は、領域WR1と比較してスペースに余裕があるため、信号配線Twと信号配線Rwとが重ならないレイアウトが適用できる。また、領域WR2には、複数の信号伝送経路のそれぞれと、
図6に示す半導体装置PKG1の外部入出力端子である複数のランド2LDとを電気的に接続するスルーホール配線2THWやビア2vが配置されている。このため、出力信号の伝送経路と入力信号の伝送経路とのクロストークノイズを低減する観点から、領域WR2では、出力信号用のスルーホール配線2THWおよびビア2vと、入力信号用のスルーホール配線2THWおよびビア2vと、の離間距離を大きくすることが好ましい。
【0101】
また、
図5に示す複数のコンデンサCDCのそれぞれは、配線基板SUB1の上面2t上において、
図16および
図17に示す領域WR2の上方に搭載されている。複数のコンデンサCDCは、
図17に示す複数の信号配線Rwと、それぞれ電気的に接続される。コンデンサCDCが半導体チップの信号伝送用の電極の近くに配置されている場合、コンデンサCDCの影響により、信号伝送経路の一部分のインピーダンスが設計値から外れる場合がある。このため、信号伝送経路のインピーダンスをマッチングさせる観点から、半導体チップCHP1とコンデンサCDCとの離間距離は大きい方が良い。本実施の形態の場合、複数のコンデンサCDCのそれぞれは、上記したように
図17に示す領域WR2の上方に搭載される。領域WR2は領域CHR1や領域WR1よりも配線基板SUB1の側面2sに近い位置にある。したがって、半導体チップCHP1とコンデンサCDCとの離間距離を大きくすることができるので、信号伝送経路のインピーダンスをマッチングさせ易い。
【0102】
また、
図5と
図16を比較して判るように、複数の信号配線Twのそれぞれは、複数のコンデンサCDCと重なる領域まで延在せず、複数のコンデンサCDCと重なる領域と、領域WR1との間で終端する。したがって、複数の信号配線Twのそれぞれは、平面視において、複数のコンデンサCDCのそれぞれと重ならない。
【0103】
また、
図16に示すように、複数の信号配線Twの一部分は、信号配線Rwと重ならない領域WR2に配置されている。詳しくは、複数の信号配線Twの端部TwE2およびその周辺の配線部は、領域WR2に配置されている。言い換えれば、複数の信号配線Twのそれぞれは、配線層WL2の領域WR2に配置された部分(端部TwE2およびその周辺の配線部)を備える。複数の信号配線Rwの端部RwE2のそれぞれは、
図6に示す配線層WL3、配線層WL2、および配線層WL1を経由してコンデンサCDCと電気的に接続される。
図16に示すように、信号配線Twの端部TwE2が信号配線Rwと重ならない位置に配置されている場合、配線層WL2において、入力信号の伝送経路と出力信号の伝送経路との離間距離を十分に離すことができる。
【0104】
なお、上記実施の形態中でもいくつかの変形例について説明したが、以下では、上記実施の形態で説明した変形例以外の代表的な変形例について説明する。
【0105】
<変形例1>
例えば、
図10に示す半導体装置PKG1では、信号配線Twが配線層WL2に配列され、信号配線Rwが配線層WL4に配列された態様について説明した。ただし、変形例として、
図18に示す半導体装置PKG3の配線基板SUB2のように、信号配線Twが配線層WL4に配置され、信号配線Rwが配線層WL2に配置されても良い。
図18は、
図10に対する変形例を示す拡大断面図である。半導体装置PKG3が備える信号配線Twおよび信号配線Rwの平面レイアウトの図示は省略するが、
図16および
図17を用いて説明できる。すなわち、
図16に示す平面図は、配線基板SUB2の配線層WL4として考えることができる。また、
図17に示す平面図は、配線基板SUB2の配線層WL2として考えることができる。半導体装置PKG3の場合、配線層WL4より上面2tに近い配線層WL2に信号配線Rwが配置される。このため、信号配線Rwの端部RwE2(
図17参照)とコンデンサCDC(
図5参照)との経路距離は、
図10に示す半導体装置PKG1の配線基板SUB1の場合と比較して短い。また、半導体装置PKG3の場合、コンデンサCDCと信号電極Rxとの伝送距離は、
図10に示す半導体装置PKG1の配線基板SUB1の場合と比較して短い。コンデンサCDCと電極Rxとの間の伝送距離を短くすることにより、直流成分をカットした後に信号伝送経路にノイズが入る可能性を低減できる。
【0106】
<変形例2>
また例えば、
図6では、配線基板SUB1の上面2t上に複数のコンデンサCDCおよび複数のコンデンサCPSが搭載された実施態様について説明した。ただし、変形例としては、半導体装置PKG1にコンデンサCDCが搭載されていない場合もある。例えば、
図19に示す電子装置EDV2のように、配線基板MB1に複数のコンデンサCDCが搭載され、複数のコンデンサCDCが信号伝送経路SGPに接続されている場合、半導体装置PKG1や半導体装置PKG2は、コンデンサCDCが搭載されていなくても良い。
図19は、
図1に対する変形例を示す説明図である。また、図示は省略するが、
図6に対する変形例として、コンデンサCPSが配線基板SUB1に搭載されていない場合もある。
【0107】
<変形例3>
また、例えば、上記の通り種々の変形例について説明したが、上記で説明した各変形例同士を組み合わせて適用することができる。
【0108】
その他、上記実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0109】
〔付記1〕
第1表面、前記第1表面の反対側の第1裏面、および前記第1表面において前記第1表面の外縁に最も近い最外周から前記第1表面の中心に向かって複数列で配列される複数の電極を備える半導体チップと、
前記半導体チップが搭載される第1主面、第1主面の反対側の第2主面、および前記第1主面と前記第2主面との間にある複数の配線層を備える配線基板と、
を有し、
前記半導体チップの前記複数の電極は、入力信号および出力信号の一方である第1信号が伝送される複数の第1信号電極、入力信号および出力信号の他方である第2信号が伝送される複数の第2信号電極、第1電位が供給される複数の第1電位電極、および前記第1電位とは異なる第2電位が供給される複数の第2電位電極、を含み、
前記半導体チップの前記第1表面において、
前記第1表面の外縁と前記第1表面の中心との間の第1列目には、前記複数の第1信号電極が配列され、
前記第1列目と前記第1表面の中心との間の第2列目には、前記複数の第1電位電極および前記複数の第2電位電極が配列され、
前記第2列目と前記第1表面の中心との間の第3列目には、前記複数の第2信号電極が配列され、
前記配線基板の前記複数の配線層は、前記第1主面と前記第2主面との間にある第1配線層、前記第1配線層と前記第2主面との間にある第2配線層、前記第2配線層と前記第2主面との間にある第3配線層、前記第3配線層と前記第2主面との間にある第4配線層、および前記第4配線層と前記第2主面との間にある第5配線層、を含み
前記配線基板は、
前記第2配線層に形成され、前記複数の第1信号電極のそれぞれに接続される複数の第1信号配線と、
前記第4配線層に形成され、前記複数の第2信号電極のそれぞれに接続される複数の第2信号配線と、
前記第1配線層に形成され、前記第2電位が供給される第1導体パターンと、
前記第2配線層に形成され、前記第1導体パターンと電気的に接続される第2導体パターンと、
前記第3配線層に形成され、前記第2導体パターンと電気的に接続される第3導体パターンと、
前記第4配線層に形成され、前記第3導体パターンと電気的に接続される第4導体パターンと、
前記第5配線層に形成され、前記第4導体パターンと電気的に接続される第5導体パターンと、
を備え、
平面視において、前記複数の第1信号配線のそれぞれは、前記第1導体パターンと前記第3導体パターンに挟まれ、
平面視において、前記複数の第2信号配線のそれぞれは、前記第3導体パターンと前記第5導体パターンに挟まれ、
前記配線基板の前記複数の配線層のそれぞれは、平面視において前記半導体チップと重なる第1領域と、平面視において前記第1領域より前記配線基板の周縁部側にある第3領域と、前記第1領域と前記第3領域との間にある第2領域と、を含み、
平面視において、前記複数の第1信号配線と前記複数の第2信号配線とのそれぞれは、前記第2領域において重なり、かつ、前記第3領域において重ならない、半導体装置。
【0110】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。