特許第6853781号(P6853781)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853781添え糸編のための糸フィンガを備えた、特にダブルシリンダタイプの円形靴下類編機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853781
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】添え糸編のための糸フィンガを備えた、特にダブルシリンダタイプの円形靴下類編機
(51)【国際特許分類】
   D04B 15/58 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   D04B15/58 101
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-537291(P2017-537291)
(86)(22)【出願日】2016年1月15日
(65)【公表番号】特表2018-505971(P2018-505971A)
(43)【公表日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】EP2016050831
(87)【国際公開番号】WO2016116380
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2018年12月19日
(31)【優先権主張番号】MI2015A000037
(32)【優先日】2015年1月19日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】597009471
【氏名又は名称】ロナティ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,エットーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,ファウスト
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,フランチェスコ
【審査官】 住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−350315(JP,A)
【文献】 特開昭48−098152(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00683259(EP,A1)
【文献】 特開平05−214644(JP,A)
【文献】 特開平07−310263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B3/00−19/00
D04B23/00−39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
添え糸編のための糸フィンガを備えたダブルシリンダタイプの円形靴下類編機であって、
針を夫々収容している複数の軸方向溝を有している少なくとも1つの針シリンダを備えており、
該針シリンダは、添え糸編のための少なくとも2つの糸フィンガ、夫々基糸をディスペンスするための第1の糸フィンガ及び補強糸をディスペンスするための第2の糸フィンガが設けられている少なくとも1つのフィード又はドロップに対して、垂直方向に配置された自軸回りの回転運動で作動可能であり、
前記第2の糸フィンガは、前記針シリンダに配置された編機の針にディスペンスされる補強糸のための通路を有してその長手方向端部の直近に位置するディスペンス端部を有している細長い本体部分と、前記第2の糸フィンガの本体部分の残部とを有しており、
前記第2の糸フィンガは、該第2の糸フィンガのディスペンス端部が前記針の作業領域内で前記針シリンダに横から対向するように配置可能であり、
前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部は、前記第2の糸フィンガによってディスペンスされる補強糸の、前記針による把持ポイントでの前記針シリンダの接線と平行な方向に沿って、前記針シリンダの軸芯に垂直な平面で前記第2の糸フィンガの本体部分の残部に対して指令で移動可能であることを特徴とする編機。
【請求項2】
前記第2の糸フィンガの本体部分のディスペンス端部は、前記第2の糸フィンガの本体部分の残部に対してディスペンス開始位置から、前記フィードに対する前記針シリンダの回転方向に従って前記平行な方向に沿って前記ディスペンス開始位置に対して前記ディスペンス端部が移動する少なくとも1つの添え糸編ディスペンス位置に指令で移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の編機。
【請求項3】
前記第2の糸フィンガの本体部分の前記残部に収容されている少なくとも1つの流体作動式シリンダを更に備えており、
該流体作動式シリンダは、前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部を前記ディスペンス開始位置から前記少なくとも1つの添え糸編ディスペンス位置に移すために、前記流体作動式シリンダのピストンで前記ディスペンス端部に作用することを特徴とする請求項2に記載の編機。
【請求項4】
ダブルシリンダタイプの円形靴下類編機で添え糸編を行うための方法であって
機のフィード又はドロップに配置されて針の作業領域で前記編機の針シリンダに横から面する第1の糸フィンガ及び第2の糸フィンガ、夫々基糸をディスペンスするための第1の糸フィンガ及び補強糸をディスペンスするための第2の糸フィンガによって前記編機の前記針に2本の基糸及び補強糸をディスペンスする工程を有し、
前記第2の糸フィンガは、前記針シリンダに配置された編機の針にディスペンスされる補強糸のための通路を有してその長手方向端部の1つの直近に位置するディスペンス端部を有している細長い本体部分と、前記第2の糸フィンガの本体部分の残部とを有しており、
前記針シリンダは、前記フィードに対する垂直方向に配置された自軸回りの回転運動で作動可能であり、
補強糸のディスペンス中に、前記針シリンダの方を向いている前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部は、前記第2の糸フィンガによってディスペンスされる補強糸の、前記針による把持ポイントでの前記針シリンダの接線と平行な方向に沿って、前記針シリンダの軸芯に垂直な平面で移動することを特徴とする方法。
【請求項5】
ディスペンス開始工程、及び添え糸編ディスペンス工程を有し、
該添え糸編ディスペンス工程中に、前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部は、前記ディスペンス開始工程中の前記ディスペンス端部の位置に対して、前記フィードに対する前記針シリンダの回転方向に従って前記平行な方向に沿って移動することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部は、前記ディスペンス端部を前記平行な方向に沿って前記第2の糸フィンガの本体部分の残部に対して移動させることにより、前記ディスペンス開始工程で占める位置から前記添え糸編ディスペンス工程で占める位置に移動することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添え糸編のための糸フィンガを備えた、特にダブルシリンダタイプの円形靴下類編機に関する。
【背景技術】
【0002】
添え糸編は、周知のように、2本の糸を使用して、一方の糸が製品の一側に見えて他方の糸が製品の反対側に見えるような相互の位置にこれら2本の糸を保持することにより編成品を形成する特殊な編成である。
【0003】
添え糸編は、例えば裏面の色とは異なるある色を表面に有する衣類の形成のような特別な美的効果を得るため、又は、一側が、例えば綿のような繊維で編成され、反対側が一側の繊維とは異なる、例えば毛のような繊維で編成される衣類の製造のような機能的効果を達成するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0683259 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの効果は、編機、例えば円形編機又は靴下類編機の針に2本の糸を同時に供給して、これらの糸が互いにもつれないようにこれらの糸を離隔して保持する一方、針が、編成品の既に形成されたループをノックオーバーしてこれらの糸を用いて編成品の新たなループを形成することにより達成される。編成品の新たなループの形成中、2本の糸は両方共、図7に示されているように針のヘッド内にあり、1本の糸、つまり基糸が針シリンダの軸芯2aに向いている側にあり、1本の糸、つまり補強糸が針シリンダの外側に向いている側にあるように互いに隣接して配置されなければならない。
【0006】
糸が通常円形の断面を有し、従って張力を受けて互いに対して回転し、糸の相互配置が変わる傾向があるで、2本の糸のこのような正確な配置を達成するのは容易ではない。
【0007】
2本の糸の正確な配置を達成して維持するのは、ねじれた糸が使用される場合に更に難しい。その理由は、ねじれた糸の製造によって生じる残留張力により、ねじれた糸が自軸回りに回転して糸の相互配置が変わる傾向があるからである。
【0008】
短繊維糸の使用は、これらの繊維が短繊維糸間の望ましくない干渉を生じさせて針のヘッド内での補強糸の位置を変える虞があるので、状況を更に複雑にし得る。
【0009】
編成品の形成中、編成品の古いループがノックオーバーされながら針のラッチの閉鎖を引き起こす円形靴下類編機では、針のラッチの閉鎖のための回転が、針のヘッド内での補強糸の位置に悪影響を及ぼす虞がある。
【0010】
ダブルシリンダ円形編機では、針のヘッド内での補強糸の位置が、上側の針シリンダで逆に編成する針のラッチの回転によっても影響を受ける場合がある。
【0011】
針のヘッド内での2本の糸の誤った配置によって、製品の裏面のために使用される糸が製品の表面に見えるか、又はその逆が生じて、欠陥がある衣類又は低品質の衣類が製造されることになる。
【0012】
この問題を解決するための様々な試みが何年にも亘ってなされている。
【0013】
これらの試みの1つが、編成品を形成するためのカム(いわゆる「編成トライアングル」)の使用に基づいており、このカムは、非常に急な作業角度、つまり針シリンダの周りの縮小された延長部分で針を作動させる。この解決策は、編成品を形成する針の数、ひいては閉じる工程のラッチを有する針の数が減少するため、補強糸に対するラッチを閉じる悪影響を低減させ得る。しかしながら、この解決策には、非常に急な編成角度での針作動カムの使用、つまり、針の過度な摩耗及び破損を避けるために編機の動作速度を下げる必要があり、そのためその生産性が低下してしまうという典型的な欠点がある。
【0014】
本発明の意図は、生産性を実質的に不利にすることなく、添え糸編でより高い精度を可能にする糸フィンガを備えた、特にダブルシリンダタイプの円形靴下類編機を提供することにより、上述した問題を解決することである。
【0015】
この意図の範囲内で、本発明の目的は、この特定のタイプの編成での完成品の品質を向上し得る、添え糸編のための糸フィンガを備えた、特にダブルシリンダタイプの靴下類編機を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、使用中に安全で信頼性のある、特にダブルシリンダタイプの靴下類編機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、添え糸編のための糸フィンガを備えたダブルシリンダタイプの円形靴下類編機であって、針を夫々収容している複数の軸方向溝を有している少なくとも1つの針シリンダを備えており、該針シリンダは、添え糸編のための少なくとも2つの糸フィンガ、夫々基糸をディスペンスするための第1の糸フィンガ及び補強糸をディスペンスするための第2の糸フィンガが設けられている少なくとも1つのフィード又はドロップに対して、垂直方向に配置された自軸回りの回転運動で作動可能であり、前記第2の糸フィンガは、前記針シリンダに配置された編機の針にディスペンスされる補強糸のための通路を有してその長手方向端部の直近に位置するディスペンス端部を有している細長い本体部分と、前記第2の糸フィンガの本体部分の残部とを有しており、前記第2の糸フィンガは、該第2の糸フィンガのディスペンス端部が前記針の作業領域内で前記針シリンダに横から対向するように配置可能であり、前記第2の糸フィンガの本体部分の前記ディスペンス端部は、前記第2の糸フィンガによってディスペンスされる補強糸の、前記針による把持ポイントでの前記針シリンダの接線と平行な方向に沿って、前記針シリンダの軸芯に垂直な平面で前記第2の糸フィンガの本体部分の残部に対して指令で移動可能であることを特徴とする編機によって達成される。
【0018】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例で示した本発明に係る編機の好ましいが排他的でない実施形態の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第2の糸フィンガが作動状態である本発明に係る編機を示す部分的な斜視図である。
図1a図1の細部拡大図である。
図2図1と同様であるが、第2の糸フィンガが別の作動状態である本発明に係る編機を示す図である。
図2a図2の細部拡大図である。
図3図1に示されている作動状態での第2の糸フィンガを示す平面図である。
図4図2に示されている作動状態での第2の糸フィンガを示す平面図である。
図5図2及び4に示されている作動状態での第2の糸フィンガを示す側面図である。
図6】平面図で示されて針シリンダに横から面する第2の糸フィンガと共に、第2の糸フィンガの本体部分の残部に対する第2の糸フィンガの本体部分のディスペンス端部の動きを示す図である。
図7】添え糸編での針のヘッド内の2本の糸の位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を参照すると、本発明に係る編機は、参照番号1 で一般的に示され、簡略化のために部分的にのみ示されており、軸芯2aが垂直であるように配置されている少なくとも1つの針シリンダ2, 3を備えており、針シリンダ2, 3は、針6 を夫々収容している複数の軸方向溝4, 5を側面に有している。針シリンダ2, 3は、少なくとも1つのフィード又はドロップに対して自軸2a回りの回転運動で作動可能であり、フィード又はドロップに、添え糸編のための少なくとも2つの糸フィンガ7, 8が配置されており、編成品を製造するために必要な糸を編機の針6 に供給する機能を有している。
【0021】
2つの糸フィンガ7, 8は、図1及び2に正方形によって概略的に示されている、基糸9 をディスペンスするための公知のタイプの第1の糸フィンガ7 と、補強糸10をディスペンスするための第2の糸フィンガ8 とを含んでいる。
【0022】
本発明に係る編機は、図示された実施形態ではダブルシリンダ編機によって構成されており、従って、1つの針シリンダを備える代わりに2つの針シリンダ、夫々下側針シリンダ2 と下側針シリンダ2 の上側に下側針シリンダ2 と同軸に配置されている上側針シリンダ3 とを備えている。下側針シリンダ2 及び上側針シリンダ3 は共に、それ自体公知なように複数の軸方向溝4, 5を側面に有している。下側針シリンダ2 の軸方向溝4 は、上側針シリンダ3 の軸方向溝5 と一列に並んでおり、下側針シリンダ2 及び上側針シリンダ3 に夫々配置されて互いに一列に並んでいる2つの軸方向溝4, 5によって構成されている軸方向溝の対毎に、編成品を製造するように対応する対の軸方向溝4, 5に沿った交互の運動で作動可能な針6 が設けられている。針6 が下側針シリンダ2 の軸方向溝4 内にあるか、又は上側針シリンダ3 の軸方向溝5 内にあるかに応じて、針6 は平編又はパール編を生成する。両側の軸方向端部に配置された2つのヘッド6a又は先端をそれ自体公知なように有する針6 は、下側針シリンダ2 及び上側針シリンダ3 夫々の軸方向溝4, 5に夫々収容されて、編成品を製造するために使用されない針6 のヘッド6aと係合するスライダ11によって作動する。
【0023】
少なくとも添え糸編でいわゆる補強糸10を供給するように構成されている第2の糸フィンガ8 は細長い形状の本体部分を有しており、本体部分は、ディスペンス端部12と第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13とを有している。ディスペンス端部12は、第2の糸フィンガ8 の本体部分の長手方向端部の直近に配置されており、針シリンダ2, 3に配置されて対象のフィードで編成するために移動する編機の針6 にディスペンスされる補強糸10のための通路を有している。
【0024】
第2の糸フィンガ8 のディスペンス端部12は、針6 の作業領域で針シリンダ2, 3に横から対向することが可能である。
【0025】
本発明によれば、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12は、特に図6に示されているように、第2の糸フィンガ8 によって供給される補強糸10の、針6 の一部による把持ポイントでの針シリンダ2, 3の接線と実質的に平行な方向14に沿って、針シリンダ2, 3の軸芯2aに実質的に垂直な平面で第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13に対して指令で移動可能である。
【0026】
より具体的には、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12は、第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13に対して、ディスペンス開始位置から、対象のフィードに対する針シリンダ2, 3の回転方向に従って方向14に沿ってディスペンス開始位置に対してディスペンス端部12が移動して添え糸編ディスペンス位置に指令で移動可能である。
【0027】
より詳細には、第2の糸フィンガ8 の本体部分は、対象のフィードで編機の支持構造に関連付けられているように構成されている板状要素16によって、垂直軸芯15回りに回転可能なように支持されている。
【0028】
第2の糸フィンガ8 の本体部分が回転可能とする軸芯15は、第2の糸フィンガ8 の本体部分を貫通する細長いスロット18内で摺動自在に係合するピボット17によって定められている。ピボット17はプレート19によって移動し、板状要素16に対するプレート19の位置は、スロット18内のピボット17の位置を変えるように変更され得る。
【0029】
ディスペンス端部12の反対側の第2の糸フィンガ8 の本体部分の端部は、板状要素16によって支持されているクランク20にそれ自体公知なように連結されている。クランク20は、ピボット17によって定められた軸芯15回りに第2の糸フィンガ8 の本体部分を回すために回転可能である。
【0030】
この回転によって、第2の糸フィンガ8 は、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12から出る補強糸10を編機の針6 によって把持しないように、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12が針シリンダ2, 3に対して横方向に離隔した非作動位置から、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12を通って供給される補強糸10を、編成品を形成するために編機の針6 によって把持し得るように、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12が針6 の作業領域で針シリンダ2, 3により近い作動位置に移動可能である。
【0031】
実質的に、第2の糸フィンガ8 は、イタリア特許出願第1,267,764 号に開示されている方法と同様な方法で対応する作動要素を有し得る。
【0032】
第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12はブロック21を有しており、ブロック21は、第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13に固定されて方向14と平行に方向付けられている一対の軸22によって摺動自在に支持されている。
【0033】
流体作動式シリンダ23のチャンバが、第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13に設けられ、ピストン24を摺動自在に収容しており、ピストン24は、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12のブロック21にピストン24の端部の1つによって係合する。加圧流体、例えば空気を流体作動式シリンダ23のチャンバに供給することにより、ピストン24をディスペンス端部12のブロック21に向かって移動させ、従って、ブロック21を軸22に沿って摺動させ、ディスペンス端部12をディスペンス開始位置から添え糸編ディスペンス位置に移す。
【0034】
流体作動式シリンダ23の作動によって引き起こされるこの移動は、ブロック21を貫通して第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13と係合するねじ26の周りに配置されているばね25と対比をなす。より具体的には、ばね25は、ねじ26のヘッドと、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12のブロック21内に画定されている肩部との間に置かれている。
【0035】
ねじ26は、第2の糸フィンガ8 の本体部分の残部13に対して軸22に沿ってブロック21を移動させる範囲を更に定めている。
【0036】
第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12は、ねじ33によってブロック21に固定されて補強糸10が通過する管34で終わるロッド27によって完成する。
【0037】
板状要素16は、編機の支持構造に直接固定されることが可能であるか、又は図示されているように支持ブロック32に連結されることが可能であり、板状要素16の位置が、イタリア特許出願第1,267,764 号に開示されているように要件に応じて支持ブロック32に対して調節され得る。
【0038】
明細書の完全性を期すために、その後にディスペンス端部12によって管34を通って針6 に供給される補強糸10を通過させるためのブッシュ28が、それ自体公知なように第2の糸フィンガ8 の本体部分に設けられていることに注目すべきである。
【0039】
添え糸編中の本発明に係る編機の動作は、以下のとおりである。
【0040】
図1及び2は、ディスペンス端部12が夫々ディスペンス開始位置及び添え糸編ディスペンス位置にある状態の、第2の糸フィンガ8 が作動位置に配置されているダブルシリンダ円形靴下類編機を示している。
【0041】
これらの図は、編機の針6 への基糸9 及び補強糸10のディスペンスポイントの直近のシンカ29を更に示している。
【0042】
添え糸編では、補強糸10が、上述した第2の糸フィンガ8 によって供給される一方、基糸9 が、対象のフィードに更に配置されている公知のタイプの第1の糸フィンガ7 によって供給される。基糸9 は、公知のタイプのラッチ開放カム31の下側を通って、第2の糸フィンガ8 によって供給される補強糸10のディスペンスポイントの直近で補強糸10によって同一のポイントでたどられる軌道に対して針シリンダ2, 3により近い軌道をたどることにより針6 に供給される。
【0043】
補強糸10のディスペンスを始める際に、補強糸10を針6 によって確実に且つ正確に把持すべく、図1及び1aに示されているように、ディスペンス端部12がラッチ開放カム31に隣り合って(ディスペンス開始位置)、対象のフィードで編成するために移動する針6 のラッチ6bの回転軸芯に非常に近いように、第2の糸フィンガ8 によって供給される補強糸10をピックアップしなければならない針6 が最大の上昇ポイント又はこの上昇ポイントに非常に近くにある領域に、第2の糸フィンガ8 が配置される。
【0044】
続いて、流体作動式シリンダ23の作動によって、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12が、図2,2a及び6に示されているようにフィードに対する針シリンダ2, 3の回転方向40に従ってディスペンス開始位置の横方向に方向14に沿って移動して添え糸編ディスペンス位置に移動する。この移動によって、ディスペンス端部12から、ヘッド6aと共に針シリンダ2, 3内への引込みを完了している針6 に延びている補強糸10の部分が減少する。補強糸10のこの部分は、ヘッド6aと共に針シリンダ2, 3内に引っ込んでいる針6 のラッチ6bの、編成品の既に形成されているループ30によって生じる閉鎖回転と対比をなす。このようにして、ディスペンス端部12が方向14に沿って移動することにより、補強糸10をピックアップする針6 のラッチ6bの閉鎖回転を遅らせて、この遅れによって、添え糸編で使用される2本の糸が針6 のヘッド6a内で分かれて正確に位置付けられ続けることが可能になり、編成のより良い成果が達成される。
【0045】
図示されているように、下側針シリンダ2 で作動する針6 のラッチ6bの閉鎖を遅らせる補強糸10の同一の部分は、上側針シリンダ3 で編成する針6 のラッチ6bに同じ効果をもたらす。
【0046】
実際には、本発明に係る糸フィンガを備えた編機は、添え糸編で使用される2本の糸の配置の高い精度を達成して、編成エラーを減らし、ひいては製造される製品の品質を高めることを可能にするので、意図した目的を完全に達成していることが分かっている。
【0047】
本発明に係る糸フィンガを備えた編機の別の利点は、編成品のループの長さが変わるにつれて糸フィンガのディスペンス端部の位置を変更する必要なく、添え糸編で使用される2本の糸の正確な編成を達成するということである。
【0048】
このように考案された編機に、その全てが添付の特許請求の範囲内にある多くの修正及び変更が加えられることができ、従って、例えば、第2の糸フィンガ8 の本体部分のディスペンス端部12をディスペンス開始位置から添え糸編ディスペンス位置に移すために1つの流体作動式シリンダを使用する代わりに、要件に応じて複数の添え糸編ディスペンス位置にディスペンス端部12を配置し得るように複数の流体作動式シリンダを使用することが可能である。
【0049】
細部の全てが、更に他の技術的に等価な要素に置き換えられてもよい。
【0050】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要件並びに技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0051】
本出願が優先権を主張しているイタリア特許出願第MI2015A000037 (102015902322171 )号での開示内容は、参照して本明細書に盛り込まれる。
【0052】
任意の請求項に述べられている技術的特徴の後には参照番号が付記されているが、これらの参照番号は、特許請求の範囲の理解度を高めるためだけに含まれているものであり、従って、このような参照番号は、このような参照番号により一例として識別される夫々の要素の解釈を如何なる形においても限定するものではない。
図1
図1a
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7