【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の技術によって実現される。
【0013】
本発明の薬物組成物は、下記重量比の生薬から作製される。
シリビン 8.75〜60部
リン脂質 15〜65部
プーアル茶抽出物 25〜200部
【0014】
前記は、下記重量比の生薬から作製されることが好ましい。
シリビン 8.75〜60部
リン脂質 15〜65部
プーアル茶抽出物 25〜150部
【0015】
前記は、下記重量比の生薬から作製されることが好ましい。
シリビン 25〜40部
リン脂質 30〜50部
プーアル茶抽出物 80〜120部
【0016】
前記は、下記重量比の生薬から作製されることが最も好ましい。
シリビン 35部
リン脂質 42部
プーアル茶抽出物 100部
【0017】
本発明に記載のリン脂質は、ホスファチジルコリンを主とする大豆リン脂質またはレシチンであり、大豆リン脂質が好ましい。
【0018】
前記シリビン、リン脂質はいずれも従来技術で得られるか市販のものである。本発明の治療効果をよりよく発揮するために、本発明のシリビンは以下のような方法によって調製することが好ましい。すなわち、シリマリンをそれぞれ80%エタノールに溶解させ、濾過し、沈澱物を95%エタノールを用いて3回溶解させて、残った沈澱物を収集する。沈澱物を、無水エタノールを用いて溶解し、濾過し、濾液に一定量の水を入れて沈澱物を析出させて、濾過し、沈澱物を収集し、減圧、乾燥、粉砕して、混合すればよい。
【0019】
リン脂質の本発明における作用は、薬物の溶解と吸収を促進することである。シリビンは、難溶解性、低い膜透過性薬物に属するが、リン脂質はシリビンと結合してリン脂質複合物を形成した後、シリビン溶解性を向上させることができ、薬物の生物利用性を向上させる。
【0020】
前記プーアル茶抽出物は市販のものであり、Deepureのプーアルの粉末茶が好ましい。従来技術に従って調製してもよいが、本発明の治療効果をよりよく発揮するためには、プーアル粉末茶またはプーアル茶の抽出物は、特許公開番号CN101961061A、CN101961061B、CN101961425A、CN101961425B、CN101961060A、CN101961059A、CN101961059Bに従って、調製することが好ましい。
【0021】
プーアルの粉末茶の調製方法を例示する。
ステップ1:プーアル茶葉を水に入れて煎じて2〜4回抽出する。抽出は、毎回0.5〜2時間行い、6〜12倍の体積の水を入れて行い、抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。
ステップ2:遠心分離機を用いて濃縮液に対して遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
【0022】
好ましいステップは以下の通りである。
ステップ1:プーアル茶葉を水に入れて、激しく沸騰させ、煎じて3回抽出する。抽出は、毎回0.5〜2時間行い、6〜12倍の体積の水を入れて行い、抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。
ステップ2:三脚式遠心分離機を用いて濃縮液を遠心分離し、得られた分離液をチューブ式遠心分離機を用いてさらに遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
ここで、チューブ式遠心分離の条件は、遠心分離機の回転数:15,000〜19,000回転/minで、スプレー乾燥条件は、送風温度:140〜190℃で、風排出温度:75〜95℃である。
【0023】
最も好ましいステップは以下の通りである。
プーアル茶葉を水に入れて、激しく沸騰させ、煎じて3回抽出する。1回目は1.5時間煎じ、10倍体積の水を入れ、2回目は1.5時間煎じ、8倍体積の水を入れ、3回目は1時間煎じ、8倍体積の水を入れる。抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。三脚式遠心分離機を用いて濃縮液を遠心分離し、遠心分離液をチューブ式遠心分離機を用いてさらに遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
ここで、チューブ式遠心分離の条件は、遠心分離機の回転数:15,000〜19,000回転/minで、スプレー乾燥条件は、給気温度:140〜190℃で、風排出温度:75〜95℃である。
【0024】
以上の組成は重量に基づいて配合しており、生産する際には、対応する比率に応じて増大または減少させてもよく、大規模の生産の場合はkgを単位とし、またはt(トン)を単位とし、小規模の薬剤調製の場合はgを単位としてもよい。重量は増大または減少させてもよいが、各組成の間の生薬材料の重量比の比率は変わらない。
【0025】
以上の重量比の比率は科学的な選択によって得たものであり、重症または軽症、肥満または痩せている病人のような特殊な病人に対しては、対応する組成の量比を調整してもよく、増加または減少が10%を超えない場合は、薬物の効果は基本的に変わらない。
【0026】
薬物の製剤を作製する場合、薬用可能ないずれかの剤形に作製可能であり、剤形は、錠剤、コーティング錠剤、フィルムコーティング錠剤、腸溶性錠剤、カプセル剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、経口液剤、舐剤、顆粒剤、丸剤、散剤、膏剤、丹剤、懸濁剤、液剤、注射剤、坐剤、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、スプレー剤、貼付剤の中から選ばれる。経口投与の剤形が好ましく、錠剤、カプセル剤、顆粒剤が最も好ましい。
【0027】
本発明の薬物組成物は、必要に応じて、幾つかの薬物に許容される担体を加えてもよく、薬物活性物質と薬物に許容される担体とを混合するような製剤学の従来技術を採用して該薬物製剤を調製してもよい。前記薬物に許容される担体は、マンニット、ソルビトール、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム塩、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、システイン塩酸塩、チオグリコール酸、メチオニン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、アゾン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、一価のアルカリ金属の炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩またはそれらの水溶液、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸、アミノ酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸ナトリウム、キシリトール、マルトース、グルコース、フルクトース、デキストラン、グリシン、澱粉、蔗糖、乳糖、マンニトール、シリコン誘導体、セルロース及びその誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、グリセロール、プロピレングリコール、エタノール、ツイーン60〜80、スパン−80、ミツロウ、ラノリン、流動パラフィン、1−ヘキサデカノール、没食子酸エステル類、寒天、トリエタノールアミン、塩基性アミノ酸、尿素、アラントイン、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、界面活性剤、ポリエチレングリコール、シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、リン脂質類、カオリン、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどから選ばれる。前記担体は、微結晶セルロース、乳糖、澱粉、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、タルクの中の1種または1種以上である。
【0028】
本発明の薬物組成物は、薬剤として作製する場合、単位投薬量の薬剤は本発明の薬物活性物質を0.1〜1000mg含有し、残りは薬学的に許容される担体であってもよい。薬学的に許容される担体は、重量で、製剤の総重量の0.1〜99.9%であってもよい。好ましくは、前記薬学的に許容される担体は、重量で、製剤の総重量の40〜70%であってもよい。
【0029】
本発明の薬物組成物または製剤は、使用する際に、病人の状況に応じて用法、用量を決めることができる。
【0030】
本発明に記載の薬物組成物製剤は、スラリー法で、回転数が100rpmで、温度が37℃の溶出条件で、溶解用媒体はpH1.2の塩酸溶液1000mlを使い、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの形態で作製され、投薬量は、1粒のカプセル/1錠/1袋の顆粒である。その体外における溶解率は、2時間の累積溶解率が60%以上であり、30分の場合の溶解率が15%以上である。
【0031】
本発明は、本発明の薬物組成物の調製方法を提供し、以下のようなステップを含む。
a)処方量の原料を用意するステップ、
b)処方量のシリビン、リン脂質を秤量して無水エタノールに溶解させ、溶液を適当の体積になるまでエタノールを濃縮回収するシリビン複合液の調製ステップ、
c)処方量のプーアル茶抽出物を秤量して基材とし、b)で調製したシリビン複合液を液体材料とし、流動床の流動化液体噴射方式によって顆粒を作製し、本発明の薬物組成物を得る造粒ステップ、
本発明はさらに薬剤作製ステップd)を含み、前記ステップc)で得た薬物組成物と薬学的に許容される担体を、通常の調製プロセスに従って、薬学的に許容される担体に作製する。
【0032】
本発明の薬物組成物の調製方法が以下のようなステップを含むことが好ましい。
a)処方量の原料を用意するステップ、
b)処方量のシリビン、リン脂質を秤量して無水エタノールに溶解させて、加熱、還流して、溶液を清澄にした後、一定時間加熱し続けてから、清澄溶液を一定の体積になるまで減圧濃縮して、シリビン複合液を得るシリビン複合液の調製ステップ、
c)処方量のプーアル茶抽出物を秤量して基材とし、b)で調製したシリビン複合液を液体材料とし、流動床の流動化液体噴射方式によって顆粒を作製し、液状複合物が全部噴射注入された後、乾燥して、顆粒、即ち薬物組成物を得る造粒ステップ、
d)前記c)の顆粒と薬学的に許容される担体とから通常の製剤を作製する薬剤作製ステップ。
ここで、ステップb)に記載の加熱時間は0.5〜1.5時間で、前記濃縮された体積は元の体積の5%〜20%で、減圧濃縮温度は60〜80℃である。
ここで、ステップc)における流動床のパラメータは、材料の温度が40〜65℃であり、造粒過程において通風機の回転数、給気温度、及び液体噴射頻度などのパラメータを調節して、材料の良好な流動化状態を保持する。造粒完了後、10〜60分間乾燥し、乾燥温度は55〜65℃である。
【0033】
プーアル茶の、インスリン抵抗の改善、血中脂質とレプチンレベルの調節が可能であるなどの作用は、生体のインスリン抵抗による肝臓実質細胞脂肪の蓄積をある程度遮断可能であると同時に、シリビンのラジカル基の除去及び酸化ストレス防止の強い能力と協同し、両者は良好な抗NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)効果を有する。
【0034】
以下、実験データによって本発明が有する有益な効果を説明する。
【0035】
試験例1 体外における溶出試験
【0036】
以下の条件で、実施例16〜20で作製されたシリビン−リン脂質−プーアル茶組成物の溶解率を測定した。溶出方法の選択は、組成物における主な成分のシリビンの性質に基づいて決めており、シリビンは生物薬剤学の分類システム(BCS)における第4類に属し、難溶解性、低い膜透過性の薬物であり、溶解溶出、吸収はいずれも速度制限ステップである。しかし、薬物の吸収は溶解溶出に依存するため、シリビンの溶解段階は、主に胃の中で行われ、吸収段階は、主に小腸の中で行われており、薬物の体外における溶解率の検出は、体内における吸収程度を判断して、更に薬物の効果を評価することに寄与する。よって、以下の溶出方法を選択して、組成物の溶解評価を行う。スラリー法で、回転数は100rpmで、温度は37℃で、溶解用媒体はpH1.2の塩酸溶液1000mlで、投薬量は1粒のカプセル/1錠/1袋の顆粒である。サンプリング時点はそれぞれ、15、30、45、60、90、120分である。その累積溶解度を測定する。結果は下記表1に示す通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
比較製剤(商品名:シリマリン、タスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッドの製品)について溶解の測定を行い、実施例16〜20で調製したシリビン−リン脂質−プーアル茶組成物と比較し、結果は
図1に示す。
【0039】
表1のデータ及び
図1のグラフから下記のことが分かる。
【0040】
本発明の調製方法を採用して作製したシリビン−リン脂質−プーアル茶組成物は、その体外放出のいずれも比較製剤のシリマリン、即ちシリビン−リン脂質複合物より顕著に優れており、意外なことに、組成物のpH1.2の塩酸溶液における2時間の累積溶解度は80%に達し、ほぼ完全に溶解しており、比較製剤の溶解度に比べて、倍は上昇しており、シリビンが従来抱いていた溶解度が低く、生物利用性が低い問題を解決し、後続のシリビン組成物の投薬量の設定、及び体内の安全性と有効性の研究のための基礎を提供する。
【0041】
体外における溶出試験と体内効能の研究のデータをまとめると、本発明はシリビンとリン脂質の複合化をして、薬物と生体膜の親和性を改善することにより、薬物の吸収を向上させ、さらにシリビン−リン脂質複合物とプーアル茶を組み合わせて、薬物の溶解を向上させることによって、溶解と吸収向上の両方から主成分のシリビンの生物利用性を向上させる。
【0042】
試験例2 体内効能評価
【0043】
1 実験動物
SPFレベルの6週齢の雄性のC57 BL/6Jレプチン欠失マウス(ob/ob)80匹と、SPFレベルの6週齢の雄性のC57 BL/6J(ob/m)マウス10匹を、北京華阜康生物科学技術株式有限会社から提供され、天士力研究院薬理学毒性学研究センターのバリア動物部屋で飼育し、温度は20℃〜25℃で、相対湿度は60%であり、各籠に5匹ずつ入れ、照明時間は12時間で、決まった時間に決まった量で飼料を添加し、ob/obマウスは高脂肪飼料で飼養し(HFD、D12492)、C57 BL/6Jマウスは普通の飼料で飼養し、いずれも北京華阜康生物科学技術株式有限会社から提供されており、自由に水を飲用させ、毎日敷料を交換する。
【0044】
2 試験物
シリビンリン脂質複合物はタスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッドから提供され、ロット番号は500902031であり(本発明の実施例1のステップa)に従って調製する)、プーアルの抽出物は茶褐色の粉末であり、タスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッドから提供され、ロット番号はZ001 PE(2014)C06(H)であり、薬理学研究所で提供される試料室のサンプル棚内に置き、光を避けて室温で保存する。
【0045】
3 実験方法
【0046】
3.1 実験量の設計及びパケット
シリビンリン脂質複合物は、人の一日の用量の3g(シリビン420mg、大豆リン脂質504mgを含有)に基づいて該実験動物の投薬量を計算し、プーアル茶抽出物は、人の一日の用量の1.2gに基づいて該実験動物の投薬量を計算し、5種類の異なる組成物の配合比率、及び実験の投薬量の設計は表2に示されており、実験動物の投薬量はいずれも対応する試験物の臨床的に同等効果の投薬量にし、計算公式は以下の通りである。
動物実験の投薬量=推奨されるヒト用投薬量/60kg*12.3
【0047】
【表2】
【0048】
3.2 試験物の投与
適応性に1週間飼養した後、80匹の6週齢のob/obマウスをランダムに8組に分け、それぞれモデル組、シリビンリン脂質複合物組、プーアル茶抽出物組、実施例8組、実施例9組、実施例10組、実施例13組、実施例14組とし、各組は10匹である。なお、10匹の6週齢のC57BL/6Jマウスは正常組である。正常組のマウスは普通の飼料で飼養し、モデル組と投薬組はいずれも高脂肪飼料で飼養する(HFD、D12492)。なお、異なる薬物で干渉する組のマウスに対しては、対応する投薬量の薬物を胃内投与し、5種類の組成物の投薬量は表1に示されており、正常組とモデル組はいずれも等量の蒸留水を投与し、6週間連続に胃内投与する。
【0049】
マウスは実験期間内に自由に飼料を食べさせ、水を飲ませて、毎週に1回体重を計量し、体重に基づいて投薬量を調整する。最終回の投薬後には12時間給水のみで断食させ、体重を秤量し、眼球を摘出して血液を採取してから、頸椎脱臼によってマウスを殺し、迅速に解剖して肝臓を摘出し、生理食塩水で洗浄し、濾紙で水分を吸収して計量してから、−20℃の冷蔵庫に保存する。
【0050】
3.3 検出指標及び方法
【0051】
3.3.1 通常状況の観察
実験期間に、毎週1回各組のマウスの体重を計量する。
【0052】
3.3.2 肝臓指数を計算し、かつ肝臓の全般的な形態を観察する
実験終了後、肝臓を計量し、肝臓指数を計算し、肝臓指数(%)=肝臓湿重量/体重*100%である。
【0053】
3.3.3 血清生化学的指標の検出
すべてのマウスに対して、眼球を摘出して血液を採取して、3000r/minで15分間遠心分離し、血清を分離してEP管に収集して、−20℃の冷蔵庫に保存する。7020生化学自動分析装置を用いて、血清におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニン アミノトランスフェラーゼ(ALT)、総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の含有量を検出する。
【0054】
3.3.4 インスリン抵抗指数
Elisaキットを用いて、血清FINSを検出し、かつ式によってインスリン抵抗指数を計算する。
【0055】
【数1】
【0056】
3.3.5 肝臓組織の病理学的検出
冷凍された肝臓組織を取って凍結スライスを調製し、オイルレッドO染色を用いて、肝臓脂肪の変性程度を観察する。オイルレッドO染色の操作ステップは、凍結スライス→蒸留水で十分に洗浄する→オイルレッドO希釈液で光を避けて10〜15分間染色する→オイルレッドO飽和液6mlを取り出して、蒸留水4mlを添加し、5〜10分間静置した後、濾過してから使用する→60%エタノールで、顕微鏡下で間の物質が明瞭になるまで差別化する→水洗する→核をヘマトキシリン・エオシン染色する→水洗→中性ゴムでスライスを密封する→顕微鏡で観察する、ことである。
【0057】
3.4 データ処理
統計学的方法は、SPSS 15.0統計学ソフトウェアを用いて分析を行い、データは平均値±標準差で示し、t検定を採用し、各組の治療前後、及び組同士の各項目を分析、比較して指標の差異の有無を観察し、P<0.05を差異とし、統計学的に意義があるものとした。
【0058】
4 実験結果
【0059】
4.1 各試験物の体重に対する影響
実験期間に、毎週に1回各組のマウスの体重を計量し、各組の薬物の非アルコール性脂肪肝のマウスの体重に対する影響を観察する。表3に示すように、正常組のマウスの体重の増加は緩慢で、モデル組のマウスの体重の増加は速い。6週間投薬した後、シリビンリン脂質複合物組以外、他の各投薬組はいずれも異なる程度でマウスの体重増加を抑えることができ(P<0.01)、各組の間には顕著な差異がない。
【0060】
【表3】
【0061】
4.2 各試験物の肝臓指数に対する影響
表4に示すように、正常組と比べ、モデル組のマウスの体重、肝臓湿重量、及び肝臓指数はいずれも明らかに増大しており(P<0.01)、各試験物はいずれも明らかにマウスの肝臓湿重量及び肝臓指数を低下させることができる(P<0.01)。
【0062】
【表4】
【0063】
4.3 各試験物の血中脂質、肝機能、及びインスリン抵抗指数に対する影響
表5に示すように、正常組と比べ、非アルコール性脂肪肝モデルのマウスの血清TC、LDL、ALT、AST、インスリン抵抗指数は、いずれも明らかに上昇しており(P<0.05)、シリビンリン脂質複合物は異常に上昇した各指標に対していずれも明らかな改善がなく(P>0.05)、各実施例の組成物はいずれも異なる程度で血中脂質、肝機能、及びインスリン抵抗指数の異常上昇を改善でき、かつ効果は両者を単独に使用する場合より優れている。そのうち、実施例18〜20は血清TC、LDL、ALT、AST、及びインスリン抵抗指数を顕著に低下させることができ(P<0.05)、実施例16は血清TC、及びインスリン抵抗指数を低下させることができるが(P<0.05)、血清LDL、ALT、ASTに対しては明らかな改善がなく(P>0.05)、実施例17は血清TC、ALT及びインスリン抵抗指数を低下させることができるが(P<0.05)、LDL、ASTに対しては明らかな改善がない(P>0.05)。
【0064】
【表5】
【0065】
4.4 各試験物のマウスの肝臓病理に対する影響
オイルレッドO染色は、肝臓の凍結組織のオイルレッドO染色の光学顕微鏡下での肝細胞内の赤色顆粒の大きさと数によって、軽度、中度、重度の3つに分けられる。軽度、即ち、光学顕微鏡下での単位面積あたりに1/3〜2/3の赤色顆粒が見られると1点と評し、中度、即ち、2/3以上の肝細胞内に赤色顆粒が含まれていると2点と評し、重度、即ち、ほぼすべての肝細胞内にいずれも赤色顆粒があると3点と評し、脂肪変性が見られないものは0点と評する。
【0066】
表6に示すように、モデル組の肝臓組織には、ほぼすべての肝細胞にいずれも脂肪変性が発生しており、病理評価点数は正常組に比べ、明らかに上昇し(P<0.01)、シリビンリン脂質複合物またはプーアル茶抽出物を単独に使用する場合、肝臓の病理評価点数に明らかな改善が見られず(P>0.05)、両者を配合して使用する場合、異なる程度で肝臓の脂肪変性を改善し、かつ効果は両者を単独に使用する場合より優れている。そのうち、実施例16、18、19、20は病理評価点数を顕著に低下させることができ(P<0.05)、組合17は病理評価点数を低下させる傾向がある(P>0.05)。
【0067】
【表6】
【0068】
5 実験結論
以上の実験結果から分かるように、ブランク組と比べ、非アルコール性脂肪肝モデル組のマウスの体重、肝臓指数、血中脂質、ALT、AST、インスリン抵抗指数はいずれも明らかに上昇し、肝臓組織は重度に脂肪変性している。プーアル茶は、インスリン抵抗を改善し、血中脂質を調節することが可能であると同時に、ラジカル基の除去と酸化ストレス防止の強い能力を有するシリビンと協同し、両者を配合して使用する場合、肝臓の脂肪変性に明らかな改善があり、かつ効果は両者を単独に使用する場合より優れていて、相乗効果を有する。