【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の技術によって実現される。
【0012】
シリビン−リン脂質複合物、及びプーアル茶を含む組合せ薬物である。
【0013】
前記組合せ薬物において、シリビン−リン脂質複合物は薬物製剤に調製することが可能であり、プーアル茶は茶製品に調製することが可能であり、両者を一緒に複合組合せ薬物に調製することも可能である。
【0014】
本発明の組合せ薬物において、シリビン−リン脂質複合物を薬物製剤に調製し、プーアル茶を茶製品に調製し、両者をそれぞれ単位投薬量に基づいて包装した後、同一の外装内に入れ、使用する際に、それぞれの服用量に基づいて、両者を併合服用することが好ましい。
【0015】
本発明において、シリビン−リン脂質複合物の薬物製剤とプーアル茶/プーアル茶製品の両者を併合服用する場合、服用するシリビン−リン脂質複合物とプーアル茶/プーアル茶製品の重量比率は(0.5〜2.5):(0.3〜10)であり、好ましい重量比率は(1〜2):(0.6〜5)であり、好ましい重量比率は(1〜1.3):1である。
【0016】
本発明の組合せ薬物において、前記シリビン−リン脂質複合物製剤は、シリビン−リン脂質複合物を薬物の活性成分として調製される同時服用可能な単位投薬量の薬物製剤であり、丸剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、顆粒剤、および錠剤のいずれか一種が好ましく、カプセル剤が最も好ましく、シリビン−リン脂質複合物のカプセル製剤は特許公開番号CN100594898に従って調製することが好ましい。
【0017】
上述した前記重量比は薬物製剤の活性成分、すなわち、シリビン−リン脂質複合物の重量とプーアル茶/プーアル茶製品との重量比率である。
【0018】
製剤として、前記シリビン−リン脂質複合物はシリビン−リン脂質複合物製剤の総重量の10〜60%を占め、30〜50%が好ましく、40%が好ましい。前記シリビン−リン脂質複合物は重量比でシリビン:リン脂質=1:(1〜4)、好ましくは7:13であるシリビン−リン脂質から組成されている。
【0019】
本発明の組合せ薬物において、前記シリビン−リン脂質複合物のシリビン、リン脂質はいずれも従来技術で得られるか、市販のものを購入してもよい。
【0020】
本発明の治療効果をよりよく発揮するために、本発明のシリビンは以下のような方法で調製することが好ましい。すなわち、シリマリンを取って、それぞれ80%エタノールを用いて溶解させ、濾過し、沈澱物は95%エタノールを用いて3回溶解、溶出して、残った沈澱物を収集する。沈澱物を、無水エタノールを用いて溶解し、濾過し、濾液に一定量の水を加入して沈澱物を析出させて、濾過し、沈澱物を収集し、減圧、乾燥、粉砕して、混合すればよい。
【0021】
前記リン脂質は、ホスファチジルコリンを主とする大豆リン脂質またはレシチンであり、大豆リン脂質が好ましい。
【0022】
本発明の組合せ薬物において、前記プーアル茶は、主にプーアル茶製品であり、プーアル粉末茶、プーアル茶葉、プーアル茶抽出物、プーアル茶餅、プーアル茶飲料、およびプーアル茶バッグのいずれか一種であり、プーアル粉末茶またはプーアル茶抽出物が好ましい。前記プーアル粉末茶、プーアル茶葉、プーアル茶抽出物、プーアル茶餅、プーアル茶飲料、プーアル茶バッグの調製はいずれも従来技術である。前記プーアル粉末茶は、生態学的栽培と生物科学技術との完璧な結合によって、ナノレベルに近いナチュラル、高収率でプーアル茶を精製して作成でき、ポリフェノール、茶の色素、茶の多糖、カフェインを配合してなるプーアル成分を豊かに含む。プーアル粉末茶は市販されるものを購入しており、Deepureのプーアル粉末茶を選択することが好ましい。特許公開番号CN101961061A、CN101961061B、CN101961425A、CN101961425B、CN101961060A、CN101961059A、CN101961059Bに従って、調製する。
【0023】
プーアルの粉末茶の生産プロセスを例示する。
ステップ1:プーアル茶葉を水に入れて煎じて2〜4回抽出する。抽出は、毎回0.5〜2時間行い、6〜12倍の体積の水を入れて行い、抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。
ステップ2:遠心分離機を用いて濃縮液に対して遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
【0024】
好ましいステップは以下の通りである。
ステップ1:プーアル茶葉を水に入れて、激しく沸騰させ、煎じて3回抽出する。抽出は、毎回0.5〜2時間行い、6〜12倍の体積の水を入れて行い、抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。
ステップ2:三脚式遠心分離機を用いて濃縮液を遠心分離し、得られた分離液をチューブ式遠心分離機を用いてさらに遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
ここで、チューブ式遠心分離の条件は、遠心分離機の回転数:15,000〜19,000回転/minで、スプレー乾燥条件は、送風温度:140〜190℃で、風排出温度:75〜95℃である。
【0025】
最も好ましいステップは以下の通りである。
プーアル茶葉を水に入れて、激しく沸騰させ、煎じて3回抽出する。1回目は1.5時間煎じ、10倍体積の水を入れ、2回目は1.5時間煎じ、8倍体積の水を入れ、3回目は1時間煎じ、8倍体積の水を入れる。抽出液を濾過し、≦70℃の条件で、濾液を茶葉の重量:濃縮液の体積=1:2〜1:3になるまで減圧濃縮する。三脚式遠心分離機を用いて濃縮液を遠心分離し、遠心分離液をチューブ式遠心分離機を用いてさらに遠心分離を行い、遠心分離液を45〜65℃で比重1.1〜1.25になるまで減圧濃縮し、スプレー乾燥またはマイクロ波乾燥を行って濃縮クリームを得る。
ここで、チューブ式遠心分離の条件は、遠心分離機の回転数:15,000〜19,000回転/minで、スプレー乾燥条件は、給気温度:140〜190℃で、風排出温度:75〜95℃である。
【0026】
本発明の組合せ薬物を併用する場合、以下の方法を採用することが可能である。すなわち、シリビン−リン脂質複合物またはシリビン−リン脂質複合物製剤をプーアル茶水溶液で服用する。
【0027】
本発明の組合せ薬物の服用方法は以下の通りである。組合せ薬物の中のプーアル粉末茶、プーアル茶葉、プーアル茶餅、プーアル茶飲料、プーアル茶バッグの中のいずれか一種を取って、適量の水で浸漬または溶解した後、患者はプーアル茶水溶液でシリビン−リン脂質複合物の薬物製剤を服用する。
【0028】
本発明の服用方法は、従来技術における、お茶と薬物を同時に服用できず、同時に服用すると薬物の治療効果を低下させるという技術的問題を克服する。本発明は、このような技術的問題を克服するだけでなく、さらに同時に服用するとこのような欠陥を克服しつつ、より良好な治療効果を生じることができることを見出した。
【0029】
プーアル茶の、インスリン抵抗性の改善、血中の脂質およびレプチンのレベル調節が可能であるなどの作用は、生体のインスリン抵抗による肝実質細胞内への脂肪の蓄積をある程度遮断可能であると同時に、シリビンのラジカル基除去及び酸化ストレス防止の強い能力と組み合わされて、両者は良好な抗NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)効果を有する。
【0030】
以下、実験データによって本発明の組合せ薬物を使用する有益な効果を説明する。
【0031】
試験例
【0032】
1 実験動物
SPFレベルの6週齢の雄性のC57 BL/6Jレプチン欠失マウス(ob/ob)60匹と、SPFレベルの6週齢の雄性のC57 BL/6J(ob/m)マウス10匹を、北京華阜康生物科学技術株式有限会社から提供され、天士力研究院薬理学毒性学研究センターのバリア動物部屋で飼育し、温度は20℃〜25℃で、相対湿度は60%であり、各籠に5匹ずつ入れ、照明時間は12時間で、決まった時間に決まった量で飼料を添加し、ob/obマウスは高脂肪飼料で飼養し(HFD、D12492)、C57 BL/6Jマウスは普通の飼料で飼養し、いずれも北京華阜康生物科学技術株式有限会社から提供されており、自由に水を飲用させ、毎日敷料を交換する。
【0033】
2 試験物
シリビン−リン脂質複合物(実施例1に基づいて調製)はタスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッドから提供され、ロット番号は500902031であり、プーアルの粉末茶は茶褐色の粉末であり、タスリー・ファーマシューティカル・グループ・カンパニー・リミテッドから提供され、ロット番号はZ001 PE(2014)C06(H)であり、薬理学研究所で提供される試料室のサンプル棚内に置き、光を避けて室温で保存する。
【0034】
3 実験方法
【0035】
3.1 実験量の設計及びパケット
基礎型製品(NAFLMED basic)は、
ヒト用の一日の用量が3gのシリビン−リン脂質複合物
(シリビン420mg、大豆リン脂質780mgを含有)+1.2gプーアル粉末茶である。シリビン−リン脂質複合物の用量は3gであり、マウスの投薬量に転換した量は3g/60*12.3=0.62g/kgであり、プーアル粉末茶のヒト用の用量は1.2gである。もう1つの高投薬量組を設け、投薬量は2.4gとし、マウスの投薬量に転換した量は1.2g/60*12.3=
0.25g/kg、2.4g/60*12.3=
0.50g/kgである。実験パケット及び投薬量の設計は表1の通りである。
【0036】
【表1】
【0037】
3.2 試験物の投与
適応のため1週間飼養した後、60匹の6週齢のob/obマウスをランダムに6組に分け、各組は10匹とした。なお、10匹の6週齢のC57BL/6Jマウスは正常組である(表1)。正常組のマウスは普通の飼料で飼養し、モデル組と投薬組はいずれも高脂肪飼料で飼養する(HFD、D12492)。なお、薬物で干渉する組のマウスに対しては、対応する投薬量(表1)の薬物を胃内投与し、正常組とモデル組はいずれも等量の蒸留水を投与し、シリビン−リン脂質複合物+プーアル茶抽出物の配合組は、両者を同時に服用し、6週間連続に胃内投与する。
【0038】
マウスは実験期間内に自由に飼料を食べさせ、水を飲ませて、毎週に1回体重を計量し、体重に基づいて投薬量を調整する。最終回の投薬後には12時間給水のみで断食させ、体重を秤量し、眼球を摘出して血液を採取してから、頸椎脱臼によってマウスを殺し、迅速に解剖して肝臓を摘出し、生理食塩水で洗浄し、濾紙で水分を吸収して計量してから、−20℃の冷蔵庫に保存する。
【0039】
3.3 検出指標及び方法
【0040】
3.3.1 通常状況の観察
実験期間中、毎週1回各組のマウスの体重を計量する。
【0041】
3.3.2 肝臓指数を計算し、かつ肝臓の全般的形態を観察する
実験終了後、肝臓を計量し、肝臓指数を計算し、肝臓指数(%)=肝臓湿重量/体重*100%である。
【0042】
3.3.3 血清生化学的指標の検出
すべてのマウスに対して、眼球を摘出して血液を採取して、3000r/minで15分間遠心分離し、血清を分離してEP管に収集して、−20℃の冷蔵庫に保存する。7020生化学自動分析装置を用いて、血清におけるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニン アミノトランスフェラーゼ(ALT)、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC、)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)、血糖(GLU)の含有量を検出する。
【0043】
3.3.4 インスリン抵抗指数
Elisaキットを用いて、血清FINSを検出し、かつ式によってインスリン抵抗指数を計算する。
【0044】
【数1】
【0045】
3.3.5 肝臓組織の病理学的検出
冷凍された肝臓組織を取って凍結スライスを調製し、オイルレッドO染色を用いて、肝臓脂肪の変性程度を観察する。オイルレッドO染色の操作ステップは、凍結スライス→蒸留水で十分に洗浄する→オイルレッドO希釈液で光を避けて10〜15分間染色する→オイルレッドO飽和液6mlを取り出して、蒸留水4mlを添加し、5〜10分間静置した後、濾過してから使用する→60%エタノールで、顕微鏡下で間の物質が明瞭になるまで差別化する→水洗する→核をヘマトキシリン・エオシン染色する→水洗→中性ゴムでスライスを密封する→顕微鏡で観察する、ことである。
【0046】
3.4 データ処理
統計学的方法は、SPSS 15.0統計学ソフトウェアを用いて分析を行い、データは平均値±標準差で示し、t検定を採用し、各組の治療前後、及び組同士の各項目を分析、比較して指標の差異の有無を観察し、P<0.05を差異とし、統計学的に意義があるものとした。
【0047】
4 実験結果
【0048】
4.1 各試験物の体重に対する影響
実験期間に、毎週に1回各組のマウスの体重を計量し、各組の薬物の非アルコール性脂肪肝のマウスの体重に対する影響を観察する。表2に示すように、正常組のマウスの体重の増加は緩慢で、モデル組のマウスの体重の増加は速い。6週間投薬した後、シリビン−リン脂質複合物組以外、他の各投薬組はいずれも異なる程度でマウスの体重増加を抑えることができ(P<0.01)、各組の間で顕著な差異はない。
【0049】
【表2】
【0050】
4.2 各試験物の肝臓指数に対する影響
表3に示すように、正常組と比べ、モデル組のマウスの体重、肝臓湿重量、及び肝臓指数はいずれも明らかに増大しており(P<0.01)、各試験物はいずれもマウスの肝臓湿重量及び肝臓指数を顕著に低下させることができる(P<0.01)。
【0051】
【表3】
【0052】
4.3 各試験物の血糖に対する影響
実験期間に、毎週各組の薬物の非アルコール性脂肪肝のマウスの血糖に対する影響を検出する。表4に示すように、投薬期間に、モデル組のマウスの血糖は正常組より明らかに高い(P<0.01)。6週間投薬した後、シリビン−リン脂質複合物組以外、他の各投薬組はいずれも異なる程度でマウスの血糖を低下させることができ(P<0.01)、各組の間に顕著な差異はない。
【0053】
【表4】
【0054】
4.4 各試験物の血中脂質及び肝機能指数に対する影響
表5に示すように、正常組と比べ、非アルコール性脂肪肝モデルマウスの血清TC、LDL、ALT、ASTは、いずれも明らかに上昇しており(P<0.05)、シリビン−リン脂質複合物とプーアル茶抽出物の低投薬量組は、異常に上昇した各指標に対していずれも明らかな改善がなく(P>0.05)、プーアル茶抽出物の高投薬量組はTCとLDL−Cを低下させることはできるが(P<0.05)、ALT、ASTに対しては明らかな改善がなく(P>0.05)、シリビン−リン脂質複合物+プーアル茶抽出物の高または低投薬量組は、いずれもTC、LDL−C、ALTを顕著に低下させることができ(P<0.05)、かつ効果は両者を単独に使用する場合より優れている。
血液の生化学的結果に示されるように、該動物モデルの血清TG、HDL−Cの変化傾向は人体の変化傾向と一致しないため、後続の実験は血清TC、LDL、ALT、ASTの4つの生化学的指標の観察を主とする。
【0055】
【表5】
【0056】
4.5 各試験物のインスリン抵抗指数に対する影響
表6に示すように、正常組と比べ、非アルコール性脂肪肝モデルのマウスのインスリン抵抗指数は顕著に上昇し(P<0.01)、単独にシリビン−リン脂質複合物を使用する場合は、インスリン抵抗指数に明らかな改善がなく(P>0.05)、プーアル茶抽出物及び両者の配合組はインスリン抵抗指数を顕著に低下させることができ(P<0.05)、配合物の効果は、単独でシリビン−リン脂質複合物を使用する場合より優れている。
【0057】
【表6】
【0058】
4.6 各試験物のマウスの肝臓病理に対する影響
オイルレッドO染色は、肝臓の凍結組織のオイルレッドO染色の光学顕微鏡下での肝細胞内の赤色顆粒の大きさと数によって、軽度、中度、重度の3つに分けられる。軽度、即ち、光学顕微鏡下での単位面積あたりに1/3〜2/3の赤色顆粒が見られると1点と評し、中度、即ち、2/3以上の肝細胞内に赤色顆粒が含まれていると2点と評し、重度、即ち、ほぼすべての肝細胞内にいずれも赤色顆粒があると3点と評し、脂肪変性が見られないものは0点と評する。
【0059】
表7に示すように、モデル組の肝臓組織には、ほぼすべての肝細胞にいずれも脂肪変性が発生しており、病理評価点数は正常組に比べ、明らかに上昇し(P<0.01)、シリビン−リン脂質複合物またはプーアル茶抽出物を単独に使用する場合、肝臓の病理評価点数に明らかな改善が見られず(P>0.05)、両者を併合して使用する場合、肝臓の脂肪変性を顕著に改善し、病理評価点数を低下させることができ(P<0.05)、効果は両者を単独に使用する場合より優れている。
【0060】
【表7】
【0061】
5 実験結論
以上の実験結果から分かるように、ブランク組と比べ、非アルコール性脂肪肝モデル組のマウスの体重、肝臓指数、血中脂質、ALT、AST、インスリン抵抗指数はいずれも明らかに上昇し、肝臓組織は重度に脂肪変性している。プーアル茶は、インスリン抵抗を改善し、血中脂質を調節することが可能であるが、ラジカル基の除去と酸化ストレス防止の強い能力を有するシリビンと併合して使用する場合、肝臓の脂肪変性に明らかな改善があり、その効果は両者を単独に使用する場合より優れている。