特許第6853786号(P6853786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853786活性化リグニン組成物、その製造方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853786
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】活性化リグニン組成物、その製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C08H 7/00 20110101AFI20210322BHJP
   C08G 8/20 20060101ALI20210322BHJP
   C08G 8/10 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   C08H7/00
   C08G8/20 A
   C08G8/10
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-551183(P2017-551183)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-510250(P2018-510250A)
(43)【公表日】2018年4月12日
(86)【国際出願番号】IB2016051871
(87)【国際公開番号】WO2016157141
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】62/141,930
(32)【優先日】2015年4月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレスコフ、ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ザファル、アシャール
【審査官】 齋藤 光介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05008378(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0249271(US,A1)
【文献】 特表2000−511964(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/179251(WO,A1)
【文献】 特表2016−540058(JP,A)
【文献】 NAIR,S.S. et al.,High shear homogenization of lignin to nanolignin and thermal stability of nanolignin-polyvinyl alcohol blends,ChemSusChem,2014年,Vol.7,p.3513-3520
【文献】 LIU,G. et al.,Effect of urea on the properties of lignin phenol formaldehyde adhesive,FINE CHEMICALS(精細化工),2008年 9月,Vol.25, No.9,p.922-925,930
【文献】 森滋,リグニン樹脂接着剤について,材料,1967年,Vol.16, No.169,p.765-771
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08H
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップを含む、活性化リグニン組成物を作製するための方法:
i)リグニンを提供するステップ、
ii)を添加するステップ、
iii)アルカリ金属系触媒又は酸性触媒を添加するステップ、
及び
iv)前記成分を混合し、同時に、せん断処理を用いてリグニンの粒径を減少させ、前記成分を高せん断及び流動に供し、前記組成物を提供するステップ、
前記高せん断処理は、バッチ方式又はインライン方式のいずれかでローター・ステーター装置を有するミキサーを使用することを含み、
前記ローター・ステーター装置は、固定子により高速で回転する回転子を含むか、又は
前記ローター・ステーター装置は、ディスク型回転子として、固定子なしで回転する、鋸歯を含む回転子及び/又は星型回転子を含むものからなり、それにより高せん断及び乱流を生成し、
前記高せん断処理は、少なくとも1000rpmより大きい回転速度を含む。
【請求項2】
以下のステップを含む、リグニン−フェノールホルムアルデヒド樹脂を製造するための方法:
a)請求項1に記載の方法により得られる活性化リグニン組成物を提供するステップ、
b)ホルムアルデヒドであるアルデヒド系架橋剤を前記組成物に添加するステップ、
c)さらなるアルカリ金属系触媒又は酸性触媒を添加するステップ、及び
d)前記組成物を加熱してリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を得るステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材接着剤、結合剤及び接着剤などの異なる適用分野における活性化リグニン組成物、前記組成物の製造するための方法及びその使用に関する。本発明はまた、接着剤の製造のための方法及び使用に関する。さらに、前記活性化リグニンを含む樹脂、その製造及び使用にも関する。
【0002】
芳香族ポリマーであるリグニンは、例えば、セルロースに次いで地球上で最も豊富な炭素源である木材において、主な構成物質である。近年、パルプ製造プロセスから高度に精製された、固体で特定の形態でリグニンを抽出する技術の開発及び商業化に伴い、それは、石油化学産業から近年供給される主に芳香族化学前駆体の代替の可能な再生可能エネルギーとして非常に注目されている。
【0003】
ポリ芳香族ネットワークであるリグニンは、フェノール−ホルムアルデヒド接着剤の生産中にフェノールの適切な代替物として広範に研究されている。これらは、合板、配向性ストランドボード及び繊維板などの構図様木材製品の製造中に使用される。そのような接着剤の合成中、塩基性触媒又は酸性触媒のいずれかの存在下で、フェノールで部分的に置換されたリグニンは、ホルムアルデヒドと反応させてノボラック(酸性触媒を利用した場合)又はレゾール(塩基性触媒を利用した場合)と呼ばれる高度に架橋された芳香族樹脂を形成する。現在、リグニンのより低い反応性のため、限られた量のフェノールのみが、リグニンで置換されることができる。
【0004】
「High Shear Homogenization of Lignin to Nanolignin and Thermal Stability of Nanolignin−Polyvinyl Alcohol Blends(リグニンのナノリグニンへの高せん断均質化及びナノリグニン−ポリビニルアルコールブレンドの熱安定性)」、Nair Sundeep. Sら、ChemSusChem 2014年, 7, 3513 - 3520, DOI: 10.1002/cssc.201402314は、リグニンの高せん断処理を開示する。
【0005】
WO2013144454は、熱及びアルカリを使用して、リグニンの活性化をさらに開示する。
【0006】
したがって、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂中のフェノール代替物としてその性能を向上させるために、リグニンの反応性を増加させる必要性が依然として存在する。さらに、リグニンの処理を可能にして、最小の燃焼及び呼吸の危険で安全に取り扱うことができる組成物を達成する必要がある。
【0007】
本発明は、第1の側面によると、1つ以上の水性又は水溶性分散剤及び触媒、及びアルカリ性リグニンなどのリグニンを含む、分散の形態などの活性化リグニン組成物を提供し、ここで、前記リグニンは、約0.1nm〜約10000nm、及び好ましくは約100〜約1000nmの範囲の平均粒径を有する。
【0008】
本発明はまた、第2の側面によると、リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂などの木材接着剤の合成において第1の側面にかかる組成物の使用を提供する。
【0009】
本発明はまた、第3の側面によると、以下のステップを含む第1の側面にかかる活性化リグニン組成物を作製するための方法を提供する:
i)アルカリ性リグニンなどのリグニンを提供するステップ、
ii)水などの1つ以上の水性又は水溶性分散剤(複数可)を添加するステップ、
iii)NaOHなどのアルカリ金属系触媒又は酸性触媒を添加するステップ、
iv)フェノールなどの1つ以上の置換及び/又は非置換ヒドロキシベンゼン化合物を任意に添加するステップ、及び
v)前記成分を混合し、同時に、好ましくは高せん断処理を用いてリグニンの粒径を減少させ、前記成分は、高せん断及び流動に供され、したがって前記組成物を提供するステップ。
【0010】
本発明はまた、第4の側面によると、第3の側面にかかる方法によって得られる分散の形態の組成物を提供する。
【0011】
本発明はまた、第5の側面によると、リグニン−フェノールホルムアルデヒド樹脂における第4の側面にかかる組成物の使用を提供し、これは、木材接着剤として使用され得る。
【0012】
本発明はまた、第6の側面によると、以下のステップを含むリグニン−フェノールホルムアルデヒド樹脂を製造するための方法を提供する:
a)第1又は第4の側面にかかる活性化リグニン組成物を提供するステップ、
b)ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系架橋剤を前記組成物に添加するステップ、
c)任意に、予め特定されたリグニン/フェノール比が得られるまで、フェノールなどの1つ以上の置換及び/又は非置換ヒドロキシベンゼン化合物を前記組成物にさらに添加するステップ、
d)任意に、さらなるアルカリ金属系触媒又は酸性触媒を添加するステップ、及び
e)前記組成物を加熱してリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を得るステップ。前記樹脂は、予め決定された粘度を有し得る。前記樹脂は、結合剤として又は接着剤として(又は接着剤の一部として)使用され得る。
【0013】
本発明はまた、第7の側面にかかる方法によって得られる、リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂の形態の樹脂組成物を提供する。
【0014】
本発明はまた、第8の側面によると、以下のステップを含むリグニン−フェノールホルムアルデヒド樹脂を製造するための方法を提供する:
A1)アルカリ性リグニンなどのリグニンを提供するステップ、
A2)水などの1つ以上の水性又は水溶性分散剤(複数可)を添加するステップ、
A3)ステップA5)の前又は後に、NaOHなどのアルカリ金属系触媒又は酸性触媒を添加するステップ、
A4)前記成分を混合し、同時に、好ましくは高せん断混合処理を使用することによって、リグニンの粒径を減少させ、前記成分は、高せん断及び流動に供されるステップ、
A5)フェノールなどの1つ以上の置換及び/又は非置換ヒドロキシベンゼン化合物を添加するステップ、
A6)ステップA5)の前又は後に、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系架橋剤を前記組成物に添加するステップ、及び
A7)加熱し、任意に前記組成物の高せん断混合を維持し、したがってリグニン−フェノールホルムアルデヒド樹脂を提供するステップ。
【0015】
本発明はまた、第9の側面によると、第8の側面にかかる方法によって得られる、リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂組成物の形態の樹脂組成物を提供する。
【0016】
本発明はまた、第10の側面によると、限定されないが、合板、パーティクルボード、ウエハーボード、グルーラムビーム、構造複合材、配向性ストランドボード(OSB)、配向性ストランド材(OSL)を含む人工木材製品、及び限定されないが、ラミネート、絶縁体及び成形材料を含む他の適用において、第7又は第9の側面にかかる樹脂組成物の使用を提供する。樹脂組成物はまた、含浸適用で、コーティングとして、強化プラスチックのために、圧縮鋳造、ラミネート又はラッカーを生成するために、又は木材製品を接着するために前記のように使用され得る。適用領域配向性ストランドボード(OSB)について、尿素の使用を含む第3及び第8の側面に従って製造される樹脂が好ましく、前記使用は、以下の第3及び第8の好ましい態様でさらに言及される。
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書を通して、表現「リグニン」は、分散を作製するために使用され得る任意のリグニンを包含することが意図される。好ましくは、リグニンは、例えばクラフトプロセスで生成されるアルカリリグニンである。リグニンは、好ましくは、WO2006031175に開示された方法を用いて得られ得る。
【0018】
本明細書を通して、表現「置換及び/又は非置換ヒドロキシベンゼン化合物」は、本発明の文脈において有用な任意のそのような化合物を包含することを意図される。その例は、フェノール、クレゾール、レゾルシノール及びそれらの組み合わせであり、フェノールが好ましい。
【0019】
本明細書を通して、表現「アルデヒド系架橋剤」は、本発明の文脈において有用な任意のそのような化合物を包含することが意図される。好ましいアルデヒド系架橋剤は、ホルムアルデヒドである。前記ホルムアルデヒドはまた、メタノールも含有する溶液中に存在し得る。
【0020】
本明細書を通じて、表現「アルカリ金属系触媒」は、本発明の文脈において有用な任意のそのような触媒を包含することが意図される。その例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの任意の混合物であり、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0021】
本発明の第3の側面の好ましい態様によると、高せん断処理は、バッチ方式又はインライン方式のいずれかのローター−ステーター設定を有するミキサーを使用することを含み、ローター−ステーター設定は、固定要素を用いて高速で回転する回転要素を含むか、又は前記設定は、鋸歯を有するディスク型回転要素及び/又は固定要素なしで高速で回転する星型回転要素からなり、したがって、高せん断及び乱気流を生成する。前記高せん断混合は、少なくとも約100rpmより大きい、好ましくは少なくとも約1000rpmより大きい、最も好ましくは少なくとも約10000rpmより大きい回転速度を含み得る。高せん断混合はまた、樹脂合成中に実施され得る。
【0022】
本発明の第6の側面の好ましい態様によると、分散の形態などの活性化リグニン組成物は、樹脂の製造と本質的に同時に製造される。活性化リグニン組成物を製造するための方法は、本発明の第3の側面に記載の通りであり得る。したがって、前記態様の1つの変異形において、第3の側面のステップi)〜v)は、第6の側面のステップb)〜e)に進み得る。
【0023】
本発明の第6の側面の好ましい態様によると、アルカリ金属系触媒又は酸性触媒の添加は、アルデヒド系架橋剤の添加に先行する。
【0024】
本発明の第6の側面の好ましい態様によると、前記方法はまた、f)尿素を添加するステッを含む。本発明の第8の好ましい態様によると、ステップA6)アルデヒド系架橋剤の添加は、A5)さらなる混合及び任意にアルカリ金属系触媒又は酸性触媒のさらなる添加後に添加する場合を含む。
【0025】
本発明の第8の側面の好ましい態様によると、フェノールなどの1つ以上の置換及び/又は非置換ヒドロキシベンゼン化合物は、予め特定されたリグニン/フェノール比が得られるまでに、前記組成物に添加される。
【0026】
本発明の第8の側面の好ましい態様によると、前記方法はまた、尿素を添加するステップA8)を含む。
【0027】
本発明は、任意の方法で本発明の範囲を限定しない添付図面と一緒に、以下の例においてさらに記載される。
【0028】
本発明の各側面の好ましい特徴は、変更すべきところは変更して、他の側面のそれぞれについての通りである。本明細書中に記載される先行技術文献(複数可)は、法律で許容される最大限の範囲で組み込まれる。
【0029】
本発明の態様は、添付図面と併せて、態様の例を用いてより詳細に述べられるように記載され、その目的は、本発明を説明することのみであり、その範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、粘度の変化を開示する。
【0031】
図2図2は、サーモグラムを開示する。
【0032】
図3図3は、粘度の変化を開示する。
【0033】
例1
リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、約50重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度で合成した。第1ステップにおいて、リグニン分散を、高せん断分散装置(この場合、コンデンサー、オーバーヘッドスターラー及び温度計を備えたガラス反応器中にS25 N18G分散要素を備えたIKA T25 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizer)を使用して、40gのリグニン(96%リグニン)、53gの水及び11.5gの水酸化ナトリウムを30分間、混合することによって調製した。第2ステップにおいて、40gのフェノール(99%フェノール)及び124gのホルムアルデヒド溶液(メタノール中37%ホルムアルデヒド)をガラス反応器に添加した。ホルムアルデヒド対フェノールの比を、遊離モノマーの十分なレベルの検出を容易にする1.8に設定した。溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加で11.5に調整した。反応混合物の粘度が一定の粘度に到達するまで、反応混合物を80℃で加熱した。粘度を、Brookfield DV−II+ LV粘度計を用いて25℃で測定した。粘度変化を、図1に示す。反応混合物が一定の粘度に到達した後、冷水浴を使用して、室温に急速に冷却した。遊離モノマー内容物を、GC/MSによる分析及び定量化によって、それぞれ遊離フェノール及び遊離ホルムアルデヒドについて、BSTFA−(o−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩)誘導体によって決定した。
【0034】
例2−比較例
リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、約50重量%のリグニンに等しいリグニンとのフェノールの置換度で合成した。40gのリグニン(96%リグニン)、40gのフェノール(99%フェノール)、40gの水及び124gのホルムアルデヒド溶液(メタノール中37%ホルムアルデヒド)を、コンデンサー、オーバーヘッドスターラー及び温度計を装備したガラス反応器中で組み合わせた。ホルムアルデヒド/フェノール比を、遊離モノマーの十分なレベルの検出を容易にする1.8に設定した。溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加で11.5に調整した。反応混合物の粘度が一定に到達するまで、反応混合物を80℃で加熱した。粘度を、例1に記載されるように、25℃で測定した。反応混合物が一定の粘度に達した後、冷水浴を用いて室温に急速に冷却した。遊離モノマー内容物を、GC/MSによる分析及び定量化によって、それぞれ遊離フェノール及び遊離ホルムアルデヒドについて、BSTFA−(N,O−ビストリフルオロアセトアミド)及びPFBHA−(o−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩)誘導体によって決定した。
【0035】
例1及び例2からの樹脂の示差走査熱量測定(DSC)分析を、Mettler Toledo DSC1装置で行った。分析の前に、水を、凍結乾燥によって除去し、樹脂から生じる任意の相転移を観察することを困難にする水蒸気化からのシグナルを避けた。約10mgのサンプルを、穿刺した蓋付きの100μlのアルミニウムパンに秤量して、ガス逃げ出しを可能にした。温度を、4℃/分の速度で25℃から350℃まで上昇させた。得られたサーモグラム(図2参照)を、「タンジェンシャルベースライン」タイプを使用して、サンプルサイズ及びベースライン補正に正規化することによって、Mettler Toledo STAReソフトウェア(v.10.00)でさらに処理した。驚くべきことに、例1からの樹脂の合成中の粘度変化は、はるかにより速い反応を示す実施理2からの樹脂のものより明らかに進んだことが判明した。
【0036】
また、例1で調製された樹脂は、遊離ホルムアルデヒドの有意により低いレベルを含み、合成中にホルムアルデヒドの増加した消費を示した。例1に見られるこの特定の特徴は、リグニンが、ホルムアルデヒドに対して活性化され、これはまた、実証されたものよりも高いリグニン置換レベルを達成されることができることを暗示する。これは、表1にも反映される。
【0037】
さらに、例1からの樹脂は、2つの顕著な発熱シグナル(118℃及び175℃)のみを有するより均一なDSCサーモグラムを生じたが、比較例1からの樹脂は、3つのピーク(111℃、127℃及び187℃)を生じたことがわかる。第1の発熱ピークにおける追加のシグナルの存在は、干渉する副反応が起こっている不均一な硬化挙動の明確な示唆である。さらに、開始温度と終了温度の差ΔTは、硬化速度のさらなる尺度である。ΔTの値が高いほど、硬化速度が遅い。したがって、例1からの樹脂は、硬化の著しく早い速度を有したことが明らかである。
【0038】
例3(E.1)
リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、約50重量%のリグニンに等しいリグニンとのフェノールの置換度で合成した。42.6gのリグニン(96%リグニン)、40gのフェノール(99%フェノール)、37.4gの水及び110gの37%ホルムアルデヒド溶液を、コンデンサー、オーバーヘッドスターラー及び温度計を装備したガラス反応器中で組み合わせた。ホルムアルデヒド対フェノール比を、1.6に設定した。溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加で11.5に調整した。反応混合物の粘度が一定の粘度に到達するまで、反応混合物を80℃で加熱した。反応混合物が一定の粘度に達した後、冷水浴を用いて室温に急速に冷却した。粘度の変化を、図3に示す。
【0039】
最終樹脂を、ゲル時間分析及び動的光散乱によって調べた。ゲル時間を、樹脂中に沈められ、垂直運動で移動する15mmのプランジャーを備えたTechne GT−6 Gelation Timerを使用して決定した。25gの樹脂を、チューブに移し、100℃に加熱した。ゲル時間は、樹脂がゲル化し、プランジャーがもはや樹脂を通過することができなくなった時点として自動的に決定された。2回の測定値の平均を、表2に報告する。
【0040】
動的光散乱分析及び粒子z平均サイズを、Malvern Zetasizer Nano ZSを使用して反応に15分間、樹脂が標的粘度に達したときに反応の最後に行った。約50μlの樹脂を、12mlの3M NaCl中に溶解し、目に見える凝集物がなくなるまで振盪した。サンプルを8回走査した。報告されたz平均値、標準偏差及び相対標準偏差を、表3に列挙する。
【0041】
例4(E.2)
リグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、約50重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度で合成した。第1のステップにおいて、リグニン分散を、高せん断分散装置(この場合、コンデンサー、オーバーヘッドスターラー及び温度計を備えたガラス反応器中にS25 N18G 分散要素を備えたIKA T25 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizer)を使用して、42.6gのリグニン(96%リグニン)、40gのフェノール(99%フェノール)、37.4gの水及び23gの45%水酸化ナトリウム溶液を90分間、混合することによって調製した。第2のステップにおいて、110gの37%ホルムアルデヒド溶液を、ガラス反応器に添加し、高速ホモジナイザーの代わりにプロペラ撹拌機で混合した。ホルムアルデヒド対フェノール比を、1.6に設定した。
【0042】
溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加によって11.5に調整した。反応混合物の粘度が一定の粘度に到達するまで、反応混合物を80℃で加熱した。粘度を、Brookfield DV−II+ LV粘度計を使用して25℃で測定した。反応混合物が一定の粘度に到達した後、冷水浴を使用して、室温に急速に冷却した。粘度変化を、図3に示す。
最終樹脂を、例2に記載されるように、ゲル時間分析及び動的光散乱によって調べた。
【0043】
例5(E.3)
約50重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度を有するリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂。ホルムアルデヒド対フェノール比を1.6に設定した。
【0044】
第1に、42.6gのリグニン(96%リグニン)、40gのフェノール、37.4gの水及び110gの37%ホルムアルデヒド溶液を、ガラス反応器中に加え、S25 N18G 分散要素を備えたIKA T25 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizerを使用して混合した。第2に、42gの45%水酸化ナトリウム溶液を反応混合物にゆっくり加えて、発熱反応を制御し、溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加で11.5に調整した。反応混合物を、IKA T25 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizerを使用して高強度混合下で維持し、反応混合物の粘度が一定の粘度に到達するまで80℃で加熱した。粘度を、Brookfield DV−II+ LV粘度計を使用して25℃で測定した。反応混合物が一定の粘度に到達した後、冷水浴を使用して室温に急速に冷却した。粘度変化を、図3で示す。ゲル時間を、表2で報告する。
【0045】
例6(E.4)
約50重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度を有するリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂。ホルムアルデヒド対フェノール比を、1.6に設定した。
【0046】
第1に、10.6gのリグニン(96%リグニン)、10gのフェノール、9.1gの水及び27.6gの37%ホルムアルデヒド溶液を、処方ワークステーションの反応容器に加えた。第2に、10gの45%水酸化ナトリウム溶液を反応混合物にゆっくり加えて、発熱反応を制御し、溶液のpHを、45%水酸化ナトリウムの水溶液の添加で11.5に調整した。反応混合物を、溶解ディスクを使用して高強度混合下で維持し、反応混合物の粘度が一定の粘度に到達するまで80℃で加熱した。粘度を、Brookfield DV−II+ LV粘度計を使用して25℃で測定した。反応混合物が一定の粘度に到達した後、冷水浴を使用して室温に急速に冷却した。
【0047】
例7(E.5)
合板パネル製造のためのリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、5Lのガラス反応器中で加熱し、S50N−G45F分散要素を備えたIKA T50 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizerを用いて混合した。反応混合物の粘度が一定の粘度に到達したら、冷水浴を使用して室温に急速に冷却した。この例の組成物中の含まれる成分を、上記の例5のものより5倍に増加させて、約50重量%に等しいリグニン及び1.6のホルムアルデヒド対フェノール比を有するフェノールの置換度のリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を得た。
【0048】
例8(E.6)
OSBパネル用の尿素を含むリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、約40重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度で5Lのガラス反応器中で加熱した。
【0049】
第1に、337gのリグニン(95%リグニン)、484gのフェノール、396gの水及び1276gの37%ホルムアルデヒド溶液をガラス反応器に加え、IKA T50 ULTRA TURRAX High−Speed Homogenizerを用いて混合した。
【0050】
第2に、231gのNaOH溶液(45%)をゆっくりと加えて、過剰な熱変化を防ぎ、10.2〜10.5のpHを与えた。温度を、30分間、60℃で一定に保ち、次に80℃に上昇させた。粘度を、Hoppler粘度計を用いて25℃で測定した。400〜450cPの粘度に到達するまで、反応混合物の温度を80℃で維持した。
この段階で、さらに165gの水酸化ナトリウム溶液を混合物に添加して、11.3〜11.5のHを与え、反応温度を、75℃に下げた。
所望の粘度(400〜450cP)を到達したとき、反応を室温(30℃)に冷却し、110gの尿素を反応混合物に加えた。尿素が完全に混合されたとき、反応を停止した。
【0051】
例9(E.7)
OSBパネル用の尿素を含むリグニン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂を、5Lのガラス反応器中で加熱し、約40重量%に等しいリグニンとのフェノールの置換度でピッチ付ブレードスターラーで混合した。
第1に、337gのリグニン(95%リグニン)、484gのフェノール、396gの水及び1276gの37%ホルムアルデヒド溶液をガラス反応器に加え、混合した。
【0052】
第2に、231gのNaOH溶液(45%)をゆっくりと加えて、過剰な熱変化を防ぎ、10.2〜10.5のpHを与えた。温度を、30分間、60℃で一定に保ち、次に80℃に上昇させた。粘度を、Hoppler粘度計を用いて25℃で測定した。400〜450cPの粘度に到達するまで、反応混合物の温度を80℃で維持した。
この段階で、さらに165gの水酸化ナトリウム溶液を混合物に添加して、11.3〜11.5のHを与え、反応温度を、75℃に下げた。
所望の粘度(400〜450cP)を到達したとき、反応を室温(30℃)に冷却し、110gの尿素を反応混合物に加えた。尿素が完全に混合されたとき、反応を停止した。
【0053】
例10
ベニアを、550×550mmサイズに切断し、製造前に20℃、65%RHに調整した。例7からの樹脂を、表4に従って混合した。
標的樹脂含量は、一方側に広がった180g樹脂/mであった。ホットプレスを、140℃、1MPaの圧力で、最初の4分間に蒸気の繰り返し放出を伴って実施した。総プレス時間は10分であった。ホットプレス後、ボードを室温で2枚のアルミニウムボードの間で冷却した。
評価の前に、全てのサンプルを、EN636クラス3試験方法に従って調整した。せん断強度を、EN314試験方法に従って評価した。3つのボードからの平均データを、表5に示す。
【0054】
例11
スプルースボードを190mmの長さの断片に切断し、ストランドを、ディスクフレーカーで製造し、篩い分けした。木材ストランドの含浸を、例8又は9からの樹脂を使用する回転ドラムバッチ中で実施し、これを水で希釈して比粘度に到達した。含浸したOSBストランドを広げ、160℃で10分の全押し時間、ホットプレスして、540×540mmのボードを得た。
ホットプレス後、ボードを室温で2枚のアルミニウム板の間で冷却した。評価前に、全てのサンプルを、20℃及び65%RHで調整した。内部ボンディングを、V313規格に規定されたサイクル試験条件の前後で評価した。3つのボードからの平均データを表6に示す。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】
【0055】
本発明の様々な態様を上記に記載したが、当業者は、本発明の範囲に入るさらなる変更を実現することができる。本発明の広がり及び範囲は、上記の例示的な態様のいくつかによって制限されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物にしたがってのみ規定されるべきである。例えば、上記組成物又は方法のいずれかは、他の既知の方法と組み合わせられ得る。本発明の範囲内の他の側面、利点及び変更は、本発明が関係する当業者に明らかであろう。
図1
図2
図3