(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853792
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】多要素生体吸収性血管内ステント
(51)【国際特許分類】
A61F 2/90 20130101AFI20210322BHJP
A61F 2/958 20130101ALI20210322BHJP
A61F 2/94 20130101ALI20210322BHJP
A61L 31/06 20060101ALI20210322BHJP
A61L 31/14 20060101ALI20210322BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20210322BHJP
A61L 31/10 20060101ALI20210322BHJP
A61K 31/439 20060101ALI20210322BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20210322BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
A61F2/90
A61F2/958
A61F2/94
A61L31/06
A61L31/14 500
A61L31/16
A61L31/10
A61K31/439
A61K45/00
A61P9/00
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-564763(P2017-564763)
(86)(22)【出願日】2016年3月3日
(65)【公表番号】特表2018-512247(P2018-512247A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016020743
(87)【国際公開番号】WO2016141215
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】62/127,370
(32)【優先日】2015年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517308415
【氏名又は名称】エフェモラル メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,ルイス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】オアー,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】サントス,ジェイソン デロス
(72)【発明者】
【氏名】ヘイグ,クリストファー
【審査官】
川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/028062(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/091438(WO,A2)
【文献】
特表2013−506517(JP,A)
【文献】
特表2008−514297(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19728337(DE,A1)
【文献】
特表2001−511030(JP,A)
【文献】
特表2014−526915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/90
A61F 2/94
A61F 2/958
A61K 31/439
A61K 45/00
A61L 31/06
A61L 31/10
A61L 31/14
A61L 31/16
A61P 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を通る血流を維持又は促進するために前記血管内に配置される装置において、複数のステント要素が互いに接触することなく多要素ステントとして前記血管内に移植されるように構成された複数のバルーン拡張型生体吸収性血管ステント要素を含み;
前記ステント要素が第1のセットのクローズドセル及び第2のセットのクローズドセルを含み、前記第1のセットのクローズドセルが前記第2のセットのクローズドセルと異なる大きさを有し;
前記第1のセットのクローズドセルが、長手方向に整列された隣接する繰り返しパターン及び円周方向に整列された隣接する繰り返しパターンを有し、前記第2のセットのクローズドセルが、長手方向に整列された隣接する繰り返しパターン及び円周方向に整列された隣接する繰り返しパターンを有し、前記第1のセットのクローズドセルと前記第2のセットのクローズドセルとが円周方向にオフセットされ、前記第1のセットのクローズドセル及び前記第2のセットのクローズドセルが、螺旋状に整列された隣接して繰り返す交互パターンを有し;
前記第1のセットのクローズドセルが、第1の開口寸法を有するより大きいセルであり、及び前記第2のセットのクローズドセルが、前記第1の開口寸法よりも小さい第2の開口寸法を有するより小さいセルであり;
前記より大きいクローズドセルのそれぞれが少なくとも1つのより幅広のストラット及び少なくとも1つのより細いストラットによって形成された菱形のクローズドセルであり、前記より幅広のストラットが第1の幅を有し、及び前記より細いストラットが前記第1の幅よりも狭い第2の幅を有し;
前記より幅広のストラットが、長手方向に整列された隣接するより大きい菱形のクローズドセルの角の間にあり、前記より細いストラットが、円周方向に整列された隣接するより大きい菱形のクローズドセルの角の間にあることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記より大きいクローズドセルのそれぞれが少なくとも1つの中間幅ストラットによって更に形成され、前記中間幅ストラットが、前記第1の幅よりも狭く且つ前記第2の幅よりも広い第3の幅を有し;
前記中間幅ストラットが、螺旋状に整列された隣接するより大きいクローズドセルとより小さいクローズドセルとの間にあることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、第1のセットのクローズドセルが第1の小葉形状を有し、及び前記第2のセットのクローズドセルが第2の小葉形状を有することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、前記第1のセットのクローズドセルのそれぞれが、長手方向に整列された小葉及び円周方向に整列された小葉を含み;前記長手方向に整列された小葉が前記円周方向に整列された小葉よりも大きいことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、長手方向に整列された隣接する小葉が長手方向連結ストラットによって連結され、及び円周方向に整列された隣接する小葉が円周方向連結ストラットによって連結されていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置において、前記第1のセットのクローズドセルがラチェットセルであり、及び前記第2のセットのクローズドセルが非ラチェットセルであることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、前記ラチェットセルのそれぞれが、長手方向に整列されたラチェットストラットを含み;前記ラチェットストラットの一部にある歯が、キャビティ内を移動し且つ爪に係合するように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記第1のセットのクローズドセルが双安定性セルであり、及び前記第2のセットのクローズドセルが非双安定性セルであり、前記双安定性セルが、双安定性ばねバンド構成を有する円周方向に整列された双安定性ストラットを含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記双安定性ストラットが、凹状湾曲が長手方向に向いた凹凸形状を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
多要素生体吸収性血管ステントを製造する方法において、
付加的製造プロセスを用いて、バルーン拡張型及び非自己拡張型である前記生体吸収性血管ステントの長さを生体吸収性材料から形成するステップであって、ステント要素が、第1のセットのクローズドセル及び前記第1のセットのクローズドセルと異なる大きさを有する第2のセットのクローズドセルを含み、前記第1のセットのクローズドセルが、長手方向に整列された隣接する繰り返しパターン及び円周方向に整列された隣接する繰り返しパターンを有し、前記第2のセットのクローズドセルが、長手方向に整列された隣接する繰り返しパターン及び円周方向に整列された隣接する繰り返しパターンを有し、前記第1のセットのクローズドセルと前記第2のセットのクローズドセルとが円周方向にオフセットされ、前記第1のセットのクローズドセル及び前記第2のセットのクローズドセルが、螺旋状に整列された隣接して繰り返す交互パターンを有する、ステップと;
前記生体吸収性血管ステントの前記長さを切断して、前記ステントの複数のステント要素を形成するステップとを含み;
前記第1のセットのクローズドセル及び前記第2のセットのクローズドセルが、前記付加的製造プロセスを用いて形成されるものであり、
前記第1のセットのクローズドセルは、第1の開口寸法を有するより大きいセルであり、前記第2のセットのクローズドセルは、前記第1の開口寸法よりも小さい第2の開口寸法を有するより小さいセルであり、
前記より大きいクローズドセルのそれぞれは、少なくとも1つのより幅広のストラットと、少なくとも1つのより細いストラットとから形成されるものであり、前記より幅広のストラットが第1の幅を有し、前記より細いストラットが前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記より幅広のストラットは、長手方向に整列された隣接するより大きいクローズドセルの角の間にあり、前記より細いストラットは、円周方向に整列された隣接するより大きいクローズドセルの角の間にあることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記付加的製造プロセスがマイクロ−ステレオリソグラフィー又は3D印刷を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、前記生体吸収性材料が、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、及びポリ(ヨウ化デスアミノチロシル−チロシンエチルエステル)カーボネートからなる群から選択されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、コーティングを前記生体吸収性材料に塗布するステップを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記コーティングがポリ−D,L−ラクチド(PDLLA)を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年3月3日出願の「MULTI−ELEMENT BIORESORBABLE INTRAVASCULAR STENT」という名称の米国仮特許出願第62/127370号明細書の利益及び優先権を主張し、この特許出願の全開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本出願は、概して、医療器具の分野に関する。より詳細には、本出願は、蛇行血管用の生体吸収性血管ステントに関する。
【背景技術】
【0003】
アテローム性動脈硬化症は、世界中において死亡及び身体障害の主な原因であり、全ての人間の死亡率のほぼ3分の1を占める。過去50年間にアテローム性動脈硬化症の理解及び主な予防法において著しい進展が見られた。それでも、患者の加齢につれて、患者の動脈は脆弱且つ細長くなり、初期のアテローム動脈硬化性プラークは否応なしに閉塞性末期に進行し、狭心症(胸痛)、一過性虚血発作(心臓への血流低下)、及び跛行(血行不良による下肢痛)、並びに筋梗塞の悪質な末期(「心臓発作」)、脳卒中、及び切断の臨床症候群を誘発する。
【0004】
現代において、既に生じている血管病変の治療の中心は、経皮的バルーン血管形成術(バルーンカテーテルで狭窄した動脈を拡張する)及びステント移植である。この処置は広く使用されており、1年に2,000,000件を超える処置が行われ、患者の95%超で短期的結果は良好である。しかしながら、動脈が治癒するときの継続的な抗血小板薬の必要性、再狭窄(ステントが留置された動脈が再び閉じた場合)に対する初期の再介入の頻繁な必要性、及び血栓症(血栓形成)を含め、血管形成術及びステント術の重大な問題が依然として残っている。更に、血管内ステント留置に著しい進展が見られるが、ステントはなお、破損及び晩期血栓症を含む驚くほど多くの長期合併症を引き起こす。
【0005】
永久的な金属移植に関連した多数の問題を回避するため、留置後に徐々に溶解するステントが長期にわたって想起され、研究されてきた。その一時的な性質により、このような装置は、体内に永久的に残存する「ステント」ではなく「足場」としても知られている。生体吸収性血管足場(BVS又は「生体吸収性ステント」)は、(1)金属移植が永久でない有効な足場;(2)慢性炎症及び異物反応の減弱;(3)適応血管再形成の促進;(4)生理学的血管動作機能の回復;及び(5)経過観察中の画像化及び監視の促進を含め、いくつかの重要な生物学的及び生理学的利点を潜在的に提供する。しかしながら、これらの有望性にもかかわらず、このような装置は、良好に設計、開発及び製造することが困難であることが証明されている。現在、2つの冠動脈装置及び1つの末梢装置のみが欧州で市販されており、米国では依然として装置の使用が承認されていない。
【0006】
血管内ステントの重大な制約は、人間が動くときの血管の自然な曲がり及び捻じれに対応できないことである。これは、人間の動きの種類、程度、及び速度によって予測不可能に曲げられ捩じられる四肢の血管で特に問題である。例えば、Chengらは、磁気共鳴血管造影法を用いてin vivoでの動脈変形の定量により、仰臥位から胎位への運動中に浅大腿動脈(SFA)が平均13%短縮され、平均60度捩じられることを見出した。高齢対象でのその後の研究により、屈曲での短縮の程度はより少ないが、実質的により大きい湾曲及び折れ曲がりであることが分かった。他の研究でも同様に劇的な結果が出た。
【0007】
実際の人間のSFAに移植されるステントの動き及び変形も研究されてきた。例えば、Nikanorovらは、11の100mm自己拡張型ニチノールステントを8つの死体の大腿膝窩動脈に留置し、シミュレーションでの屈曲中に得られたX線側面像によって長さ及び撓みを評価した。これらの結果は、SFA及び膝窩動脈に移植されたステントが屈曲の程度によって最大10.7%の圧縮を呈することを示した。更に注目すべきことに、中膝窩動脈に移植されたステントは、脚が完全に曲げられたときに平均54度曲がった。
【0008】
短くて動かない動脈に移植されたステントは、典型的には、剛性で変形しない。いわゆる「バルーン拡張型」ステントは、その送達バルーンが標的病変内で拡張され、血管壁内に剛性足場が埋め込まれることによって留置される。最終的なステントの形状は、その周囲の血管の外形によって固定、成形及び拘束される。その構造は永久的である。時間が経過した後の装置の再画像化により、一般に、処置中に達成された直径が変化していないことが明らかにされている。
【0009】
対照的に、長い四肢の血管の長さ及び動きにより、この解剖学的位置用に設計されるステントは、可撓性及び適合性の特性を有することが必須となる。四肢用に設計される殆どの装置は、固有の超弾性特性及び形状記憶特性を有する「ニチノール」として知られるニッケル−チタン合金から形成される。ニチノールステントは、「自己拡張型」であり、このステントを収容する長いチューブからこの装置が徐々に解放されることによって留置される。送達システムは、バルーンを含まない(ただし、装置は、別個に挿入されるバルーンで規定通りに「後に拡張される」)。バルーン拡張型ステントと異なり、自己拡張型ニチノールステントは剛性ではなく、固定もされない。ニチノールステントは、その可撓性により、変形されても回復することができ、これは、四肢の動脈に移植される長い装置にとって極めて重要な特性である。これに関して、ニチノールステントは、バイパス移植片(閉塞性病変を通過して血液を運ぶ可撓性の長い導管)に類似している。
【0010】
しかしながら、末梢血管ステントに可撓性及び適合性が必要であることは、これらのステントが、歴史的に見て、典型的なバルーン拡張型ステントよりも半径方向の強度が大幅に低いことを意味する。これに関して、このような可撓性の適合性ステントは、実際に動脈を「ステント動作(stent)」(又は「開いたままに(prop open)」)することが殆どない。足場によって拘束されず、動脈は、時間が経つと自然に潰れる。更に、このように設計されたステントは、所定の位置に留まって装置の公称直径に達するときまで血管に対して「持続性の外向きの力」を加える続けるために、「オーバーサイズ」でなければならない。慢性の力が動脈に傷害を与え続け、長期開存性が不十分となるという説がある。従って、有効な自己拡張型可撓性ステントの設計は、移植時に一度のみ「伸張」され、そのため、血管が回復して再構成されるときにも自力で動かない従来の剛性の「バルーン拡張型」金属ステントと根本的に異なる。
【0011】
四肢の動脈の長さ及び持続性の運動は、これらの動脈に移植されるステントを破損に向かわせる傾向がある。大腿膝窩動脈移植後のステントの破損は、驚くほど一般的である。脚の動きは複雑な運動であり、歩行中の臀部及び膝の負荷は動脈を軸方向に繰り返し圧縮し、多次元の曲がり、捻じれ、及び更には屈曲を引き起こし得る。これは、単一又は複数のストラットの破損をもたらすか、又は重症の場合に完全なステントの離断をもたらす。破損は、場合によってはより活動的な患者において、長く且つ/又は重なっているステントの移植後により一般的である。血管内ステントの破損は、明らかに再狭窄に関連している。
【0012】
従って、現在利用されているステントよりも設計、開発及び製造が容易な生体吸収性ステントを末梢血管に使用することが有利であろう。理想的には、このようなステントは、理想的な可撓性及び適合性のプロフィールを有し、同時に上記のように末梢血管ステントにかかる応力に耐える十分な強度も有するであろう。これにより、このようなステントは、長い蛇行血管の処置においてより有用で有効且つ安全になるであろう。理想的には、このようなステントは、上に列記された吸収性(又は「生体吸収性」)ステントの少なくとも一部の利点も提供するであろう。これらの目的の少なくとも一部は、以下に記載される実施形態によって満たされるであろう。
【発明の概要】
【0013】
本明細書の実施形態は、複数の独立した繰り返し剛性足場単位の同時留置により、長くて自然に動く可撓性の人間の血管の内腔完全性を維持するための装置を説明する。これらの実施形態は、血管内で近接するが、たとえ骨格の動き又は心筋の収縮によって血管が動いても互いに接触しない複数の剛性繰り返し単位を含み得る。
【0014】
一実施形態では、ステントは、バルーンの膨張によって血管の長さに沿って同時に移植される、潜在的に関節運動する複数の剛性要素を含み得る。ステントの各要素は、従来のバルーン拡張型ステントと大きさが同等以上の比較的大きい半径方向の力(剛性)を有し得る。各要素はまた、比較的短く剛性であり得るため、バルーンの膨張時にその公称直径に直ちに到達し、従って血管に慢性の力を加えない。加えて、各要素は、長さが比較的短いため、それぞれ要素が移植される動脈のセグメントと調和して独立に動くことができる。このようにして、このようなステントは、血管の長さ、関節からの近接度、又は運動範囲にかかわらず、体内の何れの血管にも安全に使用することができる。最後に、一部の実施形態では、ステントの全ての要素は形態的に同一とすることができるため、それらの製造は、現在利用可能なステントに使用される製造よりも単純であり得る。
【0015】
一態様では、多要素生体吸収性血管ステントを製造する方法は、バルーン拡張型及び非自己拡張型である生体吸収性血管ステントの長さを生体吸収性材料から形成するステップと、生体吸収性血管ステントの長さを切断して、ステントの複数のステント要素を形成するステップとを含み得る。一部の実施形態では、生体吸収性血管ステントの長さを形成するステップは、付加的製造プロセスを用いることを含む。例えば、付加的製造プロセスは、マイクロ−ステレオリソグラフィーであり得る。一部の実施形態では、付加的製造プロセスは、3D印刷であり得る。様々な実施形態では、生体吸収性材料は、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、又はポリ(ヨウ化デスアミノチロシル−チロシンエチルエステル)カーボネートであり得る。一部の実施形態は、生体吸収性材料にコーティングを塗布するステップを更に含み得る。一部の実施形態では、コーティングは、ポリ−D,L−ラクチド(PDLLA)であり得る。任意選択により、この方法は、ステントに薬物を塗布するステップを更に含み得る。例えば、この薬物は、様々な実施形態では、エベロリムス又はその他の抗増殖剤であり得る。
【0016】
別の態様では、血管を通る血流を維持又は促進するために血管内に配置される装置は、複数のステント要素が互いに接触することなく多要素ステントとして血管内に移植されるように構成された複数のバルーン拡張型生体吸収性血管ステント要素を含み得る。一部の実施形態では、ステント要素は、付加的製造プロセスによって製造される。
【0017】
一部の実施形態では、ステント要素は、第1のセットのクローズドセル及び第2のセットのクローズドセルを含み、この第1のセットのクローズドセルは、第2のセットのクローズドセルと異なる形状又は大きさを有する。第1のセットのクローズドセルは、長手方向に整合された繰り返しパターン及び円周方向に整合された繰り返しパターンを有し得る。第2のセットのクローズドセルも、長手方向に整合された繰り返しパターン及び円周方向に整合された繰り返しパターンを有し得る。第1のセットのクローズドセルと第2のセットのクローズドセルとは円周方向にオフセットされ得、且つ螺旋状に整合された交互パターンを有し得る。
【0018】
一実施形態では、第1のセットのクローズドセルは、第1の開口寸法を有するより大きいセルであり、及び第2のセットのクローズドセルは、第1の開口寸法よりも小さい第2の開口寸法を有するより小さいセルである。より大きいクローズドセルのそれぞれは、長手方向に整合された隣接するより大きいクローズドセル間の少なくとも1つのより幅広のストラットと、円周方向に整合された隣接するより大きいクローズドセル間の少なくとも1つのより細いストラットとから形成され得る。より大きいクローズドセルはまた、少なくとも1つの中間幅ストラットによって形成され得、中間幅ストラットは、螺旋状に整合された隣接するより大きいクローズドセルとより小さいクローズドセルとの間にある。
【0019】
別の実施形態では、第1のセットのクローズドセルは、第1の小葉形状を有し、及び第2のセットのクローズドセルは、第2の小葉形状を有する。第1のセットのクローズドセルは、長手方向に整合された小葉及び円周方向に整合された小葉を含み得る。長手方向に整合された小葉は、円周方向に整合された小葉よりも大きいことができる。長手方向に整合された隣接する小葉は、長手方向連結ストラットによって連結され得、及び円周方向に整合された隣接する小葉は、円周方向連結ストラットによって連結され得る。
【0020】
一実施形態では、第1のセットのクローズドセルは、長手方向に整合されたラチェットストラットを含むラチェットセルである。ラチェットストラットの一部にある歯は、要素が拡張しているときにキャビティ内を移動し且つ爪に係合するように構成され得る。
【0021】
一実施形態では、第1のセットのクローズドセルは、双安定性ばねバンド構成を有する円周方向に整合された双安定性ストラットを含む双安定性セルである。双安定性ストラットは、凹状湾曲が長手方向に向いた凹凸形状を有し得る。
【0022】
代替の実施形態では、ステント要素は、凸状リッジと凹状溝とが交互している波形円筒構成を有し得る。波形要素は、中実壁又はセルパターンを有する非中実壁を有し得る。
【0023】
別の実施形態では、ステント要素は、2つのより大きいセルと、より小さいセルのセットとの交互配列を含み、この2つのより大きいセルは、これらの間のピボットストラットによって形成される。ピボットストラットは、より剛性の低い状態からより剛性の高い状態に旋回するように構成され得る。
【0024】
別の態様では、血管を通る血流を維持又は促進するための方法は、バルーンカテーテルを血管内に前進させるステップと、バルーンカテーテル上のバルーンを膨張させて、バルーン上に取り付けられた複数の生体吸収性血管ステント要素を拡張させて血管の内壁に接触させるステップと、バルーンを収縮させると同時に、血管ステント要素を血管内の所定の位置に残置するステップと、バルーンカテーテルを血管から抜去するステップとを含み得る。一部の実施形態では、血管は、末梢血管であり得る。一部の実施形態では、ステント要素を拡張させるステップは、少なくとも4つのステント要素を拡張させるステップを含む。一部の実施形態では、これらの要素は、バルーンに沿って互いに離間され、これらの要素を拡張させるステップは、これらの要素を離間された構成で血管の内壁に送達するステップを含む。
【0025】
本開示のこの態様及び他の態様は、本明細書で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本実施形態は、添付の図面が用いられる以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲からより容易に明らかになる他の利点及び特徴を有する。
【0027】
【
図1A】
図1Aは、脚の屈曲中の例示された、遠位SFA及び膝窩動脈に配置された自己拡張型ニチノールステントの側面図である。
【
図1B】
図1Bは、脚の異なる程度の屈曲中の例示された、遠位SFA及び膝窩動脈に配置された自己拡張型ニチノールステントの側面図である。
【
図1C】
図1Cは、脚の異なる程度の屈曲中の例示された、遠位SFA及び膝窩動脈に配置された自己拡張型ニチノールステントの側面図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施形態による完全長の生体吸収性血管足場の側面図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施形態による完全長の生体吸収性血管足場の拡大図である。
【
図3A】
図3Aは、一実施形態による、複数の独立した剛性要素を備えるように設計された生体吸収性血管足場の側面図である。
【
図3B】
図3Bは、一実施形態による、複数の独立した剛性要素を備えるように設計された生体吸収性血管足場の拡大図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態による、ステント要素の血管内の湾曲に適合する能力を例示するために湾曲した管に沿った位置に例示されている
図3A及び
図3Bの生体吸収性血管足場の図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態による、ステント要素の血管内の湾曲に適合する能力を例示するために湾曲した管に沿った位置に例示されている
図3A及び
図3Bの生体吸収性血管足場の異なる図である。
【
図4C】
図4Cは、一実施形態による、ステント要素の血管内の湾曲に適合する能力を例示するために湾曲した管に沿った位置に例示されている
図3A及び
図3Bの生体吸収性血管足場の異なる図である。
【
図4D】
図4Dは、一実施形態による、ステント要素の血管内の湾曲に適合する能力を例示するために湾曲した管に沿った位置に例示されている
図3A及び
図3Bの生体吸収性血管足場の異なる図である。
【
図5A】
図5Aは、一実施形態によるステントの端面図である。
【
図5B】
図5Bは、一実施形態によるステントの側面図である。
【
図5C】
図5Cは、一実施形態によるステントの拡大図である。
【
図6A】
図6Aは、代替の実施形態によるステントの側面図である。
【
図6B】
図6Bは、代替の実施形態によるステントの拡大図である。
【
図7】
図7は、一実施形態による、ステントを形成するために使用されるマイクロ−ステレオタイプリソグラフィーの概略図である。
【
図8A】
図8Aは、小葉形セル構造を有する要素の2次元図である。
【
図9A】
図9Aは、代替の小葉形セル構造を有する要素の2次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、特定の実施形態を参照して開示されたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更形態がなされ得、且つ均等物で置換できることを理解するであろう。加えて、本発明の教示に対して、その範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料に適応させるための多数の変更形態がなされ得る。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈で明確な反意が述べられない限り、明確に本明細書に関連した意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味は、複数形の言及も含む。「〜の中」の意味は、「〜の中」及び「〜の上」を含む。図面を参照すると、同様の番号は、全ての図面を通して同様の部品を指す。加えて、単数形の言及は、特段の記載がない限り又は本明細書の開示に矛盾しない限り、複数形の言及を含む。
【0030】
「例示的な」という語は、「例、実例又は例示として役立つこと」を意味するように本明細書で使用される。「例示的な」として本明細書に記載されるあらゆる実施は、必ずしも他の実施に対して有利であると解釈する必要はない。
【0031】
様々な実施形態が図面を参照して本明細書で説明される。図面は、縮尺通りではなく、実施形態の説明を容易にすることのみを目的とする。図面は、本発明の網羅的な説明を意図するものでも、本発明の範囲の限定を意図するものでもない。加えて、例示される実施形態は、図示される全ての態様又は利点を有する必要はない。特定の実施形態と共に説明される態様又は利点は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、たとえそのように例示されていなくてもその他の実施形態で実施することができる。
【0032】
図1A〜
図1Cは、異なる程度の脚の屈曲の際の例示された、遠位SFA及び膝窩動脈Aに配置された自己拡張型ニチノールステント200の側面図である。
図1Aは、脚が中立位置にあり、最小限の屈曲/殆ど延ばされた状態のステント200を例示する。
図1Bは、部分的に屈曲した際のステント200を例示し、円及び曲げ半径202がステント200の屈曲の角度及び湾曲変形を例示する。
図1Cは、大きく屈曲した際のステント200を例示する。
図1A〜
図1Cが例示するように、ステント200は、脚の屈曲によって著しく変形される。
【0033】
ここで
図7を参照すると、一実施形態では、生体吸収性血管足場(BVS)を、マイクロ−ステレオリソグラフィーシステム100(又は「3D印刷システム」)を用いて製造することができる。様々な実施形態で使用できるであろう現在利用可能なシステムのいくつかの例として、限定されるものではないが:MakiBox A6,Makible Limited,Hong Kong;CubeX,3D Systems,Inc.,Circle Rock Hill,SC;及び3D−Bioplotter(EnvisionTEC GmbH,Gladbeck,Germany)が挙げられる。
【0034】
マイクロ−ステレオリソグラフィーシステムは、照明器、動的パターン発生器、画像形成装置、及びZステージを含み得る。照明器は、光源、フィルター、電子シャッター、コリメーティングレンズ、均一な強力な光をデジタルミラーデバイス(DMD)に投影し、これにより動的マスクを形成する反射ミラーを含み得る。
図7は、DMDボード、Zステージ、ランプ、プラットフォーム、樹脂バット、及び対物レンズを含む、マイクロ−ステレオリソグラフィーシステム100の一実施形態のこれらの部品の一部を示す。3D印刷/マイクロ−ステレオリソグラフィーシステム及び他の付加的製造システムの詳細は、当技術分野で周知であるため、本明細書では説明しない。しかしながら、様々な実施形態によると、あらゆる付加的製造システム又はプロセスは、現在既知であるか又は今後開発されるかにかかわらず、本発明の範囲内でBVSを製造するために潜在的に使用することができる。換言すれば、本発明の範囲は、何れの特定の付加的製造システム又はプロセスにも限定されない。
【0035】
一実施形態では、システム100は、動的マスク投影マイクロ−ステレオリソグラフィーを用いてBVSを製造するように構成することができる。一実施形態では、この製造方法は、第1に、コンピュータープログラムで3Dモデルをスライスし、システムでの画像の層ごとの厚み付け(solidifying)及び積層によって3D微細構造足場を形成するステップを含み得る。一実施形態では、システムの反射ミラーを使用して均一な強力な光をDMDに投影し、これにより動的マスクを形成する。動的パターン発生器は、マスクに類似した黒と白との領域を形成することにより、製造モデルのスライスされたセクションの画像を形成する。最後に、画像を積み重ねるために、分解能Zステージが上下に動いて、次の硬化のために樹脂表面を新しくする。Zステージ構築サブシステムは、一実施形態では、約100nmの分解能を有し、基板を取り付けるためのプラットフォーム、ポリマー溶液を入れるバット、及び溶液の温度を制御するためのホットプレートを含む。Zステージは、下方深くに移動し、所定の位置まで上方に移動し、及び溶液が均等に分布するまで一定時間待つことにより、所望の層の厚みを有する新しい溶液表面を形成する。
【0036】
何れの説明される実施形態でも、ステント又はステント要素は、シートとして製造されてから円筒形に丸めることができる。別法では、ステント又はステント要素は、付加的製造プロセスを用いて円筒形に製造することができる。
【0037】
図6A及び
図6Bに示されている実施形態では、ステント又はステント要素は、光開始剤として2%DMPA及び光吸収剤として0.10%Tinuvin327が添加された、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含む非生体吸収性材料を用いて製造することができる。様々な代替の実施形態では、ステント又はステント要素は、任意の適切な生体吸収性材料、例えば、限定されるものではないが、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)又はポリ(ヨウ化デスアミノチロシル−チロシンエチルエステル)カーボネートなどから形成することができる。
【0038】
代替の実施形態では、任意の適切なポリマーを使用してステントを形成することができる。用語「ポリマー」は、ランダム、交互、ブロック、グラフト、分岐、架橋、混合物、混合物の組成物、及びこれらのバリエーションを含め、天然又は合成にかかわらず、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーなどを含む重合反応産物を含むものとする。ポリマーは、真溶液中に粒子として飽和若しくは懸濁してもよく、又は有益な薬剤に過飽和してもよい。ポリマーは、生体適合性又は生体分解性であり得る。限定ではなく例示目的として、ポリマー材料としては、限定されるものではないが、ホスホリルコリン、ポリカプロラクトン、ポリ−D,L−乳酸、ポリ−L−乳酸、ポリ(ラクチドコ−グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート−コ−バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコール酸−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート、ポリホスファゼン、ポリイミノカーボネート、及び脂肪族ポリカーボネート、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、スターチ、コラーゲン、ポリカーボネートウレタンを含むポリウレタン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、ポリシロキサン及び置換ポリシロキサンを含むシリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリブチレンテレフタレート−コ−PEG、PCL−コ−PEG、PLA−コ−PEG、ポリアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。他の適切なポリマーの非限定の例としては、一般に熱可塑性エラストマー、ポリオレフィンエラストマー、EPDMゴム及びポリアミドエラストマー、及びアクリルポリマーを含む生体安定性プラスチック材料、並びにその誘導体、ナイロン、ポリエステル、及びエポキシが挙げられる。一部の実施形態では、ステントは、ポリ−D,Lラクチド(PDLLA)のような材料を用いた1つ以上のコーティングを備え得る。加えて、一部のステントは、抗増殖剤エベロリムスのような材料を用いたコーティングを備えることができる。しかしながら、これらの材料は、単なる例であり、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0039】
ステントの一部又は全ては、交差ストラットによって形成されたクローズドセル構造を含み得る。クローズドセル構造は、菱形、正方形、長方形、平行四辺形、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、クローバー形、小葉形、円形、楕円形、及び/又は卵形の形状を含み得る。クローズドセルは、スロット形、例えば、H形スロット、I形スロット、及びJ形スロットなども含み得る。これに加えて又は別法として、ステントは、オープンセル構造、例えば、螺旋構造、蛇行構造、ジグザグ構造などを含み得る。ストラットの交差部は、尖ったセルの角、直角に交わったセルの角、丸いセルの角、先端の丸いセルの角、平坦なセルの角、傾斜したセルの角、及び/又は面取りされたセルの角を形成し得る。一実施形態では、ステントは、異なるセルの形状、向き、及び/又は大きさを有する複数の異なるセルを含み得る。
【0040】
一般に、本明細書に記載の実施形態は、多要素生体吸収性血管ステント(又は「血管足場」)である。これらのステントは、複数のステントセクション又は「要素」を含み、これらは、互いに別個であるが、まとめて多要素ステントと呼ぶこともある。一般に、本明細書に記載の多要素ステントのステント要素は、これらが配置される血管、例えば、蛇行末梢血管の応力に耐えるために所望のレベルの強度を提供するように十分な剛性である。同時に、多要素ステントはまた、複数の別個の要素から構成されるという事実から可撓性であり、従って湾曲した蛇行血管内への配置が可能となる。加えて、本明細書に記載の多要素ステントは、バルーン拡張型ステントが典型的には自己拡張型ステントよりも強いため、通常、自己拡張型ではなくバルーン拡張型である。ステントの各バルーン拡張型ポリマー要素は、説明された構造により、比較的大きい半径方向の力(剛性)を有し得る。要素は、自己拡張型ステントよりも著しく高い半径方向強度を有し得、この強度は、鋼又はコバルト−クロムから形成されたバルーン拡張型ステントのような従来の金属製バルーン拡張型ステントの半径方向強度と同程度であるか又はそれを上回る。
【0041】
図3A、
図3B、及び
図4A〜
図4Dは、本明細書に記載の多要素ステントの一実施形態を例示する。
図2A、
図2B、
図5A〜
図5C、
図6A、及び
図6Bは、より長いステントセグメントを例示する。これらの長いステントセグメントは、例示目的で提供される。一部の実施形態では、長いステントセグメント、例えば、
図2A、
図2B、
図5A〜
図5C、
図6A、及び
図6Bに示されているステントセグメントを製造プロセス中に形成し、次いで、より小さいステントセグメント/要素に切断して多要素ステントを提供することができる。他の実施形態では、多要素ステントは、複数のより長いステントセグメント、例えば、これらの図面に示されているようなステントから形成することができる。
【0042】
図2A〜
図6Bに例示されているように、一実施形態では、血管内ステントは、クローズドセル繰り返し菱形パターンを含み得る。代替の実施形態では、その他の適切なステントパターンを使用することができる。この実施形態では、ステントは、約300〜400μmのストラット厚みを有し得るが、システムは、約50μmの薄さのストラットを有するステントも潜在的に製造することができる(現在の冠動脈BVSは、約158μmのストラット厚みを有する)。
【0043】
図5A〜
図5Cに例示されているように、一実施形態では、ステント10は、約22.53mmの長さ、約3mmの外径、約2.6mmの内径、及び約0.2mmの肉厚を有し得る。しかしながら、これらの寸法は、単なる例示目的で提供される。代替の実施形態では、ステントは、任意の適切な長さ、直径、及び肉厚を有し得る。
図5に例示されているように、一実施形態では、ステントは、菱形又は他のクローズドセルパターンを有し得る。この実施形態では、ステントは、大小が混ざったセルを含む。大きいセルは、繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。同様に、小さいセルも繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。これに加えて又は別法として、小さいセル及び大きいセルは、交互パターンで螺旋状に整合させることができる。一実施形態では、小さいセル及び大きいセルは、円周方向にオフセットされる。加えて、小さいセルは、4つの隣接した大きいセル間の中心位置に形成することができる。
図5に例示されている一実施形態では、大きいクローズドセルの第1の開口の寸法(1)は約0.68mmであり、隣接する小さいクローズドセルの第2の開口の寸法(2)は約0.39mmであり、長手方向に整合された大きいクローズドセルの2つの上の角と下の角との間のストラットの幅の第3の寸法(3)は約0.25mmであり、螺旋状に整合された大きいクローズドセル及び小さいクローズドセルの2つの直線部分間のストラットの幅の第4の寸法(4)は約0.2mmであり、円周方向に整合された大きいクローズドセルの2つの左右の角間のストラットの幅の第5の寸法(5)は約0.12mmである。同様に、これらの寸法は、単なる例示目的で提供され、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0044】
一部の実施形態では、少なくとも1つのより幅広のストラットは、複数のセル間に延びてステント要素の長さに沿った螺旋を形成し、ステント要素のそれぞれの半径方向強度を高める。一部の実施形態では、より幅広のストラットは、1つのステント要素の一方の端部から反対の端部に延びている。他の実施形態では、より幅広ストラットは、1つのステント要素の一方の端部から反対の端部に延びていない。
【0045】
図6A及び
図6Bは、それぞれ顕微鏡によって撮影されたステント10の側面図及び拡大図である。例示されている寸法は、マイクロメートルの単位であり、同様に単なる例として提供されている。
【0046】
ここで
図3A〜
図4Dを参照すると、一実施形態では、多要素生体吸収性血管ステント20(又は「多ステントシステム」)は、複数のステント要素22を含むことができ、一部の実施形態では、
図2A、
図2B、
図5A〜
図5C、
図6A、及び
図6Bに示されているように、長いステント片を切断して複数の要素22を形成することによって形成することができる。一実施形態では、複数のステント要素22は、同じセルの形状、向き、及び/又は大きさを有するセルを含む。別の実施形態では、複数のステント要素22は、異なるセルの形状、向き、及び/又は大きさを有するセルを含む。ステント20及び個々のステント要素22は、これらのステント20及び個々のステント要素22が半径方向に剛性であり、血管に対して持続性の外向きの力を加えないように高い半径方向の強度を有し得る。ステント20及び/又は個々のステント要素22は、ステント20の長手方向軸に沿って可撓性にすることもできる。ステント要素22は、典型的には、各隣接ステント要素22間が特定の距離で血管内に配置される。多要素ステント20は、だぼ若しくは他の支持装置上で製造し、且つ/又はだぼ若しくは他の支持装置に収容することができる。多要素ステント20は、例えば、血管内の長い病変を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、多要素ステント20におけるステント要素22の数は、血管病変の長さにより、医師である使用者が選択することができる。
図3A及び
図3Bに示されている実施形態では、多要素ステント20は14のステントを含み、隣接するステント要素22間の間隔は約1mmである。多要素ステント20の全長は約66mmであり、1つのステント要素22は、約3.07mmの長さ、約2.6mmの内径、及び約3mmの外径を有する。同様に、これらの寸法は、単なる1つの例示であり、その他の適切な寸法も代替の実施形態で使用することができる。
【0047】
ここで
図4A〜
図4Dを参照すると、一部の実施形態では、多要素ステント20のステント要素22は、例示されているように角付近の曲がり部に対応するように設計することができる。一部のステント要素22は、その直線の曲がっていない構成のままであり、他のステント要素は、曲がり部に適合している。代替の一実施形態では、1つのステントは、角付近で曲がるように設計することができる。
【0048】
図8A〜
図8Cは、クローバー形又は小葉形セル構成を有するステント要素の一実施形態を例示する。
図8A〜
図8Cは、4つの小葉を有するセルを示すが、セルは、任意の数の小葉を有することができる。
図8Aは、小葉形セル構造を有するエレメントの2次元図である。
図8Bは、
図8Aのセルの拡大図である。
図8Cは、円筒形の
図8Aのステント要素を示し、
図8Aの2次元のセルが、左から右に丸められて円筒を形成している。この実施形態では、要素800は、混ぜ合わせ小葉形クローズドセル801、802を含む。小葉形セル801は、繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。同様に、小葉形セル802も繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。別法として又はこれに加えて、小葉形セル802及び小葉形セル801は、交互パターンで螺旋状に整合させることができる。一実施形態では、小葉形セル802及び小葉形セル801は、円周方向にオフセットされる。加えて、小葉形セル802は、4つの隣接する小葉形セル801間の中心位置に形成することができる。
図8A〜
図8Cに例示されている一実施形態では、長手方向に整合された長手方向小葉803は、円周方向に整合された円周方向小葉804よりも長い。別法として、長手方向小葉803は、円周方向小葉804と同じ大きさにすることができる。長手方向に整合された隣接する小葉形セル801の長手方向小葉803は、長手方向連結ストラット805によって連結することができる。円周方向に整合された隣接する小葉形セル801の円周方向小葉804は、円周方向連結ストラット806によって連結することができる。一実施形態では、長手方向連結ストラット805は、円周方向連結ストラット806よりも広い。別法として、長手方向連結ストラット805は、円周方向連結ストラット806と同じ幅を有し得る。要素800は、拡張されていないバルーンに取り付けられるときにクリンプ形態をとることができる。同様に、要素800は、バルーンによって拡張されるときに拡張形態をとることができる。凹面807は、小葉形セル801がクリンプ状態から拡張状態に移行するときに小葉要素800の中心から離れる。
【0049】
図9A及び
図9Bは、クローバー形又は小葉形セル構成を有するステント要素の代替の一実施形態を例示する。
図9A及び
図9Bは、4つの小葉を有するセルを示すが、セルは、任意の数の小葉を有することができる。
図9Aは、この小葉形セル構造を有する要素の2次元図である。
図9Bは、
図9Aのセルの拡大図である。
図9Aのセル構造を有するステント要素は、円筒を形成するための左から右への丸める方向を有するであろう。この実施形態では、要素900は、混ぜ合わせ小葉形クローズドセル901、902を含む。小葉形セル901は、繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。同様に、小葉形セル902も繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。別法として又はこれに加えて、小葉形セル902及び小葉形セル901は、交互パターンで螺旋状に整合させることができる。一実施形態では、小葉形セル902及び小葉形セル901は、円周方向にオフセットされる。加えて、小葉形セル902は、4つの隣接する小葉形セル901間の中心位置に形成することができる。一実施形態では、長手方向に整合された長手方向小葉903は、円周方向に整合された円周方向小葉904よりも長くすることができる。別法として、長手方向小葉903は、円周方向小葉904と同じ大きさにすることができる。長手方向に整合された隣接する小葉形セル901の長手方向小葉903は、長手方向連結ストラット905によって連結することができる。円周方向に整合された隣接する小葉形セル901の円周方向小葉904は、円周方向連結ストラット906によって連結することができる。一実施形態では、長手方向連結ストラット905は、円周方向連結ストラット906よりも広い。別法として、長手方向連結ストラット905は、円周方向連結ストラット906と同じ幅を有し得る。要素900は、拡張されていないバルーンに取り付けられるときにクリンプ形態をとることができる。同様に、要素900は、バルーンによって拡張されるときに拡張形態をとることができる。凹面907は、小葉形要素900がクリンプ状態から拡張状態に移行するときに小葉形セル901の中心から離れる。
【0050】
図10A〜
図10Fは、ラチェット構成を有するステント要素の一実施形態を例示する。
図10A〜
図10Fは、菱形構成のセルを示すが、セルは、任意のクローズドセル構成を有し得る。
図10Aは、ラチェット構成を有する要素の2次元図である。
図10Bは、
図10Aのセルの拡大図である。
図10Cは、
図10Aのセルの等角図である。
図10Dは、ラチェット1007を示す
図10Cのセルの断面図である。
図10Eは、
図10Dのラチェット1007の拡大図である。
図10Fは、ラチェット1007の断面の別の図である。
図10Aのセル構造を有するステント要素は、円筒を形成するための左から右への丸める方向を有するであろう。この実施形態では、要素1000は、混ぜ合わせられたラチェットセル1001及び非ラチェットセル1002を含む。ラチェットセル1001は、繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。同様に、非ラチェットセル1002も繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。別法として又はこれに加えて、非ラチェットセル1002及びラチェットセル1001は、交互パターンで螺旋状に整合させることができる。一実施形態では、非ラチェット1002及びラチェットセル1001は、円周方向にオフセットされる。加えて、非ラチェットセル1002は、4つの隣接するラチェットセル1001間の中心位置に形成することができる。
図10A〜
図10Fに例示されている一実施形態では、ラチェットセル1001は、非ラチェットセル1002と同じ又は同様の大きさを有し得る。別法として、ラチェットセル1001は、非ラチェットセル1002より大きくしても又は小さくしてもよい。長手方向に整合された隣接するラチェットセル1001は、長手方向連結ストラット1005によって連結することができる。円周方向に整合された隣接するラチェットセル1001は、円周方向連結ストラット1006によって連結することができる。一実施形態では、長手方向連結ストラット1005は、円周方向連結ストラット1006よりを上回る長さ又は幅を有し得る。別法として、長手方向連結ストラット1005は、円周方向連結ストラット1006と同じ長さ又は幅を有し得る。ラチェットセル1001は、長手方向に整合されたラチェットストラット1003を含む。ラチェットセル1001及び/又は長手方向連結ストラット1005の長手方向に整合された角は、ラチェットストラット1003の線形ラック1009を収容するためにキャビティ1008を備えることができる。爪1010が線形ラック1009の歯1011に係合する。要素1000は、拡張されていないバルーンに取り付けられるときにクリンプ形態をとることができる。同様に、要素1000は、バルーンによって拡張されると拡張形態をとることができる。線形ラック1007は、ラチェット要素1000がクリンプ状態から拡張状態に移行するときに長手方向に移動してキャビティ1008内に入る(
図10Eの下から上、及び
図10Fの右から左として示されている)。従って、ラチェット1007は、要素1000の半径方向の強度を増大させる。
【0051】
図11A〜
図11Fは、双安定性ばねバンド構成を有するステント要素の一実施形態を例示する。
図11A〜
図11Fは、菱形構成のセルを示すが、セルは、任意のクローズドセル構成を有し得る。
図11Aは、双安定性ばねバンド構成を有する要素の2次元図である。
図11Bは、
図11Aのセルの拡大図である。
図11Cは、
図11Aのセルの等角図である。
図11Dは、双安定性ストラット1103の湾曲を示す
図11Cのセルの断面図である。
図11Eは、
図11Dの双安定性ストラット1103の拡大図である。
図11Fは、双安定性ストラット1103の断面の別の図である。
図11Aのセル構造を有するステント要素は、円筒を形成するための左から右への丸める方向を有するであろう。この実施形態では、要素1100は、混ぜ合わせられた双安定性セル1101及び非双安定性セル1102を含む。双安定性セル1101は、繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。同様に、非双安定性セル1102も繰り返しパターンで長手方向及び/又は円周方向に整合させることができる。別法として又はこれに加えて、非双安定性セル1102及び双安定性セル1101は、交互パターンで螺旋状に整合させることができる。一実施形態では、非双安定性セル1102及び双安定性セル1101は、円周方向にオフセットされる。加えて、非双安定性セル1102は、4つの隣接する双安定性セル1101間の中心位置に形成することができる。
図11A〜
図11Fに例示されている一実施形態では、双安定性セル1101は、非双安定性セル1102と同じ又は同様の大きさを有し得る。別法として、双安定性セル1101は、非双安定性セル1102より大きくしても又は小さくしてもよい。長手方向に整合された隣接する双安定性セル1101は、長手方向連結ストラット1105によって連結することができる。円周方向に整合された隣接する双安定性セル1101は、円周方向連結ストラット1106によって連結することができる。一実施形態では、長手方向連結ストラット1105は、円周方向連結ストラット1106を上回る長さ又は幅を有し得る。別法として、長手方向連結ストラット1105は、円周方向連結ストラット1106と同じ長さ又は幅を有し得る。双安定性セル1101は、円周方向に整合された双安定性ストラット1103を含む。双安定性ストラット1103は、双安定性ばねバンド構成を有する。一実施形態では、双安定性ストラット1103は、凹凸形状を有する。双安定性ストラット1103は、線形の形態又は湾曲形態をとることができ、双安定性ストラット1103は凹状方向に曲がる。線形形態の双安定性ストラット1103の剛性は、要素1100の半径方向の強度を増大させる。
図11C〜
図11Fに示されているように、双安定性ストラット1103の凹状湾曲は、長手方向に向いており、円筒要素1100の近位開口又は遠位開口に面する。要素1100は、拡張されていないバルーンに取り付けられるとクリンプ形態をとることができる。同様に、要素1100は、バルーンによって拡張されると拡張形態をとることができる。双安定性ストラット1103は、クリンプ形態で湾曲構成を有する。拡張した状態では、双安定性ストラットは線形構成を有する。
【0052】
図12A及び
図12Bは、ピボット構成を有するステント要素の一実施形態を例示する。
図12Aは、ピボット構成を有する要素の2次元図である。
図12Bは、
図12Aのセルの拡大図である。
図12Aのセル構造を有するステント要素は、円筒を形成するための左から右への丸める方向を有するであろう。この実施形態では、要素1200は、2つのより大きいセル1201と、より小さいセル1202のセットとの交互配列を含む。2つのより大きいセル1201は、この2つのより大きいセル1201を分離する自由に動くピボットストラット1203の湾曲を可能にする。要素1200は、拡張されていないバルーンに取り付けられるとクリンプ形態をとることができる。同様に、要素1200は、バルーンによって拡張されると拡張形態をとることができる。
図12A及び
図12Bは、要素1200がクリンプ状態にあるときに生じる、非安定性の剛性の低い構成にあるピボットストラット1203を示す。拡張されると、ピボットストラット1203の頂部1204は、(
図12A及び
図12Bの向きに基づいて)右から左に移動し、これにより、ピボットストラット1203の剛性が増加して要素1200の半径方向の強度が増大する。
【0053】
図13A〜
図13Fは、波形構成又はアーチ状構成を有するステント要素の一実施形態を例示する。
図13Aは、波形構成を有する円筒要素の側面図である。
図13Bは、波形要素の上面図である。
図13Cは、
図13Bの要素の拡大図である。
図13Dは、波形構成を有する円筒要素の等角図である。
図13Fは、
図13Eの要素の拡大図である。要素1300は、交互する凸状リッジ1301及び凹状溝1302を含む。一実施形態では、
図13A、
図13D、及び
図13Eに示されているように、要素1300は中実壁を含み得る。一実施形態では、波形要素1300は、約3mmの長手方向の長さを有し得る。別法として、波形要素は、1〜2mmの長手方向の長さを有し得る。短寸の長手方向の長さが、ステント要素1300を中実壁で配置することを可能にする。別の実施形態では、波形要素1300は、波形円筒に切断されたセルパターンを有し得る。別法として、アーチ、リッジ、及びセルパターンを有する要素1300を、付加的製造プロセスを用いて製造することができる。要素1300は、拡張されていないバルーンに取り付けられるとクリンプ形態をとることができる。同様に、要素1300は、バルーンによって拡張されると拡張形態をとることができる。波形セル1300がクリンプ状態から拡張状態に移行するときに、リッジ1301及び/又は谷1302が広がる。
【0054】
様々な実施形態では、任意の適切な治療薬(又は「薬物」)をステントに含めるか、コーティングするか、又は他の方法で取り付けることができる。このような治療薬の例としては、限定されるものではないが、抗血栓薬、抗凝固剤、抗血小板剤、抗脂質剤、血栓溶解剤、抗増殖剤、抗炎症剤、過形成を抑制する薬剤、平滑筋細胞阻害剤、抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞接着阻害剤、細胞接着促進剤、有糸分裂阻害薬、抗フィブリン、抗酸化剤、抗腫瘍薬、内皮細胞の回復を促進する薬剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、代謝拮抗物質、抗アレルギー物質、ウイルス性ベクター、核酸、モノクローナル抗体、チロシンキナーゼアンチセンス化合物の阻害剤、オリゴヌクレオチド、細胞透過促進剤、血糖降下剤、脂質低下剤、タンパク質、核酸、赤血球産生刺激に有用な薬剤、血管新生剤、抗潰瘍/逆流防止剤、及び抗嘔吐剤/制吐薬、PPARαアゴニスト、ヘパリンナトリウム、LMWヘパリン、ヘパロイド、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バプリプロスト(vapriprost)、プロスタサイクリン及びプロスタサイリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、糖タンパク質IIb/IIIa(血小板膜受容体アンタゴニスト抗体)、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤、インドメタシン、サリチル酸フェニル、β‐エストラジオール、ビンブラスチン、ABT−627(アストラセンタン)、テストステロン、プロゲステロン、パクリタキセル、メトトレキセート、フォテムシン(fotemusine)、RPR−101511A、シクロスポリンA、ビンクリスチン、カルベジオール、ビンデシン、ジピリダモール、メトトレキサート、葉酸、トロンボスポンジン模倣薬、エストラジオール、デキサメタゾン、メトリザミド、イオパミドール、イオヘキソール、イオプロミド、イオビトリドール、イオメプロール、イオペントール、イオベルソール、イオキシラン、イオジキサノール、及びイオトロランが挙げられる。
【0055】
抗血栓薬、抗凝固剤、抗血小板剤、及び血栓溶解剤の例としては、限定されるものではないが、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリン類似物質、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バプリプロスト、プロスタサイクリン及びプロスタサイリン類似体、デキストラン、Dphe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成抗トロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質IIb/IIIa(血小板膜受容体アンタゴニスト抗体)、組換えヒルジン、トロンビン阻害剤、及び血栓溶解剤が挙げられる。
【0056】
細胞増殖抑制剤又は抗増殖剤の例としては、限定されるものではないが、ラパマイシン、及びエベロリムス、ゾタロリムス、タクロリムス、及びピメクロリムスを含むその類似体、アンジオペプチン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル又はリシノプリル、カルシウムチャネル遮断薬、例えば、ニフェジピン、アムロジピン、シルニジピン、レルカニジピン、ベニジピン、トリフルペラジン(trifluperazine)、ジルチアゼム、及びベラパミル、線維芽細胞増殖因子アンタゴニスト、魚油(オメガ3脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン、トポイソメラーゼ阻害剤、例えば、エトポシド、及びトポテカン、並びに抗エストロゲン薬、例えば、タモキシフェンが挙げられる。
【0057】
抗炎症剤の例としては、限定されるものではないが、コルヒチン及び糖質コルチコイド、例えば、ベタメタゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、及びヒドロコルチゾンが挙げられる。非ステロイド性抗炎症剤としては、限定されるものではないが、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク、ジフルニサル、アセトミノフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、ケトロラク、メクロフェナム酸、ピロキシカム、及びフェニルブタゾンが挙げられる。
【0058】
抗腫瘍薬の例としては、限定されるものではないが、アルトレタミン、ベンダムシン(bendamucine)、カルボプラチン、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、フォテムスチン、イホスファミド、ロムスチン、ニムスチン、プレドニムスチン、及びトレオサルファンを含むアルキル化剤、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセルを含む有糸分裂阻害薬、メトトレキセート、メルカプトプリン、ペントスタチン、トリメトレキセート、ゲムシタビン、アザチオプリン、及びフルオロウラシルを含む代謝拮抗物質、及び抗生物質、例えば、塩酸ドキソルビシン及びマイトマイシンが挙げられる。抗アレルギー物質としては、限定されるものではないが、パーミロラストカリウムニトロプルシド(permirolast potassium nitroprusside)、ホスホジエステラーゼ阻害剤、プロスタグランジン阻害剤、スラミン、セロトニン阻害薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害剤、トリアゾロピリミジン(triazolopyrimidine)、及び酸化窒素が挙げられる。
【0059】
特定の実施形態が図示され説明されたが、これらは、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、何れの実施形態に対しても様々な変更形態及び修正形態がなされ得る。本発明は、代替形態、修正形態、及び均等物を包含するものとする。