【文献】
Mandom, Total Beauty Gel,Mintel GNPD [online],2012年10月,ID#:1900498
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記成分(C)が、下記成分(C1)、及び下記成分(C2)からなる群から選択される少なくとも1種のポリマーであり、前記ジェル状化粧料100質量%中の、前記成分(C)の含有量が、0.25〜1.7質量%である請求項1に記載のジェル状化粧料。
成分(C1):アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー
成分(C2):(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のジェル状化粧料は、必須成分として、25℃における動粘度が3万〜10万mm
2/sであるジメチルポリシロキサン;(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル;水溶性高分子;モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤;並びに水を含有する。本明細書においては、上記「25℃における動粘度が3万〜10万mm
2/sであるジメチルポリシロキサン」を「成分(A)」、上記「(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル」を「成分(B)」、上記「水溶性高分子」を「成分(C)」、上記「モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤」を「成分(D)」、上記「水」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0018】
すなわち、本発明のジェル状化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、及び成分(E)を少なくとも含有する。本発明のジェル状化粧料は、用途に応じて、さらに、必須成分である成分(A)〜(E)以外の成分を含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料に含まれる上記成分(A)〜(E)及び他の成分などの各成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0019】
本発明のジェル状化粧料は、水中油(o/w)型のジェル状化粧料である。本発明のジェル状化粧料においては、連続相が水(成分(E))であるため、みずみずしい使用感と、浸透感、水分の補給力に優れる。また、乳化粒子として連続相中に分散した、油性成分が保湿感を与えるとともに、浸透感、ハリ感、すべりのよい、さらさらした皮膜感を生み出す。このため、ジェルの持つみずみずしい使用感と浸透感に加えて、クリームのような塗布時のコク感を有し、さらに塗布後のハリ感を兼ね備えるジェル状化粧料となっている。
【0020】
以下に、本発明のジェル状化粧料の必須成分である成分(A)〜(E)について説明する。
【0021】
[成分(A):25℃における動粘度が3万〜10万mm
2/sであるジメチルポリシロキサン]
成分(A)は、25℃における動粘度が3万〜10万mm
2/sである高重合のシリコーン油であり、ジメチコンとも称される成分である。成分(A)は、本発明のジェル状化粧料を皮膚に塗布した後に、皮膚上に皮膜を形成することにより、浸透感、ハリ感、及びすべりの良さを与える効果を発揮する。なお、上記ジメチルポリシロキサンの25℃での動粘度は、JIS K 2283に準じて測定したときの値である。成分(A)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0022】
成分(A)としては、皮膚に皮膜を形成し、浸透感、ハリ感、及びすべりの良さを与える効果に優れる観点から、25℃における動粘度が好ましくは、4万〜9万mm
2/sである。
【0023】
成分(A)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「KF−96H−3万cs」(25℃の動粘度:3万mm
2/s)、商品名「KF−96H−5万cs」(25℃の動粘度:5万mm
2/s)、商品名「KF−96H−6万cs」(25℃の動粘度:6万mm
2/s)、商品名「KF−96H−10万cs」(25℃の動粘度:10万mm
2/s)(以上、信越化学工業株式会社製);商品名「SH200 FLUID 30,000CS」(25℃の動粘度:3万mm
2/s)、「SH200 FLUID 60,000CS」(25℃の動粘度:6万mm
2/s)、「SH200 FLUID 100,000CS」(25℃の動粘度:10万mm
2/s)(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。
【0024】
本発明のジェル状化粧料中の成分(A)の含有量は、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.01〜0.2質量%であり、好ましくは0.03〜0.15質量%で質量ある。上記含有量が0.01質量%以上であると、皮膚上に皮膜を形成し、浸透感、適度なハリ感を与える効果に優れる。上記含有量が0.2質量%を越えるとハリ感が強くなりすぎて、塗布後の肌がつっぱるため好ましくない。また、化粧料の塗布感触が重くなり、浸透感が得られにくくなる。上記成分(A)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(A)の含有量の合計である。
【0025】
[成分(B):(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル]
成分(B)は、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリルである。成分(B)は、ジェル状化粧料のみずみずしさを保ちながら、ジェル状化粧料に塗布時のコク感を与える効果を発揮する。成分(B)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0026】
成分(B)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「ノムコートLAH」(日清オイリオグループ株式会社製)が挙げられる。
【0027】
本発明のジェル状化粧料中の成分(B)の含有量は、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.2〜4.0質量%であり、好ましくは0.3〜3.0質量%であり、より好ましくは0.5〜2.0質量%である。上記含有量が0.2質量%以上であると、ジェル状化粧料のみずみずしさを保ちながら、ジェル状化粧料に塗布時のコク感を与える効果に優れる。上記含有量が4.0質量%を越えると、ジェル状化粧料を塗布した後に形成する皮膜にべたつきが生じ、みずみずしさや浸透感が低下する。上記成分(B)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0028】
[成分(C):水溶性高分子]
成分(C)は、水溶性高分子である。成分(C)は、系を増粘させてジェル剤型とする効果を発揮する。成分(C)としては、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、キサンタンガム、グアガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、アルギン酸塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー、(アクリレーツ/ネオデカン酸ビニル)クロスポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーなどが挙げられる。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0029】
成分(C)としては中でも、みずみずしいジェル剤型を形成しながら、なおかつ塗布時の厚み感を付与する効果にも優れる観点から、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマーと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーとの組み合わせを含むことが好ましい。本明細書においては、上記「アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー」を「成分(C1)」、上記「(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー」を「成分(C2)」と称する場合がある。即ち、本発明のジェル状化粧料は、成分(C1)及び成分(C2)を少なくとも含むことが好ましい。
【0030】
成分(C1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位(いわゆる、モノマー単位)を少なくとも含むポリマーである。上記アクリロイルジメチルタウリン酸塩としては、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム等が挙げられる。成分(C1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸アミド等のアミド基含有アクリルモノマーなどが挙げられる。成分(C1)としては、例えば、アクリル酸とアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸塩とアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマーなどが挙げられる。
【0031】
成分(C1)としては、INCI名で「Sodium Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名で「Hydroxyethyl Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物等が好ましい。上記の中でも、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。
【0032】
成分(C1)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「SIMULGEL EG」、商品名「SIMULGEL NS」(以上、SEPPIC SA社製)などが挙げられる。
【0033】
成分(C2)は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー成分(C2a))に由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル(モノマー成分(C2b))に由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーである。モノマー成分(C2b)としては、例えば、メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。また、モノマー成分(C2b)におけるオキシエチレンの平均付加モル数は15〜30が好ましい。モノマー成分(C2a)とモノマー成分(C2b)とは、それぞれ、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。成分(C2)は、モノマー成分(C2a)及びモノマー成分(C2b)以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。成分(C2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとのコポリマーなどが挙げられる。
【0034】
成分(C2)としては、INCI名で「ACRYLATES/STEARETH−20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/STEARETH−20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/BEHENETH−25 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー)」と表記される化合物などが好ましい。上記の中でも、ジェル状化粧料の安定性の観点から、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマーが好ましい。
【0035】
成分(C2)は、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「アキュリン22」、商品名「アキュリン88」、商品名「アキュリン28」(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
【0036】
成分(C2)は、塩基性物質で中和されているか、又は塩基性物質で中和して用いられることが好ましい。この場合の塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン及びモノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;アンモニア、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの無機塩基;アルギニンなどの塩基性アミノ酸等が挙げられる。塩基性物質の添加量は、充分に中和された成分(C2)となる量であるか、又は成分(C2)を中和するのに充分な量であり、成分(C2)及び上記塩基性物質の種類や成分(C2)の使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0037】
本発明のジェル状化粧料中の成分(C)の含有量は、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、特に限定されないが、好ましくは0.25〜1.7質量%であり、より好ましくは0.5〜1.5質量%である。上記含有量が0.25質量%以上であると、系をジェル状へと増粘させる効果や浸透感により優れる。上記含有量が1.7質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられ、みずみずしい使用感により優れる。また、ハリ感を付与する効果にも優れる。上記成分(C)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0038】
本発明のジェル状化粧料が、成分(C1)及び成分(C2)を含む場合、本発明のジェル状化粧料中の成分(C1)の含有量は、塗布時の厚み感および厚み感の維持の観点から、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、特に限定されないが、0.2〜1.2質量%が好ましく、より好ましくは0.3〜0.7質量%である。さらに、上記成分(C2)の含有量に対する上記成分(C1)の含有量の質量割合[成分(C1)/成分(C2)]は、1.0〜15.0が好ましい。上記質量割合を上記範囲内とすることにより、弾力性と厚み感及びその維持とを両立させたジェル状化粧料とすることができる。上記質量割合を1.0以上とすることにより、成分(C1)の特徴である塗布時の厚み感およびその維持の効果がより優れるものとなり、上記質量割合を15.0以下とすることにより、成分(C2)特有のジェルの弾力性に優れ、塗布時の厚み感にも優れたものとなる。
【0039】
[成分(D):モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種のノニオン界面活性剤]
成分(D)は、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の、脂肪酸エステル型のノニオン界面活性剤である。成分(D)は、水中油型の乳化系を形成するための乳化剤としての効果を発揮する。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0040】
成分(D)としては中でも、塗布時の厚み感を付与する観点から、親油性のノニオン界面活性剤であるモノグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0041】
上記モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0042】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ペンタエステルなどが挙げられる。
【0043】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、乳化安定性を高める観点から、好ましくは2〜10である。
【0044】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、乳化安定性を高める観点から、炭素数が8〜24の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数が10〜20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12〜18の脂肪酸である。
【0045】
上記ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、モノカプリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0046】
上記ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0047】
上記ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、2〜100であることが好ましく、より好ましくは、4〜90である。
【0048】
上記ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどが挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、5〜50であることが好ましく、より好ましくは、10〜30である。
【0049】
本発明のジェル状化粧料中の成分(D)の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.5〜4.0質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜3.5質量%である。上記含有量が0.5質量%以上であると、乳化安定性に一層優れる。上記含有量が4.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。上記成分(D)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0050】
塗布時の厚み感を向上する観点から、本発明のジェル状化粧料中のモノグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、特に限定されないが、0.05〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であると、乳化安定性と塗布後の厚み感を向上させる効果に一層優れる。上記含有量が3.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。上記モノグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全てのモノグリセリン脂肪酸エステルの含有量の合計である。
【0051】
[成分(E):水]
成分(E)は水である。成分(E)は水中油型の乳化系を形成するための媒体としての役割を発揮する。上記水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明のジェル状化粧料中の成分(E)の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、60.0〜90.0質量%が好ましく、より好ましくは70.0〜85.0質量%である。
【0052】
以下に、本発明のジェル状化粧料の好ましい任意成分について説明する。
【0053】
[成分(F):炭素数12〜24の脂肪族アルコール]
成分(F)は高級アルコールである。本発明のジェル状化粧料は、塗布時の厚み感を一層向上させる観点から、系の粘度を制御する効果を有する成分(F)を配合することが好ましい。成分(F)を配合することで、剤のコク感を一層高め、使用感を向上することができる。成分(F)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0054】
成分(F)の炭素数は、特に限定されないが、12〜24であり、より好ましくは14〜22である。炭素数が上記範囲内であると、塗布時の厚み感を向上させることにより、剤のコク感を高め、良好な使用感を与える効果に一層優れる。また、塗布時の厚み感を一層向上させる観点からは、成分(F)は、1価の炭素数12〜24の脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0055】
成分(F)としては、特に限定されないが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールなどが挙げられる。
【0056】
本発明のジェル状化粧料中の成分(F)の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.05〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜4.0質量%であり、さらに好ましくは0.1〜1.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であると、系の粘度を制御して、塗布時の厚み感を一層向上させ、剤のコク感を向上させる効果に優れる。上記含有量が5.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。上記成分(F)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(F)の含有量の合計である。
【0057】
本発明のジェル状化粧料は、25℃における動粘度が、3万mm
2/s未満であるシリコーン油を含まないか、又は、上記シリコーン油の含有量が5.0質量%以下(0〜5.0質量%)であることが好ましい。上記25℃における動粘度が、3万mm
2/s未満であるシリコーン油を5.0質量%を超えて含む場合には、成分(A)によるハリ感の効果の発現を阻害する場合がある。上記シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
【0058】
[その他成分]
本発明のジェル状化粧料は、各成分の分散性や化粧料の肌への浸透性を向上させる観点から、エタノールを含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料中のエタノールの含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、各成分の分散性や肌への浸透性を一層向上させる。また、上記含有量が30.0質量%以下であると、刺激や粘度低下による化粧料の不安定化を抑制する効果に一層優れる。
【0059】
本発明のジェル状化粧料は、保湿効果を向上させる観点から、多価アルコールを含んでいてもよい。上記多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコールなどが挙げられる。より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどを例示することができる。上記多価アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0060】
本発明のジェル状化粧料100質量%中の、多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、保湿効果を一層向上させる。また上記含有量が30.0質量%以下であると、べたつきを抑制する効果に一層優れる。
【0061】
本発明のジェル状化粧料は、エモリエント効果を向上させる観点から、炭化水素油、成分(B)以外のエステル油及び植物油からなる群より選ばれた油性成分を含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料100質量%中の、上記油性成分の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜10.0質量%である。
【0062】
上記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。上記エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。上記植物油としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、アルガンオイル、コメ胚芽油などが挙げられる。
【0063】
本発明のジェル状化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類;結晶セルロース、セルロース粒子、シリカ、炭酸カルシウムなどのスクラブ剤;メントール、メンチルグリセリルエーテルなどの清涼剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐・殺菌剤;香料;粉体;色材などが挙げられる。上記その他成分は、適宜、その用途、目的に応じて配合することができる。
【0064】
本発明のジェル状化粧料は、ジェル状(ゲル状)の剤型である。本発明のジェル状皮膚用化粧料の粘度は、特に限定されないが、25℃の測定条件下で、4000〜500000mPa・sが好ましく、より好ましくは8000〜100000mPa・sである。なお、上記粘度は、例えば、TVB型回転粘度計(商品名「TVB−22L」東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
【0065】
<本発明のジェル状化粧料>
本発明のジェル状化粧料の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。上記ジェル状組成物の製造方法としては、例えば、上記した成分を加えて、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などを例示することができる。但し、本発明は上述した製造方法にのみ限定されない。また、本発明のジェル状化粧料は、ディスペンサー容器、チューブ容器、広口ジャー容器などの容易に取り出すことが可能な容器に充填されることが好ましい。
【0066】
本発明のジェル状化粧料は、皮膚に用いられる皮膚用化粧料である。中でも、ジェル、化粧水、美容液、乳液、クリームなどの機能を兼ね備えた化粧料として、単独で使用される、いわゆるオールインワンタイプの化粧料に好ましく用いられる。
【0067】
本発明のジェル状化粧料を適用する部位としては、特に限定されず、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは顔である。本発明のジェル状化粧料は、顔用のジェル状化粧料であることが好ましい。
【0068】
本発明のジェル状化粧料は、水(成分(E))、水溶性高分子(成分(C))及びノニオン界面活性剤(成分(D))を必須成分とする水中油(o/w)型のジェル状化粧料である。このため、みずみずしい使用感と、浸透感、水分の補給力に優れる。
本発明においては、上記水中油型のジェル状化粧料において、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル(成分(B))を特定量配合することで、みずみずしさを保ちながら、塗布時のコク感を発揮している。この作用機序は定かではないが、高極性であり、かつバルキーな分子構造を有する成分(B)が、水溶性成分などと相互作用をするためであると推定される。
さらに、上記の系において、25℃における動粘度が3万〜10万mm
2/sであるジメチルポリシロキサン(成分(A))を特定量配合することで、塗布後の肌にすべりのよい、さらさらとした皮膜感を生み出す。これにより、塗布時のべたつきを抑え、浸透感と塗布後のハリ感を付与することができる。
本発明のジェル状化粧料は、ジェルの持つみずみずしい使用感を有しながら、浸透感、塗布時のコク感、及び塗布後のハリ感を両立させた点に特徴がある。
【実施例】
【0069】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中の配合量における「−」は、その成分を配合していないことを示す。
【0070】
実施例1〜27、比較例1〜6
(各試料の調製)
表1〜表2に記した組成に従い、実施例1〜27及び比較例1〜6のジェル状化粧料を常法により調製し、下記評価試験に供した。
【0071】
表1〜2に記載の主な成分の詳細は次のとおりである。
<成分(A)>
ジメチルポリシロキサン:商品名「SH200 FLUID 30,000CS」(25℃の動粘度:3万mm
2/s)、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン:商品名「SH200 FLUID 60,000CS」(25℃の動粘度:6万mm
2/s)、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン:商品名「SH200 FLUID 100,000CS」(25℃の動粘度:10万mm
2/s)、東レ・ダウコーニング株式会社製
<成分(B)>
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル:商品名「ノムコートLAH」、日清オイリオグループ株式会社製
<成分(C1)>
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:商品名「SIMULGEL EG」、SEPPIC SA社製
<成分(C2)>
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー:商品名「アキュリン28」、ダウケミカル社製
<成分(C)>
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:商品名「PEMULEN TR−1」、日本ルーブリゾール株式会社製
<成分(D)>
ステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS−V」、親油型脂肪酸モノグリセリル、BASF社製
ステアリン酸ポリグリセリル−10:商品名「NIKKOL Decaglyn 1−SV」、日光ケミカルズ株式会社製
ステアリン酸ソルビタン:商品名「NIKKOL SS−10V」、日光ケミカルズ株式会社製
ステアリン酸PEG−25:商品名「NIKKOL MYS−25V」、日光ケミカルズ株式会社製
ベヘン酸グリセリル、オクタステアリン酸ポリグリセリル−6:商品名「TAISET 50−C」、太陽化学株式会社製
<その他成分>
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:1.25万mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 12,500CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:30万mm
2/s):商品名「KF−96H−30万cs」、信越化学工業株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 10CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
トリメチルグリシン:商品名「アミノコート」、旭化成ケミカルズ株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット:商品名「サラコス5408」、日清オイリオグループ株式会社製
【0072】
(評価)
専門評価員3人がコク感、浸透感、及びハリ感について評価を行った。結果は各評価員の評価を総合して決定した。
【0073】
<コク感>
各実施例及び比較例のジェル状化粧料を前腕内側部に塗布し、塗布部上を往復するように手でなでることによりなじませた。塗布後の3往復までの塗布感触より、「コク感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1及び2に示す。
◎(優れる):肌上でのばすときに粘りのある重みが感じられ、濃度の高い感触が強い。
○(良好):肌上でのばすときに重みが明らかに感じられ、濃度の高い感触がある。
△(使用可能):肌上でのばすときにわずかに重みが感じられ、濃度の高い感触がわずかにある。
×(不良):肌上でのばすときに重みや濃度の高い感触が全くない。
【0074】
<浸透感>
また、塗布部のジェル状化粧料による滑りが感じられなくなり、ジェル状化粧料が肌になじんだと感じられるまでの塗布感触の変化より、「浸透感」を以下の評価基準で官能評価した。評価結果は、表1及び2に示す。
◎(優れる):10往復までにジェル状化粧料が肌になじんだと感じられる。
○(良好):11〜15往復でジェル状化粧料が肌になじんだと感じられる。
△(使用可能):15往復の時点でわずかにジェル状化粧料のぬるつきが残っているものの、実用上許容できる程度である。
×(不良):15往復の時点でジェル状化粧料のぬるつきが明らかに残っており、実用に耐えない。
【0075】
<ハリ感>
上記評価において、各実施例及び比較例のジェル状化粧料が肌になじんだと感じられた後、塗布部の肌の感触より、「ハリ感」を下記の評価基準で評価した。評価結果は、表1及び2に示す。
1(弱すぎる) : 皮膜感が全く感じられない。
2(弱いが使用可能) : 皮膜感がわずかに感じられる。
3(良好) : 皮膜感があるものの、ハリ感はやや弱い。
4(優れる) : 皮膜感があり、明らかなハリ感が感じられる。
5(少し強い) : ハリ感と同時に、肌がつっぱる感じがやや感じられる。
6(つっぱり感がある): 肌がつっぱる感じが強いが、実用上許容できる。
7(強すぎる) : 肌がつっぱる感じが強く、実用上不快である。
【0076】
<みずみずしさ>
上記各実施例及び比較例のジェル状化粧料は、いずれも、上記評価において、前腕内側部に塗布した際に、水が肌に供給される感触があり、みずみずしさが感じられた。但し、実施例12〜13、及び19〜21、比較例4及び6はジェルが比較的硬く、水の供給感がやや劣るものであった。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
表1及び2、並びに上記評価結果より、実施例のジェル状化粧料は、みずみずしさを有し、浸透感、コク感、及びハリ感においても使用可能以上の良好な結果を示した。すなわち、実施例のジェル状化粧料は、みずみずしい使用感や浸透感を有しながら、塗布時のコク感、及び塗布後のハリ感の全てを兼ね備えるものであった。一方、比較例1は、成分(A)の含有量が下限値を下回る処方であるところ、浸透感が不良(×)であり、ハリ感が弱すぎる(評価1)結果を示した。逆に、比較例2は、成分(A)の含有量が上限値を上回る処方であるところ、浸透感が不良(×)であり、ハリ感が強すぎる(評価7)結果を示した。このことから、成分(A)は、極めて限定された特定範囲の配合量において、浸透感と塗布後のハリ感とのバランスをもたらすことが明らかとなった。比較例3は、成分(A)に代えて、25℃における動粘度が、下限値を下回る1.25万mm
2/sのジメチルポリシロキサンを配合した処方であるところ、ハリ感が弱すぎる(評価1)結果を示した。逆に、比較例4は成分(A)に代えて、上限値を上回る25℃における動粘度が、30万mm
2/sのジメチルポリシロキサンを配合した処方であるところ、ジェルが比較的硬く、水の供給感がやや劣り、且つハリ感が強すぎる(評価7)という結果を示した。このことから、成分(A)によるハリ感の付与効果を発揮するためには、極めて限定された特定範囲の動粘度を有する必要があることが明らかとなった。比較例5は、成分(B)の含有量が、下限値を下回る処方であるところ、コク感が全くなく不良(×)であった。逆に、比較例6は成分(B)の含有量が、上限値を上回る処方であるところ、浸透感が不良(×)となり、ジェルが比較的硬く、水の供給感がやや劣り、ハリ感も強すぎる(評価7)結果を示した。このことから、成分(B)は、極めて限定された特定範囲の配合量においてみずみずしさとコク感とのバランスをもたらすことが明らかとなった。
【0080】
さらに、以下の項目についても追加の評価を実施した。
【0081】
<塗布時の厚み感>
塗布開始直後の塗布感触より、「塗布時の厚み感」を官能評価した。その結果、塗布直後のせん断をかけた後においても、実施例1、4〜8、10〜12、15、19〜20、及び27、比較例2、4、及び6は、手と肌の間に十分な厚みのある化粧料の層が感じられ、化粧料の層の表面を触れるような感触を有し、塗布時の厚み感に優れるものであった。実施例2〜3、9、14、21、及び25、比較例1及び5は、手と肌の間に明らかに化粧料の層が感じられ、肌に間接的に触れるような感触を有し、良好な厚み感を有していた。実施例16、18、22、及び24、比較例3は、一部肌に直接触れるような感触があるものの、手と肌の間に化粧料の層がわずかに感じられ、ある程度の厚み感を有していた。一方、実施例13、17、23、及び26は、塗布直後のせん断により化粧料の層がすべてなくなり直接肌に触れるような感触であり、塗布時の厚み感は乏しかった。但し、塗布時の厚み感が求められないジェル状化粧料においては、十分に使用に適するものであった。
【0082】
<塗布時の弾力性>
塗布開始直後の塗布感触より、「塗布時の弾力性」を官能評価した。その結果、塗布直後のせん断をかけた際に、実施例1〜12、15〜16、19、23〜27、比較例1〜6は明らかに弾力性を感じ、良好な弾力性を有していた。また、実施例14、18、及び22は、わずかに弾力性を感じ、ある程度の弾力性を有していた。一方、実施例13、17、20〜21の弾力性は感じられなかった。但し、塗布時の弾力性が求められないジェル状化粧料においては、十分に使用に適するものであった。
【0083】
<厚み感の維持>
塗布直後の化粧料の層の厚み感の変化を、「厚み感の維持」として官能評価した。その結果、実施例1、4〜6、11〜12、15、21、25、及び27、比較例2、4、及び6は、5往復の時点でも厚み感に変化がなく、厚み感の維持に優れていた。実施例2〜3、7〜10、14、18〜20、23〜24、比較例1及び5は、3往復の時点では厚み感に変化がなく、厚み感の維持が良好であった。また、実施例26及び比較例3は、3往復の時点で厚み感の減少があるもの、化粧料の層が未だ感じられ、ある程度厚み感が維持されていた。一方、実施例13、16〜17、及び22では、3往復の時点で化粧料の層が感じられなかった。但し、厚み感の維持が求められないジェル状化粧料においては、十分に使用に適するものであった。
【0084】
さらに、以下に、本発明に用いることができるジェル状化粧料の処方例を示す。
(処方例1)オールインワンジェル
(質量%)
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:6万mm
2/s)
0.05
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル 1.2
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.6
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー 0.16
ポリソルベート80 0.12
ステアリン酸グリセリル 0.2
ステアリン酸ポリグリセリル−10 1.0
ベヘン酸グリセリル 0.3
オクタステアリン酸ポリグリセリル−6 0.3
ベヘニルアルコール 0.2
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10mm
2/s)
2.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 2.0
イソヘキサデカン 0.36
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
トリメチルグリシン 5.0
エタノール 4.5
フェノキシエタノール 0.3
オキトキシグリセリン 0.05
香料 0.1
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100
【0085】
(処方例2)ボディ用保湿ジェル
(質量%)
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:6万mm
2/s)
0.05
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル 1.2
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.6
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー 0.16
ポリソルベート80 0.12
ステアリン酸グリセリル 0.2
ステアリン酸ポリグリセリル−10 1.0
ベヘン酸グリセリル 0.3
オクタステアリン酸ポリグリセリル−6 0.3
ベヘニルアルコール 0.2
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10mm
2/s)
2.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット 2.0
イソヘキサデカン 0.36
グリセリン 8.0
ジプロピレングリコール 5.0
エタノール 10.0
フェノキシエタノール 0.3
オキトキシグリセリン 0.05
l−メントール 0.1
香料 0.1
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100