(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853812
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】空気圧式バルブアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F15B 11/06 20060101AFI20210322BHJP
F15B 15/14 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
F15B11/06 C
F15B15/14 310
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-500471(P2018-500471)
(86)(22)【出願日】2016年7月25日
(65)【公表番号】特表2018-523069(P2018-523069A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2016067629
(87)【国際公開番号】WO2017025302
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2019年5月29日
(31)【優先権主張番号】A526/2015
(32)【優先日】2015年8月10日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ベーム
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン エッシェンメサー
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−144196(JP,A)
【文献】
実開平06−027060(JP,U)
【文献】
実開平03−120390(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/06
F15B 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの空気圧シリンダ(3)を備え、前記空気圧シリンダ(3)が、前記空気圧シリンダ(3)において変位可能に支持されている少なくとも1つのピストン(4)と、前記ピストン(4)の両側に配置されている少なくとも2つのシリンダ空間(5)(6)と、を有し、前記シリンダ空間(5)(6)のそれぞれが、前記シリンダ空間(5)(6)のそれぞれの圧力調節のための少なくとも1つの圧力源に接続された、バルブ(2)または真空バルブのための空気圧式バルブアクチュエータ(1)であって、
前記圧力源が、前記ピストン(4)の一方側のシリンダ空間(5)の圧力を一定に調節するための一定圧力源(7)と、前記ピストン(4)の他方側のシリンダ空間(6)の圧力を可変に調節するための可変圧力源(8)と、により構成され、
前記ピストン(4)の前記一方側のシリンダ空間(5)が前記一定圧力源(7)に接続され、かつ、前記ピストン(4)の前記他方側のシリンダ空間(6)が前記可変圧力源(8)に接続される状態と、前記ピストン(4)の前記一方側のシリンダ空間(5)が前記可変圧力源(8)に接続され、かつ、前記ピストン(4)の前記他方側のシリンダ空間(6)が前記一定圧力源(7)に接続されている状態とを切り替えるための少なくとも1つの切替バルブ(14)を備えていることを特徴とする空気圧式バルブアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)において、
前記空気圧シリンダ(3)に対して前記ピストン(4)の位置を測定するための測位装置(10)を有する制御装置(9)を備え、前記制御装置(9)が当該位置に応じて前記可変圧力源(8)を制御することを特徴とする空気圧式バルブアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)において、
少なくとも1つまたは単一のシステム加圧部(11)を備えていることを特徴とする空気圧式バルブアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)において、
前記システム加圧部(11)が、前記一定圧力源(7)を構成するために前記ピストン(4)の一方側に配置されたシリンダ空間(5)に減圧機構(12)を介して連結され、代替的または付加的に、前記システム加圧部(11)が、前記可変圧力源(8)を構成するために前記ピストン(4)の他方側に配置されたシリンダ空間(6)に圧力制御バルブ(13)を介して連結されていることを特徴とする空気圧式バルブアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)において、
少なくとも2つの空気圧シリンダ(3)を備え、前記空気圧シリンダ(3)のそれぞれが、前記空気圧シリンダ(3)のそれぞれにおいて変位可能に支持されている少なくとも1つのピストン(4)と、前記ピストン(4)の両側に配置された少なくとも2つのシリンダ空間(5)(6)と、を有し、
前記シリンダ空間(5)(6)のそれぞれが、前記シリンダ空間(5)(6)のそれぞれの圧力調節のための少なくとも1つの圧力源に接続され、
前記圧力源のそれぞれが、前記ピストン(4)の一方側に配置されたシリンダ空間(5)の圧力を一定に調節するための一定圧力源(7)と、前記ピストン(4)の他方側に配置されたシリンダ空間(6)の圧力を可変に調節するための可変圧力源(8)と、により構成されていることを特徴とする空気圧式バルブアクチュエータ。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)を備えているバルブ(2)または真空バルブ。
【請求項7】
請求項6記載のバルブ(2)において、
前記空気圧式バルブアクチュエータ(1)が、前記バルブ(2)のバルブ開口部(16)を開閉または開放もしくは閉塞するための少なくとも1つの閉塞部材(15)を駆動することを特徴とするバルブ。
【請求項8】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の空気圧式バルブアクチュエータ(1)または請求項6〜7のうちいずれか1項に記載のバルブ(2)を運転する方法であって、
前記ピストン(4)の一方側に配置されたシリンダ空間(5)の圧力が前記一定圧力源(7)により一定に調節され、前後の時点または同時に、前記ピストン(4)の他方側に配置されたシリンダ空間(6)の圧力が前記可変圧力源(8)により可変に調節されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、
前記測位装置(10)により前記空気圧シリンダ(3)に対する前記ピストン(4)の相対位置が測定され、かつ、前記可変圧力源(8)が前記制御装置(9)により当該測定された位置に応じて制御されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの空気圧シリンダを備え、前記空気圧シリンダが、前記空気圧シリンダにおいて変位可能に支持されている少なくとも1つのピストンと、前記ピストンの両側に配置されている少なくとも2つのシリンダ空間と、を有し、前記シリンダ空間のそれぞれが、前記シリンダ空間のそれぞれの圧力調節のための少なくとも1つの圧力源に接続された、バルブ、特に真空バルブのための空気圧式バルブアクチュエータに関する。
【0002】
さらに、本発明は、前記空気圧式バルブアクチュエータを運転する方法、さらには少なくとも1つのこのような空気圧式バルブアクチュエータを有するバルブ、特に真空バルブに関する。
【背景技術】
【0003】
バルブおよび特に真空バルブでは、閉塞部材を駆動して当該バルブのバルブ開口部を閉塞および/または開放するため、空気圧式バルブアクチュエータがよく使用される。空気圧式アクチュエータは、油圧式バルブアクチュエータと比較して、油圧式バルブアクチュエータにおいて作動油の漏れなどが生じた際のように、漏れまたは欠陥に際して著しい汚染が生じないという利点を有している。このため、特に真空技術のバルブの場合には、空気圧式バルブアクチュエータが特に好ましい。
【0004】
従来技術では、バルブ、特に真空バルブのための空気圧式バルブアクチュエータは、両方のシリンダ空間の圧力が調節されるように設計されている。これは運転技術に関して比較的コストが高くつく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、構造がより簡単な前述の方式の空気圧式バルブアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために本発明の空気圧式バルブアクチュエータは、前記圧力源が、前記ピストンの一方側のシリンダ空間の圧力を一定に調節するための一定圧力源と、前記ピストンの他方側のシリンダ空間の圧力を可変に調節するための可変圧力源と、により構成されていることを特徴とする。圧力源は、本明細書の文脈において、各シリンダ空間を加圧するための人工圧力源であるともいえる。
【0007】
簡単に言えば、圧力が一方のシリンダ空間においてのみ制御される一方、ピストンの反対側にある空気圧シリンダの他方のシリンダ空間が一定圧力に制御されることが本発明の基本的な思想である。可変圧力源によってピストンの一方側のシリンダ空間における圧力が、その結果としてピストンに作用する力が、反対側のシリンダ空間の一定圧力によって当該ピストンに作用する力よりも強くなるように高圧に制御され、これによりピストンが空気圧シリンダに対して一方向に動かされる。可変圧力源によりこれに接続されたシリンダ空間の圧力が、その結果としてピストンに作用する力が、反対側のシリンダ空間の一定圧力によって当該ピストンに作用する力よりも弱くなるように低圧に制御され、これによりピストンが空気圧シリンダに対して他方向に動かされる。可変圧力源により一方のシリンダ空間で確立された相応の圧力によって、ピストンの空気圧シリンダに対する位置が維持されるように、ピストンに両側から作用する力が制御されうる。したがって、一の可変圧力源のみを用いて、空気圧シリンダに対するピストンの両方向の運動および静止状態を実現することが可能である。ここで、空気圧シリンダが所定の位置に保持されたまま、ピストンが前記のように相対的に運動する際に動かされることに留意されたい。一方、ピストンが所定の位置に保持されたまま、空気圧シリンダがピストンに対して相対的に運動することも同様に可能である。両方とも、本発明による空気圧式バルブアクチュエータにより可能となる。ピストンが空気圧シリンダに対して相対的に変位することにより、一方側のシリンダ空間の容積が、反対側のシリンダ空間の容積が減少する程度にまで増加し、その逆もまた同様である。
【0008】
ここで、空気圧バルブアクチュエータとは、両方のシリンダ空間が好ましくは排他的に気体圧力媒体により満たされていることを意味する。圧力媒体としては、例えば圧縮空気だけでなく、別の適切な気体媒体も使用されてもよい。
【0009】
好ましい実施形態では、一定圧力源は可能な限り簡単に構成される。一定圧力源は制御可能ではなく、ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間に一定圧力が作用するように設計および/または構成されていることが好ましい。説明の完全を期すため、例えば可変圧力源によって一方のシリンダ空間における圧力が急に変化したことにより、一定圧力源に接続されている他方のシリンダ空間においても短期的に圧力変動が生じる。しかし、これは一定圧力源によって引き起こされるのではなく、他の因子によって引き起こされる。一定圧力源はピストンの一方側のシリンダ空間を一定圧力に恒久的に維持する。本発明の好ましい実施形態における一定圧力は、通常の大気圧および/または雰囲気圧力以上である。ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間において一定圧力源によって実現される一定圧力は、好ましくは1bar〜4bar、特に好ましくは2bar〜4barの圧力範囲に含まれている。
【0010】
基本的に、一方のシリンダ空間の圧力を調節するための入力パラメータ、すなわち可変圧力源の制御パラメータとして様々なパラメータが使用されうる。本発明の好ましい実施形態では、空気圧シリンダに対するピストンの相対位置が可変圧力源の制御量として使用される。この意味で、本発明の一実施形態の空気圧式バルブアクチュエータは、前記空気圧シリンダに対して前記ピストンの位置を測定するための測位装置を有する制御装置を備え、前記制御装置が当該位置に応じて前記可変圧力源を制御する。対象物の位置を測定するのに適した、当該技術分野で知られているあらゆる測位装置が用いられる。例えば、非接触方式の磁気式、電気式、電磁気式または光学式エンコーダのほか、リニアエンコーダが採用されてもよい。
【0011】
測位装置は、運動中の部材の位置を測定する。当該部材は前述のようにピストンおよび空気圧シリンダのいずれであってもよい。位置は直接的に測定されてもよく、間接的に測定されてもよい。例えば、位置が変速機を介して間接的に測定されてもよい。特に、空間的に固定された空気圧シリンダに対してピストンの位置が測定される場合、ピストンの位置が直接的に測定されることに代えて、空気圧シリンダから導出されたバルブロッドなど、ピストンに固定的に連結されている部材の位置が測定されてもよい。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、前記空気圧アクチュエータは少なくとも1つのシステム加圧部を有する。これは、例えば、圧縮空気通路であってもよい。本発明の空気圧バルブアクチュエータの特に好ましい変形実施形態では、正確に1つのシステム加圧部が設けられている。例えば前記システム加圧部が、前記一定圧力源を構成するために前記ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間に減圧機構を介して連結されていてもよい。前記システム加圧部が、前記可変圧力源を構成するために前記ピストンの他方側に配置されたシリンダ空間に圧力制御バルブを介して連結されていてもよい。
【0013】
一実施形態では、一定圧力源が一方のシリンダ空間に固定的に接続され、かつ、可変圧力源が他方のシリンダ空間に固定的に接続され、一定圧力源により一定圧力と可変圧力源により可変に調節される最低圧力との差圧が最大となる方向に、ピストンおよび空気圧シリンダが相対的に運動する。可変圧力源での最小調節可能圧力。反対方向への相対的な運動のため、可変圧力源により調節される最高圧力と一定圧力源による一定圧力との差圧が最大となる。両方向に同等の差圧を持たせたい場合、一定圧力源の一定圧力が、可変圧力源の最大圧力の約半分に調節される。
【0014】
両方の運動方向について、一定圧力源と可変圧力源の最大圧力との間の可能な最大差圧を実現するため、空気圧式バルブアクチュエータが、前記シリンダ空間のそれぞれに接続される圧力源を切り替えるための少なくとも1つの切替バルブを備えている。
これにより、切替バルブが第1切替位置にある際に第1シリンダ空間は一定圧力源に接続される。切替バルブの当該切替位置において、第2シリンダ空間は可変圧力源に接続される。切替バルブが第2切替位置に切り替えられると、第2シリンダ空間が一定圧力源に接続される一方で可変圧力源が第1シリンダ空間に接続される。
【0015】
閉塞部材または空気圧式バルブアクチュエータによって駆動される他の部材が直線に沿って進退駆動される必要があるバルブ、特に真空バルブに関して、空気圧式バルブアクチュエータは、その内部で変位可能に支持された単一のピストンを有する単一の空気圧シリンダを備えている。本発明に係る空気圧式アクチュエータは、例えばいわゆるL型バルブ(コーナーバルブ)のように、閉塞部材が相互に傾斜している2つの直線に沿って往復運動する必要がある場合、ピストンが内部で変位可能な複数の空気圧シリンダを有していてもよい。バルブの好ましい実施形態では、空気圧式アクチュエータが、少なくとも2つの空気圧シリンダを備え、前記空気圧シリンダのそれぞれが、前記空気圧シリンダのそれぞれにおいて変位可能に支持されている少なくとも1つのピストンと、前記ピストンの両側に配置された少なくとも2つのシリンダ空間と、を有し、前記シリンダ空間のそれぞれが、前記シリンダ空間のそれぞれの圧力調節のための少なくとも1つの圧力源に接続され、前記圧力源のそれぞれが、前記ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間の圧力を一定に調節するための一定圧力源と、前記ピストンの他方側に配置されたシリンダ空間の圧力を可変に調節するための可変圧力源と、により構成されている。空気圧式バルブアクチュエータには、例えば空気圧シリンダの一方のシリンダ空間を一定圧力源および可変圧力源のそれぞれに接続するため、少なくとも1つの切替バルブが設けられていてもよい。これは、例えばL型バルブのように、空気圧シリンダのうちの1つだけが同時に作動する場合に有用である。当該実施形態では、それぞれのシリンダ空間に接続される圧力源を切り替えるため、付加的な切替バルブが設けられていてもよい。
【0016】
前述のように、本発明は空気圧式バルブアクチュエータだけでなく、少なくとも1つの本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータを備えているバルブに関する。特に好ましくは、バルブはいわゆる真空バルブである。真空バルブは真空技術において使用されるバルブである。真空技術は、通常0.001mbar(ミリバール)以下の圧力で運転条件が達成される場合に使用される。これらは、バルブ開口部またはバルブ開口部に接続された真空チャンバにおける運転圧力である。真空バルブは、これらの圧力範囲および/または環境に対する差圧に応じて設計されたバルブである。しかし、大気圧よりも低い圧力、すなわち1bar未満の圧力に対して設計されている場合も、一般に真空バルブといわれる。
【0017】
本発明のバルブの好ましい実施形態では、前記空気圧式バルブアクチュエータが、前記バルブのバルブ開口部を開放および/または閉塞するための少なくとも1つの閉塞部材を駆動する。閉塞部材は、直線に沿って直線的に往復運動または進退運動することができる。閉塞部材は、閉位置および開位置の間で、相対的に傾斜した好ましくは垂直な2つの直線に沿って往復運動も可能である。
【0018】
本発明は、空気圧式バルブアクチュエータおよびバルブに加えて、本発明に係る空気圧バルブアクチュエータおよび/または本発明に係るバルブを運転する方法にも関する。本発明の方法は、前記ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間の圧力が前記一定圧力源により一定に調節され、前後の時点または同時に、前記ピストンの他方側に配置されたシリンダ空間の圧力が前記可変圧力源により可変に調節されることを特徴とする。
【0019】
換言すると、ピストンの一方側に配置されたシリンダ空間の圧力が一定に調節される一方、好ましくは同時に、可変圧力源によってピストンの他方側に配置されたシリンダ空間の圧力が制御される。すなわち、本発明に係る方法によれば、ピルトンの両側におけるそれぞれのシリンダ空間で圧力が調節されない。
【0020】
本発明に係る方法の好ましい実施形態によれば、前記測位装置により前記空気圧シリンダに対する前記ピストンの相対位置が測定され、かつ、前記可変圧力源が前記制御装置により当該測定された位置に応じて制御される。本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータに関して前述した特徴は本方法に適用可能である。具体的には、ピストンの運動、空気圧シリンダの運動、および、ピストンおよび空気圧シリンダの両方によって、空気圧シリンダとピストンとの間の相対位置が調節されてもよい。
【0021】
本発明によるバルブアクチュエータおよびバルブのさらなる特徴および詳細は、図面を参照してしながら以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】単一の空気圧シリンダを有する本発明の第1実施形態に係る空気圧式バルブアクチュエータ。
【
図2】単一の空気圧シリンダを有する本発明の第2実施形態に係る空気圧式バルブアクチュエータ。
【
図3】単一の空気圧シリンダを有する本発明の第3実施形態に係る空気圧式バルブアクチュエータ。
【
図4】2つの空気圧シリンダを有する本発明の第4実施形態に係る空気圧式バルブアクチュエータ。
【
図5】2つの空気圧シリンダを有する本発明の第5実施形態に係る空気圧式バルブアクチュエータ。
【
図6】本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータが適用される、本発明の第1実施形態に係るバルブの概略図。
【
図7】本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータが適用される、本発明の第2実施形態に係るバルブの概略図。
【
図8】本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータが適用される、本発明の第3実施形態に係るバルブの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図3は、ピストン4が変位可能に支持されている空気圧シリンダ3の形態での単一のピストンシリンダユニットを有する本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータ1の様々な実施形態を示している。このような空気圧式バルブアクチュエータ1は、例えば、
図6および
図7に概略的に示されているバルブにおけるように、バルブ開口部16を閉塞かつ開放するために閉塞部材15が直線に沿ってまたは平行に往復運動される必要がある場合に使用されうる。
【0024】
まず、
図1の第1実施形態について説明する。
図1の第1実施形態に対する
図2の第2実施形態および
図3の第3実施形態における相違点は次に説明する。後述する相違点を除き、
図1の第1実施形態の説明は、
図2の第2実施形態および
図3の第3実施形態にも適用される。
【0025】
図1に示されているように、ピストン4が空気圧シリンダ3の2つのシリンダ空間5および6の間に配置されている。第1シリンダ空間5は一定圧力源7により一定圧力に調節される一方、ピストン4の反対側に配置された第2シリンダ空間6は可変圧力源8によりさまざまに可変な圧力に調節される。一定圧力源7は、本実施形態ではシステム加圧部11および減圧機構12との協働によって構成されている。一定圧力源7により実現可能な一定圧力は、好ましくはシステム加圧部11のシステム圧力よりも低い。可変圧力源8は、圧力制御バルブ13とのシステム加圧部11の協働により構成されている。圧力制御バルブ13を制御するために制御装置9が設けられている。空気圧シリンダ3に対するピストン4の位置は測位装置10によって測定される。制御装置9は、測位装置10によって測定された位置の関数として、可変圧力源8、したがってシリンダ空間6内の圧力を調節する。本実施形態では、ピストン4の位置がピストンロッド18の位置を介して間接的に決定される。制御装置9は、測位装置10により測定された位置に基づき、可変圧力源8の圧力、ひいては第2シリンダ空間6の圧力を制御する。本実施形態では、ピストン4の位置はピストンロッド18の位置によって間接的に定まる。測位装置10により測定された空気圧シリンダ3におけるピストン4の位置に基づき、可変圧力源8が一般的手法にしたがって第2シリンダ空間6の圧力を調節し、空気圧シリンダ3に配置されたピストン4が所望の方向に動かされあるいはその位置が維持される。一定圧力源7により第1シリンダ空間5における背圧によってピストン4に排圧が作用する。ピストン4が動かされ、第1シリンダ空間5の容積が減少する一方で第2シリンダ空間6の容積が増加し、可変圧力源8によって第2シリンダ空間6におおける相応の高圧が実現される必要がある。反対方向への運動のため、第1シリンダ空間5の容積が増加する一方で第2シリンダ空間6の容積が減少し、可変圧力源8によって第2シリンダ空間6の圧力が、第1シリンダ空間5における一定圧力よりも相応の低圧に制御される。ピストン4、ひいてはピストンロッド18の位置を維持するため、ピストン4に作用する力が相殺されるように第2シリンダ空間6の圧力が制御される。空気圧シリンダ3のピストン4に対する相対的な加速運動および減速運動は、ピストン4と空気圧シリンダ3との相対位置に応じて、前述の制御にしたがって制御され、第2シリンダ空間6が相応の圧力に制御される。
【0026】
図1の第1実施形態によれば、ピストン4を一の方向に動かすための最大差圧は、第2シリンダ空間6の調節可能な最高圧力と第1シリンダ空間5の一定圧力との差に応じて定まる。ピストン4を反対方向に動かすための可能な最大差圧は、第1シリンダ空間5における一定圧力と第2シリンダ空間6の最小圧力との差によって与えられる。この変形例では、両方向に同等の差圧を実現するため、一定圧力源7による一定圧力が可変圧力源8により実現される最高圧力の約半分に調節され、ピストン4の様々な面積に付随するピストンロッド18の調節が勘案される。
【0027】
図2の第2実施形態では、制御装置9によって制御され、各シリンダ空間5,6に接続されている圧力源7,8を切り替える切替バルブ14が設けられている。
図2に示されている切替バルブ14の切替位置において、第1シリンダ空間5が一定圧力源7により一定圧力に調節される一方、第2シリンダ空間6が可変圧力源8により可変圧力に調節される。切替バルブ14の切替位置が変更されることにより、第1シリンダ空間5が可変圧力源8により可変圧力に調節される一方、第2シリンダ空間6が一定圧力源7により一定圧力に調節される。これにより、空気圧シリンダ3に対するピストン4の両方向の相対運動のそれぞれにおいて、可変圧力源8によって実現される可変圧力と、一定圧力源7によって実現される一定圧力との可能な最大差圧が利用されうる。
図2の第2実施形態において、切替バルブ14の切替位置は、好ましくは空気圧シリンダ3に対するピストン4の位置に応じて制御装置9によって調節される。
【0028】
図3には、本発明の第3実施形態が示されており、一定圧力源7および可変圧力源8が、単一のシステム加圧部11によってシステム圧力が実現されない。
図3の実施形態では、一定圧力源7は固有の第2システム加圧部17を有している。第3実施形態とは異なり、第1実施形態および第2実施形態におけるように、第2システム加圧部17および第1シリンダ空間5の間に減圧機構12が設けられていてもよい。システム加圧部17によって実現される一定圧力が所望の圧力に対応する場合、減圧機構12が省略されてもよい。可変圧力源8の圧力制御バルブ13は、本実施形態ではシステム加圧部11に接続されている。第2システム加圧部17によって実現される一定圧力は、第1システム加圧部11によって実現されるシステム圧力よりも低い。そうでなければ、
図3の第3実施形態は、
図1の第1実施形態に対応している。
【0029】
図4には、ピストン4が変位可能に支持されている2つの空気圧シリンダ3を有する空気圧バルブアクチュエータ1が示されている。空気圧シリンダ3に対するピストン4の位置が測定されるように、ピストン4には、測位装置10によって位置が測定されるピストンロッド18が設けられている。一定圧力源7は、空気圧シリンダ3の第1シリンダ空間5のそれぞれに一定圧力をかける。可変圧力源8により、可変に調節可能な圧力が第2シリンダ空間6のそれぞれにかけられる。第1シリンダ空間5および第2シリンダ空間6のそれぞれの圧力および背圧のそれぞれによって生じる力により、それぞれのピストン4は、それぞれの空気圧シリンダ3において動かされる、または所定の位置に保持される。これは、
図1の第1実施形態と同様の機能であるので、再度の説明を省略する。一定圧力源7および可変圧力源8は、
図1の第1実施形態と同様に構成されているので、これ以上の説明を省略する。
【0030】
図4の実施形態では、空気圧シリンダ3を個別に制御するため、付加的な切替バルブ19が設けられている。付加的な切替バルブ19は、一方の切替位置において、一方の空気圧シリンダ3の第2シリンダ空間6を可変圧力源8に接続し、かつ、他方の切替位置において、付加的な他方の空気圧シリンダ3の第2シリンダ空間6を可変圧力源8に接続する。各切替位置において可変圧力源8に接続されていないほうの第2シリンダ空間6は、当該切替位置において、大気雰囲気または雰囲気に連通する排気部20に接続される。これにより、当該切替位置において排気部20に接続されているほうの空気圧シリンダ3のピストン4が、一定圧力によって第1シリンダ空間5において終端位置に維持される。同時に空気圧シリンダ3が一方のピストン4と共に動かされ、これは
図8に概略的に示されている、いわゆるL型バルブの閉塞部材15を動かすための構成に対応する。
図4に示されている空気圧式バルブアクチュエータ1は、いわゆるL型バルブの閉塞部材15を駆動するのに特に適している。
図4の実施形態において、測位装置10により測定されたピストン4および空気圧シリンダ3の相対位置に基づき、制御装置9により可変圧力源8および切替バルブ19が制御される。
【0031】
図4の実施形態では、空気圧シリンダ3が定位置に固定され、ピストン4が空気圧シリンダ3に対して動かされる。すでに説明したように、他のすべての実施形態において、これとは逆であってもよい。ピストン4がその位置に固定され、各空気圧シリンダ3がピストン4に対して相対的に動かされてもよい。この場合、測位装置10により空気圧シリンダ3の位置を測定することが合理的である。
【0032】
図5の実施形態は、
図4の実施形態および
図2の実施形態の組み合わせである。切替バルブ19が
図5において各空気圧シリンダ3のシリンダ空間5および6に連通し、制御装置9により制御される切替バルブ14が同様に設けられている。
図2を参照して、一定圧力源7の一定圧力と可変圧力源8の可能な最高圧力との最大可能差圧によって各ピストン4が両方の運動方向に駆動される。
【0033】
図6〜
図8には、真空バルブの形態のバルブ2が概略的に示されており、バルブ2には
図1〜
図5に示されている本発明に係る空気圧式バルブアクチュエータ1が適用されうる。本実施形態では、閉塞部材15がバルブ開口部16を閉塞している閉位置と、閉塞部材15がバルブ開口部16を開放している開位置との間で閉塞部材15を往復運動させるため、空気圧式バルブアクチュエータ1が本発明に係るバルブ2に設けられている。
図6および
図7の実施形態では、単一の直線に沿って往復運動する必要がある。したがって、
図6および
図7において、本発明に係る
図1〜
図3の空気圧式バルブアクチュエータ1が設けられていてもよい。
図6および
図7のそれぞれには、バルブ開口部16が開放されている開位置が示されている。閉塞部材15は、それぞれの場合において最大に引き戻された開放位置に配置されている。バルブ開口部16を完全に閉じるため、
図6において閉塞部材15が空気圧式バルブアクチュエータ1によりさらに下方に駆動され、シール部材21がバルブシート24に対して封止状態で押し付けられる。
図7において楔形状の閉塞部材15が空気圧式バルブアクチュエータ1によってさらに下方に駆動され、シール部材21がバルブシート24に当接する。
【0034】
図8は、いわゆるL型バルブの形態のバルブ2を概略的に示している。板状の閉塞部材15が閉位置、中間位置および
図8に示されている開位置の間で、2つの空気圧式バルブアクチュエータ1によって進退駆動される。閉塞部材15が、バルブハウジング22の上部に取り付けられている空気圧式バルブアクチュエータ1により、鉛直方向に平行な方向について
図8に示されている開位置と、閉塞部材15がバルブ開口部16を覆う一方でシール部材21が押し付けられていない中間位置との間で駆動される。閉塞部材15および支持プレート23の間に設けられ活作用する他の空気圧シリンダ3により、閉塞部材15がそのバルブシート24においてシール部材21に水平方向に押し付けられる。閉塞部材15がそのバルブシート24においてシール部材21に押し付けられる際、知られているように、支持プレート23が前後収容部として使用される。概略図におけるL型バルブには、
図5および
図6のバルブアクチュエータ1が使用されてもよい。
【0035】
図6〜
図8において、空気圧シリンダ3、ピストン4、第1シリンダ空間5、第2シリンダ空間6およびピストンロッド18がバルブアクチュエータ1の構成要素として示されている。空気圧式バルブアクチュエータ1の残りの構成要素は
図6〜
図8には示されていない。前記のように、実際にはバルブアクチュエータ1は
図1〜
図5に示されているように構成されている。
【符号の説明】
【0036】
1‥空気圧式バルブアクチュエータ、2‥バルブ、3‥空気圧シリンダ、4‥ピストン、5‥第1シリンダ空間、6‥第2シリンダ空間、7‥一定圧力源、8‥可変圧力源、9‥制御装置、10‥測位装置、11‥第1システム加圧部、12‥減圧機構、13‥圧力制御バルブ、14‥切替バルブ、15‥閉塞部材、16‥バルブ開口部、17‥第2システム加圧部、18‥ピストンロッド、19‥切替バルブ、20‥排気部、21‥シール部材、22‥バルブハウジング、23…支持プレート、24‥バルブシート。