(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853816
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】加熱モジュールおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
F24D 13/02 20060101AFI20210322BHJP
E04F 15/18 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
F24D13/02 H
E04F15/18 X
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-512141(P2018-512141)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-529923(P2018-529923A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】FI2016050611
(87)【国際公開番号】WO2017042431
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年6月17日
(31)【優先権主張番号】14/848,398
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】318002910
【氏名又は名称】ウエンダ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】フォスボム ヤン
【審査官】
礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−131487(JP,U)
【文献】
特開平07−269890(JP,A)
【文献】
特開平06−082051(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101799187(CN,A)
【文献】
中国実用新案第201772548(CN,U)
【文献】
実開平03−087378(JP,U)
【文献】
英国特許出願公告第01085535(GB,A)
【文献】
実開昭51−121218(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3186006(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 13/00 − 15/04
H05B 3/00 − 3/86
E04F 15/00 − 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床領域を加熱するための、モジュール式の加熱装置を製造する方法であって、
・ 第1の伝熱層を中間断熱層の第1の表面上に配置することと、
・ 前記中間断熱層の第2の表面上にチャネルを作製することと、
・ 前記チャネル内に加熱ケーブルを配置することと、
・ 前記チャネル内に配置された前記加熱ケーブルをカバーするために前記チャネルを伝熱充填材料で充填することと、
・ 伝熱接着コーティングを用いて前記中間断熱層の前記第2の表面に第2の伝熱層を取り付けることと、
・ 前記第1の伝熱層のうち、前記中間断熱層に接していない部分をシーリング材で覆うことと、
を含み、
前記第1の伝熱層の縁部は上方に立ち上がって壁部を構成し、前記壁部の最端部は前記伝熱接着コーティングを介して前記第2の伝熱層に接しており、
前記第2の伝熱層の面積は前記第1の伝熱層の面積よりも広く、前記第2の伝熱層の縁部は略直角に落ち込み側板を形成し、
前記壁部と前記側板との間の空間の少なくとも一部は前記シーリング材で充填され、該空間における前記シーリング材の厚さは、前記第1の伝熱層の底面における前記シーリング材の厚さよりも厚く、
前記側板の少なくとも一つの隅部に切り欠き部を備える、
方法。
【請求項2】
前記第1の伝熱層は、繊維強化プラスチック、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の伝熱層は、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記中間断熱層は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記シーリング材および前記伝熱接着コーティングは、ポリウレタン接着剤、合成樹脂、ビニル重合体、ポリエステル、ビニルエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記伝熱充填材料はコンクリートである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
床領域を加熱するための、モジュール式の加熱装置であって、
・ 第1の伝熱層と、
・ 前記第1の伝熱層の反対側に位置決めされる第2の伝熱層と、
・ 前記第1の伝熱層と前記第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層であって、
・ 前記第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、前記中間断熱層の表面上のチャネル、
・ 前記チャネル内に受容される加熱ケーブル、および
・ 前記チャネルを充填して前記加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料
を備える、中間断熱層と、
・ 前記第2の伝熱層と前記中間断熱層の表面との間の伝熱接着コーティングと、
・ 前記第1の伝熱層のうち、前記中間断熱層に接していない部分を覆うシーリング層と、
を備え、
前記第1の伝熱層の縁部は上方に立ち上がって壁部を構成し、前記壁部の最端部は前記伝熱接着コーティングを介して前記第2の伝熱層に接しており、
前記第2の伝熱層の面積は前記第1の伝熱層の面積よりも広く、前記第2の伝熱層の縁部は略直角に落ち込み側板を形成し、
前記壁部と前記側板との間の空間は前記シーリング層で充填され、該空間における前記シーリング層の厚さは、前記第1の伝熱層の底面を覆う前記シーリング層の厚さよりも厚く、
前記側板の少なくとも一つの隅部に切り欠き部を備える、
加熱装置。
【請求項8】
前記加熱ケーブルと電気ケーブルとの間にシールされた接続をもたらすためのシール要素をさらに備える、請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記側板の高さは前記加熱装置の高さよりも低い、請求項7又は8に記載の加熱装置。
【請求項10】
床領域を加熱する加熱機構であって、
・ 請求項7から9のいずれか一項に記載の複数の加熱装置と、
・ 電源から前記加熱装置に電力を供給するために、前記加熱装置のうちの少なくとも1つに電気的に結合される電気ケーブルと
を備える、加熱機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、加熱機構に関し、より詳細には、床領域を加熱する加熱モジュールおよびそのような加熱モジュールを製造する方法に関する。
【0002】
寒冷地では様々な種類の加熱機構が用いられる。例えば、非常に寒く低温の気象条件にさらされる建築物および輸送手段の床または階段などの床領域を加熱するために加熱機構が用いられる。概して、こうした加熱機構は、床領域の下に置くためにループの形態に構成されて保護層を用いて封入された加熱ケーブルを含む。使用の際には、加熱機構は、床領域を温めるために電気が加熱ケーブルを通ることができるように電源に電気的に結合される。
【0003】
通常、こうした加熱機構を実装するために、加熱ケーブルが床領域に埋め込まれる。例えば、建築物の場合、最終仕上げの済んだ床の下の材料(例えばコンクリート)に加熱ケーブルが埋め込まれている。その後、(コンクリートに埋め込まれた)加熱ケーブルは、最終仕上げ済みの床を形成するために保護層でカバーされる。したがって、こうした加熱機構の配設は複雑かつコストのかかる手順である。こうした加熱機構のメンテナンス(または修理)も同じく複雑かつコストのかかる手順である。例えば、損傷を受けた(または壊れた)加熱ケーブルを交換するには、床領域を壊して再び作製する必要がある。同様に、こうした加熱機構が船、ドック、または列車のプラットフォームのデッキなど、他の床領域と共に使用される場合も、こうした加熱機構を配設してメンテナンスするプロセスは同じままである。
【0004】
したがって、上記の考察に鑑みて、従来の加熱機構の前述の欠点を克服する必要が存在する。
【0005】
本開示は、加熱モジュールを製造する方法を提供しようと努める。
【0006】
本開示はさらに、床領域を加熱する加熱モジュールを提供しようと努める。
【0007】
本開示はさらに、床領域を加熱する加熱機構を提供しようと努める。
【0008】
一側面では、本開示の実施形態は、加熱モジュールを製造する方法であって、
・ 第1の伝熱層を中間断熱層の第1の表面上に配置することと、
・ 中間断熱層の第2の表面上にチャネルを作製することと、
・ チャネル内に加熱ケーブルを配置することと、
・ チャネル内に配置された加熱ケーブルをカバーするためにチャネルを伝熱充填材料で充填することと、
・ 伝熱接着コーティングを用いて中間断熱層の第2の表面に第2の伝熱層を取り付けることと、
を含む方法を提供する。
【0009】
別の側面では、本開示の実施形態は、床領域を加熱する加熱モジュールであって、
・ 第1の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層の反対側に位置決めされる第2の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層であって、
・ 第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の表面上のチャネル、
・ チャネル内に受容される加熱ケーブル、および
・ チャネルを充填して加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料
を備える、中間断熱層と、
・ 第2の伝熱層と中間断熱層の表面との間の伝熱接着コーティングと、
を備える加熱モジュールを提供する。
【0010】
さらに別の側面では、本開示の実施形態は、床領域を加熱する加熱機構であって、
・ 複数の加熱モジュールであって、複数の加熱モジュールはそれぞれ、
・ 第1の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層の反対側に位置決めされる第2の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層であって、
・ 第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の表面上のチャネル、
・ チャネル内に受容される加熱ケーブル、および
・ チャネルを充填して加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料
を備える、中間断熱層と、
・ 第2の伝熱層と中間断熱層の表面との間の伝熱接着コーティングと、
を備える、加熱モジュールと、
・ 電源から加熱モジュールに電力を供給するために、加熱モジュールのうちの少なくとも1つに電気的に結合される電気ケーブルであって、加熱モジュールのシーリング層が床領域に着座するように適合される、電気ケーブルと、
を備える加熱機構を提供する。
【0011】
本開示の実施形態は、実質的に、先行技術の前述の課題を除去するかまたは少なくとも部分的に対処し、加熱機構の簡単な配設および修理を可能にする。
【0012】
本開示のその他の側面、利点、特徴および目的は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される、例示的な実施形態の図面および詳細な説明から明らかにされることになる。
【0013】
本開示の特徴は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、統合して様々な組み合わせにできることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上記の摘要ならびに例示的な実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとより良く理解される。本開示を例示するために、本開示の例示的な構造が図面に示されている。しかし、本開示は、本明細書に開示する特定の方法および手段に限定されない。さらに、図面の縮尺が正確でないことを当業者なら理解するであろう。可能な限り同様の要素は同一の数字で示した。
【0015】
ここで、以下の図を参照しながら単なる一例として本開示の実施形態を説明する。
【
図1】本開示の実施形態による、本開示の加熱機構を実施できる環境の概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の加熱機構の加熱モジュールの斜視図である。
【
図3】本開示の実施形態による、
図1の加熱機構の加熱モジュールの斜視図である。
【
図4】本開示の実施形態による加熱モジュールの上面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図4の軸A‐Aに沿った加熱モジュールの断面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、
図4の軸B‐Bに沿った加熱モジュールの断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、加熱モジュールを製造する際に必要とされる様々なステップの図を示す。
【
図8】本開示の実施形態による、加熱モジュールを製造する際に必要とされる様々なステップの図を示す。
【
図9】本開示の実施形態による、加熱モジュールを製造する方法のステップの図である。
【0016】
添付の図面では、下線付きの数字は、下線付きの数字が配置された要素または下線付きの数字が隣接する要素を表すために用いられる。下線のない数字は、下線のない数字を要素につなぐ線によって特定される要素に関する。数字に下線がなく関連する矢印が付されるときは、下線のない数字は、矢印が指している一般の要素を特定するために用いられる。
【0017】
以下の詳細な説明は、本開示の実施例およびそれらを実施できる手法を示す。本開示を実行する一部のモードを開示してきたが、本開示を実行または実施するための他の例も存在することを当業者なら認識するであろう。
【0018】
ある側面では、本開示の実施例は、加熱モジュールを製造する方法であって、
・ 第1の伝熱層を中間断熱層の第1の表面上に配置することと、
・ 中間断熱層の第2の表面上にチャネルを作製することと、
・ チャネル内に加熱ケーブルを配置することと、
・ チャネル内に配置された加熱ケーブルをカバーするためにチャネルを伝熱充填材料で充填することと、
・ 伝熱接着コーティングを用いて中間断熱層の第2の表面に第2の伝熱層を取り付けることと、
を含む方法を提供する。
【0019】
別の側面では、本開示の実施例は、床領域を加熱する加熱モジュールであって、
・ 第1の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層の反対側に位置決めされる第2の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層であって、
・ 第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の表面上のチャネル、
・ チャネル内に受容される加熱ケーブル、および
・ チャネルを充填して加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料
を備える、中間断熱層と、
・ 第2の伝熱層と、中間断熱層の表面との間の伝熱接着コーティングと、
を備える、加熱モジュールを提供する。
【0020】
さらに別の側面では、本開示の実施例は、床領域を加熱する加熱機構であって、
・ 複数の加熱モジュールであって、複数の加熱モジュールはそれぞれ、
・ 第1の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層の反対側に位置決めされる第2の伝熱層と、
・ 第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層であって、
・ 第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の表面上のチャネル、
・ チャネル内に受容される加熱ケーブル、および
・ チャネルを充填して加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料
を備える、中間断熱層と、
・ 第2の伝熱層と、中間断熱層の表面との間の伝熱接着コーティングと、
を備える、加熱モジュールと、
・ 電源から加熱モジュールに電力を供給するために、加熱モジュールのうちの少なくとも1つに電気的に結合される電気ケーブルであって、加熱モジュールのシーリング層が床領域に着座するように適合される、電気ケーブルと、
を備える、加熱機構を提供する。
【0021】
ある実施例によれば、本開示の加熱機構は、寒冷地で、例えば、非常に寒く低温の気象条件にさらされる建築物および輸送手段の床領域で使用することができる。具体的には、加熱機構は、床領域を(氷のない)比較的乾燥した滑りにくい状態に維持するために、床領域を加熱するように適合される。また、加熱機構は、任意の閉鎖領域を暖かく維持するかまたはこうした床領域を使用する人々に暖気を供給することを可能にすることができる。
【0022】
一実施例では、本明細書で用いる用語「床領域(floor area)」は、建築物の床、廊下、または階段など、建築物の任意の歩行可能な(またはアクセス可能な)領域に関する。あるいは、床領域は、隣接する建築物を互いにまたは建築物を主要な道路に接続する小さい通路など、建築物の外側の任意の領域を含むことができる。さらに、床領域は、船、列車、またはトラックなどの輸送手段の床、廊下、または階段と関連付けることができる。例えば、床領域は、大型トラックの階段または床、船、ドック、またはプラットフォームのデッキなどとすることができる。
【0023】
別の実施例によれは、本開示の加熱機構は、それらを建築物または輸送手段の壁または天井に装着することによって使用することができる。
【0024】
加熱機構は加熱モジュールを複数備える。具体的には、加熱機構は、(本明細書で上記に説明した)床領域を適切にカバーできる十分な数の加熱モジュールを含む。
【0025】
一実施例では、加熱モジュールは矩形の形状を有するように構成することができる。あるいは、加熱モジュールは、円形、長円、または任意の多角形の形状を有するように構成することができる。したがって、加熱機構は、同様の形状または異なる形状を有する加熱モジュールを含むことができる。
【0026】
複数の加熱モジュールは互いに電気的に結合されてよい。別の実施例によれば、加熱モジュールはそれぞれ、電源に直接的に結合される。例えば、複数の加熱モジュールは、小型の電気ケーブルを用いて互いに結合することができる。さらに、複数の加熱モジュールは、床領域をカバーするために加熱モジュールを互いに隣接して配置できるように、互いに電気的に結合することができる。例えば、床領域をカバーするために加熱モジュールのカスケードを形成することができる。
【0027】
さらに、電気ケーブルが、電源から加熱モジュールに電力を供給するために、加熱モジュールのうちの少なくとも1つに電気的に結合される。ある例では、電気ケーブルは、一方の端部に配置された電気プラグを有し、他方の端部が加熱モジュールのうちの少なくとも1つに電気的に結合された、細長い電気ケーブルでよい。電気結合は、電気ワイヤを電源ソケットに直接結合することによって実行することもできる。別の実施例では、加熱モジュールはそれぞれ、電気ケーブルに電気結合されるか、加熱モジュールの一部分が電気ケーブルに電気的に結合され、加熱モジュールの別の部分が互いに電気的に結合される。ある例では、電源は住宅用の電力供給(12、24、220、または240ボルトなど)でよい。あるいは、電源は、ガソリン、ディーゼル、蒸気などで動作できる輸送手段のエンジンによって行われる電力供給でよい。
【0028】
一実施例では、電気ケーブルに結合された加熱モジュールは、加熱モジュールと電気ケーブルとの間にシールされた接続をもたらすためのシール要素を備える。ある例では、シール要素は、加熱モジュール上に配置されるボルトまたはブッシングでよい。シール要素は貫通開口部を設け、その貫通開口部は、加熱モジュールの加熱ケーブルと電気的にかつシールして(または耐水性になるように)結合されるために、その貫通開口部を通して電気ケーブルの端部を受容することができ、さらにこのことをさらに詳細に説明する。
【0029】
加熱機構の加熱モジュールはそれぞれ、第1の伝熱層を備える。ある例では、第1の伝熱層は、公称の壁高さを有する、中空の矩形切頭様の構造を有するように構成することができる。あるいは、第1の伝熱層は、公称の壁高さを有する、中空の矩形(または円形、または長円形、または多角形)の箱様の構造を有するように構成することができる。ある実施例では、第1の伝熱層は、注入成形、モールド成形、成形加工、および機械加工など、適切な製造プロセスを用いて作製することができる。さらに、第1の伝熱層は、繊維強化プラスチック、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製することができる。
【0030】
加熱モジュールは第2の伝熱層も備える。ある例では、第2の伝熱層は、(矩形のトレイなど)公称の壁高さを有する中空の矩形の箱様の構造を有するように構成することができる。あるいは、第2の伝熱層は、公称の壁高さを有する、中空の切頭(または円形、または長円形、または多角形)の箱様の構造を有するように構成することができる。ある実施例では、第2の伝熱層は、注入成形、モールド成形、成形加工、および機械加工など、適切な製造プロセスを用いて作製することができる。さらに、第2の伝熱層は、アルミニウム、鋼鉄、ステンレス鋼、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製することができる。
【0031】
さらに、第2の伝熱層は、第1の伝熱層の反対側に位置決めされる。ある例では、第1の伝熱層は、第2の伝熱層よりもサイズが小さくてよく、したがって、第1の伝熱層の壁が第2の伝熱層のベースに着座すると、それらの間に空隙が形成される。
【0032】
加熱モジュールはさらに、第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に位置決めされる中間断熱層を備える。具体的には、中間断熱層は、第1の伝熱層と第2の伝熱層との間の空隙内に受容されるように構成される。例えば、中間断熱層は、第1の伝熱層の矩形切頭様の構造の形状に合う矩形切頭様の構造の形状を有するように構成することができる。このことは、中間断熱層が第1の伝熱層と第2の伝熱層との間の空隙内に適切に受容されることを可能にする。
【0033】
ある実施例によれば、中間断熱層は、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製することができる。
【0034】
中間断熱層は、第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の表面上にチャネルを備える。具体的には、チャネルは、第2の伝熱層に隣接して位置決めされる、中間断熱層の第2の表面上に作製され、中間断熱層の第1の表面は、第1の伝熱層上に配置される。
【0035】
ある実施例では、チャネルは、計算機数値制御(CNC)機械加工によって中間断熱層上に作製することができる。そうでなければ、チャネルは、フライス削りなどの機械加工プロセスを用いて手動で作製することができる。さらに、中間断熱層は、チャネルが中間断熱層の第2の表面上に形成されるようにモールド成型することができる。
【0036】
ある実施例では、チャネルは、中間断熱層の第2の表面の最大面積をカバーするように構成された(例えば、丸みのあるジグザグになるように)切れ目のないループとすることができる。さらに、チャネルは三角形の形状を有するように構成することができる。そうでなければ、チャネルは、半円形または正方形を有するように構成することができる。
【0037】
中間断熱層は、チャネル内に受容される加熱ケーブルも備える。具体的には、加熱ケーブルは、切れ目のないループを形成するチャネルの長さ全体に沿って加熱ケーブルを収容できるような長さを含むことができる。加熱ケーブルは、加熱ケーブルの第1の端部に配置されるコネクタ要素を備える。コネクタ要素は、電気ケーブルを通して電力を受給するためにその電気ケーブルに接続されるように適合される。上記で言及したように、シール要素は、加熱モジュールと電気ケーブルとの間にシールされた接続をもたらし、具体的には、シール要素は、加熱ケーブルの電気コネクタと、電気ケーブルの端部との間にシールされた接続をもたらす。電気ケーブルはまた、その第2の端部に終端部を含む。終端部は、加熱ケーブルのための終端部としてまたは別の加熱モジュールのための接合部として働くことができる。
【0038】
中間断熱層は、チャネルを充填して加熱ケーブルをカバーする伝熱充填材料も備える。具体的には、伝熱充填材料は、チャネルが第2の表面の高さまで充填されてチャネル内に受容された加熱ケーブルをカバーするように十分な量で使用される。ある実施例では、伝熱充填材料は機械的強度をもたらし、熱を伝導する。一実施例では、伝熱充填材料はコンクリートである。あるいは、伝熱充填材料は、互いに混合された2つの材料、例えば、互いに接着した金属粒子または熱伝導の良好な他の材料の組成でよい。
【0039】
加熱モジュールはさらに、第2の伝熱層と中間断熱層の表面との間に伝熱接着コーティングを備える。伝熱接着コーティングは、中間断熱層の第2の表面を第2の伝熱層に取り付ける(または結合する)ように適合される。一実施例では、伝熱接着コーティングは、ポリウレタン接着剤、合成樹脂、ビニル重合体、ポリエステル、ビニルエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製することができる。
【0040】
ある実施例によれば、加熱モジュールはさらに、第1の伝熱層のうちの中間断熱層の反対側の表面上に配置されたシーリング層を備える。具体的には、シーリング材料が、第1の伝熱層と第2の伝熱層との間に中間断熱層を有する状態で第1の伝熱層と第2の伝熱層とを結合するために第1の伝熱層の表面および縁部に適合される。ある実施例では、シーリング層は、縁部に沿った部分が第1の伝熱層の表面よりも厚くなるように構成することができる。こうした例では、第2の伝熱層は、開いたままであり、すなわち、シーリング層によってカバーされないままである。
【0041】
別の実施例によれば、加熱モジュールはさらに、第1の伝熱層、中間断熱層、および第2の伝熱層の縁部をカバーするシーリング層を備える。具体的には、中間断熱層が伝熱接着コーティングを用いて第2の伝熱層に取り付けられると、第2の伝熱層、中間断熱層、および第1の伝熱層のアセンブリはシーリング材料を用いてシールすることができる。例えば、第1の伝熱層および第2の伝熱層の(それらの間に中間断熱層を有する)アセンブリは、加熱モジュールの周り全体にシーリング層を形成するためにシーリング材料に浸漬(またはその材料でコーティングする)ことができる。このことが、加熱ケーブルと電気ケーブルとの間の電気接続を可能にするためのシール要素によって設けられる開口部を除いて、加熱モジュールを完全なシール済みのユニットにする。
【0042】
一実施例では、シーリング材料は、ポリウレタン接着剤、合成樹脂、ビニル重合体、ポリエステル、ビニルエステル、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から作製することができる。
【0043】
使用の際には、(加熱機構の)加熱モジュールのシーリング層は、床領域上に着座されるように適合される。このことは、第2の伝熱層が上を向いて歩行可能な表面として働くことを可能にする。
【0044】
ある実施例では、加熱モジュールの第2の伝熱層は、加熱モジュールが床領域上に着座するときは第2の伝熱層の壁が床領域の表面から離れるように構成される。例えば、加熱モジュールの第2の伝熱層は、床領域の表面から約2mm〜10mmの距離を有するように構成することができる。このことは、加熱モジュールの第2の伝熱層と船の金属製デッキとの間の電気的ペアリングおよびその腐食を避けるために、加熱モジュールの第2の伝熱層が船の金属製デッキから離れることを可能にする。
【0045】
さらに、電気ケーブルは、電気エネルギーを加熱ケーブルに供給して加熱ケーブルが電気エネルギーを熱エネルギーに変換するために、電源に電気的に結合することができる。それゆえ、(上を向く)第2の伝熱層は少なくともその上部から熱を放散する。さらに、第2の伝熱層は側部(例えば壁)から熱を放散することができる。さらに、床領域に着座するシーリング層はそこから熱を放散することもできる。これは、床領域を比較的乾燥した滑りにくい状態に維持するために、または任意の閉鎖領域を暖かく維持するかもしくはこうした床領域を使用する人々に暖気を供給するために、本開示の加熱機構が床領域を加熱することを可能にする。
【0046】
別の側面では、本開示の加熱モジュールは、以下のステップを有する方法を用いて製造することができる。例えば、加熱モジュールを製造する方法は、中間断熱層を形成するために断熱材料を改変することから始めることができる。例えば、(発泡体、セルロース、繊維などの)断熱材料は、カッタまたはのこぎりなどの工具の助けで、第1の表面および第1の表面の反対側の第2の表面を有する矩形切頭様の構造などの形状にすることができる。その後、中間断熱層は、テーブルまたはデスクなどの表面上に置くことができ、したがって、第1の表面が上向きになる。
【0047】
さらに、第1の伝熱層は、中間断熱層の第1の表面上に貼付するか(または置く)ことができ、その後、真空ラミネートすることができる。あるいは、手動のラミネーションまたは別のラミネーション技術を、第1の伝熱層を中間断熱層の第1の表面上に配置するために用いることができる。その後、第1の伝熱層および中間断熱層のアセンブリは、中間断熱層の第2の表面が上を向くように反転することができる。
【0048】
さらに、チャネルは、中間断熱層の第2の表面に作製することができる。例えばチャネルは、CNC機械加工、またはフライス削りなどの手動の機械加工を用いて作製することができる。その後、加熱ケーブルは、チャネルに収容するためにそのチャネル内に置くことができる。さらに、伝熱充填材料は、加熱ケーブルを封入しチャネルを充填するためにチャネル中に流し込むことができる。
【0049】
中間断熱層の第2の表面は、伝熱接着コーティングを用いて第2の伝熱層に取り付けられる。具体的には、第1の伝熱層は中間断熱層と一緒に反転されて第2の伝熱層の上に置かれ、伝熱接着コーティングは中間断熱層の第2の表面と第2の伝熱層との間にある。このことは、中間断熱層と第2の伝熱層とを取り付ける。
【0050】
その後、シーリング材料から作製されたシーリング層は、第1の伝熱層のうちの中間断熱層の反対側の表面に配置される。具体的には、シーリング材料は、第1の伝熱層と第2の伝熱層とをそれらの間に中間断熱層がある状態で結合するために、第1の伝熱層の表面および縁部に塗布される。あるいは、シーリング層は、第1の伝熱層、中間断熱層、および第2の伝熱層の縁部をカバーするように構成することができる。具体的には、中間断熱層をそれらの間に有する第1の伝熱層および第2の伝熱層のアセンブリは、シーリング材料に浸漬し、加熱モジュールの周り全体にシーリング層を形成するために硬化することを可能にすることができる。
【0051】
本方法はさらに、第1の伝熱層、中間断熱層、および第2の伝熱層の縁部をカバーするシーリング層を形成するために、シーリング材料を用いて各層の縁部を同時にシールすることを含むことができる。他の任意の層が使用される場合は、それらもシーリング層によってカバーされることになる。本方法はさらに、第1の伝熱層のうちの中間断熱層の反対側の表面に、シーリング材料から作製されたシーリング層を配置することを含む。このステップは、第1の伝熱層のうちの中間断熱層の反対側の表面にシーリング層を形成する。
【0052】
本開示は、加熱モジュール、こうした加熱モジュールを複数有する加熱機構、およびこうした加熱モジュールを製造する方法を提供する。加熱機構は、床領域を比較的乾燥した滑りにくい状態に維持するために使用することができる。また、加熱機構は、任意の閉鎖領域を暖かく維持できるようにするか、またはこうした床領域を使用する人々に暖気を供給することを可能にすることができる。さらに、本開示の加熱機構は、本質的にモジュール式であり、したがって、床領域に沿って一様の加熱を供給する。さらに、加熱機構は、損傷を受けた場合に配設および修理が簡単である。さらに、モジュール式の性質によって、修理中に、加熱機構の不具合のある領域を見つけることがより簡単である。さらに、本開示の加熱モジュールは、製造するのが簡単であり、過酷な(または厳しい)条件で使用することができる。
[図面の詳細説明]
【0053】
図1を参照すると、本開示の実施例による、本開示の加熱機構100を実施できる環境の概略図が示されている。図示のように、加熱機構100は、船のデッキ102などの床領域に配置される。それゆえ、加熱機構100はデッキ102を加熱することが可能である。加熱機構100は、互いに電気的に結合された、加熱モジュール110、112、および114など、複数の加熱モジュールを備える。さらに、加熱モジュール110、112、114は、デッキ102の歩行可能な領域など、必要な床領域がカバーされるように(例えばカスケードを形成するように連続して)配置される。あるいは、加熱機構100は、デッキ102全体をカバーするために多数の加熱モジュールを含むことができる。
【0054】
加熱機構100はさらに、電源から加熱モジュール110、112、114に電力を供給するために、加熱モジュールのうちの少なくとも1つに電気的に結合される電気ケーブル120を備える。図示のように、電気ケーブル120は、一方の端部では、加熱モジュール112に電気的に結合され、別の端部では、加熱モジュール110、112、114を加熱するために電力を受給するための配電盤124のソケットに差し込まれるプラグ122を含む。電力供給は、ディーゼル、蒸気などで動作できる船のエンジンによって行われる。
【0055】
図1は、本開示の範囲を不当に限定すべきでない単なる一例である。当業者は本開示の実施例の多数の変形形態、代替形態、および改変形態を認識するであろう。例えば、加熱機構100は、床および階段を加熱するために居住用建築物および商業用建築物と併せて使用することができる。
【0056】
ここで
図2〜
図3を参照すると、本開示の実施例による(
図1の加熱機構100の加熱モジュール112などの)加熱モジュール200の斜視図が示されている。例えば、
図2は加熱モジュール200の上面斜視図を示し、
図3は加熱モジュール200の底面斜視図を示す。
図2に示すように、加熱モジュール200は表面202を備える。表面202は、例えばその上を歩くための滑りにくい表面を設けるために、良好な摩擦グリップを有するように形成される。さらに、加熱モジュール200はさらに、一方の端部では、加熱モジュール200に結合された電気ケーブル204を備え、別の端部では、プラグ206を含む。
【0057】
図3に示すように、加熱モジュール200はさらに、加熱モジュール200の内側に配置された加熱ケーブル(図示せず)と電気ケーブル204との間にシールされた接続をもたらすためのシール要素302を備える。具体的には、シール要素302は開口部を設け、その開口部を通して、電気ケーブル204の端部が受容され、加熱ケーブルのコネクタ要素に電気的に結合される。このことは本明細書で以下にさらに詳細に説明する。それゆえ、シール要素302は、電気ケーブル204と、加熱モジュール200の内側に配置された加熱ケーブルとの間に耐水性の結合をもたらす。
【0058】
加熱モジュール200は、加熱モジュール200の周囲に作製される切欠き部分310、312、314、および316などの切欠き部分も備える。切欠き部分310〜316は、加熱モジュール200が、
図1に示すデッキ102などの平坦な床領域に適切に着座できるようにするために、電気ケーブルがそれら切欠き部分を貫通できるように作製される。図示のように、切欠き部分310は、電気ケーブル204がそこを貫通できるようにする。同様に、他の切欠き部分312、314、316は、(
図1の加熱機構100などの)加熱機構を形成するために加熱モジュールを互いに電気的に結合する電気ケーブルがそれら切欠き部分を貫通できるようにすることが可能である。このことによって、加熱モジュール200(または
図1の加熱機構100)が平坦な床領域に適正なバランスで適切に着座することが可能になる。
【0059】
ここで
図4を参照すると、本開示の実施例による加熱モジュール200の上面図が示されている。具体的には、
図4は、表面202と、加熱モジュール200の表面202の下の内部構成要素とを示す。図示のように、加熱モジュール200は、チャネル404に配設される加熱ケーブル402を備える。具体的には、チャネル404はループ型の形状になるように作製され、加熱ケーブル402は、加熱モジュール200の最大面積をカバーするようにチャネル404内に配置される。図示のように、加熱ケーブル402は、一端にコネクタ要素406を、他端に終端部408を備える。コネクタ要素406は、電源から電気エネルギーを受給するために電気ケーブル204に電気的に接続される。
【0060】
ここで
図5および
図6を参照すると、それぞれ軸A‐AおよびB‐Bに沿った、本開示の実施例による
図4の加熱モジュール200の断面図が示されている。
図5に示すように、加熱モジュール200は、第1の伝熱層502と、第1の伝熱層502の反対側に位置決めされる第2の伝熱層504とを備える。加熱モジュール200は、第1の伝熱層502と第2の伝熱層504との間に位置決めされる中間断熱層506も備える。具体的には、第1の伝熱層502は中間断熱層506の第1の表面510に配置され、第2の伝熱層504は中間断熱層506の第2の表面512に配置される。さらに、中間断熱層506は、第2の伝熱層504に隣接して位置決めされる中間断熱層506の第2の表面512にチャネル404(
図4にも示す)を備える。チャネル404は加熱ケーブル402(
図4にも示す)を受容する。中間断熱層506は、チャネル404を充填し加熱ケーブル402をカバーする、伝熱充填材料520も備える。
【0061】
加熱モジュール200は、第1の伝熱層502のうちの中間断熱層506の反対側の表面522に配置されるシーリング層530も備える。シーリング層530は、第1の伝熱層502を第2の伝熱層504に取り付けるために、第1の伝熱層502の表面522および縁部をカバーするように適合される。図示のように、シーリング層530は、縁部に沿った部分が第1の伝熱層502の表面522よりも厚くなるように構成される。図示のように、シーリング層530は、第1の伝熱層502の縁部をカバーする肉厚部分532を含む。あるいは、加熱モジュール200は、加熱モジュール200全体をシールするために第1の伝熱層502、中間断熱層506、および第2の伝熱層504の縁部をカバーするように適合されたシーリング層(図示せず)を含むことができる。加熱モジュール200は、第2の伝熱層504と、中間断熱層506の第2の表面512との間に、伝熱接着コーティング(
図6に示す)も備える。
【0062】
ここで
図6を参照すると、
図4の軸B‐Bに沿った加熱モジュール200の断面図が示されている。具体的には、
図6は、
図5の一部分、すなわち、
図5のその部分に対応する拡大断面図を示す。図示のように、加熱モジュール200は、第2の伝熱層504と、中間断熱層506の第2の表面512との間に、伝熱接着コーティング602を備える。
図6は、中間断熱層506の加熱ケーブル402、チャネル404、および伝熱充填材料520など、加熱モジュール200の他の構成要素も示す。第1の伝熱層502のうちの中間断熱層506の反対側の表面522に配置されたシーリング層530も示されている。さらに、第1の伝熱層502の縁部604などの縁部をカバーする、シーリング層530の肉厚部分532が示されている。
【0063】
ここで
図7および
図8を参照すると、本開示の実施例による、加熱モジュール200などの加熱モジュールを製造する際に必要とされる様々なステップが示されている。具体的には、
図7は、加熱モジュール200を製造する際に必要とされる、ステップS1からS5を示し、
図8はステップS6からS9を示す。
【0064】
ステップS1では、(ポリウレタン発泡体などの)断熱材料部片702が設けられる。図示のように、その部片702は矩形(具体的には、立方体の形状)を含む。
【0065】
ステップS2では、断熱材料部片702が中間断熱層506を形成するために改変される。中間断熱層506は、第1の表面510と、第1の表面510の反対側の第2の表面512とを備える。図示のように、中間断熱層506は、矩形切頭形状を有するように構成される。
【0066】
ステップS3では、断熱材料の改変部片702が、テーブル、デスクなどの表面704上に置かれ、第1の伝熱層502が、中間断熱層506の第1の表面510上に配置される。例えば、第1の伝熱層502は、中間断熱層506の第1の表面510上に配置され、その後、第1の伝熱層502と中間断熱層506とを取り付けるために真空ラミネートされる。
【0067】
ステップS4では、第1の伝熱層502および中間断熱層506のアセンブリが、第1の伝熱層502が表面704と接触するように反転される。
【0068】
ステップS5では、中間断熱層506の第2の表面512にチャネル404が作製される。図示のように、チャネル404は三角形を有するように構成される。さらに、チャネル404は、中間断熱層506の第2の表面512の最大面積をカバーするようにループ型の形状になるように作製される。
【0069】
ステップS6では、加熱ケーブル402がチャネル404内に配置される。
【0070】
ステップS7では、チャネル404は、チャネル404内に配置された加熱ケーブル402をカバーするために、伝熱充填材料520で充填される。具体的には、伝熱充填材料520は、加熱ケーブル402を封入するためにチャネル404中に流し込まれ、中間断熱層506の第2の表面512の高さまでチャネル404に流し込まれる。
【0071】
ステップS8では、第1の伝熱層502および(伝熱充填材料520で封入された加熱ケーブル402を有する)中間断熱層506のアセンブリが反転されて、第2の伝熱層504の上に置かれる。具体的には、第2の伝熱層504は、伝熱接着コーティング602(
図6にも示す)を用いて中間断熱層506の第2の表面512に取り付けられる。
【0072】
ステップS9では、シーリング層530は、中間断熱層506の反対側の第1の伝熱層502上に配置される。図示のように、シーリング層530は、第1の伝熱層502を第2の伝熱層504に取り付けるために、第1の伝熱層502の表面522(
図6に示す)および縁部(
図6に示す)をカバーする。さらに、シーリング層530は、縁部に沿った部分が第1の伝熱層502の表面522全体よりも厚くなるように構成される。例えば、シーリング層530は、第1の伝熱層502の縁部をカバーする肉厚部分532を含む。
【0073】
図9を参照すると、本開示の実施例による、加熱モジュールを製造する方法900のステップが示されている。具体的には、方法900は、
図1〜
図8と併せて説明した加熱モジュール200などの加熱モジュールを製造するステップを示す。
【0074】
ステップ902では、第1の伝熱層が中間断熱層の第1の表面上に配置される。ステップ904では、中間断熱層の第2の表面上にチャネルが作製される。ステップ906では、加熱ケーブルがチャネル内に配置される。ステップ908では、チャネルは、チャネル内に配置された加熱ケーブルをカバーするために伝熱充填材料で充填される。ステップ910では、伝熱接着コーティングを用いて中間断熱層の第2の表面に第2の伝熱層が取り付けられる。ステップ902から910は単なる例示であり、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなく、1つもしくは複数のステップが追加されるか、1つもしくは複数のステップが削除されるか、または1つもしくは複数のステップが異なる順序で行われる他の代替形態を実行することもできる。例えば、方法900はさらに、シーリング材料を用いて各層の縁部を同時にシールすることを含む。あるいは、方法900は、第1の伝熱層のうちの中間断熱層の反対側の表面に、シーリング材料から作製されたシーリング層を配置することを含む。
【0075】
上記に記載した本開示の実施例に対する改変は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく可能である。本開示を説明し特許請求するために用いられる「含む」、「備える、「組み込む」、「有する」、「である」などの表現は、排他的でない形式で、すなわち、明示的に記載されていない項目、構成要素または要素も存在できるものと解釈されるものである。要素が単数で表現されていても当該要素が複数具備されることを排除しない。