特許第6853820号(P6853820)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853820
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】緊急警報システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20210322BHJP
   G08B 25/14 20060101ALI20210322BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20210322BHJP
   H04M 11/04 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G08B27/00 C
   G08B25/14 A
   G08B21/10
   H04M11/04
【請求項の数】14
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2018-519259(P2018-519259)
(86)(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公表番号】特表2018-524752(P2018-524752A)
(43)【公表日】2018年8月30日
(86)【国際出願番号】US2016038988
(87)【国際公開番号】WO2016210110
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】62/183,666
(32)【優先日】2015年6月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517449257
【氏名又は名称】エーシーアンドシー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダブリュー. ハッチンソン マックレンドン
(72)【発明者】
【氏名】ダレン ヴァライレ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アンダーソン
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−519951(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0139335(US,A1)
【文献】 特開2008−217756(JP,A)
【文献】 特開2012−233856(JP,A)
【文献】 特表2008−537822(JP,A)
【文献】 特開2009−232093(JP,A)
【文献】 特開2014−158229(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0259568(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103703458(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00−21/36
23/00−25/00
G06F13/00
G08B1/00−9/20
19/00−31/00
H04B7/24−7/26
H04H20/00−20/46
20/51−20/86
20/91−40/27
40/90−60/98
H04L12/00−12/26
12/50−12/955
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04W4/00−8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報システムであって、
a. 以下の操作:
i. 1次緊急警報メッセージを選択する操作又は作成する操作と、
ii. 対象となる地理的エリアの少なくとも一部を表す地理的エリアメッセージを作成する操作と、
iii. 該警報メッセージ及び該地理的エリアメッセージを送信する操作と、を行うことができる、オペレーションセンターと、
b. 該警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信するように構成され、警報対応のデバイスによって決定される対象となる該地理的エリア内に該警報対応のデバイスがある場合かつその場合に限り、該警報メッセージをユーザに提示するように構成された警報対応のデバイスとを備え
前記警報対応のデバイスは、少なくとも、該警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、前記警報メッセージを前記ユーザに提示するかどうかを決定する、
前記警報システム。
【請求項2】
前記警報対応のデバイスは、正確なリアルタイムのGPSデータが使用可能ではない期間中に、以前のGPS位置データを保持し、該デバイスは、最新の、正確なGPS位置データを使用して、該デバイスが対象となる前記地理的エリア内にあるかどうかを決定する、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記警報対応のデバイスは、該警報対応のデバイスが対象となるアクティブな地理的エリアに移動したかどうかを決定するために、該警報対応のデバイスが移動中のときに格納されている地理的エリアメッセージをチェックするように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれ、警報メッセージを提示するために必要に応じて該ホストデバイスを電源オンにするように構成され、該警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後に該ホストデバイスを電源オフにするように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれ、該ホストデバイス操作モードを、警報メッセージの受信に必要とされるモードに切り替えるように構成され、該警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後に該ホストデバイスをその前の操作モードに戻すように構成される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記警報対応のデバイスは、無線インターネット信号を受信することができるGPS対応のセルラー電話、又は無線インターネット信号を受信することができるGPS対応のポータブルコンピュータに組み込まれる、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記オペレーションセンターは、インターネットを介してメッセージを送信することができる、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記警報メッセージは、特定の聴衆に到達するよう意図された商用メッセージである、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
チャネルをさらに備え、前記警報メッセージは、該チャネルを介して一連のブロードキャストを使用して配信され、次いで単一又は複数のデータパケットとして前記デバイスによって処理されるか、又は複数の該チャネルを介して一連のブロードキャストを使用して配信され、次いで単一又は複数のデータパケットとして前記デバイスによって処理される、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項記載の警報システムを用いて、地理的に対象を絞った警報メッセージを通信する方法であって、
a. 警報メッセージを選択すること又は作成することと、
b. 対象となる地理的エリアを表す地理的エリアメッセージを作成することであって、該対象となる地理的エリアは、以下のグループ:該警報の本質;該警報によって示される脅威の重大度;気象条件;該警報メッセージを発信する当局の地理的管轄;人口;避難経路;及び地形、から引き出された要因に少なくとも部分的に基づく、前記作成することと、
c. 警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信することと、
d. 警報対応のデバイスによって該警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信することと、
e. 該警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために該地理的エリアメッセージを処理することと、
f. 該緊急警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にある場合かつその場合に限り、該警報メッセージをユーザに提示することとを含む、前記方法。
【請求項11】
前記対象となる地理的エリアを避難するよう前記ユーザに指示する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記警報対応のデバイスは、前記ユーザが前記対象となる地理的エリアを避難するための十分な時間を与えるように選択された期間のような、あらかじめ選択された期間後に、前記警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内に引き続き残っている場合、該ユーザに警告を提示する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
避難経路と共に交通条件を評価し、1次避難経路が過度に交通渋滞している場合に、代替経路をとらせる指示をユーザに提示する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記警報対応のデバイスが飛行中の航空機内にあるかどうかを決定し、飛行機内にある場合、地上の人々に向けられた警報メッセージの提示をブロックする工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年6月23日に出願した、米国仮特許出願第62/183,666号明細書の優先権を主張するものであり、これは、現在米国特許第7,679,505号明細書である2007年3月1日に出願した米国特許出願第11/712,652号明細書の一部継続出願である、現在米国特許第8,009,035号明細書である2010年2月12日に出願した米国特許出願第12/705,191号明細書の一部継続出願である、現在米国特許第8,653,963号明細書である2011年8月30日に出願した米国特許出願第13/221,361号明細書の一部継続出願である、2013年11日15日に出願した米国特許出願第14/081,039号明細書の一部継続出願である。上記で特定される各特許出願は、開示の継続性をもたらすために、引用により全体が本明細書中に組み込まれている。
【0002】
(発明の分野)
本発明は概して、緊急警報メッセージを一般の人々に伝達するための方法及び装置に関する。本発明は、対象となる地理的エリア内の人々への緊急情報の信頼性の高い送信を可能にする改良された緊急警報システムを提供する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
緊急警報システムは、幅広く使用されている。そのようなシステムの1つの一般的な例は、テレビジョン及びラジオで使用される緊急放送システムである。このシステムは、多くの場合、潜在的に危険な天候状態に関する情報を送信するために使用される。その他の緊急警報システムは、地上ベースの電話システムに依存して、記録されたメッセージを特定のエリア内のすべての人々に送信する。避難命令は、緊急警報メッセージのもう1つの形態であり、これらの命令は、電話システム、警察官による戸別訪問の伝達、及びその他の緊急通信方法に依存することがある。
【0004】
テロリズムの脅威に対する一般の人々の懸念はさらに高まる一方であり、通信システムは幅広く普及してきたが、それに応じて、さらに優れた緊急警報システムを求めるニーズが生じている。既存の技術は、多大な問題をかかえている。戸別訪問による緊急情報の伝達は、危険にさらされているエリアに実際にいる人々のみを対象とする場合には効果的である。戸別訪問による伝達は手間取る可能性があり、この方法の迅速さは、連絡を取るべき人の数と戸別訪問に向かう人の数に左右されるが、該当する一般の人々に緊急情報を確実に届ける。しかし、この利点は、非常に高いコストが強いられる。多くの警察官の時間を戸別訪問に向かわせることに割り振ることで、膨大な金額を費やし、厄介な機会費用を生み出すことになる。地元の警察の4分の3が、緊急事態の状況について人々に警告するために戸別訪問に向かう場合、これらの警察官は犯罪又はその他の問題のある状況に備えてパトロールすることができない。緊急警報を地理的に広める1つの手段ではあるが、戸別訪問による緊急伝達は通常、最後の手段と見なされている。
【0005】
サイレンもまた、緊急事態について人々に警告するために使用されてきた。サイレンシステムは、おそらく特定の目的については最も効果的である。たとえば、化学プラントでは、問題の生じたプラント付近にいる人々に警告するためにサイレンを使用することがある。サイレンは、範囲が限られており、日常的な維持管理が必要となる。サイレンは通常、状況に特定化した情報を提供することはない。住宅又は自動車内にいる人々は、たとえサイレンに比較的近い場所にいても、サイレンを聞き取れないこともある。サイレンの1つの利点は、部分的に地域を選択できることにある。サイレンの一定の半径の範囲内にいる人々だけが、警告を聞き取ることになる。しかし、多くの緊急事態において、警報エリアは特定のサイレンを中心とする完全な円にはならないので、この利点すらも限られたものである。こうした理由から、サイレンは一般に、緊急事態を人々に警告する手段としては依然として十分なものではない。
【0006】
緊急放送システム(EBS)は、テレビジョン及びラジオの生中継を介して緊急警報メッセージを送信する。このシステムは、素早く多くの人々に到達することができるが、その到達範囲はあまりにも広く、しかもあまりにも狭い。あまりに広すぎるという理由は、ほとんどの緊急警報が区域のほんの一部だけに関連している場合にも、テレビジョン及びラジオの全放送区域がカバーされてしまうことにある。あまりに狭すぎるという理由は、テレビジョン又はステレオを使用している人々であっても、テレビジョン又はラジオの生放送を受信しているとは限らないことにある。テレビジョン視聴者は、DVDで映画を観ている場合もあれば、録画されたテレビジョン番組を観ている場合も、又は衛星テレビジョン放送を視聴している場合もある。ステレオを聴いている人々は、衛星ラジオ又は音楽CDを聴いている場合もある。こうした人々は誰も、EBS警報を受信することはないであろう。
【0007】
自動電話呼び出しシステムは、緊急警報メッセージを送信するために広く使用されている。このシステムは、定義されている警報エリア内にある電話だけが呼び出しを受けることになるので、地理的に限定されている。しかし、これらのシステムに関する問題もいくつかある。これらは、購入して使用するには高額である。これらは、関連がある一般の人々ほぼ全員には到達しない。多くの人々が電話を受け損ない、これらのシステムのほとんどが固定電話のみを呼び出す。つまりすべてのセル電話とVOIP電話を除外することになる。一部の番号は対象者に到達するために多数回呼び出しする必要があるので、このプロセスもまた手間がかかる可能性がある。最後に、電話警報システムが使用される場合、それが市内電話交換ネットワークを妨害して、システムの速度を低下させ、現地の人々が各自の電話を使用しようとしても非常につながりにくくなってしまうおそれもある。
【0008】
インターネット及び電子メールもまた、緊急警報情報を送信するために使用される場合がある。このプロセスは、迅速に機能できるが、到達範囲は限られている。これはまた、地理的には制限がない。
【0009】
緊急事態の脅威及び既存の緊急警報システムにおける多くの不備に対する懸念の高まりを受けて、より優れたシステムが必要とされている。そのようなシステムは、迅速に動作し、適切な地理的エリア内のすべての人々に到達するべきである。システムは、手頃なコストで保持し操作できるものでなければならない。費用効果が高く、地理的に対象を絞った緊急警報システムが必要とされている。
【0010】
一部の地理的な対象絞り込みは、緊急警報及びその他の地理的に対象を絞った警報のエリアにおいて試行された。たとえば、幅広く使用されているセルラー電話システムが、特定のタイプの地理的に対象を絞り込まれたメッセージングを提供するために使用された。セルラー送信は、比較的短距離送信であり、したがって多くのセルタワーは、連続又はほぼ連続のカバレッジを保証するために、地理的区域の至る所に必要とされる。特定のセルタワーがメッセージを送信する場合、そのメッセージは限られた地理的エリアに到達する。
【0011】
セルタワーが全方向に送信する場合、送信によって到達される地理的エリアは、概して円形となる。適正なタイプの電話を備え、送信タワーのブロードキャスト範囲内にいるそれらの携帯電話のユーザは、メッセージを受信することになる。さらに近年、技術が進歩して、セルタワーが多少指向性を持って送信できるようになり、パイ状又はくさび状のカバレッジエリアが生成される。
【0012】
一部のセルシステムはまた、ユーザの居住エリアに基づいて、地理的にセルユーザに対象を絞っている。この手法は、ユーザが居住する場所又は働く場所に基づいてユーザの特定の位置又はエリアを固定する。その他の警報システムは、従来、類似する手法を使用してきた。たとえば、一部の竜巻警報システムは、ユーザのあらかじめ定められた固定の位置に基づいて、ユーザに警報を出す。このタイプのすべてのシステムは、1つの主要な問題:それらは、極めて移動性が高いユーザのあらかじめ定められた固定の位置情報を使用する、をかかえている。これらのシステムは動的ではない。システムは、人々の移動を明らかにすることができない。
【0013】
システムが2つの重要な方法で失敗するので、固定の位置データにこのように依存することは、大きな欠点である。第1は、このタイプのシステムが、保留中の緊急事態のエリアへの訪問者に警報を出しそこなうことであろう。竜巻が襲来したときにエリアを訪問している人は、このタイプのシステムによる警告を受信することはない。第2は、このタイプの警報システムが、警報エリア内にいない居住者に警報を出すことであろう。警告エリアに居住しているが、警告の時点で不在である人は、警報を受信することになる。これらの2つの問題は、これらのタイプの警告システムの有効性を著しく低下させる。
【0014】
全方向又は半指向性送信を使用する、セルラータワー位置システムは、これらの問題を解決する1つの手段をもたらす。物理的に地理的エリア内にいるユーザのみが、警報を受け取ることになる。しかし、この結果を達成するために、システムは、警報の送信を、多少粗く定義された地理的エリア内に制限する必要がある。現在ブロードキャストエリアの外部にいるが、そのエリアに向けて移動中の人々は、ブロードキャストエリア内に到達するまで警報を受信することはない。さらに、実際の緊急事態が、セルラー送信エリアよりもさらに局所化される場合、このタイプのシステムは、危険エリアの外部の人々に警報を提示する。
【0015】
セルラー送信システムは、あらかじめ定められた固定のユーザ位置データに依存するシステムを超える改善をもたらすが、その改善は限られたものである。その理由を理解するためには、この問題に対する2つの基本的な手法を理解する必要がある。1つの手法は、警報送信の観点からこの問題を検討することである。この手法は、「フロントエンド」の手法と考えることができる。第2の手法は、何らかのリスクに直面している地理的エリア内のユーザ、人々、又はビジネスの観点からこの問題を検討することである。この手法は、「バックエンド」の手法と考えることができる。
【0016】
上記で説明されているすべてのシステムは、フロントエンドシステムである。これらのシステムのいずれも、ユーザエンドにおける区別又は決定に依存していない。地理的な対象絞り込みはすべて、送信エンドから生じている。セルラータワーシステムは、好例といえる。これらのシステムは、指向性であるが、ただしそれはフロントエンドの意味においてのみである。すべての区別(つまり、誰が警報を受け取るかに関するすべての決定)は、フロントエンドにおいて行われる。
【0017】
必要とされるのは、この問題に対するバックエンドの解決策であり、ユーザの動的な位置修正を可能にする解決策である。粗いバックエンドシステムの例は、メッセージが大勢の聴衆にブロードキャストされ、聴衆の構成員が、メッセージは自分に関連するかどうかについて各自で決定を行うものであろう。1つの簡単な例は、大規模なスポーツイベント(たとえば、フットボールの試合)において、赤のコンバーチブルの持ち主に車をチケット売り場の前から移動するようお願いするPAアナウンスであってもよい。大勢の聴衆に向けたブロードキャストのメッセージ、及びその聴衆の構成員は、このプロセスの区別する工程を実行する。おそらくは、チケット売り場の前に赤いコンバーチブルを停車した人(或いは人達)だけが、このメッセージに応答することであろう。
【0018】
この一般的な概念(つまり、バックエンドの区別)は、緊急警報システムでは使用されてこなかった。その理由はおそらく、対象を絞った警報メッセージの広範な流布が、ヒステリー状態を誘発する恐れがあるという懸念からである。又は、おそらく、緊急メッセージ送信を担当する人々が、フロントエンドの施設で作業にあたり、その観点からしか問題を考慮していない傾向があるからである。しかし、この焦点の理由が何であれ、バックエンドタイプの警報システムへの注目が欠如していた。したがって、バックエンドの区別に依存する改善された動的な警報システムが真に必要とされている。そのようなシステムは、警報メッセージの比較的広いエリアのブロードキャストを可能にし、場合によっては警報エリアの外部にいるがそこに近付きつつある人々に勧告することができる。そのようなシステムはまた、正確なエリア定義、又は正確な対象となる聴衆の定義(たとえば、消防士又はEMTのみ)を可能にするであろう。しかし、システムは、(フットボール試合の例におけるような)区別のプロセスを実行するために個々のユーザに依存するのではなく、技術的な解決策を使用する。この新しい技術は、区別を実行し、次いで、ユーザが関連する地理的エリア内にいる、及び/又は関連する対象の聴衆内にいる場合かつその場合に限り、ユーザに警報を出す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(要旨)
本発明は、緊急警報システムを提供する。本発明はまた、地理的に対象を絞った警報メッセージを、警報対応のデバイスに送信する方法を提供する。危険にさらされている地理的エリア内の警報デバイスだけが、緊急事態を通知される。警報デバイスは、携帯電話、自動車ステレオ及び/又はナビゲーションシステム、テレビジョン、ラジオ、コンピュータ、MP3プレイヤー、固定電話、及びメッセージコンテンツをエンドユーザに伝達する機能を備える実質的に任意の他のホストデバイスのような、ホストデバイス内に組み込まれ得る小型デバイスである。警報デバイスを多種多様なホストに組み込むことによって、本発明は、実質的にすべての適切な人々に極めて迅速に到達する可能性を持つ警報デバイスを作り出す。警報デバイスは、信頼性が高く、操作しやすく、高速で、地理的な選択性も高い。警報デバイスに必要とされるのは、日常的な維持管理のみである。
【0020】
1つの実施態様において、本発明は、警報メッセージを選択し、対象となる地理的エリアを表す地理的エリアメッセージを作成し、警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信するオペレーションセンター;と、警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信し、警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内にある場合かつその場合に限り、緊急警報メッセージを提示する警報対応のデバイスとを含む。
【0021】
一部の実施態様において、本発明は、チャネルをさらに含むことができる。一部の実施態様において、本発明は、複数のチャネルをさらに含むことができる。警報メッセージは、チャネル及び/又は複数のチャネルを介する一連のブロードキャストを使用して搬送されてもよい。警報メッセージは、単一又は複数のデータパケットとしてデバイスによって処理されてもよい。
【0022】
態様において、警報システムは、オペレーションセンターと、警報対応のデバイスとを有することができる。オペレーションセンターは、1次緊急警報メッセージを選択すること及び/又は作成すること、地理的エリアメッセージを作成すること、及び警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを送信することができる。地理的エリアメッセージは、対象となる地理的エリアの少なくとも一部を表すことができる。警報対応のデバイスは、警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを受信するように構成され、警報対応のデバイスによって決定され得る対象となる地理的エリア内に警報対応のデバイスがある場合、又はその場合に限り、警報メッセージをユーザに提示するように構成されてもよい。
【0023】
実施態様において、警報対応のデバイスは、前のGPS位置データを、たとえば正確なリアルタイムのGPSデータが使用可能ではない期間中に、保持することができる。デバイスは、最新の、正確なGPS位置データを使用して、たとえばデバイスが対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定することができる。警報対応のデバイスは、警報対応のデバイスがアクティブな対象となる地理的エリアに移動したかどうかを決定するために、警報対応のデバイスが移動している場合に、格納されている地理的エリアメッセージをチェックするように構成されてもよい。一部の実施態様において、警報対応のデバイスは、たとえば警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、警報メッセージを提示するかどうかを決定することができる。
【0024】
その他の実施態様において、警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれてもよく、警報メッセージを提示するために必要に応じてホストデバイスを電源オンにするように構成されてもよい。警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後にホストデバイスを電源オフにするように構成されてもよい。
【0025】
さらなるその他の実施態様において、警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれてもよく、ホストデバイス操作モードを、警報メッセージの受信に必要とされるモードに切り替えるように構成されてもよい。警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後、ホストデバイスをその前の操作モードに戻すように構成されてもよい。
【0026】
一部の実施態様において、警報対応のデバイスは、無線インターネット信号を受信することができるGPS対応の携帯電話に組み込まれてもよい。警報対応のデバイスは、或いは、有線又は無線インターネット信号を受信することができるGPS対応のポータブルコンピュータに組み込まれてもよい。
【0027】
その他の実施態様において、オペレーションセンターは、インターネットを介してメッセージを送信することができてもよい。警報メッセージは、特定の聴衆に到達するよう意図された商用メッセージであってもよい。
【0028】
もう1つの態様において、警報システムは、警報メッセージ、地理的エリアメッセージ、一意の識別子、及び警報対応のデバイスを有することができる。地理的エリアメッセージは、警報メッセージの対象となる地理的エリアを表すことができる。一意の識別子は、警報メッセージ、地理的エリアメッセージ、又はその両方のメッセージに割り当てられてもよい。警報対応のデバイスは、警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを受信することができる。警報対応のデバイスは、警報メッセージを提示することができ、警報対応のデバイスによって決定され得る対象となる地理的エリア内に警報対応のデバイスがある場合かつその場合に限り、メッセージを提示するように構成されてもよい。一部の実施態様において、警報対応のデバイスは、たとえば警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、警報メッセージを提示するかどうかを決定することができる。
【0029】
一部の実施態様において、警報メッセージ及び地理的エリアメッセージは単一のメッセージに結合されてもよい。一意の識別子は、結合された単一のメッセージに割り当てられてもよい。一意の識別子は、一意の通し番号をさらに有することができる。一意の識別子は、異なるメッセージを区別するために警報対応のデバイスによって使用されてもよい。
【0030】
その他の実施態様において、一意の識別子は、たとえば、対象となる地理的エリア内にいるグループの構成員に警報メッセージが方向付けられ得るように、人々の異なるグループに関連付けられてもよい。警報対応のデバイスは、受信した一意の識別子がユーザ又は1人以上のユーザに関連付けられている場合に認識するように構成されてもよい。
【0031】
さらにその他の実施態様において、警報メッセージは、特定の聴衆に到達するよう意図された商用メッセージであってもよい。ユーザは、警報対応のデバイスが、特定の商用メッセージを受信するか、又は受信しないようにプログラムすることができる。商用メッセージを受信するユーザの機能は、たとえば警報対応のデバイスが、自動車によってなど、走行と一致する動きを検出する場合に、使用不可にされてもよい。
【0032】
態様において、地理的に対象を絞った警報メッセージを通信する方法は、警報メッセージを選択する工程及び/又は作成する工程と、地理的エリアメッセージを作成する工程と、警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信する工程と、警報対応のデバイスによって警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを受信する工程と、地理的エリアメッセージを処理する工程と、警報メッセージをユーザに提示する工程とを含むことができる。地理的エリアメッセージは、対象となる地理的エリアを表すことができる。対象となる地理的エリアは、全部又は一部を問わず、たとえば警報の本質、警報によってもたらされる脅威の重大度、気象条件、警報メッセージを発信する当局の地理的管轄、人口、避難経路、及び/又は地形から引き出された要因に基づいてもよい。地理的エリアメッセージを処理することは、警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定することを含むことができる。ユーザへの警報メッセージは、緊急警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内にある場合、又はある場合に限り、提示されてもよい。
【0033】
実施態様において、方法は、対象となる地理的エリアを避難するようユーザに指示することをさらに含むことができる。警報対応のデバイスは、たとえば、ユーザが対象となる地理的エリアを避難するための十分な時間を与える期間のような、あらかじめ選択された期間後に、警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内に引き続き残っている場合、ユーザに警告を提示することができる。方法は、さらに、又は代替として、避難経路と共に交通条件を評価すること、及び/又は、たとえば、1次避難経路が過度に交通渋滞している場合に、代替経路をとらせる指示をユーザに提示することを含むことができる。
【0034】
もう1つの実施態様において、方法は、警報対応のデバイスが、飛行中の航空機内にあるかどうかを決定することを含むことができる。警報対応のデバイスが、飛行中の航空機内にある場合、方法は、地上の人々に向けられた警報メッセージの提示をブロックすることを含むことができる。
【0035】
態様において、地理的に対象を絞った警報メッセージを通信する方法は、警報メッセージを選択すること及び/又は作成することと、地理的エリアメッセージを作成することと、警報メッセージ、地理的エリアメッセージ、又はその両方のメッセージに一意の識別子を割り当てることと、警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを送信することと、警報対応のデバイスによって警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージを受信することと、地理的エリアメッセージを処理することと、警報メッセージをユーザに提示することとを含むことができる。地理的エリアメッセージは、対象となる地理的エリアを表すことができる。地理的エリアメッセージは、たとえば、警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために処理されてもよい。警報メッセージは、たとえば警報対応のデバイスが対象となる地理的エリア内にある場合かつその場合に限り、条件に基づいてユーザに提示されてもよい。
【0036】
実施態様において、一意の識別子は、人々の異なるグループに関連付けられてもよい。警報メッセージは、対象となる地理的エリア内にいる人々のみが警報メッセージを受信するか又は提示されるように、グループの構成員に方向付けられてもよい。警報対応のデバイスは、受信した一意の識別子が警報対応のデバイスの特定のユーザ又は特定の警報対応のデバイスに関連付けられている場合に認識するように構成されてもよい。
【0037】
一部の実施態様において、警報メッセージは、デバイスが、あらかじめ選択された医療、商用、及び/又は企業情報を含む場合かつその場合に限り、提示されてもよい。加えて、又は代替として、警報メッセージは、デバイスが、あらかじめ定められた時間内にメッセージを受信する場合かつその場合に限り、提示されてもよい。実施態様において、警報メッセージは、複数の言語で、及び/又は1種以上のあらかじめ選択された言語で提示されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
添付の図面は、本発明の好ましい実施態様を説明する。しかし、これらの実施態様が、包括的であることも、また本発明を限定することも意図されていないことを理解されたい。これらの実施態様は、本発明が実践され得る一部の形態の例に過ぎない。
【0039】
図1】本発明のグラフィカル表現を示す図である。
図2】本発明の実施態様の特定の工程のグラフィカル表現である。
図3】本発明の実施態様の追加の工程のグラフィカル表現である。
図4】本発明の実施態様を示す流れ図である。
図5】本発明のもう1つの実施態様を示すブロック図である。
図6】EAEDの1つの実施態様を示す流れ図である。
図7A】EAEDの第2の実施態様を示す流れ図である。
図7B】EAEDの第2の実施態様を示す流れ図である。
図8】本発明の態様による電子デバイスを示すブロック図である。
図9A】本発明の態様による図8の電子デバイスの実施態様の正面図である。
図9B】本発明の態様による図8の電子デバイスの実施態様の正面図である。
図10】本発明の態様による図8の電子デバイスの実施態様の正面図である。
図11図11に示される緊急対応オペレータによって作成される例示的な緊急警報メッセージである。
図12A】電子デバイスに提示された例示的な緊急警報。
図12B】ハンドヘルドデバイスに提示された例示的な緊急警報。
図13A】電子デバイスに提示され得る例示的な緊急警報メッセージである。
図13B】ハンドヘルドデバイスに提示され得る例示的な緊急警報メッセージである。
図14】本発明の実施態様の例示的な描写である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
EAS10の主要な要素は、図1に概略的に示される。緊急警報送信センター12は、緊急警報メッセージ及び地理データを緊急オペレーションセンター(EOC)22から受信し、1つ以上の信号16を緊急システム衛星14に送信する。信号16は、対象となる地理的エリアに基づく地理的エリアメッセージ、及び対象となる地理的エリア内にいる人々に向けられている緊急警報メッセージに対応する。EOC22及び緊急警報送信センター12は、単一の施設であってもよいか、又は別個の施設であってもよい。好ましい実施態様において、緊急警報送信センター12は、別個の施設であり、異なる地理的エリアから多数のEOC22にサービスを提供する。たとえば、単一の緊急警報送信センター12は、多数の州、都市、又はその他のエリアからEOC22にサービスを提供することができる。緊急警報送信センターは、要求されるメッセージを緊急システム衛星14に送信するための1つ以上の送信機を有する。
【0041】
EAS10の主要な要素は、図1に概略的に示される。緊急警報送信センター12は、緊急警報メッセージ及び地理データを緊急オペレーションセンター(EOC)22から受信し、1つ以上の信号16を緊急システム衛星14に送信する。信号16は、対象となる地理的エリアに基づく地理的エリアメッセージ、及び対象となる地理的エリア内にいる人々に向けられている緊急警報メッセージに対応する。信号16はまた、時間及び日付情報のような追加情報、医療情報、並びに作業スケジュール、指示などのような企業情報を含むこともできる。EOC22及び緊急警報送信センター12は、単一の施設であってもよいか、又は別個の施設であってもよい。好ましい実施態様において、緊急警報送信センター12は、別個の施設であり、異なる地理的エリアから多数のEOC22にサービスを提供する。たとえば、単一の緊急警報送信センター12は、多数の州、都市、又はその他のエリアからEOC22にサービスを提供することができる。緊急警報送信センターは、要求されるメッセージを緊急システム衛星14に送信するための1つ以上の送信機を有する。
【0042】
本発明は、緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージの地球への再送信のために衛星14を使用して示されているが、これらのメッセージを送信するその他の手段が使用されてもよい。セルラーシステムは、米国及び世界の多くのその他の先進国の地理的エリアのほぼ全域に送信する機能をもたらす。緊急警報送信センター12は、衛星送信の代替として、又は衛星送信に加えて、セルラー送信を介して、緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信することができる。衛星送信の使用が好ましいが、本発明はこの点については限定されることはない。
【0043】
インターネットは、代替的な送信手段の例を提供する。緊急警報及び地理的エリアメッセージは、インターネットを介して、インターネット信号及びGPS信号の両方を受信することができるデバイスに送信されてもよい。この実施態様において、警報デバイスは、緊急メッセージ及び地理的エリアメッセージをインターネットを介して受信し、次いで地理的エリアメッセージをリアルタイムでデバイスのGPS位置データと比較する。GPSデータが、デバイスは対象となる地理的エリア内にあると指示する場合、緊急メッセージが送信される。この実施態様は、無線インターネット信号を受信する機能も有するGPS対応の携帯電話を持つ人々にとって、特に有用となり得る。そのような電話は、ますます一般に普及しつつあり、そのためこの実施態様は、すべてのメッセージ及びデータに衛星送信を使用するシステムに対するさらに実現可能な代替策となる。
【0044】
代替の送信手段の追加の例は、無線メッシュネットワーク(WMN)及びWi-Fiダイレクトを含むが、これらに限定されることはない。WMN及びWi-Fiダイレクトはいずれも、セルラーネットワーク又はインターネットを介してデバイスがメッセージを受信することを妨げる電源異常中に特に有用となり得る。Wi-Fiダイレクトは、デバイス間メッセージングを可能にするWi-Fi標準であり、デバイスが無線アクセスポイントを使用せずに相互に容易に接続できるようにするものである。WMNは、メッシュトポロジに編成された無線ノードで構成されている通信ネットワークである。無線メッシュネットワークは、メッシュクライアント、メッシュルータ、及びゲートウェイを備えることができる。メッシュクライアントは、多くの場合、ラップトップ、携帯電話、及びその他の無線デバイスであるが、メッシュルータは、インターネットに接続することができる(ただし必須ではない)ゲートウェイとの間でトラフィックを転送する。単一のネットワークとして機能している無線ノードのカバレッジエリアは、場合によっては「メッシュクラウド」と称されるものである。この「メッシュクラウド」へのアクセスは、相互に調和して機能し無線ネットワークを作成する無線ノードに依存している。メッシュネットワークは、信頼性が高く、冗長性をもたらす。1つのノードがもはや動作できなくなった場合、残りのノードは、直接、又は1つ以上の中間ノード経由で、引き続き相互に通信することができる。無線メッシュネットワークは、802.11、802.15、802.16、セルラー技術、又は2つ以上のタイプの組み合わせを含むさまざまな無線技術により実施されてもよい。地理座標及びその他のフィルタリング基準(たとえば、日付と時間、医療情報、企業情報など)と組み合わされたメッセージをWMN内のデバイスに送信することによって、メッセージは、「メッシュクラウド」全体にわたり送信されてもよい。メッセージが警報デバイスによって受信されると、デバイスは、メッセージがデバイス上に格納され得るフィルタリング基準を使用して表示されるべきかを決定する。
【0045】
本発明は、複数のEOC22の衛星送信タスクのすべてを処理する単一の緊急警報送信センター12と共に使用されてもよい。世界の至る所に配置されている既存のEOCがある。多くの地方行政機関(たとえば、州、郡又は行政区、及び市庁)は、そのようなEOCを運用する。これらのEOCには、衛星送信機能を有するものも、有していないものもある。すべてのEASメッセージを専用の緊急警報送信センター12経由でルーティングすることによって、多大なコスト節減が一般納税者にもたらされ得る。加えて、専用の緊急警報送信センター12を使用することで、競合するメッセージが異なるEOC22によって送信されないようにすることにより、システムの有効性を高めることができる。一方、各EOCが適切な衛星又はその他の送信システムと直接に通信し、相互に無関係に本発明を使用できる能力を備える複数のEOCを有することは、さらに望ましいものとなり得る。本発明のこの実施態様は、潜在的な障害点を分散して、システムを使用不可にする単一障害点のリスクを低減することになる。どの実施態様が最終的に好ましいものであるかは、システムが実施される時点における状況によって異なることがある。
【0046】
緊急システム衛星14は、1つ以上の信号18を地球に再送信して返し、これらの送信は緊急警報対応のデバイス(EAED)20によって受信される。上記で説明されているように、これらの信号18は、地理的エリアメッセージ及び緊急警報メッセージに対応する。EAEDは、図1に示されていないが、後段においてさらに詳細に説明される。
【0047】
図2及び図3は、本発明の好ましい実施態様の工程を示す。図2は、例示的な地理的区域の俯瞰図である。緊急事態がサイト30において発生し、EOC22(図2には図示せず)の現場の人員は、緊急警報メッセージが、図2においてブロックされた形で示されている、特定の対象となる地理的エリア32内のすべての人々に伝達されるべきであると決定した。対象となる地理的エリア32は、円形、半円形、長方形であってもよいか、又は手書きの図形を含む任意のその他の形状をとることができる。定義されている地理的エリアの全部又は一部を容易に拡大又は縮小するために、ハンドル又はその他の一般的なツールがオペレータによって使用されてもよい。EOCのオペレータは、どの地理的エリア32が緊急事態を通知されるべきであるかを決定する必要がある。
【0048】
図2に示されている仮説的な例において、化学施設において火災が発生し、火災現場の付近及び風下のエリアに有害な浮遊物質の危険性を生じるものとする。EOCのオペレータは、緊急事態及び危険性について通知される。次いで、オペレータは、すべての人々が警報メッセージを受信することが必要になる適切な地理的エリア32を決定する。このように、システムは、地理的に対象を絞った緊急警報メッセージを作成して送信する。関連する地理的エリア内の人々だけが、メッセージ送信の対象とされる。本発明を使用することで、オペレータは、警報エリアを定義するために地理マッピングソフトウェアを使用することができる。このプロセスは、電子市街地図、衛星画像、又は市街地図情報にオーバーレイされた結合衛星画像を使用することができる。オペレータはまた、事前定義された地理的エリア(たとえば、郡又は行政区、州など)のリストから選択して、警報エリアを定義することもできる。システムは、地理的に対象を絞った緊急警報メッセージを、いかなる時点でも(たとえば、即時、所定の又は選択されている時間間隔の後、キャンセルされるまでの所定の時間間隔において、所定の回数の所定の時間間隔において、又は指定された満了時間まで、など)送信することができる。
【0049】
本発明は、電子地図を使用することができるが、本発明は地図又はマッピングプロセスには依存しない。本発明は、実際の緯度及び経度の座標を使用して、対象となるエリアを定義し、特定のユーザの正確な位置を確立することができる。この手法は、正確で信頼性の高い位置情報をもたらす。地図は、古いものであるか、又はそうでなくとも不正確なものである場合もある。加えて、人々が地図上の無人のエリア(たとえば、湖上又は森林の中)に位置していることもあるが、本発明は、人々が緊急事態の対象となるエリア内にいる場合には、引き続きそれらの人々に到達することができるようにする。多くの従来技術のシステムは、ある程度、ハードコピー又は電子のいずれかの地図に依存しており、したがってこの点において本発明より劣っている。
【0050】
地理的エリアメッセージを生成するために、コンピュータ又は等価のデバイスが使用されてもよい。このメッセージは、特定の緊急事態の対象となる地理的エリアの電子表現(たとえば、アルゴリズムの形態をとる)を含む。図2に示されている地理的エリア32は、対象となる地理的エリアの例示である。地理的エリアメッセージは、地理的エリア32を定義する一連の数式を、対象となるエリア内にEAED20の実際の地理的位置があるかどうかを決定するためにEAED20のプロセッサが式を使用できるような方法で、含むことができる。
【0051】
この例において、EOCオペレータは、火災の南及び東の警報エリアを定義した。これは、図2の地理的エリア32により示される。この地理的エリアを表すデータは、緊急警報送信センター12に送信するために準備される。地理的エリアデータの処理は、当業者に知られているさまざまな方法で行われてもよい。
【0052】
本発明はまた、EOCステージにおいてその他の機能拡張又は特徴を含むことができる。たとえば、システムのEOC部分は、オペレータのアクセスを、EOCを操作するエンティティの管轄内の地理的区域のみに限定することができる。或いは、システムは、対象となるエリア内にあるが発信元EOCの管轄外である地理的区域のその他のEOCに、メッセージを直接送信することができる。これらの特徴は、シームレスな方法で実施されてもよく、オペレータがEOCの管轄を超えて拡大する対象となるエリアを定義する場合に自動的に生じてもよい。
【0053】
EOCオペレータによって使用される地図は、オペレータが対象となるエリアを迅速かつ正確に識別できるよう助けるための特定の詳細な情報を提供することができる。山のような地形上の特徴は、この目的で関連することがある。卓越風のパターンもまた、避難経路、人口統計、及び対象となる地理的エリアを定義する方法の決定に影響を与え得るその他のデータと共に提供されてもよい。システムはまた、オペレータに、定義されているエリアの物理サイズを提供することもできる。
【0054】
システムのEOCステージにおいて実施され得るもう1つの有用な特徴は、移動型の対象となるエリアの使用である。気象緊急事態は、そのような特徴が望ましいとされる場合の好例をもたらす。危険な気象系がエリアを移動する場合、定義されている対象となる地理的エリアは、気象系と共に移動すべきである。本発明は、オペレータが、時間の経過に伴ってそのエリアがどのように変化する可能性が高いかについての予測に基づいて、対象となるエリアの移動パターンを定義できるようにすることによってこのタスクを容易に達成することができる。オペレータはまた、実際の条件が根拠となる場合(たとえば、特定のエリアに到達する前に暴風雨が消散する)、予測されている移動をオーバーライドする機能を保持する。
【0055】
同様に、システムのマッピング機能は、オペレータに現在の予測される気象条件を提供することができ、そのような条件が対象となる地理的エリアの決定において考慮され得るようにする。たとえ移動中の対象となるエリアが使用されない場合であっても、気象条件がどのようであるか、及び近い将来どのようになるかを知ることは役立つことが多い。適例は、危険な気体の放出を引き起こす事故が考えられる。現在の風の条件は、そのような緊急事態の対象となるエリアを定義する際に最も重要な要因となり得る。
【0056】
緊急システム衛星14との間で送受信される必要のあるメッセージのサイズを制限するような方法で、地理的エリアデータをエンコードすることが望ましい。データ量が大きくなれば、衛星14及びEAED20ではさらに多くのメモリリソースが必要となる。加えて、送信のサイズが大きくなれば、それに応じて送信にもより長い時間を要することになる。その時間差は、システムの応答時間に顕著な遅延をもたらす可能性は低いが、長い衛星送信は、より短時間の送信に比べて干渉又は中断の影響を受けやすい。加えて、最終的にメッセージを受信するデバイスは、大量の内部メモリを備えていない場合もあり、本発明と共に使用され得るメッセージのサイズを制限する可能性も高い。以上の理由により、地理的エリアメッセージのサイズを制限することが望ましい。
【0057】
地理的エリアデータは、送信されるデータのサイズを縮小するために圧縮されてもよい。そのようなデータ圧縮は、任意の適切な方法で行われてもよい。多くのタイプのデジタルデータ圧縮が当業者には知られており、本発明の目的にとって特定の方法が他の方法よりも優れていることが確認されているわけではない。操作上の一貫性を保つために、単一のデータ圧縮方式がすべてのEASオペレータによって採用され、使用されることが極めて好ましい。
【0058】
圧縮された地理的エリアメッセージは、緊急システム衛星14に送信され、次いでEAED20に再送信される。好ましい実施態様において、EAEDは、地理的エリアメッセージを圧縮解除することができる。複数のタイプのデータ圧縮を認識して圧縮解除するようEAED20をプログラムする必要をなくすため、この場合も同様に、単一のデータ圧縮方式がすべてのEASオペレータによって採用され、使用されることが極めて好ましい。データ圧縮は、EOC22によってではなく、緊急警報送信センター12によって実行される可能性があるので、少数の専用の緊急警報送信センター12を使用することで、この目的達成が容易になる。
【0059】
緊急システム衛星14は、一定期間にわたり地球への再送信の繰り返しのために、受信した緊急警報メッセージ及び地理的データメッセージを格納することができる。これは、対象となる地理的エリア内のEAED20が必要とされるメッセージを実際に受信する可能性を高めることによって、システムの有効性を改善することができる。衛星14はまた、複数のメッセージを同時に受信及び送信することができてもよい。
【0060】
加えて、衛星14は、再送信する前にメッセージのフォーマットを改変することができるか、データ圧縮を変更若しくは解除することができるか、又は緊急警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージのデジタル特性にその他の変更を行うこともできる。これらのタイプの変更はすべて、本発明の範囲内に含まれ、引き続き、衛星14によるメッセージの再送信の構成要素となる。同じメッセージコンテンツ(つまり、エリア、及び同じ対象となる地理的エリアから避難するための、たとえば同じ緊急警報メッセージ)が衛星14によって地球に送信される限り、そのような送信は、緊急警報送信センター12から衛星14に送信された同じメッセージの再送信と見なされる。
【0061】
好ましい発明のもう1つの実施態様において、EOC22は、非デジタルの地理的エリア情報を緊急警報送信センター12に提供し、ここで地理的エリア情報は続いてデジタル化されて圧縮される。たとえば、EOCは、警報エリアの口頭又は文書による説明を、緊急警報送信センター12に提供することができる。次いで、緊急警報送信センター12のオペレータは、マッピングソフトウェアを使用して地理的警報エリアを定義することができ、したがって対象となる地理的エリアは、緊急システム衛星14への送信準備が整った、適切なデジタルの、圧縮された、地理的エリアメッセージ信号となる。
【0062】
対象となる地理的エリアの形状は、地理的エリアデータパケットのサイズに重大な影響を及ぼすことがある。円形状は、デジタル処理で容易に定義することができ、比較的小さいファイルサイズをもたらす。一方、多数の長方形部分を持つ複雑な形状は、デジタル処理で定義するのは極めて難しくなり、結果として非常に大きいファイルサイズをもたらす可能性がある。一部の例において、地理的エリア全体をさらに容易に定義されるエリアに分解して、地理的エリア及び警報メッセージの複数のセットを送信することが好ましい場合もある。このタイプの変形、及びEASの信頼性の高い操作を容易にするよう意図されたその他の変形は、本発明の範囲内に含まれる。
【0063】
図3は、本発明の好ましい実施態様の方法の次の概略的工程を表す。この図面は、緊急警報メッセージ選択プロセス34を示す。図3に示されている例において、オペレータは、特定の標準化警報メッセージ(たとえば、適所に避難また退避する)から選択することができるか、又はカスタムメッセージを作成することができる。加えて、本発明は、テキスト、オーディオ、グラフィックス(たとえば、写真、シンボル、又はアイコン)、ビデオ、又はこれらの伝達方法の任意の組み合わせの警報メッセージを企図する。たとえば、警報は、テキストメッセージ、同じメッセージ又はより詳細なメッセージのオーディオバージョン、並びに警報エリア及び安全エリアの地図を示すビデオ表現で構成されてもよい。
【0064】
緊急警報メッセージは、図3に示されているように、プルダウンメニュー36を備えるコンピュータソフトウェアを使用して生成されてもよい。緊急警報メッセージを生成するその他の手段は、事前選択されているメッセージを表すコードを使用すること、及びコードを、実際の電子メッセージが作成され得る緊急警報送信センター12に通信することを含むことができる。同様に、EOC22のオペレータは、緊急警報メッセージで緊急警報送信センター12を呼び出すことができるか、又は電子メール若しくはその他の通信手段が使用されてもよい。
【0065】
警報メッセージは、警報よりも多くのものを含むことができる。たとえば、各警報メッセージは、メッセージを識別する一意の通し番号を含むことができる。これにより、EOC、衛星、及びEAEDは、異なるメッセージを識別して区別することができるようになる。この機能を使用して、ユーザが繰り返される警報を受信することなく、システムが同じ警報を多数回再送信できるようにすることができる。ユーザのEAEDが、通し番号又はその他の一意の識別子によって、メッセージがすでに提示済みであることを認識する場合、EAEDは、その同じメッセージを繰り返し提示し続けることをしない。検証又は認証情報もまた、衛星が有効な真正の警報メッセージのみをEAEDに再送信することを保証するために、警報メッセージと共に含まれてもよい。エラーコーディングもまた、破損したメッセージが受信されたときに衛星が検出できるようにするため含まれてもよい。
【0066】
システムはまた、EOC操作が、警報メッセージを即時、後に、所定の時間に送信できるようにするか、又は一定の期間にわたり定期的に(たとえば、1時間につき5分ごとに)同じメッセージを再送信できるようにしてもよい。EAEDは、受信した警報デバイスを指定された時間にわたり格納することができ、EAEDが対象となる地理的エリアに入る場合にそのようなメッセージが提供され得るようになっているため、その後の実施は本発明では頻繁には必要とはならない。たとえば、ユーザのEAEDが警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信するが、ユーザは現在対象となる地理的エリアの外にいる場合、EAEDは警報をユーザに提供しない。しかし、警報メッセージが、1時間にわたり保存されるべきであることを指示するタグを有する場合、ユーザは、警報メッセージの受信後1時間以内に対象となる地理的エリアに入るかどうか通知される。この機能は、同じ警報メッセージを繰り返して再送信する必要を軽減する。この機能はまた、ユーザが、対象となるエリアに入ると、即時に、又はほぼ即時に、関連する警報を確実に受信できるようにする。
【0067】
システムは、複数の言語で緊急警報を提供することができてもよい。EAEDは、オペレータに、言語を選択するオプションを提供することができる。また、EAEDに、聴覚障害者及び視覚障害者向けに警報を伝達する機能を提供することが望ましい場合もある。ビジュアルディスプレイ及びSpeech to Text技術は、聴覚障害のあるユーザが緊急警報を確実に受信できるようにするために使用されてもよい。可聴式警報は、視覚障害のあるユーザによって選択されてもよい。Text to Speech技術は、この目的で使用されてもよい。ユーザによって持ち運ばれるEAEDのバイブレーションシステムは、警報メッセージが受信されたことをユーザに通知するために使用されてもよい。
【0068】
もう1つの実施態様において、システムは、オペレータが、新たに作成された警報メッセージを保存できるようにして、将来メッセージに素早くアクセスできるようにする。Speech to Text技術の使用は、警報メッセージ下書きの印刷コピーを提供するために使用されてもよく、そうすることで送信前にメッセージのより効率的なレビューを行えるようにする。逆に、Text to Speech技術は、テキストメッセージに加えて口頭の警報メッセージを提供するために、システムのEOCステージにおいて使用されてもよい。
【0069】
システムのEOC部分は、送信されたすべてのメッセージをログに入れて、すべてのデータ(警報及び地理的部分の両方)を保存することができる。どの警報が発行されたか、どこに警報が向けられたか、及びいつ警報が送信されたかを示すレポートが印刷されてもよい。これらの機能は、EOCにおけるトレーニング及び改善を高めることができる。
【0070】
EOC又は警報送信センターは、別個の施設である場合、警報メッセージが送信される前に、衛星との認証通信を実行することができる。あらかじめリンクアップを認証することにより、衛星は、警報メッセージをさらに迅速に受信して再送信することができるようになる。一般に、本発明のシステム及び方法を使用して送信される警報は、対象となる地理的エリア内のすべてのEAEDに受信されるまでにかかる時間を120秒(つまり2分)以内とするべきである。これは、既存のシステムよりもはるかに迅速であり、はるかに多くの割合の一般大衆に到達する機能をもたらす。
【0071】
好ましい実施態様において、地理的エリアメッセージ及び緊急警報メッセージは、単一のパケットに結合されない場合、何らかの方法でリンクされる。衛星に送信されるすべてのデータが圧縮済みの形態で送信されるように、両方のメッセージは、圧縮されてもよい。2つのメッセージは、相互に関連しており、メッセージのペアとして、又は一部の実施態様においては単一の複合メッセージの2つの部分として、送信及び再送信される。これらの変形は、本発明から逸脱することはない。1つの好ましい実施態様において、これらのメッセージは、EASで使用される任意のデバイスによって2つのメッセージが相互に正相関となるようにする相互参照データによってリンクされる。たとえば、送信機、衛星、及びEAEDはすべて、リンクされた緊急警報及び地理的エリアメッセージのペアを認識することができる。
【0072】
これ以降、図4を参照して、流れ図40が提示される。この図は、本発明の好ましい実施態様の工程を示す。示されている第1の工程は、緊急時担当者によって、一般大衆の一部が緊急事態を通知されるべきであると決定されること42である。この決定が行われると、オペレータは、コンピュータソフトウェアを使用して適切な緊急警報エリアを定義する44。次いで、適切な緊急警報メッセージが、オペレータによって選択されるか、又は作成される46。地理的警報エリアは、地理的エリア信号の数値アルゴリズムに変換される48。地理データは、この工程の一部として圧縮されてもよいか、又は追加のデータ圧縮工程(図4には図示せず)が使用されてもよい。
【0073】
このシステム及び方法は、対象となる地理的エリア内のすべての人々に警報を出すために使用され得るか、又は特定のグループのみに警報を送信するために使用されてもよい。EAEDは、デバイスのユーザ又はユーザが属するグループに関連付けられている一意の識別子を認識するようにプログラムされてもよい。本発明を使用して送信される警報メッセージは、そのような一意の識別子を使用して、対象を絞ったメッセージを受信する人々又はグループを選び出すことができる。この一意の識別子の使用は、メッセージ認証又は破損に関連する使用の代替、又は追加であってもよい。後者の使用については、この明細書の上記の部分において説明されている。
【0074】
本明細書において説明されるシステム及び方法の構成は、地理的エリア及びその地理的エリア内の人々の特定のグループに限定されるメッセージを伴う。たとえば、特定の区域内のすべての緊急時対応要員に警報を出す必要がある場合、本発明はそれを行うことができる。適切な警報メッセージ及び地理的エリアメッセージが作成され、追加の一意の識別子(すべての緊急時対応要員に関連付けられているが、その他のグループには関連付けられていない識別子)が、これらのメッセージの1つ又は両方にリンクされる。一意の識別子は、メッセージと共に送信され、EAEDによって受信される。識別子の要件を満たすこれらのEAEDのみが、警報を送信する。
【0075】
さらに具体的には、特定の州によってその州軍を動員すると決定することを検討する。適切な警報メッセージは、たとえば「さらなる命令については州軍基地に指示を仰ぐ(Report to your National Guard post for further orders)」というように準備されてもよい。この例における地理的エリアメッセージは、州による州軍の招集に限定されてもよいか、又は米国のすべてをカバーすることもある。動員が命じられるときに一部の州兵が州の外部にいる可能性を考慮すれば、後者のオプションが望ましいと考えられる。最後に、動員する州の州軍の州兵に関連付けられている一意の識別子は、警報メッセージ、地理的エリアメッセージ、又はその両方に追加されるか、又はリンクされる。
【0076】
州軍の州兵によって使用されるEAEDは、州軍に関連付けられている一意の識別子を認識するようにプログラムされ、エリア要件及び識別要件と適合する受信されたすべてのメッセージを提示する。多くの人々がさまざまなグループの構成員である可能性があるので、多数のEAEDは複数の一意の識別子を認識するようにプログラムされることが予想される。この構成は、比較的実施しやすく、EAEDにおいて複数の一意の識別子を使用することは、デバイスのメモリ又は処理容量に負担を負わせることにはならない。
【0077】
もう1つの例として、西部の州における森林火災を検討する。米国西部には、大規模な森林火災が発生した場合に支援する訓練を受けた多数のボランティアの消防士がいる。本発明は、森林火災から一定の距離の範囲内にいるすべてのそのような消防士に到達するために使用されてもよい。この例において、本発明の地理的な対象絞り込み及び識別の絞り込みが組み合わされる。さらに、本発明は、関連するグループのすべての構成員へのメッセージの迅速な配布を可能にする。
【0078】
この機能を実施するために、重要なグループの構成員は、各自のEAEDが適正にプログラムされていることを確認する必要がある。これは、そのような人々の訓練中、認定中、又は認可中に行われてもよい。システムの定期テストがあってもよく、各グループの構成員はテストメッセージの受信を確認するために応答するよう指導される。
【0079】
上記で説明されているような、識別ベースの、地理的に対象を絞った警報メッセージを使用する機能は、多大な柔軟性をもたらす。たとえば、ある状況においては、ユーザ、又はユーザのグループは、このサービスをオプトイン又はオプトアウトできるようにされてもよい。別の状況においては、サービスは、特定のユーザ又はユーザのグループに対して必須であってもよい。警報の優先順位はまた、ユーザが遅延型メッセージ提示をオプトイン、オプトアウト、又は選択できるようにする根拠として使用されてもよい。後者のオプションは、ユーザが、都合のよいときに低い優先順位のメッセージをレビューして、そのようなメッセージを他の活動に割り込ませずにすむようにすることができる。
【0080】
組み合わせは基本的に無限であり、特定のグループ又はユーザごとのニーズに合わせて調整されてもよい。特定のグループへのリアルタイムの地理的に対象を絞った警報の組み合わせは、多くの状況において有利となり得る。これは、前述の例におけるように、予備役の招集、又はすべての緊急時対応要員に連絡をとる取り組みにおいて役立つ場合がある。技術はまた、地理的及び人口統計学的に対象を絞ったリアルタイムマーケティングのような、商用アプリケーションを有することもある。この機能は、特定の区域内のすべての選挙運動員に連絡を取るために、政治運動において使用されてもよい。しかし、この技術の商用アプリケーションは、システムの緊急警報の目的の次に位置付けられるべきである。
【0081】
コンピュータは、対象となる地理的エリアをデジタル処理でエンコードするために使用されてもよい。現在、地理的マッピングアルゴリズムの標準フォーマットは存在しないので、本発明は、地理データのいかなる特定のフォーマットタイプにも限定されることはない。コンピュータソフトウェアは、対象となる地理的エリアのデジタル処理表現を作成するために使用されてもよい。このデジタルファイルは、衛星に送信され、続いてEAED20に再送信される地理的エリアメッセージの一部、又はおそらく全部となる。
【0082】
警報及び地理データはまた、インターネットを介して一部のEAEDに送信されてもよい。この送信方法は、GPS対応のスマートフォン、ラップトップコンピュータ、又はネットブックコンピュータを使用する人々に特に適している可能性もあり、これらの機器はすべて無線インターネットサービスにアクセスできることが多い。そのような製品内にEAEDを組み込むことで、警報及び地理的メッセージは、無線インターネット信号を介して受信されてもよく、リアルタイムGPSデータは、デバイスが対象となるエリア内にあるかどうかを決定するために使用される。
【0083】
適切な警報メッセージ信号及び地理的エリアメッセージ信号が準備されると、情報のそれらの2つのセットは、1つ以上の衛星に送信される50。次いで、衛星は、緊急メッセージ信号及び地理的エリアメッセージ信号を、選択されている区域にブロードキャストする52。これらのブロードキャストは、対象となる地理的エリア全体がブロードキャストによって完全にカバーされるようにするため、緊急システムオペレータによって選択されているよりもはるかに広大な地理的区域をカバーすることになる。たとえば、緊急警報エリアがテキサス州ヒューストンの一部を含む場合、衛星送信は、北米全体のユーザに到達することもある。世界の他の地域にブロードキャストするその他の衛星は、この例においては使用されない。しかし、冗長性をもたらすことで本発明の有効性を高めるために、2つ以上の衛星の使用が望ましい場合もあることが予想される。
【0084】
次いで、EAED20は、警報メッセージ信号及び地理的エリアメッセージ信号の衛星送信を受信する54。EAED20は、着信メッセージが真正であることを確認するために認証プロセスを使用することができる。これらの2つの信号が受信され認証されると、EAED20は、地理的エリアメッセージを評価し、そのメッセージに含まれている地理データをEAEDの現在の地理的位置と比較する56。EAED20は、その地理的位置を修正するためのさまざまな手段を使用することができるが、好ましい手段は、全地球測位システムつまりGPSを使用することである。これについては、後段においてさらに詳細に説明される。次いで、EAED20は、決定工程を実行する。ここでは、EAED20が対象となる地理的エリア内にあるかどうかをたずねる58。
【0085】
EAED20が対象となるエリアの外にある場合、プロセスは終了する60。しかし、EAED20が対象となる地理的エリア内にある場合、EAEDは緊急警報メッセージを提示する62。次いで、EAED20は、ユーザによる要求に応じて繰り返し再生を行うためにメッセージを保存する64。メッセージは、メッセージを受信すべきユーザがいない場合であっても提示される。提示の手段は、EAED及び/又はそのホストデバイスによって使用されるインターフェイスに応じて異なっている。警報が特定の人々(たとえば、すべての警察官、又はすべての予備役)に限定されている場合、そのような人々によって使用されているEAED20のみが警報メッセージを提示することになる。
【0086】
最も好ましい実施態様において、EAED20は、ホストデバイス内に組み込まれる。EAED20が警報メッセージを配信する必要がある場合62、ホストデバイスは、メッセージをユーザに提示するために使用されてもよい。ホストデバイスが何らかの他の目的で使用中である場合、EAED20は、緊急警報メッセージが配信されるように、ホストデバイスの現在の操作をオーバーライドする。警報メッセージが配信されるべきであるとEAED20が決定するときに、ホストデバイスが電源オフである場合62、EAED20は、ホストデバイスを電源オンにしてメッセージを配信する。ホストデバイスは、警報メッセージが配信された後に、再度電源オフにされてもよい。
【0087】
EAEDデバイスは、各自の位置を決定する機能を求める必要はない。むしろ、EAEDは、たとえばブルートゥース、Wi-Fi、又はその他の媒体を介して、その他のデバイスと通信するように構成されてもよい。そのような通信は、たとえば、EAEDが、テザリングされているか、又は位置情報を提供できるハンドヘルドデバイス、ラップトップ、ネットブック、パッド、自動車などに接近しているかどうかなど、位置的な認識をもたらすことができる。現在の位置は、地理位置区別の目的で定期的に格納されてもよい。住宅用警報システム、デスクトップ、エンタテイメントデバイス、及びその他の家庭用電化製品のような、不動の機器の場合、半永久的な情報は初期設置時に設定されることが多く、そのような情報はEAEDのおおよその位置を決定するためにEAEDによって使用されてもよい。電気器具又はホームエレクトロニクスのような、一部の不動の機器については、「現在位置をチェックする」プロセスは、たとえば毎月、四半期ごと、毎年、又は必要に応じてその他の時間間隔で、定期的に行われてもよい。EAEDは、そのような位置情報にアクセスするように構成されてもよい。
【0088】
位置及び/又は状況的な認識はまた、無人機のような、航空機から取得されてもよい。ドローンの使用は劇的な増加を遂げており、成長の継続を妨げる制約は現在ほとんど存在しない。たとえば、連邦航空局(FAA)では従来、高度500フィート未満で運行する無人機に関与してこなかった、またレーダーは、たとえば1500フィート未満の低高度の有効性を限定することもできた。EAEDは、そのような空域で動作するドローンと通信するために使用されて、ドローンオペレータの状況的な認識を高めることもできる。たとえば、図14に示されているように、航空機147は、他の航空機に自身の存在について警報を出すポイントツーマルチポイントの単方向ブロードキャストを送信する機能を備えることができる。そのエリアの他の航空機は、状況的な認識を高めるためにメッセージを受信することができる。加えて、ドローンが対象となる警報エリアにある場合、ドローンは警報情報をドローンオペレータ148に通信することができる。通信された警報は、たとえば、ドローンオペレータのリモートコントローラ内の受信デバイスによって受信されてもよい、及び/又は携帯電話のような、オペレータのモバイルデバイスによって受信されてもよい。クラスEの制御空域又は制限空域のような、その他の空域において航空機はまた、たとえば、地上、航空機、及び/又は衛星ベースの通信システムのような、ポイントツーマルチポイントの単方向ブロードキャストを使用するEAEDを組み込んで、対象となる警報エリアの警報メッセージ及び/又は地理座標を含むデータパケットを配信することができる。航空機は、ブロードキャスト送信を受信して、その位置を警報エリアの位置と比較する機能を備えることができる。たとえば、航空機が警報エリアにある場合、航空機はそのようなメッセージをオペレータに通信することができる。たとえば、通信は、車載システムから、及び/又は、たとえばブルートゥース又は同様の通信を介して、オペレータのモバイルデバイスへの無線送信を介して、オペレータによって受信されてもよい。図14に示されているように、そのような無線構成は、自動車及び/又は航空機のような、任意のEAEDが実施された車両システムにおいて使用されてもよい。
【0089】
EAEDは、たとえばメッセージ区別の目的でウェアラブル技術から収集されたユーザに関するデータを使用するように構成されてもよい。情報は、健康関連、環境関連、又はその他であってもよい。EAEDは、一意のユーザ識別子を有するユーザによって着用されるか、携帯されるか、又はユーザ内に埋め込まれているデバイス内で実施されてもよい。EAEDは、人間同士又は人間とコンピュータ間のインタラクションを必要とすることなく、ネットワークを介してデータを転送するように構成されてもよい。EAEDは、そのようなデータを自律的に、又は半自律的に取得及び/又は送信することができる。
【0090】
警報メッセージが配信されるか62又は配信されないか60にかかわらず、EAED20は、先行工程を実行した後に準備モードに戻る66。実際に、EAED20は、常時メッセージを受信する準備ができており、好ましい実施態様において、他のメッセージが処理されている間に着信メッセージを保留するためのバッファ又はキューを有する。特定のEAED20が非常に短期間の間に多数のメッセージを受信する可能性があるので、これは場合によっては重要である。本発明は、このことを考慮に入れ、ユーザに配信される必要のあるすべての警報メッセージが確実に配信されるようにする。実際には、EAED20が多数の警報メッセージ/地理的メッセージのペアを処理するために要する時間は、わずか数秒ほどである。
【0091】
EAED20は、デバイスが屋内にあるとき、多数の高層ビルがある混雑した市街エリア(つまりいわゆる「アーバンキャニオン」)にあるとき、及びあらゆるタイプの気象において、警報を受信することができるべきである。好ましくは、EAEDは、これらのすべての設定にGPSと警報メッセージの両方を取得することができるが、リアルタイムGPS信号が使用可能ではない場合には、EAEDが引き続きすべての警報メッセージを受信できるようにすることが重要である。望ましくはないが、この起こり得る状況が生じた場合、EAEDは、最後の信頼できるGPS位置データを使用して、デバイスが対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定することになる。
【0092】
EAED20によって使用されるハードウェア又はファームウェアは、アップグレード可能であるべきである。この機能により、ユーザは、ファームウェアを最新バージョンにアップデートして、提供されるサービスを充実させることができる。この機能はまた、各EAEDの耐用年数サイクルを延長する。
【0093】
好ましい実施態様において、EAEDは、デバイスが対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために2工程のプロセスを使用する。工程1は、デバイスが対象となる地理的エリアを含む広範な区域内にあるかどうかを決定するための、大まかなチェック、つまり非常に迅速に、最小のプロセッサ使用で実行され得るチェックである。この大まかなチェックは、精密な位置修正に必要とされる位置パラメータよりも正確さが劣る位置パラメータを使用する粗雑なチェックである。しかし、このチェックは、極めて簡単にしかも素早く行うことができる。この工程を含めることによって、膨大数の緊急警報対応のデバイスが、対象となるエリアから素早く除外されて、それらのデバイスがさらに具体的な位置データの不要な処理を実行しなくてすむようになる。
【0094】
工程1が、デバイスは対象となるエリアの少なくとも近い場所にあることを指示する場合、工程2は、デバイスが実際に対象となるエリア内にあるかどうかを決定するためのリアルタイムGPS位置の正確なチェックとなる。この手法により、デバイスは、リモートエリアに向けられているメッセージを迅速かつ効率的に除去することができる。
【0095】
この2工程のプロセスの例は、概念を説明する上で役立つ。米国中央部の州であるカンザス州の3つの郡を含む対象となる地理的エリアを検討する。上記で説明されているプロセスの工程1は、緊急警報対応のデバイスが、米国中央部全体を包含する経度及び緯度座標の範囲内にあるかどうかを決定することができる。或いは、工程1は、緊急警報対応のデバイスの最新GPS修正の経度及び緯度の最初の桁の数字を、対象となる地理的エリアの座標と比較することができる。これらの粗雑な最初のチェックは、対象となる地理的エリアから遠く離れている緊急警報対応のデバイスを選別して除くために使用されてもよい。
【0096】
多種多様な警報のタイプが使用されてもよい。たとえば、警報は優先順位付けされてもよく、最高レベルは生命にかかわる事態に相応し;レベル2は甚大な物的損害向け;レベル3は交通警報向け;レベル4はアンバー/シルバー警報、高優先順位カテゴリには入らない気象警報、及びその他の重大度の低い状況向けに予約されてもよい。或いは、警報は、アメリカ合衆国国土安全保障省によって開発された色分けされた警報システムにリンクされてもよい。警報カテゴリ及び優先順位は、関連する運用当局によって設定されてもよい。
【0097】
以前受信した警報及び地理的エリアメッセージを格納する機能と組み合わされたリアルタイムGPS情報の使用は、その他の技術を使用することでは使用可能とならないもう1つの重要な機能をもたらす。本発明は、警報メッセージが送信されたときに警報エリアの外にいたが、警報が引き続き有効な間に警報エリアに入るユーザに、関連する警報を提供することができる。EAEDは移動中であることを認識すると、時間の経過に伴う自身のGPS位置を、アクティブな警報の対象となるすべての地理的エリアと比較することができる。そのようにすることで、EAEDは、ユーザが対象となる地理的エリアに入ったときに認識して、関連する警報メッセージを提供する。
【0098】
逆もまた可能である。つまり、移動中の人が対象となる地理的エリアを去るとき、EAEDは、このことを認識して、対象となるエリアの警報メッセージをトリガーするのをやめる。この機能は、本発明の実用性を大幅に高める。これは、過大包摂の緊急メッセージ提示を低減し、過小包摂の提示も回避する。本発明は、動的ベースで対象となる地理的エリア内のすべての人々に通知する機能を有する。
【0099】
この機能をさらに発展させると、EAEDは移動中のユーザに、ユーザが警報エリアに到達しつつあることを、エリアに入ってしまう前に通知するようにプログラムされてもよい。人が警報エリアにさらに近付くと、さらに阻止する警報が使用されてもよい。一方、人が警報エリアを離れつつある場合、EAEDは、ユーザが警報エリアから出たばかりであり、危険を脱したことをユーザに通知するようにプログラムされてもよい。この機能は、警報エリアが移動している場合、EAED(つまり、ユーザ)が移動している場合、又はその両方の場合に使用されてもよい。
【0100】
たとえば、暴風雨の予測経路に基づくハリケーン避難命令を検討する。暴風雨が移動すると、警報エリアが変化する可能性がある。人がそのエリアから避難すると、その人のEAEDもまた移動する。本発明は、人の位置の変化及び暴風警報エリアの変化に基づいて更新された情報をユーザに提供することができる。これは、ユーザが避難区域を離れたことを認識できるようにするだけではなく、誤った方向に避難している恐れのある人々に通知することもできる。これは、暴風雨が向きを変えた方向に向かってユーザが移動している場合に行われる。本発明は、現在ユーザが移動中の方向と同じか又はほぼ同じ方向に暴風警報エリアが移行したことをこのユーザに通知するために使用されてもよい。このタイプの警報は、そのようなユーザに別の避難経路をとるよう警告する。本発明のこれらのタイプの動的機能は、その他の技術によっては実現できない。
【0101】
本発明の動的機能はまた、ユーザが移動しているとき、及び使用している手段を決定するために使用されてもよい。EAEDが高速で(たとえば、時速150マイルよりも速く)移動している場合、デバイスは、ユーザが飛行していることを確認できてもよい。EAEDが、路上にあり移動している場合、ユーザは、自動車内にいると想定されてもよい。この追加情報は、特定の警報がそのようなユーザに提供されるべきかどうかを決定するために使用されてもよい。
【0102】
警報解除メッセージも使用されることがある。そのようなメッセージは、脅威が去ったことを通知するために、以前対象となったエリア内のすべての人々に送信される。同様に、脅威レベルが変化(増加又は低下)する場合、そのような変化は、関連する地理的エリア内のすべての人々に容易かつ効率的に送信され得る。本発明は、警報解除メッセージが、前の警報メッセージを受信したユーザのみに提示されるように構成されてもよい。
【0103】
EAED20が携帯電話内に組み込まれている場合、着信警報は、着信コールとして処理されて、多くのそのような電話で提供されているコールウェイティング及び発信者番号通知機能をトリガーすることができる。或いは、ユーザが、警報が受信された時点で電話をかけているか通話中である場合、本発明は、ユーザの通話を遮るか又はオーバーライドすることなく、一部のタイプの警告を提供するように構成されてもよい。この機能は、着信警報が高い優先順位である場合に限り使用されてもよく、たとえばEAEDが、ユーザへの瞬時可聴警告信号、高い優先順位の緊急警報メッセージが受信されたという表示、又は高い優先順位の警報がユーザの通話をオーバーライドせずに受信されたことをユーザに同時に通知する任意のその他の手段を提示する場合である。この機能を備えた電話では、着信警報は、進行中の通話を中断することなくテキストメッセージとして表示されてもよい。
【0104】
すべてのEAEDは、たとえホストデバイスが電源オフであっても、メッセージを受信することができる。それにより、どの警報も決して見逃されないようになっている。ホストが電源オフ時に関連する警報が受信される場合、ホストは電源オンに切り替えられて警報メッセージはユーザに提示される。又は、ホストデバイスが異なるモードにあった場合(たとえば、カーステレオでCDを再生中、又は携帯電話でMP3音楽ファイルを再生中)、ホストは警報表示モードに変更されて、警報が提示される。警報メッセージが提示された後、ホストデバイスは、再度電源オフにされるか、又はその以前の操作モードに戻されてもよい。この機能は、高い優先順位の警報メッセージ、又はユーザによって選択されたその他のタイプのメッセージ(たとえば、交通警報)にのみ限定されてもよい。同様に、特定の低い優先順位の警報は、ユーザが覚醒していると予想される時間中に限り提示されてもよい。多くのユーザは、午前3時に起こされて、近所の高速道路で事故があったことを通知されることを望むはずもない、ただし言うまでもなく、その事故が危険な薬品を放出させ、大火災を引き起こし、その他のさらに重大な結果をまねいた場合は例外である。
【0105】
一様の警報音は、ユーザが警告信号を聞き慣れるようにするために使用されてもよい。異なるカテゴリの警報を識別するために、いくつかの異なる明らかに別個の音が使用されてもよい。EAEDは、定期的なシステムテストに参加することを要求されるべきである。この操作は、EAED及び全システムの適正な操作を保証するために重要である。
【0106】
本発明は、緊急警報システムとして最高の有用性を備えるものと期待されるが、その他の商用アプリケーションも有する。(サイズの小さい)商用データは、特定のエリア内のユーザに送信されてもよい。ユーザのEAEDが一意の識別コードで事前設定されている場合、商用メッセージは、特定のエリア内の特定タイプのユーザに対象を絞ることができる。この機能は、高度に対象を絞った広告に使用され得るが、その使用は、緊急警報システムとしてのシステムの有効性を低減するようなものであってはならない。
【0107】
本発明はまた、ユーザが特定のニュース又は情報フィード若しくはサービスをサブスクライブできるようにするために使用されてもよい。ニュース速報、株式市場情報、スポーツ試合結果、及び他のそのような情報は、本発明を使用して提供されてもよい。本発明は、デバイスが特定の速度範囲(たとえば、自動車で通常使用される速度の範囲)内で移動中の場合、そのようなサービスを使用不可にすることができる。
【0108】
クラブ、グループ、及び従業員は、本発明を使用して、特定のエリア内のすべての人々と連絡を取ることができる。たとえば、大規模な雇用者は、悪天候条件のため出社すべきではないことを特定区域内の全従業員に助言することができる。
【0109】
学校では、この特徴を使用して、休校日について父母及び生徒に通知することができる。たとえ政治家候補及び政治運動であっても、本発明を使用して、特定のエリア内の有権者を、そのようなエリアに合わせたメッセージで目標に定めることができる。又は、特定のエリア内の運動員は、特定のプロジェクトに取り組む必要性について忠告を受けることができる。
【0110】
EAED20のブロック図は、図5に示される。ブロックは、地理的位置モジュール72、衛星メッセージ受信機74、緊急警報メッセージインターフェイス76、及びデータプロセッサ78を表す。好ましい実施態様における地理的位置モジュール72は、高感度のGPS受信機である。EAED20は、常時電源オン状態である必要があり、たとえユーザが屋内又は生い茂った木の下にいる場合でも地理的位置を修正できなければならないので、極めて高感度の極めて電力消費の低いGPS受信機が必要とされている。
【0111】
これらの要件を満足するGPS受信機は、さまざまな供給元から入手することができる。良好に機能したモデルの1つは、GPS技術を専門とするドイツの会社u−blox製のものである。u−bloxは、多種多様なGPS受信機を製造し、並外れて感度の優れた受信機を開発した。GPS衛星は継続的に送信する必要があり、この理由から、これらの衛星は非常に低い電力レベルで送信する。これは、過去にGPS受信機に関する受信の問題を引き起こした。多くのGPSユニットは、ユニットが車両内、茂った木陰、又は屋内にあるときに、信号を失ってしまう。加えて、多くのGPSユニットは、位置を取得するのに時間がかかる。本発明において、そのような欠点を避けることが極めて望ましい。
【0112】
u−blox GPS受信機は、高感度アンテナを、高性能データ処理と組み合わせる。一部のu−blox受信機は、たとえGPS衛星データが一瞬失われた場合であってもユニットの現在位置の推定を助ける推測航法機能を含む。加えて、u−blox GPS受信機は、50mW未満の電力を使用する、超低電力消費デバイスである。u−blox5は、最新世代のu−blox GPSチップセットであり、このチップセットが本発明と良好に機能することが予想される。u−bloxは、このチップセットが1秒未満でGPS修正を取得するということである。迅速かつ正確な修正の取得は、本発明にとって極めて望ましい。
【0113】
GPS修正が高い信頼性で極めて迅速に取得され得る場合、地理的位置モジュール72が、EAED20の通常操作中に電源をダウンすることが可能である。地理的位置モジュール72は、定期的にGPS修正を取得することができ、地理的エリアメッセージ及び緊急警報メッセージが衛星から受信されるときに修正を取得するように構成されてもよい。そのような操作は、地理的位置モジュール72の電力消費を低減し、ひいてはEAED20の電力需要全体を低減することができる。
【0114】
本発明は、任意の低電力、高感度のGPS受信機と共に機能する。u−blox受信機は、現在好ましい実施態様であるが、GPS受信機市場にはおびただしい競争がある。加えて、改善されたGPS衛星の新世代が、将来運用されるであろう。これらの新しい衛星は、既存のGPS衛星よりもはるかに高い送信レベルを有する。これらの新しい衛星が使用可能になれば、感度の懸念は、今日ほどには重要とはならない可能性もある。しかし、電力消費の問題は、特にEAED20が常時電力を入れた状態となるように構成される場合、引き続き重要であり得る。
【0115】
衛星メッセージ受信機74は、警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを緊急システム衛星14から受信するために必要なコンポーネントを含む。衛星ラジオ、衛星ページャ、又は衛星携帯電話において使用される既存の技術は、この目的で使用されてもよい。衛星受信機が、極めて高感度であり、最小の電力消費であることが望ましい。衛星メッセージ受信機74は、信号が受信されるまでスリープモードで動作して、電力を節約することができる。
【0116】
衛星メッセージ受信機74は、屋内、車内、又は送信衛星への直線見通し線がないその他の状況であっても、衛星信号を確実に受信できる十分な感度を有する必要がある。EASによって使用される衛星は、既存のGPS衛星が送信するよりも実質的に強力な信号を送信する可能性が高いので、この懸念は上記で説明されているGPS感度の問題ほど限定的ではない。衛星ページャ及び衛星電話は、たとえ受信機が屋内にある場合でも、良好なパフォーマンスを有しており、したがって、これらの技術は本発明にとって好ましいものである。衛星ラジオは、開発のその現在の状態において、頻繁な信号損失をこうむる傾向があり、その理由から、本発明には現在好ましいとされていない。GPS受信機技術の場合と同様に、競争が衛星ラジオ受信機技術の向上を導くことが期待されており、このタイプの技術は、おそらく将来の本発明にふさわしいものとなるであろう。
【0117】
地理的位置モジュール72及び衛星メッセージ受信機74はいずれも、最も好ましい実施態様において衛星アンテナを必要とする。別個のアンテナが使用されてもよいか、又は単一の二重用途のアンテナが使用されてもよい。いずれの場合においても、選択されるアンテナは、最高の可能な感度を有するべきである。一部のアプリケーションにおいて、ホストデバイス(つまりEAED20が組み込まれるデバイス)は、より優れたパフォーマンスを提供し、EAED20と共有され得る既存のアンテナを有してもよい。
【0118】
データプロセッサ78は、衛星メッセージ受信機74を介して受信された着信地理データ、及び地理的位置モジュール72を介して受信された現在の地理的位置情報の必要な分析を行う。評価は、EAED20の現在の地理的位置が対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために実行される。対象となる地理的エリア内にある場合、次いで、データプロセッサ78は、緊急警報メッセージを、緊急警報メッセージインターフェイス76に送信する。このインターフェイス76は、緊急メッセージを、直接又は間接的に、ユーザに提示する。データプロセッサ78はまた、後の再生用に以前の警報メッセージを格納するために十分なメモリを含む。或いは、そのようなメモリは、EAED20内の別個のモジュールにおいて提供されてもよい。
【0119】
EAED20は、スタンドアロンのユニットであってもよいか、又はホストデバイス内に組み込まれてもよい。後者の配置が好ましいとされる。多種多様なホストデバイスが、本発明向けに企図されている。自動車、携帯電話、固定電話、コンピュータ、テレビジョン、ラジオ、MP3プレイヤー、及びテキスト、オーディオ、又はビデオコンテンツをエンドユーザに提供するほぼすべての既存又は将来開発されるデバイス。しかし、EAED20がスタンドアロンのユニットである場合、デバイスはまた、ユーザと直接に通信するための何らかの手段を含む必要がある。これは、ビジュアルディスプレイ画面(たとえば、小型LCDディスプレイ)又はオーディオシステムであってもよい。
【0120】
本発明の操作をさらに深く理解するため、自動車におけるその使用を検討する。EAED20は、シームレスな方法で自動車の設計に組み込まれてもよい。小さいフットプリント、低電力消費、及び自動車の大型スターターバッテリを介する比較的大きい電源を備えることで、EAED20は、自動車設計者に提起する設計上の課題を最小限にする。たとえば、EAED20は、車両の装備が整えば、車両のステレオシステムに、又はナビゲーションシステムに組み込まれてもよい。EAED20は、衛星受信を向上させるために、車両上の既存のアンテナを使用することもできる。EAED20は、オーディオ警報メッセージを提示するために車両内のオーディオシステムとインターフェイスをとるか、又は緊急事態をユーザに警告するために警告灯及び/又はアラームシステムとインターフェイスをとることができる。例示的な構成は、図14に示される。この構成において、車両149は、送信を受信して、ドライバー又は通行者150に警報メッセージについて知らせることができる。現在の多くの車両は、テキストメッセージを提示することができるビジュアル表示機能を有しており、そのような機能は、緊急メッセージを伝達するためにEAED20によって使用されてもよい。車両が使用されていない間に関連する緊急メッセージが受信される場合、EAED20は、メッセージを格納しておき、次回車両が使用されるときにユーザにメッセージを提示することができる。
【0121】
EAED20が携帯電話に組み込まれる場合、本発明は、電話とインターフェイスをとり、オーディオ、テキスト、及び場合によってはビデオ緊急メッセージコンテンツを提供することができる。事態の緊急性をユーザが確実に認識するように、一意の緊急アラーム着信音が使用されてもよい。電話が使用中である場合、EAED20は、既存の使用をオーバーライドして、緊急警報をユーザに伝達することができる。
【0122】
EAED20をテレビジョン、ラジオ、MP3プレイヤー、又は一部の形態のオーディオ及び/又はビジュアルインターフェイスを備えるその他のデバイスに組み込むことも予想される。そのようなデバイス内に組み込まれたEAED20が関連するメッセージを受信すると、EAED20はデバイスを電源オンにして、警報メッセージを伝達することができる。次いで、デバイスは再度電源オフになってもよい。メッセージは、後にユーザがデバイスを電源オンにするまで格納され、その時点において警報メッセージが再度提供されてもよい。
【0123】
EAED20が、通常の送信帯域の外の信号を受信することができるホストデバイスに組み込まれる場合、本発明のシステムは、そのような帯域を使用して、その他の信号からの干渉を低減することができる。この機能は、サブチャネルの使用による無線送信のためにある。これらのサブチャネルは、オーディオ信号ではなく、曲又はその他のデータを送信するために現在使用されているブロードキャストスペクトルである。同様に、テレビジョンサブチャネルは、クローズドキャプション(字幕)及びその他のデータを送信するためにある。これらのサブチャネルは、警報及び地理的メッセージを、これらのタイプのホストデバイスに組み込まれた緊急警報対応のデバイスに送信するために、本発明によって使用されてもよい。
【0124】
EAED20及びそのホストデバイスは、その時点に使用されている操作のモードにはかかわりなく動作するように構成されてもよい。たとえば、EAED20がテレビジョンに組み込まれており、代替の入力を介して映画が鑑賞されている場合、EAED20は引き続き警報メッセージを提供するようテレビジョンに指示する。この機能は、既存の緊急放送システム(EBS)よりも優れた、本発明が提供する1つの重要な利点を示す。EBSは、通常のテレビ放送を視聴している人々にしか到達しない。たとえば、ユーザのテレビジョンが、DVDプレイヤーからフィードを受信するビデオ1入力になっている場合、EBSはユーザに到達することができない。しかし、本発明のEAED20は、そのユーザに到達する。
【0125】
本発明は、好ましい実施態様において衛星送信を使用するが、そのような使用に限定されることはない。インターネット、セルラー、WMN、Wi-Fiダイレクト、固定電話などを含む、その他の送信手段もまた予想される。さらに本発明のメッセージは、送信のために複数部分に分解されてから、緊急警報対応のデバイスによって再度組み立てられてもよい。緊急警報対応のデバイスがメッセージを評価する前に、確実にメッセージ全体を適正に再度組み立てて認証できるように、各部分の一意の識別子が割り当てられる。
【0126】
メッセージのさまざまな部分が、さまざまな手段を介してブロードキャストされてもよい。たとえば、メッセージは、3つの部分に分解されてもよい。3つの部分はすべて、衛星、インターネット、セルラーシステム、WMN、又はWi-Fiダイレクトを介して送信されてもよい。緊急警報対応のデバイスは、衛星からメッセージの1つの部分を、インターネットを介して1つの部分を、及びセルラー送信の任意の形態であってもよい(つまり、音声、テキスト、又はデータ)セルラー送信を通じて1つの部分を受信することができる。緊急警報対応のデバイスは、さまざまな送信手段を通じてメッセージ部分を受信し、メッセージを適正に再度組み立てて認証することができる。
【0127】
緊急警報対応のデバイスはさらに、複数の手段を介する送信がユーザへの警報の保証なしの繰り返しをもたらすことがないようにすることができる。たとえば、特定の警報メッセージは、衛星及びセルラー送信を介して緊急警報対応のデバイスによって受信されてもよい。緊急警報対応のデバイスは、メッセージと共に提供された一意の識別子データを使用して、それが同じ警報であると認識して、警報を単一のメッセージとして処理する。メッセージは、緊急警報対応のデバイスのファームウェアの5標準プレゼンテーションプロトコルに従ってユーザに提示され、複数の送信手段に起因する繰り返しが行われることはない。警報は、2回以上提示されることがあるが、それは、緊急警報対応のデバイスのファームウェアによって決められていたとおり、そのような繰り返しが保証されていた場合に限り行われる。このプロセスについては、後段においてさらに説明される。
【0128】
本発明は、主としてGPS位置データに依存するものとして説明されているが、EAEDはまた、代替の位置修正手段として使用されてもよい。たとえば、さまざまな位置修正プロセスは、セルラー送信情報を使用して開発されてきた。特定の携帯電話が複数のセルタワーからの送信を受信して応答する場合、携帯電話で位置修正を取得するために三角測量プロセスが使用されてもよい。そのような修正の精度は大きく異なるが、これは携帯電話で使用されるEAEDの位置を修正するもう1つの手段をもたらす。加えて、WiFiデバイス及びタワーは、交換可能に使用されてもよい。
【0129】
少なくとも2つの変更されたGPSシステムが、携帯電話ユーザ向けに開発された。これらのシステムは通常、複数の特徴を組み合わせてリアルタイムのGPS修正を携帯電話に提供する。セルタワー位置は正確に修正され、特定の携帯電話にGPS修正プロセスの参照点を与える。GPS衛星データは、GPS衛星から直接ではなく、セルラーシステムを通じて格納されて送信されてもよく、したがって正確な修正を取得するために必要な時間を短縮する。本発明の実施態様は、マイクロセル、マクロセル、ピコセル、及びフェムトセルの基地局を使用することができる。明確にするために、マクロセルは、高出力セルラー基地局(タワーとも称される)によってサービスを提供される無線カバレッジをもたらす携帯電話ネットワーク内のセルである。マクロセルは通常、マイクロセルよりも広範なカバレッジを提供する。マイクロセルは、モール、ホテル、又は交通ハブのような限られたエリアをカバーする、低出力セルラー基地局(タワー)によってサービスを提供される携帯電話ネットワーク内のセルである。マイクロセルは通常、ピコセルよりは大きいが、その差異は必ずしも明確ではない。マイクロセルは、そのカバレッジエリアの半径を制限するために電力制御を使用する。ピコセルは、インターネットを介して電話ネットワークに接続された小型携帯電話基地局であり、通常は屋内の携帯電話受信を改善するために使用され、マイクロセルよりも小さいと見なされている。フェムトセルは、より広範にはスモールセルとも称されるが、小型の低出力のセルラー基地局であり、通常はホーム又はスモールビジネスでの使用向けに設計されている。これは、ブロードバンド(DSL又はケーブル)を介してサービスプロバイダのネットワークに接続することができる。
【0130】
そのようなシステムの1つは、支援型GPS(aGPS)と称される。これは、一部の携帯電話で使用されており、上記で説明されている特徴の一部を使用するものである。さらに近年の開発は、拡張GPS(eGPS)システムである。このシステムはまた、セルラーシステムとGPSシステムの組み合わせを使用して、位置修正を携帯電話ユーザに提供する。両システムは、最初の修正までの時間を低減できるようにして、それ以外の場合にGPS信号が弱くなってしまうエリアにおける位置修正を可能にする。本発明は、より正確かつタイムリーな位置情報をEAEDに提供するために、aGPS、eGPS、又は基本GPSシステムへの任意の他の将来開発される改善を使用することができる。本発明は、EAEDの位置を修正するために、従来の、衛星のみの、GPSシステムだけを使用するように限定されることはない。
【0131】
GPSシステムへの拡張のもう1つの例は、衛星ベースの増強システム(SBAS)である。この拡張では、地上の基準局のネットワークを使用して、GPS衛星の信号における小さな変動を測定する。これらの信号は、大気条件によりごくわずかに変動することがある。SBASの手法では、地上の基準局からのデータを使用して、GPS信号における大気の変動を補正する。この拡張は、正確な位置及び高度データが必要とされた航空術において使用するために開発された。
【0132】
最もよく知られているSBASソリューションは、北米で使用されている広域補強システム(Wide Area Augmentation System)(WAAS)である。WAASは、北米全域に位置する地上局を使用し、改善されたGPSパフォーマンスをそのエリア内のWAAS対応のGPSデバイスに提供する。北米を囲む海洋エリアもまたカバーされており、その結果、WAAS機能は、船員及び漁師にも普及している。
【0133】
同様のシステムは、他の地域においても開発されてきた。欧州においては、European Geostationary Navigation Overlay Service (EGNOS)があり、日本では多目的衛星航法補強システム(Multifunctional Satellite Augmentation System) (MSAS)を使用している。その他の類似するシステムも、その他の地域において使用されている。本発明は、EAED内においてSBASシステムのいずれかを使用して、GPS修正の位置精度を改善することができる。これらのシステムはまた、EAEDによって取得される高度データを強化することになる。
【0134】
EAEDによる高度データの使用により、デバイスは、たとえば、ユーザが飛行中である(つまり、速度及び高度が高い)ことを決定することができ、これはさまざまに関連することがある。EAEDは、そのような条件が検出される場合、航空機モードに切り替えて、多くの警報メッセージの提示を回避することができる。しかし、特定の警報は、引き続き提示されることがある。EAEDファームウェアは、望ましい区別のタイプを提供するようにプログラムされる。飛行中に送信されるべきではないメッセージは、特定の方法でコーディングされてもよいが、飛行中に送信されるべき緊急警報はそれとは異なるコーディングが行われてもよい。飛行中であっても提示され得るメッセージの例は、飛行機が危険なエリアに近付いているというメッセージ、又は飛行中の人々に直接に関連するその他のタイプのメッセージである。現在の規則の下では、飛行中にユーザに提示される警報メッセージは、たとえあったとしても、ごくわずかであると予想される。しかし、そのような規則は変更される可能性があり、本発明は、既存の規則及び条件に適切な任意の方法で使用されてもよい。
【0135】
GPSは、軍隊により幅広く使用されており、そのことがGPSジャミング技術の使用へと至っている。さまざまなアンチジャミングソリューションが開発されてきた。Boeing、Raytheon、Lockheed-Martin、及びu-bloxは、アンチジャミングGPS技術の商用提供者のほんの数例である。技術は、この分野において継続的に進歩してゆくものと予想される。本発明は、あらゆる種類のアンチジャミング技術をEAEDに組み込むことができる。
【0136】
EAEDは、多くの方法で構築されてもよく、本発明はこの点において限定されることはない。1つの好ましい実施態様において、図5に示されている4つのブロックはすべて、単一チップに組み込まれてもよい。もう1つの実施態様において、GPS機能は、ホストデバイス(たとえば、専用GPSデバイスのGPS対応の携帯電話)に含まれてもよく、EAEDは重複するGPS機能を提供する必要はない。その状況において、EAEDには、ホストデバイス内の既存のGPSユニットへのインターフェイスが必要になることがある。
【0137】
さらにもう1つの実施態様において、EAEDは、3つの物理コンポーネント:アンテナ、シングルチップGPS受信機、及びシングルチップEAED受信機、を使用することができる。2つの受信機チップは、たとえば、前述のように、ホストデバイス内にGPSチップがある可能性を含む、さまざまな理由から分離されてもよい。GPS受信機及びEAED受信機は共に、特定の共通する汎用の特徴を有する。いずれも、アンテナからの着信信号を処理するためのRF信号プロセッサを有する。いずれも一部の内部メモリを有し、いずれもプロセッサを有する。一般的な意味では、本明細書において言及されるシングルGPSチップは、地理的位置モジュール72を示し、シングルEAEDチップは、衛星メッセージ受信機74、緊急警報メッセージインターフェイス76を含む。いずれのチップもデータプロセッサを有することができるが、データプロセッサ78は、図5に示されているように、EAEDチップ内にある。
【0138】
EAEDの操作をより深く理解するため、図6及び図7において流れ図が示される。これらの流れ図は、EAEDの操作の2つの基本モードを表す。EAED上のファームウェアは、流れ図において特定される機能を実行するように構築されプログラムされる。図6は、EAEDが、「スマート」ホストデバイス、つまりEAEDに通信を返すことができるホストデバイスと共に機能する方法を示す。スマートホストにおいて、ホストデバイスは、警報メッセージがユーザによって受信されたことをEAEDに指示することができる。たとえば、携帯電話を持つユーザは、電話の「Yes」ボタンをクリックして、警報メッセージの受信を確認することができる。次いで、携帯電話(つまり、ホストデバイス)は、EAEDに受信を確認する。「ダム」ホストにおいて、ホストからEAEDに送信する機能はない。そのため、図7に示されるような、EAEDによる異なる操作が必要となる。
【0139】
図6を参照すると、流れ図は、衛星受信機から開始する。警報データが受信されたか、の工程は、全警報メッセージが受信されたかどうかを決定する。これは、認証データを格納されているデータと比較することを伴うことができ、これはまた、分割して送信された警報メッセージを再構築することも伴うことができる。警報メッセージは、さまざまな送信経路を介して複数の部分で送信されてもよい。たとえば、警報は4つの部分に分解されてよく、1つの部分は衛星を介して受信され、1つの部分はセルラー送信によって受信され、1つの部分はインターネットによって、1つの部分はWi-Fi又はその他の手段によって受信される。しかし、EAEDへのメッセージ部分を取得するためのプロセスがどのようなものであったとしても、警報データが受信されたか、のブロックは、メッセージの処理及び再度組み立てを表す。メッセージのすべての部分が受信されて、適正な順序に再度組み立てられる場合、この工程は、GPSチップから現在のGPS情報を取り出す、ブロックに進む。この段階において、EAEDは、現在のGPS位置修正があるかチェックする。位置修正を取得するその他の手段が使用されてもよく、本明細書におけるGPS参照は、好ましい実施態様を表すことが意図されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。現在の位置修正データが使用可能ではない場合、EAEDは、最新の既知のGPS位置データを使用する。いずれの場合においても、GPSデータ(又はその他の位置データ)は、比較ブロックに送信される。その段階において、EAEDは、警報メッセージの地理的エリア成分及び位置データを使用してEAEDが対象となる地理的エリアに接近しているかどうかを決定する。接近していない場合、プロセスは停止して、メッセージは格納されない。代替の実施態様において、メッセージは、一定期間にわたり格納されて、ユーザが警報エリアに向かって移動しているかどうかを決定するために再チェックされてもよい。この機能は、図6には示されていないが、本発明の範囲内に含まれる。
【0140】
EAEDが対象となる地理的エリアに接近していると決定する場合、EAEDがまさに警報エリア内にいるかどうかを決定するための第2のチェックが行われる。警報エリア内にいない場合、警報情報及びメッセージは、警報が解除されるまで格納される。この状況が生じた場合、EAEDは、移動中であるかどうかをチェックし、移動中であれば、警報エリアに向かって移動しているかどうかをチェックする。EAEDが警報エリアに向かって移動している場合、その趣旨のメッセージがユーザに提示される。EAEDが静止状態であるか又は警報エリアから遠ざかっている場合、警報は保存され、EAEDの位置は、警報エリアに向かう移動がないかどうか定期的にチェックされる。EAEDの操作のこの態様は、ユーザのニーズ又は要望に合うように変更されてもよい。たとえば、一部のユーザは、たとえ自分が移動していないか、又はエリアから遠ざかっている場合であっても、警報エリアから特定の距離の範囲内に入った場合に警報で知らせてほしいと望むこともある。これらのタイプの選択は、特定のユーザの好みに合わせてEAEDファームウェアにプログラムされてもよい。図6は、好ましい実施態様の基本バージョンのみを示す。
【0141】
EAEDが警報エリア内にあるかどうかの決定に戻り、そのクエリに対する回答がyesである場合、警報情報が格納される。警報はまた、この時点でユーザに提示される。次いで、EAEDは、ユーザが警報メッセージ(つまり、ユーザが警報に向かって移動中であるという1次警報若しくは警告又は提示される任意の他のメッセージ)を受信したというホストデバイスからの確認を探す。ユーザはメッセージを受信したとホストデバイスが確認する場合、プロセスは終了する。確認が受信されない場合、EAEDは、ホストデバイスを介してメッセージを定期的にユーザに提示する。確認がずっと受信されない場合、このプロセスは、警報が発令されている限り続行する。
【0142】
図6に示される流れ図は、メッセージの受信及び提示のための適正なモードにあるスマートホストデバイスに基づいている。携帯電話は、電源オンになっている場合、そのようなデバイスの好例である。電話は、スタンバイモードであってもよいが、引き続き、テキスト、音声、ビデオ、又は一部の組み合わせを介して、警報メッセージをユーザに提示することができる。しかし、スマートデバイスが電源オフになっている場合、本発明は引き続き機能する。EAEDは、スマートデバイスを電源オンにしてメッセージを提示する機能を備えてもよい。EAEDは常時電源オンであり、ダムホストデバイスで使用するために設計されたEAEDの以下の説明において特徴がさらに説明される。
【0143】
ダムホストデバイスにも類似したプロセスが使用されるが、ホストデバイスがメッセージの受信を確認することができないので、プロセスの後半部分は異なっている。衛星受信機は、地理的メッセージ及び警報メッセージ成分の両方と共に、警報メッセージを受信するように機能する。EAEDは、完全かつ真正の警報メッセージが受信されたかどうかをチェックする。次いで、EAEDは、GPSデータ(又はその他の位置データ)をチェックする。現在の位置データが使用可能ではない場合、最新の既知のデータが使用される。次いで、第1の比較は、EAEDが警報エリアに接近しているかどうかを決定するために行われる。接近している場合、EAEDが警報エリアの範囲内にあるかどうかを調べるために、第2の地理的比較が行われる。そうではない場合(つまり、EAEDが警報エリアに接近しているが、中ではない)場合、警報は保存され、GPSデータは、警報エリアに向かう移動がないかどうかチェックされる。そのような移動が検出される場合、適切なメッセージがユーザに提示される。EAEDが警報エリアの範囲内にあることが判明する場合、警報メッセージが保存される。
【0144】
この時点において、EAEDは、ホストデバイスが電源オンであるかどうかをチェックする。電源オンになっていない場合、EAEDはホストデバイス(たとえば、テレビジョン又はカーステレオ)を電源オンにする。次いで、EAEDは、ホストデバイスが警報メッセージを提示する適正なモードにあるかどうかをチェックする。たとえば、カーステレオがCDを再生中である場合、警報メッセージは提示されない。ホストが適正なモードにない場合、EAEDは、デバイスを適正なモードに設定し、次いでその設定を確認する。次いで、EAEDは、ホストデバイスを介して警報メッセージを提示する。警報は、事前設定されている回数、又は警報が解除されるまで、定期的に提示される。
【0145】
警報提示が完了すると、EAEDは、ホストデバイスを電源オンにする必要があったかどうかをチェックする。必要がある場合、EAEDはホストデバイスを電源オフにし、このようにホストデバイスを元の条件に復元する。次いで、EAEDは、ホストデバイスを操作するモードを変更する必要があったかどうかをチェックする。必要がある場合、EAEDはホストデバイスを以前の操作モードに戻す。これらの復元の工程が完了すると、プロセスは終了する。これらの工程はまた、電源オフにされるか、又は効果的な警報メッセージをユーザに提示させないようなモードになり得るホストに対処するために、スマートホストと共に使用されてもよい。
【0146】
EAEDの1つの好ましい実施態様において、GPS機能はシングルチップ上にあり、衛星受信機機能はもう1つのチップ上にあり、1次EAEDファームウェアは第3のチップ上にある。これらのチップは、単一パッケージの一部として製造されてもよいが、それらの異なる操作を強調するために別個のチップとして説明される。GPSチップは、ホストデバイスの電源に応じて、定期的に電源オンになるか、又は常時オン状態であってもよい。電力消費量の節約のため、GPSチップは定期的にしか動作しなくてもよい。衛星受信機チップは、常時オン状態の低電力チップである。このチップは、EASによって使用される固有の衛星周波数でメッセージを受信する。受信機チップは、メッセージの部分をチェックして、ばらばらで送信されたメッセージを再度組み立てる。完全な真正のメッセージが受信されると、衛星受信機は、このメッセージをファームウェアチップに送信する。これは、ファームウェアチップを電源オンにさせる。完全な真正のメッセージが受信されるまでファームウェアチップを休止状態にしておくことで、電力消費量が低減される。次いで、ファームウェアチップは、上記で説明されるように、図6又は図7において特定される工程の大部分を実行する。
【0147】
EAEDは、移動中のホストデバイスの速度及び高度を決定するためにGPSデータを使用することができる。加えて、EAEDは、加速度計、ジャイロスコープ、又は動きを決定して監視するその他の手段を含むことができる。これらのデバイスは、たとえば、特定の速度(たとえば、20mph)を超える移動が突然停止したとき、又は一部の事前設定された限度を超えた停止gの力を検出することによって、衝突事故が発生したかどうかを決定するために、EAEDによって使用されてもよい。どのような手段が使用されたとしても、スマートデバイス内のEAEDが衝突事故を検出する場合、EAEDは衝突事故及び位置情報を、緊急サービスプロバイダ;警察;ホストデバイスにより格納されている連絡先、又はサードパーティ監視サービスに送信することができる。この情報は、セルラー送信(3G、4G、SMS、MMS、又はその他の将来開発される手段)、インターネット、Wi-Fi、又はホストデバイスに使用可能な任意の他の手段によって送信されてもよい。
【0148】
加速度計、ジャイロスコープ、又はその他の動き検出手段もまた、個人の安全の理由で使用されもよい。これは、たとえば、ユーザが落下したときを識別するために使用されてもよい。この機能は、ユーザが落下した場合に適切な人々に自動的に連絡を取るように危険な状態にあるユーザについて使用されてもよい。機能はまた、ホストデバイスが自動車移動を示す速度で移動している場合に、EAEDが特定の機能を使用不可にできるようにしてもよい。
【0149】
EAEDはまた、ユーザのアクションを遠隔監視できるようにするため他の方法でスマートホストと対話することができる。EAEDは、任意の手段(たとえば、セルラー、インターネット、衛星など)を介して信号を受信して、デバイスの位置及び移動の監視を開始することができる。EAEDはまた、ホストデバイスの機能を使用して写真又はビデオを撮影するよう指示されてもよい。このタイプの監視は、適切な状況下においては親又は警察によって使用されてもよい。たとえば、EAEDによるこの機能は、親がその子供の運転練習を監視できるようにする。
【0150】
EAEDの統合された位置データのバックエンド使用は、商用に対象を絞ったメッセージにも使用され得る。この手法は、特定の人口統計学的プロファイルに適合するユーザが店舗又はその他の施設の特定の距離の範囲内にいるときに、ユーザに通知するために使用されてもよい。たとえば、セール中の店舗の対象となる人口統計上の集団に入る人は、店舗の選択された距離の範囲内にいるそのような人々に通知するためにこの技術を使用することができる。地理的に対象を絞った広告は行われてきたが、これは主としてフロントエンドのメッセージ区別に依存していた。本発明は、リアルタイム位置情報及びホストデバイス内で区別の工程を実行する機能を活用する。これは、さらに正確な、ひいてはさらに詳細に対象を絞ったメッセージングをもたらす。そのようなメッセージングは、緊急事態(このシステムを開発する主要な目的である)、市民のお知らせ(たとえば、地元の学校における親の会合)、指図メッセージ(たとえば、道路閉鎖、停電など)、教育用メッセージ(たとえば、学校閉鎖)、及び/又はこのパラグラフにおいて説明されている商用メッセージングのために使用されてもよい。医療情報、企業情報などのような地理的又はその他の対象を絞った情報を備えるメッセージを受信して、それらの要件が満たされるかどうかをホストデバイスレベルで決定することができるEAEDの機能により、システムのこれらの使用及びその他の使用が可能である。
【0151】
本発明のアプリケーションの前述の例は、決して包括的なものではない。本発明のEAED20が、多種多様な電子製品に組み込まれることが期待される。EAED20がそのような製品と一体化される特定の方法は、製品の製造業者及び設計に委ねられている。本発明は、EAED技術及びEASの動作方法を提供する。EAED20がホストシステムに組み込まれる方法は、大きく異なるものと予想される。
【0152】
本発明は、スタンドアロンのEAED、又は一部の実施態様においてホストデバイスに組み込まれたEAEDを使用することができるが、そのような使用に限定されることはない。ユーザに警報を出すために構成された電子デバイス110を含むその他のデバイスもまた使用されてもよい。図8は、本発明の態様と共に使用され得る電子デバイス110を示すブロック図である。電子デバイス110の実施態様が、図8に示されているよりも多くの要素又は少ない要素を含むことができることを理解されたい。電子デバイス110は、中でも特に、ハンドヘルドデバイス、コンピュータ、スマートテレビジョン、時計又は眼鏡などのようなウェアラブルデバイスであってもよい。電子デバイス110の例は、Apple社により提供されているiPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、iPod(登録商標)、iMac(登録商標)、若しくはMacBook(登録商標)、又はAndroid(商標)対応のデバイスのようなその他の製造業者による同様のデバイスを含むが、これらに限定されることはない。
【0153】
図8に示されているように、電子デバイス110は、少なくとも1つの中央演算処理装置(central processing unit)(CPU)112を含むことができる。CPU112は、1つ以上のマイクロプロセッサを含むことができる。CPU112は、オペレーティングシステムを実行し、さまざまなアプリケーションを実行し、及び/又は本明細書において説明される緊急警報の方法の1つ以上の処理を行う処理機能を提供することができる。電子デバイス110上で実行することができる標準的なアプリケーションは、音楽プレイヤー、ビデオプレイヤー、ピクチャー表示装置、カレンダー、アドレス帳、電子メールクライアント、テレフォンダイアラーなどを含む。加えて、緊急事態についてユーザに警報を出すためのソフトウェアは、電子デバイス110に含まれてもよい。
【0154】
メインメモリ114は、CPU112に通信可能に結合されてもよい。メインメモリ114は、データ及び実行可能コードを格納することができる。メインメモリ114は、RAMのような揮発性メモリを示すことができるが、読取り専用メモリ(read-only memory)(ROM)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリを含むこともできる。電子デバイス110はまた、不揮発性ストレージ116を含むことができる。不揮発性ストレージ116は、ハードディスクドライブのような任意の適切な不揮発性ストレージ媒体、又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリを示すことができる。不揮発性ストレージ116は、長期間のストレージに適しているので、メディア(たとえば、音楽ファイル、ビデオファイル、ピクチャーなど)、ソフトウェア(たとえば、電子デバイス上で機能を実施するため)、無線接続情報(たとえば、無線ネットワーク名及び/又はパスワード、セルラーネットワーク接続など)、及び個人情報(たとえば、連絡先、カレンダー、電子メールなど)のようなデータファイルを格納することができる。加えて、緊急事態についてユーザに警報を出すことに関連するデータ及び/又はコードは、不揮発性ストレージ116に保存されてもよい。
【0155】
一部の実施態様において、電子デバイス110のディスプレイ118は、画像及び/又はデータを表示することができる。ディスプレイ118は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display )(LCD)、プラズマディスプレイ、電子ペーパーディスプレイ(たとえば、e−ink)、発光ダイオード(light emitting diode)(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(organic light emitting diode)(OLED)ディスプレイ、陰極線管(cathode ray tube)(CRT)ディスプレイ、又はアナログ若しくはデジタルテレビジョンのような任意の適切なディスプレイであってもよい。一部の実施態様において、ディスプレイ118は、ユーザが電子デバイス110とインターフェイスをとることができるようにするタッチスクリーン又はマルチタッチスクリーン技術を含むことができる。
【0156】
電子デバイス110はまた、ユーザインターフェイス120を含むことができる。ユーザインターフェイス120は、ディスプレイ118上に、表示ライト、ユーザ入力、及び/又はグラフィカルユーザインターフェイス(graphical user interface)(GUI)を含むことができる。操作中、ユーザインターフェイス120は、CPU112を使用して、メインメモリ114からのメモリ、及び不揮発性ストレージ116の長期ストレージを使用して動作することができる。ディスプレイ118を伴わない実施態様において、表示ライト、サウンドデバイス、ボタン、及びその他のさまざまな入出力(input/output)(I/O)デバイスは、ユーザが電子デバイス110とインターフェイスをとることができるようにする。GUIを有する実施態様において、ユーザインターフェイス120は、ユーザ入力構造、ユーザ入力周辺機器(たとえば、キーボード及び/若しくはマウスなど)、又はディスプレイ118のタッチセンシティブ実施によりディスプレイ118上のインターフェイス要素と対話できるようにする。
【0157】
電子デバイス110は、1つ以上のアプリケーションを開いておき、ユーザインターフェイス120を介してユーザにアクセス可能及び/又はディスプレイ118上に表示されるようにすることができる。アプリケーションは、メインメモリ114、不揮発性ストレージ116、ディスプレイ118、及び/又はユーザインターフェイス120と共にCPU112上で実行することができる。さまざまなデータは、開いている各アプリケーションに関連付けられてもよい。後段においてさらに詳細に説明されるように、メインメモリ114、不揮発性ストレージ116、又は電子デバイス110のCPU112に格納されている命令は、緊急事態についてユーザに警報を出すことができる。そのような方法を実行するための命令が、スタンドアロンのアプリケーション、電子デバイス110のオペレーティングシステムの機能、又はCPU112のハードウェア、メインメモリ114、不揮発性ストレージ116、若しくは電子デバイス110のその他のハードウェアの機能を表すことができることを理解されたい。
【0158】
一部の実施態様において、電子デバイス110はまた、位置感知回路122を有することもできる。位置感知回路122は、全地球測位システム(global positioning system)(GPS)回路であってもよいが、不揮発性ストレージ116又はメインメモリ114に格納されて、CPU112によって実行される、1つ以上のアルゴリズム及びデータベースを表すこともできるが、これはさまざまな観測される要因に基づいて位置を推論するために使用されてもよい。たとえば、位置感知回路122は、ローカル無線ネットワーク(たとえば、Wi-Fiとしても知られる802.11x)又は近隣の携帯電話タワーの検出に基づいて地理的位置を概算するために使用されるアルゴリズム及びデータベースを含むことができる。上記で説明されているように、電子デバイス110は、緊急事態についてユーザに警報を出すための要因として位置感知回路122を採用することができる。たとえば、位置感知回路122は、緊急事象中にユーザの位置を決定するために電子デバイス110によって使用されてもよい。次いでこの事象中の位置は、電子デバイス110に表示される情報に影響を与える、及び/又は情報を決定することができる。
【0159】
引き続き図8を参照すると、電子デバイス110はまた、1つの電子デバイス110ともう1つの電子デバイス110との間の有線接続のための有線入出力(input/output)(I/O)インターフェイス124を含むこともできる。有線I/Oインターフェイス124は、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus)(USB)ポート、又はIEEE1394ポートであってもよいが、専有の接続を表してもよい。加えて、有線I/Oインターフェイス124は、キーボード又はマウスのような、周辺ユーザインターフェイスデバイスへの接続を可能にすることができる。
【0160】
1つ以上のネットワークインターフェイス126は、電子デバイス110に追加の接続を提供することができる。ネットワークインターフェイス126は、1つ以上のネットワークインターフェイスカード(network interface cards)(NIC)又はネットワークコントローラを含むことができる。一部の実施態様において、ネットワークインターフェイス126は、パーソナルエリアネットワーク(personal area network)(PAN)インターフェイス128を含むことができる。PANインターフェイス128は、たとえばBluetooth(登録商標)ネットワーク、IEEE802.15.4(たとえば、ZigBee)ネットワーク、又は超広帯域(ultra-wideband)(UWB)ネットワークとネットワークを結ぶ機能を提供することができる。PANインターフェイス128によってアクセスされるネットワークが、低出力の低帯域幅、又は近距離の無線接続を表すことができる(ただしこれは必須ではない)ことを理解されたい。PANインターフェイス128は、1つの電子デバイス110が、アドホック又はピアツーピア接続を介してもう1つのローカル電子デバイス110に接続できるようにする。しかし、接続は、2つの電子デバイス110の間の分離が、PANインターフェイス128の範囲を超える場合に中断され得る。
【0161】
ネットワークインターフェイス126はまた、ローカルエリアネットワーク(local area network)(LAN)インターフェイス130を含むことができる。LANインターフェイス130は、有線イーサネットベースのネットワークへのインターフェイス、又はWi-Fiネットワークのような無線LANへのインターフェイスであってもよい。LANインターフェイス130の範囲は通常、PANインターフェイス128を介して使用可能な範囲を超えてもよい。加えて、多くの場合、LANインターフェイス130を介する2つの電子デバイス110間の接続は、ネットワークルータ又はその他の中間デバイス経由の通信を伴うことがある。
【0162】
加えて、電子デバイス110の一部の実施態様について、ネットワークインターフェイス126は、ワイドエリアネットワーク(wide area network)(WAN)インターフェイス132を介してWANに直接接続する機能を含むことができる。WANインターフェイス132は、Enhanced Data rates for GSM Evolution (EDGE)ネットワーク、3Gネットワーク、4Gネットワーク、又は別のセルラーネットワークのような、セルラーデータネットワークへの接続を可能にし得る。WANインターフェイス132を介して接続される場合、電子デバイス110は、インターネットへの接続状態を保持することができ、一部の実施態様において、それ以外の場合にはPANインターフェイス128又はLANインターフェイス130を介する接続を中断する可能性のある位置の変更にもかかわらず、別の電子デバイス110への接続を保持することができる。後段において説明されるように、有線I/Oインターフェイス24及びネットワークインターフェイス126は、本明細書において説明されている簡易データ転送技術を使用してユーザデータを転送するための高帯域幅通信チャネルを表すことができる。
【0163】
図9Aは、本発明の態様による図8の電子デバイスの実施態様を示す。この実施態様において、電子デバイス110は、Apple社により提供されているiPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、又はiPod(登録商標)などのポータブル電話及び/又はポータブルメディアプレイヤーのようなハンドヘルドデバイス134であってもよい。ハンドヘルドデバイス134は、プラスティック、金属、複合材料、又は任意の組み合わせのその他の適切な材料で構成される筐体136を有することができる。筐体136は、ハンドヘルドデバイス134の内部コンポーネントを物理的損傷から保護することができる。
【0164】
図9Aを引き続き参照して、電子デバイス110は、GUIの形態でユーザインターフェイス120を含むことができる。ディスプレイ118上のユーザインターフェイス120は、起動できるアプリケーションを表す1つ以上の個々のアイコンを有することができる。特定の実施態様において、緊急警報アプリケーションは、ユーザによって選択されてもよい。たとえば、ディスプレイ118は、タッチセンシティブ入力デバイスとしての役割を果たすことができ、アイコンはタッチによって選択されてもよい。図9に示されているように、アイコン146を選択するとユーザは緊急警報アプリケーションを開始して利用できることをユーザに指示するように、緊急警報アプリケーションアイコン146は「PGalert」と指定されてもよい。緊急警報アプリケーションアイコン146が選択されると、緊急警報アプリケーションが開き、ユーザが緊急警報アプリケーションを使用できるようになる。ハンドヘルドデバイス134はまた、ユーザインターフェイス120と対話するためにディスプレイ118の入力機能を補足又は置換できるユーザ入力構造を含むことができる。図9Bは、ハンドヘルドデバイスとしての図8の電子デバイスのもう1つの実施態様を示す。
【0165】
図10は、本発明の態様による図8の電子デバイス110の実施態様を示す。この実施態様において、電子デバイス110は、コンピュータ150であってもよい。コンピュータ150は、デスクトップコンピュータ、サーバ、ノートブックコンピュータ、デスクトップ、又はラップトップのような任意のコンピュータであってもよい。たとえば、コンピュータ150は、PC、iMac(登録商標)又はMacBook(登録商標)などであってもよい。コンピュータ150は、GUIの形態でコンピュータ150のディスプレイ118上に表示できるユーザインターフェイス120を有することができる。ユーザインターフェイス120は、たとえば、コンピュータ150で実行しているアプリケーション152のユーザインターフェイスを示すことができる。ユーザは、キーボード154及び/又はマウス156のようなさまざまな周辺入力デバイスを介してユーザインターフェイス120と対話することができる。
【0166】
上記で説明されているように、1つ以上の電子デバイス110は、緊急事態についてユーザに警報を出すように構成されてもよい。電子デバイス110は、図4の42、44、46、48、50、及び52に関連して上記で説明されているように、緊急事態についてユーザに警報を出すために使用されてもよい。しかし、緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信するために衛星14を使用するのではなく、セルラーネットワーク又はインターネットが代替の送信オプションとして使用されてもよい。メッセージは、同一及び/又は別個のチャネルを介して一連のブロードキャストを使用して配信され、次いで単一又は複数のデータパケットとしてデバイスによって処理されてもよい。
【0167】
たとえば、図4に関連して上記で説明されるように、また図10に示されているように、緊急対応オペレータは、フロントエンドアプリケーション152を使用することができ、このアプリケーションは、すべての人々が警報メッセージを受信する必要がある警報エリアを定義するためにコンピュータ150のような電子デバイス110上にある地理的マッピングシステムである。警報を受信するように定義されたエリアは、地理的エリアメッセージに格納されてもよい。フロントエンドアプリケーション152は、メインメモリ114、不揮発性ストレージ116、又はコンピュータ150のCPU112に格納されている命令であってもよく、緊急事態についてユーザに警報を出すことができる。或いは、フロントエンドアプリケーション152は、コンピュータ150を使用してWebサイト上でインターネットを介して1つ以上のサーバからアクセスすることができる。フロントエンドアプリケーション152は、緊急対応オペレータが、円(マイル単位の半径を指示する)、正方形、長方形、又は多角形を使用して警報エリアを指定できるようにする。選択されたエリアは、赤、黄などのようなカラーの透明なレイヤで明るく表示されてもよい。或いは、フロントエンドアプリケーション152は、緊急対応オペレータが、管轄区域全体を指定できるようにする。
【0168】
フロントエンドアプリケーション152は、許可された緊急対応オペレータのみにアクセスを限定するセキュアログイン機能を含むことができる。これは、フロントエンドアプリケーション152への無許可のアクセスを防ぐことができる。加えて、フロントエンドアプリケーション152は、オペレータが警報メッセージの対象とする地理的エリアを制限することによってアクセスをさらに限定することができる。たとえば、市警察局の緊急対応オペレータは、市の境界に囲まれた地理的エリア内の人々だけに警報メッセージを送信することができるが、州警察の緊急対応オペレータは、その市を含む州内のあらゆる場所にいる人々に警報メッセージを送信することができる。このフロントエンドアプリケーション152は、電子市街地図、衛星画像、又は市街地図情報にオーバーレイされた結合衛星画像を使用することができる。電子マップの適切な例は、Google(登録商標)マップのカスタマイズバージョンを含むことができる。
【0169】
フロントエンドアプリケーション152はまた、緊急対応オペレータが、緊急警報メッセージを選択、作成、及び/又は記録できるようにする。フロントエンドアプリケーション152は、一意の識別子を、緊急警報メッセージ及び/又は地理的エリアメッセージに割り当てることができる。フロントエンドアプリケーション152はまた、緊急対応オペレータが、緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信できるようにする。緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージは、セルラーシステム又はインターネットを介して、その他の電子デバイス110に送信されてもよい。
【0170】
図11の160において緊急オペレータによって作成される例示的な緊急警報メッセージが示される。図11が示しているように、フロントエンドアプリケーションは、緊急対応オペレータが、緊急警報メッセージを作成できるようにすることができ、メッセージは、時間、日付、位置、緊急オペレーションセンター識別番号、緊急時のヒント、緊急事態の種類などのようなさまざまな情報を含むことができる。緊急警報メッセージはまた、さらなる情報を備える追加の関係筋へと導くWeb対応のリンク及び/又は電話番号を含むこともできる。
【0171】
1つ以上の電子デバイス110はまた、送信された緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信するように構成されてもよい。電子デバイス110は、図4の54、56、58、60、62、64、及び66においてEAEDに関連して上記で説明されているように、緊急事態についてユーザに警報を出すために使用されてもよい。この場合も同様に、衛星システムを使用するのではなく、電子デバイス110は、セルラーネットワーク又はインターネットを介して緊急警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信することができる。
【0172】
図9A、9B、12A、12B、13A及び13Bに示されているように、電子デバイス110は、緊急事態についてユーザに通知するように構成されたデバイスアプリケーション146を有するハンドヘルドデバイス134であってもよい。ハンドヘルドデバイス134が緊急警報メッセージ及び地理的警報メッセージエリアを受信すると、デバイスアプリケーション146は、地理的エリアメッセージ及び/又は緊急警報メッセージを認証することができる。デバイスアプリケーション146はまた、ハンドヘルドデバイス134からの位置データを使用してハンドヘルドデバイス134が対象となる地理的エリア内に位置しているかどうかを決定することができ、この位置データは位置感知回路122から取得することができる。デバイスアプリケーション146はまた、地理的エリアメッセージ及び/又は緊急警報メッセージを認証することができる。
【0173】
デバイスアプリケーション146は、ハンドヘルドデバイス134が対象となる地理的エリア内にある場合、緊急警報メッセージをハンドヘルドデバイス134に提示することができる。デバイスアプリケーション146は、いくつかの方法で(たとえば、一意及び/又は指定された警報警告音の再生、一意及び/又は指定された警報警告音を使用したバイブレーション、警報メッセージが着信したことを指示するバナーの表示など)ユーザに警報を出すことができる。デバイスアプリケーションは、指定された時間(たとえば、15秒、30秒、1分、10分ごとなど)にわたりユーザに繰り返し警報を出すことができる。
【0174】
電子デバイス110上でデバイスアプリケーション146によって提示され得る例示的な緊急警報は、図12Aに示される。ハンドヘルドデバイス134上でデバイスアプリケーション146によって提示され得る例示的な緊急警報は、図12Bに示される。
【0175】
図13Aは、デバイスアプリケーション146によって電子デバイス110に提示され得る例示的な緊急警報メッセージを示す。図13Bは、デバイスアプリケーション146によってハンドヘルドデバイス134に提示され得る例示的な緊急警報メッセージを示す。
【0176】
図13A及び図13Bに示されているように、緊急警報メッセージは、緊急事態の種類、緊急事態の位置、緊急オペレーションセンター識別番号、緊急時のヒントなどのようなさまざまな情報を含むことができる。
【0177】
デバイスアプリケーション146はまた、ユーザが現在及び以前の警報をいつでも閲覧できるようにする。加えて、デバイスアプリケーションは、ユーザが、ハンドヘルドデバイス134の位置とは異なることもある1つ以上の修正された地理位置を追加できるようにする。これにより、ユーザは、多くの位置で警報を受信することができる。たとえば、ユーザが市外に出かけている場合、引き続き自宅の住所及び移動先の位置(つまり、ハンドヘルドデバイス134の位置)で警報を受信することができる。デバイスアプリケーション146はまた、ユーザが、連絡先情報に入る必要なく、緊急対策当局(警察、消防、EMS、911など)に直接連絡をとることができるように構成されてもよい。デバイスアプリケーション146は、すでにこの情報を備えている。ユーザは、選択されている緊急対策当局にダイアルする「クイックダイアル」オプションを選択することもできる。デバイスアプリケーション146はまた、緊急対策当局と同じ方法で、他の人々(たとえば、家族、友人など)に警報を出すように構成されてもよい。デバイスアプリケーション146はまた、ハンドヘルドデバイス134の現在の位置に基づいて、主要及び地元の報道機関へのリンクを有するように構成されてもよい。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
警報システムであって、
a. 以下の操作:
i. 1次緊急警報メッセージを選択する操作又は作成する操作と、
ii. 対象となる地理的エリアの少なくとも一部を表す地理的エリアメッセージを作成する操作と、
iii. 該警報メッセージ及び該地理的エリアメッセージを送信する操作と、を行うことができる、オペレーションセンターと、
b. 該警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信するように構成され、警報対応のデバイスによって決定される対象となる該地理的エリア内に該警報対応のデバイスがある場合かつその場合に限り、該警報メッセージをユーザに提示するように構成された警報対応のデバイスとを備える、前記警報システム。
(構成2)
前記警報対応のデバイスは、正確なリアルタイムのGPSデータが使用可能ではない期間中に、前のGPS位置データを保持し、該デバイスは、該最新の、正確なGPS位置データを使用して、該デバイスが対象となる前記地理的エリア内にあるかどうかを決定する、構成1記載のシステム。
(構成3)
前記警報対応のデバイスは、該警報対応のデバイスが対象となるアクティブな地理的エリアに移動したかどうかを決定するために、該警報対応のデバイスが移動中のときに格納されている地理的エリアメッセージをチェックするように構成された、構成1記載のシステム。
(構成4)
前記警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれ、警報メッセージを提示するために必要に応じて該ホストデバイスを電源オンにするように構成され、該警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後に該ホストデバイスを電源オフにするように構成される、構成1記載のシステム。
(構成5)
前記警報対応のデバイスは、ホストデバイスに組み込まれ、該ホストデバイス操作モードを、警報メッセージの受信に必要とされるモードに切り替えるように構成され、該警報対応のデバイスは、そのような警報メッセージが提示された後に該ホストデバイスをその前の操作モードに戻すように構成される、構成1記載のシステム。
(構成6)
前記警報対応のデバイスは、無線インターネット信号を受信することができるGPS対応のセルラー電話に組み込まれる、構成1記載のシステム。
(構成7)
前記警報対応のデバイスは、無線インターネット信号を受信することができるGPS対応のポータブルコンピュータに組み込まれる、構成1記載のシステム。
(構成8)
前記オペレーションセンターは、インターネットを介してメッセージを送信することができる、構成1記載のシステム。
(構成9)
前記警報メッセージは、特定の聴衆に到達するよう意図された商用メッセージである、構成1記載のシステム。
(構成10)
前記警報対応のデバイスは、該警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、前記警報メッセージを前記ユーザに提示するかどうかを決定する、構成1記載のシステム。
(構成11)
チャネルをさらに備え、前記警報メッセージは、該チャネルを介して一連のブロードキャストを使用して配信され、次いで単一又は複数のデータパケットとして前記デバイスによって処理される、構成1記載のシステム。
(構成12)
複数のチャネルをさらに備え、前記警報メッセージは、該複数のチャネルを介して一連のブロードキャストを使用して配信され、次いで単一又は複数のデータパケットとして前記デバイスによって処理される、構成1記載のシステム。
(構成13)
警報システムであって、
a. 警報メッセージと、
b. 該警報メッセージの対象となる地理的エリアを表す地理的エリアメッセージと、
c. 該警報メッセージ、該地理的エリアメッセージ、又はその両方のメッセージに割り当てられた一意の識別子と、
d. 該警報メッセージ及び該地理的エリアメッセージを受信し、警報対応のデバイスによって決定される対象となる該地理的エリア内に該警報対応のデバイスがある場合かつその場合に限り、該警報メッセージを提示する該警報対応のデバイスとを備える、前記警報システム。
(構成14)
前記警報メッセージ及び地理的エリアメッセージは単一のメッセージに結合され、前記一意の識別子は該結合された単一のメッセージに割り当てられる、構成13記載のシステム。
(構成15)
前記一意の識別子は一意の通し番号をさらに備える、構成13記載のシステム。
(構成16)
前記一意の識別子は、異なるメッセージを区別するために前記警報対応のデバイスによって使用される、構成13記載のシステム。
(構成17)
前記一意の識別子は、人々の異なるグループに関連付けられて、前記警報メッセージが前記対象となる地理的エリア内にいる該グループの構成員に方向付けられ得るようになっている、構成13記載のシステム。
(構成18)
前記警報対応のデバイスは、受信した一意の識別子がユーザに関連付けられている場合に認識するように構成される、構成17記載のシステム。
(構成19)
前記警報メッセージは、特定の聴衆に到達するよう意図された商用メッセージである、構成13記載のシステム。
(構成20)
ユーザは、前記警報対応のデバイスが、特定の商用メッセージを受信するようにプログラムすることができる、構成19記載のシステム。
(構成21)
商用メッセージを受信する前記ユーザの機能は、前記警報対応のデバイスが、自動車での走行と一致する動きを検出する場合に使用不可にされてもよい、構成20記載のシステム。
(構成22)
前記警報対応のデバイスは、該警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、前記警報メッセージを提示するかどうかを決定する、構成13記載のシステム。
(構成23)
地理的に対象を絞った警報メッセージを通信する方法であって、
a. 警報メッセージを選択すること又は作成することと、
b. 対象となる地理的エリアを表す地理的エリアメッセージを作成することであって、該対象となる地理的エリアは、以下のグループ:該警報の本質;該警報によってもたらされる脅威の重大度;気象条件;該警報メッセージを発信する当局の地理的管轄;人口;避難経路;及び地形、から引き出された要因に少なくとも部分的に基づく、前記作成することと、
c. 警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを送信することと、
d. 警報対応のデバイスによって該警報メッセージ及び地理的エリアメッセージを受信することと、
e. 該警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために該地理的エリアメッセージを処理することと、
f. 該緊急警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にある場合かつその場合に限り、該警報メッセージをユーザに提示することとを含む、前記方法。
(構成24)
前記対象となる地理的エリアを避難するよう前記ユーザに指示する工程をさらに含む、構成23記載の方法。
(構成25)
前記警報対応のデバイスは、前記ユーザが前記対象となる地理的エリアを避難するための十分な時間を与えるように選択された期間のような、あらかじめ選択された期間後に、前記警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内に引き続き残っている場合、該ユーザに警告を提示する、構成24記載の方法。
(構成26)
避難経路と共に交通条件を評価し、1次避難経路が過度に交通渋滞している場合に、代替経路をとらせる指示をユーザに提示する工程をさらに含む、構成24記載の方法。
(構成27)
前記警報対応のデバイスが飛行中の航空機内にあるかどうかを決定し、飛行機内にある場合、地上の人々に向けられた警報メッセージの提示をブロックする工程をさらに含む、構成23記載の方法。
(構成28)
地理的に対象を絞った警報メッセージを通信する方法であって、
a. 警報対応のデバイスにより、警報メッセージ、対象となる地理的エリアを表す地理的エリアメッセージ、及び該警報メッセージ、該地理的エリアメッセージ、又はその両方に関連付けられている一意の識別子を受信することと、
b. 該警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定するために該地理的エリアメッセージを処理することと、
c. 該警報対応のデバイスが該対象となる地理的エリア内にある場合かつその場合に限り、該警報メッセージをユーザに提示することとを含む、前記方法。
(構成29)
前記一意の識別子は人々の異なるグループに関連付けられて、前記対象となる地理的エリア内にいる該グループの構成員に警報メッセージが方向付けられるようになっている、構成28記載の方法。
(構成30)
前記警報対応のデバイスは、受信した一意の識別子が該警報対応のデバイスの前記ユーザに関連付けられている場合に認識するように構成される、構成29記載の方法。
(構成31)
前記警報メッセージは、前記デバイスが、あらかじめ選択された医療、商用、又は企業情報を含む場合かつその場合に限り、提示される、構成28記載の方法。
(構成32)
前記警報メッセージは、前記デバイスが、あらかじめ定められた時間内に該メッセージを受信する場合かつその場合に限り、提示される、構成28記載の方法。
(構成33)
前記警報メッセージは、複数の言語で提示され得る、構成28記載の方法。
(構成34)
前記処理する工程は、前記警報対応のデバイスに通信可能に接近しているデバイスから受信した位置情報に基づいて、該警報対応のデバイスが前記対象となる地理的エリア内にあるかどうかを決定する、構成28記載の方法。
(構成35)
前記デバイスはブルートゥース又はWi-Fi対応のデバイスである、構成34記載の方法。
(構成36)
前記デバイスは家庭電化製品である、構成34記載の方法。
(構成37)
前記デバイスは航空機と一体化される、構成34記載の方法。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14