特許第6853823号(P6853823)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853823
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】往復動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 53/10 20060101AFI20210322BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   F04B53/10 Z
   F04B53/00 F
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-531484(P2018-531484)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公表番号】特表2018-538493(P2018-538493A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】US2016067221
(87)【国際公開番号】WO2017106675
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年11月21日
(31)【優先権主張番号】62/269,436
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308025451
【氏名又は名称】グラコ ミネソタ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ローマン, ティモシー, エス.
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−015171(JP,A)
【文献】 特表2013−531161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 21/00−24/06
F16K 15/00−17/168
F16K 31/18−31/34
F04B 53/00−53/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動ポンプであって、
ベローズチャンバとディスプレイスメントチャンバを囲んでいる第1ハウジングと、
前記往復動ポンプの中へ延在しているロッドと、
前記ロッドと前記第1ハウジングに接続され、1つの内部を有するベローズと、
前記第1ハウジングの端部に配置されたエンドキャップであって、前記エンドキャップを通って前記ロッドが延在するように構成された前記エンドキャップと、
前記エンドキャップに取付けられたバルブと、
前記エンドキャップの通路であって、前記ベローズの前記内部を前記バルブに流体的に接続している前記通路と、を備え、
前記バルブは、
入口と出口を備えた第2ハウジングと、
前記第2ハウジング内の第1チャンバであって、第1弁座を備えそして前記入口に流体的に接続された前記第1チャンバと、
前記第2ハウジング内の第2チャンバであって、第2弁座を備えそして前記出口および前記第1チャンバに流体的に接続された前記第2チャンバと、
前記第1チャンバに配置された第1弁体であって、スプリング式チェック弁体からなる前記第1弁体と、
前記第2チャンバに配置された第2弁体であって、浮揚性材料で形成された前記第2弁体と
を備えていることを特徴とする往復動ポンプ。
【請求項2】
前記エンドキャップと前記ロッドとの間に配置された軸受であって、前記ロッドとスラ可能である前記軸受と、
前記エンドキャップと前記ロッドとの間に配置されたシールであって、前記ロッドと前記エンドキャップとの間の流体の移動を妨げる前記シールとを、
更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項3】
前記ロッドに取付けられたスリーブであって、前記ロッドの一部を囲んでいる前記スリーブを更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項4】
前記エンドキャップと前記スリーブとの間に配置された軸受であって、前記スリーブとスライド可能である前記軸受と、
前記エンドキャップと前記ロッドとの間に配置されたシールであって、前記ロッドと前記エンドキャップとの間の流体の移動を妨げる前記シールとを、
更に備える、ことを特徴とする請求項3に記載の往復動ポンプ。
【請求項5】
前記第2チャンバは、前記第2弁体を通過するガスの移動のため前記ハウジングに延在している通路を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項6】
前記第1チャンバに配置されたスプリングを更に含み、前記スプリングは前記ハウジングと接触し、そして、前記第1弁座に対して前記第1弁体を偏移させる、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項7】
前記第2弁体は中空のプラスチックボールである、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【請求項8】
前記第2弁体は中空の円錐体、楕円体、又は円柱体である、ことを特徴とする請求項1に記載の往復動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2015年12月18日に出願された、名称「ベローズの圧力リリーフバルブ」である米国仮特許出願62/269,436の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は往復動ポンプに関し、より詳細にはベローズシールを備えた往復動ポンプに関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
往復動ポンプにおいて、ベローズは外気への作動流体(working fluid)の露出を防ぐための非スライドシールを形成するのに利用されている。不要な流体の漏れ(リーク)を防ぐべく、ベローズにより囲まれたシャフトをシールするためにバックアップシールが採用されている。しかしながら、バックアップシールはベローズの背後をシールし、ベローズが伸縮する際にベローズが空気を出し入れすることを許容しない。そしてそれがベローズ中でのサイクル疲労や変形の原因となる。スクリーン或いはメッシュによる簡単な空気出入孔がベローズとバックアップシールとの間にある場合、ベローズが破れた際に、放出される作動流体の容量が減少するかもしれないが、しかし空気が取込まれ、ポンプはもはや操作を継続できなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
往復動ポンプのためのバルブは、ハウジング、第1チャンバ、第2チャンバ、第1弁体、そして第2弁体を含んでいる。前記ハウジングは入口と出口とを含んでいる。前記第1および第2チャンバは前記ハウジング内にある。前記第1チャンバは第1弁座を含み、前記入口に流体的(fluidly)に接続されている。前記第2チャンバは第2弁座を含み、前記出口と前記第1チャンバに流体的に接続されている。前記第1弁体は前記第1チャンバに配置され、そしてスプリング式チェック弁体(spring-loaded check valve element)を含んでいる。前記第2弁体は前記第2チャンバに配置され、そして浮揚性材料(buoyant material)を含んでいる。
【0005】
往復動ポンプは、第1ハウジング、ロッド、ベローズ、エンドキャップ、エンドキャップに取付けられたバルブ、そして、エンドキャップの通路を含んでいる。前記第1ハウジングはベローズチャンバとディスプレイスメントチャンバを囲んでいる。前記ロッドは往復動ポンプ内に延在している。前記ベローズは前記ロッドと前記第1ハウジングに接続され、内部を含んでいる。前記エンドキャップは前記第1ハウジングの端部に配置されている。前記ロッドは前記エンドキャップを介して延在している。前記バルブは第2ハウジング、第1チャンバ、第2チャンバ、第1弁体、そして第2弁体を含んでいる。前記第2ハウジングは入口と出口を含んでいる。
【0006】
前記第1および第2チャンバは前記第2ハウジング内にある。前記第1チャンバは第1弁座を含み、前記入口に流体的に接続されている。前記第2チャンバは第2弁座を含み、前記出口と前記第1チャンバに流体的に接続されている。前記第1弁体は前記第1チャンバに配置され、そしてスプリング式チェック弁体を含んでいる。前記第2弁体は前記第2チャンバに配置され、そして浮揚性材料を含んでいる。前記通路は前記ベローズの前記内部を前記バルブに流体的に接続する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ベローズとリリーフバルブを備える往復動ポンプの断面図である。
図2】ベローズとベローズに配置された軸受を備える往復動ポンプの部分断面図である。
図3】往復動ポンプのスリーブの斜視図である。
図4】往復動ポンプの軸受の斜視図である。
図5】往復動ポンプのシールの斜視図である。
図6図3の6−6線に沿って得られた3つの丸い突出部を有する葉の形状(以下、ローブ形状)を有するスリーブの断面図である。
図7】2つの、ローブ形状を有するスリーブの断面図である。
図8】4つの、ローブ形状を有するスリーブの断面図である。
図9図2の9−9線に沿って得られた、ベローズに配置された軸受を備える往復動ポンプの切出した断面図である。
図10A】軸受の斜視図である。
図10B図10Aの10−10線に沿って得られた、軸受の断面図である。
図11】リリーフバルブの断面図である。
図12】リリーフバルブの展開図である。
図13A】リリーフバルブの円錐弁体の斜視図である。
図13B】円錐弁体を備えるリリーフバルブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[ポンプ(図1および図2)]
図1および図2は往復動ポンプ10の断面図である。図1および図2は合わせて説明に用いられる。
往復動ポンプ10はハウジング12、ベローズチャンバ14を伴っているハウジング12の上側端部13、ディスプレイスメントチャンバ16を伴っているハウジング12の下側端部15、シリンダマニホールド17、ピストン18、スロートシール19、出口20Aと20B、入口22Aと22B、管路24、肩部28を備えたロッド26、首部29、スリーブ30、スリーブ30の外部32、カラー34、内部38と円環部40を備えたベローズ36、ナット42、軸受44、開口48と通路50を備えたエンドキャップ46、軸受54、シール56、そしてリリーフバルブ58を有している。図1は往復動ポンプを通過する流れFが示されている。
【0009】
往復動ポンプ10は、塗料及び/又は他の流体を送出すように構成されたベローズ循環ポンプを含んでいる。ここでの開示において好適例として塗料が使用されるが、これは単なる一例として理解されるべきものであり、他の流体(水、オイル、溶剤など)を塗料に替えて送出すことができる。1つの非限定的である実施形態として、往復動ポンプ10は、従来において公知の4ボールポンプのような4ボールの複動ポンプである。非限定的である1つの実施形態として、往復動ポンプ10には、修理/パーツマニュアル引用によりその全ての内容が援用される“Sealed 4-Ball Lowers”(“Sealed 4-Ball Lowers”, Part No. 333022B, Revision B, Graco Inc., May 2016)に記述されたポンプを含めることができる。他の非限定的である実施形態として、往復動ポンプ10は、ベローズを備えている又は備えてない、単動ポンプあるいは他のタイプの複動ポンプとすることもできる。
【0010】
ハウジング12は立体であり、一般には、円筒形状そして囲まれた管である。ハウジング12は、スチール、アルミニウムまたは他の金属材料のような材料を含むことができる。ハウジング12の上側端部13は、ハウジング12の上側の端部であり、ハウジング12の上側部分に或いはその近傍に配置されている。ベローズチャンバ14は、ハウジング12の上側端部13の区画である(図1参照)。ハウジング12の下側端部15は、ハウジング12の下側の端部であり、ハウジング12の下側部分に或いはその近傍に配置されている。ディスプレイスメントチャンバ16は、ハウジング12の下側部分に区画を形成している(図1参照)。ディスプレイスメントチャンバ16は、ディスプレイスメントチャンバ16内の作動流体の管理と転送のために構成されている。シリンダマニホールド17は、シリンダマニホールド17内の作動流体の管理と転送のため構成された、固体材料からなる構成体である。ピストン18は、種々の部品を組付けして製造されたピストンであり、ディスプレイスメントチャンバ16を介して作動流体を送出すように構成されている。スロートシール19は、スロートシール19を横切る流体の移動を阻止するために構成された高圧シールである。出口20Aは、ハウジング12の上側端部13から延在している中空で管形状のダクトであり、出口20Aを介して管路24へハウジング12の流体を送出すように構成されている。出口20Bは、ハウジング12から延在している中空で管形状のダクトであり、ハウジング12の外側に向けてハウジング12から流体を送出すように構成されている。入口22Aは、ハウジング12の上側端部13から延在している中空で管形状のダクトであり、ハウジング12の外側からハウジング12のベローズチャンバ14へ流体を送るために構成されている。入口22Bは、ハウジング12から延在している中空で管形状のダクトであり、管路24からハウジング12に向けて流体を送るための構成である。管路24は中空の管である。
【0011】
ロッド26は細長くて固い材料で形成されている。その上端側の近傍に、ロッド26は段状に形成された肩部28を備えている。ロッド26は同様に首部29を備え、この首部29はロッド26の他の部分の直径よりも小さい直径のロッド26の部分を形成している。ひとつの非限定的である実施形態として、首部29は肩部28の上方に配置されている(図2、参照)。スリーブ30は固体材料による筒状あるは管状の部材である。外部32はスリーブ30の外側表面である。カラー34は、ロッド26に取付けるための特徴部及び/又は手段を備えた、固体材料によるリング状部材である。ベローズ36は円環部40を備えた柔軟なスリーブであって、ハウジング12のベローズチャンバ14内で伸縮するベローズ36が得られるように、ベローズ36の表面に沿って山部と他部とを交互に有している。ひとつの非限定的である実施形態として、ベローズ36の材料は、ポリテトラフルオロエチレン、他のタイプのトラフルオロエチレン或いは耐磨耗特性を備えた他の材料とすることができる。ベローズ36の横断面の形状(図1、2では図示していない)は、円形形状や複数の丸い突出部による形状(multi-lobed shape)とすることができる。
【0012】
ナット42はネジ山のある固体材料のリング状部材である。軸受44は、超高分子量ポリエチレン或いは他のタイプの熱可塑性物質及び/又はポリエチレンのような耐磨耗特性を備えた材料により形成されている。エンドキャップ46は、種々の開口部あるいはエンドキャップ46を少なくとも部分的に通過して延びる孔を備えた、固体材料によるディスク状部材である。エンドキャップ46は開口48と通路50を含んでいる。開口48は孔又はエンドキャップ46を貫く通路であり、エンドキャップ46の底部から上部への方向で、上方又は下方(図2における上下)へ延在している。通路50は流体を搬送するための管路である。軸受54は、耐摩耗性表面を備えた固体材料によるリング状部材である。シール56は柔軟な密封表面を備えたリング形状の部材である。リリーフバルブ58は、往復動ポンプ10の流体の流れの出入を調節するためのバルブ(弁)である。
【0013】
流れFは、往復動ポンプ10を経由する流体の経路である。複数の非限定的である実施形態において、流れFによる流体は、気体又は塗料、油、水、作動油、溶剤、石鹸のような液体、又は他の工業的な流体とすることができる。
【0014】
往復動ポンプ10は、駆動源(モータ)に接続されて、駆動することができる。複数の非限定的である実施形態において、往復動ポンプ10は空気圧、水圧または電気による駆動源に接続することができる。ハウジング12のベローズチャンバ14とディスプレイスメントチャンバ16は、ハウジング12の所定の箇所で互いに分離されている。ピストン18はロッド26の下端部に取付けられている。スロートシール19はロッド26のシールを形成すると共に、スロートシール19に対してロッド26が相対的に上下移動できるようにして、スロートシール19がロッド26に取付けられている。スロートシール19は、ハウジング12の下側端部15の上側端部に取付けられている。出口20Aはハウジング12のベローズチャンバ14に流体的(fluidly)に接続されている。出口20Aは、出口20Aから入口22Bへ流体を搬送するため、ハウジング12の出口20Aから入口22Bまで延在している管路24を介して、入口22Bに流体的に接続されている。入口22Bはハウジング12のディスプレイスメントチャンバ16に流体的に接続されている。
【0015】
ロッド26はエンドキャップ46の開口48を貫通し、ハウジング12のベローズチャンバ14に延在している。ロッド26の一部は、更にディスプレイスメントチャンバ16へと部分的に延在している。ローブ形状であるロッド26はエンドキャップ46内で軸受54と相互作用し、ロッド26とエンドキャップ46との間の相対回転を阻止する。スリーブ30は、ロッド26の一部を囲むようにして、ロッド26に接続されている。スリーブ30の一部は、ロッド26の肩部2に接触している。スリーブ30は、ネジ部品、ボルト、クリップ、又はその他の機械的留め具により、ロッド26に固定されている。スリーブ30は、ロッド26上に取付けられ、ロッド26の肩部28に掛っている。カラー34はスリーブ30の上方でロッド26に取付けられ、ロッド26の肩部28に対しカラー34を支持することにより、ロッド26にスリーブ30を固定している。カラー34は更にロッド26の首部29でロッド26に取付けられている。複数の非限定的である実施形態において、ネジの噛合い、留め具、接着、又は当業界で公知のその他の取付手段により、カラー34はロッド26に取付けられている。ロッド26とスリーブ30は、軸受54を貫通して延在している。
【0016】
ベローズ36は、ナット42によってロッド26及びスリーブ30に取付けられ、ここで、ナット42はベローズ36の下端部をスリーブ30に押付けてシールし、これによりスリーブ30とベローズ36との間の角度方向の動きが規制されている。ベローズ36はエンドキャップ46とハウジング12の上側端部13との間に取付けられ、これによりベローズ36とハウジング12との間の相対角度の動きが規制されている。軸受44は、ベローズ36範囲内のスリーブ30上に配置され、それぞれベローズ36の円環部に放射状に配置されている。
【0017】
エンドキャップ46はハウジング12の上側端部13に配置され、取付けられている。通路50は、エンドキャップ46の一部を貫通して延在しており、ベローズ36の内部38をリリーフバルブ58に流体的に接続している。軸受54はエンドキャップ46とスリーブ30との間に配置されてスリーブ30にスライド可能とされており、これにより軸受54が、ロッド26及びスリーブ30がハウジング12へ出入の動作をすることを許容している。軸受54はエンドキャップ46の開口48に嵌め込まれている。軸受54の形状は、エンドキャップ46内の開口48の形状に一致している。シール56はエンドキャップ46とスリーブ30(又はロッド26)との間に配置されており、これによりシール56はロッド26とエンドキャップ46との間の流体の移動を規制している。リリーフバルブ58はエンドキャップ46に取付けられており、エンドキャップ46にネジ留めすることができる。リリーフバルブ58は、エンドキャップ46内の通路50に流体的に接続されている。
【0018】
1つの非限定的である実施形態において、ベローズ36の第1端部をスリーブ30の第1端部に取付けることにより、往復動ポンプ10は組付けがされている。ベローズ36の第1端部は、ベローズ36の第1端部をスリーブ30に押付けてシールするナット42によりスリーブ30にベローズ36を固定することよって、スリーブ30の第1端部に取付けられている。ベローズ36を伴うスリーブ30は、ロッド26の一部分にスライドされる。スリーブ30はロッド26に締め付けられている。スリーブ30はロッド26の上をロッド26の肩部28と接触するまでスライドする。カラー34はスリーブ30上方のロッド26に取付けられ、これによりカラー34はロッド26の肩部28に対しスリーブ30の一部を保持する。スリーブ30は、ネジ部品、ボルト又はクリップによりスリーブ30がロッド26に取り付けられることにより、ロッド26に固定される。スリーブ30とロッド26は、往復動ポンプ10のハウジング12に挿入されている。スリーブ30とロッド26を伴ったエンドキャップ46は、少なくともひとつのネジ部品により、往復動ポンプ10のハウジング12に固定される。ベローズ36の第2端部は、往復動ポンプ10のハウジング12のエンドキャップ46に取付けられている。エンドキャップ46はネジ部品で往復動ポンプ10のハウジング12に固定されている。
【0019】
往復動ポンプ10の操作の間、ピストン付きのロッド26は、ハウジング12内で上下の往復動作で駆動される。ロッド26とスリーブ30は、ハウジング12に対しスリーブ30がロッド26と共に動くように、取付けられ、スリーブ30はロッド26に関して静止したままである。スロートシール19は、ベローズチャンバ14とディスプレイスメントチャンバ16との間で流体の通過を規制するように、ハウジング12内に取付けられている。軸受54とシール56は、ロッド26がハウジング12を出入りするような往復動をしたときに、ロッド26とエンドキャップ46との間の密閉(シール)を提供する。ベローズ36とスリーブ30との間の接続は、スリーブ30とベローズ36の間の接続点を介してベローズ36の内部38に作動流体が浸入することを防ぐことができる静的なシールを形成している。ベローズ36はスリーブ30に対して非スライドシールを形成し、これは往復動ポンプ10の作動流体を外気に晒すことを防止する。ロッド26が往復動されてハウジング12に入ったとき、ベローズ36が伸び、ベローズ36の長さが増加する。ロッド26が往復動されてハウジング12から出たとき、ベローズ36は縮小し、ベローズ36の長さが減少する。
【0020】
スリーブ30によって、ロッド26の強度と信頼性を改善している1つの部品とすることを可能にしている。この往復動ポンプ10の構成は、ベローズ36を交換するために、往復動ポンプ10を完全に分解することを求めない。エンドキャップ46とカラー34はハウジング12から取外され、そのときベローズ36と共にスリーブ30は、往復動ポンプ10の頭部から引出される。
【0021】
スリーブ30の別の利点は、ロッド26を取外すことなく、スリーブ30とベローズ36が往復動ポンプ10から取外されるこが可能ということである。例えば、仮にベローズ36が破損した場合、ユーザはカラー34を外し、エンドキャップ46を外し、そしてスリーブ30とベローズ36を往復動ポンプ10の外へとスライドさせる。ベローズ36はスリーブ30上で交換され、その組立体はロッド26上、そして往復動ポンプ10内へとスライドされる。手順の残りは、往復動ポンプ10を組み立てるための所定のものである。この様に、ロッド26は外す必要がない。このことは、ロッドとピストンシールとに触る必要がなくなり、それによってポンプハウジング12のディスプレイスメントチャンバ16が損傷されないことを意味している。これにより、従来設計のものと比較してベローズ36の交換が大幅に簡素化される。
【0022】
[ローブ形状のスリーブ(図3−8)]
図3はスリーブ30のひとつの実施例の斜視図で、ここではスリーブ30は、ロッド軸AR回りに配置された3つの丸い突出部を備えたローブ形状を含んでいる。複数の丸い突出部60は、スリーブ30の製造工程の間に形成することができる。複数の丸い突出部60は、スリーブ30と複数の丸い突出部60とが1つの材料によるものとしてもよいし、複数の丸い突出部60がスリーブ30に取付けられる、或いは添加されるものでもよい。スリーブ30の横断面はローブ形状を含んでいる(図6−8、参照)、ここでは例えば2つ、3つ、4つ或いはそれ以上であるような少なくとも2つの丸い突出部を含むことができる。
【0023】
軸受54、シール56、そしてエンドキャップ46の開口48は、スリーブ30の横断面のローブ形状に対応するように構成されている。軸受54はエンドキャップ46の開口48内に嵌込まれ、そして、ハウジング12に対してスリーブ30の回転を規制するように、エンドキャップ46、軸受54そしてスリーブ30が構成され、スリーブ30は軸受54に嵌込まれている。
【0024】
従来の往復動ポンプの作動または組立ての間に、ポンプのロッドはポンプのハウジングに対し回転することができ、それはベローズ36が構造的に或いはパフォーマンス面から悪化する原因となる。既存の対策は、平坦側と小さいコーナー半径によるD形状のロッドの使用を含んでいるが、これは製造することが困難であると共に、シールすることにも難がある。
【0025】
スリーブ30のローブ形状、これに対応している軸受54、シール56およびエンドキャップ46の開口48は、ハウジング12に対してスリーブ30が回転するのを規制する。スリーブ30は、ハウジング12のエンドキャップ46と係合して、往復ポンプ10の組立及び運転時の回転からスリーブ30を抑制する。スリーブ30のローブ形状は、高精度かつ良好な表面仕上げでスリーブ30に容易に接地することができ、いずれも往復動ポンプ10及びシール56が正常に機能するための要求に基づく。特に、3つのローブ形状は、3つの丸い突出部によってスリーブ30に固有のセンタリング特性を与え、一方、スリーブ30の最小コーナー半径を維持して、往復動ポンプ10のシール54のような往復動ポンプでのバックアップシールが許容される。スリーブ30の固有のセンタリング特性は、同様にベローズ36にも及ぶ、ここでベローズ36は対応してロッド26及びハウジング12に対して自動的に中心にされる、これはロッド26とスリーブ30のローブ形状に基づくものである。
【0026】
エンドキャップ46とロッド26との間の境界面を介してハウジング12の外に流体が出ないようにするため、シール56がエンドキャップ46とロッド26とによりシールされた境界面を形成するということが回転規制の利点である。スリーブ30のローブ構成はD形状の構成と比較して、スリーブ30とエンドキャップ46との間により良いシールを形成するのを許容する、またロッド26及び/又はスリーブ30は、往復動ポンプ10の要素の何れかに障害が生じる前に、ロッド26とハウジング12との間により大きなトルクが適用されることを同様に許容する。
【0027】
図4は、往復動ポンプ10からの軸受54の斜視図である。軸受54はスリーブ30のローブ形状を収容するように構成されている。図4において、軸受54は3つのローブ62を含んでいることが示されている。他の非限定的である実施形態において、軸受54は、3つのローブ62とは異なる、2つ、4つ或いはこれよも多いローブを含んでいる横断面の形状を含むものとすることができる。
【0028】
図5は、往復動ポンプ10からのシール56の斜視図である。シール56はスリーブ30のローブ形状を収容するように構成されている。図5において、シール56は3つのローブ64を含んでいることが示されている。他の非限定的である実施形態において、シール56は、3つのローブ64とは異なる、2つ、4つ或いはこれよも多いローブを含んでいる横断面の形状を含むものとすることができる。
【0029】
従来のポンプにおいて、ロッドと対応しているシールは小さなコーナー半径を含み、これはロッドとシールとの間に密閉を提供することを困難としている。スリーブ30とシール56のローブ形状はスリーブ30のローブ形状60の丸みのあるコーナー半径に適合するシール56を許容し、従来シールの構成よりも、スリーブ30とシール56との間により確実なシールを提供する。
【0030】
図6は、図3の6−6に沿った、スリーブ30の断面図である。スリーブ30は3つのローブ60によって3ローブ形状を包含している。スリーブ30が加工または製造されるときに、ローブ60がスリーブ30と共に形成される。他の非限定的である実施形態では、ローブ60はスリーブ30に取付けることができる。上述したように、スリーブ30のローブ形状とシール56は、スリーブ30のローブ60の湾曲されたコーナー半径に適合するシール56について許容し、スリーブ30とシール56との間により確実なシールを提供する。更に、スリーブ30の3ローブ形状は、固有のセンタリング特性を提供し、一方で、往復動ポンプ10のシール54のようなバックアップシールについて許容できる最小コーナー半径を維持している。
【0031】
図7は、スリーブ30’の断面図である。スリーブ30’は、2つのローブ60’
を備えた2ローブ形状を包含している。スリーブ30’のこの2ローブ構成はハウジング12のエンドキャップ46と係合して、往復動ポンプ10の組立てや操作の間に、スリーブ30およびロッド26が回転すること規制する。
【0032】
図8は、スリーブ30“の断面図である。スリーブ30“は4つのローブ60”を備えた4ローブ形状を包含している。スリーブ30“のこの4ローブ構成はハウジング12のエンドキャップ46と係合して、往復動ポンプ10の組立てや操作の間に、スリーブ30およびロッド26が回転すること規制する。
【0033】
[軸受(図9、10Aおよび10B)]
図9は、図2の9−9に沿って、往復動ポンプ10を切出した断面図である。図9は、ハウジング12、ロッド26、スリーブ30、スリーブ30の外部32、ベローズ36、ベローズ36の内部38、円環部40、ナット42そして軸受44を示している。
【0034】
軸受44は、ベローズ36とスリーブ30との間のベローズ36の内部38内に配置されている。軸受44はスリーブ30の外部32の周囲に延在し、ベローズ36の円環部40に放射状に整列され、例えばロッド軸ARから放射方向に沿って整列されている。軸受44はスリーブ30とスライド可能に係合され、矢印RMにより示されるように、ベローズ36がスリーブ30に対して動いたときに、スリーブ30は軸受44に対して軸方向で動くように構成されている。例えば、ベローズ36が接触し及び伸びたとき、それぞれの円環部40がロッド26及びスリーブ30に対して軸方向に動く。軸受44のそれぞれは放射方向に円環部40で配置されているので、軸受44のそれぞれはベローズ36が伸縮したときに円環部40に伴って動く。
【0035】
軸受44は、ベローズ36の伸縮の間、ベローズ36がロッド26に接触することを防ぐようして配置されている。往復動ポンプ10の操作の間、ベローズ36をサポートし、捻じれや損傷からベローズ36を保護するため、軸受44はロッド26上を上下に摺り動く。捻じれや損傷からベローズ36を保護すると、ベローズ36が破損する原因となるような、ベローズ36がスリーブ30と接触することから保護できる。ベローズ36の破損を防止することで、作動流体がベローズ36の内部38に侵入し、これにより往復動ポンプ10の故障の原因となるのを防止する。
【0036】
往復動ポンプ10における軸受44の数は、ひとつ又はそれ以上とすることできる。ひとつの非限定である実施形態において、軸受44はベローズ36の内部38に沿って互いに概ね等間隔に配置することができる。他の非限定的である実施態様においては、軸受44はベローズ36及び往復動ポンプ10の長さ及び操作挙動を考慮して均一又は不均一の間隔パターンで配設することができる。
【0037】
図10Aは、スリーブ30の3ローブ形状に一致するように構成してある、軸受44の実施形態の斜視図である。図10Bは、図10Aでの10−10に沿った軸受44の断面図である。図10A図10Bは一緒に説明される。
【0038】
軸受44は、スナップリングであり、スリット部66、尾根部68、および内面70を含んでいる。スリット部66は、軸受44における不連続な部分を含んでいる。スリット部66は、軸受44に沿った傾斜カットを備えている。他の非限定的な実施形態では、スリット部66は、湾曲状、ギザギザ状、ノコ歯状、または他の幾何学的形状の境界面など、斜め線以外の形状を含むことができる。尾根部68は、軸受44から一様に放射状に外側へ延在して軸受44の突出した面を含む。尾根部68は、軸受44の一部として形成したり、軸受44に取付けたりすることができる。
【0039】
軸受44の内面70は、断面形状でスリーブ30のローブ形状を収容するように構成された軸受44の内側表面である。軸受44の内面70の断面形状は、3ローブ構成を含む。他の非限定的な実施形態において、軸受44の内面70の断面形状は、2個、4個以上のローブを有するローブ形状を含むことができる。なお、他の非限定的な実施形態においては、軸受44の内面70の断面形状は例えば円形状のローブ形状以外の任意の形状を含むことができる。このような内面70の非限定的な実施態様においては、ローブ形状を有する軸受44の円形の内面70(又は、内径)には、スリーブ30に対して3つの接触点が形成され、内面70の形状をローブに適応させることなく軸受44の軸方向位置を維持する。このような構成により、軸受44をロッド26及び/又はスリーブ30と強制的に共軸とする。
【0040】
スリット部66は、インストール中において、軸受44がベローズ36に挿入されるのを可能にするため、軸受44が撓まされることを許容する。スリット部66の境界面は、軸受44の一部が分割され、内側へ巻くことができる。ベローズ36内への軸受44のインストールの間、巻いた軸受44が自身内に入込むことにより、軸受44の直径は減少する。軸受44が内側へ巻かれたとき、軸受44の有効径は減少する。減少した直径によって、軸受け44はベローズ36に挿入される。ひとたび、ベローズ36のいずれかの円環部40と一致すると、軸受44の前記内側への巻きが解かれ軸受44の有効径が増加する。軸受44の直径が大きくなると、軸受44はベローズ36の円環部40のいずれかに係止される。ベローズ36の円環部40に軸受44が係止したとき、尾根部68がベローズ36の円環部40に挿入される。ベローズ36の円環部40に尾根部68が挿入されることにより、軸受44はベローズ36の円環部40に保持されることになり、これにより軸受44と円環部40との間の相対的な軸方向の変位を禁止している。ベローズ36がロッド26とスリーブ30に沿って伸縮したとき、軸受44はベローズ36の円環部40と共に移動して、ベローズ36がスリーブ30に接触するのを防止する。
【0041】
他の非限定的な実施形態では、軸受44はベローズ36の円環部内に配置された専用の受け溝を介してベローズ36と結ばれる。前記専用の受け溝は軸受44を受入れるための溝を有する袖付きカラーを含めることができる。前記専用の受け溝は、ベローズ36の軸受44のインストール前にベローズ36の円環部40に沿って配置することができる。
【0042】
[リリーフバルブ(図11、12、13Aおよび13B)]
図11はリリーフバルブ58の断面図である。図12はリリーフバルブ58の分解図である。図11と12を併せて説明する。リリーフバルブ58は、往復動ポンプ10に使用されているものとして説明するが、他の非限定的な態様では、このリリーフバルブ58はダイヤフラムポンプやその他の静的に密閉された組立体などの他の種類のポンプと併用することもできる。
【0043】
リリーフバルブ58は、ハウジング72、入口74、出口76、第1チャンバ78、第2チャンバ80、通路81、通路82、第1弁座84、第2弁座86、スプリング式チェック弁体90およびスプリング92を備えた第1弁体88、およびボール96Aと86Bを備えた第2弁体94を含んでいる。
【0044】
ハウジング72は、第1チャンバ78、第2チャンバ80、入口74、および出口76を含む一般に円筒体の部材である。入口74および出口76は、ハウジング72から外側へ延在している固体材料による管状部である。入口74と出口76の両方に、ネジ切りまたは固定或いは取付けのための他の機能を含めることができる。第1チャンバ78および第2チャンバ80は、液体や気体などの流体の搬送のためのハウジング72内の区画である。通路81は、ハウジング72の一部を貫通して延びる流体通路である。通路82は、第2チャンバ80の壁に沿ってその内部にある、スリット部、カット部、または通路である。本実施形態では、第1弁座84及び第2弁座86は、封止面を提供するOリングである。第1弁体88は、スプリング式チェック弁体90およびスプリング92を備えている。スプリング式チェック弁体90は、スプリング92に接続されたボール弁体である。第2弁体94は、プラスチック等の浮揚性材料のボール96A及び96Bを含んでいる。他の非限定的な態様において、第2弁体94は、1つ以上の中空ボール、楕円体、円錐体、円柱体、または他の形状を含むことができる。
【0045】
リリーフバルブ58の入口74は、ハウジング12のエンドキャップ46に取付けられており、エンドキャップ46の通路50を介してベローズ36の内部38に流体的に接続されている。第1チャンバ78には、第1弁体88および第1弁座84が含まれ、入口74および第2チャンバ80に流体的に接続されている。第2チャンバ80は、第2弁体94および第2弁座86を含み、出口76と第1チャンバ78に流体的に接続されている。通路81は、第1チャンバ78と第2チャンバ80に流体的に接続されている。通路82は第2チャンバ80の壁の一部に沿って延びている。第1弁座84は、第2チャンバ80とは反対の第1チャンバ78の端部に位置し、入口74と第1弁体88との間でハウジング72に配設されている。第1弁座84は、第1弁体88が第1弁座84に接触する際に、第1弁体88によってシールされるように構成された形状を備えている。
【0046】
第2弁座86は、第1チャンバ78と反対の第2チャンバ80の端部に位置し、出口76と第2バルブ素子94との間でハウジング72に配設されている。第2弁座86は、第2弁体94が第2弁座86に接触する際に、第2弁体94によってシールされるように構成された形状を備えている。スプリング式チェック弁体90は、第1チャンバ78に配設されている。第1バルブ88のスプリング92は、第1弁座84に対してスプリング式チェック弁体90を偏移させ、第1弁座84と反対の第1チャンバ78の端部でハウジング72に接続されている。第2弁体94は、第2弁体94が第2チャンバ80内で自由に移動することができるように第2チャンバ80内に配置されている。第2弁体94は、ハウジング72により第2チャンバ80の中心に位置されている。
【0047】
既存のポンプでは、ベローズは作動流体の外気への露出を防ぐための非スライドシールを形成するために利用されている。不要な液漏れを防ぐため、ベローズで囲んだポンプロッド(pump rod)のシールのためにバックアップシールを使用することができる。しかしながら、このバックアップシールはベローズの背面をシールし、ベローズが伸縮したときにベローズが空気を出し入れすることを許容しない。このことは、ベローズのサイクル疲労と変形を引き起こす原因となる。仮にスクリーン状またはメッシュ状の簡単な空気出入穴がベローズとバックアップシールの間に設置されているとすると、ベローズの破裂が生じた場合に、空気はその穴を介して進入し、一方作動流体はその穴を介して出ることができてしまい、そしてポンプはもはや動作を続けることはなってしまう。
【0048】
スプリング式チェック弁体90を備えた第1弁体88は、リリーフバルブ58を通ってベローズ36の内部38内に流体が浸入するのを防ぐ一方、流体がベローズ36の内部38を去り、スプリング式チェック弁体90を通過することを許容するように設計されている。スプリング式チェック弁体90を備えた第1弁体88はまた、往復動ポンプ10の通常の繰り返し動作中ベローズ36の内部38が加圧されない状態を確保するために、大気圧よりも高いいかなる圧力もベローズ36に発生させないよう設計されている。ベローズチャンバ14内の圧力が大気圧以下の場合、第1弁体88は、第1弁座84に対して第1弁体88の位置を維持することによりベローズ36が破裂した後もポンプ動作を保持する。ベローズ36が破れていても、ベローズ36の内部38は、ポンプの入口の吸引により大気圧以下に低下させることができる。
【0049】
第2弁体94は、空気などの低粘度流体をリリーフ弁58から逃がすのを許容するために用いられるが、作動流体が往復動ポンプ10から出て、リリーフ弁58に入る場合、第2弁体94は、第2弁座86に対して、第2弁体94を加圧している作動流体内で浮上する。リリーフバルブ58からの流体の流れは、それによって遮断され、流体はベローズ36の内部38から出ることができない。しかしながら、第2弁体94は、この第2弁体94より密度の濃い流体によってのみ浮揚されるので、第2弁体94は第2チャンバ80に流体が存在する場合にのみ第2弁体94は止める又は閉じられる。この構成により、第1チャンバ78でスプリング式チェックバルブ要素90がベローズ36の内部38の空気を出すようにし、ベローズ36の障害が発生した場合には、第2弁体94は、作動流体がリリーフバルブ58から逃げるのを防ぐ。
【0050】
1つの非限定的な実施形態において、リリーフバルブ58の第2弁体94は、ボール96Aや96Bなどの2個の中空のプラスチック製ボールを含むことができる。他の非限定的な実施形態においては、第2弁体94の量、大きさ、形状、材質を選択して、所望の浮力や流動特性を提供することができる。中空のプラスチックボールの特性の1つは、問題を引き起こす流体が存在し、リリーフバルブ58の第1弁体88を介してベローズ36から空気がブリードしているとき。設計によって、それらは非常に軽いので、浮いて、リリーフバルブ58を閉じることができることである。流出する空気が、十分に速く移動すると、ボール96Aおよび96Bを持上げ、第2弁座86に対してボール96Aおよび96Bを封止し、空気のブリードを防ぐ。第2弁体94が浮揚し、そして第2弁座86と接触してしまうというブリードの潜在的は問題に対処するために、ハウジング72の通路82は、第2弁体94をハウジング72の中央に維持しながら、第2弁体94の周りに空気の通路を付与する。このように、通路82は、第2弁体94を通過する及び/又は第2弁体94の周囲を通過する空気の通路を提供している。
【0051】
ベローズ36の故障または破裂の際に、リリーフバルブ58の構成は、空気が往復動ポンプ10に入るのを防ぎ、作動流体が往復動ポンプ10を抜けるのを防止する。リリーフバルブ58は、往復動ポンプ10の通常動作中にベローズ36の内部38の内圧が過度に高くなるのを防ぎ、ベローズ36が破裂し、ベローズチャンバ14の内部圧が大気圧以下であるという場合、往復動ポンプ10に空気が取込まれるのを防ぎ、そして、ベローズ36の内部38や往復動ポンプ10のハウジング12のベローズチャンバ14の内部圧が、大気圧以上の場合にも、往復動ポンプ10から流体が押出されるのを防止する。
【0052】
図13Aは、リリーフバルブ58の第2弁体94‘の代替実施形態の斜視図である。図13Bは、第2弁体94‘を備えたリリーフバルブ58の断面図である。図13Aおよび13Bは、併せて説明に用いられる。
【0053】
第2弁体94‘は円錐体形状で、浮揚性材料を含んでいる。図13Aで示すように、その上端は、第2弁座86と係合するように構成された形状を含み、これにより第2チャンバ80からの流体の移動やリリーフバルブ58からの流出を防止するシールを形成する。
図11、12において説明された第2弁体94と同様に、第2弁体94‘はハウジング72の通路82と組合わされていて、この組み合わせが、リリーフバルブ58から流出する空気により第2の弁体94’が閉じてしまうのを防止し、よって空気が第2弁体94’を通過する及び/又は第2弁体94’の周囲を通過することができる。
【0054】
本発明は、実施形態を参照して説明したが、種々の変更がなされていてもよいこと、そして発明範囲から逸脱しない均等物に代えてもよいことを、当業者によって理解されるべきである。更に、多くの変更は、その本質的な範囲を逸脱することなく、発明の教示に特定の状況や材料を適応させることができる。したがって、本発明が開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、特許請求の範囲内に入るすべての実施形態を包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B