【文献】
Mandom, Total Beauty Gel,Mintel GNPD [online],2012年10月,ID#:1900498
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のジェル状化粧料は、必須成分として、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー;アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー;モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、及びジベヘン酸グリセリルからなる群より選ばれる1以上のモノグリセリン脂肪酸エステル;炭素数12〜24の脂肪族アルコール:並びに水を含有する。本明細書においては、上記「(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー」を「成分(A)」、上記「アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー」を「成分(B)」、上記「モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、及びジベヘン酸グリセリルからなる群より選ばれる1以上のモノグリセリン脂肪酸エステル」を「成分(C)」、上記「炭素数12〜24の脂肪族アルコール」を「成分(D)」、上記「水」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0011】
すなわち、本発明のジェル状化粧料は、成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、及び成分(E)を少なくとも含有する。本発明のジェル状化粧料は、用途に応じて、さらに、必須成分である成分(A)〜(E)以外の成分を含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料に含まれる上記成分(A)〜(E)及び他の成分などの各成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0012】
本発明のジェル状化粧料は、水中油型のジェル状化粧料である。連続相が水(成分(E))であるため、みずみずしい使用感と、水分の補給力に優れる。また増粘剤として、成分(A)と(B)とを特定の質量割合[成分(B)/成分(A)]で配合することにより、ジェルの弾力性と硬さを制御しているため、崩れにくく、弾力性を有する厚み感の維持に優れるジェル状化粧料となっている。
【0013】
以下に、本発明のジェル状化粧料の必須成分である成分(A)〜(E)について説明する。
【0014】
[成分(A)]
成分(A)は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー成分(A1a))に由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル(モノマー成分(A1b))に由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーである。成分(A)は、系を増粘させてジェル剤型とする水溶性高分子であり、特にジェルに弾力性を与える効果を発揮する。このため、塗布時にジェルらしい弾力性が強く感じられるジェル状化粧料とすることができる。上記モノマー成分(A1b)としては、例えば、メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルなどが挙げられる。また、上記モノマー成分(A1b)におけるオキシエチレンの平均付加モル数は15〜30が好ましい。モノマー成分(A1a)とモノマー成分(A1b)とは、それぞれ、1種のみが用いられてもよいし、2種以上が用いられてもよい。成分(A)は、モノマー成分(A1a)及びモノマー成分(A1b)以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。成分(A)としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとのコポリマーなどが挙げられる。
【0015】
成分(A)としては、INCI名で「ACRYLATES/STEARETH−20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/STEARETH−20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)クロスポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/BEHENETH−25 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー)」と表記される化合物などが好ましい。上記の中でも、本発明のジェル状化粧料に、みずみずしい塗布感触と、弾力を有する厚み感を与える観点から、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマーが好ましい。
【0016】
成分(A)は市販品を用いることもできる。成分(A)の市販品としては、例えば、商品名「アキュリン22」、商品名「アキュリン88」、商品名「アキュリン28」(いずれもダウケミカル社製)などが挙げられる。
【0017】
[成分(B)]
成分(B)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位(いわゆる、モノマー単位)を少なくとも含むポリマーである。成分(B)は、系を増粘させてジェル剤型とする水溶性高分子であり、特に厚み感の維持に寄与する効果を発揮する。上記アクリロイルジメチルタウリン酸塩としては、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム等が挙げられる。成分(B)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸アミド等のアミド基含有アクリルモノマーなどが挙げられる。成分(B)としては、例えば、アクリル酸とアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸塩とアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマーなどが挙げられる。
【0018】
成分(B)としては、INCI名で「Sodium Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名で「Hydroxyethyl Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物等が好ましい。上記の中でも、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーが好ましい。
【0019】
成分(B)は市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、商品名「SIMULGEL EG」、商品名「SIMULGEL NS」(以上、SEPPIC SA社製)などが挙げられる。
【0020】
本発明のジェル状化粧料中の成分(B)の含有量は、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.2〜1.2質量%であり、好ましくは0.3〜0.8質量%である。上記含有量が0.2質量%未満では、増粘効果が低く、ジェルがやわらかくなりすぎて、塗布時の厚み感が失われる。上記含有量が1.2質量%を越える場合には、ジェルが硬くなりすぎて、弾力性が失われる。上記成分(B)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(B)の含有量の合計である。
【0021】
本発明のジェル状化粧料において、上記成分(A)の含有量に対する上記成分(B)の含有量の質量割合[成分(B)/成分(A)]が、1.0〜15.0であり、好ましくは1.0〜10.0である。上記質量割合を上記範囲内とすることにより、弾力性と厚み感及びその維持とを両立させたジェル状化粧料とすることができる。上記質量割合を、1.0以上とすることにより、成分(B)の特徴である塗布時の厚み感およびその維持の効果がより優れるものとなり、上記質量割合を15.0以下とすることにより、成分(A)特有のジェルの弾力性に優れ、塗布時の厚み感にも優れたものとなる。
【0022】
[成分(C)]
成分(C)は、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、及びジベヘン酸グリセリルからなる群より選ばれる1以上のモノグリセリン脂肪酸エステルである。成分(C)は、親油性のノニオン界面活性剤であり水中油型の乳化系を形成するための乳化剤としての効果を発揮する。加えて、塗布時の厚み感を向上させる効果を発揮する。成分(C)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0023】
本発明のジェル状化粧料中の成分(C)の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.05〜3.0質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0質量%である。上記含有量が0.05質量%以上であると、乳化安定性と塗布時の厚み感を向上させる効果に一層優れる。上記含有量が3.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。上記成分(C)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(C)の含有量の合計である。
【0024】
[成分(D)]
成分(D)は炭素数12〜24の脂肪族アルコール(高級アルコール)である。成分(D)は、系の粘度を制御し、塗布時の厚み感を一層向上させる。成分(D)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0025】
成分(D)の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは12〜24、より好ましくは14〜22である。炭素数が上記範囲内であると、塗布時の厚み感を向上させる効果に一層優れる。また、塗布時の厚み感を一層向上させる観点からは、成分(D)は、1価の脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0026】
成分(D)としては、特に限定されないが、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール及びバチルアルコールなどが挙げられる。
【0027】
本発明のジェル状化粧料中の成分(D)の含有量は、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜1.0質量%であり、好ましくは0.1〜0.6質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、系の粘度を制御して、塗布時の厚み感を一層向上させる。上記含有量が1.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。上記成分(D)の含有量は、本発明のジェル状化粧料中の全ての成分(D)の含有量の合計である。
【0028】
[成分(E)]
成分(E)は水である。成分(E)は水中油型の乳化系を形成するための媒体としての役割を発揮する。上記水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。本発明のジェル状化粧料中の成分(E)の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、60.0〜90.0質量%が好ましくは、より好ましくは70.0〜85.0質量%である。
【0029】
以下に、本発明のジェル状化粧料の好ましい任意成分について説明する。
【0030】
[その他成分]
本発明のジェル状化粧料は、各成分の分散性や化粧料の肌への浸透性を向上させる観点から、エタノールを含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料中のエタノールの含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、各成分の分散性や肌への浸透性を一層向上させる。また、上記含有量が30.0質量%以下であると、刺激や粘度低下による化粧料の不安定化を抑制する効果に一層優れる。
【0031】
本発明のジェル状化粧料は、保湿効果を向上させる観点から、多価アルコールを含んでいてもよい。上記多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコールなどが挙げられる。より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどのグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコールなどを例示することができる。上記多価アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0032】
本発明のジェル状化粧料100質量%中の、多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜30.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜25.0質量%である。上記含有量が0.1質量%以上であると、保湿効果を一層向上させる。また上記含有量が30.0質量%以下であると、べたつきを抑制する効果に一層優れる。
【0033】
本発明のジェル状化粧料は、エモリエント効果を向上させる観点から、炭化水素油、エステル油及び植物油からなる群より選ばれた油性成分を含んでいてもよい。本発明のジェル状化粧料100質量%中の、上記油性成分の含有量は、特に限定されないが、本発明のジェル状化粧料100質量%に対して、0.1〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜10.0質量%である。
【0034】
上記炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。上記エステル油としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチルなどが挙げられる。上記植物油としては、例えば、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、アルガンオイル、コメ胚芽油などが挙げられる。
【0035】
本発明のジェル状化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、シリコーン油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリンなどのロウ類;結晶セルロース、セルロース粒子、シリカ、炭酸カルシウムなどのスクラブ剤;メントール、メンチルグリセリルエーテルなどの清涼剤;パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノールなどの防腐・殺菌剤;金属イオン封鎖剤;酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤;香料;粉体;色材などが挙げられる。上記その他成分は、適宜、その用途、目的に応じて配合することができる。
【0036】
本発明のジェル状化粧料は、ジェル状(ゲル状)の剤型である。本発明のジェル状皮膚用化粧料の粘度は、特に限定されないが、25℃の測定条件下で、4000〜500000mPa・sが好ましく、より好ましくは8000〜100000mPa・sである。なお、上記粘度は、例えば、TVB型回転粘度計(商品名「TVB−22L」東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
【0037】
<本発明のジェル状化粧料>
本発明のジェル状化粧料の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造することができる。上記ジェル状組成物の製造方法としては、例えば、上記した成分を加えて、ディスパーミキサー、パドルミキサーなどの公知の混合装置を用いて混合する方法などを例示することができる。但し、本発明は上述した製造方法にのみ限定されない。また、本発明のジェル状化粧料は、ディスペンサー容器、チューブ容器、広口ジャー容器などの容易に取り出すことが可能な容器に充填されることが好ましい。
【0038】
本発明のジェル状化粧料は、皮膚に用いられる皮膚用化粧料である。具体的には、特に限定されないが、クレンジング化粧料、マッサージ化粧料などに好ましく用いられる。
【0039】
本発明のジェル状化粧料を適用する部位としては、特に限定されず、例えば、顔(額、目元、目じり、頬、口元など)、身体(腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中など)などが挙げられる。中でも、特に好ましくは顔である。本発明のジェル状化粧料は、顔用のジェル状化粧料であることが好ましい。
【0040】
本発明のジェル状化粧料は、水(成分(E))、特定の水溶性高分子(成分(A)及び成分(B))及び特定のモノグリセリン脂肪酸エステル(成分(C))を必須成分とする水中油(o/w)型のジェル状化粧料である。このため、みずみずしい使用感と、浸透感、水分の補給力に優れる。
本発明のジェル状化粧料は、増粘系として、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー(成分(A))、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を含むポリマー(成分(B))とを用いることにより、弾力性と、厚み感及びその維持を両立させたジェルを形成する。成分(A)と(B)とを極めて限定された範囲の質量割合[成分(B)/成分(A)]で配合することにより、ジェルの弾力性と硬さを制御しているため、崩れにくく、弾力性を有する厚み感の維持に優れるジェルとなっている。
さらに、親油性のノニオン活性剤である特定のモノグリセリン脂肪酸エステル(成分(C))と高級アルコール(成分(D))とを配合することで、系の粘度を制御して、塗布時の厚み感を一層向上させ、剤のコク感を向上させる効果を与える。
本発明のジェル状化粧料は、ジェルの持つみずみずしい使用感を有しながら、ジェルらしい弾力性に優れ、なおかつ、塗布時の厚み感及びその維持にも優れる点に特徴がある。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。なお、表に記載の配合量は、各成分の配合量(すなわち、各原料中の有効成分の配合量)であり、特記しない限り「質量%」で表す。また、表中の配合量における「−」は、その成分を配合していないことを示す。
【0042】
実施例1〜25、比較例1〜8
(各試料の調製)
表1〜表2に記した組成に従い、実施例1〜25及び比較例1〜8のジェル状化粧料を常法により調製し、下記評価試験に供した。評価結果は、表1及び2に併記する。
【0043】
表1〜2に記載の主な成分の詳細は次のとおりである。
<成分(A)>
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)コポリマー:商品名「アキュリン28」、ダウケミカル社製
<成分(B)>
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー:商品名「SIMULGEL EG」、SEPPIC SA社製
<成分(C)>
ステアリン酸グリセリル:商品名「CUTINA GMS−V」、親油型脂肪酸モノグリセリル、BASF社製
<その他成分>
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:商品名「PEMULEN TR−1」、日本ルーブリゾール株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:3万mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 30,000CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:6万mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 60,000CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10万mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 100,000CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:1.25万mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 12,500CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:30万mm
2/s):商品名「KF−96H−30万cs」、信越化学工業株式会社製
ジメチルポリシロキサン(25℃の動粘度:10mm
2/s):商品名「SH200 FLUID 10CS」、東レ・ダウコーニング株式会社製
(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル:商品名「ノムコートLAH」、日清オイリオグループ株式会社製
ステアリン酸ポリグリセリル−10:商品名「NIKKOL Decaglyn 1−SV」、日光ケミカルズ株式会社製
ステアリン酸ソルビタン:商品名「NIKKOL SS−10V」、日光ケミカルズ株式会社製
ステアリン酸PEG−25:商品名「NIKKOL MYS−25V」、日光ケミカルズ株式会社製
トリメチルグリシン:商品名「アミノコート」、旭化成ケミカルズ株式会社製
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット:商品名「サラコス5408」、日清オイリオグループ株式会社製
【0044】
(評価)
専門評価員3人が評価を行った。結果は各評価員の評価を総合して決定した。
各実施例及び比較例のジェル状化粧料を前腕内側部に塗布し、塗布部上を往復するように手でなでることによりなじませた。塗布開始直後の塗布感触より、「塗布時の厚み感」、「塗布時の弾力性」を以下の評価基準で官能評価した。塗布後の3往復までの塗布感触より、「厚み感の維持」を以下の評価基準で官能評価した。
【0045】
<塗布時の厚み感>
◎(優れる):塗布直後のせん断をかけた後にも手と肌の間に十分な厚みのある化粧料の層が感じられ、化粧料の層の表面を触れるような感触である。
○(良好):塗布直後のせん断をかけた後にも手と肌の間に明らかに化粧料の層が感じられ、肌に間接的に触れるような感触である。
△(使用可能):塗布直後のせん断をかけた後にも手と肌の間に化粧料の層がわずかに感じられるが、一部肌に直接触れるような感触がある。
×(不良):塗布直後のせん断により化粧料の層がすべてなくなり、直接肌に触れるような感触である。
【0046】
<塗布時の弾力性>
○(良好):塗布直後のせん断をかけた際に、弾力性を明らかに感じた。
△(使用可能):塗布直後のせん断をかけた際に、弾力性をわずかに感じた。
×(不良):塗布直後のせん断をかけた際に、弾力性を全く感じなかった。
【0047】
<厚み感の維持>
◎(優れる):5往復の時点で厚み感に変化がない。
○(良好):3往復の時点で厚み感に変化がない。
△(使用可能):3往復の時点で厚み感の減少があるもの、化粧料の層が未だ感じられる。
×(不良):3往復の時点で化粧料の層が感じられない。
【0048】
<みずみずしさ>
上記各実施例及び比較例のジェル状化粧料は、いずれも、上記評価において、前腕内側部に塗布した際に、水が肌に供給される感触があり、みずみずしさが感じられた。但し、実施例12、17、18、及び22、比較例1、4〜5はジェルが比較的硬く、水の供給感がやや劣るものであった。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1及び2、並びに上記評価結果より、実施例のジェル状化粧料は、みずみずしさを有し、塗布時の厚み感、厚み感の維持、塗布時の弾力性において使用可能以上の良好な結果を示した。すなわち、実施例のジェル状化粧料は、みずみずしい塗布感触、弾力性のある塗布感触、持続する厚み感の全てを兼ね備えるものであった。一方、比較例1は、成分(A)の含有量に対する成分(B)の含有量の質量割合[成分(B)/成分(A)]が上限値を上回る処方であるところ、塗布時の厚み感、厚み感の維持、及び塗布時の弾力性の全てが不良(×)であった。比較例2は、[成分(B)/成分(A)]が、下限値を下回る処方であるところ、厚み感の維持が不良(×)であった。このことから、[成分(B)/成分(A)]を、特定範囲に制御することで、弾力性と厚み感及びその維持とを、バランスよく両立させることを可能にすることが明らかとなった。比較例3は、成分(B)の含有量が、下限値を下回る処方であるところ、ジェルがやわらかくなりすぎて、塗布時の厚み感、厚み感の維持、及び塗布時の弾力性の全てが不良(×)となった。逆に比較例4は、成分(B)の含有量が、上限値を上回る処方であるところ、ジェルが硬くなりすぎて、塗布時の弾力性が不良(×)であった。このことから、成分(B)の含有量を特定範囲に制御することにより、弾力性と厚み感及びその維持とを、バランスよく両立させることを可能にすることが明らかとなった。比較例5は、成分(A)に代えて、別種の水溶性高分子を用いた処方であるところ、塗布時の弾力性が不良(×)であった。比較例6は、成分(A)及び(B)を一切配合せず、別種の水溶性高分子のみを用いた処方であるところ、厚み感の維持が不良(×)であった。このことから、ジェルに弾力性を与える効果には特に成分(A)が、厚み感の維持には特に成分(B)が寄与しており、成分(A)及び(B)を併せて特定量配合することで、相乗的な効果を発揮し、弾力性と厚み感及びその維持とを、バランスよく両立させることを可能にすることが明らかとなった。比較例7は、成分(D)の含有量が、下限値を下回る処方であるところ、塗布時の厚み感が不良(×)であった。このことから、成分(D)を特定量配合することで、系の粘度を制御し、塗布時の厚み感を向上させる効果を奏することが明らかとなった。比較例8は、成分(C)を欠く処方であるところ、塗布時の厚み感が不良(×)であった。このことから、成分(C)を特定量配合することで、塗布時の厚み感を向上させる効果を奏することが明らかとなった。
【0052】
さらに、以下に、本発明に用いることができるジェル状化粧料の処方例を示す。
【0053】
【表3】