特許第6853854号(P6853854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853854絶縁されたマイクロコンダクタを接続するための接続方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853854
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】絶縁されたマイクロコンダクタを接続するための接続方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20210322BHJP
   A61N 1/372 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   A61N1/05
   A61N1/372
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-125662(P2019-125662)
(22)【出願日】2019年7月5日
(65)【公開番号】特開2020-36875(P2020-36875A)
(43)【公開日】2020年3月12日
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】1856248
(32)【優先日】2018年7月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510166157
【氏名又は名称】ソーリン シーアールエム エス ア エス
【氏名又は名称原語表記】SORIN CRM S.A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス シャン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クロワ
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0107455(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0071958(US,A1)
【文献】 特開2013−085885(JP,A)
【文献】 特表2013−537836(JP,A)
【文献】 米国特許第06505401(US,B1)
【文献】 米国特許第08543222(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0235967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00− 1/372
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチストランドケーブルのストランドを埋込型医療装置の電極に接続する方法であって、マルチストランドケーブルの各ストランドは絶縁シースによって他のストランドから電気的に絶縁されており、該方法は、
a)マルチストランドケーブル(1)のストランド(2)を切断して、ストランド(1)の切断部(A)に2つの自由端(2a、2b)を形成し;
b)自由端(2b)の少なくとも1つをマルチストランドケーブル(1)の残りの部分に対して持ち上げ;
c)持ち上げられたストランド(2b)の端部を少なくとも部分的に剥ぎ取り;
d)持ち上げられ剥ぎ取られたストランド(2b)の端部を部分的に覆うように、マルチストランドケーブル(1)の周りに電極(5)を配置し;
e)ストランド(2)の剥ぎ取られた端部(2b)の少なくとも1つの部分(6)を電極(5)に接続することを含む方法。
【請求項2】
ステップb)は、ケーブル(1)の周りに絶縁スリーブ(3)を導入することによって、ストランド(2)の自由端(2a)の他方を被覆することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップb)はまた、第2のスリーブ(4)および/またはポリマー接着剤をマルチストランドケーブル(1)の周りに被せて、マルチストランドケーブル(1)の残りの部分に対して持ち上げられたストランド(2b)の端部の長さ(L)を制御することを含む請求項2または3に記載の方法。
【請求項4】
ステップa)およびc)が、レーザ切断および/またはレーザアブレーション、または機械的切断デバイスの使用を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
マルチストランドケーブルのストランドを埋込型医療装置の電極に接続する方法であって、マルチストランドケーブルの各ストランドは絶縁シースによって他のストランドから電気的に絶縁されており、該方法は、
a)マルチストランドケーブル(1)のストランド(2)を切断して、ストランド(1)の切断部(A)に2つの自由端(2a、2b)を形成し;
b)自由端(2b)の少なくとも1つをマルチストランドケーブル(1)の残りの部分に対して持ち上げ;
c)ハイポチューブ(12、13、14)がストランド(2b)の端部に電気的に接続されるように、持ち上げられたストランド(2b)の端部の周りに金属ハイポチューブを配置し;
d)金属ハイポチューブ(12、13、14)を部分的に覆うように、マルチストランドケーブル(1)の周囲に電極(5)を配置し;
e)金属ハイポチューブ(12、13、14)の少なくとも一部を電極(5)に接続することを含む方法。
【請求項6】
ステップe)における接続が、レーザ溶接、圧着、または電気溶接によって行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
マルチストランドケーブル(1)およびケーブル(1)に溶接された電極(5)を被覆するために、ポリマーシース(7)を被せるステップf)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電極(5)は、リング状電極(5a,5b)であり、前記リング(5a,5b)は前記ステップeにおいて前記溶接を実行するように構成された中央孔(8)またはスロット(9)を備えるようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電極(5)は、リング状電極(5c)であり、前記リング(5c)は前記持ち上げられたストランドの端部(2b)の寸法に適合された内部空洞(11)を備えるようにした請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ストランドの直径は、ストランドの導電性部分および絶縁性部分を考慮に入れて、10μm〜200μmであり、マルチストランドマイクロケーブルの直径、すなわちケーブル全体の直径は、2フレンチ(すなわち0.66mm)未満であり、生体適合性材料から作製される請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
マイクロケーブル(1)のストランド(2)の少なくとも1つの端部(2b)が部分的に剥ぎ取られるように、埋込型医療装置の少なくとも1つの電極(5)を備えるマルチストランドマイクロケーブルであって、ストランドの部分的に剥ぎ取られた部分が、溶接、圧着、または電気溶接によって、請求項1〜5または請求項7〜11の少なくともいずれか1項に記載の方法によって電極(5)に接続されるマルチストランドマイクロケーブル。
【請求項12】
マイクロケーブル(1)のストランド(2)の少なくとも1つの端部(2b)がハイポチューブと少なくとも部分的に電気的に接触するように、埋込型医療装置の少なくとも1つの電極(5)と金属ハイポチューブ(12、13、14)とを備えるマルチストランドマイクロケーブルであって、ハイポチューブが、溶接、圧着、または電気溶接によって、請求項6〜11の少なくともいずれか1項に記載の方法によって電極(5)に接続されるマルチストランドマイクロケーブル。
【請求項13】
前記ケーブル(1)の周囲に配置され、前記ストランド(2)の端部(2b)が配置された絶縁スリーブ(3)を備える請求項11に記載のマルチストランドマイクロケーブル。
【請求項14】
前記電極(5)は、リング状電極(5a、5b)であり、前記リング(5a、5b)は前記ストランド(2)の一端(2b)の部分(6)と溶接するように構成された中央孔(8)またはスロット(9)を備えるようにした請求項11〜13のいずれか1項に記載のマルチストランドマイクロケーブル。
【請求項15】
前記電極(5)は、リング状電極(5c)であり、前記リング(5c)は、前記絶縁スリーブ(3)の上に部分的に配置された前記ストランド(2)の端部(2b)の寸法に適合した内部空洞(11)備えるようにした請求項11〜14のいずれか1項に記載のマルチストランドマイクロケーブル。
【請求項16】
ストランドの直径は、ストランドの導電部分および絶縁部分を考慮に入れて、10μm〜200μmであり、マルチストランドマイクロケーブルの直径、すなわちケーブル全体の直径は、2フレンチ(すなわち0.66mm)未満であり、生体適合性材料から作製される請求項11〜15のいずれか1項に記載のマルチストランドマイクロケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチマイクロコンダクタケーブルの絶縁されたマイクロコンダクタを、特に埋込型医療装置の電極に接続する方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、マルチストランドマイクロケーブルの、ストランドとも呼ばれる絶縁されたマイクロケーブルの、刺激電極への接続に関し、各個々のストランドは、絶縁シースによって、特にポリマーシースによって、他のストランドから電気的に絶縁される。
【背景技術】
【0003】
そのようなマイクロケーブルの複合アセンブリは、例えばインプラントの製造の技術背景において、導電性ストランド(100μmのオーダー)、すなわちストランドのサイズのために、電極に接続することが本質的に困難であるが、アセンブリの小さいサイズを保証するために、絶縁体の非常に薄い厚さにも関連し、最終的に、生体内媒体において、導体同士の近接性および接触の長期的信頼性に関する困難性にも関連する。
【0004】
欧州特許第2 719 422号B1公報には、絶縁体のアブレーションを局所的に行い、導電性接着剤を付着させるためのアプローチが記載されている。しかし、生物学的環境で使用される導電性接着剤は、生分解される可能性が高く、電気的接触に影響を及ぼす可能性がある。別の問題は、50μm〜80μmのキャビティ内に、再現可能な量の導電性接着剤を付着させるステップから生じる。
【0005】
欧州特許第2 674 190号B1公報には、金属材料の層を連続的に追加することによって、コンダクタ機構を組み込んだ電極とマイクロケーブルとを接触させることを可能にする追加の製造が記載されている。しかし、このタイプの機構は、接触する機械部品の公差、ならびに絶縁体の厚さに依存するので、接触の精度およびその安定性の点で不利である。さらに、この技術は、マルチストランドケーブルには適していないように思われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、絶縁されたマイクロコンダクタ(ストランド)と電極との間に機械的応力を有する、特に生物学的媒体において、1ミクロン(1μm)のオーダーの構造において、低抵抗の電気接触を改善し、長期にわたって頑丈で耐久性がある接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、以下のステップを含む、マルチストランドケーブルのストランドを導電性要素、特に電極に接続する方法によって達成される。
a) マルチストランドケーブルのストランドを切断して、ストランドの切断時に2つの自由端を形成する;
b) 少なくとも1つの自由端をマルチストランドケーブルの残りの部分に対して持ち上げる;
c) 持ち上げられたストランドの端部を少なくとも部分的に剥ぎ取られ;
d) 持ち上げられて剥ぎ取られたストランド端部を部分的に覆うように、マルチストランドケーブルの周りに導電性要素を配置する;
e) ストランドの剥ぎ取られた端部の少なくとも一部を導電性要素に接続する。
【0008】
マイクロケーブルのストランドの1つを引き出すことにより、溶接ゾーンにおいて絶縁コーティング全体を引き出すことが可能になり、したがって、特にミクロンスケールでその品質に影響を及ぼす、溶接部、特にレーザ溶接部におけるポリマーの存在に関連する困難を回避することができる。
【0009】
この方法は、信頼性のある溶接条件を可能にすることに加えて、マイクロケーブルの残りの部分から絶縁されたストランドと電極との間の電気的接合部の長期的な堅牢性も改善する。
【0010】
本発明は、以下の実施形態によってさらに改良することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、ステップb)は、ケーブルの周りに絶縁スリーブを導入することによってストランドの自由端の他方を覆うことを含むことができる。この絶縁スリーブは、他端がケーブルの残りの部分から抜け出たり持ち上がったりするのを防止することを可能にする。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、ステップb)はまた、マルチストランドケーブルの残りの部分から持ち上げられたストランド端部の長さ(L)を制御するために、マルチストランドケーブルの周りに第2のスリーブおよび/またはポリマー接着剤を被せることを含むことができる。この第2のスリーブはまた、その位置に応じて、持ち上げられたストランドの端部の長さを固定し、第2のスリーブを通してこの長さを維持することを可能にする。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、ステップa)およびc)は、レーザ切断および/またはレーザアブレーション、または切断機械装置の使用を含むことができる。したがって、このプロセスは、制御された技術を使用して実行することができる。さらに、本発明の方法によれば、溶接は、溶接の信頼性をさらに向上させる視覚的制御で実行することができる。
【0014】
本発明の目的は、以下の5つのステップを含む、マルチストランドケーブルのストランドを導電性要素、特に電極に接続する方法によっても達成される。
a) マルチストランドケーブルのストランドを切断して、ストランドの切断時に2つの自由端を形成する;
b) 少なくとも1つの自由端をマルチストランドケーブルの残りの部分に対して持ち上げる;
c) ハイポチューブがストランドの端部に電気的に接続されるように、持ち上げられたストランドの端部の周りに金属ハイポチューブを配置する;
d) 金属ハイポチューブを部分的に覆うように、マルチストランドケーブルの周囲に導電性要素を配置する;
e) 金属ハイポチューブの少なくとも一部を導電性要素に接続する。
【0015】
この方法は、金属ハイポチューブを使用することにより、信頼性のある溶接条件を提供し、また、マイクロケーブルの残りの部分から絶縁されたストランドと電極との間の電気的接合部の長期的な堅牢性を改善する。実際、溶接は、溶接部、特にレーザ溶接部におけるポリマーの存在に関連する困難を回避するハイポチューブで行われる。
【0016】
前述した本発明の2つの方法は、以下の実施形態によってさらに改善することができる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、ステップe)における接続は、レーザ溶接、圧着、または電気溶接によって行うことができる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、各方法は、マルチストランドケーブルおよびケーブルに溶接された電極を被覆するためにポリマーシースを被せるステップf)を含むことができる。このステップは、有利には、電極が溶接されるマイクロケーブルに絶縁障壁を付加する。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、導電性要素は電極であってもよい。有利には、電極は、リングがステップe)において溶接を実行するように構成された中央孔またはスロットを備えることができるような、リングの形成であってもよい。
【0020】
本発明の別の実施形態では、電極は、リングが持ち上げられたストランドの端部のサイズに適合された内部空洞を備えることができるような、リングの形態であってもよい。この内部空洞は、溶接するためにストランドの端部に必要な空間を残すことを可能にし、したがって、電気的接触面積をさらに改善する。
【0021】
本発明の別の実施形態では、ストランドの直径は、ストランドの導電性部分および絶縁性部分を考慮して、10ミクロンと200ミクロンとの間であってもよく、マルチストランドマイクロケーブルの直径、すなわちケーブル全体の直径は、2フレンチ(すなわち0.66mm)未満であってもよく、生体適合性材料から作製されてもよい。
【0022】
ストランドの絶縁部分のための材料は、フルオロポリマー、特に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(ペルフルオロ化プロピレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシコポリマー樹脂)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、EFEP(エチレンプロピレンフッ化エチレン)、またはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)である。さらに、欧州特許出願公開第3058983号公報に記載されているように、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、フッ素化ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ−p−キシリレン(パリレン)、またはポリメチルメタクリレート(PMM)を使用することもできる。
【0023】
ストランドのコアの導電性部分は、欧州特許出願公開第2581107号公報に記載されているように、ステンレス鋼、コバルト合金、チタン、NiTi合金(ニチノール)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金のような材料で作ることができる。したがって、マイクロケーブルは、埋め込み可能な装置と組み合わせて使用されるように適合される。
【0024】
本発明はまた、マイクロケーブルのストランドの少なくとも1つの端部が部分的に剥ぎ取られ、ストランドの部分的に剥ぎ取られた部分が、特に溶接、圧着、または電気溶接によって導体要素に接続されるように、少なくとも1つの導電性要素を備えるマルチストランドマイクロケーブルによって達成される。
【0025】
したがって、絶縁ストランドと導電性要素との間の接触面が改善される。
【0026】
本発明の別の実施形態では、マイクロケーブルは、ケーブルの周りに配置され、その上にストランドの端部が配置される絶縁スリーブを備えることができる。この絶縁スリーブは、他端がケーブルの残りの部分から抜け出たり持ち上がったりするのを防止することを可能にする。
【0027】
あるいは、本発明はまた、少なくとも1つの導電性要素と、マイクロケーブルのストランドの少なくとも1つの端部がハイポチューブと少なくとも部分的に電気的に接触するように金属ハイポチューブとを備えるマルチストランドマイクロケーブルによって達成され、その結果、ハイポチューブは、特に、溶接、圧着、または電気溶接によって、導電性要素に接続される。
【0028】
マルチストランドマイクロケーブルに関する本発明は、以下の実施形態のおかげでさらに改善することができる。
【0029】
本発明の別の実施形態によれば、導電性要素は、リングがストランドの一端の部分と溶接するように構成された中央孔またはスロットを備えるようなリング状電極であってもよい。
【0030】
本発明の別の実施形態によれば、導電性要素は、リングが絶縁スリーブの上に部分的に配置されたストランドの端部のサイズに適合された内部空洞を備えるような、リング状電極であってもよい。この内部キャビティは、溶接されるストランドの端部に必要な空間を残すことを可能にし、したがって、より多くの電気接触面を改善する。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、ストランドの直径は、ストランドの導電性部分および絶縁性部分を考慮して、10μmと200μmとの間であってもよく、マルチストランドマイクロケーブルの直径、すなわちケーブル全体の直径は、2フレンチ(すなわち0.66mm)未満であってもよく、生体適合性材料から作製されてもよい。ストランドの絶縁部分のための材料は、フルオロポリマー、特に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(ペルフルオロ化プロピレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシコポリマー樹脂)、THV(テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、EFEP(エチレンプロピレンフッ化エチレン)、またはETFE(エチレンテトラフルオロエチレン)である。さらに、欧州特許出願公開第3058983号公報に記載されているように、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PET)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド、フッ素化ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ−p−キシリレン(パリレン)、またはポリメチルメタクリレート(PMM)を使用することもできる。
【0032】
ストランドのコアの導電性部分は、欧州特許出願公開第2581107号公報に記載されているように、ステンレス鋼、コバルト合金、チタン、NiTi合金(ニチノール)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、およびそれらの合金のような材料で作ることができる。したがって、マイクロケーブルは、埋め込み可能な装置と組み合わせて使用されるように適合される。
【0033】
本発明は、方法またはマルチストランドマイクロケーブルに関し、以下の変形例に従ってさらに改良することができる。
【0034】
本発明の変形例によれば、溶接は、接続の冗長性を確保するために、同じストランドの2つの自由端で行うことができる。
【0035】
さらに別の変形例では、2つの対向するストランドを切断し、持ち上げ、ケーブルの残りの部分から部分的に引き出し、両側で溶接することができる。
【0036】
最後に、別の変形例では、同じケーブルのストランドをn本のサブケーブルまたはワイヤに分離することにより、溶接の冗長性を作ることが可能になり、したがって、溶接の数を増やすことによって導電性要素との電気的接触の信頼性を向上させることが可能になる。特に、溶接部の1つが破断する場合、残りのn−1個の溶接部は、電気的接触を確実にすることを可能にする。したがって、溶接冗長性は、電気接触の頑強性を改善する。
【0037】
本発明およびその利点は、好ましい実施形態によって、特に添付の図面に基づいて、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明による方法のステップa)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図2】本発明による方法のステップb)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図3】本発明による方法のステップb)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図4】本発明による方法のステップc)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図5】本発明による方法のステップd)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図6】本発明による方法のステップe)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図7】本発明による方法のステップf)におけるマイクロケーブルを概略的に示す。
図8a】導電性要素の代替実施形態を概略的に示す。
図8b】導電性要素の代替実施形態を概略的に示す。
図9】導電性要素の代替実施形態を概略的に示す。
図10】導電性要素の代替実施形態を概略的に示す。
図11a】接続するストランドの代替実施形態を概略的に示す。
図11b】接続するストランドの代替実施形態を概略的に示す。
図11c】接続するストランドの代替実施形態を概略的に示す。
図11d】接続するストランドの代替実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
当業者は、本発明が、本質的に、任意のタイプのコネクタ、特に、埋込型装置のために構成された任意のタイプのマイクロコネクタに適用され得ることを理解する。
【0040】
図1は、寸法が1ミクロンのオーダーであり、生体適合性材料から作られたマルチストランドマイクロケーブル1を示す。マイクロケーブル1は、いくつかのストランドから形成され、各ストランドには、絶縁ポリマーのシース1aが設けられている。図1に示すプロセスステップでは、ストランド2に2つの自由端2aおよび2bが設けられるように、ストランドの一方を矢印Aで示すようにレーザ切断した。
【0041】
変形例では、同じストランドがいくつかの場所で切断される。
【0042】
別の実施形態では、ストランド2の切断は、マイクロナイフ、プライヤなどの機械的装置によって行われる。
【0043】
図2に示すステップでは、ストランド2の自由端2bの長さLの一部が持ち上げられ、ストランド2の端部2bの軸Bがケーブル1の回転軸Cに実質的に垂直になるように、マイクロケーブル1の残りの部分から部分的に引き出されている。
【0044】
端部2aは、マイクロケーブル1の残りの部分に対して持ち上げられていない。
【0045】
図3に示す工程では、ポリマー材料で作られた第1の絶縁スリーブ3が、端部2aを覆うように(したがって図3では見えなくなる)、リングのようにケーブル1の周りに挿入される。
【0046】
同様に絶縁性で高分子材料からなる第2のスリーブ4が、図2に示す前のステップで引き出されなかった端部2bの部分を覆うように、ケーブル1の周りに通される。したがって、この第2のスリーブ4は、端部2bの長さ部分Lのみがケーブル1上に突き出すことを確保する。
【0047】
別の実施形態では、ケーブル1から持ち上げられ、部分的に引き出されることを意図しない端部2bの部分を保持するために、ポリマー接着剤を使用することができる。
【0048】
図3に示す実施形態では、ケーブル1には2つのスリーブ3、4が設けられており、端部2bの長さLの部分が2つのスリーブ3、4の間に突出するようになっている。
【0049】
図4は、端部2bの長さ部分Lの部分lがレーザアブレーションによってそのポリマー絶縁体1aから剥ぎ取られるステップを示す。したがって、端部2bの部分lは、ストランド2の導電性部分に対応する。端部2bの最外点には、球状先端6が形成されている。「ボールチップ」とも呼ばれるこの球状先端6は、ストランド2を構成する複数の金属ストランドを一種のボールで合体させることを可能にし、これにより、個々のストランドが逃げて電気接触の信頼性を低下させるのを防止する。球形先端6はまた、より大きな接触面積を提供し、接触の電気的信頼性をさらに改善する。
【0050】
別の実施形態では、端部2bの長さLの絶縁体が機械的に除去される。
【0051】
絶縁部分1aの部分lを除去すること、および端部2bの端部に球状先端6を形成することの代替案が図11に記載されている。
【0052】
図5において、円筒電極5は、スリーブ3の反対側でスリーブ4を部分的に覆うように、マイクロケーブル1の周りに通される。端部2bは、ストランド2の長さLの部分の軸Bがケーブル1の軸Cに平行になるようにスリーブ3上に位置するように配置される。
【0053】
図6に示す工程では、端部2bをほぼ完全に覆うように筒状電極5をスリーブ3に移動させる。従って、端部2bの球状先端6のみが電極5によって覆われていない。ストランド2の球形先端6は、ポリマー絶縁体1aがないので、ストランド2の導電性部分に対応し、次いでレーザ電極5に溶接される。有利には、そのような溶接は、視覚的制御で実行することができる。
【0054】
さらに、本発明の方法は、特に約1ミクロンのスケールでその品質に影響を及ぼす、レーザ溶接におけるポリマーの存在に関連する困難を回避することを可能にする。
【0055】
別の実施形態では、円筒形電極5は、その位置を機械的に維持するために、溶接ステップの前に図6に示す位置に圧着される。
【0056】
図7において、ポリマーシース7は、マルチストランドケーブル1と、ケーブル1に溶接された電極5とを被覆するために作られている。このシースは、例えば、「リフロー(reflow)」技術によって製造することができ、これにより、ポリマーを溶融させて残りの孔及び空間を充填することができる。この技術により、等径の最終製品を得ることができ、組立体に断熱障壁を加えることができる。
【0057】
図8a、図8b、図9および図10は、電極5の変形例を示す。
【0058】
図8aおよび図8bに示す変形例では、電極5aは、中央孔8を有するリングである。図8aにおいて、ケーブル1の残りの部分から絶縁されたストランド2bは、ケーブル1の軸Cと整列している。図8bでは、ストランド2bはケーブル1に対して回転している。しかしながら、両方の変形例において、溶接は、ストランド2bの部分Rの上方に配置された中央孔8で行われる。
【0059】
図9において、電極5bは、「U」字形スロット9を有するリングであり、「前方装填式(with frontal loading)」リングとも呼ばれる。別の実施形態では、スロットは、「V」字形、円弧形などとすることができる。この実施形態では、ストランド2bの端部は、スロット9の長手方向側面9と10との間に整列するように配置される。このようにして、ストランド2bとリング5bとの間のスロット9で溶接が行われる。
【0060】
図10の実施形態では、電極5cは内部空洞11を含むリングである。リング5cの内部キャビティ11は、持ち上げられたストランド2bの端部の直径に適合される。ストランド2bの端部は、内部キャビティ11内に部分的に収容される。この内部キャビティ11は、ストランド2bの端部が溶接されるのに必要な空間を残すことを可能にし、したがって、電気的接触面を改善することを可能にする。
【0061】
図11は、上述し、かつ図11aに示すように、導電性部材5と電気的に接触するための球状先端6の形成の代替例を示す。
【0062】
従って、図11bに示す変形例では、ストランド2の端部2bは長さlにわたって剥ぎ取られ、次いで中空金属ハイポチューブ12がストランド2の剥ぎ取られた長さlの周りに挿入されている。剥ぎ取られた部分lと金属ハイポチューブ12との間の接触面は、電気的接触を確保にする。
【0063】
図11cに示す変形例では、ストランド2の端部2bは剥ぎ取られておらず、したがって、依然としてその絶縁シース1aを備える。中空金属ハイポチューブ13は、端部2bの周りに挿入され、ハイポチューブ13の圧着がストランド2の導電性部分14と電気的に接触するように穿孔されるように圧着されている。
【0064】
図11dの変形例は、端部2bが剥ぎ取られておらず、したがって依然としてその絶縁シース1aを備えるストランド2を示す。中空金属ハイポチューブ13が端部2bの周りに挿入されて端部2bに溶接され、特にストランド2の導電性部分14に溶接されている。
【0065】
図示されていないさらに別の変形例では、接続の冗長性を確保するために、同じストランド2の2つの自由端2a、2bで溶接を行うことができる。
【0066】
図示されていないさらに別の変形例では、2つの対向するストランドを切断し、持ち上げ、ケーブルの残りの部分から部分的に除去し、両側で溶接することができる。
【0067】
最後に、図示されていない別の変形例では、同じケーブルのストランドをn本のサブケーブルまたはワイヤに分離することによって、溶接の冗長性を作ることができ、したがって、溶接の数を増やすことによって導体要素との電気的接触の信頼性を向上させることができる。特に、溶接部の1つが破断する場合、n−1個の溶接部は、電気的接触を確保にすることを可能にする。したがって、溶接冗長性は、電気接触の頑強性を改善する。
【0068】
上述の実施形態および代替形態は、本発明のより有利な代替実施形態を形成するように組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d