(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の開示をインスリン注射デバイスの文脈で説明するが、これは限定するものではなく、本明細書の教示を、他の薬剤を排出する注射デバイスまたは他のタイプの医療デバイスとともに同様に良好に展開してもよい。
【0025】
図1aは、例えばSanofiのSolostar(登録商標)インスリン注射デバイスであり得る注射デバイス1の分解図である。
【0026】
図1aの注射デバイス1は、充填済み使い捨て注射デバイスであり、ハウジング10を
含み、針15を固着させることのできるインスリン容器14を含む。針は、内側ニードルキャップ16および外側ニードルキャップ17により保護され、外側ニードルキャップ17はキャップ18によって覆うことができる。注射デバイス1から排出予定のインスリン用量は、投与量つまみ12を回すことによって選択することができ、その場合、選択用量は、例えば、いわゆる国際単位(IU)の倍数として投与量窓13を介して表示される。ここで、1IUは、約45.5マイクログラムの純結晶インスリン(1/22mg)の生物学的等量物である。投与量窓13に表示される選択用量の一例は、
図1aに示すように、例えば30IUである。選択用量を、異なる方法で同様に良好に表示してもよいことに留意されたい。ラベル(図示せず)がハウジング10上に設けられる。ラベルは、注射デバイス内に含まれる薬剤についての情報を、その薬剤を識別する情報を含めて含む。薬剤を識別する情報は、テキスト、色、バーコード、QRコード(登録商標)などの形であってよい。
【0027】
投与量つまみ12を回すことにより、ユーザに音響フィードバックを提供するための機械的なクリック音が生じる。投与量窓13に表示された数字はスリーブ上に印刷され、このスリーブは、ハウジング10内に含まれ、インスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に突き刺されると、次に注射ボタン11が押され、表示窓13に表示されたインスリン用量が注射デバイス1から排出される。注射ボタン11が押された後に注射デバイス1の針15が皮膚部分にある時間とどまっているときに、用量の大部分が患者の体内に実際に注射される。インスリン用量の排出によっても機械的なクリック音が生じるが、この音は、投与量つまみ12を使用するときに生成される音とは異なる。
【0028】
注射デバイス1を初めて使用する前に、インスリン容器14および針15から空気を除去するためのいわゆる「プライムショット」を、例えば2単位のインスリンを選択し、針15が上向きの状態で注射デバイス1を保持しながら注射ボタン11を押すことによって行う必要があり得る。
【0029】
説明を簡単にするために、以下では、例えば次に注射予定の用量の提案をするとき、この用量が、注射デバイスによって排出されなければならない用量と等しくなるように、排出される用量は注射される用量に略対応するものと例示的に仮定する。しかしながら、排出用量と注射用量との差(例えば損失)は、もちろん考慮に入れられる。
【0030】
図1bは、注射デバイス1の端部の詳細図であり、視認窓13と投与量つまみ12との間に位置する位置特定リブ70を示す。
【0031】
図2aは、
図1aの注射デバイス1に解放可能に取り付け予定の補助デバイス2の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、
図1aの注射デバイス1のハウジング10を取り巻くように構成された嵌合ユニット付きのハウジング20を含み、そのため、補助デバイス2が注射デバイス1のハウジング10に密着してはいるが、例えば注射デバイス1が空であり交換されなければならないときには、注射デバイス1から着脱可能になる。
図2aは非常に概略的であり、物理的な配置の詳細については、以下で
図2bを参照して説明する。
【0032】
補助デバイス2は、注射デバイス1から情報を集めるための光学センサおよび音響センサを含む。この情報の少なくとも一部、例えば選択用量(および場合により、この用量の単位)は、補助デバイス2の表示ユニット21を介して表示される。注射デバイス1の投与量窓13は、補助デバイス2が注射デバイス1に取り付けられると、補助デバイス2によって遮られる。
【0033】
補助デバイス2は、ボタン22として概略的に示された、3つのユーザ入力トランスデューサをさらに含む。これらの入力トランスデューサ22により、ユーザが補助デバイス2をオン/オフすること、動作をトリガすること(例えば、別のデバイスとの連結を確立させるために)、または何かを確認することが可能になる。
【0034】
図2bは、
図1aの注射デバイス1に解放可能に取り付け予定の補助デバイス2の第2の実施形態の概略図である。補助デバイス2は、注射デバイス1のハウジング10を取り巻くように構成された嵌合ユニット付きのハウジング20を含み、そのため、補助デバイス2が注射デバイス1のハウジング10に密着してはいるが、注射デバイス1から着脱可能になる。
【0035】
情報が補助デバイス2の表示ユニット21を介して表示される。注射デバイス1の投与量窓13は、補助デバイス2が注射デバイス1に取り付けられると、補助デバイス2によって遮られる。補助デバイス2は、3つのユーザ入力ボタンまたはスイッチをさらに含む。第1のボタン22は電源オン/オフボタンであり、これによって、補助デバイス2をオンおよびオフすることができる。第2のボタン33は通信ボタンである。第3のボタン34は確認またはOKボタンである。これらのボタンは、任意の適切な形の機械的スイッチであってよい。
【0036】
図3は、前述した補助デバイスが
図1aの注射デバイス1に取り付けられた状態の、補助デバイスの概略図である。
【0037】
図3に示す補助デバイス2のハウジング20内に、複数の構成要素が含まれる。これらはプロセッサ24によって制御され、このプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよい。プロセッサ24は、プログラムメモリ240に記憶されたプログラムコード(例えば、ソフトウェアまたはファームウェア)を実行すると共に、例えば中間結果を記憶するために、メインメモリ241を使用する。実行された排出/注射のログブックを記憶するために、補助メモリ243を使用してもよい。プログラムメモリ240は、例えば読取り専用メモリ(ROM)であってよく、メインメモリ241は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)であってよく、補助メモリ243は、例えばフラッシュメモリであってよい。補助メモリ243は、補助デバイス2の一部を含んでいてもよく、あるいは、例えばUSB型インターフェースまたは他の接続によって補助デバイスに着脱可能に連結可能であってもよい。
【0038】
図2bに示されたものなどの実施形態では、プロセッサ24は第1のボタン22と対話し、それによって補助デバイス2を、例えばオンおよびオフすることができる。第2のボタン33は通信ボタンである。この第2のボタンを使用して、別のデバイスとの接続の確立をトリガする、または別のデバイスへの情報の伝送をトリガすることができる。第3のボタン34は確認またはOKボタンである。第3のボタン34を使用して、補助デバイス2のユーザに提示された情報に対して確認応答することができる。
【0039】
プロセッサ24は、液晶ディスプレイ(LCD)として具現化することのできる表示ユニット21を制御する。表示ユニット21を使用して、補助デバイス2のユーザに対し、例えば注射デバイス1の現在の設定、または付与予定の次の注射についての情報を表示する。表示ユニット21はまた、例えばユーザの入力を受けるために、タッチスクリーンディスプレイとして具現化することもできる。
【0040】
プロセッサ24はまた、投与量窓13の画像を取り込むことができる光学式文字認識(OCR)リーダとして具現化された光学センサ25を制御し、この投与量窓には、注射デ
バイス1に含まれるスリーブ19上に印刷された、投与量窓13を通して見える数字によって、現在の選択用量が表示される。OCRリーダ25はさらに、取込み画像からの数字を認識し、この情報をプロセッサ24に提供することもできる。あるいは、補助デバイス2のユニット25は、画像を取り込むと共に取込み画像の情報をプロセッサ24に提供するための光学センサ、例えばカメラだけでもよい。その場合、プロセッサ24は、取込み画像に対しOCRを実行することに関与する。
【0041】
プロセッサ24はまた、現在の選択用量が表示される投与量窓13を照明するための発光ダイオード(LED)29などの光源を制御する。例えば一枚のアクリルガラスから作られた拡散器を光源の前方で使用してもよい。さらに光学センサは、例えば2つの非球面レンズを含むレンズ系を含んでもよい。拡大率(画像サイズと対象物サイズとの比)は1未満であってよく、例えば、拡大率は、0.05から0.5の範囲内であってよい。一部の実施形態において、拡大率は0.15であってよい。
【0042】
プロセッサ24はさらに、注射デバイス1のハウジング10の光学特性、例えば色または濃淡を決定するように構成された測光器26(設けられている場合)を制御してもよい。あるいは、測光器26の代わりに色彩計または色センサシステムを使用してもよい。
【0043】
プロセッサ24はさらに、注射デバイス1によって生成された音を検知するように構成されている音響センサ27を制御する(かつ/または音響センサからの信号を受ける)。このような音は、投与量つまみ12を回すことによって用量がダイヤル設定されたとき、および/または注射ボタン11を押すことによって用量が排出/注射されたとき、および/またはプライムショットが行われたときに発生し得る。これらの動作は機械的に類似しているが、異なる音が出る(これらの動作を示すのが電子音の場合でも)。音響センサ27および/またはプロセッサ24を、これらの異なる音を区別するように構成して、例えば、(プライムショットだけではなく)注射が行われたことを安全に認識できるようにしてもよい。
【0044】
プロセッサ24はさらに、例えば注射デバイス1の動作状態と関連付けることができる音響信号を例えばユーザへのフィードバックとして生成するように構成されている音響信号発生器23(設けられている場合)を制御することができる。例えば、音響信号を、注射予定の次の用量を思い出させるものとして、または、例えば誤用の場合の警告信号として、音響信号発生器23から送出してもよい。音響信号発生器は、例えば、ブザーまたはスピーカとして具現化することができる。音響信号発生器23に加えて、またはその代替として、例えば振動によって触覚フィードバックを与えるための触覚信号発生器(図示せず)を使用してもよい。
【0045】
プロセッサ24は、無線によって別のデバイスとの間で情報を送信および/または受信するように構成されている無線ユニット28を制御してもよい。そのような伝送は、無線伝送または光伝送に基づくものであってよい。無線ユニット28はブルートゥース(登録商標)トランシーバであってよい。他の実施形態において、無線の代わりに、有線または光ファイバ接続を介して情報を送信/受信してもよい。
【0046】
プロセッサ24は、ペン1が存在するかどうか、すなわち補助デバイス2が注射デバイス1に連結されているかどうかを検出するように動作可能であるペン検出スイッチ30(設けられている場合)から入力を受けることができる。
【0047】
電池32が、プロセッサ24および他の構成要素に電源31から電力を供給する。
【0048】
したがって
図3の補助デバイス2は、注射デバイス1の状態および/または使用に関連
する情報を判定することができる。この情報は、デバイスのユーザが使用するためのディスプレイ21に表示される。この情報を、補助デバイス2自体で処理しても、または、例えば無線ユニット28を介して別のデバイス(例えば血糖モニタリングシステム)に少なくとも部分的に提供してもよい。
【0049】
図4aおよび
図4bは、本開示による方法の実施形態のフローチャートである。これらの方法を、補助デバイス2のプロセッサ24により実行してもよく、かつ例えば、
図5の有形記憶媒体600の形を取り得るプログラムメモリ240に記憶させてもよい。
【0050】
図4aは、情報を補助デバイス2により注射デバイス1から読み取る状況で実行される方法工程を示す。フローチャート500は、補助デバイスをオンにすると開始する。工程501において、注射デバイスにより提供される薬剤のタイプ、例えばインスリンが、例えば色認識または注射デバイス上に印刷されたコードの認識に基づいて決定される。薬剤のタイプの検出は、患者が常に同じタイプの薬剤を摂取しており、注射デバイスをこの単一のタイプの薬剤と共にしか使用しない場合には必要でなくてよい。他の方法で、例えば、補助デバイスがこの単一のタイプの薬剤のみを提供できる1つの特定の注射デバイスと共にのみ使用可能である、キーと溝との対(key−recess pair)により、薬剤のタイプを確実に決定してもよい。
【0051】
工程502において、例えば注射デバイスの投与量窓に示される情報のOCRにより、現在の選択用量が決定される。その後、工程503において、この情報が注射デバイスのユーザに表示される。
【0052】
工程504において、例えば前述した音認識により、排出が行われたかどうかがチェックされる。ここでは、プライムショットを、注射デバイスによって生成されたそれぞれの異なる音に基づいて、かつ/または排出用量に基づいて、実際の注射(人への)と区別してもよい(例えば、所定量、例えば4または3単位未満の小用量をプライムショットとみなし、より大きい用量を注射とみなしてもよい)。
【0053】
排出が行われると、決定されたデータ、すなわち選択用量、および該当する場合、薬剤のタイプ(例えばインスリン)が、メインメモリ241および/または補助メモリ243に記憶され、そこから後で無線ユニット28を介して別のデバイス、例えば血糖モニタリングシステムに伝送することができる。排出の性質に関して、例えば排出がプライムショットとして行われたか、実際の注射として行われたかの区別が行われると、この情報もメインメモリ241および/または補助メモリ243に記憶させて、後で伝送することができる。注射が行われた場合、工程505で、用量がディスプレイ21に表示される。注射直後の0分または1分である最終の注射からの時間も表示される。最終用量からの時間を断続的に表示してもよい。例えば、時間を、注射された薬剤の名前または他の識別、例えばApidraまたはLantusと共に交互に表示してもよい。
【0054】
排出が工程504で行われなかった場合、工程502および503が繰り返される。
【0055】
送達用量および時間データの表示後、フローチャート500は終了する。
【0056】
図4bは、光学センサの使用のみに基づいて選択用量が決定されるときに実行される例示的な方法工程をより詳細に示す。例えば、これらの工程を
図4aの工程502で実行してもよい。
【0057】
工程901において、補助デバイス2の光学センサ25などの光学センサによってサブ画像が取り込まれる。取込みサブ画像は、例えば、注射デバイス1の投与量窓13の少な
くとも一部の画像であり、そこに現在の選択用量が表示されている。例えば、取込みサブ画像は、低い解像度を有し、かつ/または投与量窓13を通して見えるスリーブ19の一部のみを示すことができる。例えば、取込みサブ画像は、投与量窓13を通して見えるスリーブ19の一部に印刷された数字を示すことができる。画像の取込み後、画像は、例えば、以下のようにさらに処理される:
・先に取り込まれた背景画像による分割;
・画像をビニングして、さらなる評価のために画素数を減らす;
・画像を正規化して照明の強度変化を減らす;
・画像のシアリング;および/または
・固定閾値と比較することによる画像の2値化。
【0058】
該当する場合、例えば十分に大きい光学センサ(十分に大きい画素を有するセンサ)が使用される場合に、これらの工程のいくつかまたはすべてを省いてもよい。
【0059】
工程902において、取込みサブ画像に変化があるか否かが決定される。変化があるか否かを決定するために、現在の取込みサブ画像を先の取込みサブ画像と比較することができる。ここでは、先の取込みサブ画像との比較を、現在のサブ画像が取り込まれる直前に取り込まれた、先の取込みサブ画像のサブ画像、および/または現在のサブ画像が取り込まれる前の特定の時間(例えば0.1秒)内に取り込まれた、先の取込みサブ画像のサブ画像に限定してもよい。比較は、現在の取込みサブ画像および先の取込みサブ画像で実行されるパターン認識などの画像解析法に基づいていてもよい。投与量窓13を通して見え、現在の取込みサブ画像および先の取込みサブ画像に示されている数字のパターンが変化しているかどうかを解析してもよい。あるサイズおよび/またはアスペクト比を有する画像のパターンを検索してもよく、これらのパターンを1つまたはそれ以上の先に保存したパターンと比較してもよい。工程901および902は、取込み画像の変化の検出に対応し得る。
【0060】
工程902においてサブ画像に変化があると判定された場合、工程901が繰り返される。そうでない場合には、工程903において、補助デバイス2の光学センサ25などの光学センサによって画像が取り込まれる。取込み画像は、例えば、現在の選択用量が表示されている、注射デバイス1の投与量窓13の画像である。取込み画像は、取込みサブ画像の解像度よりも高い解像度を有してよい。取込み画像は、投与量窓13を通して見える、注射デバイス1のスリーブ19上に印刷された数字を少なくとも示す。
【0061】
工程904において、工程903で取り込まれた画像上で光学式文字認識が実行されて、スリーブ19上に印刷された、投与量窓13を通して見える数字を認識する。この数字が(現在の)選択用量に対応するからである。認識された数字に従って、選択用量が決定される。
【0062】
工程905において、決定された選択用量に変化があるか否か、場合により、決定された選択用量がゼロに等しくないか否かが判定される。変化があるか否かを判定するために、現在決定されている選択用量を先に決定された選択用量と比較してもよい。ここでは、先に決定された選択用量との比較を、現在の選択用量が決定される前の特定の時間(例えば3秒)内に決定された、先に決定された選択用量に限定してもよい。決定された選択用量に変化がなく、場合により、決定された選択用量がゼロに等しくない場合、現在決定された選択用量をさらなる処理のために(例えばプロセッサ24に)戻す/送る。
【0063】
したがって、投与量つまみ12を最後に回したのが3秒よりも前である場合に選択用量が決定される。投与量つまみ12をこの3秒以内または3秒より後に回し、新しい位置が3秒を超えて変化しないままである場合、この値を決定された選択用量とする。
【0064】
図5は、プログラムコード602を有するコンピュータプログラム601を含む有形記憶媒体600(コンピュータプログラム製品)の概略図である。このプログラムコードを、補助デバイスに含まれるプロセッサ、例えばプロセッサ24によって実行してもよい。記憶媒体600は、補助デバイス2のプログラムメモリ240であってもよく、固定メモリまたは着脱可能メモリ(例えば、メモリスティックまたはカード)であってもよい。
【0065】
以下で、
図6〜
図12を参照しながら、
図3の補助デバイス2と注射デバイス1とを連結し得る方法について説明する。
【0066】
図6で最もよくわかるように、補助デバイス2は投与量つまみ12の近くで注射デバイス1に取り付けられ、ディスプレイ21は図示した向きにおいて最上にある(
図6〜
図12のすべてについて同じである)。ディスプレイ21の平面は、注射デバイス1の長手方向軸に対して概ね横断方向に位置し、
図6、
図7、
図8、
図10、
図11、および
図12の紙面に垂直である。
【0067】
クロージャ68がヒンジの軸59から延び、注射デバイスの下に延びる。クロージャ68は、右側で(注射ボタンが見る人の最も近くにある状態で注射デバイス1を見たときに)補助デバイス2に連結され、注射デバイス1の下に延び、左側で補助デバイスに連結する。
【0068】
補助デバイス2は、注射デバイス1上における補助デバイス2の正しい位置合わせに寄与する2つの機能を含み、1つの機能によって補助デバイス2を注射デバイス1に固定する。注射デバイス1上における補助デバイスの正しい位置合わせに寄与する機能を、位置合わせ配置と呼ぶことができる。補助デバイス2を注射デバイス1に固定することに寄与する機能を、固定配置と呼ぶことができる。
【0069】
注射デバイス1上における補助デバイスの正しい位置合わせにより、OCRリーダ25が確実に投与量窓13に正しく位置合わせされる。正しい位置合わせにより、正しい動作および確実な読取りが可能になる。使用時に補助デバイス2と注射デバイス1との間に正しい位置合わせが確実にあると、OCRリーダ25のより簡単な設計が可能になる。特に、OCRリーダ25を、デバイス1、2間の異なる位置合わせに適応できるように設計する必要がないからである。
【0070】
第1の位置合わせ機能は位置特定チャネル71(
図9a参照)である。位置特定チャネル71は、閉位置にあるときに補助部材の本体とクロージャ68との間に画成される注射デバイス受容チャネル58の最上部に位置する。
【0071】
位置特定チャネル71は、
図9aおよび
図9bに最もよく示される。ここから、位置特定チャネルが、補助デバイス2が注射デバイス1に装着されたときに投与量つまみ12に最も近い補助デバイスの端部に形成されることがわかるであろう。
【0072】
図1bで最もよくわかるように、位置特定リブ70は表示窓13と投与量つまみ12との間に位置する。この例では、位置特定リブ70は、表示窓13と投与量つまみ12との間の距離全体にわたって延びる。他の例では、位置特定リブはより短くなっている。位置特定リブ70は、投与量つまみ12に隣接する端部でより高く、表示窓13との接合部でゼロ高さになるようにテーパ状になっている。
図1bからわかるように、位置特定リブ70の最上縁のテーパはわずかに湾曲している。テーパの勾配は、投与量つまみ12に最も近い位置特定リブ70の部分で小さく、位置特定リブに沿って表示窓13の位置まで大きくなる。位置特定リブ70の形状は、投与量つまみ12に隣接する位置特定リブ70の位
置から表示窓13に隣接する位置特定リブ70の位置まで動くにつれて、勾配が連続的に増加するようになっている。
【0073】
注射デバイス1の本体に対して周方向の寸法である位置特定リブ70の厚さは、位置特定リブ70の長さに沿って変化する。位置特定リブ70の厚さは、投与量つまみ12に隣接する端部で最大であり、表示窓13に隣接する端部で最小である。位置特定リブ70の厚さは、投与量つまみ12に隣接する位置特定リブの端部から表示窓13に隣接する位置特定リブの端部まで動くにつれて徐々に減少する。
【0074】
注射デバイス1の長手方向軸に垂直に取った位置特定リブの横断面は、丸みのある三角形である。位置特定リブ70の横断面は、その全長について略同じであるが、もちろん、サイズが変化してもよい。
【0075】
位置特定チャネル71は、注射デバイス1に存在する位置特定リブ70の形状およびサイズに密に対応するように寸法決めされる。
【0076】
位置特定チャネル71は、位置特定リブ70のサイズおよび形状に密に対応するサイズおよび形状を有する。位置特定チャネル71は、位置特定リブよりもわずかに大きく、位置特定リブを位置特定チャネル71内に確実に位置させることができるようになっている。位置特定リブ70が位置特定チャネル71内にあるときに、対応するサイズによって2つの機能同士が確実に嵌合する。これにより、注射デバイス1上における補助デバイス2の正しい位置決めを確実にするのを助ける。
【0077】
以下で、2つのデバイス間の正しい位置合わせを確実にするのを助ける、補助デバイス2および注射デバイス1の他の機能について説明する。
図1bで最もよくわかるように、注射デバイス1は、本体の両側の、投与量つまみ12に近い位置にくぼみを備える。
図1bでは、左くぼみ52が示される。
図8に示す右くぼみ51は、注射デバイス1の右側の対応する位置にある。
【0078】
左および右くぼみ51、52は、比較的浅い凹みである。くぼみ51、52は傾斜する側面を有し、すなわち、くぼみ51、52の側面は平行ではない。また、くぼみ51、52は注射デバイス1の長手方向軸に対して半径方向ではない。これらの実施形態において、左および右くぼみ51、52の側面の傾斜は、くぼみの異なる部分について異なる。特に、くぼみの側面の傾斜の勾配は、表示窓13から最も遠いくぼみの部分で小さく、表示窓13に最も近いくぼみ51、52の部分で最大である。これらの例では、くぼみの傾斜がこれら2つの極値の間で、例えば直線的に変化する。
【0079】
くぼみの側面の傾斜は、例えば、表示窓13から最も遠い部分で30〜70度であってよい。傾斜は、例えば、表示窓13に最も近い部分について、60〜80度であってよい。表示窓13に近い部分の傾斜角度が大きいほど、くぼみ51、52内の突起の面の係合を助け、注射デバイス1の長手方向軸に対して半径方向への補助デバイス2の取外しに、いくらかの抵抗を示すようになっている。
【0080】
図8、
図9a、および
図9bで最もよくわかるように、左および右突起53、54は、右および左くぼみ51、52のそれぞれの形状に対応するように形成される。このようにして、右および左突起53、54は、補助デバイス2が注射デバイス1上に正しく位置するときに、右および左くぼみ51、52のそれぞれに収まる。右および左突起53、54の外寸は、右および左くぼみ51、52の内寸よりもわずかに小さく、突起がそれぞれのくぼみに確実に収まるようになっている。
【0081】
これらの実施形態において、突起53はくぼみ51の形状に密に対応するように形成される。このようにして、突起53は、補助デバイス2が注射デバイス1上に正しく位置するときにくぼみ51にぴったりと収まる。突起54は、突起53と同様に形成されるが、突起53よりも低い。言い換えると、突起54は突起53と同様であるが、上部がないか、または切り取られている。このため、突起54の端面は突起53よりも大きい面積を有する。突起53、54のサイズが異なることにより、突起がくぼみ51、52内に係合することを助ける。突起53を、スレーブである他方の突起に対するマスターとみなしてもよい。
【0082】
図9aに最もよく示すように、右突起53は右アーム55の端部に位置する。
図9bに見られるように、左突起54は左アーム56の端部に位置する。
図8で最もよくわかるように、右および左アーム55、56は、補助デバイス2の本体からほぼ垂直に垂下する。したがって、右および左アーム55、56は注射デバイス受容チャネル58の両側に形成される。
【0083】
略U字形ばねの形の付勢機能67が、右および左アーム55、56の各々に連結される。付勢機能67の効果は、右および左アームをある位置に付勢することである。右および左アーム55、56が付勢される位置は、右および左突起53、54の最内面間の距離が右および左くぼみ51、52の底部間の距離よりもわずかに小さくなるような位置である。付勢機能67の効果は、突起53、54とアーム55、56とが互いから離れる動きに抵抗することである。
【0084】
あるいは、付勢機能67の代わりに、当業者は、圧縮ばねをフラップ60とそれぞれのアーム55、56との間の空間に位置させて、突起53、54とアーム55、56とが互いから離れる動きに抵抗してもよいことを理解するであろう。
【0085】
突起53、54の側面の傾斜がくぼみ51、52の側面に一致するため、アーム55、56の遠位端の突起53、54の傾斜側面は比較的浅い。これにより、補助デバイスを装着したときに、注射デバイス1の本体10の外面上で突起53、54を摺動させることを助ける。これは、
図8および
図10を参照して最もよく示される。
【0086】
図8に示すように、補助デバイス2は、右および左アーム55、56の端部、特に突起53、54が注射デバイス1のハウジング10にちょうど接触しているように、注射デバイス1に対して位置する。ここで、突起53、54は表示窓13の左側および右側でハウジングに接触する。
【0087】
左および右アーム55、56は、左側および右側の両方で補助デバイス2から垂下するフラップ60の後方に存在する。
図8に見られるように、フラップまたは保護壁60は、アームよりさらに下方向へわずかに延びる。フラップ60は透明材料から形成される。これにより、ユーザは、くぼみ51、52に対するアーム55、56の位置を見ることができるため、ユーザが補助デバイス2を注射デバイス1上に正しく位置させるのを助けることができる。
【0088】
補助デバイス2を注射デバイス1と嵌合させるために、ユーザは、
図8に示すように、最初に補助デバイス2を注射デバイス1に対して配置し、その後、補助デバイス2に対して力を下方へ加え、同時に、注射デバイス1に対して力を上方へ加える。これにより、突起53、54、およびしたがって右および左アーム55、56に力を加える。注射デバイス1と補助デバイス2とが近付くと、この力により、ばね67の弾性に対抗してアームが離れる。この弾性によって、ばね67は、注射デバイス1が注射デバイス受容チャネル58に入るのに抵抗する反力を加える。しかしながら、突起53、54が注射デバイスの長
手方向軸とちょうど一直線にある注射デバイス1の位置に到達すると、注射デバイス1と補助デバイス2とが共にさらに動いたとき、ばね67により提供される反力が増加しなくなる。この点の後、注射デバイス受容チャネル58内への注射デバイス1の動きを、ばね67の弾性が助ける。
【0089】
さらにいくらか動いた後、突起53、54は左および右くぼみ51、52と位置合わせされ、ばね67の弾性により、くぼみに係合する。係合は、突起53、54がカチッと音を立ててくぼみ51、52にカチッと留まったときに触覚および聴覚フィードバックをもたらす。フィードバックは、ばね67の弾性によりもたらされる力によって強化される。突起53、54がくぼみ51、52に嵌合すると、一部には突起53、54とくぼみ51、52との対応する形状のため、一部にはばね67によりアーム55、56を共に付勢するため、注射デバイス1に対する補助デバイス2のさらなる動きに対して大きな抵抗がある。
【0090】
突起53、54がくぼみ51、52に嵌合すると、
図10に示すように、注射デバイス1は注射デバイス受容チャネル58内に完全に位置する。ここで、表示窓13の最外面が補助デバイス2の上部の最下面に概ね位置合わせされることがわかる。この補助デバイス2は、注射デバイス1が注射デバイス受容チャネル58にぴったりと収まり、補助デバイスと注射デバイス1とがこの相対位置にあるときに、注射デバイス1のハウジング10の外面と補助デバイス2の最下面とが接触する複数の点または領域があるように形成される。この時点で突起53、54とくぼみ51、52とが嵌合していなくても、ユーザは、注射デバイス1がこの位置で補助デバイス2内に当然着座している傾向があることに気付くであろう。
【0091】
右および左突起53、54が右および左くぼみ51、52のそれぞれの中に位置するように補助デバイス2が注射デバイス1に対して位置するときに、位置特定リブ70は位置特定チャネル71内に係合する。したがって、注射デバイス1に対する補助デバイス2の正しい位置合わせは、2つの方法で:第1に、位置特定チャネル71内の位置特定リブ70の位置によって、および第2に、くぼみ51、52内における突起53、54の位置特定によって提供される。
【0092】
補助デバイス2が
図6に示す位置のわずかに右にあるような位置で、ユーザが補助デバイス2を注射デバイス1上に配置する場合、位置特定リブ70は位置特定チャネル71に収まらない。この場合、位置特定リブ70が位置特定チャネル71内の正しい位置から何らかの方法で遠位にある補助デバイス2の表面に押し当てられることによって、補助デバイス2は注射デバイス1上に完全に位置することができない。しかしながら、この位置では、突起53、54の端部が注射デバイス1のハウジング10の周囲の中間点を通っているため、ばね67によって注射デバイス1が補助デバイス2に向かって付勢され、注射デバイス受容チャネル58内に位置するようになっている。ユーザは、突起53、54とくぼみ51、52との嵌合による触覚フィードバックを何も受けていないため、補助デバイス2が注射デバイス1内に正しく嵌合していないことがわかる。ユーザはまた、投与量つまみ12に最も近い補助デバイスの端部が注射デバイス1から分離しており、その分離の距離が、投与量つまみ12から遠位の補助デバイス2の端部における、注射デバイス1からの補助デバイス2の分離よりも大きいことに気付く。この状況で、ユーザは、単に補助デバイス2および注射デバイス1に力を及ぼして、補助デバイス2を
図6に示す方向に左方向へ動かすことによって、補助デバイス2と注射デバイス1とを係合させることができる。補助デバイス2と注射デバイス1とが互いに対して動くにつれて、位置特定リブと位置特定チャネルとがますます係合する。ばね67によってもたらされるばね力により、補助デバイス2と注射デバイス1との相対運動をこのように助けることができる。位置特定リブ70と位置特定チャネル71とがさらに係合すると、投与量つまみ12に最も近い補
助デバイス2の端部が注射デバイス1に向かって下方へ動く。この動きは位置特定リブ70が完全に位置特定チャネル71内に入るまで継続し、この時点で、右および左突起53、54も右および左くぼみ51、52のそれぞれに係合する。この時点で、触覚フィードバックが突起53、54とくぼみ51、52との嵌合によってもたらされ、ユーザは、補助デバイス2と注射デバイス1とが互いに対して良好に位置していることを判定することができる。
【0093】
補助デバイスが
図6に示す位置の左にあるようにユーザが補助デバイスを注射デバイス1上に位置させる場合、補助デバイス2と注射デバイス1とは嵌合しない。この場合、位置特定リブ70は、補助デバイス2が注射デバイス1に対して平らに位置することを妨げない。ユーザは、これに気付くと、補助デバイス2が投与量つまみ12から遠くに位置しすぎていることがわかる。ユーザは、単に補助デバイス2を注射デバイス1に対して動かして、補助デバイス2を
図6の方向で右方向へ動かすことによって、補助デバイス2を注射デバイス1に係合させることができる。
【0094】
補助デバイス2は、クロージャ68を備えてもよく、このクロージャ68は、2つのデバイスが互いに嵌合するときに補助デバイス2を注射デバイス1に締め付けるという主な機能を有する。
【0095】
図11および
図12で最もよくわかるように、クロージャ68は、仮想円筒の湾曲面に一致する最内面を有する。円筒の直径は、注射デバイス1のハウジング10の外寸と同じである。このようにして、補助デバイス2が注射デバイス1上の定位置にあるときに、クロージャ68は注射デバイス1のハウジング10の最下部にぴったりと嵌まる。
【0096】
クロージャ68は、
図11に示す開位置と
図12に示す閉位置との間で可動である。
【0097】
図6に見られるように、クロージャ68は、投与量つまみ12に対してアーム保護壁60の反対の方向でアーム保護壁60の隣に位置する。クロージャ68は、補助デバイス2の長さ寸法の約60%であり得る注射デバイス1の長手方向軸の寸法を有する。
【0098】
クロージャ68の材料は、概ね均一な厚さを有する。このようにして、補助デバイス2が注射デバイス1に嵌合するときに注射デバイス1の長手方向軸から最も遠い面であるクロージャ68の外面は、全体として円筒形であるか、または少なくとも円筒の一部の形を取る。
【0099】
クロージャ68は2つの切込み72、73を備える。切込み72、73は、補助デバイス2の他側に形成されたヒンジの軸59から最も遠いクロージャ68の縁部から延びる。切込み72、73は、この縁部から注射デバイス1に対して概ね周囲方向に延びる。切込みの長さは、クロージャ68が概ね位置する円の円周の1/6または1/5に略等しい。切込み72、73は、タブ61を画成する。タブ61は、切込み72、73の最下端の間の位置でクロージャ68の主部に連結される。タブ61の自由端63は、切込み72、73の最上端の間に位置する。
図7で最もよくわかるように、タブ61の自由端63は湾曲して、切込み72、73間の中心である点で注射デバイス1の長手方向軸からより大きく離れて延びるようになっている。これにより、ユーザは、タブ61の自由端63に指を置いて、
図12の下方向および左方向へ自由端63を引くことができるようになっている。
【0100】
タブ61の内面に掛止縁64が設けられる。掛止縁64は、掛止面と別の面との接合部に設けられる。掛止縁64は、タブ61の幅にわたって延びる。掛止面は、
図12に示すようにクロージャ68が閉位置にあるときに、注射デバイス1の長手方向軸に対して略半径方向に延びる平面にある。この位置で、掛止縁64は、補助デバイス2の最上部分の一
部として設けられた、すなわちクロージャ68の一部でない補助デバイス2の一部として設けられた掛止係合面66に係合する。掛止係合面66は、クロージャ68が閉位置にあるときに掛止面の平面と概ね同じ向きである平面に設けられる。
【0101】
ユーザが補助デバイス2を注射デバイス1上に嵌合させると、特に位置特定リブ70を位置特定チャネル71内に嵌合させ、突起53、54をくぼみ51、52内に位置させると、ユーザは補助デバイス2を注射デバイス1に固定することができる。これは、ユーザがクロージャ68を、注射デバイス受容チャネル58が注射デバイス1を内部に含むために開いている
図11に示す位置から動かし、かつクロージャ68をヒンジの軸59の周りで回転させて、タブ61の自由端63を掛止係合面に向かって動かすようにすることによって達成される。この動きは、掛止縁64の最内部分と掛止係合面66の直下に位置する案内面65との接触が行われるまで継続する。案内面65は、注射デバイス1のハウジング10の外面に対して概ね接線方向に傾斜している。
【0102】
この時点で、
図11に示す形状を取り入れるクロージャ68の傾向により、タブ61の端部と案内面65との間にばね力をもたらす。ユーザがクロージャ68に対してさらに力を及ぼすと、クロージャ68は弾性変形して、タブ61の自由端63とヒンジ59との分離を増加させるようになっている。これにより、掛止縁64の縁部が案内面65上を摺動することができる。これは、掛止縁64が案内面65と掛止係合面66との間の縁部と位置合わせされるまで継続し、この時点で、掛止縁64と掛止面とが、掛止係合面66に接して形成されたチャネル内で係合する。この時点で、クロージャ68の弾性により、掛止縁64と掛止係合面66とが互いに係合し、この時点で、構成要素は
図12に示す位置にある。この位置で、クロージャ68の最内面が注射デバイス1のハウジング10の最外面にぴったり合うことがわかるであろう。この時点で、クロージャ68によって、注射デバイス1が、注射デバイス受容チャネル58内にしっかりと含まれ、クロージャ68により定位置に保持されることが確実になる。
【0103】
連結機能および位置合わせ機能の他の構成が想定される。例えば、一部の実施形態において、位置特定リブ70および位置特定チャネル71が存在しない。これらの実施形態において、補助デバイス2と注射ペンデバイス1との正しい位置合わせは、突起53、54とくぼみ51、52との嵌合によってもたらされる。一部の他の実施形態において、右および左アーム55、56および突起53、54が存在しない。これらの実施形態において、補助デバイス2と注射デバイス1との正しい位置合わせは、位置特定リブ70と位置特定チャネル71とによってもたらされる。補助デバイス2と注射デバイス1との正しい相対位置を確保するための他の代替配置が、当業者により想定されるであろう。また、当業者は、代替の固定配置、例えば、正しい相対位置が得られると補助デバイス2を注射デバイス1に締め付けることを認識するであろう。
【0104】
以下で、前述した、光学式文字認識を実施可能な例示的な光学配置の詳細について説明する。
【0105】
図13は、注射デバイス1の軸に垂直な方向の、補助デバイス2および注射デバイス1の横断面図である。横断面は光学センサ25を通っている。
図13において、補助デバイス2は注射デバイス1に係合してぴったりと嵌まる。さらに、補助デバイス2と注射デバイス1とは、突起53、54がくぼみ51、52に嵌合し、位置合わせリブ70と位置合わせチャネル71とが嵌合することによって正しく位置合わせされる。この位置で、光学センサ25は投与量窓13に向けられる。特に、光学センサ25は、視野内のシーンを示すカメラ出力を生成するためのカメラを含み、以下でこれをカメラと呼ぶ。
【0106】
図13のカメラ25は、光学式文字認識(OCR)リーダの一部を含んでよい。例えば
、カメラ25を使用して、現在の選択用量が表示される注射デバイス1の投与量窓13の画像を取り込むことができる。そのような画像はカメラ出力を含み、カメラ25の視野に現れるときに投与量スリーブ19に現れる情報を示す。カメラ25が一部を含むOCRリーダは、これらの画像を処理し、取込み画像から数字を認識し、この情報を
図3のプロセッサ24などの中央処理装置に提供する。あるいは、しかしながら、カメラ出力を中央処理装置、例えばプロセッサ24に直接提供し、そこで画像を処理して画像上でOCRを実行するように、カメラ25を構成してもよい。
【0107】
注射デバイス1の投与量スリーブ19上の数字を蛍光材料で印刷してもよい。蛍光材料は、特定の周波数の光で照明されたときに蛍光を発する材料(言い換えると、蛍光する材料)である。そのような材料は、特定の周波数の光で照明されると、光を吸収し、続いて別の異なる周波数を有する光を発する。補助デバイス2は複数の光源(例えばLED)29a〜29dを含み、これらの光源は、注射デバイス1の投与量窓13と位置合わせされた数字を照明することにより数字が蛍光を発するように、プロセッサ24により制御可能である。補助デバイス2はこの蛍光を使用してOCRを実行する。再び
図13を見ると、光学センサ25の視野全体にわたって延びるフィルタ131が設けられ、このフィルタは、光源29a〜29dにより発せられたものと同じ周波数の光を遮ると同時に、投与量スリーブ19から蛍光として発せられた光を略透過するように構成される。フィルタ131はガラスまたはポリマーフィルムを含んでよい。これらの代替案の両方において、フィルタ131は、前述した光の必要な波長を遮り、かつ伝送するように構成された吸収色素の層を備える、または収容することができる。あるいはまたは加えて、ガラスまたはポリマーフィルムを干渉フィルタに連結してもよい。
【0108】
言い換えると、光源29a〜29dは、注射デバイス1の投与量スリーブ19を光学照明で照明するようにプロセッサ24により制御可能であるため、投与量スリーブ19上の数字を画成する材料が、カメラ25により検出可能な光学蛍光を発する。その後、カメラ25は、検出された光学蛍光に基づいて、カメラの視野のシーンを示すカメラ出力を生成する。
【0109】
以下で、
図13の光学配置をより完全に説明する。
【0110】
図13において、投与量窓13は横断面が均一な厚さであり、円筒環の一部を形成する形状を有することがわかる。投与量窓13が入る円筒の軸は、注射デバイス1の軸である。投与量窓13は、軸方向にわずかに円錐形であってよい。
【0111】
保護窓80が、カメラ25と投与量窓13との間に位置してもよい。保護窓80は、注射デバイス1の軸と位置合わせされた軸を有する円筒の湾曲面に入る最下面を含む。保護窓80の最上面は小さい半径を有する。したがって、保護窓80は、カメラ25と注射デバイス1の軸とのちょうど間の経路にある中心部分に、その縁部よりも大きい厚さを有する。したがって、保護窓80は屈折力を有する。保護窓80は、レンズ25aと共にカメラ25の撮像システムの一部を形成するように構成される。これらの実施形態のレンズ25aは2つのレンズを有するが、説明を簡単にするために1つのレンズとして言及する。保護窓80の屈折力により、短い軌道長が可能になり、コンパクトな配置に寄与する。
【0112】
他の実施形態において、保護窓80は屈折力を有していない、または言い換えるとゼロの屈折力を有する。そのような配置も同様に良好に機能し得るが、コンパクトではなくなることがある。
【0113】
保護窓80を、任意の適切な光透過材料から形成してもよい。例えば、保護窓は、光学グレードのプラスチック、例えば光学グレードのポリカーボネートまたはPMMA(ポリ
メチルメタクリレートアクリル)から形成される。
【0114】
窓80の左縁に、補助デバイス2の本体20の一部を形成する左窓支持体83に連結する機能81が設けられる。窓の右縁の機能82は同様に構成されて、補助デバイス2の本体20の一部を形成する右窓支持体84に押し当てられる。左および右窓支持体83、84は、補助デバイス2の他の構成要素に対して保護窓80を正しい位置に支持するように機能する。
【0115】
保護窓80は、本体に対して封止される。これにより、汚れ、埃、および他の破片が本体20に入ることを防ぐため、カメラ25および光学システムの他の部材の正しい動作を維持するのを助ける。したがって、保護窓80は、補助デバイス2の本体20の機械的構成の一部および光学システムの一部を形成する。これにより、全体の配置をコンパクトにするのを助ける。
【0116】
図1aで最もよくわかるように、投与量窓13は注射デバイス1に対してまっすぐ(square)ではない。代わりに、投与量窓はある角度になっているため、投与量スリーブ19が数字を螺旋状に示すことができ、用量ダイヤル12がユーザにより回転されて用量が送達されると、数字が投与量窓13に現れる。Sanofiにより販売されているSoloStar注射デバイスでは、投与量窓13と投与量スリーブ19上の数字とが13度傾斜している。
【0117】
図15および
図16から最もよくわかるように、カメラ25と第1〜第4の光源(例えばLED)29a〜29dとを含む光学配置は、注射デバイス1の主軸に対して傾いている。光学部材を傾けて、傾いた数字スリーブ19および投与量窓13と位置合わせする。SoloStar注射デバイスの場合、傾きの量は13度である。
【0118】
第1〜第4の光源29a〜29dは、カメラ25のレンズ25aから離れている。この例では、光源はレンズ25aの周りに分散される。光源29a〜29dは投与量スリーブ19を照明するように構成されて、投与量スリーブ上の数字をカメラ25で読み取ることができるようになっている。
図13から最もよくわかるように、光源29a〜29dは、投与量窓13の中心に向かって傾斜している、または傾いている。これにより、投与量スリーブ19のより有効な照明をもたらし、照明の全体的な効率を向上させることができる。他の実施形態において、光源は傾いておらず、代わりに、光源が位置する平面からすべて共通の方向に放射する。
【0119】
光学系は、おそらく
図14から最もよく理解される。
図14は
図13に密に対応しているが、反転図であり、すなわち
図13の右が
図14の左になるように反対方向から取った非常に概略的な横断面図である。
【0120】
非常に概略的であるが、
図14は、第3および第4の光源29d、29cの照明パターンを実線で縁取って示す。これらは概略的なものに過ぎない。実際には、保護窓80および投与量窓13によりもたらされる屈折のため、投与量スリーブ19の実際の照明は異なっている。
図14では、説明を助けるために投与量窓13の厚さが誇張されている。
【0121】
図14は、カメラ25の視野がカメラレンズ25aに集まる様子を示す。カメラ25の視野が投与量スリーブ19の幅全体を略覆うことがわかるであろう。
図14には見えないが、カメラ25の視野はまた、投与量スリーブ上に設けられた数字が動作中にカメラ25により取り込まれるのに十分な投与量スリーブ19の長さの部分を覆う。
【0122】
光源29a〜29dは、投与量スリーブ19の略均一な照明を達成するように配置され
る。これは、規定の角度および空間範囲内の略均一な照明パターンを有する光源(例えばLED)29a〜29dを使用することによって達成される。光源29a〜29dは、保護窓80および投与量窓13の光学効果を考慮して、均一な照明パターンが投与量スリーブ19で得られるように位置する。
【0123】
光源29a〜29dおよび保護窓80は、光路が空気と光学部材との境界に、境界の全内部反射の角度よりも小さい角度で接するように配置される。保護窓80は、全内部反射の角度よりも小さい角度で入射する比較的小さい光を反射する材料から形成される。
【0124】
さらに
図15および
図16を参照すると、第1〜第4の光源29a〜29dは前記フィルタ131から離れている。言い換えると、補助デバイス2が注射デバイス1に連結される使用時に、光源はフィルタ131に対してずれて、光源29a〜29dと投与量スリーブ19との間に光路が存在し得るようになっている。この例では、光源29a〜29dがフィルタ131の周りに分散される
【0125】
前述したように、
図14は、注射デバイス1に連結された補助デバイス2を通る横断面を概略的に示す。この配置の使用時の機能は以下の通りである。光源29a〜29dは、投与量スリーブ19を第1の周波数f
1の光で光学的に照明するように、プロセッサ24により制御可能である。これにより、投与量スリーブ19上の数字を画成する材料が蛍光する。言い換えると、この材料を第1の周波数f
1の光で照明することにより、材料はこの光の少なくとも一部を吸収し、その後、第2の異なる周波数f
2の光を発する。第2の周波数f
2の光は、カメラ25の視野内に位置するフィルタ131に向かって発せられる。フィルタ131は、第2の周波数f
2の光を略透過するため、第2の周波数f
2の光がフィルタ131を通り、カメラ25により検出される。言い換えると、投与量スリーブ19から発せられた蛍光がフィルタ113を通り、カメラ25により検出される。しかしながら、フィルタ131が第1の周波数f
1の光を遮るように構成されるため、カメラ25に向かって反射される第1の周波数f
1wの光はこれによって検出されない。例えば、
図14の保護窓80または投与量窓13の上面または下面(言い換えると、窓と空気との境界の1つ)により、第1の周波数f
1の光をカメラ25に向かって反射させてもよい。
【0126】
例示の目的で、
図14は、光源29a〜29dからの一部の光が保護窓80および投与量窓13を通る様子を示す。この光は、投与量スリーブ19上に設けられた数字を画成する材料に入射し、この材料を蛍光させる。しかしながら、光源29a〜29dからの光の一部が、投与量窓13の下面からカメラ25に向かって反射される様子が示される。ただし、前述したように、この光はフィルタ131により遮られてカメラ25に到達しない。
【0127】
図14に示すフィルタ131は、カメラ25の視野の横断面全体を占め、したがって投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路の横断面の全体を占める。したがって、カメラ25は、投与量スリーブ19から発せられた光学蛍光に基づいてカメラ出力を生成する。この光のみが使用時にフィルタ131を通るからである。蛍光は、数字を画成する投与量スリーブ19上の材料のみによって発せられる。その結果、カメラ出力は、カメラ25の視野内で投与量スリーブ19上に現れる1つまたはそれ以上の数字を示す。
【0128】
したがって、
図14のカメラ25により生成された画像を含むカメラ出力を前述した方法で処理して、どの情報が投与量スリーブ19上に表示されているかを判定することができる。例えば、検出された蛍光に基づいてカメラ25により生成されたカメラ出力は、工程901または903(
図4b参照)と同じ状況における画像を含んでもよい。したがって、工程904のように、OCRをこの画像上で実行して選択用量を判定してもよい。
【0129】
以下で、
図14に概略的に示された光学系の様々な態様について、より一般的に説明す
る。
【0130】
広い意味で、光源29a〜29dは、第1の周波数f
1(または、第1の周波数f
1を包含する光学周波数の狭帯域)の光学照明を発生させるように構成される。光とも呼ばれる光学照明は、電磁スペクトルの紫外域、可視域、または赤外域の波長の電磁放射を含む。紫外光は、例えば約10nm〜400nmの波長を有し、可視光は、例えば約400nm〜750nmの波長を有し、赤外光は、例えば約750nm〜1mmの波長を有する。
【0131】
したがって、光源29a〜29dを、少なくとも1つの周波数の紫外線放射を発生させるように構成することができる。場合により、光源29〜29dは、紫外線LEDを含んでもよい。
【0132】
紫外線LED29a〜29dを含む光学配置を使用して、UV光により照明されるときに可視光を蛍光する投与量スリーブ19を照明してもよい。そのような投与量スリーブ19上で数字を画成する材料を、少なくとも1つの周波数f
1のUV光を吸収することにより、少なくとも1つの周波数f
2の可視光を発するように構成してもよい。そのような材料は、FGシリーズのUV蛍光顔料、例えば、長波UV(365nm〜400nm)に晒されると白色/青色に蛍光するUVPN不溶性白色粉末、または短波UV(254nm)に晒されると赤色/緑色に蛍光するUVSWR/G不溶性粉末を含んでよい(https://www.maxmax.com/aUVInvisiblePowders.asp参照)。本実施形態のフィルタ131は、UV光の通過を略妨げる(または少なくとも、紫外線LED29a〜29dにより発せられる各周波数のUV光の通過を略遮る)ように構成される。フィルタ131は、可視光を略透過する(または少なくとも、投与量スリーブ19から蛍光として発せられた周波数または各周波数の可視光を略透過する)ようにさらに構成される。
【0133】
大まかに言うと、光学システムは、少なくとも1つの周波数の光で注射デバイス1を照明したとき(詳細には、投与量スリーブ19の領域を照明したとき)、注射デバイス1により光学蛍光を発生させる。蛍光を発生させるために使用される材料(詳細には、投与量スリーブ19上に設けられる数字を画成する材料)は、周波数f
1を有する光源29a〜29dにより発せられる光とは異なる周波数f
2有する蛍光を発生させるように構成されるべきである。
【0134】
前記を考慮すると、光源29a〜29dを、紫外線放射、可視放射、および赤外線放射の1つを発生させるように構成してもよい。したがって、投与量スリーブ19上に設けられ、蛍光を発生させるために使用される材料を、紫外線放射、可視放射、および赤外線放射の別の1つを含む蛍光を発生させるように構成してもよい。
【0135】
あるいは、投与量スリーブ19上に設けられ、蛍光を発生させるために使用される材料を、異なる周波数ではあるが、光源から発せられるものと同じ種類の光の蛍光を発生させるように構成してもよい。例えば、光源29a〜29dを、紫外線放射を発生させるように構成してもよく、投与量スリーブ19上に設けられた材料によって発生させることのできる蛍光は、異なる周波数ではあるが、紫外線放射であってもよい。
【0136】
本明細書で説明した種類の補助デバイス2と共に使用可能な注射デバイス1の特定の詳細を概説する目的で、再び
図14を参照する。
【0137】
そのような注射デバイスは、略前述した種類のものであってよく、例えば、Sanofi Solostarインスリン注射デバイスを含んでよい。しかしながら、
図14の種類の補助デバイス2と共に使用可能な注射デバイス1は、投与量スリーブ19上に設けら
れた数字が、1つまたはそれ以上の周波数の光学放射で照明されるときに光学的に蛍光する材料によって画成されるように構成される。言い換えると、この材料は、別の周波数f
1の光で照明されるときに周波数f
2を有する光を発する。
【0138】
投与量スリーブ19に設けられた数字は、注射デバイス1の保護窓13を通して見ることができる(
図1aおよび
図14参照)。これらの数字は、注射予定の選択用量、または言い換えると、用量のダイヤル設定量を示す。
図1aおよび
図1bに示すものと同様に構成された注射デバイスの場合、投与量つまみ12を回すことにより、投与量スリーブ19が注射デバイス1内で螺旋状に回転する。これにより、用量のダイヤル設定量に対応する特定の数字を投与量窓13と位置合わせすることができる。
【0139】
投与量スリーブ19上の数字を画成する材料は顔料を含んでもよく、顔料は蛍光を発生することができる。例えば、投与量スリーブ19上の数字を、その数字が位置する表面の色とは異なる色を有する材料を使用して設け、印刷し、描き、塗布してもよい。一例では、投与量スリーブ19は白であってよく、投与量スリーブ19上に設けられる数字は黒であってよい。数字の色にかかわらず、そのような数字を画成する材料は、1つまたはそれ以上の特定の周波数の光により照明されるときに蛍光可能であってよい。この材料は顔料を含んでもよく、またはそのような顔料が内部に分散していてもよく、顔料が蛍光を発生することができる。
【0140】
以下で、前述した実施形態に対する様々な変更および修正について説明する。
【0141】
例えば、数字を画成する、投与量スリーブ19上の材料が蛍光可能である代わりに、この材料をそのように構成しなくてもよい。代わりに、この材料により画成された数字を囲む投与量スリーブ19の表面を、蛍光を発生させるように構成してもよい。本実施形態においても、OCR認識を実行して、どの数字がカメラ25の視野にあるかを判定することができる。これは、数字が、カメラ25により生成された画像の暗いセクションの形状から認識可能になるからである。例えば、投与量スリーブ19上に設けられた数字を囲む表面を蛍光させると、蛍光しない暗い領域が明らかになる。暗い領域の形状は、投与量スリーブ上に設けられた数字を示し、OCRを使用してこの形状を検出および解析して、どの数字に暗い領域の形状が対応するかを判定することができる。
【0142】
実施形態を注射デバイスの文脈において説明したが、本開示の態様は、注射デバイス以外のデバイスにも適用可能である。例えば、本明細書に記載した種類の注射デバイス1を修正して、液体投薬デバイス、または言い換えると、液体を排出するが液体を注射するためには使用されないデバイスのみを含むようにしてもよい。これは、針15をノズル型機能に簡単に修正することによって達成することができる(
図1a参照)。したがって、本明細書に記載した種類の補助デバイス2を、注射デバイス以外の液体投薬デバイスと共に使用することができる。
【0143】
一部の実施形態において、フィルタ131を、前述した第2の周波数f
2を中心とする光学周波数の狭帯域内の周波数を有する光がフィルタ131を通るように構成してもよい(すなわち、第2の周波数f
2は、投与量スリーブ19から発せられる光学蛍光の周波数である)。また、一部の実施形態において、フィルタ131を、前述した第1の周波数f
1を中心とする光学周波数の狭帯域内の周波数を有する光を遮るように構成してもよい(すなわち、第1の周波数f
1は、光源29a〜29dまたは各光源により発せられた光の周波数である)。
【0144】
情報は、1つまたはそれ以上の数字の形で投与量スリーブ19に設けられるものと説明した。また、この情報はOCRの使用により識別されるものと説明した。しかしながら、
より一般には、投与量スリーブ19上に設けられる情報は、代わりにまたは加えて、1つまたはそれ以上の符号、記号、文字またはコードセグメントを含む。OCRの代わりに、より一般的な意味でパターン認識機能を使用して、投与量窓13を通して見ることのできる符号、記号、文字、またはコードの一部を識別することができる。その後、そのような情報を使用して、選択(またはダイヤル設定)用量の量を判定することができる。例えば、特定の符号、記号、文字、またはコードセグメントを、選択(ダイヤル設定)用量の量に関連付けてもよい。そのような符号、記号、文字、またはコードセグメントを選択された用量の量に関連付ける表を、メインメモリ241または補助メモリ243(
図3参照)に記憶させて、プロセッサ24がアクセスできるようにしてもよい。
【0145】
本明細書に記載した主題に対する様々な他の代替案が当業者に明らかになろう。そのような代替案は、特許請求の範囲により除外されない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0146】
例えば、LEDの代わりに、任意の他の適切な光源を使用してもよい。適切な光源としては、電球、レーザダイオード、および有機LEDが挙げられる。
【0147】
図示した実施形態に4つの光源(例えば照明源29a〜29d)が含まれるが、他の実施形態において、1つ、2つ、3つ、5つ、または6つ以上の光源があってもよい。光源の数の選択は、選択された特定の光源のタイプ、輝度、効率、および要求価格に応じて決めることができる。4つの光源により、比較的小さいハードウェアを有しながら、ほとんどの場合に投与量スリーブの十分な照明をもたらす。
【0148】
前述した実施形態において、補助デバイス2が注射デバイス1の定位置にあるときに保護窓80が投与量窓13の近くに位置すると説明したが、代わりに、保護窓80と投与量窓13とは、かなりの距離だけ離れていてもよい。保護窓80を投与量窓13の近くに設けると、コンパクトな配置をもたらすことに寄与する。
【0149】
フィルタ131を保護窓80に連結してもよい。
図17は、1つのそのような配置を示し、ここでは、光源29a〜29dが、フィルタ131内の間隙(または光源29a〜29dからの少なくとも1つの周波数の光を透過するフィルタ131の部分)を通して、光を保護窓80に直接、したがって保護窓80を通して発する。
図17に示すこの配置において、投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路は、照明源29a〜29dが位置するこれら2つの部材間に延びる空間を含まないことを理解されたい。これは、照明源に向かって反射される光が照明源を通って移動しないからである。言い換えると、
図17における投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路は、照明源29a〜29dによって遮られることのない、これら2つの部材間の任意の線を含む。
【0150】
図17において、フィルタ131は保護窓80の上側に連結されているが、
図19のように、代わりにフィルタ131を保護窓80の下側に連結してもよい。照明源29a〜29dは、照明源29a〜29dから発せられる少なくとも1つの周波数の光を投与量スリーブ19上に向けることのできる位置にある必要がある。フィルタ131は、
図19においてカメラ25から延びる実線により示される、カメラ25の視線の横断面全体にわたって位置すべきである。さらに、この配置におけるフィルタ131(少なくとも
図19のカメラ25に面した部分)は、照明源により発せられる周波数または各周波数の光を吸収するように構成されるべきである。この配置における投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路は、
図19においてカメラ25から延びる実線により示される、カメラ25の視線内にあるこれら2つの部材間に延びる任意の線である。
【0151】
他の実施形態において、フィルタ131を保護窓80に埋め込んでも、フィルタ131が保護窓80の一体部分を含んでもよく、例えば保護窓80の着色部分を含んでもよい。
図18は1つのそのような配置を示し、ここでは、光源29a〜29dが、フィルタ131内の間隙を通して、光を保護窓80の一部に直接、したがって保護窓80の一部を通して発する。そのような配置の別の考え方は、フィルタ131を、窓80の機能を果たすように構成された透明部分を有するフィルタ131として説明することである。フィルタ131が保護窓80の一体部分を含む場合、別個のフィルタ131を設けなくてよい。透明窓のような部分がそれぞれの照明源29a〜29d自体の一部を含んでよく、この場合、別個の窓80(または窓部分)は設けられないことがさらに想定される。例えば
図18に示す、この段落で述べた配置において、投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路は、照明源29a〜29dが位置するこれら2つの部材間に延びる空間を含まないことを理解されたい。これは、照明源に向かって反射される光が照明源を通って移動できないからである。言い換えると、
図18における投与量スリーブ19とカメラ25との間の光路は、照明源29a〜29dによって遮られることのない、これら2つの部材間の任意の線を含む。
【0152】
フィルタ131を、光源29a〜29dにより発せられる周波数もしくは各周波数の光を反射または吸収するように構成してもよい。
【0153】
一部の実施形態において、補助デバイス2を、使用時に、光路が投与量スリーブ19とカメラ25との間に直接延びないように構成してもよい。例えば、光を投与量スリーブ19から、投与量窓13および保護窓80を通して反射させ、その後、1つまたはそれ以上の反射面(例えば鏡)によりカメラ25に向け直してもよい。そのような実施形態において、光路は、投与量スリーブ19とカメラ25との間に直接延びない。代わりに、光路は、1つまたはそれ以上の反射面(例えば鏡)を介して投与量スリーブ19とカメラ25との間に間接的に延びる。それにもかかわらず、フィルタ131はこの光路上に位置し、光路の横断面幅の全体を占める。したがって、フィルタ131は、1つまたはそれ以上の周波数の光がこの光路に沿ってカメラ25に向けられるのを制限する。
【0154】
図14を参照すると、投与量スリーブ19上の数字を画成する材料は、可視光により照明されたときに赤外光を蛍光してもよい。そのような実施形態において、そのような投与量スリーブ19上の数字を画成する材料は、www.maxmax.comで購入可能なIRDC2−IR蛍光粉末を含む。IRDC2は、450nmおよび630nm光源により刺激されると880nmおよび1050nmで蛍光する。本実施形態におけるフィルタ131は、可視光の通過を略遮る(または少なくとも、蛍光を刺激するためにLED29a〜29dにより発せられる周波数または各周波数の可視光の通過を略遮る)ように構成される。フィルタ131は、赤外光を略透過する(または少なくとも、投与量スリーブ19から蛍光として発せられた周波数または各周波数の赤外光を略透過する)ようにさらに構成される。
【0155】
補助デバイスの実施形態について保護窓80を備えるものとして説明したが、そのような保護窓80は厳密には必要でない。ただし、そのような保護窓がないと、補助デバイス2への汚れの侵入の可能性が高まる。