【文献】
WEINSCHEL,Henry et al.,"A CYLINDRICAL ARRAY OF CIRCULARLY POLARIZED MICROSTRIP ANTENNA",1975 Antennas and Propagation Society International Symposium,1975年,pp.177-180
【文献】
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【文献】
HIRANO,Takuichi et al.,"4 x 4 Pentagonal Patch Array Antenna for Breast Cancer Detection",2016 IEEE Conference on Antenna Measurements & Applications (CAMA),2016年
【文献】
LOPES,Meryl et al.,"Design and Simulation of Frequency Reconfigurable Microstrip Patch Antenna for C band and X band Ap,2017 International Conference on Computing , Communication , Control and Automation (ICCUBEA),2017年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記伝送線路は、前記第1給電線路の前記第1放射素子から遠位の端部と前記第2給電線路の前記第2放射素子から遠位の端部とから、前記第1辺から前記第1頂部への向きに前記第1辺に対して垂直に延び、
前記第1放射素子と前記第2放射素子が前記伝送線路の中心線に関して互いに線対称であり、前記第1給電線路と前記第2給電線路が前記伝送線路の中心線に関して互いに線対称である
請求項7に記載のアンテナ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
第1主面及びその反対側の第2主面を有した誘電体層と、前記第1主面に形成された地導体層と、前記第2主面に形成された導電性の第1放射素子と、前記第1放射素子と並んで前記第2主面に形成された導電性の第2放射素子と、を備え、前記第1放射素子は、第1頂部に対している直線状の第1辺に平行な方向における幅が、前記第1辺から前記第1頂部への向きで漸減する第1不均一幅部を有し、前記第2放射素子は、第2頂部に対している直線状の第2辺に平行な方向における幅が、前記第2辺から前記第2頂部への向きで漸減する第2不均一幅部を有するアンテナが明らかとなる。
【0013】
以上のように、第1不均一幅部を有する第1放射素子と、第2不均一幅部を有する第2放射素子とが並んでいるため、アンテナによって強く電波を送受できる放射方角の範囲を広くすることができる。
【0014】
前記第1不均一幅部が前記第1頂部を含み、前記第1放射素子は前記第1不均一幅部から前記第1辺の方に続いた第1均一幅部を有し、前記第1均一幅部が前記第1辺を含み、前記第1辺に平行な方向における前記第1均一幅部の幅が均一であり、前記第2不均一幅部が前記第2頂部を含み、前記第2放射素子は前記第2不均一幅部から前記第2辺の方に続いた第2均一幅部を有し、前記第2均一幅部が前記第2辺を含み、前記第2辺に平行な方向における前記第2均一幅部の幅が均一である。
【0015】
以上によれば、第1放射素子が第1不均一幅部及び第1均一幅部を有し、第1放射素子と並んだ第2放射素子が第2不均一幅部及び第2均一幅部を有するため、アンテナによって強く電波を送受できる放射方角の範囲をさらに広くすることができる。
【0016】
前記第1不均一幅部の両側部の辺が直線状に形成され、前記第2不均一幅部の両側部の辺が直線状に形成されていてもよい。
【0017】
前記第1不均一幅部の両側部の辺が曲線状に形成され、前記第2不均一幅部の両側部の辺が曲線状に形成されていてもよい。
【0018】
前記第1放射素子が前記第1頂部から前記第1辺に下ろした垂線に関して線対称な形状であり、前記第2放射素子が前記第2頂部から前記第2辺に下ろした垂線に関して線対称な形状であってもよい。
【0019】
前記第2辺と前記第1辺とが一直線上に配置されていてもよい。
【0020】
前記第1放射素子と前記第2放射素子が、前記第1放射素子と前記第2放射素子と間にあるとともに前記第1辺に対して垂直な対称線に関して互いに対称的であってもよい。
【0021】
前記アンテナが、前記第2主面に形成され、前記第1頂部から延出した導電性の第1給電線路と、前記第2主面に形成され、前記第2頂部から延出して、前記第1給電線路の前記第1放射素子から遠位の端部に電気的に接続される導電性の第2給電線路と、前記第1給電線路の前記第1放射素子から遠位の端部と前記第2給電線路の前記第2放射素子から遠位の端部とから延びた導電性の伝送線路とを更に備えてもよい。
【0022】
前記伝送線路は、前記第1給電線路の前記第1放射素子から遠位の端部と前記第2給電線路の前記第2放射素子から遠位の端部とから、前記第1辺から前記第1頂部への向きに前記第1辺に対して垂直に延び、前記第1放射素子と前記第2放射素子が前記伝送線路の中心線に関して互いに線対称であり、前記第1給電線路と前記第2給電線路が前記伝送線路の中心線に関して互いに線対称であってもよい。
【0023】
===実施の形態===
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0024】
<<<第1の実施の形態>>>
図1はアンテナ1の斜視図である。
このアンテナ1は、マイクロ波又はミリ波の周波数帯の電波の送信若しくは受信又はこれらの両方に利用される。
【0025】
このアンテナ1は、マイクロストリップアンテナである。アンテナ1は、誘電体層10と、誘電体層10の一方の主面に形成された導体パターン層20と、誘電体層10の他方の主面に形成された地導体層30と、を備える。ここで、層の主面とは、その層の表側の表面と、その反対側の表面をいう。なお、保護誘電体層が導体パターン層20に被覆するようにして誘電体層10の一方の主面に形成されてもよいし、それに加えて又はそれとは別に、保護誘電体層が地導体層30を被覆してもよい。
【0026】
誘電体層10は樹脂(例えば液晶ポリマー、ポリイミド)、繊維強化樹脂(例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂、ガラス布基材エポキシ樹脂、ガラス布基材ポリフェニレン・エーテル樹脂)、フッ素樹脂又はセラミックからなる。誘電体層10は単層体であってもよいし、積層体であってもよい。誘電体層10はフレキシブルであってもよいし、リジッドであってもよい。
【0027】
導体パターン層20及び地導体層30は銅等の導電性金属材料からなる。
【0028】
図2は導体パターン層20の平面図である。
図2には、方向を表す補助線又は記号として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は誘電体層10の厚み方向に対して平行であるとともに、アンテナ1の放射面(導体パターン層20が形成された誘電体層10の一方の主面)に対して垂直である。
【0029】
導体パターン層20は例えばサブトラクティブ法又はアディティブ法等によって形状加工(パターニング)されたものである。これにより、導体パターン層20には、第1給電線路22、第2給電線路23、伝送線路24、第1放射素子25及び第2放射素子26が形成されている。
【0030】
第1放射素子25は、頂点25jを通ってY軸に平行な対称線25uに関して対称的な五角形に形成されている。この対称線25uは、頂点25jから対辺25aに下ろした垂線でもある。以下、頂点25jを第1頂点25jともいい、第1頂点25jに対している辺25aを第1辺25aともいう。
【0031】
第1放射素子25の何れの辺25a,25b,25c,25d,25eも直線である。第1頂点25jに対している第1辺25aはX軸に対して平行であり、第1辺25aの両端の各々から延びた辺25b,25cがY軸に対して平行であり、辺25b,25cの長さが互いに等しい。辺25b,25cが互いに平行であるため、第1放射素子25のうち辺25b,25cによって挟まれた領域25sのX軸方向の幅W1は頂点25f,25gから頂点25h,25iにかけて均一である。以下、この領域25sを第1均一幅部25sという。
【0032】
第1辺25aの両端の頂点25f,25gにおける内角は直角である。辺25bに関して頂点25fの反対側の頂点25hにおける内角は鈍角であり、辺25cに関して頂点25gの反対側の頂点25iにおける内角は鈍角であり、頂点25hにおける内角と頂点25iにおける内角は互いに等しい。頂点25hから第1頂点25jに延びる辺25dの長さと、頂点25iから第1頂点25jに延びる辺25eの長さとは、互いに等しい。
【0033】
辺25d,25eは第1頂点25jに向かって互いに近づくように第1辺25aに対して傾斜する。そのため、第1放射素子25のうち辺25d,25eによって挟まれた領域25tのX軸方向の幅W2は第1辺25aから第1頂点25jの向きで漸減し、その領域25tで最大幅は第1均一幅部25sの幅W1に等しい。以下、この領域25tを第1不均一幅部25tという。
【0034】
第1頂点25jにおける内角は鋭角である。但し、第1頂点25jにおける内角が直角又は鈍角であってもよい。
【0035】
第1放射素子25と第2放射素子26はX軸方向に並列されている。第2放射素子26の形状は、対称線25uに対して平行であり且つ第1放射素子25と第2放射素子26との間にある対称線27に関して、第1放射素子25の形状と対称的であるため、第2放射素子26の形状は第1放射素子25の形状と合同である。従って、第2放射素子26は、頂点26jを通ってY軸に平行な対称線26uに関して対称的な五角形に形成されている。この対称線26uは、頂点26jから頂点26jに対している辺26aに下ろした垂線でもある。以下、頂点26jを第2頂点26jともいい、第2頂点26jに対している辺26aを第2辺26aともいう。
【0036】
第2辺26aはX軸に対して平行であり、第2辺26aと第1辺25aが一直線上に配置されている。第2辺26aの両端の各々から延びた辺26b,26cがY軸に対して平行であり、辺26b,26cの長さが互いに等しい。辺26b,26cが互いに平行であるため、第2放射素子26のうち辺26b,26cによって挟まれた領域26sのX軸方向の幅W3は頂点26f,26gから頂点26h,26iにかけて均一である。以下、この領域26sを第2均一幅部26sという。
【0037】
第2辺26aの両端の頂点26f,26gにおける内角は直角である。辺26bに関して頂点26fの反対側の頂点26hにおける内角は鈍角であり、辺26cに関して頂点26gの反対側の頂点26iにおける内角は鈍角であり、頂点26hにおける内角と頂点26iにおける内角は互いに等しい。頂点26hから第2頂点26jに延びる辺26dの長さと、頂点26iから第2頂点26jに延びる辺26eの長さとは、互いに等しい。
【0038】
辺26d,26eは第2頂点26jに向かって互いに近づくように第2辺26aに対して傾斜する。そのため、第2放射素子26のうち辺26d,26eによって挟まれた領域26tのX軸方向の幅W4は第2辺26aから第2頂点26jの向きで漸減し、その領域26tで最大幅は第2均一幅部26sの幅W3に等しい。以下、この領域26tを第2不均一幅部26tという。
【0039】
第2頂点26jにおける内角は鋭角である。但し、第2頂点26jにおける内角が直角又は鈍角であってもよい。
【0040】
隣り合う第1放射素子25の辺25bと第2放射素子26の辺26cは互いに平行であり、これら辺25b,26cの間の間隔D1は頂点25f,26gから頂点25h,26iにかけて均一である。また、放射素子25,26の不均一幅部25t,26tのX軸方向の幅W2,W4が辺25a,26aから頂点25j,26jの向きで漸減するため、隣り合う第1放射素子25の辺25dと第2放射素子26の辺26eとの間の間隔D2は第1辺25aから第1頂点25jの向きで漸増する。
【0041】
L字型の第1給電線路22の基端部が第1放射素子25の第1頂点25jに電気的に接続されている。第1給電線路22は第1放射素子25の第1頂点25jからY軸負方向に直線状に延びて、その先において90°に曲折してX軸正方向に直線状に延びており、第1給電線路22の第1放射素子25からの遠位の端部が伝送線路24の一方の端部24bに電気的に接続されている。つまり、第1給電線路22は、第1放射素子25の第1頂点25jからY軸負方向に直線状に延びる第1給電線部22aと、第1給電線部22aの第1放射素子25からの遠位の端部から伝送線路24の一方の端部24bへX軸正方向に直線状に延びる第2給電線部22bと、を有する。
【0042】
L字型の第2給電線路23の基端部が第2放射素子26の第2頂点26jに電気的に接続されている。第2給電線路23は第2放射素子26の第2頂点26jからY軸負方向に直線状に延びて、その先において90°に曲折してX軸負方向に直線状に延びており、第2給電線路23の第1放射素子25からの遠位の端部が伝送線路24の一方の端部24bに電気的に接続されている。つまり、第2給電線路23は、第2放射素子26の第2頂点26jからY軸負方向に直線状に延びる第3給電線部23aと、第3給電線部23aの第2放射素子26からの遠位の端部から伝送線路24の一方の端部24bへX軸負方向に直線状に延びる第4給電線部23bと、を有する。
【0043】
第1給電線路22の物理長と第2給電線路23の物理長は互いに等しい。第1給電線路22の第1給電線部22aの物理長と第2給電線路23の第3給電線部23aの物理長は互いに等しく、第1給電線路22の第2給電線部22bの物理長と第2給電線路23の第4給電線部23bの物理長は互いに等しい。
【0044】
第2給電線路23の形状は、対称線27に関して、第1給電線路22の形状と対称的である。
【0045】
伝送線路24は、給電線路22,23の放射素子25,26からの遠位の端部からY軸負方向に直線状に延びている。伝送線路24の中心線は対称線27と一致する。この伝送線路24の他方の端部24aは給電点である。つまり、伝送線路24の端部24aは不図示のRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の端子に接続されている。RFICは送信機、受信機又は送受信機である。なお、伝送線路24は、RFICの端子と給電線路22,23とのインピーダンス整合を取る変成器として機能してもよい。
【0046】
上述のような形状の放射素子25,26が並列されているため、アンテナ1によって強く電波を送受できる放射方角の範囲が広い。
【0047】
なお、
図3に示すように、第1放射素子25の第1頂点25jであって第1給電線部22aの両側には、第1頂点25jから第1放射素子25の内側に向けて第1給電線部22aに対して平行に切り欠かれたノッチ25k,25kが形成されていてもよい。そのため、第1給電線部22aが第1放射素子25の第1頂点25jから第1放射素子25の内側に延長されて、その延長部22cを介して第1放射素子25に電気的に接続されている。このようなノッチ25k,25kが形成されているため、第1給電線路22と第1放射素子25のインピーダンス整合が取られている。同様に、第2放射素子26の第2頂点26jであって第3給電線部23aの両側には、第2頂点26jから第2放射素子26の内側に向けて第3給電線部23aに対して平行に切り欠かれたノッチ26k,26kが形成され、第3給電線部23aが第2放射素子26の第2頂点26jから第2放射素子26の内側に延長されて、その延長部23cを介して第2放射素子26に電気的に接続されていてもよい。延長部22c,23cの長さは互いに等しい。
【0048】
<<<第2の実施の形態>>>
図4は、第2実施形態のアンテナの導体パターン層20の平面図である。以下、第2実施形態のアンテナと第1実施形態の変形例(
図3参照)のアンテナとの相違点について説明する。また、第2実施形態のアンテナと第1実施形態の変形例のアンテナとの間で互いに対応する部分には同一の符号を付す。
【0049】
第1実施形態の変形例では、第1放射素子25の何れの辺25a,25b,25c,25d,25eも直線である。それに対して、第2実施形態では、第1放射素子25の第1不均一幅部25tの両側部の辺25d,25eが外方へ凸状の曲線状に形成されている。同様に、第2放射素子26の第2不均一幅部26tの両側部の辺26d,26eが外方へ凸状の曲線状に形成されている。辺25d,25eが曲線状であっても、第1不均一幅部25tのX軸方向の幅W2は第1辺25aから第1頂点25jの向きで漸減し、辺26d,26eが曲線状であっても、第2不均一幅部26tのX軸方向の幅W4は第2辺26aから第2頂点26jの向きで漸減する。以上の点を除いて、第2実施形態のアンテナと第1実施形態の変形例のアンテナ1との間で互いに対応する部分は同様に設けられている。
【0050】
上述のような形状の放射素子25,26が並列されているため、第2実施形態のアンテナによって強く電波を送受できる放射方角の範囲が広い。
【0051】
<<<第3の実施の形態>>>
図5は、第3実施形態のアンテナの導体パターン層20の平面図である。以下、第3実施形態のアンテナと第1実施形態の変形例(
図3参照)のアンテナとの相違点について説明する。
【0052】
第1実施形態の変形例では、第1放射素子25及び第2放射素子26が五角形に形成されている。それに対して、第3実施形態では、第1放射素子125及び第2放射素子126が半円若しくは半楕円又はそれらに近似した形状に形作られている。以下、第1放射素子125及び第2放射素子126の形状について詳細に説明する。
【0053】
第1放射素子125は、第1頂部125jと、第1頂部125jに対している第1辺125aとを有する。第1頂部125jから第1辺125aに下ろした垂線は対称線125uであり、第1放射素子125はその対称線125uに関して対称的な半円若しくは半楕円又はそれらに近似した形状に形作られている。第1辺125aは、X軸に対して平行な直線状に形成されている。
【0054】
辺125dが第1辺125aの一端125fから第1頂部125jへ延びて湾曲しており、辺125eが辺125aの他端125gから第1頂部125jへ延びて湾曲している。辺125d,125eは外方へ凸状の曲線状に形成されている。よって、第1放射素子125は第1不均一幅部125tのみで構成され、第1不均一幅部125tのX軸方向の幅W2は第1辺125aから第1頂部125jの向きで漸減する。
【0055】
第1放射素子125と第2放射素子126はX軸方向に並列されている。第2放射素子126の形状は、対称線125uに対して平行であり且つ第1放射素子125と第2放射素子126との間にある対称線127に関して、第1放射素子125の形状と対称的であるため、第2放射素子126の形状は第1放射素子125の形状と合同である。従って、第2放射素子126は、頂部126jを通ってY軸に平行な対称線126uに関して対称的な形状をしている。この対称線126uは、第2頂部126jから第2頂部126jに対している第2辺126aに下ろした垂線でもある。
【0056】
第2辺126aの一端126fから第2頂部126jへ延びた辺126dは、外方へ凸状の曲線状に形成されている。第2辺126aの他端126gから第2頂部126jへ延びた辺126eは、外方へ凸状の曲線状に形成されている。よって、第2放射素子126は第2不均一幅部126tのみで構成され、第2不均一幅部126tのX軸方向の幅W4は第2辺126aから第2頂部126jの向きで漸減する。隣り合う第1放射素子125の辺125dと第2放射素子126の辺126eとの間の間隔D2は、第1辺125aから第1頂部125jの向きで漸増する。
【0057】
L字型の第1給電線路22の基端部が第1放射素子125の第1頂部125jに電気的に接続されて、L字型の第2給電線路23の基端部が第2放射素子126の第2頂部126jに電気的に接続されている。第1給電線路22、第2給電線路23及び伝送線路24の形状は第1実施形態の変形例の場合と同一であるので、これらの詳細な説明を省略する。
【0058】
第1放射素子125の第1頂部125jであって第1給電線路22の第1給電線部22aの両側には、第1頂部125jから第1放射素子の内側に向けて第1給電線部22aに対して平行に切り欠かれたノッチ125k,125kが形成されている。同様に、第2給電線路23の第3給電線部23aの両側にも、第3給電線部23aに対して平行に切り欠かれたノッチ126k,126kが形成されている。
【0059】
上述のような形状の放射素子125,126が並列されているため、第3実施形態のアンテナによって強く電波を送受できる放射方角の範囲が広い。
【0060】
<<<比較例>>>
図6は、比較例のアンテナの導体パターン層220の平面図である。
図6に示すように、比較例では、X軸方向に並列された放射素子225,226の形状は矩形状である。第1放射素子225の互いに平行な辺225a,225jはX軸に対して平行であり、他の互いに平行な辺225b,225cはY軸に対して平行であり、第1放射素子225のX軸方向の幅W5は均一である。第2放射素子226の互いに平行な辺226a,226jはX軸に対して平行であり、他の互いに平行な辺226b,226cはY軸に対して平行であり、第2放射素子226のX軸方向の幅W6は均一である。また、第1放射素子225と第2放射素子226との間の間隔D5は均一である。
【0061】
第1〜第3実施形態のアンテナの放射範囲は比較例のアンテナより広い。以下、第1〜第3実施形態のアンテナの放射範囲が広く、比較例のアンテナの放射範囲が狭いことについてシミュレーションにより検証する
【0062】
<<<検証>>>
図7は、第1実施形態の変形例のアンテナ1の反射係数と周波数との関係のシミュレーション結果を示したグラフである。
図7に示すように、第1実施形態の変形例のアンテナは、周波数が 28 [GHz]においてSパラメータの反射係数S11が極小値をとるような周波数特性となる。
【0063】
図8は、第1実施形態の変形例のアンテナによって放射される 28 [GHz] の電波の指向性のシミュレーション結果を示したグラフである。横軸はYZ平面上のZ軸を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。
図8に示すように、最大利得 7.14 [dBi] をとる放射方角が -30 [degree]であり、最大利得から -3.00 [dBi] 以内の利得をとる放射方角の範囲は -49.15 〜 +71.54 [degree]である。
【0064】
図9は、第2実施形態のアンテナの反射係数と周波数との関係のシミュレーション結果を示したグラフである。
図9に示すように、第2実施形態のアンテナは、周波数が28 [GHz]近傍においてSパラメータの反射係数S11が極小値をとるような周波数特性となる。
【0065】
図10は、第2実施形態のアンテナによって放射される 28 [GHz] の電波の指向性のシミュレーション結果を示したグラフである。横軸はYZ平面上のZ軸を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。
図10に示すように、最大利得 6.92 [dBi]をとる放射方角が 8 [degree]であり、最大利得から-3.00 [dBi]以内の利得をとる放射方角の範囲は -45.12 〜 +68.47 [degree]である。
【0066】
図11は、第3実施形態のアンテナの反射係数と周波数との関係のシミュレーション結果を示したグラフである。
図11に示すように、第3実施形態のアンテナは、周波数が 28 [GHz]近傍においてSパラメータの反射係数S11が極小値をとるような周波数特性となる。
【0067】
図12は、第3実施形態のアンテナによって放射される 28 [GHz] の電波の指向性のシミュレーション結果を示したグラフである。横軸はYZ平面上のZ軸を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。
図11に示すように、最大利得 7.55 [dBi]をとる放射方角が 2 [degree]であり、最大利得から-3.00 [dBi]以内の利得をとる放射方角の範囲は -45.38 〜 +65.45 [degree]である。
【0068】
図13は、比較例のアンテナの反射係数と周波数との関係のシミュレーション結果を示したグラフである。
図13に示すように、比較例のアンテナは、周波数が28 [GHz]近傍においてSパラメータの反射係数S11が極小値をとるような周波数特性となる。
【0069】
図14は、比較例のアンテナによって放射される 28 [GHz] の電波の指向性のシミュレーション結果を示したグラフである。横軸はYZ平面上のZ軸を基準とした角度を示し、縦軸は利得を示す。
図14に示すように、最大利得 8.34 [dBi]をとる放射方角が 2 [degree]であり、最大利得から-3.00 [dBi]以内の利得をとる放射方角の範囲は -43.22 〜 +53.66 [degree]である。
【0070】
以上のシミュレーション結果から、第1実施形態の変形例のアンテナ1の放射方角の範囲が最も広いことがわかる。第2実施形態のアンテナの放射方角の範囲が2番目に広いことがわかる。第3実施形態のアンテナの放射方角の範囲が3番目に広いことがわかる。比較例のアンテナの放射方角の範囲が最も狭いことがわかる。