特許第6853893号(P6853893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853893
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ボタン電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/531 20210101AFI20210322BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20210322BHJP
   H01M 50/10 20210101ALI20210322BHJP
   H01M 50/528 20210101ALI20210322BHJP
   H01M 50/183 20210101ALI20210322BHJP
   H01M 50/342 20210101ALI20210322BHJP
   H01M 4/13 20100101ALN20210322BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20210322BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M10/0585
   H01M2/02 G
   H01M2/22 A
   H01M2/08 U
   H01M2/12 101
   !H01M4/13
   !H01M4/139
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-546955(P2019-546955)
(86)(22)【出願日】2017年2月24日
(65)【公表番号】特表2019-536254(P2019-536254A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】CN2017074734
(87)【国際公開番号】WO2018120388
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年5月13日
(31)【優先権主張番号】201611263946.2
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519170450
【氏名又は名称】チョンチン ブイディーエル エレクトロニクス カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,チャンキン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,シャンマオ
【審査官】 上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−310577(JP,A)
【文献】 特開2003−045494(JP,A)
【文献】 特開2013−187530(JP,A)
【文献】 特開平10−188947(JP,A)
【文献】 特開2003−045379(JP,A)
【文献】 特開2006−147268(JP,A)
【文献】 特開平10−289729(JP,A)
【文献】 特開2014−149935(JP,A)
【文献】 実開昭57−161866(JP,U)
【文献】 国際公開第2007/079617(WO,A1)
【文献】 特開2016−225307(JP,A)
【文献】 特開2012−048989(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103441237(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第105552275(CN,A)
【文献】 特開平09−115498(JP,A)
【文献】 特開2009−295446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/531
H01M 10/0585
H01M 50/10
H01M 50/183
H01M 50/342
H01M 50/528
H01M 4/13
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極ケーシングと負極ケーシングとを備えるケーシングを備え、前記ケーシング内には、複数の正極シートと複数の負極シートとが設けられ、各前記正極シートと各前記負極シートとが間隔的に積層されて柱状セルを形成し、各前記正極シートは第1の集電体を介して前記正極ケーシングに接続され、各前記負極シートは第2の集電体を介して前記負極ケーシングに接続され
前記正極ケーシングの底部或は前記負極ケーシングの底部には、前記ケーシングの内部に対して排気することができる安全弁が設けられ、
前記安全弁は、少なくとも1つの貫通孔を含み、前記ケーシング内には、前記貫通孔を覆うスペーサが設けられ、前記スペーサは前記第1の集電体に接続されることを特徴とするボタン電池。
【請求項2】
各前記正極シートと各前記負極シートとは、各前記正極シートが隣接の前記負極シートと互いに作用することができるように交互に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のボタン電池。
【請求項3】
前記正極シートと前記負極シートとは同数であり、且つ、前記柱状セルの両端はそれぞれ正極シート及び負極シートであることを特徴とする、請求項2に記載のボタン電池。
【請求項4】
各前記正極シートと隣接の前記負極シートとの間にセパレータが配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のボタン電池。
【請求項5】
前記セパレータが各前記正極シート又は各前記負極シートを包むことを特徴とする、請求項4に記載のボタン電池。
【請求項6】
前記セパレータが各前記正極シートと隣接の前記負極シートとの隙間に介在することを特徴とする、請求項4に記載のボタン電池。
【請求項7】
各前記正極シートには、少なくとも1つの正極タブが設けられ、各前記正極タブは集まって前記第1の集電体を形成し、各前記負極シートには、少なくとも1つの負極タブが設けられ、各前記負極タブは集まって前記第2の集電体を形成することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項8】
前記正極シート及び前記負極シートは、円形、多角形又は弓形の構造であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項9】
各前記正極シート及び各前記負極シートには、活性材料が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項10】
前記第1の集電体及び第2の集電体は、柱状セルの異なる側にそれぞれ位置し、且つ、前記第1の集電体と前記第2の集電体との接触による干渉の発生を避けるために、前記第1の集電体と前記第2の集電体との間の角度は、0°より大きく、180°以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項11】
前記安全弁は、少なくとも1つの貫通孔と、前記貫通孔に充填される熱溶融性材料とを含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のボタン電池。
【請求項12】
ボタン電池の製造方法において、
正極シート及び負極シート上に活性材料をそれぞれ塗布し、間隔の方式で各前記正極シート及び前記負極シートを積層して柱状セルを形成し、
各前記正極シートと接続する第1の集電体を、アルミニウム箔を介して正極ケーシングに接続し、
各前記負極シートと接続する第2の集電体を、銅箔を介して負極ケーシングに接続し、
各前記正極シートと隣接の前記負極シートとの間にセパレータを配置し、
前記正極ケーシングと前記負極ケーシングとの間にシールリングを配置してケーシングを形成し、前記シールリングの内側にはディスペンスされ又は一体ディップされ、
前記ケーシングを焼くと共に、焼いたケーシングに対して液体注入、開口封止、化成、容量グレーディングを行い、
前記正極ケーシングの底部或は前記負極ケーシングの底部には、前記ケーシングの内部に対して排気することができる安全弁が設けられ、
前記安全弁は、少なくとも1つの貫通孔を含み、前記ケーシング内には、前記貫通孔を覆うスペーサが設けられ、前記スペーサは前記第1の集電体に接続されることを特徴するボタン電池の製造方法。
【請求項13】
各前記正極シート及び各前記負極シートは、パンチング又はレーザーカット方式で作られ、前記アルミニウム箔は、超音波溶接又は抵抗溶接方式で前記正極ケーシングに接続され、前記銅箔は超音波溶接又は抵抗溶接方式で前記負極ケーシングに接続されることを特徴する、請求項12に記載のボタン電池の製造方法。
【請求項14】
前記セパレータの表面に接着剤が配置され、ホットプレスプロセスを用いて前記セパレータを前記正極シートと前記負極シートとを一体構造に熱接合させることを特徴する、請求項12に記載のボタン電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池技術分野に属し、特にボタン電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の発展及び社会の進歩に伴い、人々の生活はますますスマート化して便利になってきた。様々な電子機器の登場は、人々の労働を減らし、手数がかからずにうんと成果をあげる。その中、電子機器の電池は、電子機器の稼働に不可欠な構成の一つである。
【0003】
ボタン電池は、フルメタルシェル密閉型電池であって、電池の体積が小さく、密閉性が極めて強く、電池の放電電流が小さいという特徴がある。従って、コンピュータ、補聴器、電子時計、ラジオ、及び各種の電子小製品で広く使用される。しかし、現在のボタン電池のセルの多くは、巻取方式によって作られる(図1に示すように)。即ち、正極シート100、セパレータ101、及び負極シート102の三者を一緒に巻き取っている。巻き取りには一定の位置ズレが存在するため、巻取形成したセルはさらに電池の高さ方向に一定の誤差を有することになる。同時に、正極シート100は1つの正極タブ103のみを介してケーシング104に接続され、負極シート102も1つの負極タブ105のみを介してケーシング104に接続されるため、当該電池では電池の内部抵抗が高く、放電レートが悪く、短絡しやすい等の欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、電池の内部抵抗が小さく、大電流の放電が可能なボタン電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、正極ケーシングと負極ケーシングとを備えるケーシングを備え、前記ケーシング内には、複数の正極シートと複数の負極シートとが設けられ、各前記正極シートと各前記負極シートとが間隔的に積層されて柱状セルを形成し、各前記正極シートは第1の集電体を介して前記正極ケーシングに接続され、各前記負極シートは第2の集電体を介して前記負極ケーシングに接続される、ボタン電池を提供する。
【0006】
また、各前記正極シートと各前記負極シートとは、各前記正極シートが隣接の前記負極シートと互いに作用できるように交互に配置される。
【0007】
また、前記正極シートと前記負極シートとは同数であり、且つ、前記柱状セルの両端はそれぞれ正極シートおよび負極シートである。
【0008】
また、各前記正極シートと隣接の前記負極シートとの間にはセパレータが配置されている。
【0009】
また、前記セパレータは、各前記正極シート又は各前記負極シートを包む。
【0010】
また、前記セパレータは、各前記正極シートと隣接の前記負極シートとの隙間に介在する。
【0011】
また、各前記正極シートには、少なくとも1つの正極タブが設けられ、各前記正極タブが集まって前記第1の集電体を形成し、各前記負極シートには、少なくとも1つの負極タブが設けられ、各前記負極タブが集まって前記第2の集電体を形成する。
【0012】
また、前記正極シート及び前記負極シートは、円形、多角形又は弓形の構造である。
【0013】
また、各前記正極シート及び各前記負極シートには、活性材料が設けられている。
【0014】
また、前記第1の集電体及び第2の集電体は、柱状セルの異なる側にそれぞれ位置し、且つ、前記第1の集電体と前記第2の集電体との間の角度は、前記第1の集電体を前記第2の集電体との接触による干渉の発生を避けるために、0°より大きく、180°以下である。
【0015】
また、前記正極ケーシングの底部或は前記負極ケーシングの底部には、前記ケーシングの内部に対して排気することができる安全弁が設けられている。
【0016】
また、前記安全弁は、少なくとも1つの貫通孔と、前記貫通孔に充填された熱溶融性材料とを含む。
【0017】
また、前記安全弁は、少なくとも1つの貫通孔を含み、前記ケーシング内には、前記貫通孔を覆うスペーサが設けられ、前記スペーサは前記第1の集電体に接続される。
【0018】
また、ボタン電池の製造方法において、
正極シート及び負極シート上に活性材料をそれぞれ塗布し、間隔的に積層する方式で各正極シート及び負極シートをケーシングに配置して柱状セルを形成し、
各正極シートと接続する第1の集電体を、アルミニウム箔を介して正極ケーシングに接続し、
各負極シートと接続する第2の集電体を、銅箔を介して負極ケーシングに接続し、
各正極シートと隣接の負極シートとの間にセパレータを配置し、
正極ケーシングと負極ケーシングとの間にシールリングを配置してケーシングを形成し、シールリングの内側にはディスペンスされ又は一体ディップされ、
ケーシングを蒸し焼くと共に、蒸し焼いたケーシングに対して液体注入、開口封止、化成、容量グレーディングする。
【0019】
また、各正極シート及び各負極シートは、パンチング又はレーザーカット方式で作られ、アルミニウム箔及び銅箔は、超音波溶接又は抵抗溶接方式で対応する正極ケーシング及び負極ケーシングそれぞれ接続される。
【0020】
また、セパレータの表面に接着剤が配置され、ホットプレスプロセスを用いてセパレータを正極シートと負極シートとを一体構造に熱接合させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上の技術手段を用いるため、以下のような利点がある。(1)本発明の正極シート及び負極シートはいずれも複数であり、各正極シート及び各負極シートには、いずれも少なくとも1つの極タブが設けられ、複数の極タブにより電流を流せるため、電池の内部抵抗が低減され、大電流放電の能力が強い。(2)本発明の正極シート及び負極シートが間隔交互に積層する方式を採用するため、ボタン電池の全高を有効に制御できる。(3)本発明の第1の集電体及び第2の集電体がセルの両側にそれぞれ位置し、且つ、セルの一端が正極シートで終わり、他端が負極シートで終わり、且つ、正極ケーシング及び負極ケーシングにそれぞれ接続されるため、絶縁不良による短絡危険を防止できる。(4)本発明のボタン電池は、ケーシングの底部に安全弁が配置されているため、ボタン電池の過熱により内圧が大きくなった時、安全弁によってボタン電池のケーシング内部の気体を排出して圧力をリリースすると共に温度を低下させる。
【0022】
上記概要は、明細書の目的のために説明されたが、何らかの形態で本発明を限定するものではない。上記例示的な態様、実施形態及び特徴に加えて、図面及び以下の詳細な説明を参照することによって、本発明のさらなる態様、実施形態及び特徴は分かりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図面において、特に断らない限り、複数の図面を通して同一符号は同一又は類似の部材又は要素を示す。これらの図面は必ずしも縮尺で描かれたものではない。なお、これらの図面は、本発明に開示された幾つかの実施形態のみを示し、本発明の範囲を限定するものではない。
図1】従来のボタン電池の巻取セルの構造模式図である。
図2】本発明の全体構造の模式図である。
図3】本発明の正極シート及び負極シートの実装模式図である。
図4】本発明の極シートの構造模式図である。
図5】本発明の好適な実施例における正極シート及び負極シートの配置図である。
図6】本発明の好適な実施例における極シートの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、幾つかの例示的な実施例のみを簡単に説明する。当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲を逸脱せずに、説明した実施例に様々な変更を施すことができると理解することができる。従って、図面及び説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0025】
本発明の説明において、特に断らない限り、「複数」とは、2つ又は2つ以上を意味し、「上、下、左、右、内、外、前、後、頭、末」等の用語の指示する向き又は位置関係は、図面に示す向き又は位置関係に基づくものであり、指す装置又は要素が必ずしも特定の向き、特定の向きで構成又は操作されることを指示又は暗示することではなく、本発明の説明を容易させるために単純化したものであるため、本発明を制限するものとして理解してはいけない。
【0026】
図2に示すように、本発明の提供するボタン電池は、電池のケーシング1を備え、ケーシング1は正極ケーシング11と負極ケーシング12とを備え、ケーシング1内には、複数の正極シート2と複数の負極シート3とが水平に配置され、各正極シート2及び各負極シート3がケーシング1の軸方向に沿って等間隔に積層されて柱状セル4を形成し、各正極シート2は第1の集電体5を介して正極ケーシング11に接続され、各負極シート3は第2の集電体6を介して負極ケーシング12に接続される。
【0027】
図3に示すように、ボタン電池の高さを制御するために、各正極シート2と各負極シート3とを交互に配置する。即ち、正極シート2、負極シート3、正極シート2、負極シート3……負極シート3の方式で順に積層することで、各正極シート2をいずれも隣接の負極シート3と互いに作用することができるようにして、動作効率を向上する。
【0028】
さらに、各正極シート2と各負極シート3とは同数であり、且つ、積層後に形成された柱状セル4の両端がそれぞれ正極シート2及び負極シート3になるように確保する必要がある。即ち、柱状セル4の一端は正極シートで終わり、他端は負極シートで終わる。
【0029】
なお、正極シート2及び負極シート3は、いずれも少なくとも2枚であり、同時に、積層後に形成された柱状セル4の両端がそれぞれ正極シート2及び負極シート3であれば、正極シート2及び負極シート3の数は異なってもよい。
【0030】
図4に示すように、正極シート2と負極シート3とが動作中に接触により短絡する問題が生じないように、各正極シート2と隣接の負極シート3との間にセパレータ7を配置してもよい。
【0031】
また、1つの好適な実施例において、セパレータ7が各正極シート2又は各負極シート3を包むことにより、セパレータ7の固定を完成してもよい。ここで、セパレータ7が全て正極シート2を包むと、さらに各負極シート3を包む必要がない。或いは、セパレータ7が全て負極シート3を包むと、さらに各正極シート2を包む必要がない。
【0032】
また、1つの好適な実施例において、セパレータ7は、各正極シート2と隣接の負極シート3との隙間に介在してもよい。なお、セパレータ7の実装方法として、正極シート2と負極シート3との接触が発生しないように確保してもよく、上記の2つ方法に限られない。
【0033】
図3に示すように、ボタン電池の内部抵抗を低減するために、各正極シート2上に少なくとも1つの正極タブ21が設けられ、各正極シート2の正極タブ21は集まって共通に第1の集電体5を形成し、各負極シート3上に少なくとも1つの負極タブ31が設けられ、各負極シート3の負極タブ31は集まって共通に第2の集電体6を形成してもよい。
【0034】
実装時に正極シート2の正極タブ21と負極シート3の負極タブ31との干渉を無くし、短絡しないようにするため、正極シート2及び負極シート3を、円形、多角形又は弓形の形状にしてもよい。
【0035】
また、1つの好適な実施例において、正極シート2及び負極シート3がいずれも円形である時、正極シート2を負極シート3に積層する場合、完全に重ね合わせることをせず、正極シート2の正極タブ21が接続される一側縁を対応する負極シートの縁から離れ、負極シート3の負極タブ31が接続される一側縁を対応する正極シートの縁から離れるように、ずらして配置する必要がある(図5に示すように)。
【0036】
また、1つの好適な実施例において、正極シート2及び負極シート3がいずれも多角形である時、正極シート2を負極シート3に積層する場合、完全に重ね合わせることをしなく、正極シート2の正極タブ21が接続される一側縁が対応する負極シート3の縁から離れ、負極シート3の負極タブ31が接続される一側縁が対応する正極シート2の縁から離れるように、ずらして配置する必要がある。
【0037】
また、1つの好適な実施例において、正極シート2及び負極シート3がいずれも弓形構造である時、即ち、円形の縁に少なくとも1つの弦を設けて、優弧弓構造を形成する場合(図6に示すように)、正極シート2と負極シート3とは中心が完全に重ね合わせられるように積層されてもよく、正極タブ21は正極シート2の弦に設けられ、負極タブ31は負極シート3の弦に設けられ、且つ、積層時に正極シート2の弦は負極シート3の優弧に対応し、負極シート3の弦は正極シート2の優弧に対応することで、正極タブ21と負極シート3との干渉、負極タブ31と正極シート2との干渉を回避している。
【0038】
なお、正極シート2及び負極シート3は、上記の同じ形状を採用して積層してもよく、上記の3種類の形状をそれぞれ採用して混合積層してもよい。正極シート2の極タブと負極シート3の極タブとが干渉しないように確保できればよい。
【0039】
ボタン電池の過熱による損傷を防止するために、ケーシング1の底部にはケーシング1の内部を排気できる安全弁が設けられる。安全弁は、ケーシング1の底部に設けられた少なくとも1つの貫通孔14と、貫通孔14内には充填された熱溶融性材料とを含み、当該熱溶融性材料は−40℃〜130℃範囲で固体であり、電池が130℃以上に発熱する(過充電、短絡、高温環境又は不適切な使用等の場合による)と、ボタン電池の内圧が大きくなり、熱溶融性材料が溶融することにより封止された貫通孔14が開放され、ケーシング1の内部の気体は貫通孔14から排除されて、電池の安全使用を図る。
【0040】
ここで、熱溶融性材料として、アスファルト、加硫ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、アクリル系プラスチック、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、他のポリオレフィン及びその共重合体等を用いることができる。
【0041】
なお、貫通孔14の封止に対して、ケーシング1内に敷設される、貫通孔14上を覆うスペーサの層を用いてもよい。スペーサは第1の集電体5に接続される。また、スペーサは、厚さが0.01〜0.2mm間、より好ましくは、厚さが0.01〜0.1mm間のアルミニウム箔を用いてもよい。貫通孔14を覆っているアルミニウム箔はケーシング1の底部と機械的に接触されて電流の導出を実現し、ケーシング1の底部に貫通孔14があるため、ケーシング1の底部は封止する必要がなく、電池が悪用されて内圧が大きい場合、空気圧が当該薄型のアルミニウム箔を突き破って、貫通孔14から気体を逃がして圧力のリリースを実現する。
【0042】
さらに、アルミニウム箔の固定を容易にするため、アルミニウム箔の形状をケーシング1の底面の形状に整合させ、スペーサは超音波又はスポット溶接方式で第1の集電体5に接続される。
【0043】
上記実施例において、各正極シート2及び各負極シート3上には、嵌入及び離脱可能な二次リチウムイオン電池活性材料が設けられ、正極シート2に塗布された活性材料は、コバルト酸リチウム、コバルトニッケルマンガン酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムのうちの1種又は複数種であり、負極シート3に塗布された活性材料は、グラファイト、シリコンカーボン、チタン酸リチウムのうちの1種又は複数種である。
【0044】
上記実施例において、第1の集電体5及び第2の集電体6は、柱状セル4の両側にそれぞれ位置し、且つ、第1の集電体5と第2の集電体6との間の角度は、0°より大きく、180°以下である。
【0045】
上記実施例において、各正極タブ21はアルミニウム箔を介して正極ケーシング11に接続され、各負極タブ31は銅箔を介して負極ケーシング12に接続される。
【0046】
上記実施例において、ケーシング1は、正極ケーシング11と負極ケーシング12とを含み、正極ケーシング11と負極ケーシング12とはシールリング13を介して係合接続され(図2に示すように)、正極ケーシング11及び負極ケーシング12は金属材料で作られる。なお、正極ケーシング11は上ケーシング又は下ケーシングであってもよい。動作の必要に応じて選択すればよい。
【0047】
上記実施例において、セパレータ7にはPE(polyethylene、ポリエチレン)又はPP(polypropylene、ポリプロピレン)セパレータを用いる。
【0048】
上記のステップにおいて、第1の集電体5及び第2の集電体6は柱状セル4の異なる側にそれぞれ位置し、且つ、第1の集電体と第2の集電体の接触による干渉の発生を避けるために、第1の集電体5と第2の集電体6との間の角度は、0°より大きく、180°以下である。
【0049】
上記装置に基づき、本発明はボタン電池の製造方法であって、
正極シート2及び負極シート3上に活性材料をそれぞれ塗布し、間隔的に積層する方式で各正極シート2及び負極シート3をケーシング1に配置して柱状セル4を形成するステップと、
各正極シート2と接続する第1の集電体5を、アルミニウム箔を介して正極ケーシング11に接続するステップと、
各負極シート3と接続する第2の集電体6を、銅箔を介して負極ケーシング12に接続するステップと、
各正極シート2と隣接の負極シート3との間にセパレータ7を配置するステップと、
柱状セル4にシールリングを外嵌し、シールリングの内側にはディスペンスされ又は一体ディップされるステップと、
柱状セル4を蒸し焼くと共に、液体注入、開口封止、化成、容量グレーディング等を行うステップとを含み、それらのステップ後に製造が完了する。
【0050】
上記ステップにおいて、各正極シート2及び各負極シート3は、パンチング又はレーザーカット方式で作られ、アルミニウム箔及び銅箔は、超音波溶接又は抵抗溶接方式で正極ケーシング11及び負極ケーシング12それぞれ接続される。
【0051】
上記ステップにおいて、セパレータ7の表面に接着剤が配置され、即ち、セパレータ7の表面に、例えば、ポリフッ化ビニリデン、又はヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体のような重合体材料が塗布され、積層後にホットプレスプロセス(温度:50〜100度、圧力:1〜20kg/cm、時間:0.1〜60分)を用いて、正極シート2、負極シート3及びセパレータ7を一体構造に熱接合させて、柱状セルの構造がより安定的で分散せず、層ピッチが均一であり、本発明の装置の内部抵抗がより低く、電気性能がより良くなる。
【0052】
上記ステップにおいて、正極シート2と負極シート3との導通後の急激な短絡を回避するために、各正極シート2の正極タブ21上に絶縁性接着剤を塗布することによって、各極タブ21の溶接湾曲時、負極との短絡を回避する。
【0053】
なお、絶縁性接着剤として、ポリフッ化ビニリデンのNMP(N−メチルピロリドン)溶液又はSBR(スチレン・ブタジエンゴム)溶液を用いることができ、塗布厚さは片面で0.001〜0.01mmであり、絶縁性接着剤は正極タブ21の内側面、両辺又は根部に塗布してもよい。
【0054】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明に開示された技術的範囲を逸脱せずに当業者が容易に想到し得る種々の変更や置換はすべて、本発明の保護範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に定められる。
図1
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図6