特許第6853914号(P6853914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853914一種の二重異形断面繊維およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853914
(24)【登録日】2021年3月16日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】一種の二重異形断面繊維およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/62 20060101AFI20210322BHJP
   D01F 6/84 20060101ALI20210322BHJP
   D01D 5/253 20060101ALI20210322BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20210322BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20210322BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20210322BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   D01F6/62 303F
   D01F6/84 301C
   D01F6/84 301H
   D01D5/253
   D01D5/08 G
   C08K3/22
   C08K3/26
   C08K3/36
   C08L67/02
   C08G63/183
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-530344(P2020-530344)
(86)(22)【出願日】2018年7月27日
(65)【公表番号】特表2021-505780(P2021-505780A)
(43)【公表日】2021年2月18日
(86)【国際出願番号】CN2018097504
(87)【国際公開番号】WO2019114279
(87)【国際公開日】20190620
【審査請求日】2020年6月2日
(31)【優先権主張番号】201711341958.7
(32)【優先日】2017年12月14日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】範 紅衛
(72)【発明者】
【氏名】湯 方明
(72)【発明者】
【氏名】尹 立新
(72)【発明者】
【氏名】王 山水
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第202415760(CN,U)
【文献】 特開2014−098220(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201212070(CN,Y)
【文献】 中国実用新案第206070057(CN,U)
【文献】 特開平06−002282(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103320879(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D1/00−13/02
D02G1/00−3/48
D02J1/00−13/00
C08G63/00−64/42
D01F1/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の紡糸口金より押出される二重異形断面繊維は、ダブルクロス形モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に含み、
前記二重異形断面繊維の材質は、艶消し剤が分散される改質ポリエステルであり、
前記改質ポリエステルの分子鎖は、テレフタル酸セグメント、エチレングリコールセグメント及び分岐ジオールセグメントを含み、
前記分岐ジオールセグメントの構造式は、
【化1】
であり、
1及びR2は、それぞれ炭素数が1〜3である直鎖アルキレン基から独立的に選択され、R3は、炭素数が1〜5であるアルキル基から選択され、R4は、炭素数が2〜5であるアルキル基から選択され、
前記艶消し剤は、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物、または炭酸カルシウムと無定形二酸化ケイ素との混合物である、
ことを特徴とする二重異形断面繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製造技術分野に属し、特に、二重異形断面繊維およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代紡績技術の発展と人々の生活水準の向上につれて、服用、装飾品、工業用紡績品などの業界に採用された化学繊維の産量、性能、品質に対してますます高い要求を提出している。
【0003】
紡績材料の柔軟性は大抵快適な肌触り、滑らかな外観で表し、柔軟性が良いのは弱い曲げもどり性の反映である。なお、コシは材料の弾性、反発力のある充実した手触り感覚であり、コシがあるのは強い曲げもどりの表現である。柔軟性及びコシは、人間の生理・心理的な感じに関する繊維の基礎的な風合であるが、実に矛盾している互いに相いれない両方である。
【0004】
異なる口金孔形により異形断面繊維が製備できる。繊維原料と繊維形状は繊維性能に、繊維自分と繊維配列は紡績糸性能に、糸自分と糸配列は織物性能に影響を与えるため、繊維の形状が根本的な要素として、糸と織物の性能を決定する。異形断面繊維はある形状の口金孔より生成した特殊な断面形状と機能を有する化学繊維である。近年多様な異形断面繊維が開発されているが、断面形態によって大体に三角形、多角形、偏平形、中空形、菱形などに分けることができる。しかし、単一の異形断面は単一の性能を生じるため、断面形態を多様化しない限り、単一の異形化だけでポリエステル繊維の柔軟性とコシを兼備する問題が解決できない。
【0005】
近年、同じ口金より二つまたは多数の異形断面繊維(以下、別々に同板二重異形繊維、同板多重異形繊維と略記する)を紡糸することは、2つ以上の異形繊維の長所を総合して、既存の異形断面繊維の不足の解決及び織物の品質と機能の多様化に対する重要な手段になっている。同板二重異形繊維と同板多重異形繊維に関する文献や特許があるのに、それらの繊維の本格生産では困難が多いである。非ニュートン流体または粘弾性流体としてのポリエステル融液は、口金孔の中で粘性流動を行うと同時に弾性変形が発生し、ある圧力を形成するため、口金孔より吐出した際に圧力損失がある。口金孔の形状、大きさ、長さ及びそれらの互いの関係が圧力損失に大きな影響を与える。その互いの関係を考えらずに、既存の研究が一般的に同じ形状または同じ断面積だけを配慮した。よって、同じ口金の異なる形状の孔より流下したポリエステル融液の圧力損失、または吐出速度がは違いになって、紡糸加工の調子に障害を与える。
【0006】
つまり、従来技術における同板二重異形繊維と同板多重異形繊維の紡糸加工に関する困難を克服し、複数の異形断面を同時に含有し、理想的な柔軟性とコシがある繊維の作製技術は喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一種の柔軟性とコシを兼備する二重異形断面繊維及びその製造方法を提供し、従来技術における困難問題を克服した。本発明においては、原料の改質ポリエステルに分岐ジオールを導入して重縮合の副反応物の環状オリゴマーを減らし、クラウンエーテルを添加して油剤の耐熱性と潤滑性を向上させることにより繊維品質を改善し、寸法(長さ、断面積及び断面周囲)が互いに関するの二種類の特殊な形状の紡糸孔が併設される紡糸口金を利用して紡糸加工の安定性を保証する。同じ紡糸口金より押出した一本のフィラメントは、ダブルクロス形(二重十字形)モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に含有している。コシがあるダブルクロス形モノフィラメントと柔軟な円形モノフィラメントとの複合は、得られた繊維にコシと柔軟性を兼備する機能を与える。なお、本発明は、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物または炭酸カルシウムと二酸化ケイ素との混合物を、無機粒子の艶消し剤としてPETに均一に分散させてPETの結晶化と配向を障害して、繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、艶消し剤を含む改質ポリエステルを原料として同じ紡糸口金より押出し、ダブルクロス形モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に含有する一種の二重異形断面繊維を提供する。
【0009】
材料の曲げ剛性に影響を与える要因は、機械的物性、断面の寸法と形状などである。
繊維の曲げ剛性は、硬さまたはしなやかの程度を表示し、曲り変形に対する反発力の指標である。繊維集合体の曲げ剛性が単繊維の曲げもどり性に依存するだけでなく、実は繊維間の相互作用に多く依存する。ダブルクロス形モノフィラメントは円形モノフィラメントよりもっと大きな断面積を持ち、さらに特殊な断面形状を有するため、より大きい曲げ剛性を表している。なお、円形断面の極細繊維はしなやかとなめらかの風合がしている。したがって、ダブルクロス形断面の単繊維と円形断面の極細繊維とのコンジュゲーションによる二重異形断面繊維は同時に良い柔軟性とコシがある。
【0010】
本発明における一種の二重異形断面繊維は、テレフタル酸とエチレングリコールと分岐ジオールとのセグメントを含有する分子鎖が構成した改質ポリエステルを原料とするものである。前記分岐ジオールの構造式は、
【化1】
であり、
上式について、R1とR2は別々に炭素数1〜3の直鎖アルキレン基から、R3は炭素数1〜5のアルキル基から、R4は炭素数2〜5のアルキル基から選ばれる。炭素数限定の原因は次のように解釈される。直鎖のR1とR2、または側鎖のR3とR4の存在により、アルコキシ基の電気陰性度が弱くなれば、炭素数が小さすぎる分岐はアルコキシ基の電気陰性度に影響をめったに与えないだから、環状オリゴマーの低減にあまり役に立たない。なお、炭素数が多すぎると、ポリエステル分子鎖の絡み合いが引き起こされて、その分子質量分布も影響される。本発明における環状オリゴマーを低減する原理は、具体的に以下の通りである。
【0011】
有機化合物分子に、ある原子から伸びている2つの化学結合のなす角度は結合角と呼ばれている。通常度数で示す結合角は、中心原子と結合相手の原子の電気陰性度から影響を受ける。相手原子は電気陰性度が大きくなれば、電子を引き付ける能力が強くなる。この時結合共有電子対が相手原子に偏って中心原子から遠くなって、2つの化学結合がクーロン反発低減によって互いに接近することより、結合角が小さくなる。逆に、相手原子は電気陰性度が小さくなれば電子を引き寄せる強さが弱くなる。そして結合共有電子対が中心原子に偏って近くなって、2つの化学結合がクーロン反発向上によって互いに離れることより、結合角が大きくなる。
【0012】
Paulingの電気陰性度目盛の定め方によって、C、HまたはO原子の電気陰性度が別々に2.55、2.20、3.44になっている。なお、価電子エネルギー均一性理論に基づいて、原子集団の電気陰性度は以下の式(1)より計算できる。
【数1】
上式について、(iは化学結合前の中性のi原子の電気陰性度、Nνe,iはi原子中の価電子数、niは原子集団中のi原子数である。もっと複雑な原子集団に対する電気陰性度計算は以下の通りである:まず簡単な原子集団の電気陰性度を計算し、次に簡単原子集団を準原子とし、こんなに繰り返して計算し、最後に目標の複雑な原子集団の電気陰性度を得る。説明が必要なのは、準原子の電気陰性度を計算する際に基原子(例えば、−OHの基原子はO原子とする。)の結合されていない価電子を準原子の価電子と見なすことである。
【0013】
本発明においては、テレフタル酸中のカルボキシ基のCーO結合が破断された後、残るC原子がジオール中のヒドロキシ基のO原子と結合して、エステル基中の新しいCーO結合になる。これから、エステル基中のC原子がフェニル環中のC原子と形成したCーC結合、新しいCーO結合、この二つの化学結合より形成した結合角の度数はαと示す。αの変化は環化反応に影響を与える。具体的に、αが109(より小さければ環化がしやすくなって、αが増大すると環化の確率が低下する。本発明に導入した分岐ジオール(構造式は前記の式の通り)は、直鎖または側鎖を含めてアルコキシ基の電気陰性度が弱くなさせる。前記の原子集団の電気陰性度計算式によって、この分岐ジオール中のテレフタル酸のカルボキシ基と結合する原子集団の電気陰性度が2.59〜2.79、しかしエチレングリコール中のカルボキシ基と結合するーOCH2CH2―原子集団の電気陰性度が3.04だから、分岐ジオールのアルコキシ基はーOCH2CH2―よりもっと強い電子供与性を持っている。よって、新しいCーO結合中の共有電子対が中心C原子に偏ってもっと近くなって、C―C結合とC−O結合は反発力が向上することによって互いに離れる。そして、αが109(を超えて、線形分子鎖の生じる確率が増加して、環状オリゴマーの生成を低減させる。
【0014】
本発明における艶消し剤は、無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素との混合物または炭酸カルシウムと二酸化ケイ素との混合物である。
【0015】
純粋なPET繊維は大体表面光沢度が高い半透明体である。その光沢の強さは反射光にも透過光にも関連している一方、自分の表面状態、断面形状、内部構造などの影響を受けている。例えば、配向が高い繊維は一般的に均一な内部構造がして対光反射が強いため、高い光沢度がしている。そして、艶消し剤の無機粒子を添加し,または断面形状や表面構造を調整することで,繊維の光沢を調整することができる。PET繊維の光沢を綿繊維の光沢に近づけるために、重合の過程で消光剤を添加することもある。汎用的なポリエステル消光剤はアナターゼ型二酸化チタンであるが、アナターゼ型二酸化チタンのポリエステル光沢に対する影響をさらに改善するために、無定型二酸化チタンと無定型二酸化ケイ素の混合物または炭酸カルシウムと無定型二酸化ケイ素の混合物を艶消し剤と利用し、PETに均一に分散してPETの結晶化と配向を破壊し,繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
【0016】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0017】
前記二重異形断面繊維によって、前記ダブルクロス形モノフィラメントの繊度が2.5〜3.5dtexとし、前記円形モノフィラメントの繊度が0.20〜0.30dtexとする。
【0018】
前記ダブルクロス形モノフィラメントの曲げ剛性が0.82×10-5〜1.38×10-5cN・cm2とし、前記円形モノフィラメントの曲げ剛性が0.0041×10-5〜0.027×10-5cN・cm2とし、ダブルクロス形モノフィラメントの曲げ剛性が大きければ大きいほどもっと良いコシを与えて円形モノフィラメントの曲げ剛性が小さければ小さいほどもっと良い柔軟性を与え、本発明における二重異形断面繊維がコシと柔軟性を兼備する。
【0019】
前記二重異形断面繊維は、繊度が150〜300dtex、破断強度が3.6cN/dtex以上、破断伸度が40.0±3.0%、破断強度CV値が5.0%以下、破断伸度CV値が10.0%以下、沸水収縮率が7.5±0.5%とし、光沢度が50%以下で明らかに従来技術の繊維より低くなている。
【0020】
前記二重異形断面繊維によって、前記改質ポリエステルには環状オリゴマーの含有量が0.6%未満で、従来技術のポリエステルの1.5〜2.1wt%より明らかに低くなる。
【0021】
前記改質ポリエステルの数平均分子量が20000〜27000、分子量分布指数が1.8〜2.2とし、より高い分子量とより狭い分子量分布を有する改質ポリエステルは紡糸加工の需要を満たし、優れた性能を持つ繊維の製造に有利である。
【0022】
前記改質ポリエステルには、テレフタル酸セグメントに対する分岐ジオールセグメントのモルパーセントが3〜5%まで低くて、ポリエステル固有の良い物性を保つことに有利である。
【0023】
前記分岐ジオールは、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、4,4−ジエチル−1,7−ヘプタンジオール、4,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,7−ヘプタンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、4,4−ジプロピル−1,7−ヘプタンジオール、4ーメチル−4−(1,1−ジメチルエチル)−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−3−アミル−1,6−ヘキサンジオール、または3,3−ジアミル−1,5−ペンタンジオールである。
【0024】
前記二重異形断面繊維によって、前記改質ポリエステルは、テレフタル酸、エチレングリコール及び分岐ジオールを均一に混合させた後、エステル化反応と重縮合反応を順次に進行させることにより得られるものであり、具体的に、下記のステップを含む:
(1)エステル化反応として、
エステル化反応は、テレフタル酸とエチレングリコールと分岐ジオールをスラリーに調製し、触媒、艶消し剤及び安定剤を添加して均一に混合した後、窒素雰囲気の中に常圧〜0.3MPaの圧力及び250〜260℃の温度の下で行う反応である。生じた水が理論値の90%以上を超える時点まで反応を終了する。
(2)重縮合反応として、
エステル化反応終了後、30〜50分間かけて常圧から500Pa以下に漸次減圧し、温度を260〜270℃に制御し、30〜50分間低真空段階の重縮合反応を進行させた後、100Pa以下への減圧を続け、温度を275〜285℃に制御し、50〜90分間高真空段階の重縮合をさらに継続する。よって、改質ポリエステルを得る。
【0025】
前記二重異形断面繊維によって、ステップ(1)には、前記テレフタル酸とエチレングリコールと分岐ジオールとのモル比が1:1.2〜2.0:0.03〜0.06、前記触媒のテレフタル酸の質量に対する添加量が0.01〜0.05%、前記安定剤のテレフタル酸の質量に対する添加量が0.01〜0.05%とする。
【0026】
前記触媒、三酸化二アンチモン、エチレングリコールアンチモンまたは酢酸アンチモンで、前記安定剤はリン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、または亜リン酸トリメチルである。
【0027】
前記二重異形断面繊維によって、前記艶消し剤のポリエステルに対する含有量が1.0〜1.5wt%、前記艶消し剤に二酸化チタンの含有量が13〜50wt%とする。
【0028】
本発明は前記二重異形断面繊維の製造方法も提供する。つまり、紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になることである。
【0029】
前記紡糸融液は改質ポリエステルと艶消し剤を含む。
【0030】
前記複合口金には、ダブルクロス形と円形の紡糸孔が併設され、さらに前記ダブルクロス形孔の円形孔に対する長さ比はダブルクロス形孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとし、前記相当直径は紡糸孔の断面積と断面周囲との比率であり、係数Kの取りうる値の範囲が0.97〜1.03とする。
【0031】
前記オイリングにおける油剤は、クラウンエーテルを含め、それに含有量が67.30〜85.58%とする。実に、クラウンエーテル含有量が少なく過ぎると油剤の耐熱性や油膜強度は出ていない、多すぎるとほかの指標が制限されている。よって、クラウンエーテルの添加量はある一定の範囲内保たなければならない。
【0032】
本発明における油剤は、クラウンエーテルを含有するため、粘度が低くて、耐熱性が良くて、油膜強度が高いものである。従来の紡糸油剤は、主成分とするポリエステル系またはポリエーテル系化合物の分子量が大きく、分子間水素結合が起こりやすいため、動粘度が大きいである。クラウンエーテルは、自体の粘度が低くてビーズ状の小分子がして、油剤に添加すればポリエステル系やポリエーテル系との親和性が良いためそれらの内部に入ると分子間相互作用が遮蔽できることによって、油剤の動粘度を著しく減らす。従来技術における油剤の油膜強度が低いである原因は、化繊用油剤の帯電防止剤が金属イオンを含むまたは塩という形で存在することが多いため、油剤中のポリエステル系やポリエーテル系化合物との親和性が弱いである。それなのに、油剤にクラウンエーテルを添加すれば、塩を溶解できることによって、帯電防止剤がポリエステル系またはポリエーテル系化合物との親和性を向上させるため、油膜強度が増加できる。なお、高揮発性と優れた耐熱性を有するクラウンエーテルの添加は油剤の耐熱性を著しく向上することもできる。
【0033】
好ましい技術法案は、以下に示されている。
【0034】
前記二重異形断面繊維の製造方法によって、前記ダブルクロス形紡糸孔または円形紡糸孔の長さは0.20〜1.28mmとし、相当直径は0.10〜0.32mmとする。
【0035】
すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円には各紡糸孔が互いに等間隔で配列する。
【0036】
同じ同心円にダブルクロス形と円形の紡糸孔が併設され、そのうえに、ダブルクロス形紡糸孔の円形紡糸孔に対する数量比が1〜10:30とする。
【0037】
前記二重異形断面繊維の製造方法によって、前記油剤は200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少が15wt%未満であり、原因としては高揮発性と優れた耐熱性を有するクラウンエーテルの添加が油剤の耐熱性を著しく向上したことである。
【0038】
前記油剤は(50±0.01)℃下の動粘度が27.5〜30.1mm2/sであり、水で10wt%の乳化液に調整すると動粘度が0.93〜0.95mm2/sとなり、クラウンエーテルが油剤の粘度を下げる原因としては、自体の粘度が低くてビーズ状の小分子がしているクラウンエーテルがポリエステル系やポリエーテル系化合物の油剤に添加すると、親和性が良いためポリエステル系やポリエーテル系化合物の内部に入ってそれらの分子間相互作用を遮蔽することである。
【0039】
前記油剤は従来技術における通常的な110Nの油膜強度より121〜127Nの高い油膜強度があり、原因は、化繊用油剤の帯電防止剤が大体金属イオンを含むまたは塩という形と存在するため、油剤中のポリエステル系やポリエーテル系化合物との親和性が弱いであり、油剤にクラウンエーテルを添加すれば塩を溶解させて帯電防止剤のポリエステル系またはポリエーテル系化合物との親和性が向上になって油膜強度を増加させることである。
【0040】
前記油剤の表面張力は23.2〜26.8N/cmで、比抵抗は1.0×108〜1.8×108Ω・cmである。
【0041】
オイリングした後、繊維と繊維の静摩擦係数は0.250〜0.263で、動摩擦係数は0.262〜0.273である。
【0042】
オイリングした後、繊維と金属の静摩擦係数は0.202〜0.210で、動摩擦係数は0.320〜0.332である。
【0043】
前記クラウンエーテルは、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、15−クラウン5−エーテルまたは2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテルである。
【0044】
前記油剤には、鉱物油、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル、アルキルスルホン酸ナトリウムが含有されている。
【0045】
前記鉱物油は9#〜17#の鉱物油のうちの一つである。
【0046】
前記リン酸エステルカリウム塩は、ドデシルリン酸エステルカリウム塩、イソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩、またはラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩である。
【0047】
前記アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、ペンタデシルスルホン酸ナトリウム及びヘキサデシルスルホン酸ナトリウム中の一つである。
【0048】
前記油剤を用いるとき、前記油剤に水を混合して濃度14〜18wt%の乳化液を調製する。
【0049】
前記油剤の調製する方法は、クラウンエーテル、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステルとアルキルスルホン酸ナトリウムを混合した後鉱物油に加えてさらに充分に攪拌することであり、得られた油剤には、各成分の添加量が以下の通りであり:
鉱物油 0〜10重量部、
ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル 0〜20重量部、
クラウンエーテル 70〜100重量部、
リン酸エステルカリウム塩 8〜15重量部、
アルキルスルホン酸ナトリウム 2〜7重量部、
前記混合は、常温で行われ、前記攪拌は、40〜55℃において1〜3時間行われることである。
【0050】
前記二重異形断面繊維の製造方法によって、繊維の紡糸加工条件が下記の通りであり:
紡糸温度 280〜290℃、
冷却温度 20〜25℃、
ネットワーク圧力 0.20〜0.3Mpa、
第1ローラ速度速度 2200〜2600m/min、
第1ローラ速度温度 75〜85℃、
第2ローラ速度 3600〜3900m/min、
第2ローラ温度 135〜165℃、
巻取速度 3580〜3840m/min、
本発明において、巻取速度がローラー2速度より1%低くになる原因は過給を与えて巻取張力を減らして紡糸加工の安定性と繊維の品質を向上する。
紡糸部品の初期圧力 120bar、
紡糸部品の圧力上昇値ΔP 0.6bar/日間。
【0051】
発明原理とするのは、以下の通りである。
【0052】
ポリエステル融液は粘弾性の非ニュートン流体の一つなので、紡糸孔中に粘性流動を行う時に、紡糸安定性に悪影響を与える弾性変形も生じる。融液の弾性エネルギーの蓄積とゆるみは紡糸孔の長さ、断面周囲及び断面積にかんしている。よって、本発明は、二種類の紡糸孔の寸法(長さ、断面周囲及び断面積)を設計してそれらの関係を構築することにより、流れる融液の蓄えられる弾性エネルギーを散逸して、異なる紡糸孔を経て形成した圧力損失が等しくなさせて、Die Swellを低減して、紡糸加工の安定性を向上させる。
【0053】
融液が紡糸孔を経るにより圧力損失は、下記のの式で計算できる:
【数2】
ここに、(Pは融液の圧力損失、S内は紡糸孔の長さと断面周囲との積に等しい内壁面積、S截は紡糸孔の断面積、γは融液流れのずり速度である。
【0054】
同じ紡糸口金の異なる形状の紡糸孔Aと紡糸孔Bを経るポリエステル融液流れの速度を等しくまたは小差とするには、融液流れの圧力損失を等しくまたはある範囲の限りとしなければならない。すなわちK=0.97〜1.03でΔPA=KΔPBとする。したがって、さらに前記の計算式も考えると、異なる形状の紡糸孔Aと紡糸孔Bの寸法関係は以下の式とする:
【数3】
上式について、Dは長さ、Sは断面積、Lは断面周囲、Bは相当直径である。
【0055】
本発明は、上記の方式によって紡糸口金を設定して、良いコシがあるダブルクロス形モノフィラメントと良い柔軟性を持つ円形モノフィラメントを同じ紡糸口金より押出して、理想的なコシと柔軟性を兼備する二重異形断面繊維を得る。
【発明の効果】
【0056】
本発明によれば、以下の利点が得られる。
1.本発明における二重異形断面繊維は、コシと柔軟性を兼備して、優れた普及価値がある。
2.本発明に提出した二重異形断面繊維の製造方法において、クラウンエーテルを含む油剤は、粘度が低くて、耐熱性が良くて、油膜強度が高くて、潤滑性が良くて、製電性が強いなどの特徴を待つので、紡糸安定性と繊維の加工性能が向上される。
3.本発明に提出した二重異形断面繊維の製造方法において、同じ紡糸口金上の二種類の紡糸孔の寸法(長さ、断面周囲及び断面積)を設計してそれらの関係を構築することにより、異なる紡糸孔を経るポリエステル融液流れの圧力損失または吐出速度を大体等しくするため、紡糸加工の安定性を向上させる。
4.本発明に提出した二重異形断面繊維の製造方法において、無定型二酸化チタンと無定型二酸化ケイ素の混合物または炭酸カルシウムと無定型二酸化ケイ素の混合物を艶消し剤と利用し、PETに均一に分散してPETの結晶化と配向を破壊し,繊維を光沢を少し残したセミダルにする。
5.本発明に提出した二重異形断面繊維の製造方法において、分岐ジオールを導入して改質ポリエステルの分子鎖の結合角を改変することより、ポリエステルの重縮合中に環状オリゴマーの生じる量を著しく減らす。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者のいろいろな本発明を改正することを許されても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内にも限定されている。
【0058】
一般的に、二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1.1)エステル化と重縮合を含む改質ポリエステルの調製として;
(a)エステル化では、
エステル化は、A’のモル比のテレフタル酸、エチレングリコール及び分岐ジオールをスラリーに調製し、触媒、艶消し剤、安定剤を添加して均一に混合した後、窒素雰囲気の中にB’の圧力及びCの温度の下で行う反応である。生じた水が理論値のD’を超える時点まで反応を終了する。そのうち、テレフタル酸の質量に対する添加量は、触媒がEで、艶消し剤がFで、安定剤がGである。
(b)重縮合では、
重縮合は、エステル化反応終了後、Hかけて常圧からIまで漸次減圧し、温度をJに制御し、kかけて低真空の反応を進行し、さらに、L’まで減圧を続け、温度をMに制御し、Nかけて高真空の反応を継続し、最後に改質ポリエステルを得ることである。そのうち、テレフタル酸セグメント、エチレングリコールセグメン及び分岐ジオールセグメントを含む改質ポリエステル中には、環状オリゴマーの含有量がO、数平均分子量がP、分子量分布指数がQであって、分岐ジオールはセグメントのモル含有量がテレフタル酸セグメントのモル含有量に対してRとする。
(1.2)改質ポリエステルには無定形二酸化チタンと無定形二酸化ケイ素としての艶消し剤が分散されて、そのうち、艶消し剤のポリエステルに対する含有量がS‘で、艶消し剤中に無定形二酸化チタンの含有量がTである;
(2)オイリング用油剤の調製として;
クラウンエーテル、リン酸エステルカリウム塩、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステル及びアルキルスルホン酸ナトリウムを常温で混合してさらに鉱物油に加えて、t1でt2かけて攪拌することより油剤を生成する。得られた油剤には、鉱物油a1重量部、ラウリン酸トリメチロールプロパンエステルa2重量部、クラウンエーテルa3重量部、リン酸エステルカリウム塩a4重量部、アルキルスルホン酸ナトリウムa5重量部を配合されている。得られた油剤は、bのクラウンエーテルを含有し、耐高温性に優れ、200℃で2時間かけて熱処理した後の重量減少がb2になる。得られた油剤は、(50±0.01)℃下の動粘度がb3であり、水で10wt%の乳化液に調整すると動粘度がb4になる。得られた油剤は、吸着された時に形成する油膜の強度がc1、表面張力がc2、比抵抗はc3である。オイリングした後、繊維と繊維の静摩擦係数はμs、動摩擦係数はμdであって、繊維と金属の静摩擦係数はμs1、動摩擦係数はμd2である。得られた油剤は、使用前に水でdの乳化液に調整する。
(3)二重異形断面繊維の紡糸加工として;
紡糸加工は、紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になることである。そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りである:紡糸温度はT1、冷却温度はT2、変形加工エアジェット圧力はP1、変形加工ローラー1速度はV1、変形加工ローラー1温度はT2’、変形加工ローラー2速度はV2、変形加工ローラー2温度はT3、巻取速度はV3、紡糸パックの初期圧力はP0、圧力昇ΔPはPである。複合紡糸口金はダブルクロス形と円形の紡糸孔が併設されているものである。そのうち、ダブルクロス形孔の円形孔に対する長さ比は、ダブルクロス形孔の円形孔に対する相当直径比と係数Kとの積に等しくとする。前記相当直径は孔の断面積と断面周囲の比率であり、係数Kの取りうる値はUである。ダブルクロス形紡糸孔の長さはW1、円形紡糸孔の長さはW2、相当直径はW3である。すべての紡糸孔は等間隔の同心円によって配列し、紡糸孔の円心または外心は同心円に位置し、同じ同心円にダブルクロス形と円形の紡糸孔が併設され、ダブルクロス形孔の円形孔に対する数量比がXとする。
最後に得られた同じ紡糸口金より吐出したダブルクロス形モノフィラメントと円形モノフィラメントを同時に有する二重異形断面繊維には、ダブルクロス形モノフィラメントの繊度がD1とし、曲げ剛性がY1とし、円形モノフィラメントの繊度がD2とし、曲げ剛性がY2とする。
二重異形断面繊維は繊度がD3、破断強度がZ1、破断伸度がZ2、破断強度CV値がZ3、破断伸度CV値がZ4、沸水収縮率がZ5、光沢度がZ6とする。
分岐ジオールの調製方法は、具体的に、下記のステップによる:A1、A2およびトリエチルアミンを20minかけて反応させ、濃縮液としてラネーニッケル触媒を持つ水素化反応器に添加し、2.914MPaの水素圧と100℃で反応させ、反応終了後触媒を析出させ、イオン交換樹脂で処理し、圧力を低減して蒸水し、分離し、精製し、最後に分岐ジオールを得る。
【0059】
実施例1
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;そのうち、A’は1:1.2:0.03、触媒は三酸化二アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリフェニル、B’は常圧、Cは250℃、D’は90%、Eは0.01%、Fは0.20%、Gは0.05%、Hは30min、Iは500Pa、Jは260℃、kは40min、L’は100Pa、Mは275℃、Nは70min、Oは0.6wt%、Pは20000、Qは2.0、Rは3%、S’は1.0wt%、Tは13wt%であり、分岐ジオールの2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオールの構造式は、
【化2】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は9#鉱物油、t1は40℃、t2は1h、a1は2、a2は10、a3は90、a4は8、a5は3、bは79.6wt%、b2は14.5wt%、b3は29.6mm2/s、b4は0.93mm2/s、c1は125N、c2は24.8cN/cm、c3は1.3×108Ω・cm、μsは0.255、μdは0.266、μs1は0.203、μd1は0.320、dは15%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は284℃、T2は22℃、P1は0.20MPa、V1は2500m/min、T2’は75℃、V2は3600m/min、T3は135℃、V3は3650m/min、P0は120bar、ΔP’は0.5bar/日間、Uは0.97、W1は0.55mm、W2は0.54mm、W3は0.33mm、Xは1:10である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、D1は2.8dtex、Y1は0.88×10-5cN・cm2、D2は0.30dtex、Y2は0.0058×10-5cN・cm2。D3は200dtex、Z1は4.5cN/dtex、Z2は40.0%、Z3は5.0%、Z4は9.0%、Z5は7.5%、Z6は44%である。
【0060】
実施例2
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;そのうち、A’は1:1.3:0.04、分岐ジオールは2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、触媒はエチレングリコールアンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリメチル、B’は常圧、Cは260℃、D’は91%Eは0.02%、Fは0.21%、Gは0.03%、Hは35min、Iは490Pa、Jは261℃、kは30min、L’は100Pa、Mは277℃、Nは85min、Oは0.6wt%、Pは27000、Qは1.8、Rは5%、S’は1.2wt%、Tは22wt%であり、分岐ジオールの2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールの構造式は
【化3】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは15−クラウンエーテル−5、リン酸エステルカリウム塩はイソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはペンタデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は10#鉱物油、t1は43℃、t2は1.5ha1は2、a2は15、a3は70、a4は10、a5は7、bは67.30wt%、b2は13wt%、b3は28.1mm2/s、b4は0.93mm2/s、c1は123N、c2は25.1cN/cm、c3は1.5×108Ω・cm、μsは0.257、μdは0.265、μs1は0.205、μd1は0.323、dは14%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は280℃、T2は23℃、P1は0.25MPa、V1は2500m/min、T2’は80℃、V2は3800m/min、T3は140℃、V3は3780m/min、P0は120bar、ΔP’は0.45bar/日間、Uは0.97、W1は1.25mm、W2は1.25mm、W3は0.48mm、Xは1:20である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は3.2dtex、Y1は0.95×10-5cN・cm2、D2は0.25dtex、Y2は0.0049×10-5cN・cm2。D3は280dtex、Z1は4.0cN/dtex、Z2は43.0%、Z3は5.0%、Z4は9.2%、Z5は7.0%、Z6は48%である。
【0061】
実施例3
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;A’は1:1.4:0.05、分岐ジオールは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、触媒酢酸アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤は亜リン酸トリメチル、B’は0.1MPa、Cは252℃、D’は92%、Eは0.03%、Fは0.23%、Gは0.01%、Hは40min、Iは495Pa、Jは263℃、kは45min、L’は95Pa、Mは278℃、Nは60min、Oは0.5wt%、Pは21000、Qは2.2、Rは4%、S’は1.3wt%、Tは34wt%であり、分岐ジオールの2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの構造式は、
【化4】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムペンタデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は11#鉱物油、t1は48℃、t2は3h、a1は 8、a2は10、a3は85、a4は11、a5は5、bは70.83wt%、b2は11wt%、b3は30.1mm2/s、b4は0.94mm2/s、c1は125N、c2は23.2cN/cm、c3は1.8×108Ω・cm、μsは0.250、μdは0.272、μs1は0.209、μd1は0.329、dは10%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は285℃、T2は20℃、P1は0.26MPa、V1は2200m/min、T2’は75℃、V2は3700m/min、T3は150℃、V3は3700m/min、P0は120bar、ΔP’は0.56bar/日間、Uは0.97、W1は1.68mm、W2は1.68mm、W3は0.17mm、Xは1:15である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、D1は2.9dtex、Y1は0.82×10-5cN・cm2、D2は0.24dtex、Y2は0.0041×10-5cN・cm2。D3は190dtex、Z1は3.9cN/dtex、Z2は43.0%、Z3は4.5%、Z4は9.5%、Z5は8.0%、Z6は45%である。
【0062】
実施例4
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;そのうちT0は90℃、A1は3,3‐ジエチル‐プロピオンアルデヒド、A2はアセトアルデヒド、A’は1:1.5:0.06、触媒は三酸化二アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリフェニルB’は0.3MPa、Cは255℃、D’は95%、Eは0.04%、Fは0.25%、Gは0.01%、Hは50min、Iは400Pa、Jは265℃、kは33min、L’は90Pa、Mは280℃、Nは50min、Oは0.2wt%、Pは23000、Qは1.9、Rは3.5%、S’は1.15wt%、Tは15wt%であり、分岐ジオールの3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオールの構造式は、
【化5】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は12#鉱物油、t1は40℃、t2は2.5h、a1は5、a3は 95、a4は9、a5は2、bは85.58wt%、b2は9wt%、b3は29.5mm2/s、b4は0.93mm2/s、c1は121N、c2は24.3cN/cm、c3は1.0×108Ω・cm、μsは0.260、μdは0.263、μs1は0.202、μd1は0.330、dは19%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は283℃、T2は20℃、P1は0.28MPa、V1は2400m/min、T2’は78℃、V2は3600m/min、T3は145℃、V3は3580m/min、P0は120bar、ΔP’は0.6bar/日間、Uは0.97、W1は0.24mm、W2は0.24mm、W3は0.12mm、Xは1:15である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、D1は2.5dtex、Y1は1.05×10-5cN・cm2、D2は0.20dtex、Y2は0.027×10-5cN・cm2。D3は150dtex、Z1は3.6cN/dtex、Z2は37.0%、Z3は4.0%、Z4は10.0%、Z5は8.0%、Z6は43%である。
【0063】
実施例5
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;そのうちT0は91℃、A1は4,4−ジエチル−ブチルアルデヒド、A2はプロピルアルデヒド、A’は1:1.6:0.03、触媒はエチレングリコールアンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリメチル、B’は常圧、Cは257℃、D’は92%、Eは0.05%、Fは0.20%、Gは0.04%、Hは33min、Iは450Pa、Jは270℃、kは30min、L’は95Pa、Mは275℃、Nは60min、Oは0.5wt%、Pは25000、Qは2.1、Rは5%、S’は1.2wt%、Tは40wt%であり、分岐ジオールの4,4−ジエチル−1,7−ヘプタンジオールの構造式は、
【化6】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうちクラウンエーテルは15−クラウンエーテル−5、リン酸エステルカリウム塩はイソトリデカノールポリオキシエチレンエーテルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は13#鉱物油、t1は52℃、t2は2h、a1は10、a2は5、a3は70、a4は8、a5は6、bは70.70wt%、b2は13.5wt%、b3は28.6mm2/s、b4は0.95mm2/s、c1は126N、c2は24.9cN/cm、c3は1.2×108Ω・cm、μsは0.251、μdは0.262、μs1は0.202、μd1は0.332、dは11%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は287℃、T2は24℃、P1は0.30MPa、V1は2200m/min、T2’は79℃、V2は3800m/min、T3は155℃、V3は3660m/min、P0120bar、ΔP’は0.55bar/日間、Uは0.97、W1は0.38mm、W2は0.38mm、W3は0.45mm、Xは1:20である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、D1は3.3dtex、Y1は1.22×10-5cN・cm2、D2は0.30dtex、Y2は0.0154×10-5cN・cm2。D3は150dtex、Z1は4.8cN/dtex、Z2は37.0%、Z3は4.8%、Z4は9.5%、Z5は7.5%、Z6は46%である。
【0064】
実施例6
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;T0は92℃、A1は4,4−ビス(1−メチルエチル)−ブチルアルデヒド、A2はプロピルアルデヒド、A’は1:1.7:0.05、触媒は酢酸アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤は亜リン酸トリメチル、B’は0.2MPa、Cは253℃、D’は96%、Eは0.01%、Fは0.20%、Gは0.05%、Hは38min、Iは480Pa、Jは262℃、kは38min、L’は98Pa、Mは279℃、Nは80min、Oは0.55wt%、Pは27000、Qは2.2、Rは4%、S’は1.5wt%、Tは38wt%であり、分岐ジオールの4,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,7−ヘプタンジオールの構造式は、
【化7】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはペンタデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は14#鉱物油、t1は55℃、t2は1h、a1は3、a2は5、a3は75、a4は14、a5は7、bは68.8wt%、b2は12wt%、b3は27.5mm2/s、b4は0.95mm2/s、c1は126N、c2は25.4cN/cm、c3は1.6×108Ω・cm、μsは0.255、μdは0.267、μs1は0.203、μd1は0.330、dは20%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は290℃、T2は25℃、P1は0.27MPa、V1は2500m/min、T2’は80℃、V2は3900m/min、T3は150℃、V3は3790m/min、P0120bar、ΔP’は0.42bar/日間、Uは0.97、W1は0.95mm、W2は0.95mm、W3は0.52mm、Xは1:25である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は2.5dtex、Y1は0.97×10-5cN・cm2、D2は0.25dtex、Y2は0.0021×10-5cN・cm2。D3は300dtex、Z1は3.7cN/dtex、Z2は40.0%、Z3は4.6%、Z4は9.9%、Z5は7.5%、Z6は41%である。
【0065】
実施例7
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;そのうち、T0は93℃、A1は3,3−ジプロピル−プロピルアルデヒド、A2はアセトアルデヒド、A’は1:1.8:0.03、触媒は三酸化二アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリフェニル、B’は0.3MPa、Cは250℃、D’は90%、Eは0.03%、Fは0.24%、Gは0.02%、Hは42min、Iは455Pa、Jは264℃、kは45min、L’は85Pa、Mは285℃、Nは75min、Oは0.45wt%、Pは26500、Qは2.2、Rは4.5%、S’は1.25wt%、Tは27wt%であり、分岐ジオールの3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオールの構造式は、
【化8】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは15−クラウンエーテル−5、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は15#鉱物油、t1は41℃、t2は2h、a1は8、a2は20、a3は100、a4は15、a5は2、bは68.97wt%、b2は8.5wt%、b3は28.4mm2/s、b4は0.94mm2/s、c1は122N、c2は26.8cN/cm、c3は1.8×108Ω・cm、μsは0.263、μdは0.268、μs1は0.210、μd1は0.320、dは13%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は280℃、T2は25℃、P1は0.29MPa、V1は2600m/min、T2’は82℃、V2は3900m/min、T3は135℃、V3は3840m/min、P0は120bar、ΔP’は0.58bar/日間、Uは0.97、W1は2.08mm、W2は2.08mm、W3は0.48mm、Xは1:10である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は3.4dtex、Y1は0.82×10-5cN・cm2、D2は0.22dtex、Y2は0.0085×10-5cN・cm2。D3は200dtex、Z1は3.9cN/dtex、Z2は40.0%、Z3は5.0%、Z4は10.0%、Z5は7.5%、Z6は43%である。
【0066】
実施例8
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;T0は94℃、A1は4,4−ジプロピル−ブチルアルデヒド、A2はアセトアルデヒド、A’は1:1.9:0.04、触媒はエチレングリコールアンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリメチル、B’は0.3MPa、Cは260℃、D’は93%、Eは0.04%、Fは0.21%、Gは0.03%、Hは45min、Iは475Pa、Jは265℃、kは48min、L’は88Pa、Mは283℃、Nは80min、Oは0.6wt%、Pは23000、Qは2.0、Rは3%、S’は1.4wt%、Tは50wt%であり、4,4−ジプロピル−1,7−ヘプタンジオールの構造式は、
【化9】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はラウリル・ミリスチル・アルコールリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはペンタデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は16#鉱物油、t1は45℃、t2は3h、a1は9、a3は80、a4は12、a5は5、bは83.33wt%、b2は14wt%、b3は30.0mm2/s、b4は0.93mm2/s、c1は127N、c2は23.5cN/cm、c3は1.5×108Ω・cm、μsは0.262、μdは0.273、μs1は0.2038、μd1は0.328、dは18%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は284℃、T2は20℃、P1は0.30MPa、V1は2600m/min、T2’は85℃、V2は3700m/min、T3は160℃、V3は3840m/min、P0は120bar、ΔP’は0.33bar/日間、Uは0.97、W1は2.00mm、W2は2.00mm、W3は0.34mm、Xは1:20である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は3.5dtex、Y1は1.38×10-5cN・cm2、D2は0.24dtex、Y2は0.0027×10-5cN・cm2。D3は250dtex、Z1は3.6cN/dtex、Z2は37.0%、Z3は4.0%、Z4は9.6%、Z5は8.0%、Z6は47%である。
【0067】
実施例9
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;T0は95℃、A1は4−メチル−4−(1,1−ジメチルエチル)−ブチルアルデヒド、A2はプロピルアルデヒド、A’は1:2.5:0.05、触媒は酢酸アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤はリン酸トリメチル、B’は常圧、Cは251℃、D’は96%、Eは0.05%、Fは0.22%、Gは0.04%、Hは30min、Iは420Pa、Jは267℃、kは50min、L’は80Pa、Mは280℃、Nは90min、Oは0.25wt%、Pは24000、Qは2.2、Rは4%、S’は1.0wt%、Tは23wt%であり、分岐ジオールの4ーメチル−4−(1,1−ジメチルエチル)−1,7−ヘプタンジオールの構造式は、
【化10】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、t1は55℃、t2は1h、a2は15、a3は90、a4は8、a5は7、bは81.81wt%、b2は10wt%、b3は29.7mm2/s、b4は0.94mm2/s、c1は126N、c2は24.8cN/cm、c3は1.8×108Ω・cm、μsは0.250、μdは0.264、μs1は0.210、μd1は0.321、dは10%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は286℃、T2は21℃、P1は0.20MPa、V1は2200m/min、T2’は75℃、V2は3700m/min、T3は165℃、V3は3585m/min、P0は20bar、ΔP’は0.6bar/日間、Uは0.97、W1は2.03mm、W2は2.05mm、W3は0.31mm、Xは1:30である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は3.5dtex、Y1は1.34×10-5cN・cm2、D2は0.30dtex、Y2は0.005×10-5cN・cm2。D3は280dtex、Z1は4.0cN/dtex、Z2は43.0%、Z3は4.7%、Z4は9.1%、Z5は7.0%、Z6は46%である。
【0068】
実施例10
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;T0は90℃、A1は3−メチル−3−アミル−プロピオンアルデヒド、A2はプロピオンアルデヒド、A’は1:1.2:0.06、触媒はエチレングリコールアンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤は亜リン酸トリメチル、B’は0.1MPa、Cは255℃、D’は92%、Eは0.01%、Fは0.20%、Gは0.01%、Hは50min、Iは490Pa、Jは269℃、kは30min、L’は100Pa、Mは281℃、Nは55min、Oは0.1wt%、Pは20000、Qは1.9、Rは3.5%、S’は1.3wt%、Tは44wt%であり、分岐ジオールの3−メチル−3−アミル−1,6−ヘキサンジオールの構造式は、
【化11】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン5−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、t1は55℃、t2は3h、a2は15、a3は90、a4は8、a5は7、bは81.81wt%、b2は10wt%、b3は29.7mm2/s、b4は0.94mm2/s、c1は126N、c2は24.8cN/cm、c3は1.8×108Ω・cm、μsは0.250、μdは0.264、μs1は0.210、μd1は0.321、dは10%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は290℃、T2は22℃、P1は0.22MPa、V1は2400m/min、T2’は77℃、V2は3600m/min、T3は135℃、V3は3600m/min、P0120bar、ΔP’は0.3bar/日間、Uは0.97、W1は1.66mm、W2は1.66mm、W3は0.17mm、Xは1:30である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は2.6dtex、Y1は0.84×10-5cN・cm2、D2は0.21dtex、Y2は0.0068×10-5cN・cm2。D3は170dtex、Z1は4.4cN/dtex、Z2は40.0%、Z3は4.6%、Z4は9.5%、Z5は7.0%、Z6は44%である。
【0069】
実施例11
二重異形断面繊維の製造方法は、以下のステップを含む:
(1)紡糸融液の調製として;T0は95℃、A1は3,3−ジアミル−プロピオンアルデヒド、A2はアセトアルデヒド、A’は1:2.0:0.03、触媒は酢酸アンチモン、艶消し剤は二酸化チタン、安定剤は亜リン酸トリメチル、B’は0.2MPa、Cは250℃、D’は97%、Eは0.01%、Fは0.23%、Gは0.05%、Hは45min、Iは500Pa、Jは260℃、kは40min、L’は92Pa、Mは277℃、Nは80min、Oは0.35wt%、Pは25500、Qは1.8、Rは5%、S’は1.45wt%、Tは41wt%であり、分岐ジオールの3,3−ジアミル−1,5−ペンタンジオールの構造式は、
【化12】
である。
(2)オイリング用油剤の調製として;そのうち、クラウンエーテルは2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン4−エーテル、リン酸エステルカリウム塩はドデシルリン酸エステルカリウム塩、アルキルスルホン酸ナトリウムはドデシルスルホン酸ナトリウム、鉱物油は9#鉱物油、t1は40℃、t2は1h、a1は2、a2は10、a3は 90、a4は8、a5は3、bは79.6wt%、b2は14.5wt%、b3は29.6mm2/s、b4は0.93mm2/s、c1は125N、c2は24.8cN/cm、c3は1.3×108Ω・cm、μsは0.255、μdは0.266、μs1は0.203、μd1は0.320、dは20%である。
(3)紡糸融液が計量、複合口金による押出し、冷却、オイリング、引き伸ばし、ヒートセッティング、巻取りなどのステップを経て繊維になり、そのうち、紡糸加工の条件は以下の通りであり:T1は290℃、T2は25℃、P1は0.25MPa、V1は2200m/min、T2’は80℃、V2は3800m/min、T3は165℃、V3は3680m/min、P0120bar、ΔP’は0.52bar/日間、Uは0.97、W1は1.05mm、W2は1.06mm、W3は0.52mm、Xは1:10である。
最後に得られた二重異形断面繊維について、そのうちD1は2.5dtex、Y1は0.90×10-5cN・cm2、D2は0.20dtex、Y2は0.0027×10-5cN・cm2。D3は190dtex、Z1は4.5cN/dtex、Z2は43.0%、Z3は5.0%、Z4は9.5%、Z5は8.0%、Z6は48%である。