特許第6853934号(P6853934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6853934固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853934
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/341 20110101AFI20210329BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20210329BHJP
【FI】
   H04N5/341
   H04N5/374
【請求項の数】14
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-7381(P2017-7381)
(22)【出願日】2017年1月19日
(65)【公開番号】特開2018-117269(P2018-117269A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】514179562
【氏名又は名称】ブリルニクスジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大倉 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山口 正人
(72)【発明者】
【氏名】白畑 正芳
(72)【発明者】
【氏名】藤野 毅
(72)【発明者】
【氏名】汐崎 充
(72)【発明者】
【氏名】久保田 貴也
【審査官】 橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/167076(WO,A1)
【文献】 特表2012−519987(JP,A)
【文献】 特表2008−526078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/341
H04N 5/374
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、
前記鍵生成部は、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含み、
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
前記鍵生成用データに対する非相関化処理により、当該鍵生成用データと相関のある傍受データから相関が弱くなる非相関化データを取得する非相関化処理部を含み、
取得した前記非相関化データを用いて固有鍵を生成し、
前記鍵生成用データは、前記読み出し部により読み出される画素信号に関連して生成され、相関性を示す値が第1範囲内の画素を抜き出したときには傍受データと無相関のデータであり、前記相関性を示す値が前記第1範囲外の第2範囲の画素を抜き出したときには傍受データと相関があるデータであり、
前記非相関化処理部は、
前記鍵生成用データのうち、相関性を示す値が第1範囲に収まっている画素データのみを前記非相関化データとして抜き出すフィルタを含む
固体撮像装置。
【請求項2】
前記非相関化処理部で前記傍受データを処理して得られるデータは前記非相関化データとは無相関である
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項3】
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、
前記鍵生成部は、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含み、
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
鍵生成用データの複数画素間で平均化処理を行う平均化処理部を含む
固体撮像装置。
【請求項4】
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
前記平均化処理部で平均化処理を受けたデータにおいて、隣接の2画素間で大小判定して2値化を行う判定部を含む
請求項記載の固体撮像装置
【請求項5】
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
前記判定部の出力データを圧縮す
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
前記判定部の出力データをソートす
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記鍵生成部は、
前記画素のばらつき情報としてリーク電流と位置情報を用いる
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送されるフローティングディフュージョンと、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた利得をもって電圧信号に変換するソースフォロワ素子と、
前記フローティングディフュージョンを所定電位にリセットするリセット素子と、を含む
請求項1からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素部は、
一つのフローティングディフュージョン、一つのソースフォロワ素子、および一つのリセット素子を複数の光電変換素子および転送素子で共有する画素共有構造を有する
請求項からのいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
画素アレイ端に画素出力電圧振幅を制限するクリップ回路が配置されている
請求項記載の固体撮像装置。
【請求項11】
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
を含む固体撮像装置の駆動方法であって、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかの情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得したばらつき情報を鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成ステップと、を有し、
前記鍵生成ステップでは、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行い、
前記鍵生成ステップの耐タンパ性強化処理では、
前記鍵生成用データに対する非相関化処理により、当該鍵生成用データと相関のある傍受データから相関が弱くなる非相関化データを取得し、
取得した前記非相関化データを用いて固有鍵を生成し、
前記鍵生成用データは、前記読み出し部により読み出される画素信号に関連して生成され、相関性を示す値が第1範囲内の画素を抜き出したときには傍受データと無相関のデータであり、前記相関性を示す値が前記第1範囲外の第2範囲の画素を抜き出したときには傍受データと相関があるデータであり、
前記非相関化処理では、
前記鍵生成用データのうち、相関性を示す値が第1範囲に収まっている画素データのみを前記非相関化データとしてフィルタにより抜き出す
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項12】
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
を含む固体撮像装置の駆動方法であって、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかの情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップで取得したばらつき情報を鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成ステップと、を有し、
前記鍵生成ステップでは、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行い、
前記鍵生成ステップの耐タンパ性強化処理では、
鍵生成用データの読み出し方向に隣接する2画素間で平均化処理を行い、
平均化処理を受けたデータにおいて、隣接の2画素間で大小判定して2値化を行う
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項13】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、
前記鍵生成部は、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含み、
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
前記鍵生成用データに対する非相関化処理により、当該鍵生成用データと相関のある傍受データから相関が弱くなる非相関化データを取得する非相関化処理部を含み、
取得した前記非相関化データを用いて固有鍵を生成し、
前記鍵生成用データは、前記読み出し部により読み出される画素信号に関連して生成され、相関性を示す値が第1範囲内の画素を抜き出したときには傍受データと無相関のデータであり、前記相関性を示す値が前記第1範囲外の第2範囲の画素を抜き出したときには傍受データと相関があるデータであり、
前記非相関化処理部は、
前記鍵生成用データのうち、相関性を示す値が第1範囲に収まっている画素データのみを前記非相関化データとして抜き出すフィルタを含む
電子機器。
【請求項14】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、
前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、
前記鍵生成部は、
前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含み、
前記鍵生成部の耐タンパ性強化処理部は、
鍵生成用データの複数画素間で平均化処理を行う平均化処理部を含む
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
CMOSイメージセンサの各画素は、基本的に、たとえば1個のフォトダイオードに対して、転送ゲートとしての転送トランジスタ、リセットゲートとしてのリセットトランジスタ、ソースフォロワゲート(増幅ゲート)としてのソースフォロワトランジスタ、および選択ゲートとしての選択トランジスタの4素子を能動素子として含んで構成される。
また、各画素には、フォトダイオードの蓄積期間にフォトダイオードから溢れるオーバーフロー電荷を排出するためのオーバーフローゲート(オーバーフロートランジスタ)が設けられてもよい。
【0005】
転送トランジスタは、フォトダイオードの電荷蓄積期間には非導通状態に保持され、フォトダイオードの蓄積電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する転送期間に、ゲートに駆動信号が印加されて導通状態に保持され、フォトダイオードで光電変換された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0006】
リセットトランジスタは、そのゲートにリセット信号が与えられることで、フローティングディフュージョンFDの電位を電源ラインの電位にリセットする。
【0007】
フローティングディフュージョンFDには、ソースフォロワトランジスタのゲートが接続されている。ソースフォロワトランジスタは、選択トランジスタを介して垂直信号線に接続され、画素部外の負荷回路の定電流源とソースフォロアを構成している。
そして、制御信号(アドレス信号またはセレクト信号)が選択トランジスタのゲートに与えられ、選択トランジスタがオンする。
選択トランジスタがオンすると、ソースフォロワトランジスタはフローティングディフュージョンFDの電位を増幅してその電位に応じた電圧を垂直信号線に出力する。垂直信号線を通じて、各画素から出力された電圧は、画素信号読み出し回路としての列並列処理部に出力される。
列並列処理において画像データはたとえばアナログ信号からデジタル信号に変換されて、後段の信号処理部に転送され、ここで所定の画像信号処理を受けて所望の画像が得られる。
【0008】
上述したように、CMOSイメージセンサでは、わずかな光で光電変換により発生した電子を、微小容量で電圧に変換し、さらに微小面積のソースフォロワトランジスタを用いて、出力している。そのため、容量をリセットする際に発生するノイズやトランジスタの素子ばらつきなどの微小なノイズを除去する必要があり、画素毎のリセットレベルと輝度レベル(信号レベル)の差分を出力している。
このように、CMOSイメージセンサでは、画素毎のリセットレベルと輝度レベルの差分を出力することで、リセットノイズと閾値ばらつきを除去し、数電子の信号を検出することができる。この差分を検出する動作は、相関二重サンプリング(CDS: Correlated Double Sampling) と呼ばれ、広く用いられている技術である。アレイ状に配置された全て画素に対して、CDS読出しを順次行い、1フレーム分の通常の画像データを出力する。
【0009】
ところで、上述した固体撮像装置(イメージセンサ)においては、基本的に、各種電子機器の保有者や使用が許可された使用者が、撮像した画像データを簡単に再生してその画像を見ることができる。
しかし、現状の固体撮像装置は、撮像した画像データが個人の秘密にかかわるデータである場合であっても、簡単に再生することができることから、画像の無断使用や改ざん、ねつ造等が容易に行われてしまうという不利益がある。
固有鍵を使用した暗号化により一様の秘密性を確保することが可能であるが、現状では固有鍵の耐タンパ性(解析の困難さ)を確保することは困難である。
【0010】
そこで、これらの課題を解決するために、固有鍵の耐タンパ性を確保することが可能で、ひいては画像の改ざん、ねつ造を防止することが可能な固体撮像装置(イメージセンサ)が提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、CMOSイメージセンサのチップごとのいわゆる指紋情報を抽出する方法について記載されている。
【0011】
特許文献1に記載された固体撮像装置(イメージセンサ)は、基本的に、フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、指紋情報としての画素のばらつき情報および読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを用いて固有鍵を生成する鍵生成部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2016/167076
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載された固体撮像装置では、指紋情報から固有鍵を作成する方法には課題が残っている。
【0014】
第1に、鍵生成用と相関の強いデータが手にはいると、誤り訂正を用いることにより、鍵を再生できてしまう可能性が生じ、鍵の秘匿性は保たれない。
すなわち、特許文献1に記載された固体撮像装置では、秘匿性の高い固有鍵を生成することには課題がある。
【0015】
第2に、特許文献1に記載された固体撮像装置では、固有IDの再現性およびユニーク性に改善の余地がある。
具体的には、ノイズに対する再現性および空間周波数の低いパターンに対するユニーク性についてはいまだ改善の余地がある。
【0016】
本発明は、秘匿性の高い固有鍵を生成することが可能で、また、固有IDの再現性およびユニーク性の向上を図ることができ、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能で、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、前記鍵生成部は、前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含む。
【0018】
本発明の第2の観点は、フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を含む固体撮像装置の駆動方法であって、前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかの情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップで取得したばらつき情報を鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成ステップと、を有し、前記鍵生成ステップでは、前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う。
【0019】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、フォトダイオードを含む複数の画素が行列状に配列された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、前記画素のばらつき情報および前記読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する鍵生成部と、を有し、前記鍵生成部は、前記鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、秘匿性の高い固有鍵を生成することが可能で、また、固有IDの再現性およびユニーク性の向上を図ることができ、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能で、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
図3】本発明の実施形態に係る固体撮像装置の画素部の列出力の読み出し系の構成例を説明するための図である。
図4】本第1の実施形態に係る暗号化処理系の全体的な概要を示すブロック図である。
図5図4の暗号化処理系の処理を模式的に示す図である。
図6】画素のばらつき情報としてリーク電流を採用した理由について説明するための図である。
図7】1画素当たりの情報量についての一例を示す図である。
図8】9つの要素の場合の出力と情報量について説明するための図である。
図9】16の要素の場合の偏った出力と情報量について説明するための図である。
図10】画素のリーク電流としてフォトダイオードのリーク電流を採用した場合の通常動作モードと鍵作成モードにおける要部の動作波形等を示す図である。
図11】画素のばらつき情報として、画素部の有効画素以外の無効画素領域の情報を採用することを説明するための図である。
図12】本第1の実施形態に係る鍵生成部の要部の構成例を示すブロック図である。
図13】固有鍵を生成する方法の課題を説明するための図である。
図14】本第1の実施形態に係るフィルタを通して固有鍵を生成する処理の流れを示す図である。
図15】本第1の実施形態に係るフィルタが持つべき特性について説明するための図である。
図16】本実施形態に係る鍵生成部の固有鍵出力部に適用可能なファジー抽出器の構成例を示す図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る鍵生成部の要部の構成例を示すブロック図である。
図18】本第2の実施形態に係る画素部および列毎に配置された列読出し回路の概要を示す図である。
図19】本第2の実施形態に係る固体撮像装置の通常動作モードにおける要部の動作波形を示す図である。
図20】本第2の実施形態に係る固体撮像装置の鍵作成モードにおける要部の動作波形を示す図である。
図21】本第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ全体と列の画素特性ばらつき分布を示す図である。
図22】本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部において行われる列毎に固有なばらつき成分除去する信号処理の概要を示す図である。
図23】本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部においてFHD(1920 × 1080画素)の画素アレイに対して行われる列毎に固有なばらつき成分除去する信号処理の概要を示す図である。
図24】本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部において行われる列毎に固有なばらつき成分除去する他の信号処理の概要を示す図である。
図25】モンテカルロシミュレーション結果を示す図である。
図26】所定の環境において取得した取得画像を示す図である。
図27】列毎に固有なばらつき成分の除去による特性を示す図である。
図28】通常動作モードと鍵作成モードのそれぞれ暗時での出力分布を示す図である。
図29】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0024】
この固体撮像装置10は、図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(列(カラム)読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、タイミング制御回路60、および信号処理回路70を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部90が構成される。
【0025】
本実施形態において、固体撮像装置10は、通常動作モードMDUと鍵作成モードMDKで動作可能に構成されている。
【0026】
画素部20は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含む複数の画素がn行×m列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0027】
図2は、本第1の実施形態に係る画素の一例を示す回路図である。
【0028】
この画素PXLは、たとえば光電変換素子であるフォトダイオード(PD)を有する。
そして、このフォトダイオードPDに対して、転送トランジスタTG−Tr、リセットトランジスタRST−Tr、ソースフォロワトランジスタSF−Tr、および選択トランジスタSEL−Trをそれぞれ一つずつ有する。
【0029】
フォトダイオードPDは、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオード間で、各トランジスタを共有している場合や、選択トランジスタを有していない3トランジスタ(3Tr)画素を採用している場合にも有効である。
【0030】
転送トランジスタTG−Trは、フォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)の間に接続され、制御信号TGを通じて制御される。
転送トランジスタTG−Trは、制御信号TGがハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPDで光電変換された電子をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0031】
リセットトランジスタRST−Trは、電源線VRstとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御信号RSTを通じて制御される。
なお、リセットトランジスタRST−Trは、電源線VDDとフローティングディフュージョンFDの間に接続され、制御信号RSTを通じて制御されるように構成してもよい。
リセットトランジスタRST−Trは、制御信号RSTがHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFDを電源線VRst(またはVDD)の電位にリセットする。
【0032】
ソースフォロワトランジスタSF−Trと選択トランジスタSEL−Trは、電源線VDDと垂直信号線LSGNの間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF−TrのゲートにはフローティングディフュージョンFDが接続され、選択トランジスタSEL−Trは制御信号SELを通じて制御される。
選択トランジスタSEL−Trは、制御信号SELがHの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF−TrはフローティングディフュージョンFDの電位に応じた列出力アナログ信号VSLを垂直信号線LSGNに出力する。
これらの動作は、たとえば転送トランジスタTG−Tr、リセットトランジスタRST−Tr、および選択トランジスタSEL−Trの各ゲートが行単位で接続されていることから、1行分の各画素について同時並列的に行われる。
【0033】
画素部20には、画素PXLがn行×m列配置されているので、各制御線LSEL、LRST、LTGはそれぞれn本、垂直信号線LSGNはm本ある。
図1においては、各制御線LSEL、LRST、LTGを1本の行走査制御線として表している。
【0034】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0035】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列(カラム)信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0036】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0037】
このように、読み出し回路40は、たとえば図3(A)に示すように、画素部20の各列出力アナログ信号VSLをデジタル信号に変換するADC41を含んで構成されてもよい。
あるいは、読み出し回路40は、たとえば図3(B)に示すように、画素部20の各列出力アナログ信号VSLを増幅するアンプ(AMP)42が配置されてもよい。
また、読み出し回路40は、たとえば図3(C)に示すように、画素部20の各列出力アナログ信号VSLをサンプル、ホールドするサンプルホールド(S/H)回路43が配置されてもよい。
また、読み出し回路40は、画素部20の各列から出力される画素信号に対して所定の処理が施された信号を記憶するカラムメモリとしてのSRAMが配置されてもよい。
【0038】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、信号処理回路70に出力する。
【0039】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0040】
信号処理回路70は、読み出し回路40により読み出され所定の処理が施された読み出し信号に対する所定の信号処理により2次元画像データを生成する。
【0041】
上述したように、固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、わずかな光で光電変換により発生した電子を、微小容量で電圧に変換し、さらに微小面積のソースフォロワトランジスタSF−Trを用いて、出力している。そのため、容量をリセットする際に発生するノイズやトランジスタの素子ばらつきなどの微小なノイズを除去する必要があり、画素毎のリセットレベル(VRST)と輝度レベル(信号レベル:VSIG)の差分を出力している。
このように、CMOSイメージセンサでは、画素毎のリセットレベルと輝度レベルの差分を出力することで、リセットノイズと閾値ばらつきを除去し、数電子の信号を検出することができる。この差分を検出する動作は、CDS(相関二重サンプリング)と呼ばれ、広く用いられている技術であり、アレイ状に配置された全て画素に対して、CDS読出しを順次行い、1フレーム分の通常の2次元画像データを出力する。
【0042】
本実施形態の固体撮像装置10では、この通常の2次元画像データを生成するための動作は、通常動作モードMDUで動作可能に構成されている。
【0043】
ただし、本実施形態における信号処理回路70においては、画像の無断使用や改ざん、ねつ造等が行われてしまうことを防止するために、固体撮像装置10の固有のばらつき情報(画素、読み出し回路のばらつき情報)から固有鍵を生成し、固有鍵と固体撮像装置10から得られる取得データを組み合わせて識別データを生成し、この識別データを画像データに一体化して出力し、固有鍵に関する情報を認識していない場合には識別データを正しく作成できないように構成されている。
【0044】
本実施形態の固体撮像装置10では、この固有鍵の生成に関する動作は、鍵作成モードMDKで動作可能に構成されている。
【0045】
本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、周辺輝度に依存しない、チップ毎に固有な画素ばらつきパターン(ばらつき情報)を固有IDとして出力する。
このように、本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、画素毎のばらつきパターンのみを出力する。輝度レベルを出力しないため、イメージセンサの露光条件に依存しないパターン画像を出力することができる。また、各画素の出力には、FPNとフレーム毎にランダムに変動する熱雑音が含まれるが、鍵生成モードMDKにおけるFPNは熱雑音に対して10倍以上大きいため、安定した固定ばらつきパターンを出力することができる。
【0046】
本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、固有鍵の生成に際し、画素のばらつき情報および読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する。そして、本第1の実施形態においては、固有鍵の生成に際し、鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う。
後述するように、本第1の実施形態においては、鍵生成用データに対する非相関化処理部での非相関化処理により、鍵生成用データと相関のある傍受データ(たとえばCDS処理を施した画像データ)から相関が弱くなる非相関化データを取得し、取得した非相関化データを用いて固有鍵を生成する。
本第1の実施形態において、非相関化処理部で傍受データを処理して得られるデータは非相関化データとは無相関である。
【0047】
これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、秘匿性の高い固有鍵を生成することができ、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能となり、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能となっている。
【0048】
以下、本実施形態の固体撮像装置10の特徴的な構成、機能について、固有鍵の生成、並びに固有鍵を含む識別データと画像データの一体化を行う、いわゆる暗号化処理を中心に説明する。
【0049】
図4は、本第1の実施形態に係る暗号化処理系の全体的な概要を示すブロック図である。
図5は、図4の暗号化処理系の処理を模式的に示す図である。
【0050】
図4の暗号化処理系80は、情報取得部81、鍵生成部82、画像データ生成部83、識別データ生成部84、一体化部85、およびメモリ86を主構成要素として有している。
なお、図4の例では情報取得部81と鍵生成部82が別の機能ブロックとして構成されているが、情報取得部81と鍵生成部82を一つの機能ブロックとして構成することも可能である。
【0051】
情報取得部81は、画素PXLのばらつき情報PFLCおよび読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCの少なくともいずれかを取得し、取得したばらつき情報を鍵生成部82に供給する。
【0052】
ここで、一例として画素PXLのばらつき情報PFLCについての概略を説明する。
【0053】
(画素PXLのばらつき情報PFLCについて)
まず、画素PXLのばらつき情報PFLCについて説明する。
本実施形態においては、画素PXLのばらつき情報PFLCとして、基本的に、リーク電流と位置情報を用いる。
ここで、リーク電流を採用した理由について述べる。
【0054】
図6は、画素のばらつき情報としてリーク電流を採用した理由について説明するための図である。図6(A)は画素リーク電流の強度分布を示し、図6(B)は白キズの場所分布の一例を示している。
【0055】
固体撮像装置10のセンサ画素には、図6に示すように、100%抑制することのできないリーク電流が存在する。これの特に極端なもの(暗視野露光でも一瞬で白とびする)を白キズ、または白点という。以下では白キズという。
固体撮像装置10は、出荷前に極力この白キズを減らす努力がはらわれるが、また抑えきれない白キズは後段の画像処理で回りの画素デ−タから白キズ画素を補完し画像出力している。
この白キズは画素アレイのどこに出現するかは作製してみなければわからず、しかも再現性がある。そのため個体固有の情報と見なせる。
そこで、本実施形態では、画素PXLのばらつき情報PFLCとして、リーク電流と位置情報を用い固有鍵KYを生成する。たとえば図6に示すように、白キズの発生場所(発生位置)と個数を固有情報として固有鍵KYを生成することが可能である。
本実施形態においては、この情報を固有鍵として、セキュリティ分野で用いられるPUF(Physically Unclonable Function;物理複製困難関数)技術を応用して暗号化処理を行う。
【0056】
図7は、1画素当たりの情報量についての一例を示す図である。
1画素あたりの情報量Hは次式で与えられる。
【0057】
H = -P0・log2(P0) -P1・log2(P1)
ここで、P0 : 白キズの出る確率、P1 : 白キズが出ない確率1 - P0
【0058】
たとえば、100万画素(1E6)の場合、白キズ100ppmは100個に相当し、情報量として次のようになる。
【0059】
1.47E-3×1E6 = 1.47E3 bit= 1,470bit
【0060】
ちなみに、鍵生成に必要な要件(セキュリティ側から)は1画素あたりの白キズ発生確率は次のように与えられる。
【0061】
100〜3,000ppm = 0.01%〜0.3%
【0062】
次に、出力と情報量について図8および図9に関連付けて考察する。
図8は、9つの要素の場合の出力と情報量について説明するための図である。
図9は、16の要素の場合の偏った出力と情報量について説明するための図である。
【0063】
9つ(3×3)の要素の場合、図8(A)に示すように、各要素に1/2の確率で1または0が出る場合、この出力はそのまま鍵として用いることができ、9bit分の鍵情報として有効である。
もしノイズにより、エラー訂正に5bit必要であるとすると、図8(B)に示すように、有効な鍵情報は4bit分となり、鍵としては4bit分の情報として出力する。
【0064】
次に、16(4×4)の要素で、偏った出力の場合について説明する。
16(4×4)の要素の場合、図9に示すように、各要素に1の出る確率が1/16で、1要素のどこかに必ず1が出るサンプル群の場合、これは全部で16通りしかなく、4bitの情報しかない。
白キズの情報量もこれと同じ考え方で、100万画素中の各画素に1/2の確率で1または0が出る場合の情報量は100万bitであるが、100万画素中に100ppm存在する白キズの情報量は1,400bit程度となる。
これだけの情報量であれば、鍵としては有効活用可能である。
【0065】
画素のばらつき情報PFLCを取得する情報取得部81は、図6(A)に示すように、画素のリーク情報を、しきい値VTHに関連付けて取得する。
図6の例の場合、リーク電流Ileakがしきい値VTH1より大きいときに、白キズであると判別できる。
また、情報取得部81は、しきい値が複数設定されてもよく(図6の例ではVH1、VTH2)、複数のしきい値VTH1、VTH2との関連で情報を区別することも可能である。
なお、しきい値VTHを温度等の環境に応じて変化させることも可能である。
【0066】
また、情報取得部81は、画素のばらつき情報PFLCとして、一定以上のリーク電流を示す画素の位置情報を採用することができる。
また、情報取得部81は、画素のばらつき情報PFLCとして、リーク電流順の上位の画素の集合を採用することができる。
また、情報取得部81は、画素のばらつき情報PFLCとして、集合の列方向および行方向アドレスを採用することができる。
【0067】
(フォトダイオードのリーク電流)
情報取得部81は、たとえば画素のリーク電流IleakとしてフォトダイオードPDのリーク電流を採用することができる。
【0068】
図10は、画素のリーク電流IleakとしてフォトダイオードPDのリーク電流を採用した場合の通常動作モードと鍵作成モードにおける要部の動作波形等を示す図である。
図10(A)が通常動作モードMDU時の動作波形を、図10(B)が鍵作成モードMDKの動作波形を、図10(C)がばらつき情報を二値化した鍵パターンイメージを示し、図10(D)が出力信号と画素数としきい値VTHとの関係を示している。
なお、前述したように、本実施形態において、固体撮像装置10は、通常動作モードMDUと鍵作成モードMDKで動作可能に構成されている。
【0069】
通常動作モードMDUにおいては、図10(A)に示すように、シャッターを閉じた状態で画素PXLをリセットし、シャッター開放中に露光する。
また、シャッターを閉じた状態で信号を読み出す。
【0070】
鍵作成モードMDKにおいては、図10(B)に示すように、シャッターを閉じた状態で画素をリセットし、一定時間後に画素信号を読み出す。
この場合、露光されないため、フォトダイオードPDに生じるリーク電流のみが固有の鍵パターンとして出力される。
この固有の鍵パターンは、図10(D)に示すように、重金属汚染等により極大値をもつため、再現性が高い。
【0071】
また、情報取得部81は、画素のばらつき情報PFLCとして、画素部20の有効画素以外の無効画素領域のフォトダイオードの情報を採用することができる。
図11は、画素のばらつき情報PFLCとして、画素部20の有効画素以外の無効画素領域の情報を採用することを説明するための図である。
【0072】
通常、画素部20は、図11(A)に示すように、有効画素領域21と有効画素領域21の周辺の無効画素領域(OB;Optical Black領域等)22を含んで構成されている。
また、無効画素領域(OB;Optical Black領域)22は、図11(B)に示すように、遮光膜23により遮光されている。
本実施形態においては、OB画素領域22の画素等、有効画素以外の画素領域の白キズや暗電流の情報を採用して鍵とすることで、鍵の検出を困難にすることが可能である(鍵検出には専用の読み出しタイミングを必要とする)。
【0073】
また、フォトダイオード(PD)としては、埋め込みフォトダイオード(Buried Photo Diode;BPD)が広く用いられている。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。埋め込みフォトダイオード(BPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減する。
埋め込みフォトダイオードBPDは、有効画素領域21においては、表面側から第1導電型のp+層201、第2導電型のn+層202が形成されている。
本実施形態においては、OB領域22において、図11(B)に示すように、フォトダイオードPD表面のp+層のpシールドを除去し、暗電流・白キズ(=鍵、Key)が発生しやすくすることも可能である。
【0074】
また、本実施形態では、フォトダイオードPDのリーク電流が変動し、この変動を考慮して鍵作成の情報に付加することも可能である。
鍵とする白キズ等のディフェクト(defect、欠陥)の個数について考察すると、たとえば白キズの場合、後発白キズ(後から増える白キズ)や消滅する白キズがある。
後発キズ対策としては、一定数の白キズをチップ内の座標指定で鍵として指定する。
消滅白キズ対策としては、白キズは必要な最低の白キズ個数よりあらかじめ多くのキズを鍵として設定する。
後発傷対策としては、特定の出力レンジに収まる傷を鍵として使用する。
【0075】
(鍵生成部82の構成)
鍵生成部82(図4図5図12)は、情報取得部81により取得され供給される画素のばらつき情報および読み出し回路40のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データKYGDとして用いて固有鍵を生成する。
鍵生成部82は、生成した固有鍵KYを識別データ生成部84に供給する。
鍵生成部82は、たとえば画素部20の有効画素の読み出し時以外の期間(たとえばブランキング期間)に固有鍵KYの生成を行う。
【0076】
そして、本第1の実施形態に係る鍵生成部82は、固有鍵KYを生成するに際し、鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う。
【0077】
図12は、本第1の実施形態に係る鍵生成部の要部の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の鍵作成モードMDKにおいて、鍵生成部82は、固有鍵の生成に際し、画素のばらつき情報PFLCおよび読み出し部のばらつき情報CFLCの少なくともいずれかを鍵生成用データKYGDとして用いて固有鍵を生成する。図12では、一例として画素のばらつき情報を鍵生成用データKYGDとして用いる例を示している。
【0078】
なお、本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、周辺輝度に依存しない、チップ毎に固有な画素ばらつきパターン(ばらつき情報)を固有IDとして出力する。
このように、本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、画素ばらつきパターンのみを出力する。輝度レベルを出力しないため、イメージセンサの露光条件に依存しないパターン画像を出力することができる。また、各画素の出力には、FPNとフレーム毎にランダムに変動する熱雑音が含まれるが、鍵生成モードMDKにおけるFPNは熱雑音に対して10倍以上大きいため、安定した固定ばらつきパターンを出力することができる。
【0079】
そして、本第1の実施形態においては、固有鍵の生成に際し、鍵生成用データKYGDに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う耐タンパ性強化処理部82aを含む。
耐タンパ性強化処理部82aは、鍵生成用データKYGDに対する非相関化処理により、鍵生成用データKYGDと相関のある傍受データITCDから相関が弱くなる非相関化データである第1データDT1を取得する非相関化処理部82bを含む。
本第1の実施形態において、非相関化処理部82bで傍受データITCDを処理して得られる第2データDT2は非相関化データである第1データDT1とは無相関である。
【0080】
本第1の実施形態において、鍵生成用データKYGDは、読み出し部90により読み出される画素信号に関連して生成され、相関性を示す値(たとえばコード値)が第1範囲RG1内の画素を抜き出したときには傍受データITCDと無相関のデータであり、第1範囲RG1外の第2範囲RG2の画素を抜き出したときには傍受データITCDと相関があるデータである。
そして、非相関化処理部82bは、鍵生成用データKYGDのうち、相関性を示す値が第1範囲RG1に収まっている画素データのみを非相関化データである第1データDT1として抜き出すフィルタFLT1を含む。
【0081】
鍵生成部82は、フィルタFLT1から出力される非相関化データである第1データDT1に対して誤り訂正やハッシュ等の情報処理を施して最終的な固有鍵を生成して出力する固有鍵出力部82cを有している。
【0082】
以上の構成を有する鍵生成部82を備えることにより、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、秘匿性の高い固有鍵を生成することができ、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能となり、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能となっている。
【0083】
ここで、鍵生成用データKYGDのうち、相関性を示す値が第1範囲RG1に収まっている画素データのみを非相関化データである第1データDT1として抜き出すフィルタFLT1を設けた理由およびその特性の一例について説明する。
【0084】
図13(A)および(B)は、固有鍵を生成する方法の課題を説明するための図である。
図14は、本第1の実施形態に係るフィルタを通して固有鍵を生成する処理の流れを示す図である。
図15(A)および(B)は、本第1の実施形態に係るフィルタが持つべき特性について説明するための図である。
【0085】
図13(A)に示すように、固有鍵KYを生成する方法として、たとえばCDS処理を施していない画像データである鍵生成用データKYGDに対してある情報処理を施す例について考察する。
このとき、誤り訂正やハッシュ等の情報処理を施すと、図13(B)に示すように、鍵生成用データKYGDと相関の強いデータである傍受データITCDが手に入ると簡単に鍵を再生できてしまう可能性が生じる。これでは、鍵の秘匿性は保たれない。
そこで、本第1の実施形態において、図14に示すように、非相関化処理部82bとしてある特性を持たせたフィルタFLT1を設け、このフィルタFLT1に鍵生成用データを入力し、得られた出力である非相関化データである第1データDT1に対して、固有鍵出力部82cで誤り訂正やハッシュ処理等の情報処理を施して固有鍵KYを生成する。
この場合、フィルタの特性を適切に選定することにより、傍受データITCDが手に入ったとしても鍵の復元を防ぐことが可能となる。
【0086】
フィルタFLT1の持つべき特性について考察する。
図15(B)に示すように、鍵生成用データKYGDと相関のある傍受データITCDをフィルタFLT1に入力して得られた第2データDT2は、鍵生成用データKYGDをフィルタFLT1に入力して得られた第1データDT1と無相関であればフィルタの要件は満たす。
その理由は、第1データDT1からは正しく鍵を再生することはでき、かつ、第2データDT2からは鍵を復元することは不可能であるからである。
【0087】
図15に示すように、鍵生成用データKYGDと相関のある傍受データITCDをフィルタFLT1に入力して得られた第2データDT
2が第1データDT1と無相関であればフィルタFLT1の要件は満たす。
ただし、このようなフィルタを実現するためには、鍵生成用データKYGDと傍受データITCDとの間にどのような相関があるかということを実機評価などから事前に知っておく必要がある。
【0088】
以下に、フィルタFLT1を実現する具体的な例について説明する。
ここでは、鍵生成用データKYGDと傍受データITCDとの間の相関特性が実機評価で分かっていることを前提とする。
【0089】
まず、鍵生成用データKYGDと傍受データITCDとの間の相関特性が以下の通りであることが分かっているとする。
(1)鍵生成用データKYGDのコード値が第1範囲RG1のa〜bまでの画素を抜き出した時には、傍受データITCDとの相関が“0.00”である。
(2)鍵生成用データKYGDのコード値が第1範囲RG1のa〜bの範囲外の第2範囲RG2の画素を抜き出した時には、傍受データITCDとの相関が“0.02”である。
【0090】
このとき、フィルタ1の実施例としては以下のものを挙げることができる。
鍵生成用データKYGDのうち、コード値が第1範囲RG1のa〜bに収まっている画素データのみを抜き出したものをフィルタ出力(第1データDT1)とする。
【0091】
なお、鍵生成用データKYGDと傍受データITCDとの間の相関特性を調査する際のパラメータとしては、コード値だけでなく、他にも以下のようなパラメータ:
A.空間周波数(離散コサイン変換後の成分)
B.特定のビット列(例えば、3連続以上0もしくは3連続以上1を除くなど)
C.移動平均やFIRフィルタの係数など
を例示することができる。
【0092】
鍵生成部82は、鍵の再現性を強くするためにファジー抽出器(Fuzzy Extractor)により鍵の生成を行う。
ファジー抽出器は、ある程度安定した入力に対して同じ出力を出すことを目的とする演算器である。
【0093】
図16は、本実施形態に係る鍵生成部の固有鍵出力部に適用可能なファジー抽出器の構成例を示す図である。
図16のファジー抽出器820は、図16(A)に示す初期鍵生成部821および図16(B)に示す鍵再生成部822を有する。
【0094】
初期鍵生成部821は、図16(A)に示すように、リングオシレータ(RNG)8211、暗号化部(ENC)8212、排他的論理和回路(XOR)8213、およびハッシュ(Hash)部8214を含んで構成されている。
【0095】
初期鍵生成部821においては、情報取得部81により取得されたたとえば白キズ出力に関連する画素のばらつき情報が入力データW(たとえば第1データDT1)としてXOR8213およびハッシュ部8214に入力される。
ハッシュ部8214において、入力データWに基づいて初期鍵KYIが生成される。この初期鍵KYIは識別データ生成部84に供給される。この初期鍵KYIは、たとえば出荷時の鍵データとしてメモリ86に書き込まれる。たとえば初期鍵データをチップ出荷時に、たとえばソフトウェアによって切断することができる電子フューズ(efuse)などのメモリに書き込み、鍵データの再現性を保証するように構成することも可能である。
【0096】
また、初期鍵生成部821においては、リングオシレータ8211による発振出力信号Rが暗号化部8212により暗号化され、その暗号化データCがXOR8213に供給される。
XOR8213においては、入力データWと暗号化データCとの排他的論理和がとられ、これにより、ヘルパーデータSHD(WxorC)が生成される。
このヘルパーデータSHD(WxorC)は、鍵データとは違って秘匿の必要はなく、メモリ86に格納される。メモリ86に格納されたヘルパーデータSHDは、鍵再生成部822における鍵再生成のベースデータとして用いられる。
【0097】
鍵再生成部822は、図16(B)に示すように、排他的論理和回路(XOR)8221、復号部(DEC)8222、暗号化部(ENC)8223、排他的論理和回路(XOR)8224、およびハッシュ(Hash)部8225を含んで構成されている。
なお、復号部(DEC)8222および暗号化部(ENC)8223は誤り訂正部として機能する。
【0098】
鍵再生成部822においては、情報取得部81により取得されたたとえば白キズ出力に関連する画素のばらつき情報を含む入力データW’(第1データDT1)、並びに、メモリ86に格納されたヘルパーデータSHD(WxorC)がXOR8221に入力される。ヘルパーデータSHD(WxorC)はXOR8224にも入力される。
XOR8221においては、入力データW’とヘルパーデータWxorCとの排他的論理和がとられ、データC’として復号部8222に供給される。
復号部8222においては、データC’に対する復号処理が行われて、復号データ/Rが生成され、復号データ/Rは暗号化部8223に供給される。
暗号化部8212により復号データ/Rが暗号化され、その暗号化データ/C{=(WxorC)xorW’}がXOR8224に供給される。
XOR8224においては、暗号化データ/CとヘルパーデータWxorCの排他的論理和がとられ、その結果がデータ/W{=(WxorC)xor/C}としてハッシュ部8225に入力される。
そして、ハッシュ部8225において、入力データ/W{=(WxorC)xor/C}に基づいて再生成鍵KYが生成される。この再生成鍵KYは識別データ生成部84に供給される。
もし、入力データW’のノイズが少なく、データC’が訂正可能である場合には、/C=Cとなり、/W=Wとなり鍵が再生成される。
【0099】
なお、上記の鍵生成部82は、画素または読み出し回路40のばらつき情報に基づいて固有鍵を生成する例について説明したが、異なるばらつき情報により生成した固有鍵同士の演算を行って最終的な固有鍵を得るように構成することも可能である。
たとえば、次のように構成することも可能である。
【0100】
すなわち、鍵生成部82は、たとえば、読み出し回路40のADC41、アンプ(AMP)42、またはS/H回路43のばらつき情報を用いて第1固有鍵を生成する第1機能と、読み出し回路40のカラムメモリ45のSRAMの出力を用いて第2固有鍵を生成する第2機能と、を含み、第1機能により生成された第1固有鍵と、第2機能により生成された第2固有鍵とを演算することにより最終的な固有鍵を生成するように構成することも可能である。
【0101】
この構成は、画素のばらつき情報に関しても同様に適用可能である。
【0102】
画像データ生成部83は、通常読み出しモードで読み出し回路40を通して読み出され所定の処理が施された読み出し信号に対する所定の信号処理により、たとえば図5に示すような2次元画像データIMGを生成する。
画像データ生成部83は、生成した画像データIMGを一体化部85に供給する。
【0103】
画像データ生成部83は、固体撮像装置10から取得した取得データAQDを識別データ生成部84に供給する。
ここで、取得データAQDは、少なくとも画素、日付、温度、GPS(Global Positioning System)に関するデータのうちの少なくともいずれかのデータである。
【0104】
識別データ生成部84は、鍵生成部82で生成された固有鍵KYと、本固体撮像装置10で取得した取得データAQDを組み合わせて識別データDSCDを生成する。
識別データ生成部84は、生成した識別データDSCDを一体化部85に供給する。
【0105】
一体化部85は、図5に示すように、識別データ生成部84で生成された識別データDSCDと画像データ生成部83による読み出しデータに基づく画像データIMGを一体化して、センサチップの最終出力として出力する。
一体化部85は、たとえば図5に示すように、一体化データが、ヘッダHD、識別データDSCD、画像データIMGの順となるように一体化する。
【0106】
上述したように、暗号化処理系80においては、固体撮像装置10の固有のばらつき情報(画素、読み出し回路のばらつき情報)から固有鍵KYを生成し、固有鍵KYと固体撮像装置10から得られる取得データAQDを組み合わせて識別データDSCDを生成し、この識別データDSCDを画像データIMGに一体化して出力することから、固有鍵に関する情報を認識していない場合には、正しい識別データを作成できず、画像が改変等された場合に、改変された等がわかり、ねつ造することが困難となっている。
【0107】
なお、一体化部85は、一体化する鍵情報を用いて階層的に画像部分にマスクをする機能を含むように構成してもよい。
また、一体化部85は、一体化する鍵情報を用いて画像に電子透かしを入れる機能を含むように構成してもよい。
【0108】
上記構成を有する固体撮像装置10において、暗号化処理系80の鍵作成モード時の動作は概略次のように行われる。ここでは、一例として、図10に関連付けて説明した、画素のリーク電流IleakとしてフォトダイオードPDのリーク電流を採用した場合の動作を説明する。
【0109】
鍵作成モードMDKにおいては、図10(B)に示すように、シャッターを閉じた状態で画素をリセットし、一定時間後に画素信号を読み出す。
この場合、露光されないため、フォトダイオードPDに生じるリーク電流のみが固有の鍵パターンとして出力される。
【0110】
この固有の情報がばらつき情報PFLCとして情報取得部81で取得され、鍵生成部82に供給される。
鍵生成部82においては、情報取得部81により取得され供給される画素のばらつき情報を用いて固有鍵KYが生成される。
具体的には、鍵生成部82においては、固有鍵の生成に際し、耐タンパ性強化処理部82aで、鍵生成用データKYGDに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理が行われる。
耐タンパ性強化処理部82aでは、非相関化処理部82bにおける鍵生成用データKYGDに対する非相関化処理により、鍵生成用データKYGDと相関のある傍受データITCDから相関が弱くなる非相関化データである第1データDT1が取得される。
【0111】
ここで、鍵生成用データKYGDは、読み出し部90により読み出される画素信号に関連して生成され、相関性を示す値(たとえばコード値)が第1範囲RG1内の画素を抜き出したときには傍受データITCDと無相関のデータであり、第1範囲RG1外の第2範囲RG2の画素を抜き出したときには傍受データITCDと相関があるデータである。
そして、非相関化処理部82bのフィルタFLT1により、鍵生成用データKYGDのうち、相関性を示す値が第1範囲RG1に収まっている画素データのみが非相関化データである第1データDT1として抜き出される。
次いで、固有鍵出力部82cにおいて、フィルタFLT1から出力される非相関化データである第1データDT1に対して誤り訂正やハッシュ等の情報処理が施されて最終的な固有鍵が生成されて出力される。
そして、鍵生成部82では、生成した固有鍵KYが識別データ生成部84に供給される。
なお、鍵生成部82においては、たとえば画素部20の有効画素の読み出し時以外の期間に固有鍵KYの生成が行われる。
【0112】
識別データ生成部84においては、鍵生成部82で生成された固有鍵KYと、固体撮像装置10で取得した取得データAQDを組み合わせて識別データDSCDが生成される。
識別データ生成部84においては、生成した識別データDSCDが一体化部85に供給される。
【0113】
一体化部85では、識別データ生成部84で生成された識別データDSCDと画像データ生成部83による読み出しデータに基づく画像データIMGが一体化されて、センサチップの最終出力として出力される。
【0114】
以上説明したように、本実施形態においては、信号処理回路70は、読み出し回路40により読み出され所定の処理が施された読み出し信号に対する所定の信号処理により2次元画像データを生成する。
ただし、本実施形態においては、暗号化処理系80が、画像の無断使用や改ざん、ねつ造等が行われてしまうことを防止するために、固体撮像装置10の固有のばらつき情報(画素、読み出し回路のばらつき情報)から固有鍵KYを生成し、固有鍵KYと固体撮像装置10から得られる取得データAQDを組み合わせて識別データDSCDを生成し、この識別データDSCDを画像データIMGに一体化して出力し、固有鍵KYに関する情報を認識していない場合には識別データを正しく作成できないように構成されている。
【0115】
本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、画素毎の周辺輝度に依存しない、チップ毎に固有な画素ばらつきパターン(ばらつき情報)を固有IDとして出力する。
このように、本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、画素ばらつきパターンのみを出力する。輝度レベルを出力しないため、イメージセンサの露光条件に依存しないパターン画像を出力することができる。また、各画素の出力には、FPNとフレーム毎にランダムに変動する熱雑音が含まれるが、鍵生成モードMDKにおけるFPNは熱雑音に対して10倍以上大きいため、安定した固定ばらつきパターンを出力することができる。
【0116】
本実施形態の鍵作成モードMDKにおいては、固有鍵の生成に際し、画素のばらつき情報および読み出し部のばらつき情報の少なくともいずれかを鍵生成用データとして用いて固有鍵を生成する。
そして、本第1の実施形態においては、固有鍵の生成に際し、鍵生成用データに対して、固有鍵の解析の困難さである耐タンパ性を強化する耐タンパ性強化処理を行う。
後述するように、本第1の実施形態においては、鍵生成用データに対する非相関化処理部での非相関化処理により、鍵生成用データと相関のある傍受データから相関が弱くなる非相関化データを取得し、取得した非相関化データを用いて固有鍵を生成する。
本第1の実施形態において、非相関化処理部で傍受データを処理して得られるデータは非相関化データとは無相関である。
【0117】
これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置10は、秘匿性の高い固有鍵を生成することができ、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能となり、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能となっている。
【0118】
なお、本実施形態において、固体撮像装置10の各構成要素が同一パッケージ内に搭載されている構成を採用可能である。
【0119】
固体撮像装置(CIS)10とISP(Image Signal Processor)を同一パッケージに封止したSiP (Silicon in Package)にて、鍵および識別データを生成する信号処理をパッケージ内部にて完結し、パッケージ外部に固有鍵データを出力することなく、識別データを生成可能な構成を採用可能である。
【0120】
また、イメージセンサと信号処理回路とを備えたSoC (System on Chip)において、鍵および識別データを生成する信号処理をチップ内部にて完結し、チップ外部に固有鍵データを出力することなく、識別データを生成可能な構成を採用可能である。
【0121】
また、本実施形態の固体撮像装置10は、前述したように、通常の読出し駆動タイミングとは別に、リーク電流などを長時間蓄積するための駆動タイミングを備えるように構成可能である。また、アナログアンプ、デジタルアンプ、または、ADCのフルスケール電圧を縮小し、リーク電圧の蓄積電圧を強調して出力しても良い。また、複数行あるいは複数フレームのデータを平均化、または加算することで、ランダムノイズ成分を低減しても良い。
【0122】
なお、上述した実施形態では、情報取得部81が採用する画素のばらつき情報としてフォトダイオードPDのリーク電流を一例として説明したが、以下に示すように、フォトダイオードPDのリーク電流以外のリーク電流やしきい値電圧等を採用することが可能である。
たとえば、情報取得部81は、画素のリーク電流IleakとしてフローティングディフュージョンFDのリーク電流を採用することができる。
また、情報取得部81は、画素のばらつき情報としてソースフォロワトランジスタSFのしきい値Vthのばらつき情報を採用することができる。
【0123】
また、読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCについて、情報取得部81は、読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCとして、ADCのばらつき情報を採用することができる。
また、情報取得部81は、読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCとして、アンプ(AMP、増幅器)のばらつき情報を採用することができる。
また、情報取得部81は、読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCとして、S/H回路のばらつき情報を採用することができる。
また、情報取得部81は、読み出し回路40の構成回路のばらつき情報CFLCとして、カラムメモリのSRAMの出力(ばらつき)情報を採用することができる。
【0124】
(第2の実施形態)
図17は、本発明の第2の実施形態に係る鍵生成部の要部の構成例を示すブロック図である。
【0125】
本第2の実施形態に係る鍵生成部82Aが第1の実施形態の鍵生成部82と異なる点は、耐タンパ性強化処理部の構成にある。
本第2の実施形態に係る鍵生成部82Aの耐タンパ性強化処理部82aAでは、非相関化処理を行うフィルタFLT1を配置する代わりに、ばらつき信号の再現性およびユニーク性を高めるための信号処理を行うように構成されている。
【0126】
本実施形態の鍵作成モードMDKでは、画素毎のリセットレベルのみを出力する。輝度レベルを出力しないため、イメージセンサの露光条件に依存しないパターン画像を出力することができる。また、各画素の出力には、FPNとフレーム毎にランダムに変動する熱雑音が含まれるが、鍵生成モードMDKにおけるFPNは熱雑音に対して10倍以上大きいため、安定した固定ばらつきパターンを出力することができる。
【0127】
信号処理回路70に配置される暗号化処理系80では、固定ばらつきパターンからランダムノイズや空間的に周波数の低い固定パターンばらつきを低減または除去してから、固有IDを作成する。ランダムノイズは固有IDの再現性を低下させ、空間的に周波数の低い固定パターンばらつきは固有IDのユニーク性を劣化させる。
このため、本第2の実施形態に係る鍵生成部82Aでは、それぞれ信号処理によって改善を図る構成が採用されている。
本第2の実施形態において、たとえば200万画素のイメージセンサの場合、1フレームのばらつきパターン信号には、およそ100万個のSFトランジスタばらつきが含まれ、およそ50万bitの1/0列を作成することができる。
【0128】
図17の鍵生成部82Aの耐タンパ性強化処理部82aAは、ばらつき信号の再現性を高めるために、鍵生成用データKYGDの垂直2画素間で平均化処理を行う平均化処理部82d,ばらつきパターンのユニーク性を改善するために、垂直の2画素間で大小判定(引き算等)して2値化を行う判定部82e、およびデータを圧縮するデータ圧縮部82fを有する。
【0129】
図18は、本第2の実施形態に係る画素部および列毎に配置された列読出し回路の概要を示す図である。
【0130】
図18の画素部20Aは、一つのフローティングディフュージョンFD、一つのソースフォロワ素子でフォースフォロワトランジスタSF−Tr、一つのリセット素子としてのリセットトランジスタRST−Tr、および一つの選択素子とての選択トランジスタSEL−Trを,複数(本例では2)の光電変換素子であるフォトダイオードPD1、PD22および転送素子としての転送トランジスタTG−Tr1,TG−Tr2で共有する画素共有構造を有する。
【0131】
すなわち、第2の実施形態に係るCMOSイメージセンサの画素PXLAは、フォトダイオードPD1およびPD2、転送クロックである制御信号TG1およびTG2で駆動する転送トランジスタTG−Tr1,TG−Tr2、リセットクロックである制御信号RSTで駆動するリセットトランジスタRST−Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF−Tr、選択クロックである制御信号SELで駆動する選択トランジスタSEL−Trにより構成されている。
ここで、2個のフォトダイオードPD1,PD2がリセットトランジスタRST−Tr、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF−Tr、選択トランジスタSEL−Trを共有している。
これは、近年の微細な画素に対して広く用いられる方式であり、各トランジスタをPD間で共有することにより、PDの面積を所定の素サイズに対して大きくとり、光電変換可能な領域を広げることで、入射光に対する検出感度を高めている。
【0132】
選択トランジスタSEL−Trがオンした画素では、電源電圧Vddの電源線VDD、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF−Tr、電流源Idが直列となり、ソースフォロワ回路を構成する。
このソースフォロワ回路により、フローティングディフュージョンFDの電圧が読み出し回路40のAMP42を介してADC41に入力されて、デジタル変換され、制御信号CLKHにより駆動するスイッチSW41を介してインターフェス回路に出力される。
また、クリップ回路44が画素アレイ端に配置され、クリップクロックである制御信号CLIPによって駆動するクリップゲートCGおよびダイオード接続トランジスタM0は、画素アレイ端に配置され、画素出力電圧振幅を制限することで、安定的に動作させるために用いられる。
【0133】
ここで、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの通常動作モードMDUおよび鍵作成モードMDKにおける動作の概要を図19および図20に関連付けて説明する。
図19は、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの通常動作モードMDUにおける要部の動作波形を示す図である。
図20は、本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの鍵作成モードMDKにおける要部の動作波形を示す図である。
【0134】
(通常動作モードMDUにおける動作)
通常動作モードMDUにおいて、n行目の制御信号SELがHレベルに遷移し、行の選択が行われる。
次に、選択行の制御信号RSTがHレベルのとき、フローティングディフュージョンFDはリセットされ、リセット電圧VRST(Vrst)がソースフォロワから垂直信号線LSGNを介して出力され、時刻t1で後段ADC41に保持され、デジタル変換される。
フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電子は、制御信号TG1がHレベルのとき転送トランジスタTG−Trトを通って、フローティングディフュージョンFDに転送され、電圧に変換される。ソースフォロワによってこのときの信号電圧VSIG(Vsig)が出力され、時刻t2で後段のADC41に保持され、デジタル変換される。
フォトダイオードPD2についても同様に読み出される。
ここで、ソースフォロワ回路の入出力特性は次式で表される。
【0135】
【数1】
【0136】
ここで、Vgs、Vth,ΔVth、β、Idはそれぞれゲート・ソース間電圧、ソースフォロワ(SF)トランジスタSF−Trのしきい値(閾値)電圧、基板バイアス電圧、トランジスタサイズに比例する係数、バイアス電流をそれぞれ示している。
これらは製造ばらつきによってそれぞれトランジスタ毎に異なるため、画素出力電圧は画素毎にばらつきを生じてしまう.
しかし、CDS処理によって、リセット信号(リセットレベル)と輝度信号(信号レベル)の差分を取ることで、これらのバラツキのうち、オフセット成分を除去することができる。CDS出力は下記の式で表される。
【0137】
【数2】
【0138】
ここで、Aはソースフォロワ回路のゲインを示している。画素毎のゲインばらつきが残るが、リセットレベルVRSTと輝度レベル(信号レベル)VSIGの差分、つまり輝度に比例する係数となるため、暗時の微小な信号も検出が可能となる。
【0139】
(鍵作成モードMDKの動作)
鍵作成モードMDKでは、上記CDSを省略することで、画素毎のばらつきを出力する。ここでは、クリップ画素出力を基準レベルとして、各画素を読み出すことで、AMP42以降の回路動作を変更することなく、ばらつきパターンを出力することができる。
【0140】
鍵作成モードMDKにおいて、図20に示すように、最初に制御信号CLIPをHレベルに遷移させ、クリップ回路44を選択する。クリップ回路44のソースフォロワ(SF)トランジスタM0は電源電圧Vddの電源線VDDに短絡されているため、電源電圧Vddがソースフォロワを介して出力され、時刻t11で後段のADC41に保持され、デジタル変換される。
次に、n行目の制御信号SELがHレベルに遷移され、行の選択が行われる。
同時に、選択行の制御信号RSTとTG1もHレベルに遷移させ、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFDをリセットする。これは、高輝度時にフォトダイオードPD1からフローティングディフュージョンFDに溢れ出た電子が検出されるのを防ぐためである。
ここで、フローティングディフュージョンFDはリセットトランジスタRST−Trにより電源電圧Vddの電源線VDDに短絡されているため、電源電圧Vddがソースフォロワを介して出力され、時刻t12で後段のADC41に保持され、デジタル変換される。
【0141】
後段回路は、通常動作モードMDUと同様に動作し、クリップ信号と画素リセット信号の差分を出力する。
ただし、鍵作成モードMDKでは、無相関の信号の差分を出力するため、差分二重サンプリング(DDS: Differential Double Sampling) と呼ぶ。DDS出力は次式で表される。
【0142】
【数3】
【0143】
ここで、Vgs0、Vth0、ΔVth0、β0は、それぞれクリップ回路44、ソースフォロワ(SF)トランジスタのゲート・ソース間電圧、SFトランジスタの閾値、基板バイアス電圧、トランジスタに比例する係数をそれぞれ示している。
以上より、クリップ回路44を基準として画素のVth,ΔVthおよびβばらつきのみを出力することができる。この動作を全画素に対して行うことで、200万画素等の素子特性の製造ばらつきを抽出することができる。
【0144】
一方、Vth0、β0、Idはそれぞれ各列で共通のクリップ回路44および電流源の成分であり、これらの製造ばらつきは、列毎に固有のばらつき成分となる。
したがって、DDS出力は、列毎に固有なばらつき成分が、画素毎に固有なばらつきに重畳された信号となる。この列毎に固有なばらつき成分により、画素アレイにおけるばらつき信号パターンのランダム性が低下してしまう。
【0145】
図21は、本第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素アレイ全体と列の画素特性ばらつき分布を示す図である。
【0146】
たとえば、図21に示すように、Xi列目のクリップ回路44が製造ばらつきにより平均値よりも大きな電圧を示すと仮定する。
X列目の画素群のDDS出力は、その列固有のばらつき電圧を中心値とした各画素のばらつき分布(b)を示し、X列内の多くの画素が、画素アレイ全体のばらつき分布(a)の中央値よりも大きな出力を示す。
したがって、各画素の固定パターンを、画素アレイ全体の中央値に対する大小で1/0判定する場合、X列内の多くの画素が“1”と判定され、固定パターンの多様性が失われてしまう。
たとえば、クリップ回路44のばらつきが画素ばらつきよりも支配的な場合、たとえば200万画素の画素アレイであっても、全ての行で 同じばらつきパターンが繰り返されるため、水平の画素数2000によってばらつきパターン数が決まってしまう。
したがって、この列毎に固有なばらつき成分除去する必要があり、本第2の実施形態においては、信号処理回路70の鍵生成部82Aにおいて列毎に固有なばらつき成分除去する信号処理を行う。次にその信号処理方法について述べる。
【0147】
図22は、本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部において行われる列毎に固有なばらつき成分除去する信号処理の概要を示す図である。
図23は、本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部においてFHD(1920 × 1080画素)の画素アレイに対して行われる列毎に固有なばらつき成分除去する信号処理の概要を示す図である。
図24は、本第2の実施形態に係る信号処理回路の鍵生成部において行われる列毎に固有なばらつき成分除去する他の信号処理の概要を示す図である。
【0148】
(信号処理の概要)
図22および図23に示すように、画素アレイ、たとえばFHD(1920 × 1080画素)の画素アレイに対して、各画素のDDS出力は12bit のデジタル信号に変換される。
最初に、平均化処理部82でソースフォロワ(SF)トランジスタSF−Trを共有する読み出し方向の垂直2画素間で平均化処理を行う(ST1)。SFトランジスタSF−Trおよびクリップ回路44は垂直2画素間で共通のため、ばらつき信号成分は変化しないが、各トランジスタから発生するノイズを1/√2に低減することができ、ばらつき信号の再現性を高めることができる。
この結果、アレイデータサイズは(1920 × 540画素)となる。
【0149】
次に、判定部82eにおいて、平均処理後の(1920 × 540画素)のアレイに対して、さらに垂直の2画素間で大小判定を行い、2値化を行う(ST2、ST3)。i列j行目の画素とi列 ( j + 1) 行目の画素のDDS出力差分は次式で表される。
【0150】
【数4】
【0151】
式(4)より、列毎に固有なバイアス電流成分Id.iは残るものの、閾値電圧や基板バイアス電圧の列毎に固有な成分を除去することで、ばらつきパターンのユニーク性を改善することができる。
また、隣接するトランジスタのパラメータの差分を出力するため、製造時に広域的に発生するばらつきも除去することができ、局所的なばらつきが支配的となるため、ばらつきパターンのランダム性を同様に改善することができる。
以上の信号処理は、全画素アレイのデータを保持することなく、4行毎に順次処理することで、小さな回路規模で実現することができる。
【0152】
なお、ステップST3の処理後、図17に示すように、圧縮部82fで圧縮処理を行ってもよい(ST4)。
図22の例では、行数を制限して128bitや256bitまでデータを減らしてもよい。
【0153】
あるいは、図24のステップST5のように、ソート処理を行ってもよい。
たとえば、行の中の絶対値を大きい順にソートし、上位の決められたビットについて正負で1/0を判定する。ばらつきの差の大きい画素を用いるので再現性が向上する。
【0154】
なお、黒つぶれ対策画素(特許文献1参照)を用いてソースフォロワトランジスタSF−Trのオフセットと、黒つぶれ対策画素のダミーソースフォロワトランジスタのオフセット差分を出力するように構成することも可能である。
黒つぶれ対策画素の制御電圧を、出力コード張り付きが発生しないように適切に設定する。
これにより、鍵のユニーク性を改善することが可能となる。
【0155】
また、他の共有構造画素に対して、同様の平均化処理部82で平均化処理を行ってもよい。たとえば4画素共有構造に対しては、ソースフォロワトランジスタSF−Trを共有する画素間で平均化処理を行う。
画素共有をしない構造に対しても、同様の信号処理を行ってもよい。この時は、平均化処理部82dを省略し、判定部82e以降の処理を行う。
【0156】
なお、上述した第2の実施形態に係る耐タンパ性強化処理を行った後に、第1の実施形態に係る非相関化処理(フィルタをFLT1を通した非相関化処理)を行うように構成してもよい。
これにより、固有IDの再現性およびユニーク性の向上を図ることができることはもとより、秘匿性の高い固有鍵を生成することが可能となり、固有鍵の高い耐タンパ性を確保することが可能で、ひいては画像の改ざん、ねつ造を確実に防止することが可能となる。
【0157】
(シミュレーション結果)
通常動作モードMDUと鍵作成モードMDKにおいて、それぞれ回路シミュレーションを実施した。図18に示す列回路を用いてモンテカルロシミュレーションを行い、それぞれのばらつきを計算した。ここで、撮像モードは暗時を想定している。
【0158】
図25は、モンテカルロシミュレーション結果を示す図である。
通常動作モードMDUでは、CDS出力のばらつきは0.5LSBであり画素毎のばらつき成分を除去できていることが分かる。
一方、鍵作成モードMDKでは、DDS出力のばらつきは50.9LSBであり、画素毎のばらつき成分を検出できていることが分かる。
また、後段回路ノイズのシミュレーション結果は1.2LSBであった。したがって、ばらつき信号のSN比は32.6dBとなり、ランダムノイズに対して十分に大きく、固有ID の高い再現性が期待できる。
【0159】
(測定結果)
ここで、測定結果の概要について簡単に説明する。
測定環境は、200万画素のCMOSイメージセンサを用いて、通常動作モードMDUと鍵作成モードMDKの画像データをそれぞれパーソナルコンピュータ(PC)に取り込む。CMOSイメージセンサは12bit出力、60fpsで動作させる。また、CMOSイメージセンサは、カメラボードに実装されており、USBを用いてPCに接続されている。イメージセンサの駆動タイミング制御レジスタをPCからUSBを介してカメラボードに転送し、撮像モードおよびPUFモードの動作タイミングを切り替える。イメージセンサ出力の画像データもUSBを介してPCに取り込まれる。
上述した本第2の実施形態の特徴的な信号処理については、PC上で実行した。
【0160】
図26は、所定の環境において取得した取得画像を示す図である。
図26(A)は通常動作モードMDUの画像出力である。CDS動作によりノイズを除去し、対象を撮影できている。
図26(B)、同じ輝度環境下で、明時での鍵作成モードMDKに切替えたときの画像出力である。CMOSイメージセンサの駆動タイミングを変更することで、ばらつき信号のみを取得できている。
さらに、図26(C)は、センサボードを遮光した、暗時での鍵作成モードMDKの画像出力である。周辺輝度によらず図26(B)と同様のばらつき信号を取得できていることが分かる。
【0161】
周辺輝度によるばらつき信号への影響を確認するため、図26(B)および(C)の画像をそれぞれ100枚取得し、それぞれの画像平均をとり、ランダムノイズの影響を低減した。
次に、それぞれの100枚平均画像に対して、信号処理を実施し、1/0 のビット列に変換した。
これらの2個のビット列に対して、ビット反転率を計算し、反転率は0.086%と十分に小さいことを確認した。
この結果から、周辺輝度に依存しない画素ばらつきパターンを取得 できていることが確認できた。
【0162】
図27は、列毎に固有なばらつき成分の除去による特性を示す図である。
図27(A)は、鍵作成モードMDKの画像の一部を拡大および強調したものであり、画素毎のばらつき信号に、列毎のFPN成分が重畳していることがわかる。ここで、各列の中央値に対して標準偏差を計算した列FPN、および各画 素の値に対して標準偏差を計算した画素ばらつきは、それぞれ、35.9LSB、62.1LSBであった。
一方、図27(B)は、図27(A9に示す画像に対して、図22図24に示す信号処理を実行した画像である。この結果、列FPNは1.2LSB、画素ばらつきは34.0LSBとなり、列FPNが96.7%除去された。列FPNは画素ばらつきに対して1/28 以下であり、十分に低減されていることが確認できる。
【0163】
図28は、通常動作モードと鍵作成モードのそれぞれ暗時での出力分布を示す図である。
CDSを行う通常動作モードMDUでは、標準偏差0.82LSBと十分に小さい。一方、鍵作成モードMDKでは標準偏差は62.1LSBと十分に大きく、さらに正規分布を示すことから、ランダムなばらつきを抽出できていることが確認できる。
【0164】
以上説明した固体撮像装置10,10Aは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0165】
図29は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0166】
本電子機器100は、図29に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10,10Aが適用可能なCMOSイメージセンサ(IMGSNS)110を有する。
さらに、電子機器100は、このCMOSイメージセンサ110の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)120を有する。
電子機器100は、CMOSイメージセンサ110の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)130を有する。
【0167】
信号処理回路130は、CMOSイメージセンサ110の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路130で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0168】
上述したように、CMOSイメージセンサ110として、前述した固体撮像装置10,10Aを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0169】
10,10A・・・固体撮像装置、20,20A・・・画素部、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、44・・・クリップ回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・信号処理回路、80・・・暗号化処理系、81・・・情報取得部、82,82A・・・鍵生成部、82a,82aA・・・耐タンパ性強化処理部、82b・・・非相関化処理部、FLT1・・・フィルタ、82c・・・固有鍵出力部、82d・・・平均化処理部、82e・・・判定部、82・・・圧縮部、83・・・画像データ生成部、84・・・識別データ生成部、85・・・一体化部、86・・・メモリ、90・・・読み出し部、100・・・電子機器、110・・・CMOSイメージセンサ(IMGSNS)、120・・・光学系、130・・・信号処理回路(PRC)。
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