(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1のヘッダー装置では、ヘッダーの外周面に別途用意した保温材を巻き付け、保温材の両端縁を熱融着して接合しなければならない。そのため、ヘッダーに対する保温材の被覆作業が非常に煩雑である。また、複数のヘッダー部材を連結して構成されたヘッダーは複雑な形状であるため、その複雑な形状に合わせた保温材を準備する必要がある。また、保温材を巻き付けた状態のヘッダーは、現場での取り扱いや施工(設置等)が容易とは言えず、保温材の脱落が生じるおそれもある。このような問題は、ヘッダー以外の他の管体接続部材にも生じる。
【0005】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、管体接続部材に対する保温材の被覆作業、さらには取り扱いや施工が容易であり、保温材による保温効果を向上させることができる管体接続装置と固定金具との組を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の管体接続装置は、管体が接続される管体接続部材と、該管体接続部材を被覆する保温材と、を備え、該保温材は、前記管体接続部材の少なくとも一部を被覆するように、前記管体接続部材の外表面上に成形され、かつ、前記管体接続部材と一体的に構成されている。
【0007】
前記管体接続装置は、管体接続部材と、その管体接続部材を被覆する保温材とを備えている。そして、保温材は、管体接続部材の少なくとも一部を被覆するように、管体接続部材の外表面上に成形されている。すなわち、保温材は、管体接続部材の外表面に対して直接成形されている。そのため、管体接続部材と保温材との密着性を高め、保温材による保温効果を向上させることができる。
【0008】
また、保温材を管体接続部材の外表面に対して直接成形するため、管体接続部材の形状(特に外表面の形状)が複雑であっても、保温材を管体接続部材の形状に合わせて、所定の形状、所定の厚みで隙間なく成形することができる。これにより、従来のように、管体接続部材に別途用意した保温材を巻き付ける場合等と比較して、管体接続部材に対する保温材の被覆作業が容易となる。また、従来のように、管体接続部材の形状に合わせた保温材を別途用意する必要もないし、現場で管体接続部材を保温材で被覆する作業を行わなくてもよい。
【0009】
また、保温材は、管体接続部材と一体的に構成されている。すなわち、保温材は、例えばインサート成形等を用いて、管体接続部材と一体となるように、管体接続部材の外表面上に成形されている。そのため、管体接続装置の取り扱いや現場での施工(設置等)が容易となる。また、管体接続部材と保温材とが一体であるため、管体接続部材から保温材が脱落することもない。
【0010】
このように、本発明によれば、管体接続部材に対する保温材の被覆作業、さらには取り扱いや施工が容易であり、保温材による保温効果を向上させることができる管体接続装置を提供することができる。
【0011】
前記管体接続装置において、前記管体接続部材は、複数のヘッダー部材を連結して構成されたヘッダーであり、該ヘッダーは、前記ヘッダー部材同士が相対回動可能に連結して構成されていてもよい。この場合には、管体接続部材(ヘッダー)の形状が複雑であっても保温材の被覆作業が容易という効果をより有効に発揮できる。また、回動させたいヘッダー部材があるとき、そのヘッダー部材と他のヘッダー部材との連結箇所において、例えば、保温材を切断等して分割すれば、ヘッダー部材を保温材の分割した部分と共に回動させることができる。ここで、ヘッダー部材同士が相対回動可能であるとは、保温材を除いたヘッダー単体として見た場合に、ヘッダー部材同士が相対回動可能であることをいう。
【0012】
また、ヘッダーが複数のヘッダー部材を連結して構成されている場合、複数のヘッダー部材を連結した状態のヘッダーの外表面上に保温材を成形してもよいし、各ヘッダー部材の外表面上に保温材を成形した後、これらのヘッダー部材を連結してヘッダーを構成してもよい。
【0013】
また、前記保温材において、前記ヘッダーにおける前記ヘッダー部材同士の連結箇所に対応する位置には、前記保温材を分割するための目印が設けられていてもよい。この場合には、例えば、保温材に設けられた目印の位置で保温材を切断等して分割し、ヘッダー部材を保温材の分割した部分と共に回動させることができる。
【0014】
また、前記ヘッダーにおいて、前記ヘッダー部材同士の連結箇所は、金属製の筒状部材によって被覆されていてもよい。この場合には、例えば、保温材をヘッダー部材同士の連結箇所に対応する位置で刃物等を用いて切断して分割する場合、刃物等でヘッダー部材を傷付けないようにすることができる。特に、ヘッダー部材に樹脂等で構成された部分があるときは非常に有効である。
【0015】
なお、前記管体接続部材には、例えば、ヘッダー、継手、バルブ等、管体が接続される部材全般が含まれる。また、ヘッダーとしては、例えば、管体を接続するための分岐口を1又は複数有するヘッダー部材を複数連結して構成されたヘッダー、複数の分岐口を有する1つの部材で構成されたヘッダー等がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1〜
図3に示すように、本実施形態の管体接続装置1は、管体8が接続されるヘッダー(管体接続部材)2と、ヘッダー2を被覆する保温材4と、を備えている。保温材4は、ヘッダー2の少なくとも一部を被覆するように、ヘッダー2の外表面20上に成形され、かつ、ヘッダー2と一体的に構成されている。以下、この管体接続装置1について詳細に説明する。
【0018】
図1〜
図3に示すように、管体接続装置1において、ヘッダー2は、3つのヘッダー部材3(第1ヘッダー部材3a、第2ヘッダー部材3b、第3ヘッダー部材3c)を連結して構成されている。各ヘッダー部材3の主要部分は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等の合成樹脂により構成されている。
【0019】
各ヘッダー部材3(第1ヘッダー部材3a、第2ヘッダー部材3b、第3ヘッダー部材3c)は、主管部31と、主管部31から主管部31に直交する方向に突出する分岐管部32とを有している。なお、第1ヘッダー部材3a及び第2ヘッダー部材3bは、主管部31及び分岐管部32によってT字状に形成されている。第3ヘッダー部材3cは、主管部31及び分岐管部32によってL字状に形成されている。
【0020】
主管部31の内部には、流体(水)を流通させる主流路311(図示略)が形成されている。分岐管部32の内部には、流体を流通させる分岐流路321(図示略)が形成されている。主流路311の両端は、開口している。分岐流路321の一端は、主流路311に連通している。分岐流路321の他端は、開口している。
【0021】
第1ヘッダー部材3aにおいて、主管部31の一端側には、ヘッダー2に流体(水)を導入する流体導入用の管体8を接続するための接続部312が設けられている。接続部312には、管体8を挿入して接続する接続口313が形成されている。主管部31の他端側には、隣接する第2ヘッダー部材3bを連結するための連結部314が設けられている。
【0022】
第2ヘッダー部材3bにおいて、主管部31の一端側及び他端側には、隣接する第1ヘッダー部材3a及び第3ヘッダー部材3cを連結するための連結部314がそれぞれ設けられている。
【0023】
第3ヘッダー部材3cにおいて、主管部31の一端側には、隣接する第2ヘッダー部材3bを連結する連結部314が設けられている。主管部31の他端側は、そのまま分岐管部32につながっている。
【0024】
各ヘッダー部材3(第1ヘッダー部材3a、第2ヘッダー部材3b、第3ヘッダー部材3c)において、分岐管部32の開口端側には、ヘッダー2から流体を排出する流体排出用の管体8を接続するための接続部322が設けられている。接続部322には、管体8を挿入して接続する分岐口323が形成されている。各ヘッダー部材3の分岐口323は、すべて同じ方向に開口している。
【0025】
ヘッダー部材3同士は、一方のヘッダー部材3における凹状の連結部314と他方のヘッダー部材3における凸状の連結部314とを嵌合することにより、互いの主管部31が直線状に並んで配置されるように、また互いの主管部31の主流路311が連通するように、連結されている。
【0026】
また、ヘッダー部材3同士は、相対回動可能に連結されている。各ヘッダー部材3は、主管部31(主流路311)の中心軸を基軸として、回動可能に構成されている。ヘッダー部材3を回動させることにより、分岐管部32の向き(接続部322の分岐口323の開口方向)を主管部31に直交する方向において自在に変化させることができる。なお、ヘッダー部材3同士が相対回動可能であるとは、ヘッダー2単体として見た場合に、ヘッダー部材3同士が相対回動可能であることをいう。
【0027】
ヘッダー部材3同士の連結箇所には、金属製の筒状部材33が外嵌されている。筒状部材33は、厚みが薄く、円筒状に形成されている。筒状部材33は、ステンレス鋼等の剛性の高い金属材料により構成されている。筒状部材33は、ヘッダー部材3同士の連結箇所の径方向への撓み(変形)を抑制している。
【0028】
図1〜
図3に示すように、保温材4は、ヘッダー2の外表面20のほぼ全体を被覆するように、またヘッダー2のほぼ全体を内包するように、ヘッダー2の外表面20上に、所定の形状、所定の厚みで成形されている。保温材4は、ヘッダー2と一体となるようにインサート成形されている。すなわち、ヘッダー2と保温材4とは、一体的に構成されている。
【0029】
保温材4は、ヘッダー2の接続部312の先端部分を除いて、各ヘッダー部材3の主管部31の外周面310を被覆している。保温材4において、各ヘッダー部材3の主管部31を被覆している部分は、主管部31と共に略円柱形状に形成されている。
【0030】
保温材4は、ヘッダー2の3つの接続部322の先端部分を除いて、各ヘッダー部材3の分岐管部32の外周面320を被覆している。保温材4において、各ヘッダー部材3の分岐管部32を被覆している部分は、分岐管部32と共に略円柱形状に形成されている。
【0031】
保温材4は、各ヘッダー部材3の主管部31及び分岐管部32を被覆している部分が全体として一体的に形成されている。保温材4において、各ヘッダー部材3の分岐管部32を被覆している部分同士の間には、両者の間に隙間を形成する凹部41が設けられている。凹部41内には、管体接続装置1を固定するための固定部材(後述する固定金具52)等が配設される。
【0032】
保温材4の外表面40には、保温材4を分割するための目印である凹溝状の2つの分割溝42が周方向に沿って形成されている。保温材4は、分割溝42の部分が周囲よりも厚みが薄くなっている。分割溝42は、保温材4において、ヘッダー2における第1ヘッダー部材3aと第2ヘッダー部材3bとの連結箇所、第2ヘッダー部材3bと第3ヘッダー部材3cとの連結箇所に対応する位置(金属製の筒状部材33が外嵌されている位置)にそれぞれ設けられている。
【0033】
図1〜
図3に示すように、管体接続装置1において、ヘッダー2の接続部312(接続口313)には、流体導入用の管体8が挿入及び接続される。ヘッダー2の3つの接続部322(分岐口323)には、流体排出用の管体8がそれぞれ挿入及び接続される。管体8は、樹脂製パイプである。管体8は、ポリオレフィン(架橋ポリエチレン、ポリブテン等)等の合成樹脂からなる。
【0034】
次に、本実施形態の管体接続装置1の製造方法について説明する。
まず、保温材4を成形するための成形型内に、3つのヘッダー部材3を連結したヘッダー2を配置する。このとき、成形型の内表面とヘッダー2の外表面20との間に所定の隙間を設けておく。また、ヘッダー2の接続口313及び分岐口323は、その開口を閉塞するキャップ、蓋等の閉塞部材を用いて閉塞しておく。
【0035】
次いで、成形型内(具体的には成形型の内表面とヘッダー2の外表面20との間)に、保温材4となる発泡ウレタンを流し込む。発泡ウレタンとは、ウレタン樹脂に発泡剤を加えた発泡樹脂材料である。成形型内に流し込まれた発泡ウレタンは、発泡して成形型内を充填し、硬化する。これにより、ヘッダー2の外表面20上に、所定の厚み、所定の形状の保温材4を成形(インサート成形)する。
【0036】
その後、成形型から、一体化された状態のヘッダー2及び保温材4を取り外す。また、ヘッダー2の接続口313及び分岐口323を閉塞していた閉塞部材を取り外す。これにより、ヘッダー2のほぼ全体が保温材4で被覆され、かつ、ヘッダー2と保温材4とが一体化された管体接続装置1が得られる。
【0037】
次に、本実施形態の管体接続装置1の施工例について説明する。
本例は、ヘッダー2における第1ヘッダー部材3aの分岐口323及び第2ヘッダー部材3bの分岐口323と第3ヘッダー部材3cの分岐口323とを反対方向(180度異なる方向)に開口した状態で、管体接続装置1を設置する例(後述する
図6)である。
【0038】
図4(A)、(B)に示すように、保温材4における第2ヘッダー部材3bと第3ヘッダー部材3cとの間に設けられた分割溝42の位置に、刃物51を用いて厚み方向に切れ込み43を入れる。切れ込み43は、保温材4の周方向全周に渡って形成する。このとき、刃物51に対して不用意に力が加わったとしても、保温材4の分割溝42の位置、すなわち第2ヘッダー部材3bと第3ヘッダー部材3cとの連結箇所に金属製の筒状部材33が外嵌されているため、第2ヘッダー部材3b及び第3ヘッダー部材3cの樹脂部分に損傷を与える危険性を低減できる。これにより、保温材4を分割溝42の位置、すなわち切れ込み43を入れた位置で切断、分割する。
【0039】
次いで、
図5に示すように、第3ヘッダー部材3cを主管部31の中心軸を基軸として元の位置から180度回動させる。これにより、第1ヘッダー部材3aの分岐口323及び第2ヘッダー部材3bの分岐口323と第3ヘッダー部材3cの分岐口323とが反対方向(180度異なる方向)に開口した状態となる。
【0040】
次いで、
図6に示すように、管体接続装置1を固定対象となるコンクリート製の構造体(図示略)に固定(設置)する。具体的には、2つの固定金具52を用いて管体接続装置1を構造体に固定する。板状の固定金具52は、半円形状の把持部521と、把持部521の両端に設けられた一対の固定片部522とを有している。
【0041】
固定金具52の把持部521は、保温材4の外表面40に沿って、保温材4の分割溝42の位置(ヘッダー部材3同士の連結箇所の位置)で、管体接続装置1を把持している。2つの固定金具52のうち、一方の固定金具52の把持部521は、保温材4の凹部41内を通るように配置されている。各固定金具52の一対の固定片部522は、コンクリートピン53を用いて構造体に固定されている。
【0042】
固定対象となるコンクリート製の構造体に固定された管体接続装置1において、ヘッダー2の接続部312(接続口313)及び接続部322(分岐口323)には、それぞれ管体8が接続される。
図6では、複数の管体8のうち、一部の管体8を図示し、他の管体8の図示は省略した。
【0043】
次に、本実施形態の管体接続装置1における作用効果について説明する。
本実施形態の管体接続装置1は、管体接続部材であるヘッダー2と、そのヘッダー2を被覆する保温材4とを備えている。そして、保温材4は、ヘッダー2のほぼ全体を被覆するように、ヘッダー2の外表面20上に成形されている。すなわち、保温材4は、ヘッダー2の外表面20に対して直接成形されている。そのため、ヘッダー2と保温材4との密着性を高め、保温材4による保温効果を向上させることができる。
【0044】
また、保温材4をヘッダー2の外表面20に対して直接成形するため、ヘッダー2の形状(特に外表面20の形状)が複雑であっても、保温材4をヘッダー2の形状に合わせて、所定の形状、所定の厚みで隙間なく成形することができる。これにより、従来のように、ヘッダー等の管体接続部材に別途用意した保温材を巻き付ける場合等と比較して、ヘッダー2に対する保温材4の被覆作業が容易となる。また、従来のように、ヘッダー等の管体接続部材の形状に合わせた保温材を別途用意する必要もないし、現場でヘッダー等の管体接続部材を保温材で被覆する作業を行わなくてもよい。
【0045】
また、保温材4は、ヘッダー2と一体的に構成されている。すなわち、保温材4は、例えば本実施形態のようにインサート成形を用いて、ヘッダー2と一体となるように、ヘッダー2の外表面20上に成形されている。そのため、管体接続装置1の取り扱いや現場での施工(設置等)が容易となる。また、ヘッダー2と保温材4とが一体であるため、ヘッダー2から保温材4が脱落することもない。
【0046】
また、管体接続装置1において、ヘッダー2は、複数のヘッダー部材3を連結して構成され、ヘッダー2は、ヘッダー部材3同士が相対回動可能に連結して構成されている。すなわち、ヘッダー2の形状が複雑であっても保温材4の被覆作業が容易という効果をより有効に発揮できる。また、本実施形態のように、回動させたいヘッダー部材3(第3ヘッダー部材3c)があるとき、そのヘッダー部材3(第3ヘッダー部材3c)と他のヘッダー部材3(第2ヘッダー部材3b)との連結箇所において、保温材4を切断等して分割すれば、ヘッダー部材3(第3ヘッダー部材3c)を保温材4の分割した部分と共に回動させることができる。
【0047】
また、保温材4において、ヘッダー2におけるヘッダー部材3同士の連結箇所に対応する位置には、保温材4を分割するための目印(分割溝42)が設けられている。そのため、本実施形態のように、保温材4に設けられた目印(分割溝42)の位置で保温材4を切断等して分割し、ヘッダー部材3(第3ヘッダー部材3c)を保温材4の分割した部分と共に回動させることができる。
【0048】
また、ヘッダー2において、ヘッダー部材3同士の連結箇所は、金属製の筒状部材33によって被覆されている。そのため、本実施形態のように、保温材4をヘッダー部材3同士の連結箇所に対応する位置で刃物51等を用いて切断して分割する場合、刃物51等に対して不用意に力が加わったとしても、ヘッダー部材3(特に樹脂部分)を傷付けないようにすることができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、管体接続部材であるヘッダー2に対する保温材4の被覆作業、さらには取り扱いや施工が容易であり、保温材4による保温効果を向上させることができる管体接続装置1を提供することができる。
【0050】
(実施形態2)
本実施形態は、
図7に示すように、管体接続装置1における保温材4の構成(形状)を変更した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0051】
図7に示すように、保温材4の外表面40には、平坦な面である平坦部44が2つ設けられている。平坦部44は、保温材4において、各ヘッダー部材3の分岐管部32を被覆している部分同士の間に設けられている。すなわち、平坦部44は、保温材4の凹部41の底面に当たる部分に設けられている。平坦部44には、分割溝42の一部が形成されている。
【0052】
次に、本実施形態の管体接続装置1の施工例について説明する。
図8に示すように、管体接続装置1を固定対象となるコンクリート製の構造体(図示略)に固定(設置)する。具体的には、2つの第1固定金具54及び2つの第2固定金具55を用いて管体接続装置1を構造体に固定する。
【0053】
板状の第1固定金具54は、実施形態1の固定金具52と同様の構成であり、半円形状の把持部541と、把持部541の両端に設けられた一対の固定片部542とを有している。板状の第2固定金具55は、管体接続装置1が固定される第1固定部551と、構造体に固定される第2固定部552とを有し、L字状に形成されている。
【0054】
第1固定金具54の把持部541は、保温材4の外表面40に沿って、保温材4の分割溝42の位置(ヘッダー部材3同士の連結箇所の位置)で、管体接続装置1を把持している。第1固定金具54の一対の固定片部542は、2つの固定ネジ56を用いて、第2固定金具55の第1固定部551に固定されている。ここで、保温材4の平坦部44と第2固定金具55の第1固定部551とが平面同士で当接している。これにより、管体接続装置1の回り止めがされている。第2固定金具55の第2固定部552は、2つのコンクリートピン57を用いて構造体に固定されている。
【0055】
固定対象となるコンクリート製の構造体に固定された管体接続装置1において、ヘッダー2の接続部312(接続口313)及び接続部322(分岐口323)には、それぞれ管体8が接続される。
図8では、複数の管体8のうち、一部の管体8を図示し、他の管体8の図示は省略した。
【0056】
(実施形態3)
本実施形態は、
図9(A)、(B)に示すように、管体接続装置1における管体接続部材として継手6を適用した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0057】
図9(A)、(B)に示すように、継手6は、管体8(前述の
図3等参照)と管体8との間に配置され、管体8と管体8とを接続するためのものである。継手6は、第1管部61と、第1管部61から第1管部61に直交する方向に突出する第2管部62とを有している。継手6は、第1管部61及び第2管部62によってT字状に形成された、いわゆるチーズ継手である。
【0058】
第1管部61の内部には、第1流路611(図示略)が形成されている。第2管部62の内部には、第2流路621(図示略)が形成されている。第1流路611の両端は、開口している。第2流路621の一端は、第1流路611の途中に連通している。第2流路621の他端は開口している。
【0059】
第1管部61の一端側及び他端側には、管体8を接続するための接続部612がそれぞれ設けられている。接続部612には、管体8を挿入して接続する接続口613が形成されている。また、第2管部62の開口端側には、管体8を接続するための接続部622が設けられている。接続部622には、管体8を挿入して接続する接続口623が形成されている。
【0060】
図9(A)、(B)に示すように、保温材4は、継手6の外表面60のほぼ全体を被覆するように、また継手6のほぼ全体を内包するように、継手6の外表面60上に所定の厚みで成形されている。保温材4は、継手6と一体となるようにインサート成形されている。すなわち、継手6と保温材4とは、一体的に構成されている。
【0061】
保温材4は、継手6の接続部612の先端部分を除いて、第1管部61の外周面610を被覆している。保温材4において、第1管部61を被覆している部分は、第1管部61と共に略円柱形状に形成されている。また、保温材4は、継手6の接続部622の先端部分を除いて、第2管部62の外周面620を被覆している。保温材4において、第2管部62を被覆している部分は、第2管部62と共に略円柱形状に形成されている。保温材4は、継手6の第1管部61及び第2管部62を被覆している部分が全体として一体的に形成されている。
【0062】
そして、管体接続装置1において、継手6の接続部612(接続口613)には、管体8が挿入及び接続される。また、継手6の接続部622(接続口623)には、管体8が挿入及び接続される。
【0063】
(実施形態4)
本実施形態は、
図10に示すように、管体接続装置1における管体接続部材としてバルブ7を適用した例である。なお、実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
【0064】
図10に示すように、バルブ7は、管体8(前述の
図3等参照)と給湯器等の機器との間に配置されるボールバルブである。バルブ7は、本体管部71を有している。本体管部71の内部には、流路711(図示略)が形成されている。
【0065】
本体管部71の一端側には、管体8を接続するための接続部712が設けられている。接続部712には、管体8を挿入して接続する接続口713が形成されている。本体管部71の他端側には、給湯器等の機器に接続、固定される機器接続部(ナット)72が設けられている。機器接続部72は、給湯器等の機器に設けられたネジ部等に螺合して固定される。
【0066】
本体管部71の流路711内には、ボール式の弁体(図示略)が配置されている。弁体は、弁軸(スピンドル)(図示略)を介して、ハンドル73により操作できるよう構成されている。ハンドル73を回すことにより、本体管部71の流路711の開状態(流体が流通できる状態)及び閉状態(流体が流通できない状態)を切り替えることができる。
【0067】
図10に示すように、保温材4は、バルブ7の外表面70の一部を被覆して内包するように、バルブ7の外表面70上に所定の厚みで成形されている。保温材4は、バルブ7と一体となるようにインサート成形されている。すなわち、バルブ7と保温材4とは、一体的に構成されている。
【0068】
保温材4は、主としてバルブ7の本体管部71の外周面710を被覆している。保温材4において、本体管部71を被覆している部分は、本体管部71と共に略円柱形状に形成されている。また、保温材4は、バルブ7の機器接続部72及びハンドル73が設けられている部分及びその周辺を被覆していない。この理由としては、機器接続部72は、給湯器等の機器に設けられたネジ部等に螺合する際に工具を用いて回転させる部分であり、ハンドル73は、ボール式の弁体を操作するために回す部分であり、両者共に露出させておく必要があるからである。
【0069】
そして、管体接続装置1において、バルブ7の接続部712(接続口613)には、管体8が挿入及び接続される。また、バルブ7は、機器接続部72を介して、給湯器等の機器に接続(固定)される。
【0070】
(その他の実施形態)
本発明は、前述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0071】
(1)前述の実施形態では、管体接続部材としてヘッダー2、継手6、バルブ7を適用した例を示したが、管体接続部材には、前述のヘッダー、継手、バルブ等の他、管体が接続される部材全般が含まれる。ヘッダーとしては、例えば、管体を接続するための分岐口を1又は複数有するヘッダー部材を複数連結して構成されたヘッダー、複数の分岐口を有する1つの部材で構成されたヘッダー等がある。継手としては、管体同士をつなぐための継手、管体と止水栓等の器具をつなぐための継手等がある。継手の形状としては、I字状のストレート継手、T字状のチーズ継手、L字状のエルボ継手等がある。バルブとしては、ゲートバルブ、ボールバルブ、ニードルバルブ等がある。
【0072】
(2)前述の実施形態では、保温材4として発泡ウレタンを用いたが、これに限定されるものではない。保温材4としては、例えば、発泡ポリスチレン(発泡スチロール)、ポリオレフィン系の発泡樹脂等、断熱性を有する各種樹脂材料等を用いることができる。
【0073】
(3)前述の実施形態1〜3では、保温材4が管体接続部材であるヘッダー2の外表面20及び継手6の外表面60のほぼ全体を被覆するように成形され、前述の実施形態4では、保温材4が管体接続部材であるバルブ7の一部を被覆するように成形されているが、保温材は、管体接続部材の外表面の必要な部分を被覆するように成形されていればよい。すなわち、管体接続部材において、保温材により被覆する部分は、適宜設定すればよい。保温材は、保温性を十分に発揮するために、流体を流通させる流路が形成されている部分を被覆することが好ましい。
【0074】
(4)前述の実施形態1、2では、複数のヘッダー部材3を連結した状態のヘッダー2の外表面20上に保温材4を成形したが、例えば、各ヘッダー部材の外表面上に保温材を成形し、これらのヘッダー部材を連結してヘッダーを構成してもよい。
【0075】
(5)前述の実施形態1、2では、保温材4を分割するための目印として凹溝状の分割溝42を設けたが、これに限定されるものではなく、保温材を分割するための目印となるものであれば何でもよい。例えば、保温材の表面に突条(凸部)を設けてもよい。また、分割単位ごとに保温材の外径を変化させてもよい。この場合、例えば、保温材の外径を徐々に小さく(大きく)する、外径の大きい部分と外径の小さい部分とを交互に配置する等の方法を用いることができる。また、分割単位ごとに保温材の表面の面粗度を変化させてもよい。また、保温材の表面に塗料等を塗布して目印(分割位置を示す線等)を設けてもよい。この場合、例えば、保温材を成形するための成形型内に塗料を配置し、保温材の表面に転写する等の方法を用いることができる。
【0076】
(6)前述の実施形態1、2では、保温材4を分割溝42の位置で刃物51を用いて切断することにより分割したが、保温材を分割する手段や方法は、これに限定されるものではない。例えば、保温材を分割する位置だけ保温材の厚みを薄くしたり、保温材を分割する位置に保温材の表面から管体接続部材の外表面に到達する切れ込みをミシン目状に設けたりしておき、保温材を手、工具等を用いて分割する方法であってもよい。また、保温材の内部に細いワイヤー等を配置しておき、このワイヤーを引っ張ることによって保温材が分割されるように構成してもよい。
【0077】
(7)前述の実施形態1、2では、保温材4において、ヘッダー2におけるヘッダー部材3同士の連結箇所に対応する部分には、保温材4を分割するための目印(分割溝42)が設けられているが、保温材を分割するための目印を設けない構成としてもよい。
【0078】
(8)前述の実施形態1、2では、ヘッダー2において、ヘッダー部材3同士の連結箇所は、金属製の筒状部材33によって被覆されているが、このような筒状部材が設けられていない構成としてもよい。