特許第6853973号(P6853973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853973
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電子決済端末を利用した監視システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20210329BHJP
【FI】
   G06Q20/38 310
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-148696(P2019-148696)
(22)【出願日】2019年8月14日
(65)【公開番号】特開2021-33338(P2021-33338A)
(43)【公開日】2021年3月1日
【審査請求日】2019年11月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392022031
【氏名又は名称】株式会社シマノ科研
(74)【代理人】
【識別番号】100180208
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 洋
(72)【発明者】
【氏名】菊地 康則
(72)【発明者】
【氏名】山口 明男
【審査官】 岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−171039(JP,A)
【文献】 特開2008−171354(JP,A)
【文献】 特開2018−019373(JP,A)
【文献】 特開2007−274582(JP,A)
【文献】 特開2008−210008(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0059339(US,A1)
【文献】 特表2016−534459(JP,A)
【文献】 特開2010−102726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード決済用スキャナーを有する電子決済端末を備えた監視システムにおいて、
a)前記コード決済用スキャナーは、コード領域を検出及びデコード処理をしない画像を取得する監視カメラモードを備えたことと、
b)前記監視システムは、前記監視カメラモードで取得された前記画像をスキャナー画像データベースに画像記憶をさせる画像保存手段を備えたことと、
c)前記画像は、前記監視カメラモードにおいて前記コード決済用スキャナーで定期的に取得されたデコード処理前画像から選択された、決済結果が失敗である場合のデコード処理前画像であることと、
を特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記画像は、前記電子決済端末とは別に設置された監視カメラによる監視カメラ画像と対応付けて保存されることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記スキャナー画像データベースは、前記電子決済端末又は該電子決済端末が設置された店舗が有する記憶装置に備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記スキャナー画像データベースは、前記電子決済端末と接続した監視装置に備えられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子決済端末を利用した監視システムに関し、特に携帯端末等に表示されたコードを読取るためのスキャナーを備えた電子決済端末を利用してセキュリティを強化した監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュレス決済の導入が様々な分野において進められている。キャッシュレス決済の方式の一つにバーコード又は2次元コード(以下、これらを一括して決済用コードという。)を利用者の携帯端末又は利用店舗において表示し、それをスキャナーによって読み取って決済情報を取得するコード決済方式がある。
【0003】
コード決済方式のうち利用者の携帯端末に表示された決済用コードを利用する方式(以下、CPMという。CPMとは、Consumer-presented Modeの略である。)では、予め利用者が契約したコード決済事業者から取得したコード決済用プログラム(以下、コード決済アプリという。)とその携帯端末にインストールして利用するものである。
ここで決済用コードは、利用者の携帯端末とIDを有するコード決済アプリとが協働して表示される。
【0004】
コード決済の普及には、その安全・安心が必須のものとなる。
CPMの安全・安心についていえば、決済コードについて、そのコード決済アプリと紐づけられた携帯端末の利用者を認証することにより、一定のセキュリティが確保されている。
しかしながら、近年の電子決済を巡るテクノロジーの進歩は目覚ましいものがあり、セキュリティ対策についても向上させていくことが望まれている。
【0005】
このようなセキュリティ対策の技術の提案として、特許文献1に記載された技術がある。
ここでは、取引上の予測不能な数字の組をユーザモバイルデバイスが受信し、所定の選択の順に従って選択した予測不能な数字から取引要求の暗号を計算し、暗号の画像の決済コードに符号化した画像コードによって、画像コードによる決済での取引のセキュリティを高める手段が提案されている。
しかしながら、暗号化技術のテクノロジーだけでセキュリティ対策が十分であるとはいえない。暗号を破るテクノロジーも暗号化技術に歩調を合わせて進歩していくものであり、違った観点からのセキュリティ対策も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2016-534459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願発明の課題は、電子決済端末のスキャナーを監視カメラとしても併用し、事後検証用の画像データを生成し、コード決済利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを向上させることのできるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点によれば、コード決済用スキャナーを有する電子決済端末を備えた監視システムにおいて、
a)前記コード決済用スキャナーは、コード領域を検出及びデコード処理をしない画像を取得する監視カメラモードを備えたことと、
b)前記監視システムは、前記監視カメラモードで取得された前記画像をスキャナー画像データベースに画像記憶をさせる画像保存手段を備えたことと、
を特徴とする監視システムが提供される。
【0009】
ここで、前記画像は、前記監視カメラモードにおいて前記コード決済用スキャナーで定期的に取得されたデコード処理前画像である、としてもよい。
また、前記画像は、前記電子決済端末とは別に設置された監視カメラによる監視カメラ画像と対応付けて保存される、としてもよい。
【0010】
ここで、商品という用語は、有形の商品に限定されることなく無形のサービス等を含む、コード決済によって提供される商品・サービス全般を指す用語として用いられる。また、店舗という用語は、有人店舗及び自販機等の無人店舗を指す用語として用いられる。
【0011】
さらには、前記デコード処理前画像は、前記コード決済用スキャナーで取得されたデコード処理前画像から選択された、決済結果が失敗である場合のデコード処理前画像である、としてもよい。
【0012】
前記スキャナー画像データベースは、前記電子決済端末又は該電子決済端末が備えられた店舗が有する記憶装置に備えられている、としてもよい。
あるいは、前記スキャナー画像データベースは、前記電子決済端末と接続した監視装置に備えられている、としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施例の監視システムで利用する電子決済端末を自販機に組み込んだユースケースを示すイメージ図である。
図2図2は、自販機の正面の外観を示したイメージ図である。
図3図3は、電子決済端末の機能構成を示した機能ブロック図である。
図4図4は、本実施例の監視システムの構成要素間の監視に係る動作を示したシーケンス図である。
図5図5は、画像保存ステップにおいてスキャナー画像データベースに保存されたデコード処理前画像データのデータ構造を示したブロック図である。
図6図6は、本実施例のユースケースの変形例を示すイメージ図である。
図7図7は、変形例における電子決済端末の機能構成を示した機能ブロック図である。
図8図8は、変形例のユースケースを示すイメージ図である。
図9図9は、変形例における電子決済端末の機能構成を示した機能ブロック図である。
図10図10は、本実施例の監視システムで利用する電子決済端末を自販機に組み込んだユースケースを示すイメージ図である。
図11図11は、自販機の正面の外観を示したイメージ図である。
図12図12は、電子決済端末の機能構成を示した機能ブロック図である。
図13図13は、監視サーバの機能構成を示したブロック図である。
図14図14は、本実施例の監視システムの構成要素間の監視に係る動作を示したシーケンス図である。
図15図15は、スキャナー画像データベースに保存されたデコード処理前画像データのデータ構造を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の具体例につき図面を用いた実施例において説明する。
実施例において、本発明の機能を実現する各機能構成部は、予め組み込まれたファームウエア等の制御プログラムあるいは記憶装置に格納されたアプリケーションを携帯端末、コンピュータ、回路等のプロセッサーで実行することにより実現される。
【実施例1】
【0015】
(本実施例のシステムのユースケース)
図1は、本実施例の監視システムで利用する電子決済端末を自販機に組み込んだユースケースを示すイメージ図である。自動販売機能構成部1002に加えて、電子決済端末1003を備えている自販機1001、自販機の利用者1004、利用者の携帯端末1005という構成である。
ここで、監視機能を中心に説明する便宜上、当該自販機に係る商品選択ボタンの押下げ検知、押下げ検知の電子決済端末への通知、金銭処理、電子決済完了の通知を電子決済端末からの受信あるいは金銭入金を検知しての商品払い出しといった自販機本来のオペレーション機能をひとまとめにして自動販売機能構成部1002としている。
また、説明の便宜のため一台の自販機、一台の電子決済端末そして一人の利用者のみが記載されているが、実際の運用においては、複数の自販機、複数の利用者そして複数の自販機のそれぞれに組込まれた電子決済端末から構成されるのが通常である。
【0016】
(自販機)
図2は、自販機1001の正面の外観を示したイメージ図である。利用者は、この正面に対面して所定の購入動作を行う。正面は、商品見本2001、販売する商品の選択入力を受ける商品選択ボタン2002、金銭処理口2003、電子決済端末に備えられたスキャナー2004、商品払出し口2005そして釣銭口2006から構成されている。
【0017】
(電子決済端末)
図3は、電子決済端末1003の機能構成を示した機能ブロック図である。
スキャナー3001、決済機能構成部3002、画像保存部3003、スキャナー画像データベース3004を設けた記憶装置3005、アラーム部3006という構成である。
決済機能構成部3002は、電子決済に必要とされるスキャナーが取得したコード画像の決済情報を使った決済サイトとの通信による決済処理機能、決済処理結果を自販機の自動販売機能構成部へ伝達する伝達機能など電子決済端末本来の機能を実現する機能構成を取りまとめて一つの機能ブロックとして示したものである。
画像保存部3003は、後で説明する決済取引の事後検証用のデコード処理前画像データを記憶層装置3005に送り、スキャナー画像データベース3004に記憶させる。
アラーム部3006は、後で説明するスキャンモードでの動作におけるデコード処理の失敗をカウントし、所定のアラーム動作を実行する。
【0018】
ここで、アラーム部は電子決済端末の機能ブロックとして構成されているが、本発明で採用可能なアラーム部の構成はこれに限定されるものではなく、電子決済端末の外部に構成してもよい。
【0019】
図4は、本実施例の監視システムの構成要素間の監視に係る動作を示したシーケンス図である。
待機ステップ4001において、スキャナーは監視カメラモードのみで動作する。すなわち、スキャナー3001は定期的に画像取得し、この画像に画像取得に係る時刻であるタイムスタンプと電子決済端末IDとをメタデータとして付加して予め設定した時間分のデコード処理前画像をスキャナーに設けられた一時メモリに一時保存する。監視カメラモードの動作は、システムの動作が移っても維持される。
【0020】
ボタン押下げステップ4002において、利用者によって、自販機の商品選択ボタンの押下げが行われる。
商品選択検知ステップ4003において、利用者による商品選択ボタンの押下げが自販機本体機能構成部と電子決済端末との通信により検知されるとると、スキャナー3001は監視カメラモードに加えてコードスキャンモードに従って同時に動作する。
コードスキャンモードは、取得した画像に含まれるコード領域を検出し、デコード処理をしてコードに格納された情報を抽出する動作モードである。
【0021】
コードかざしステップ4004において、利用者が、商品購入の決済のために自身の携帯端末に決済コードを表示して、スキャナーにかざす。
イメージスキャンステップ4005において、スキャナー3001が、デコード処理をするための画像取得を行う。
【0022】
デコード処理ステップ4006において、スキャナー3001は、上記イメージスキャンによって取得した画像に対するデコード処理を行う。
デコード処理に失敗すると、スキャナーはコードスキャンモードを終了して待機ステップ4001にシステム動作がうつり、デコード処理に成功すると、決済依頼ステップ4008にうつる。
【0023】
決済依頼ステップ4007において、電子決済端末によって、決済側サイトと通信してデコードされた決済情報に係る決済を依頼する。
決済結果受信ステップ4008において、決済側サイトから受信した決済結果が成功である場合、電子決済端末のスキャナーの監視動作は待機ステップ4001に戻る。
このシーケンス図では、監視システムに係る監視動作について記載しているので、自動販売機能へ商品払い出し命令を送信し、商品払い出しさせるといった自動販売動作に係る動作は省略している。
【0024】
決済側サイトから受信した決済結果が失敗である場合、この決済結果の失敗の受信をトリガとして、デコード処理前画像保存ステップ4009にシステム動作がうつる。
ここでデコード処理に成功し、決済結果が失敗である場合にデコード処理前画像を保存するステップに移行させるのは、決済用コードを不正に生成し、この電子決済端末にスキャンさせている可能性が高いからであり、事後検証のためにその不正可能性が高い動作に係る携帯端末等の表示画面が写っている画像やその動作に係る画像を保存する必要性があるからである。
【0025】
デコード処理前画像保存ステップ4009において、電子決済端末によって、決済依頼に係るデコード処理の元画像の取得時刻を基準にして予め設定した時間分のデコード処理前画像データを監視カメラモードにおいて一時保存していたデコード処理前画像から選択して、事後検証用のデコード処理前画像データとしてスキャナー画像データベース3004に保存する指令とともに記憶装置3005に送信し、事後検証用のデコード処理前画像データの保存をさせる。
【0026】
決済失敗記録ステップ4010において、決済結果の失敗受信が受信時刻ととも記録される。
アラーム判定ステップ4011において、アラーム部3006によって、予め設定した時間遡ってカウントされたデコード処理失敗回数が所定のアラーム閾値を超えているか、否かの判定がおこなわれ、「超えている」と判定されると、システム動作はアラームステップ4012にうつる。「超えていない」と判定されると、システム動作は待機ステップ4001に戻る。
【0027】
アラームステップ4012において、アラーム部3006によって、予め設定した警告音を発生させると同時に予め設定した報告先にメール通報をおこない、待機ステップ4001に戻る
【0028】
図5は、デコード処理前画像保存ステップ4009においてスキャナー画像データベース3004に保存されたデコード処理前画像データのデータ構造を示したブロック図である。
当該電子決済取引を特定する識別情報である取引ID5001、デコード成功に係る元画像のタイムスタンプの時刻である取引指標時刻5002、電子決済端末ID5003、コード決済対象商品情報5004、コード決済利用者情報5005、コード決済利用店舗となる自販機の自販機ID5006そしてデコード処理前画像5007というデータ項目から構成されている。
ここで取引指標時刻は、ここで示したタイムスタンプの時刻に限定されるものではない。本発明に採用可能な取引指標時刻として、当該取引を特定する指標となる時刻であれば、成立したデコードに係る選択ボタン押下げを検知した時刻などが適宜採用されうる。
【0029】
(変形例1)
本実施例では、スキャナー画像データベースを電子決済端末内に設けるシステム構成を採用しているが、本願発明で採用可能なスキャナー画像データベースの設置方式はこれに限定されるものではない。ネットワーク等を介して電子決済端末と接続した装置に設けてもよい。
以下、変形例1に特徴的部分を説明する。
【0030】
図6は、本実施例のユースケースの変形例1を示すイメージ図である。
自販販売機能構成部6002に加えて、電子決済端末6003を備えている自販機1001、自販機の利用者6004、利用者の携帯端末6005、通信ネットワーク6006そして監視サーバ6007という構成である。
ここで、監視サーバ6007には、スキャナー画像データベース6008が設けられている。
【0031】
図7は、変形例1における電子決済端末6003の機能構成を示した機能ブロック図である。スキャナー7001、決済機能構成部7002、画像保存部7003そしてアラーム部7004という構成である。画像保存部7002は、通信ネットワーク6006を介して、そしてスキャナー画像データベース6008を設けた監視サーバ6007に接続している。
【0032】
変形例1における画像保存部7003は、デコード処理前画像データを通信ネットワーク6006に接続された監視サーバ6007に送信し、スキャナー画像データベース6008に記憶させる。
【0033】
(変形例2)
スキャナー画像データベースを自販機内部であって、電子決済端末の外部に設ける変形例2に示すシステム構成も採用されうる。
以下、変形例2に特徴的部分を説明する。
【0034】
図8は、変形例2のユースケースを示すイメージ図である。
自販販売機能構成部8002に加えて、電子決済端末8003及び記憶装置8004を備えている自販機8001、自販機の利用者8006、利用者の携帯端末8007という構成である。
記憶装置8004には、スキャナー画像データベース8005が設けられている。
【0035】
図9は、変形例2における電子決済端末8003の機能構成を示した機能ブロック図である。スキャナー9001、決済機能構成部9002、画像保存部9003そしてアラーム部9004という構成である。
【0036】
変形例2における画像保存部9003は、デコード処理前画像データを記憶装置8004に送信し、スキャナー画像データベース8005に記憶させる。
【実施例2】
【0037】
(本実施例のシステムのユースケース)
図10は、本実施例の監視システムで利用する電子決済端末を自販機に組み込んだユースケースを示すイメージ図である。
自販機10001、自動販売機能構成部10002、監視カメラ10003、通信ネットワークに接続した電子決済端末10004、自販機の利用者10005、利用者の携帯端末10006、通信ネットワーク10007そして通信ネットワークに接続された監視サーバ10008という構成である。
ここでは説明の便宜のため一台の自販機、一台の監視カメラ、一台の電子決済端末そして一人の利用者のみが記載されているが、実際の運用においては、複数の自販機、複数の利用者、複数の監視カメラそして複数の自販機のそれぞれに組込まれた電子決済端末から構成されるのが通常である。
また、監視サーバについても、複数のサーバ装置に役割を分担させもよい。
【0038】
(自販機)
本実施例の自販機10001は、電子決済機能を除く商品自動販売のための機能を実行する自動販売機能構成部10002に加えて、監視カメラ10003と電子決済端末10004を備えられている。
ここで、監視機能を中心に説明する便宜上、当該自販機に係る商品選択ボタンの押下げ検知及び電子決済端末への通知、金銭処理、電子決済完了の通知を電子決済端末から受信や金銭入金を検知しての商品払い出しなどの機能をひとまとめにして自動販売機能構成部10002としている。
図11は、自販機10001の正面の外観を示したイメージ図である。利用者は、この正面に対面して所定の購入動作を行う。正面は、商品見本11001、商品見本の一つに設けられた監視カメラ11002、販売する商品の選択入力を受ける商品選択ボタン11003、金銭処理口11004、電子決済端末に備えられたスキャナー11005、商品払出し口11006そして釣銭口11007から構成されている。
ここでは、監視カメラを商品見本の一つに設置する方式を採用しているが、本実施例の監視カメラ設置方式は、利用者を撮像範囲に設定することが出来る設置方式であれば、適宜変更されうる。
さらには、設置場所や撮影範囲の異なる複数の監視カメラを設置する方式も採用可能である。
【0039】
(監視カメラ)
監視カメラ10003は、撮像範囲を定期的に撮像し、撮像した監視カメラ画像にタイムスタンプと監視カメラIDとを含むメタデータを付加して監視カメラ画像データを生成し、現在時間から遡って一定時間分を一時保存する。事後検証を要する可能性を示すトリガが発生すると、監視サーバ10008に設けられた監視カメラ画像データベースに送信し、記憶する。
【0040】
(電子決済端末)
図12は、電子決済端末10003の機能構成を示した機能ブロック図である。
スキャナー12001、決済機能構成部12002、画像保存部12003そしてアラーム部12004という構成である。
ここで決済機能構成部12002は、電子決済に必要とされるスキャナーで取得した画像のデコード処理機能、決済サイトとの通信による決済処理機能、決済処理結果を自販機の制御部へ伝達する伝達機能など電子決済端末本来の機能を実現する機能構成を取りまとめて一つの機能ブロックとして示したものである。
【0041】
画像保存部12003は、監視カメラ及びスキャナーに対して、監視カメラ画像データ及びデコード処理前画像データを後で説明する監視サーバ10008に設けられた監視カメラ画像データベース及びスキャナー画像データベースへ送信させ、記憶させる。
アラーム部12004は、後で説明するスキャンモードでの動作における決済処理の失敗をカウントし、所定のアラーム動作を実行する。
ここで、アラーム部は電子決済端末の機能ブロックとして構成されているが、本発明で採用可能なアラーム部の構成はこれに限定されるものではなく、電子決済端末の外部に構成してもよい。
【0042】
(監視サーバ)
図13は、監視サーバ10008の機能構成を示したブロック図である。
監視カメラ画像データベース13001、スキャナー画像データベース13002そして通信制御部13003という機能構成部を有している。
ここで通信制御部13003は、送信された監視に係る画像データ受信して、それぞれの画像データベースに振り分けて配信し、外部から画像データ提供依頼に応じて、それぞれの画像データベースに問い合わせて、取引の事後検証に必要な画像データを提供する。
【0043】
図14は、本実施例の監視システムの構成要素間の監視に係る動作を示したシーケンス図である。
待機ステップ14001において、スキャナーは監視カメラモードのみで動作する。すなわち、スキャナー12001は定期的に画像取得し、画像保存部12003はこの画像にタイムスタンプと電子決済端末IDとをメタデータとして付加して予め設定した時間分のデコード処理前画像をスキャナーに設けられた一時メモリに一時保存する。監視カメラモードの動作は、システムの動作が移っても維持される。
【0044】
監視カメラ10003は、監視システムの動作中において、予め設定した周期で定期的に画像取得し、この画像にタイムスタンプと監視カメラIDとをメタデータとして付加して監視カメラ画像データを生成し、監視カメラに設けられた記憶装置に上記予め設定した時間分の監視画像を一時保存する。
【0045】
ボタン押下げステップ14002において、利用者によって、自販機の商品選択ボタンの押下げが行われる。
商品選択検知ステップ14003において、利用者による商品選択ボタンの押下げが自販機本体機能構成部と電子決済端末との通信により検知されるとると、スキャナー12001は監視カメラモードに加えてコードスキャンモードも同時に動作する。
コードスキャンモードは、実施例1で説明した通り、取得した画像に含まれるコード領域を検出し、デコード処理をしてコードに格納された情報を抽出する動作モードである。
【0046】
コードかざしステップ14004において、利用者が、商品購入の決済のために自身の携帯端末に決済コードを表示して、スキャナーにかざす。
イメージスキャンステップ14005において、スキャナー12001が、デコード処理をするための画像取得を行う。
【0047】
デコード処理ステップ14006において、スキャナー12001は、上記イメージスキャンによって取得した画像に対するデコード処理を行う。
デコード処理に失敗すると、スキャナーはコードスキャンモードを終了して待機ステップ14001にシステム動作がうつり、デコード処理に成功すると、決済依頼ステップ14008にうつる。
【0048】
決済依頼ステップ14007において、電子決済端末によって、決済側サイトと通信してデコードされた決済情報に係る決済を依頼する。
決済結果受信ステップ14008において、決済側サイトから受信した決済結果が成功である場合、電子決済端末のスキャナーの監視動作は待機ステップ14001に戻る。
このシーケンス図では、監視システムに係る監視動作について記載しているので、自動販売機能へ商品払い出し命令を送信し、商品払い出しさせるといった自動販売動作に係る動作は省略している。
【0049】
決済側サイトから受信した決済結果が失敗である場合、この決済結果の失敗の受信をトリガとして、監視画像保存ステップ14009及びデコード処理前画像保存ステップ14010にシステム動作がうつる。
監視画像保存ステップ14009において監視カメラによって、決済依頼に係るデコード処理の元画像の取得時刻を基準にして予め設定した時間分の監視画像データを一時保存していた監視画像データから選択して事後検証用の監視画像データとして監視サーバに送信し、監視カメラ画像データベース13001に保存させる。
ここで、デコード処理に成功し決済結果が失敗であることをトリガにデコード処理前画像保存及び監視画像保存のステップに移行させるのは、決済用コードを不正に生成し、この電子決済端末にスキャンさせている可能性が高いからであり、事後検証のためにその不正可能性が高い動作に係る携帯端末等の表示画面が写っている画像やその動作に係る監視画像を保存する必要性があるからである。
【0050】
デコード処理前画像保存ステップ14010において、電子決済端末によって、決済依頼に係るデコード処理の元画像の取得時刻を基準にして予め設定した時間分のデコード処理前画像データを一時保存していたデコード処理前画像から選択して事後検証用のデコード処理前画像データとしてスキャナー画像データベース13002に保存させて、決済失敗記録ステップ14011にうつる。
【0051】
決済失敗記録ステップ14011において、決済結果の失敗受信が受信時刻ととも記録される。
アラーム判定ステップ14012において、アラーム部12004によって、予め設定した時間遡ってカウントされたデコード処理失敗回数が所定のアラーム閾値を超えているか、否かの判定がおこなわれ、「超えている」と判定されると、システム動作はアラームステップ14013にうつる。「超えていない」と判定されると、システム動作は待機ステップ14001に戻る。
【0052】
アラームステップ14013において、アラーム部12004によって、予め設定した警告音を発生させると同時に予め設定した報告先にメール通報をおこない、待機ステップ14001に戻る。
【0053】
図15は、画像保存ステップにおいてスキャナー画像データベースに保存されたデコード処理前画像データのデータ構造を示したブロック図である。
当該電子決済取引を特定する識別情報である取引ID15001、デコード成功に係る元画像のタイムスタンプの時刻である取引指標時刻15002、電子決済端末ID15003、コード決済対象商品情報15004、コード決済利用者情報15005、コード決済利用店舗となる自販機の自販機ID15006、監視カメラID15007そしてデコード処理前画像15008というデータ項目から構成されている。
ここで取引指標時刻はこれに限定されるものではない。本発明に採用可能な取引指標時刻として、当該取引を特定する指標となる時刻であれば、成立したデコードに係る選択ボタン押下げを検知した時刻などが適宜採用されうる。
【0054】
ここで監視カメラIDは、監視カメラによる監視カメラ画像データのメタデータとデコード処理前画像データのメタデータにおいて共通項目となっている。
また、取引指標時刻の定義によりそのデコード処理前画像データを構成するデコード処理前画像を撮像した時刻が含まれる時間帯を計算することができる。
よって、監視カメラIDと取引指標時刻とにより、監視カメラ画像データとデコード処理前画像データとは、関連付けされている。
すなわち、あるデコード処理前画像データに対応する監視カメラ画像データを呼び出す場合、取引指標時刻から計算された時間帯に含まれる時刻のタイムスタンプであって、デコード処理前画像データのメタデータに登録されている監視カメラIDを有する監視カメラ画像データを検索すればよい。
尚、電子決済端端末IDとこのIDに対応する自販機の監視カメラの監視カメラIDとの対応を格納した監視カメラ・電子決済端末対応管理テーブルを別途作成し、このテーブルを参照して監視画像データの監視カメラIDを呼出し、取引指標時刻と合わせてデコード処理前画像データと監視画像データとを関連付けてもよい。
【0055】
以上のようなシステムの動作により、電子決済端末のスキャナーを監視カメラとしても併用し、事後検証用の画像データを生成し、コード決済利用者の利便性を損なうことなく、セキュリティを向上させることのできることが可能にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明で開示した発明は、スキャナーを備えた電子決済端末によってコード決済を行う無人店舗あるいは有人店舗において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1001 自販機
1002 自動販売機能構成部
1003 電子決済端末
1004 利用者
1005 携帯端末

図1
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図15