特許第6853975号(P6853975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853975
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】運動用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
   A63B23/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-200488(P2016-200488)
(22)【出願日】2016年10月12日
(65)【公開番号】特開2018-61625(P2018-61625A)
(43)【公開日】2018年4月19日
【審査請求日】2019年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592231398
【氏名又は名称】株式会社ウェルファン
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉秀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝臣
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3112304(JP,U)
【文献】 特開2016−077856(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0240955(US,A1)
【文献】 特開2002−315847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00 − 26/00
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が両足裏で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る両足用の傾斜盤が基体に対し支持されてなる運動用具であって、
前記傾斜盤は、両足裏で共に載ることができて、足が離脱することを防止するための壁状部又はその他の突部を外周側に有する載用部を有し、
前記傾斜盤は、その傾斜盤の前後方向の中央を中心として前後方向長さの2分の1の範囲における前記載用部の前端部と後端部の間の位置において、横方向の水平回動軸線の回りに回動して傾斜角度が変化し得るように基体に対し支持されており、
前記傾斜盤の下側に、軸方向が前後方向である伸縮機構を有し、
その伸縮機構は、伸縮により互いに軸方向に相対的に移動する一方部分を前側に他方部分を後側に有するものであり、
前記伸縮機構の他方部分は、前記基体のうち、前記水平回動軸線よりも下方であって、前記傾斜盤の前後方向中央を中心として前後方向長さの2分の1の範囲の下方の部分に連結され、前記伸縮機構の一方部分は、前記傾斜盤のうち前記載用部よりも前方の所定箇所の下側に連結されることにより、前記伸縮機構が前記傾斜盤における前記所定箇所及びその他の部分に覆われると共に、前記傾斜盤の前記所定箇所が前記伸縮機構により上下動可能な状態で支持され、
前方に向かって上方傾斜した状態の前記傾斜盤の載用部に使用者が両足裏で共に載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得るものであることを特徴とする運動用具。
【請求項2】
上記傾斜盤に使用者が両足裏で載った状態で、前方に向かって傾斜盤を下降傾斜させる運動を行い得るものである請求項1記載の運動用具。
【請求項3】
上記傾斜盤を上向きに支持して傾斜盤が前方に向かって上方傾斜し得る限界角度を調節する限界角度調節部を、前記傾斜盤の後部に有する請求項1又は2記載の運動用具。
【請求項4】
上記限界角度調節部を、上記傾斜盤の後端部に有する請求項3記載の運動用具。
【請求項5】
上記伸縮機構が、軸方向において伸縮し得、伸縮させる外力に対し抵抗力を生じ、短縮状態においては自己伸張力を発生するものである請求項1乃至4の何れか1項に記載の運動用具。
【請求項6】
上記伸縮機構の他方部分が基体に連結されている位置が、基体のうち上記水平回動軸線の下方位置の近傍である請求項1乃至の何れか1項に記載の運動用具。
【請求項7】
上記足が離脱することを防止するための壁状部又はその他の突部を、上記載用部の外周側の全周にわたり連続して有する請求項1乃至6の何れか1項に記載の運動用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が両足裏で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る両足用の傾斜盤が基体に対し支持されてなる運動用具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3138888号号公報には、使用者が両足裏で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得るものとして、自動角度調整装置付伸展柔軟運動用補助具が開示されている。
【0003】
この自動角度調整装置付伸展柔軟運動用補助具は、人が踏台に乗ったまま、踏台の角度を自動的に調整できるものであるが、モータを駆動しなければ角度を調整することができないため、必ずしも手軽な使用に適するものとは言えない。
【0004】
伸縮ダンパを利用して傾斜盤の角度を調節することも考えられるが、リハビリ等に用いる場合にバランスを崩して伸縮ダンパに足を引っ掛けたり伸縮ダンパと別の部分との間に足が挟まったりすることにより怪我の原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3138888号号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、傾斜盤における水平回動軸線よりも前方の所定箇所の下側が伸縮機構により上下動可能な状態で支持されることにより、前方に向かって上方傾斜した状態の傾斜盤に使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る、安全性の高い運動用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 使用者が両足裏で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る両足用の傾斜盤が基体に対し支持されてなる運動用具であって、
前記傾斜盤は、その傾斜盤の前後方向中間位置において、横方向の水平回動軸線の回りに回動して傾斜角度が変化し得るように基体に対し支持されており、
前記傾斜盤の下側に、軸方向が前後方向である伸縮機構を有し、
その伸縮機構は、伸縮により互いに軸方向に相対的に移動する一方部分を前側に他方部分を後側に有するものであり、
前記傾斜盤のうち前記水平回動軸線よりも前方の所定箇所の下側が、前記他方部分が前記基体のうち、前記水平回動軸線よりも下方であって、傾斜盤の前後方向中間位置の下方の部分に連結された前記伸縮機構の前記一方部分に連結されることにより、前記傾斜盤に覆われた前記伸縮機構により上下動可能な状態で支持され、
前方に向かって上方傾斜した状態の前記傾斜盤に使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得るものであることを特徴とする運動用具。
【0008】
(2) 上記傾斜盤の所定箇所が、傾斜盤のうち足裏で載ることができる部分よりも前方である上記(1)記載の運動用具。
【0009】
(3) 上記傾斜盤が前方に向かって上方傾斜し得る限界角度を調節する限界角度調節部を、前記傾斜盤の後部に有する上記(1)又は(2)記載の運動用具。
【0010】
(4) 上記水平回動軸線の位置が、傾斜盤の前後方向中央を中心として前後方向長さの2分の1の範囲である上記(1)乃至(3)の何れか1項に記載の運動用具。
【0011】
(5) 上記伸縮機構の他方部分が、基体のうち、上記水平回動軸線よりも下方であって、傾斜盤の前後方向中央を中心として前後方向長さの2分の1の範囲の下方の部分に連結されている上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の運動用具。
【0012】
(6) 上記伸縮機構の他方部分が基体に連結されている位置が、基体のうち上記水平回動軸線の下方位置の近傍である上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の運動用具。
【0013】
(7) 上記傾斜盤が、足裏で載ることができる部分の外周側に、足が離脱することを防止するための壁状部又は突部が、全周にわたり連続して又は間欠的に設けられたものである上記(1)乃至(6)の何れか1項に記載の運動用具。
【発明の効果】
【0014】
本発明の運動用具によれば、傾斜盤に覆われた伸縮機構によりその傾斜盤における水平回動軸線よりも前方の所定箇所の下側が上下動可能な状態で支持されることにより前方に向かって上方傾斜した状態の傾斜盤に使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】運動器具の前方斜視図である。
図2】運動器具の後方斜視図である。
図3】運動器具の下部後方拡大斜視図である。
図4】傾斜盤が前方に下降傾斜して受止された状態の運動器具の下部後方拡大斜視図である。
図5】運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図6】傾斜盤が前方に大きく上方傾斜した状態の運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図7】限界角度調節部が別の例である運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図8】限界角度調節部が更に別の例である運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図9図8の例の運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図10図8の例の運動器具の下部前方拡大斜視図である。
図11図8の例の運動器具の下部後下方拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1] 本発明の実施の形態
【0017】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図面は何れも本発明の運動器具の実施の形態の例についてのものである。
【0019】
本発明の運動用具は、使用者が両足裏(履物又は靴下を履いている場合は履物又は靴下裏)で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る両足用の傾斜盤Lが基体Bに対し支持されてなるものである。
【0020】
(1) 本発明の運動用具は、使用者が使用中又は乗り降りの際にバランスを崩すことを防ぐ上で、正面前方の両側に支柱が設けられた門形フレームHの上部が正面後方側に傾斜して上部の左右水平部が正面後方側(使用者側)に位置するものを把手部Haとして設けることができる。把手部Haの高さは、締め付けネジHbを緩めて調節することができる。
【0021】
(2) 傾斜盤Lは、使用者が両足裏で共に載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチ運動を行い得るものである。
【0022】
(2-1) 傾斜盤Lは、鋼板からなる剛性及び強度が比較的高い基盤体Ld上に合成樹脂の上載体Lxが結合してなる。
【0023】
(2-2) 傾斜盤Lの上載体Lxにおける足裏で載ることができる載用部Laの外周側には、足が離脱することを防止するための壁状部Lbが全周にわたり連続して設けられている。
【0024】
(3) 傾斜盤Lは、前後方向中間位置において、横方向(傾斜盤Lの前後方向に対し直交する方向)の水平回動軸Sの回りに回動して傾斜角度が変化し得るように基体Bに対し支持されている。水平回動軸Sの位置は、傾斜盤Lの前後方向の中央部である。
【0025】
(4) 傾斜盤Lの下側には、軸方向が前後方向である伸縮機構D(伸縮ダンパ)を有する。
【0026】
(4-1) 伸縮機構Dは、伸縮により互いに軸方向に相対的に移動する一方部分Daを前側に他方部分Dbを後側に有し、軸方向において伸縮し得、伸縮させる外力対し、伸縮速度に対し比例的に抵抗力が増大する抵抗力を生じ、短縮状態においては自己伸張力を発生する。
【0027】
(4-2) 伸縮機構Dの前記一方部分Daは、前記傾斜盤Lの前端部Lcの下側を支持している。
【0028】
伸縮機構Dの前記他方部分Dbは、基体Bのうち水平回動軸Sの下方位置のやや前の位置に連結されている。
【0029】
(5) これにより、傾斜盤Lの前端部Lcは、傾斜盤Lに覆われた伸縮機構Dにより、上下動可能な状態で基体Bに対し支持され、前方に向かって上方傾斜した状態の傾斜盤Lに使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る。もし傾斜盤Lを前方へ下降傾斜させた場合は、最終的には基体の前端部に上向きに設けられたゴム製の受止部Baにより受止される。
【0030】
なお、この運動用具は、傾斜盤Lに使用者が両足裏で載った状態で、前方に向かって傾斜盤Lを下降傾斜させる運動等を伸縮機構Dによる負荷を利用しつつ行うこともできる。
【0031】
(6) この運動用具は、傾斜盤Lが前方に向かって上方傾斜し得る限界角度を調節する限界角度調節部Jを有し、傾斜盤Lに使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行う際の傾斜盤Lの前方に向かう上方傾斜角度を、限界角度調節部Jで調節することにより、使用者の特性に応じたストレッチ運動を行うことができる。
【0032】
限界角度調節部Jは、傾斜盤Lの後端部の左右方向中央部の一箇所に設けられているので、使用中に、介助者等が使用者の特性に応じて傾斜盤Lの前方に向かう上方傾斜角度を限界角度調節部Jで調節することを行い易い。
【0033】
図1乃至図6における限界角度調節部Jは、傾斜盤Lの後端中央部に、下方に突出する上側筒状部Paを設け、その上側筒状部Paに挿入される下側筒状部Pbを摺動可能に設け、それらの上側筒状部Paと下側筒状部Pbの側周壁に対応する貫通孔を軸線方向間隔おきに設け、上側筒状部Paに対し下側筒状部Pbを摺動させて両者の全長を調節して両者の貫通孔を一致させた状態で挿通体Pc(ボールロックピン)をそれらの貫通孔に貫通させることにより、床面等に対する上側筒状部Paの高さを調節及び固定し、傾斜盤Lの前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものである。傾斜盤Lの載用部Laに対する上側筒状部Paと下側筒状部Pbの角度は、傾斜盤Lが前方に向かって上向きに傾斜する状態で下側筒状部Pbができるだけ床面等の載置面に対し90度に近く安定性が良好なものとする上で、90度よりもやや後方に開いた角度としている。
【0034】
図7の限界角度調節部Jは、図1乃至図6における下側筒状部Pbの側周壁に、貫通孔ではなく外方に弾性的に突出して外周側の上側筒状部Paの任意の貫通孔に嵌合し得る弾性突出部Pdを設けることにより、上側筒状部Paに対し下側筒状部Pbを摺動させて両者の全長を調節し、床面等に対する上側筒状部Paの高さを調節及び固定して、傾斜盤Lの前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものである。
【0035】
図8乃至図11の限界角度調節部Jは、高さの異なる上面支持部Raを垂直回転軸の回りの周方向の異なる位置に複数設けた支持体Rの何れかの上面支持部Raを選んで、傾斜盤Lの後端中央部の下方突起部Leを支持し得る位置に支持体Rを回転させることにより、傾斜盤Lの前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものである。支持体Rは、基体Bの中央部後方の張出部Bbに設けた支持軸部Bcの回りに回転し得るものとしている。
【0036】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0037】
本発明の運動用具は、使用者が両足裏(履物又は靴下を履いている場合は履物又は靴下裏)で共に載った状態でアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る両足用の傾斜盤が基体に対し支持されてなるものである。
【0038】
(1) 本発明の運動用具は、使用者が使用中又は乗り降りの際にバランスを崩すことを防ぐ上で、支柱や柵やフレーム等の支持構造部により支持された又はそれらの一部である把手部や手すり部やつかまり部等の把持部を設けることが好ましい。またこれらは高さを調節できることが望ましい。
【0039】
例えば、正面前方の両側に支柱が設けられた門形フレームの上部が正面後方側に傾斜して上部の左右水平部が正面後方側(使用者側)に位置するものを把手部として設けることができる。
【0040】
また例えば、支柱等により上方に支持された把手部を、円柱状又はその他の柱状外形の上下の両左右水平部及び左右の両略上下方向部を有し、上左右水平部よりも下左右水平部が正面後方側(使用者側)に位置し、左右の両略上下方向部は下方に向かって正面後方側に傾斜しているものとして、使用者が乗り降りする際や使用して運動している間に把持し易くすることができる。また左右の両略上下方向部は、前記支柱等よりも前方に向かって傾斜しているものとすることができる。
【0041】
(2) 傾斜盤は、使用者が両足裏で共に載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチ運動を行い得るものである。
【0042】
(2-1) 傾斜盤は、このようなストレッチ運動を行う上で十分な強度や剛性が必要であると共に、使用者が裸足や靴下のみを履いた状態で載るのに適したもの(例えば、季節により冷え過ぎたり熱過ぎたりせず、あまり硬さがなく、柔らかすぎることもないもの)であることが好ましい。
【0043】
傾斜盤は一体をなすもののほか、例えば、鋼板等又は合成樹脂からなる剛性及び強度が比較的高い基盤体上に合成樹脂又はその他の裸足や靴下のみを履いた状態で載るのに適した材料からなる上載体が結合してなるものとすることができる。
【0044】
(2-2) 傾斜盤は、例えば上載体において、足裏で載ることができる載用部の外周側に、足が離脱することを防止するための壁状部又はその他の突部を有するものとすることができる。このような壁状部又はその他の突部は、全周にわたり連続して又は間欠的に設けることができるが、これに限るものではない。
【0045】
(3) 傾斜盤は、前後方向中間位置において、横方向(傾斜盤の前後方向に対し直交又はほぼ直交する方向)の水平回動軸線の回りに回動して傾斜角度が変化し得るように基体に対し支持されている。
【0046】
(3-1) 水平回動軸線の位置は、傾斜盤の前後方向の中央部、又は、傾斜盤の前後方向中央を中心として例えば前後方向長さの2分の1(従って前後4分の1ずつ)の範囲、好ましくは3分の1又は4分の1の範囲とすることができる。
【0047】
(3-2) 基体は、例えば、床面等に載置されて支持基盤部や支持構造部等を安定的に支持し得るフレームとすることができるが、これに限るものではない。
【0048】
(4) 傾斜盤の下側には、軸方向が前後方向である伸縮機構を有する。
【0049】
(4-1) 伸縮機構は、伸縮により互いに軸方向に相対的に移動する一方部分を前側に他方部分を後側に有する。
【0050】
伸縮機構としては、例えば、軸方向において伸縮し得、伸縮させる外力対し抵抗力を生じ、短縮状態においては自己伸張力を発生するものを用いることができる。伸縮機構として好ましいのは、伸縮速度に対し比例的に抵抗力が増大するもの、例えば伸縮ダンパである。
【0051】
(4-2) 伸縮機構の前記一方部分は、前記傾斜盤のうち前記水平回動軸線よりも前方の所定箇所の下側を支持している。
【0052】
傾斜盤の前記所定箇所は、伸縮機構の全長やストロークを確保する上で、できるだけ前方、例えば傾斜盤の前端部であることが好ましい。
【0053】
伸縮機構の前記他方部分は、傾斜盤の前方側に対する上方支持力をできるだけ発揮する上で、基体のうち、前記水平回動軸線よりも下方であって、傾斜盤の前後方向中間位置の下方の部分に連結されている。
【0054】
この傾斜盤の前後方向中間位置は、傾斜盤の前後方向の中央部、又は、傾斜盤の前後方向中央を中心として例えば前後方向長さの2分の1(従って前後4分の1ずつ)の範囲、好ましくは3分の1又は4分の1の範囲とすることができる。
【0055】
伸縮機構の前記他方部分が基体に連結されている位置は、基体のうち前記水平回動軸線の下方位置の近傍とすることができるが、これに限るものではない。
【0056】
(5) これにより、傾斜盤の前記所定箇所は、傾斜盤に覆われた伸縮機構により、上下動可能な状態で基体に対し支持され、前方に向かって上方傾斜した状態の傾斜盤に使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行い得る。
【0057】
なお、本発明の運動用具は、傾斜盤に使用者が両足裏で載った状態で、前方に向かって傾斜盤を下降傾斜させる運動等の他の運動を行うことができるものであってもよい。
【0058】
(6) 本発明の運動用具は、傾斜盤が前方に向かって上方傾斜し得る限界角度を調節する限界角度調節部を有するものとすることができる。
【0059】
傾斜盤に使用者が両足裏で載ってアキレス腱又はその他の部位のストレッチを行う際の傾斜盤の前方に向かう上方傾斜角度を、限界角度調節部で調節することにより、使用者の特性に応じたストレッチ運動を行うことができる。
【0060】
限界角度調節部は、一箇所に有するものとして一箇所で調節可能とすることが好ましいが、必ずしもこれに限るものではない。
【0061】
(6-1) この限界角度調節部は、傾斜盤の後部(好ましくは後端部、例えば後端部の左右方向中央部)に有するものとして、使用中に、介助者等が使用者の特性に応じて傾斜盤の前方に向かう上方傾斜角度を限界角度調節部で調節し易くすることが望ましい。
【0062】
(6-2) 限界角度調節部の例としては、傾斜盤の後端中央部等に、下方に突出する上側筒状部を設け、その上側筒状部との間で一方が他方に対し挿入される下側筒状部を摺動可能に設け、それらの上側筒状部と下側筒状部の側周壁に対応する貫通孔を軸線方向間隔おきに設け、上側筒状部に対し下側筒状部を摺動させて両者の全長を調節して両者の貫通孔を一致させた状態でボールロックピン等の挿通体をそれらの貫通孔に貫通させることにより、床面等に対する上側筒状部の高さを調節及び固定し、傾斜盤の前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものを挙げることができる。傾斜盤の載用部に対する上側筒状部と下側筒状部の角度は、傾斜盤が前方に向かって上向きに傾斜する状態で下側筒状部ができるだけ床面等の載置面に対し90度に近く安定性が良好なものとする上で、90度よりもやや後方に開いた角度とすることが好ましい。
【0063】
また、これらの上側筒状部と下側筒状部のうち他方に対し挿入されるものの側周壁に、貫通孔ではなく外方に弾性的に突出して外周側の上側筒状部又は下側筒状部の任意の貫通孔に嵌合し得るものを設けることにより、上側筒状部に対し下側筒状部を摺動させて両者の全長を調節し、床面等に対する上側筒状部の高さを調節及び固定して、傾斜盤の前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものを挙げることもできる。
【0064】
或いは、高さの異なる上面支持部を垂直回転軸の回りの周方向の異なる位置に複数設けた支持体の何れかの上面支持部を選んで、傾斜盤の後端中央部等の一部又は下方突起部等を支持し得る位置に支持体を回転させることにより、傾斜盤の前方に向かう上方傾斜角度を調節できるものを挙げることもできる。
【符号の説明】
【0065】
B 基体
Ba 受止部
Bb 張出部
Bc 支持軸部
D 伸縮機構
Da 一方部分
Db 他方部分
H 門形フレーム
Ha 把手部
Hb 締め付けネジ
J 限界角度調節部
L 傾斜盤
La 載用部
Lb 壁状部
Lc 前端部
Ld 基盤体
Le 下方突起部
Lx 上載体
Pa 上側筒状部
Pb 下側筒状部
Pc 挿通体
Pd 弾性突出部
R 支持体
Ra 上面支持部
S 水平回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11