特許第6853976号(P6853976)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6853976
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】運動器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/04 20060101AFI20210329BHJP
   A63B 23/04 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   A63B22/04
   A63B23/04 C
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-257282(P2016-257282)
(22)【出願日】2016年12月29日
(65)【公開番号】特開2018-108231(P2018-108231A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年9月24日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名:第43回 国際福祉機器展H.C.R.2016,開催場所:東京国際展示場「東京ビッグサイト」東展示ホール(東京都江東区有明3−11−1),展示日時:平成28年10月12日午前10時より展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000178583
【氏名又は名称】山崎産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592231398
【氏名又は名称】株式会社ウェルファン
(74)【代理人】
【識別番号】100095522
【弁理士】
【氏名又は名称】高良 尚志
(72)【発明者】
【氏名】尾形 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝臣
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3149700(JP,U)
【文献】 実開平04−061567(JP,U)
【文献】 特開2009−045233(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3128330(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0073942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00 − 26/00
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の両足の足裏をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体を有してなる運動器具であって、
前記左右一対の足支持体の間に前後方向部材を有し、
前記左右一対の足支持体は、上下動し得るように基体に対し支持され、且つ、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体を介して互いに連繋しており、
一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、前記連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差を、前記連繋体による左右の足支持体の連繋状態を変化させて調節し得る調節部であって、その調節部の全体又は所定箇所の位置が前記高低差の変化に応じて変化するものを前記前後方向部材の下側に有し
前記調節部の全体又は所定箇所の位置に基づき前記高低差の程度を表示する表示部を前記前後方向部材の上側に有することを特徴とする運動器具。
【請求項2】
上記前後方向部材が、上記左右一対の足支持体の間において、それらの左右一対の足支持体よりも上方に位置しないものである請求項1記載の運動器具。
【請求項3】
両足支持体の最下位置が一定である請求項1又は2記載の運動器具。
【請求項4】
調節部の全体又は一部が連繋体の一部又は全部を構成するものである請求項1乃至3の何れか1項に記載の運動器具。
【請求項5】
連繋体が複数部分からなり、連繋体の何れかの部分と他の部分が調節部を介して連結したものである請求項記載の運動器具。
【請求項6】
連繋体が可撓性条体であり、一方の足支持体を踏下した場合に、前記可撓性条体に引張力が作用し、その可撓性条体の引張力を介して他方の足支持体が上昇するものである請求項1乃至の何れか1項に記載の運動器具。
【請求項7】
調節部が、連繋体である可撓性条体がとる経路を変化させて左右の足支持体の連繋状態を変化させることにより、上記高低差を調節し得るものである請求項記載の運動器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の両足の足裏をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体を有し、足支持体が上下動する高低差を調節し得る運動器具に関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3114265号公報には、ベースと、調整座と、2枚のペダルと、連結部材と、シリンダとを含んでなり、該ベースの一端には位置決め座を固定接続し、該位置決め座は所定の位置に位置決め管を固定接続し、また、両位置決め管はベースに対向する面に位置決めレールを形成し、該位置決め管は上向きの外側面の所定の位置に突起柱を設け、且つ、位置決め座適宜な位置に外側から内側へ水平に位置決めネジを挿通させ、ベースは、平行する管材に直交する管材の所定の位置に2本の桿体を固定接続し、該調整座は、上方に位置決めレールに対向する導引部を形成し、下方に両側が貫通したフレームを形成し、該フレームは内側にワイヤーを巻きつけた抵抗輪を回動自在に設けてなり、2枚のペダルは、それぞれ前記突起柱の一端に回動自在に設けられ、該ペダルの一端には延伸板が形成され、該延伸板は所定に位置にワイヤーの一端が固定接続され、ワイヤーの他端は抵抗輪に巻きついて設けられるとともに、もう1つの延伸板の一端に固定接続され、さらに、それぞれの延伸板は内側の末端が接続座に固定接続し、連結部材を接続するために供され、該連結部材は、一端に第1貫通孔を形成し、もう1端には第1貫通孔に対して垂直な面に第2貫通孔を形成し、第1貫通孔は接続座上に回動自在に設けてなり、接続部材の一端と第2貫通孔とを接続し、他端をシリンダと接続した後、シリンダの他端を桿体に固定接続し、よって、位置決めネジを調整することにより調整座が移動してワイヤーの弾力性が増加し、ダンピング効果を高め、さらに、接続座と連結部材が回動自在に接続し、ペダルが作動時、左右に動き、連結部材は他端が接続部材に回動自在に接続しているため、接続部材が上下に動き、ペダル作動時に死角が発生することを防ぎ、スムーズな動きを行い、抵抗力を増加して体を鍛える目的を達することができる構造を特徴とする足踏み式健康器が開示されている。
【0003】
この足踏み式健康器では、位置決めネジを調整することにより調整座が移動してワイヤーの弾力性が増加し、ダンピング効果を高め、抵抗力を増加して体を鍛える目的を達することができるものとされている。
【0004】
しかしながら、抵抗力の程度は、使用者の感覚により感取し、調節するほかはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3114265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、使用者の両足の足裏をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体を有し、足支持体が上下動する高低差を調節し得、その高低差の程度を使用者が容易且つ確実に調節し且つ確認し得る運動器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 使用者の両足の足裏をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体を有してなる運動器具であって、
前記左右一対の足支持体は、上下動し得るように基体に対し支持され、且つ、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体を介して互いに連繋しており、
一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、前記連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差を、前記連繋体による左右の足支持体の連繋状態を変化させて調節し得る調節部であって、その調節部の全体又は所定箇所の位置が前記高低差の変化に応じて変化するものと、
前記調節部の全体又は所定箇所の位置に基づき前記高低差の程度を表示する表示部を有することを特徴とする運動器具。
【0008】
上下動し得るように基体に対し支持され、且つ、一方を踏下した場合に他方が上昇するよう連繋体を介して互いに連繋した左右一対の足支持体の、連繋体による連繋状態を、調節部により変化させると、調節部の全体又は調節部における所定箇所の位置が、一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、前記連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差(使用者にとっての負荷)の変化に応じて変化する。
【0009】
使用者は、調節部の全体又は所定箇所の位置に基づき前記高低差の程度を表示する表示部により、前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度を確認しつつ調節部による調節及び運動を行うことができる。
【0010】
(2) 両足支持体の最下位置が一定である上記(1)記載の運動器具。
【0011】
(3) 調節部の全体又は一部が連繋体の一部又は全部を構成するものである上記(1)又は(2)記載の運動器具。
【0012】
(4) 連繋体が複数部分からなり、連繋体の何れかの部分と他の部分が調節部を介して連結したものである上記(3)記載の運動器具。
【0013】
(5) 連繋体が可撓性条体であり、一方の足支持体を踏下した場合に、前記可撓性条体に引張力が作用し、その可撓性条体の引張力を介して他方の足支持体が上昇するものである上記(1)乃至(4)の何れか1項に記載の運動器具。
【0014】
(6) 調節部が、連繋体である可撓性条体がとる経路を変化させて左右の足支持体の連繋状態を変化させることにより、上記高低差を調節し得るものである上記(5)記載の運動器具。
【発明の効果】
【0015】
本発明の運動器具においては、互いに連繋した左右一対の足支持体の、連繋体による連繋状態を、調節部により変化させると、調節部の全体又は調節部における所定箇所の位置が、一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、前記連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差(使用者にとっての負荷)の変化に応じて変化する。
【0016】
そのため、使用者は、調節部の全体又は所定箇所の位置に基づき前記高低差の程度を表示する表示部により、前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度を確認しつつ調節部による調節及び運動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】前上方斜視図である。
図2】前上方要部拡大斜視図である。
図3】側方斜視図である。
図4】後上方斜視図である。
図5】下方斜視図である。
図6】下方要部拡大斜視図である。
図7】底面図である。
図8】後方要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1] 本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図面は何れも本発明の運動器具の実施の形態の一例についてのものである。
【0020】
この運動器具は、使用者の両足の足裏(履物又は靴下を履いている場合は履物又は靴下裏)をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体Tl・Trを有してなるものである。
【0021】
(1) この運動器具は、使用者が使用中又は乗り降りの際にバランスを崩すことを防ぐ上で、方形フレーム状をなす基体Bの前方部中央に立設された支柱Hにより支持された把手部Haを有する。把手部Haの上下方向位置は、締め付けネジHbを緩めて調節することができる。
【0022】
基体Bは、水平状面上に載置されるものであり、方形フレームが構成する面が、載置対象面に平行状となる。
【0023】
支柱Hの基部やや上方位置と、基体Bの後方部中央にわたり、前方に向かって上向きに傾斜する角パイプ製の補強体Uが設けられている。
【0024】
把手部Haは、円柱状外形の上下の両左右水平部Ha1・Ha3及び左右の両略上下方向部Ha2を有し、上左右水平部Ha1及び支柱Hよりも下左右水平部Ha3が正面後方側(使用者側)に位置し、左右の両略上下方向部Ha2は下方に向かって正面後方側に傾斜している。
【0025】
(2) 補強体Uを挟んで左右に位置し、それぞれ縦長長方形板状をなす左右一対の足支持体Tl・Trが、基体Bの前方部に設けられた左右水平方向の回動軸Sl・Srの回りに上下回動し得るように支持されている。左右一対の足支持体Tl・Trは、それぞれ左右回動軸Sl・Srの正逆回動(揺動)と共に上下動し得る。
【0026】
(3) 左右一対の足支持体Tl・Trには、それぞれの下側に、使用者が足支持体Tl・Trを踏み下ろす運動に対し適当な負荷を加えるための負荷と、足支持体Tl・Trを最上位置へ復元させるための復元力発生を行う負荷・復元力発生部として、軸方向において伸縮し得、伸縮させる外力対し抵抗力(伸縮速度に対し比例的に抵抗力)を生じ、短縮状態においては自己伸張力を発生する伸縮ダンパDがそれぞれ設けられている。
【0027】
(4) 左右一対の足支持体Tl・Trは、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体を介して互いに連繋している。
【0028】
左右の足支持体Tl・Trの前方部に位置し各足支持体の上下動と共にそれぞれ水平方向回動軸線のまわりに揺動する左右の回動軸Sl・Srの下側において径方向外方に突設された左右連結用突設部Sla・Sra同士を、調節部を構成する滑車Pを介して略U字状をなすように配した可撓性条体W(ワイヤロープ)の両端に連結することにより、左右一対の足支持体Tl・Trは、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体(可撓性条体W及び滑車P)を介して互いに連繋している。可撓性条体Wは、両端がそれぞれ左右連結用突設部Sla・Sraに連結されて略U字状の開口部を構成し、中間部が滑車Pの手前側に掛けられて略U字状の折り返し屈曲部を構成し、平面視において略U字状をなす。
【0029】
図に示されるように右の足支持体Trを踏み込むと、右回動軸Srが手前に向かって下向きに回動するので、右連結用突設部Sraは右回動軸Srの下側において前方へ回動する。可撓性条体Wの右端部が右連結用突設部Sraによって前方へ引かれ、滑車Pを介して左連結用突設部Slaを後方へ引くこととなる。それにより、左回動軸Slが手前に向かって上向きに回動し、左の足支持体Tlが上昇することとなる。左の足支持体Tlを踏み込んだ場合は同様にして右の足支持体Trが上昇する。
【0030】
(5) 滑車Pは、左右の回動軸Sl・Srの手前側における両回動軸Sl・Srの間に上下方向の回転軸線が位置するように配され、支柱Hに対し螺合したほぼ前後方向の調節ねじRにより滑車Pの回動軸を支持する滑車支持体Phの前後方向位置、すなわち滑車Pの前後方向位置が調節される。
【0031】
滑車支持体Phには、補強体Uの上側に達する指標体E(表示部)が設けられており、滑車支持体Phの前後方向位置、すなわち滑車Pの前後方向位置が、使用者が使用中において及び滑車Pの位置調節時に視認し得るように指標体Eにより補強体Uの上側に示される。
【0032】
両足支持体Tl・Trがそれぞれ達し得る最上位置は、調節ねじRにより滑車Pの前後方向位置を調節することにより変化させることができる。両足支持体Tl・Trの最下位置は、基体Bにより支持される位置であり、滑車Pの位置にかかわらず常に同じである。
【0033】
略U字状をなす可撓性条体Wの折り返し位置に位置する滑車Pを、調節ねじRにより、可撓性条体の略U字状の開口側(前)又は折り返し部側(後)に移動させることによって、一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、連繋体(可撓性条体W及び滑車P)を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差を変化させることができる。
【0034】
滑車Pの位置を様々に変更して足支持体Tl・Trをそれぞれ最下位置まで踏み込んだ場合、その最下位置は滑車Pの位置にかかわらず一定で変わらないため、左右連結用突設部Sla・Sraが、それぞれの回動軸Sl・Srの下側において前方へ回動して到達する最前方位置も一定である。
【0035】
滑車Pを略U字状の開口側(前)に移動させた場合、左の足支持体Tlが最下位置、右の足支持体Trが最上位置に位置する状態で右の足支持体Trを最下位置に踏み込むと、可撓性条体Wは、その右端部が右連結用突設部Sraによって一定の最前方位置へ引かれ、可撓性条体Wの他端である左端部は滑車Pを介して後方へ引かれるが、その後方へ引かれる距離は短くなる。一定の最前方位置にあった左連結用突設部Slaが可撓性条体Wの左端部により後方へ引かれて移動する距離は短くなって左連結用突設部Slaが到達する位置は前寄りとなり、左回動軸Slが手前に向かって上向きに回動する中心角は減少し、それに伴い、左の足支持体Tlの最上位置までの上昇量は低減する。左の足支持体Tlを踏み込んだ場合も同様である。従って、滑車Pを略U字状の開口側(前)に移動させた場合は、足支持体の高低差は減少する。
【0036】
滑車Pを略U字状の折り返し部側(後)に移動させた場合、左の足支持体Tlが最下位置、右の足支持体Trが最上位置に位置する状態で右の足支持体Trを最下位置に踏み込むと、可撓性条体Wは、その右端部が右連結用突設部Sraによって一定の最前方位置へ引かれ、可撓性条体Wの他端である左端部は滑車Pを介して後方へ引かれるが、その後方へ引かれる距離は長くなる。一定の最前方位置にあった左連結用突設部Slaが可撓性条体Wの左端部により後方へ引かれて移動する距離は長くなって左連結用突設部Slaが到達する位置は後寄りとなり、左回動軸Slが手前に向かって上向きに回動する中心角は増大し、それに伴い、左の足支持体Tlの最上位置までの上昇量は増大する。左の足支持体Tlを踏み込んだ場合も同様である。従って、滑車Pを略U字状の折り返し部側(後)に移動させた場合は、足支持体の高低差は増大する。
【0037】
このように滑車Pの位置を調節ねじRを用いて変化させることによって、すなわち滑車Pと調節ねじRからなる調節部によって、連繋体(可撓性条体W及び滑車P)による左右の足支持体Tl・Trの連繋状態を変化させ、一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、連繋体(可撓性条体W及び滑車P)を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差、すなわち(使用者にとっての負荷)を調節することができる。
【0038】
調節部を構成する滑車Pの前後方向位置は、前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度に対応するものであり、指標体Eにより、使用者が使用中において及び滑車Pの位置調節時に視認し得るように補強体Uの上側に示されるので、使用者は前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度を容易且つ確実に調節することができると共に、その高低差(使用者にとっての負荷の程度)を確認しつつ運動を行うことができる。補強体Uの上側には、指標体Eの位置の変化による前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度に対応する目盛りLが示されている。
【0039】
[2] 本発明の実施の形態を、上記以外の形態を含めて更に説明する。
【0040】
本発明の運動器具は、使用者の両足の足裏(履物又は靴下を履いている場合は履物又は靴下裏)をそれぞれ上向きに支持した状態で上下動し得る左右一対の足支持体を有してなるものである。
【0041】
(1) 本発明の運動器具は、使用者が使用中又は乗り降りの際にバランスを崩すことを防ぐ上で、支柱や柵やフレーム等の支持構造部により支持された又はそれらの一部である把手部や手すり部やつかまり部等の把持部を設けることが好ましい。またこれらは高さを調節できることが望ましい。
【0042】
例えば、支柱等により上方に支持された把手部を、円柱状又はその他の柱状外形の上下の両左右水平部及び左右の両略上下方向部を有し、上左右水平部よりも下左右水平部が正面後方側(使用者側)に位置し、左右の両略上下方向部は下方に向かって正面後方側に傾斜しているものとして、使用者が乗り降りする際や使用して運動している間に把持し易くすることができる。また左右の両略上下方向部は、前記支柱等よりも前方に向かって傾斜しているものとすることができる。
【0043】
また例えば、正面前方の両側に支柱が設けられた門形フレームの上部が正面後方側に傾斜して上部の左右水平部が正面後方側(使用者側)に位置するものを把手部として設けることができる。
【0044】
(2) 左右一対の足支持体が、上下動し得るように基体に対し支持されている。
【0045】
基体は、例えば、床面等に載置されて足支持体を安定的に支持し得るフレームとすることができるが、これに限るものではない。
【0046】
足支持体は、使用者を足裏において上向きに安定的に支持し得るような例えば板状体又は枠状体等とすることができるが、これに限るものではない。
【0047】
左右一対の足支持体は、例えば、各足支持体の前部又は前方に設けた左右水平方向又はほぼ左右水平方向の回動軸を中心として各足支持体が上下揺動するものとすることができる。
【0048】
(3) 左右一対の足支持体は、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体を介して互いに連繋している。
【0049】
連繋体としては、例えば、可撓性条体(ワイヤロープ、各種繊維製ロープ、各種紐状体、各種鎖状体等)、可撓性条体の方向を変えるための滑車装置、リンク機構、伸縮させることが可能な連結体、これらの2以上の組み合わせを挙げることができる。
【0050】
例えば、連繋体が可撓性条体であり、一方の足支持体を踏下した場合に、前記可撓性条体に引張力が作用し、その可撓性条体の引張力を介して他方の足支持体が上昇するものとすることができる。その場合例えば、両足支持体を、一方と他方が対称的に上下動するように可撓性条体と滑車を用いて連繋させることができる。
【0051】
(4) 使用者が足支持体を踏下する運動に対し適当な負荷を加えるための負荷発生部、足支持体を最上位置へ復元させるための復元力発生部、又は両者を兼ねた負荷・復元力発生部等を、必要に応じ、足支持体に対し作用するように設けることができる。
【0052】
このような負荷・復元力発生部の例としては、軸方向において伸縮し得、伸縮させる外力対し抵抗力(伸縮速度に対し比例的に抵抗力が好ましい)を生じ、短縮状態においては自己伸張力を発生する伸縮ダンパを挙げることができるが、これに限るものではない。
【0053】
(5) 一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差(左右の足支持体の対応する所定部位の上下方向位置)は、調節部により、連繋体による左右の足支持体の連繋状態を変化させて調節し得る。
【0054】
調節部により、連繋体による左右の足支持体の連繋状態を変化させると、調節部の全体又は調節部における所定箇所の位置が、前記高低差(使用者にとっての負荷)の変化に応じて変化する。
【0055】
(5-1) 調節部の全体又は所定箇所の位置に基づき前記高低差の程度を表示する表示部を設けることにより、使用者は前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度を容易且つ確実に調節することができると共に、その高低差(使用者にとっての負荷の程度)を確認しつつ運動を行うことができる。
【0056】
(5-2) 両足支持体の最下位置は、例えばそれぞれ一定であるものとすることもできる。この場合、最上位置と最下位置の高低差の変化は最上位置の高さの変化に対応する。
【0057】
両足支持体の前記高低差は等しいものとすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。また両足支持体の最上位置同士及び最下位置同士の一方又は両方を等しくすることができるが、必ずしもこれに限るものではない。
【0058】
(5-3) 調節部の全体又は一部が連繋体の一部又は全部を構成するものとすることもできる。
【0059】
例えば、長さを変化させて調節する調節部が連繋体を構成するものとすることができる。或いは例えば、連繋体が複数部分からなり、連繋体の何れかの部分と他の部分が調節部(例えば長さを変化させて調節するもの)を介して連結したものとすることができる。
【0060】
(5-4) 例えば、連繋体が可撓性条体であり、一方の足支持体を踏下した場合に、前記可撓性条体に引張力が作用し、その可撓性条体の引張力を介して他方の足支持体が上昇するものとすることができる。
【0061】
その場合、調節部が、連繋体である可撓性条体がとる経路を変化させて左右の足支持体の連繋状態を変化させることにより、上記高低差を調節し得るものとすることができる。
【0062】
(5-5) より具体的には、例えば、左右の足支持体の上下動と共にそれぞれ揺動する部分同士を、調節部を構成する滑車を介して略U字状又は略V字状をなすように配した可撓性条体の両端に連結することにより、左右一対の足支持体は、一方の足支持体を踏下した場合に他方の足支持体が上昇するよう連繋体(可撓性条体及び滑車)を介して互いに連繋するものとすることができる。
【0063】
この場合に、両足支持体の最下位置は常に同じであるとすると、略U字状又は略V字状をなす可撓性条体の折り返し位置に位置する滑車を、可撓性条体の略U字状又は略V字状の開口側又は折り返し部側に移動させることによって、一方の足支持体が踏下されて達する最下位置と、連繋体を介して連繋した他方の足支持体が踏下されることにより前記一方の足支持体が上昇して達する最上位置との高低差を変化させることができる。滑車を略U字状又は略V字状の開口側に移動させれば高低差は減少し、奥側に移動させれば高低差は増大する。
【0064】
滑車の位置をねじ機構などの適宜の滑車移動機構を用いて変化させることによって、すなわち滑車と滑車移動機構からなる調節部によって、連繋体による左右の足支持体の連繋状態を変化させることができる。
【0065】
滑車の位置を表示する表示部を設けることにより、使用者は前記高低差、すなわち使用者にとっての負荷の程度を容易且つ確実に調節することができると共に、その高低差(使用者にとっての負荷の程度)を確認しつつ運動を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
B 基体
D 伸縮ダンパ
E 指標体
H 支柱
Ha 把手部
Ha1 左右水平部
Ha2 略上下方向部
Ha3 下左右水平部
Hb 締め付けネジ
L 目盛り
P 滑車
Ph 滑車支持体
R 調節ねじ
Sl 左回動軸
Sla 左連結用突設部
Sr 右回動軸
Sra 右連結用突設部
Tl 左足支持体
Tr 右足支持体
U 補強体
W 可撓性条体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8