(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザの操作に応じて、前記第1の電気分解部又は前記第2の電気分解部のいずれか一方、若しくは両方を稼動させるよう、前記第1の電気分解部及び前記第2の電気分解部を制御する制御部と
を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解水生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0010】
<第1の実施の形態>
次に、
図1〜
図5を用いて実施の形態について説明する。
図1において10は、全体として気泡電解水生成装置を示している。気泡電解水生成装置10では、電気分解により生成した電解水を媒体液とし、ナノバブルを含む電解水である気泡電解水を生成する。
【0011】
気泡電解水生成装置10では、電気分解によってアルカリ性電解水及び酸性電解水の双方を生成し、アルカリ性電解水を循環・濃縮する一方、酸性電解水にナノバブルを含有させ、気泡電解水として気泡電解水提供部18から供給するようになされている。
【0012】
なお図示しないが、気泡電解水生成装置10は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部20(図示せず)が気泡電解水生成装置10の全体を統括的に制御するようになされている。
【0013】
気泡電解水生成装置10では、電気分解部13によって生成した発生ガス及び電解水をそのまま気液送出部15、ポンプ16、ナノバブル生成部17へ送出することにより、ナノバブルとして発生ガスを含有する気泡電解水を生成する。このとき、全体の系(電気分解部13〜ナノバブル生成部17)を密閉系とし、所定の圧力下において発生ガス及び電解水を分離することなくそのまま混合することにより、発生ガスの成分を効率良く溶解及びナノバブル化することが可能となる。
【0014】
原水供給部11は、制御部20による開閉機構の開閉制御により、気泡電解水を生成するときにのみ原水を電気分解部13に供給する。原水供給部11は、圧力をかけた状態で電気分解部13に対して原水を供給する。また、接続された水道水などの水圧が高すぎる場合には、減圧バルブなどの減圧機構を構成しても良い。
【0015】
原水としては、水道水や電解水、純水、精製水など種々のものを使用できる。また、前段に各種フィルターを設置することにより、不純物などの不要成分を除去した水を使用しても良い。
【0016】
ナノバブルとして含有させる気体(混合ガス)としては、特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。例えば、空気、水素、酸素、二酸化炭素などが好ましい。
【0017】
電解質供給部12は、制御部20による制御により、電解質水溶液を電気分解部13に供給する。電解質としては特に制限されず、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩酸、塩化カリウム、塩化カルシウムなど、水に溶解して電解質としての特性を示す既知の化合物を適宜使用することができる。特に、電気分解によって強酸性(pH5.0以下)及び強アルカリ性(pH10.0以上)の電解水が生成される電解質が好適に用いられる。便宜上、電解質として塩化ナトリウムを使用した場合について説明するが、これに限られない。
【0018】
電気分解部13は、原水を電気分解して電解水を生成できる構成であればよく、陽極を有するアノード室51と、陰極を有するカソード室52とを有する2槽型の電解槽が用いられる。電気分解部13では、酸性電解水を気液送出部15に供給する一方、アルカリ性電解水を電解質供給部12に戻して循環させる構成を有している。電気分解部13の詳細な構成については後述する。
【0019】
気液送出部15は、発生ガス及び電解水を高速攪拌により混合したり、高速旋回させたりすることにより、一定時間に亘って発生ガスと電解水とを接触させつつ、発生ガスと電解水とを偏りがないようほぼ均等の割合でポンプ16に送出する。なお、この気液送出部15による混合では、ナノバブルの発生量は殆どない又は非常に少量である(ナノバブル生成部17と比較して個数比で10%未満)。
【0020】
気液送出部15の構成の一例を
図2及び
図3に示している。
図2に示すように、気液送出部15は、円筒状の円筒部材70の上側の矩形状でなる板状部材71及び72と、下側の矩形状でなる板状部材73とで挟んだ形状を有している。
【0021】
板状部材71〜73は、円筒部材70の底面を構成すると共に、円筒部材70に対して電解水及び混合ガスを供給する供給経路を有している。
図3に示すように、電解水(発生ガス含む)は、板状部材71に形成された供給経路71a〜71dを介して円筒部材70に供給される。また、板状部材72には供給経路72a及び72bが形成されており、ナノバブル生成部17によって生成された気泡電解水の一部がオーバーフローした場合に配管17Bを介して円筒部材70に供給される。
【0022】
供給経路71a〜71d及び72a〜72bは、円筒部材70に対して接線方向に略平行(±30°)に設けられており、流入した電解水(電解水及び気泡電解水)が円筒部材70の内面に沿って周回するように形成されている。
【0023】
また、板状部材73の中心部分には、電解水及び混合ガス(発生ガス)が混合された混合水を排出する孔である排出経路73aが設けられており、配管15Aを介して混合水が排出される。この配管15Aの内部では、低速旋回流が発生し、ポンプ16までの間、電解水及び混合ガスを攪拌されると考えられ、大きなガス溜りが形成されることを抑制できる。
【0024】
この結果、上側から供給され下側から排出される上下方向の力と、円筒部材70に沿って供給される電解水及び排出経路73aの位置関係により、電解水及び混合ガスは高速攪拌されながら円筒部材70内部を旋回し、混合ガスが小さな気泡となってよく混じり合った状態で配管15Aを介してポンプ16に供給される。
【0025】
この気液送出部15では、例えば高速旋回による遠心分離効果によって大きな圧力を発生させ、大きな圧力下において発生ガス及び電解水を気相及び液層の界面で接触させて特に塩素ガスなど水に対する溶解性の高い気体の溶解を促進するだけでなく、ポンプ16によって発生する圧力の影響を電気分解部13に伝わらないようにする役割も担う。言い換えると、気液送出部15は、高速旋回によって電気分解部13−気液送出部15−ポンプ16間の圧力の伝達を分断して断ち切ることが可能である。
【0026】
なお、気液送出部15の前段(配管14A)における圧力は、例えば−15kpa〜+15kpa、より好ましくは−10kpa〜+10kpaになるように、制御されている。これにより、前段の電気分解部13に対して圧力が負荷されるのを抑制し、隔膜45の損傷などを未然に防止し得る。この制御は、配管17Bに設けられた電磁弁の調整によって行われる。調整の結果、上記圧力範囲に収まらない場合には、装置の保護のため緊急停止する。
【0027】
ガス供給部14は、気液送出部15に対して供給する混合気体を供給する。例えば混合気体として空気を混合する場合、ガス供給部14としてエアーポンプや圧縮空気などが使用される。このガス供給部14は、発生ガスでは不足する気体量を補うためのものであり、必ずしも必須ではない。混合ガスとして発生ガスのみを使用することも可能である。なお、本実施形態では、発生ガスに含まれる塩素ガスを薄めることなく高割合で電解水へ溶解させるため、気液送出部15ではなくポンプ16に混合ガスを混合しているが、気液送出部15に混合ガスを供給しても良い。この場合、板状部材71及び72の上面、中央近傍から混合ガスを混合することにより、渦の中心に混合ガスが混合できるためが好ましい。
【0028】
ポンプ16(
図1)としては、特に限定されず、公知の種々のものを使用することができる。例えば、羽根で回転するバブリングポンプ(例えばSUS製汎用渦流タービンポンプ20NPD07Z(株式会社ニクニ製))を用いると、ナノバブル生成部17の前段において気液の混合が進むため好ましい。ポンプ16は、配管15Aを介して供給される混合水に圧力を印加し、例えば20L/minの定量で配管16Aを介して当該混合水をナノバブル生成部17へ供給する。このとき、気液送出部15の効果により混合水に大きなガス溜りが殆ど存在せず、ガス噛みなどによりポンプ16に不具合が生じにくく、安定した流量で混合水をナノバブル生成部17へ供給することができる。
【0029】
ナノバブル生成部17は、高速旋回によって媒体液(混合水)に気体からなるナノバブル(微細気泡)を含有させる高速旋回方式のナノバブル発生器でなり、その構成に制限はない。図示しないが、ナノバブル生成部17は、例えば複数の円筒部材内を旋回させながら衝突により角度を変化させる構成を有している。
【0030】
ナノバブル生成部17は、気体と媒体液とを旋回させて速度を出した状態で、比重差による気液界面を作り出し、界面で生じる気液の摩擦によりナノバブルを生成する。さらに、ナノバブル生成部17は、媒体液を壁面に衝突させてその進行方向を変化させることにより、媒体液の流れを乱し、気体と媒体液とを激しく撹拌して混合する。この結果、気体と媒体液との物理的な衝突作用により気泡が細かくなり、さらに多くのナノバブルが形成される。
【0031】
ナノバブル生成部17は、媒体液を高速旋回させながら、当該媒体液の進行方向を急変化させる。これにより、ナノバブル生成部17は、媒体液に対してより大きな加速度を加えることができ、気体と媒体液との物理的な衝突作用により気泡を分散させて微細にすることができる。ナノバブル生成部17は、高速旋回する媒体液を壁面に衝突させることにより、当該媒体液の旋回方向を80°以上の急角度で変化させることが好ましい。
【0032】
ナノバブル生成部17は、所定の圧力下において高速旋回によりナノバブルが発生した気泡電解水を気泡電解水提供部18に供給する。気泡電解水提供部18は、開閉機構を有しており、制御部20の制御により開閉機構を開閉する。
【0033】
ヘンリーの法則により、液体に加わる圧力が大きいと気体の溶解度が向上する。したがって、気体の存在下で液体に圧力をかけ、急激に圧力を下げることにより、溶解していた気体が液体中で微細気泡となることが知られている。
【0034】
気泡電解水提供部18が蛇口方式で気泡電解水をユーザに供給する場合、蛇口から排出された瞬間に圧力が解放される。また、後段に設置された洗浄装置などが接続された場合には、気泡電解水提供部18に配管(図示せず)が接続されることになり、後段の洗浄装置内部や貯留タンク内部で圧力が大気圧まで一気に解放されるよう、気泡電解水生成装置10の外部に圧力解放部(図示せず)が設けられている。このとき、気泡電解水中に溶解していた気体の一部がナノバブルとなり、気泡電解水中のナノバブルを増大させることができる。
【0035】
このように、気泡電解水生成装置10では、ナノバブル生成部17よりも前段に気液送出部15を設け、ポンプ16の伝送経路を利用して混合ガスと電解水との接触時間を長く設けるようにした。これにより、電解水に対して混合ガスを馴染ませ、気泡が小さくなりやすい状態してナノバブル生成部17によるナノバブルの生成を増大できると共に、電解水に対する混合ガスの溶解度を向上させ、圧力解放時に生成されるナノバブルを増大させることができる。
【0036】
また、発生ガスの一部として塩素ガスを発生させる(すなわち電解質に塩素を含む)場合、気体の溶解特性により水に対する溶解性の高い塩素が優先的に電解水に溶解する。この現象は、気体と液体との接触時間が長いほど顕著に表れる。従って、ナノバブル生成部17に供給される混合水において、混合気体及び酸素ガス(オゾンガスを含む)は気体として残るものの、塩素ガスの殆どは混合水中に溶解した状態となる。
【0037】
この状態で混合水をナノバブル生成部17に供給すると、高速旋回方式によって生成されるナノバブルに塩素ガスは殆ど含まれないことになる。もちろん、圧力解放時に塩素の一部がナノバブル化すると考えられるが、溶解度が高いため優先的に他の気体がナノバブル化されるため、塩素の多くは気泡電解水中に溶解した状態で存在することができる。
【0038】
気泡電解水を殺菌・除菌剤などとして使用する場合、溶解させた状態の塩素濃度が非常に重要となる。気泡電解水生成装置10では、発生ガスの一部として塩素ガスを発生させる場合、電気分解により発生した塩素成分の殆どを気泡電解水中に溶解させた状態で存在させることが可能となるため、有効塩素濃度を向上させることができ、殺菌・除菌の効果を高めることができる。
【0039】
すなわち、
図4に示すように、本発明の気泡電解水生成処理RT1では、ステップSP101において原水を加圧供給し、ステップSP102において原水を電気分解することにより電解水を生成する。
【0040】
ステップSP103において、電解水及び発生ガスが搬送され、ステップSP104において当該電解水及び発生ガスが均等に混合されて混合水が生成され送出される。ステップSP105において、混合水はポンプを介して圧送され、ステップSP106において高速旋回方式によりナノバブルが生成される。
【0041】
そしてステップSP107において圧力が解放され、圧力解放方式によりナノバブルが生成される。
【0042】
このように、ステップSP101〜ステップSP106までの間を密閉系として圧力下で高速旋回方式によりナノバブルを発生させた後、圧力解放方式によりナノバブルを発生させると共に、電解水と発生ガス(及び混合ガス)とを十分に馴染ませる時間を確保できるため、ナノバブルを一層増大させることが可能となる。
【0043】
次に、電気分解部13の構成について説明する。
【0044】
図5の断面図に示すように、透水性の陰極44及び陽極43の間に隔膜45を設けた2槽型の電解槽13Xを電気分解部13として用いている。電気分解部13では、アノード室51に原水を供給し、カソード室52に電解質水溶液を供給することにより、隔膜45を透過させて電解質(陰イオン)をカソード室52からアノード室51に移動させることにより電気分解を行う構成でなる。
【0045】
上述したように、気液送出部15によって緩和されるものの、密閉系となるアノード室51は加圧された状態となる。一方、密閉系でないカソード室52は加圧されないため、アノード室51とカソード室52間で圧力差が生じることになる。
【0046】
そこで、陰極44によってアノード室51とカソード室52の全面を離隔すると共に当該陰極44に孔を形成し、当該陰極44のアノード室側に対し、陰極44に貼り合わせて孔を塞ぐように隔膜45を設けている。なお隔膜45は、いずれかの電極の近傍に設置されればよい。
【0047】
これにより、強度のある陰極44に隔膜45が支えられ、圧力差に耐え得ることができる。なお、陰極44の孔のサイズや割合に制限はないが、圧力差によって隔膜が伸びてしまうことを防止するため、孔のサイズは極力小さく(例えば直径1cm以下、より好ましくは0.3cm程度)し、特定の箇所に応力のかからない円形とすることが好ましい。また、陰極44に厚みを利用して、孔の形状をアノード室51側へ行くに従って径が大きくなるすり鉢状にしたり、角を丸くして隔膜の特定箇所に応力がかかりにくいようにすることが好ましい。
【0048】
図5及び
図6に示すように、この電気分解部13では、電解槽の底面近傍にアノード室51に対して原水が供給される第1の原水供給口41が設けられている。また、電解槽の天面に酸性電解水を排出する酸性電解水排出口48が設けられている。なお電解槽の天面とは、アノード室51の内面の天面を指す。以下、同様である。
【0049】
このため、原水は下から上へ向けて進行し、酸性電解水として上部の酸性電解水排出口48から排出される。このとき、電気分解によって発生する発生ガスは浮力により上部へ移動し、酸性電解水排出口48から効率良く排出される。
【0050】
従って、電気分解部13から排出される酸性電解水は、発生ガス(塩素ガス及び酸素ガス)を含んだ状態となる。電気分解部13は、生成した発生ガス及び電解水を配管13Aを介して気液送出部15へ供給する。
【0051】
一方、電解槽の底面近傍にアノード室51に対して電解質(塩化ナトリウム)を溶解させた電解質水溶液が供給される電解質供給口42が設けらている。また、電解槽の天面にアルカリ性電解水を排出するアルカリ性電解水排出口49が設けられている。
【0052】
このため、電解質水溶液は下から上へ向けて進行し、アルカリ性電解水排出口49から排出される。このとき、電気分解によって発生する発生ガスは浮力により上部へ移動し、アルカリ性電解水排出口49から効率良く排出される。
【0053】
かかる構成に加えて、本実施の形態では、
図7に示すように、電気分解部13として、2槽型の電解槽13Xに加え、1槽型の電解槽13Yを組み合わせて使用している。
【0054】
電解質供給タンク65は、循環タンク63よりも容量の大きいタンクを有しており、制御部20の制御により電解質水溶液を循環タンク63へ供給する。なお、気泡電解水生成装置10では、制御部20の制御によってポンプ66、67及び83が駆動され、電解質水溶液が必要量だけ電解槽13X及び13Yへ供給される。
【0055】
すなわち、原水供給部11から配管11Aを介してアノード室51に原水が供給されると、循環タンク63から配管62を介して電解質水溶液がカソード室52に供給されると、電解槽13Xは電気分解を行い、配管61を介してアルカリ性電解水を循環タンク63へ供給する一方、配管13Aを介して酸性電解水を気液送出部15へ供給する。
【0056】
このとき、循環タンク63からカソード室52に供給された電解質水溶液中の電解質が隔膜45を介してアノード室51に供給され、電解質の一部が消費されると共に、配管61を介して循環タンク63へと戻される。
【0057】
ここで、循環タンク63には、電解槽13Xの稼動時間に応じて電解質供給タンク65から電解質水溶液が配管64を介して供給される。循環タンク63は、所定量の電解質水溶液を電解槽13Xに供給し、同量の電解質水溶液が戻るため、電解質供給タンク65から供給される電解質水溶液の分量だけオーバーフローする。このオーバーフローした電解質水溶液は、配管55を介して電解槽13Yへと供給される。
【0058】
電解槽13Yは、陰極84及び陽極85を備える無隔膜電解室81を有しており、原水が配管11Aを介して供給される。この配管11Aには、配管55と配管86とが接続されており、循環タンク63から供給される電解質水溶液と電解補助液供給部87から供給される電解補助液とが混合された状態で、原水を無隔膜電解室81に供給する。
【0059】
電解補助液供給部87には、電解質が溶解された電解補助液が貯留されている。電解補助液としては、特に限定されず、水に溶解して電解質としての特性を示す既知の化合物を適宜使用することができる。電解水として微酸性電解水を生成したい場合には、塩酸水溶液又は塩酸・塩化ナトリウム混合水溶液が好適に使用される。その濃度や割合に制限はなく、取り扱いの容易さや用途に応じた塩素濃度になるように適宜選択される。例えば、5〜20重量%の塩化ナトリウムと、10%塩酸に換算して5〜30重量%の塩酸が溶解した塩酸・塩化ナトリウム混合水溶液や、5〜30重量%の塩酸水溶液が使用される。
【0060】
本実施の形態では、循環タンク63からpHがアルカリ側の電解質水溶液が供給されるため、供給される電解質水溶液のpHに応じて、電解補助液を構成することが好ましい。具体的には、塩化ナトリウムの濃度を通常の1槽型の電解槽で使用される濃度よりも高く(例えば7〜20重量%)設定することにより、生成される酸性電解水のpHをターゲットするpH値に調整することができる。また、電解補助液として敢えて塩酸水溶液を使用することにより、電解槽13Xで生成された酸性電解水のpHをアルカリ側にシフトさせることも可能である。
【0061】
電解槽13Yは、供給される原水を電気分解し、生成した酸性電解水を配管88を介して配管13Aへ供給し、配管13Aを介して気液送出部15へ供給する。この結果、気液送出部15には、電解槽13Xによって生成された酸性電解水と電解槽13Yによって生成された酸性電解水が混合された状態で供給される。
【0062】
このように、2槽型の電解槽13Xで循環使用した電解質水溶液を1槽型の電解槽13Yで再利用することにより、本来必要であった電解質水溶液の排出経路が不要となる。また、電解質水溶液を循環使用することにより、電解質水溶液のpHが低下することが知られているが、電解質水溶液を廃棄しないため、廃棄の際に設置する必要のあった中和槽が不要となる。このため、気泡電解水生成装置10では、電解質水溶液を廃棄すること無く有効利用できると共に、構成を簡易にすることができる。
【0063】
<第2の実施の形態>
次に、
図8を用いて第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、電解補助液供給部87がない点と、電解質水溶液の内容が
図7に示した第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を附し、説明を省略する。
【0064】
図8に示すように、気泡電解水生成装置10X(図示しない)は、電解補助液供給部87を有していないため、電解槽13Yには、循環タンク63から供給される電解質水溶液と原水とが供給される。第2の実施の形態において、電解質水溶液は、例えば電解槽13Yの電解補助液として使用するのに適した塩化ナトリウム・塩酸水溶液が使用される。
【0065】
制御部20は、電解槽13Yが必要とするだけの量の電解質水溶液を電解質供給タンク65から循環タンク63に供給してオーバーフローさせる。この結果、電解槽13Yが必要とする量の電解質水溶液が供給される。
【0066】
これにより、第1の実施の形態と同様、電解質水溶液を廃棄しなくて済むと共に、電解補助液供給部87が不要となり、気泡電解水生成装置10Xの構成を簡易にすることができる。
【0067】
<第3の実施の形態>
次に、
図9を用いて第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、循環使用した電解質水溶液が電解補助液供給部87に供給される点と、電解槽13Xによって生成される酸性電解水が気液送出部15に送出される一方、電解槽13Yによって生成される酸性電解水が酸性電解水提供部90から排出される点が
図7に示した第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を附し、説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、電解水生成装置10Y(図示せず)では、循環タンク63に接続された配管55が電解補助液供給部87に接続され、当該電解補助液供給部87から接続された配管86が配管11Aに接続されている。すなわち、循環タンク63から電解槽13Yへと延びる配管上に電解補助液供給部87が設けられている。
【0069】
従って、循環タンク63でオーバーフローした電解質水溶液は、電解補助液供給部87に貯留され、電解補助液として電解槽13Yへ供給される。
【0070】
また、電解槽13Xによって生成された酸性電解水は気液送出部15に供給され、微細気泡を含有する気泡電解水として気泡電解水提供部18から排出される。一方、電解槽13Yによって生成された酸性電解水は酸性電解水提供部90から排出される。すなわち、電解水生成装置10Yでは、微細気泡を含有する気泡電解水と微細気泡を含有しない酸性電解水の両方を提供することが可能となる。
【0071】
図示しない操作部に対する操作により、気泡電解水又は酸性電解水を供給する旨のユーザの操作要求を認識すると、制御部20は開閉機構53を開状態に遷移させて原水を電解槽13Xに供給すると共に、電解質供給タンク65から循環タンク63へ電解質水溶液を供給する。このとき、循環タンク63においてオーバーフローした電解質水溶液は、電解補助液供給部87に貯留される。
【0072】
一方、図示しない操作部に対する操作により、微細気泡を含有しない酸性電解水を供給する旨のユーザの操作要求を認識すると、制御部20は開閉機構54を開状態に遷移させて原水を電解槽13Yに供給すると共に、電解補助液供給部87から電解槽13Yへ電解補助液を供給させる。もちろん、電解槽13X及び13Yを同時に稼動させ、後段に設置された貯留タンク(図示しない)に貯留させることも可能である。
【0073】
また図示しないが、配管13A及び88を混合及び切替が可能な混合切替弁によって接続し、微細気泡を含有する気泡電解水と、微細気泡を含有しない酸性電解水とを提供することも可能である。
【0074】
このように、循環使用した電解質水溶液を電解補助液供給部87に貯留することにより、電解質水溶液の再利用ができると共に、電解槽13X及び13Yをそれぞれ別個に動作させやすくできる。
【0075】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0076】
陽極(陽極43)を有するアノード室(アノード室51)と陰極(陰極44)を有するカソード室(カソード室52)と、該アノード室及び該カソード室を隔てる隔膜(隔膜45)とを有する第1の電気分解部(電解槽13X)と、
前記アノード室及び前記カソード室に対して原水を供給する第1の原水供給部(原水供給部11)と、
前記アノード室及び前記カソード室のうち、いずれか一方に対して電解質が溶解した電解質水溶液を供給すると共に、前記電解質水溶液を回収して循環させる電解質循環部(循環タンク63)と、
陽極(陽極85)及び陰極(陰極84)を備えた無隔膜電解室(無隔膜電解室81)を有する第2の電気分解部(電解槽13Y)と、
前記無隔膜電解室に対して原水を供給する第2の原水供給部(原水供給部11)と、
前記無隔膜電解室に対して前記電解質循環部から前記電解質水溶液を供給する電解質供給経路(配管55)と
を有することを特徴とする電解水生成装置。
【0077】
これにより、第1の電気分解部で使用した電解質水溶液を第2の電気分解部で使用することができる。
【0078】
前記電解質循環部に対して電解質水溶液を供給する電解質供給部(電解質供給タンク65)を有することを特徴とする。
【0079】
これにより、自動的に電解質水溶液の供給を行うことができ、自動での長時間の稼働が可能となる。
【0080】
前記無隔膜電解室に対して電解補助液を供給する電解補助液供給部(電解補助液供給部87)を有することを特徴とする。
【0081】
これにより、第2の電気分解部に適した電解補助液を用いて電解水を生成できる。
【0082】
前記電解質水溶液は、塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする。
【0083】
これにより、安価で安全な塩化ナトリウム水溶液を用いて電解水を生成できる。
【0084】
前記電解補助液は、塩酸を含有することを特徴とする。
【0085】
これにより、第2の電気分解部によって微酸性の酸性電解水を生成することができる。
【0086】
前記電解質循環部は、前記第2の電気分解部が消費する電解質の全量を前記無隔膜電解室に供給することを特徴とする。
【0087】
これにより、電解補助液供給部が不要となるため、電解水生成装置としての構成を簡易にすることができる。
【0088】
前記電解質水溶液は、塩酸及び塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする。
【0089】
これにより、第1の電気分解部によって弱酸性の酸性電解水を、第2の電気分解部によって微酸性の酸性電解水を生成することができる。
【0090】
ユーザの操作に応じて、前記第1の電気分解部又は前記第2の電気分解部のいずれか一方、若しくは両方を稼動させるよう、前記第1の電気分解部及び前記第2の電気分解部を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0091】
これにより、弱酸性の酸性電解水、微酸性の酸性電解水及びこれらを混合した酸性電解水を自在に供給することができる。
【0092】
前記電解質循環部から供給される前記電解質水溶液を貯留して電解補助液の一部とし、前記無隔膜電解室に対して電解補助液を供給する電解補助液供給部を有することを特徴とする。
【0093】
これにより、第1の電気分解部のみを稼動して生成された使用済みの電解質水溶液を貯留できるため、第1の電気分解部と第2の電気分解部とを別個に稼動させることが容易となる。
【0094】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、後段に設置されたナノバブル生成器によって、電解水に微細気泡を含有させて気泡電解水を排出するようにしたが、単純に電解水をそのまま排出しても良い。この場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】
上述実施形態では、循環タンク63をオーバーフローさせることにより、電解室水溶液を無隔膜電解室81又は電解補助液供給部87へ供給するようにしたが、必ずしもオーバーフローさせる必要は無く、必要量だけをポンプなどにより圧送したり、一定回数循環させた後、全量を配管55上に設けられた電解補助液供給部87に供給しても良い。
【0096】
上述実施形態では、第1の電気分解部としての電解槽13Xと、第1の原水供給部及び第2の原水供給部としての原水供給部11と、電解質循環部としての循環タンク63と、第2の電気分解部としての電解槽13Yと、電解質供給経路としての配管55とによって電解水生成装置としての気泡電解水生成装置10を構成した。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる、第1の電気分解部と、第1の原水供給部及び第2の原水供給部と、電解質循環部と、第2の電気分解部と、電解質供給経路とによって本発明の電解水生成装置を構成しても良い。
【0097】
上述実施形態では、電解質水溶液が供給される電解質供給室として、カソード室にアルカリ性電解水を循環させるようにしたが、本発明はこれに限らず、アノード室を電解質供給室として酸性電解水を循環させてもよい。
【0098】
さらに上述実施形態では、電解槽13Xとして1つの電解槽を有するようにしたが、2つ以上の電解槽を有しても良い。この場合、混合液(発生ガス及び電解水)が、複数の経路(配管)を介して気液送出部15に供給される。このとき気液送出部15は、複数の電解槽で製造された混合液を均等に混合する役割をも担う。また、電解槽13Yについても同様であり、2つ以上の電解槽を使用することができる。
【0099】
また上述実施形態では、発生ガス及び混合気体を混合ガスとして混合したが、外部に気泡電解水を貯留する外部タンクを有する場合、当該外部タンクにおいて上層に溜った塩素ガスを含む気体を混合気体として供給することも可能である。これにより、混合水中の塩素濃度をさらに上昇させることができる。
【0100】
さらに上述実施形態では、電解質供給タンク65から循環タンク63に対して電解質水溶液を供給したが、電解質と原水とを供給しても良い。この場合、循環タンク63内に攪拌羽根などの攪拌機構を有することが好ましい。
【0101】
また上述の実施の形態においては、高速旋回によってナノバブルを生成するようにした場合について述べた。本発明はこれに限らず、必ずしも高速旋回させる必要はなく、例えば複数回に亘って媒体液を蛇行させるなどして物理的な衝突作用を生じさせることにより微細気泡を発生させても良い。