【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の空調システムでは、自然換気設備にて空調対象域の換気を行う際、外気温が低温となる冬季などにおいて、ペリメータ用空調設備にて暖房されている空調対象域のペリメータ側における壁部の上部から低温外気が導入されるので、空調対象域のペリメータ側で低温外気の自然降下(所謂、コールドドラフト)が生じ、ペリメータ側に居る者に不快感を与える不都合がある。
また、外気温が高温となる夏季には、ペリメータ用空調設備にて冷房されている空調対象域のペリメータ側における壁部の上部から高温外気が導入されることから、一年を通じて空調対象域のペリメータ側に空調負荷とは相反する温度帯の外気を直接的に導入することになり、ペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を招く不都合もある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、コールドドラフトの発生やペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を抑制しながら、自然換気設備による自然換気を行うことのできる空調システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、空調対象域のペリメータ側の空調を行うペリメータ用空調設備と、空調対象域の自然換気を行う自然換気設備と、空調対象域のインテリア側の空調を行うインテリア用空調設備と、が備えられ、
前記自然換気設備の給気口が、前記ペリメータ用空調設備の空気吹出口よりも空調対象域のインテリア側で、前記ペリメータ用空調設備の空気吹出口と前記インテリア用空調設備の空気吹出口との間に配置され、
前記自然換気設備の排気口が、前記インテリア用空調設備の空気吹出口に対して前記自然換気設備の給気口とは反対側に配置され、
前記自然換気設備が、前記ペリメータ用空調設備の空気吹出口と前記インテリア用空調設備の空気吹出口との間に配置される前記給気口から空調対象域に給気し、前記インテリア用空調設備の空気吹出口に対して前記自然換気設備の給気口とは反対側に配置される前記排気口から排気する形態で空調対象域の自然換気を行
い、
前記ペリメータ用空調設備及び前記インテリア用空調設備は、空調対象域のペリメータ側とインテリア側とで空調負荷の種別が異なる場合でも、ペリメータ側とインテリア側の夫々の空調負荷に応じて夫々の温熱環境を調整可能な空調設備であり、
前記ペリメータ用空調設備が、空調対象域のペリメータ側の暖房負荷に応じてペリメータ側の温熱環境を調整し、前記インテリア用空調設備が、空調対象域のインテリア側の冷房負荷に応じてインテリア側の温熱環境を調整する点にある。
【0008】
本構成によれば、自然換気設備にて空調対象域の自然換気を行う際、ペリメータ用空調設備の空気吹出口よりも空調対象域のインテリア側に配置された給気口から、ペリメータ用空調設備から吹き出される調整空気よりも空調対象域のインテリア側に外気を導入するので、空調対象域のペリメータ側への外気の導入を抑制し、空調対象域のインテリア側への外気の導入を促進することができる。
よって、外気温が低温となる冬季などにおいて、ペリメータ用空調設備にて暖房されている空調対象域のペリメータ側で低温外気の自然降下(所謂、コールドドラフト)が生じるのを抑制することができ、ペリメータ側に居る者への不快感を低減することができる。
また、一年を通じて空調対象域のペリメータ側に対して空調負荷とは相反する温度帯の外気の導入を抑制することができるので、導入外気によるペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を抑制することができる。
したがって、コールドドラフトの発生やペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を抑制しながら、自然換気設備による自然換気を行うことができる。
【0009】
さらに、自然換気設備にて空調対象域の自然換気を行う際のコールドドラフトの発生やペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を抑制できることで、自然換気を有効に利用できる外気条件を拡大することができる。よって、自然換気を行う機会を増やすことが可能となり、自然換気による省エネルギー化を促進することができる。
【0010】
しかも、自然換気設備にて空調対象域の換気を行う際の空調対象域のインテリア側への外気の導入を促進することができるので、例えば、外気温が低温であるにもかかわらず、空調対象域のインテリア側で冷房負荷が生じている場合に、外気冷房による省エネルギー性の向上も図ることも可能となる。
【0012】
加えて、自然換気設備にて空調対象域の自然換気を行う際、ペリメータ用空調設備の空気吹出口とインテリア用空調設備の空気吹出口との間に配置された自然換気設備の給気口から導入される外気により、インテリア用空調設備で調整されたインテリア側の領域と、ペリメータ用空調設備で調整されたペリメータ側の領域との間での空気の流通を抑制することができる。
したがって、空調対象域のペリメータ側とインテリア側とで空調負荷の種別が異なる場合において、ペリメータ用空調設備によるペリメータ側の空調(例えば暖房)とインテリア用空調設備によるインテリア側の空調(例えば冷房)とを、混合損失(ミキシングロス)を抑制した状態で効率的に行うことができ、省エネルギー性を一層向上させることができ
る。
【0013】
本発明の第
2特徴構成は、前記自然換気設備の給気口が、前記ペリメータ用空調設備の空気吹出口よりもインテリア側の箇所からインテリア側に向けて横向きに給気する状態で設置されている点にある。
【0014】
本構成によれば、自然換気設備にて空調対象域の自然換気を行う際、自然換気設備の給気口の背面側となるペリメータ側への外気の導入を一層抑制しながら、給気口の正面側となるインテリア側への外気の導入を一層促進することができる。
さらに、自然換気設備の給気口を天井面等の水平面の近くからインテリア側に向けて横向きに給気するようにすれば、コアンダー効果により給気の流れが当該水平面に沿った流れになり易く、ペリメータ側への外気の導入を更に抑制しながら、インテリア側への外気の導入を更に促進することができる。
したがって、自然換気設備にて空調対象域の換気を行う際のコールドドラフトの発生やペリメータ用空調設備の空調負荷の増大を一層抑制することができる。また、自然換気を有効に利用できる外気条件を一層拡大して自然換気による省エネルギー化を一層促進することができるとともに、外気冷房による省エネルギー性を一層向上させることができる。
【0015】
本発明の第
3特徴構成は、空調対象域のペリメータ側の空調を行うペリメータ用空調設
備と、空調対象域の自然換気を行う自然換気設備と、が備えられ、
前記自然換気設備の給気口が、前記ペリメータ用空調設備の空気吹出口よりも空調対象
域のインテリア側に配置され、
空調対象域の天井側において、前記自然換気設備における外気取込口から給気口までの
給気流路に、上方側に曲がった後に下方側に曲がる屈曲部が備えられ、
前記屈曲部の下の窪み空間に、前記ペリメータ用空調設備が設置されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、自然換気設備の給気口をペリメータ用空調設備の給気口よりもインテリア側に配置するための給気流路の屈曲部の上方側に曲がった部位が水返しとなって給気流路を通じて空調対象域に雨水が浸入することを抑制することができる。しかも、給気流路の上方側に曲がった後に下方側に曲がる屈曲部の下の窪み空間を利用してペリメータ用空調設備を合理的且つ見栄えよく設置することができる。