【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために請求項1に示す発明は、
仕上構造であって、
可燃性基材と、
前記可燃性基材よりも一方側に設けられた熱伝導率が0.02〜0.25(W/(m・K))の遮熱材と、
前記遮熱材よりも前記一方側に設けられた金属層と、
前記金属層よりも前記一方側に設けられた厚さが2〜10μmのアルミニウム層と、
前記アルミニウム層よりも前記一方側に設けられた可燃性の表面材と、を有し、
前記金属層の厚さは、前記アルミ層の前記厚さよりも厚いことを特徴とする。
【0009】
上記請求項1に示す発明によれば、表面材が火にさらされた際の可燃性基材へ入熱を抑制して、当該可燃性基材が着火するまでの時間を長く確保することができる。そして、その結果、可燃性基材の防火性能を不燃レベルまで高めることができる。なお、可燃性基材への入熱抑制作用については、次の通りである。
【0010】
先ず、表面材が火にさらされると、表面材が燃えるが、そうすると、アルミニウム層が露出して、同層の輝面で輻射熱を反射する。そして、これにより、可燃性基材への入熱を抑制することができる。
【0011】
また、かかるアルミニウム層は、2〜10μmという薄厚である。そのため、時間が経つと、アルミニウム層も速やかに溶け落ちる。よって、アルミニウムが溶け落ちずに高温で残留する場合に起こり得る不具合、すなわち、残留するアルミニウム自身の熱量で、可燃性基材への入熱が大きくなることを防ぐことができる。また、同アルミニウム層が溶け落ちる際には、表面材が燃えてなる煤等を巻き込んで溶け落ちる(以下、「溶融自浄機能」とも言う)。よって、表面材が燃えた煤などが、この後に露出する金属層の輝面に残存した場合に起こり得る不具合、すなわち、黒い煤が付着した金属層の輝面で輻射熱を反射し難くなってしまい可燃性基材への入熱が大きくなることも防ぐことができる。
【0012】
更に、同アルミニウム層が溶け落ちた後には金属層が露出するが、そうすると、当該金属層は、上述したことに基づいて、煤等の無い同層の輝面により輻射熱を速やかに反射する。そして、これにより、可燃性基材への入熱を抑制することができる。
【0013】
また、この金属層の厚さは、アルミニウム層の厚さよりも厚くなっている。よって、アルミニウム層を溶け落ち易くしながらも、金属層を破れ難くすることができる。そして、これにより、金属層の輝面での輻射熱の反射を長く維持できて、結果、可燃性基材への入熱の抑制を長く維持できる。
【0014】
また、かかる金属層と可燃性基材との間には、熱伝導率が0.02〜0.25(W/(m・K))の遮熱材が位置している。よって、最後には、その高い遮熱性でもって金属層から可燃性基材への入熱を抑制することができる。
【0015】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の仕上構造であって、
前記遮熱材の比重は1以下であることを特徴とする。
【0016】
上記請求項2に示す発明によれば、遮熱材の比重は1以下であるので、遮熱材の内部には空気が含まれている。よって、空気による断熱を奏し得て、その結果、同遮熱材は高い遮熱性を奏することができる。
【0017】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2に記載の仕上構造であって、
前記アルミニウム層と前記表面材との間には、坪量が50(g/m
2)以下の紙が介挿されていることを特徴とする。
【0018】
上記請求項3に示す発明によれば、アルミニウム層と表面材との間には、紙が介挿されている。よって、アルミニウム層と表面材との付着性を高めることができる。
また、かかる紙の坪量は50(g/m
2)以下である。よって、アルミニウム層よりも上記一方側の可燃性物質の総量を減らすことができる。そして、これにより、当該可燃性物質が燃えることによる熱量の生成を抑制することができて、最終的に、このことは、可燃性基材への入熱の抑制に寄与する。
【0019】
請求項4に示す発明は、
請求項3に記載の仕上構造であって、
前記アルミニウム層よりも前記一方側に位置する可燃性物質の総量が、400(g/m
2)以下であることを特徴とする。
【0020】
上記請求項4に示す発明によれば、アルミニウム層よりも上記一方側の可燃性物質の総量を少なくすることができる。そして、これにより、当該可燃性物質が燃えることによる熱量の生成を抑制することができて、最終的に、このことは、可燃性基材への入熱の抑制に寄与する。
【0021】
請求項5に示す発明は、請求項4に記載の仕上構造であって、
前記アルミニウム層と
前記紙とを接着する第1接着剤と、前記紙と前記表面材とを接着する第2接着剤と、を有し、
前記可燃性物質は、前記第1接着剤、前記紙、前記第2接着剤、及び前記表面材であることを特徴とする。
【0022】
上記請求項5に示す発明によれば、アルミニウム層と表面材との間には、紙が介挿されている。よって、アルミニウム層と表面材との付着性を高めることができる。また、可燃性物質は、第1接着材、紙、第2接着材、及び表面材である。よって、アルミニウム層と表面材との間に紙を接着で介挿させる場合に必要な最小限の構成にすることができて、このことは、上述の可燃性物質の総量を少なくすることに有効に寄与する。
【0023】
請求項6に示す発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の仕上構造であって、
前記金属層の融点は、前記アルミニウム層の融点よりも高いことを特徴とする。
【0024】
上記請求項6に示す発明によれば、金属層の融点は、アルミニウム層の融点よりも高くなっている。よって、アルミニウム層を溶け落ち易くしながらも、金属層を破れ難くすることができる。
【0025】
請求項7に示す発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の仕上構造であって、
前記金属層は、ステンレス層であること特徴とする。
【0026】
上記請求項7に示す発明によれば、金属層はステンレス層である。よって、アルミニウム層の融点よりも高い融点の金属層を比較的廉価に設けることができる。
【0027】
請求項8に示す発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の仕上構造であって、
前記遮熱材は不燃材であることを特徴とする。
【0028】
上記請求項8に示す発明によれば、上記の遮熱材は不燃材である。よって、遮熱材の燃焼起因の可燃性基材への入熱を防ぐことができる。
【0029】
請求項9に示す発明は、請求項1乃至8の何れかに記載の仕上構造であって、
前記アルミニウム層は、溶融自浄機能を有することを特徴とする。
【0030】
上記請求項9に示す発明によれば、上記アルミニウム層は、溶融自浄機能を有する。よって、前述したように、表面材が燃えた煤などが、このアルミニウム層の溶融後に露出する金属層の輝面に残存することを防ぐことができる。