特許第6854280号(P6854280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ムスタング サンプリング, エルエルシーの特許一覧

特許6854280試料プローブシステム、多流路試料取り出しおよび回収プローブ、および抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法
<>
  • 特許6854280-試料プローブシステム、多流路試料取り出しおよび回収プローブ、および抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法 図000002
  • 特許6854280-試料プローブシステム、多流路試料取り出しおよび回収プローブ、および抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854280
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】試料プローブシステム、多流路試料取り出しおよび回収プローブ、および抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20210329BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   G01N1/10 R
   G01N1/00 101F
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-511261(P2018-511261)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-534533(P2018-534533A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016050179
(87)【国際公開番号】WO2017058465
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2019年7月3日
(31)【優先権主張番号】62/235,107
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/252,686
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515256545
【氏名又は名称】ムスタング サンプリング, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MUSTANG SAMPLING, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ロルストン, クロード エー.
【審査官】 高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0036800(US,A1)
【文献】 実開昭54−103281(JP,U)
【文献】 特開2004−184105(JP,A)
【文献】 特開平07−035658(JP,A)
【文献】 特公平07−069252(JP,B2)
【文献】 米国特許第05018395(US,A)
【文献】 米国特許第05325731(US,A)
【文献】 特開2014−112045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 30/00 − 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料源からの膨張性および爆発性の高い流体試料の抽出および流体試料源への再注入のための試料プローブシステムであって、
細長い単一ステンレス鋼の試料抽出プローブ本体であって、
流体試料抽出ポートと、抽出流体試料出口ポートと、前記流体試料抽出ポートと前記抽出流体試料出口ポートとの間に延びるのに十分な第1の選択長さにわたって、前記試料抽出プローブ本体の伸長方向のほぼ軸方向に延びる第1の抽出流体連通流路とを有し、
記単一ステンレス鋼の試料抽出プローブ本体に一体構造でありそれぞれ別個の回収流体試料再注入口と回収流体試料再注入出口、および前記第1の抽出流体連通流路の少なくとも一部とほぼ並行で前記第1の抽出流体連通流路からずれて配置され、第2の選択長さにわたり軸方向に延びる第2の再注入流体連通流路を規定し、
前記第1の抽出流体連通流路が、前記流体試料源と前記抽出流体試料出口ポートとの間の第1の選択長さの流体連通を確立し、前記第2の再注入流体連通流路が前記試料抽出プローブ本体に沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを規定する、
前記試料抽出プローブ本体と、
前記抽出流体試料出口ポートと流体連通する試料取り出しラインと、
前記試料取り出しラインに接続され、前記回収流体試料再注入出口と流体連通する試料回収ラインと、
前記試料取り出しラインの下流で前記回収流体試料再注入出口の上流に前記試料回収ラインに沿って配置されるポンプであって、前記試料回収ライン内の回収流体試料の圧力を上昇させて、そこを通過する流体試料を加圧してスピードループ再注入システムを提供するポンプと、を特徴とする試料プローブシステム。
【請求項2】
前記試料抽出プローブ本体が一体型円筒状構造を規定し、前記第1の選択長さが前記プローブの伸長する全長に相当し、前記第2の選択長さが前記第1の選択長さよりも短いことを特徴とする、請求項1に記載の試料プローブシステム。
【請求項3】
前記試料再注入出口が前記流体試料抽出ポートから軸方向にずれていることをさらに特徴とする、請求項2に記載の試料プローブシステム。
【請求項4】
試料調整装置と前記試料回収ラインの両方に接続された試料調整流体搬送ラインをさらに特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の試料プローブシステム。
【請求項5】
前記ポンプが、前記第1の抽出流体連通流路および試料調整装置の下流にある前記試料回収ラインと一列に配置されることをさらに特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の試料プローブシステム。
【請求項6】
前記ポンプが前記試料回収ラインと一列に配置された計量ポンプであることをさらに特徴とする、請求項5に記載の試料プローブシステム。
【請求項7】
前記試料再注入出口が前記プローブの伸長方向と垂直に横方向を向くことをさらに特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の試料プローブシステム。
【請求項8】
前記ポンプが極低温ポンプであることをさらに特徴とする、請求項6に記載の試料プローブシステム。
【請求項9】
関連するチャンバからの膨張性および爆発性の高い流体試料を単一プローブスピードループ再注入するための多流路試料取り出しおよび回収プローブであって、
単一ステンレス鋼本体を規定し、前記関連する流体チャンバ内まで延びるのに十分な軸長さを有し、第1の軸方向に延びる流路および第2の軸方向に延びる流路を前記単一ステンレス鋼本体中に規定する試料プローブであり、流体連通を確立する前記第1の軸方向に延びる流路が、前記試料プローブを通って前記流体チャンバから流体を通過させる第1の選択長さを有し、前記第2の軸方向に延びる流路が前記プローブに沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを有する、前記試料プローブと、
前記第1の軸方向に延びる流路と流体連通する試料取り出しラインと、
前記試料取り出しラインに接続され、前記第2の軸方向に延びる流路と流体連通され、前記第2の軸方向に延びる流路が、再注入された流体による前記流体チャンバ内の乱流を最小限にするために試料取り出しからずれた回収排出ポートを有する試料回収ラインと、を特徴とする多流路試料取り出しおよび回収プローブ。
【請求項10】
前記第2の軸方向に延びる流路が少なくとも1つの横方向に配置された排出ポートをさらに有することをさらに特徴とする、請求項9に記載の多流路試料取り出しおよび回収プローブ。
【請求項11】
前記第2の軸方向に延びる流路が少なくとも1つの横方向に配置された入口ポートを有することをさらに特徴とする、請求項9に記載の多流路試料取り出しおよび回収プローブ。
【請求項12】
前記試料回収ラインを前記プローブに取り外し可能に固定するように前記入口ポートがねじ付きであることをさらに特徴とする、請求項11に記載の多流路試料取り出しおよび回収プローブ。
【請求項13】
前記多流路試料取り出しおよび回収プローブを前記流体チャンバに取り外し可能に取り付けるための、半径方向に延びる一体型フランジをさらに特徴とする、請求項12に記載の多流路試料取り出しおよび回収プローブ。
【請求項14】
多流路単一プローブの膨張性および爆発性の高い未使用の抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法であって、前記未使用の抽出試料流体を加圧して抽出試料流体源に再注入するためのポンプが組み込まれ、前記プローブが抽出試料流体経路と膨張性および爆発性の高い未使用の流体試料の再注入経路とを備える一体化された単一ステンレス鋼本体を規定し、前記方法が、
a)流体源から膨張性および爆発性の高い流体を抽出する工程と、
b)前記抽出試料流体経路を通って前記流体を連通させる工程と、
c)未使用の抽出試料流体を未使用流体試料の再注入経路に回収する工程と、
d)前記未使用流体試料の再注入経路内での前記未使用の抽出試料流体の圧力を増加させる工程と、
e)前記抽出試料流体源に前記流体を再注入する工程と、を特徴とする方法。
【請求項15】
前記膨張性および爆発性の高い未使用の抽出試料流体を移動させて、前記流体源での流体の乱流を最小限にする工程をさらに特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流体を下流の試料調整器および分析器と連通させる工程をさらに特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
プローブの下流であるが前記試料調整器の上流となる位置に配置されたポンプを用いて前記流体を加圧する工程をさらに特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体の圧力を前記流体源の吸引圧力よりも高くすることをさらに特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記再注入経路に前記ポンプを配置する工程をさらに特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT国際出願は、2016年8月31日出願の米国特許出願第15/252,686号および2015年9月30日出願の米国仮出願第62/235,107号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、単一パイプラインプローブを使用して、試料の取り出しと、過剰抽出された試料のパイプライン処理ストリームへのスピードループ回収を確立するシステムおよび方法に関する。本発明は、低圧ガス源の場合に特に有用である。本発明のさらなる態様は、スピードループをポンプと連係させ、低圧試料ガスの圧力を上昇させて取り出し真空度(すなわち吸引圧力)を相殺し、過剰な試料流体のパイプラインへの再注入を可能にすることである。本発明を使用して、未使用の取り出し流体をパイプライン源に再循環させることにより排出を回避する。
【背景技術】
【0003】
ガス処理産業では、しばしば「ボイルオフガス」または「BOG」と呼ばれる過剰な試料流体をフレアまたは他の廃棄手段によって処理する。過剰抽出された試料を取り出し源またはパイプラインに再循環させることなどにより、フレアを回避するように規定されている場合、通常、第1の取り出しプローブおよび第2の回収プローブを使用することにより、試料の取り出しと未使用の取り出し流体の回収を実施する。特に天然ガスなどの膨張性が高く、さらに爆発性も高い流体の場合には、再注入のための個別の経路と第2の回収プローブを追加すると、システム設備の設置および保守に対する追加要件が加わる。このような付加的な設備の使用は、また、漏れおよび/またはシステム障害の可能性をさらに引き起こす。さらに、液体天然ガス(LNG)などの極低温流体のサンプリングの場合、従来の設計では、事前の気化およびデッドヘッドがもたらす問題を回避するために、試料抽出プローブを試料気化器および調整器の近傍に配置する必要がある。
【0004】
第2の回収プローブを通る個別の流体経路を有することに付随する要件などの、システムに追加する設備、設置および/または保守要件を必要とせずに、未使用の取り出し流体をパイプライン源に再注入することを可能にするシステムは、不必要なシステム構成要素の使用に起因する漏れおよび/またはシステム障害の回避など、ガス処理産業における従来のシステム設計に関連する通常の問題を克服する上で有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、既存技術の欠点を克服することである。
【0006】
ある種の実施形態における本発明の別の目的は、試料の取り出しと、過剰抽出された試料のスピードループ回収に単一のパイプラインプローブを使用するスピードループ再注入システムを提供することである。
【0007】
ある種の実施形態における本発明の別の目的は、過剰抽出された試料流体をパイプラインに再注入できるように、低圧の試料ガス圧力を上昇させることである。
【0008】
ある種の実施形態における本発明のさらなる目的は、未使用の試料取り出し流体をパイプライン源に再循環させて、試料の処理中に発生する廃棄物および排出物を最小限に抑えることである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、不必要な構成要素の使用をシステムから排除することによって、システムへの設備、設置および/または保守の要件を最小限にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的および他の目的を満たす、流体試料源からの流体試料抽出および流体試料源への再注入のための試料プローブは、細長い試料抽出プローブであって、流体試料抽出ポートと、抽出流体試料出口ポートと、流体試料抽出ポートと抽出流体試料出口ポートとの間に延びるのに十分な第1の選択長さにわたって試料抽出プローブの伸長方向のほぼ軸方向に延びる第1の抽出流体連通流路とを有し、該試料プローブが、回収流体試料再注入口、回収流体試料再注入出口、および第1の抽出流体連通流路の少なくとも一部とほぼ並行な第2の選択長さにわたり軸方向に延びる第2の再注入流体連通流路を規定し、第1の軸方向に延びる流路が、流体試料源と抽出流体試料出口ポートとの間の第1の選択長さの流体連通を確立し、第2の軸方向に延びる流路はプローブに沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを規定する、該試料抽出プローブと、抽出流体試料出口ポートと流体連通する試料取り出しラインと、試料取り出しラインに接続され、回収流体試料再注入出口と流体連通する試料回収ラインと、回収流体試料再注入出口の上流に試料回収ラインに沿って配置されるポンプであって、試料回収ライン内の回収流体試料の圧力を上昇させて、そこを通過する流体試料を加圧してスピードループ再注入システムを提供するポンプと、を特徴とする。
【0011】
本発明は、前述の実施形態による先の実施形態のいずれかに対して、試料プローブが一体型構造を規定し、第1の選択長さがプローブの伸長する全長に相当し、第2の選択長さが第1の選択長さよりも短いことを特徴とするさらなる実施形態を提供する。
【0012】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、試料再注入出口が流体試料抽出ポートから軸方向にずれていることを特徴とする別の実施形態を提供する。
【0013】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、試料取り出しラインと試料回収ラインの両方に接続された試料調整流体搬送ラインをさらに特徴とする別の実施形態を提供する。
【0014】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、ポンプが、第1の流路および試料調整装置の下流にある再注入ラインと一列に配置されることを特徴とする別の実施形態を提供する。
【0015】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプが試料回収ラインと一列に配置された計量ポンプであることを特徴とする。
【0016】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、プローブがほぼ円筒形であり、試料再注入出口がプローブの伸長方向と垂直に横方向を向くことを特徴とする。
【0017】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプが極低温ポンプであることを特徴とする。
【0018】
本発明の上記およびさらに他の目的を満たす、関連するチャンバからの流体試料を単一プローブスピードループ再注入するための多流路試料取り出しおよび回収プローブは、関連する流体チャンバ内まで延びるのに十分な軸長さを有し、第1の軸方向に延びる流路および第2の軸方向に延びる流路を規定する試料プローブであって、流体連通を確立する第1の軸方向に延びる流路が、試料プローブを通って流体チャンバから流体を通過させる第1の選択長さを有し、第2の軸方向に延びる流路はプローブに沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを有する、該試料プローブと、第1の流路と流体連通する試料取り出しラインと、試料取り出しラインに接続され、第2の流路と流体連通され、第2の流路が、再注入された流体による流体チャンバ内の乱流を最小限にするために試料取り出しからずれた回収排出ポートを有する試料回収ラインと、を特徴とする。
【0019】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、第2の流路が少なくとも1つの横方向に配置された排出ポートをさらに有することを特徴とする。
【0020】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第2の流路が少なくとも1つの横方向に配置された入口ポートをさらに有することを特徴とする。
【0021】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、試料回収ラインをプローブに取り外し可能に固定するように入口ポートがねじ付きであることを特徴とする。
【0022】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第2の流路が溶接プラグによって入口ポートの上方で密閉されていることを特徴とする。
【0023】
先の5つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、取り出しラインをプローブに取り外し可能に固定するための取り出しポートをさらに特徴とする。
【0024】
先の6つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第1の流路に沿って配置された少なくとも1つの流体試料抽出ポートをさらに特徴とする。
【0025】
先の7つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、プローブを流体チャンバに取り外し可能に取り付けるための、半径方向に延びる一体型フランジをさらに特徴とする。
【0026】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、協働的に配置されたボルト穴を通してフランジをボルト止めすることによりプローブが流体チャンバに固定されることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、多流路単一プローブの未使用抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法であって、未使用の抽出試料流体を加圧して抽出試料流体源に再注入するためのポンプが組み込まれ、該プローブが抽出試料流体経路と未使用流体試料の再注入経路とを備え、該方法が流体源から流体を抽出する工程と、抽出試料流体経路を通って流体を連通させる工程と、未使用の抽出試料流体を未使用流体試料の再注入経路に回収する工程と、未使用流体試料の再注入経路内での未使用の抽出試料流体の圧力を増加させる工程と、抽出試料流体源に流体を再注入する工程と、を特徴とする方法によって満たされる。
【0028】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、未使用の抽出試料流体を移動させ、流体源での流体の乱流を最小限にする工程をさらに特徴とする。
【0029】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、流体を下流の試料調整器および分析器と連通させる工程をさらに特徴とする。
【0030】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、プローブの下流であるが試料調整器の上流となる位置に配置されたポンプを用いて流体を加圧する工程をさらに特徴とする。
【0031】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、流体の圧力が流体源の吸入圧力よりも高いことを特徴とする。
【0032】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプがインラインポンプであることを特徴とする。
【0033】
要約すると、本発明は、抽出流体源に再注入する際に、ポンプを使用してスピードループ回収ライン内の任意の過剰抽出流体の加圧を増加させ、例えば、パイプラインを通る流体の流れによって生じる吸引圧力を抑えることにより、単一のパイプラインプローブによって試料取り出しおよび回収を行うためのスピードループを企図する。
【0034】
本発明はさらに尚、パイプライン処理ストリームにおける流体の乱流を最小限にするために、入口ポートから軸方向にずらして配置された排出ポートを有する、多流路試料取り出しおよび回収プローブを特徴とする要素の組み合わせを企図する。
【0035】
本発明は、スピードループをプローブに組み込むことによって、単一のパイプラインプローブを取り出しおよび試料回収の両方に使用するために提供する。スピードループは、ポンプと連係することが好ましく、ポンプは、スピードループ回収ライン内の流体の圧力を上昇させるため、プローブの下流であるが試料調整装置の上流に位置する小容量極低温ポンプであることが好ましく、またプローブからの付随する流体吐出圧力を増加させることがより好ましい。
【0036】
一実施形態では、プローブは、構造体を下部フランジノズルにボルト止めするためのねじ穴を特徴とする半径方向に延びる溶接されたフランジを有する一体構造を特徴とする。プローブは2つの個別の流体通路を含み、第1の試料取り出し孔がプローブの全長にわたって軸方向に延び、第2の回収孔が、試料取り出し孔の底部上方からプローブ頂部付近の選択距離まで、軸方向に選択距離を延びる。
【0037】
回収孔は、回収入力ポートおよび回収排出ポートを含む。好ましくは、回収入力ポートは、プローブ頂部より下で、かつフランジより上の選択長さで回収孔に対して横方向に配置される。回収入力ポートは、好ましくは、接続されたスピードループ回収ラインへの取り外し可能な固定取り付けを可能にするためにねじ付きである。回収排出ポートは同様に、好ましくは回収孔に対して横方向に配置されるが、過剰抽出された試料がパイプラインに回収されるように選択されたプローブ長さに沿った位置に配置される。回収排出ポートはさらに、試料取り出し流体の流れまたは組成を乱さないように、取り出し孔から十分に離間される。
【0038】
上記の孔は、単一のステンレス鋼シリンダーを使用して機械加工することができる。取り出し孔は、シリンダーの軸方向全長にわたって穿孔され、例えばNational Pipe Thread(NPT)などの適切な規格に従って製造されたねじ付きテーパーを上端に備えている。回収孔は、好ましくは、シリンダーの上端から、シリンダーの軸方向長さよりも短い選択深さまで取り出し孔に平行に穿孔される。次に回収入力ポートおよび回収排出ポートは、回収孔と合流するように横方向に穿孔される。回収入力ポートはねじ付きであり、回収孔の上部は溶接によって密閉されている。次にフランジは、回収入力ポートと回収排出ポートとの間のプローブ本体に沿って、軸方向位置でシリンダーに溶接されている。
【0039】
本発明はまた、対象流体の具体的な組成に基づく圧力変動も企図する。当業者であれば、例えば極低温LNGまたは非極低温NGLのように、採取された流体の具体的な構成によって、いかなる所与の出願も変更されることを理解している。個々の相分析を用いた従来法により容易に決定可能である流体源の組成および相特性に基づいて具体的な流体に応じた要件を調整することで、流体の均質性を高め、試料の相分離を最小限にし、スピードループに関するデッドヘッドを回避することにより試料の回収が促進される。
【0040】
過剰抽出された試料の圧力を上昇させるために使用されるポンプは、LNGまたはNGLの使用に適した既製の小容量の遠心ポンプ、インペラーポンプ、または磁気ポンプ、さらにまたは気圧ポンプであってよい。
【0041】
この詳細な説明では、「一実施形態」、「実施形態」、または「実施形態では」という表現は、参照される特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、「一実施形態」、「実施形態(「an embodiment」または「embodiments」)」という個別の表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではないが、その旨の記載がない限り、また当業者にとって容易に明らかである場合を除いて、そのような実施形態はいずれも相互排他的ではない。したがって、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいかなる様々な組み合わせおよび/または統合をも含み得る。
【0042】
本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態の説明を目的としており、本発明の限定を意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途文脈から明白でない限り、複数形も含むことが意図される。さらに本明細書で使用される場合、元の用語「含む(include)」および/または「有する(have)」は、記載された特徴、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を示すが、少なくとも1つの他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないものと理解される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「含む(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」)」、「有する(「has」、「having」)」、「特徴とする」、またはそれらの任意の他の変化形は非排他的な包含を含むことを意図する。たとえば、特徴一覧の特徴を有するプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴に限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、装置の明示的に列挙されていない、またはそれらに固有である他の特徴を含み得る。
【0044】
定義を目的として本明細書で使用される「接続された」は、直接的であるか間接的であるかに関わらず物理的に結合または調節可能に取り付けられることを含む。例えば、試料プローブは試料取り出しラインに接続された取り出しポートを含む。したがって、特に記載しない限り、「接続された」は、あらゆる操作上の機能的な接続を包含することを意図している。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「過剰抽出された試料」は、試料分析に必要な最小取り込み量を超える量の取り出し流体を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、反する記載が明示されない限り、「または」とは、包括的な「または」であり、排他的な「または」でないことを意味する。たとえば、条件「AまたはB」は、以下のいずれかを満たす。Aが真で(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽で(または存在せず)Bが真である(または存在する)、AとBの両方が真である(または存在する)。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「スピードループ」とは、試料の取り出しで開始され、処理ストリームへの流体回収時点で終了する流体移送経路を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「実質的に」、「ほぼ」、および他の程度を表す語は、そのように修飾された特性から許容可能な変動を示すことを意図した相対的修飾語である。これは絶対値または変更された特性に限定されることを意図するものではなく、むしろその逆よりも物理的または機能的特性の多くを有しており、好ましくはそのような物理的または機能的特性と接近または近似していることを意図する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「吸引圧力」は、関連するパイプライン内の流体の圧力を意味し、例えば周囲大気圧程度の低さであり得る。
【0050】
以下では、添付図面を参照して、本発明を実施できる具体的な実施形態を例示することにより本発明を説明する。以下に例示する実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されている。他の実施形態を利用でき、また本発明の範囲から逸脱することなく、現在既知の構造的および/または機能的等価物に基づく構造的変更を行い得るものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の一実施形態による単一プローブスピードループ取り出しおよび回収システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による試料プローブを示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、内部に取り付けられた試料プローブ10を有するパイプラインPを示す。試料プローブ10は、試料取り出しライン13に接続された取り出しポート12を含む。スピードループ試料回収ライン14を形成する分岐部が、取り出しライン13に沿った、試料調整装置および/または分析器の下流の、ある地点に配置されている。スピードループ回収ライン14は、試料プローブ10の回収入力ポート18に流体を注入する前に、回収する過剰抽出された試料流体の圧力を増加させるインライン小容量ポンプ16を特徴とする。
【0053】
図2は、本発明による一体化された単一試料プローブ10の実施形態の詳細を示す。プローブ10は、下部パイプラインPに配置された取り付けフランジ(図示せず)の上に突出するように選択された長さを有するステンレス鋼の円筒状本体22を特徴とする。プローブ10は、協働して位置決めされたボルト穴26を介してプローブフランジ24を直接ボルト止めすることにより、パイプライン取り付けフランジに取り外し可能に固定される。円筒状本体22は、下部パイプラインPの軸周りに突出する長さであり、プローブ10の軸方向全長に延び、プローブ10の頂部が好ましくはねじ付きである取り出しポート12で終端する取り出し孔28を含む。軸方向に整列した回収流路32は、部分的に取り出し孔28と平行である。
【0054】
回収流路32は、プローブ10の頂部とプローブフランジ24との間に配置され、試料取り出しシステムから回収ライン14に接続するためのねじ付き雌コネクタを組み込んだ回収入力ポート18を含む。回収流路32は、過剰抽出された試料取り出しをパイプラインPに排出するために、プローブフランジの下方に選択距離で配置された回収排出ポート36で終端される。回収入力ポート18および排出ポート36は、好ましくは平行であり、回収流路32に対して横方向に配置されている。
【0055】
特に、回収流路32は、プローブ10の頂部からプローブフランジ24下方の選択距離まで穿孔することによって形成される。さらに孔の上部は、溶接プラグ38によって回収入力ポート18の上方で密閉される。
【0056】
相対的パラメーターに関して、限定することを意図するものではないが、本発明の一実施形態では、取り出し孔28の直径は0.125インチ(0.3175cm)であり、回収流路32の直径は0.23インチ(0.5842cm)である。同様に、限定することを意図してないが、本発明の一実施形態では、回収入力ポート18は、円筒状本体22内のプローブフランジ24より3インチ(7.62cm)上方に配置され、プローブフランジ24の上方4.54インチ(11.5316cm)まで延び、また回収排出ポート36は、円筒状本体22内のプローブフランジ24より1.125インチ(2.8578cm)下方に配置される。
【0057】
本発明は上記明細書に開示されている。当業者であれば、上記の説明および添付図面に提示された教示の利益を有する、本発明が関する本発明の多くの変更および実施形態を想起できるものと理解される。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されず、本発明の多くの変更および他の実施形態が本発明の範囲内に含まれることを意図するものと理解される。さらに、本明細書では特定の用語を使用しているが、これらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、本発明の説明を限定することを目的としない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、流体試料源からの流体試料抽出および流体試料源への再注入のための単一試料プローブを提供し、スピードループ回収と連係する流体ポンプを用いて、流体源へ未使用の抽出試料流体をスピードループ再注入しており、低圧ガスサンプリングシステムに有用である。
図1
図2