【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的および他の目的を満たす、流体試料源からの流体試料抽出および流体試料源への再注入のための試料プローブは、細長い試料抽出プローブであって、流体試料抽出ポートと、抽出流体試料出口ポートと、流体試料抽出ポートと抽出流体試料出口ポートとの間に延びるのに十分な第1の選択長さにわたって試料抽出プローブの伸長方向のほぼ軸方向に延びる第1の抽出流体連通流路とを有し、該試料プローブが、回収流体試料再注入口、回収流体試料再注入出口、および第1の抽出流体連通流路の少なくとも一部とほぼ並行な第2の選択長さにわたり軸方向に延びる第2の再注入流体連通流路を規定し、第1の軸方向に延びる流路が、流体試料源と抽出流体試料出口ポートとの間の第1の選択長さの流体連通を確立し、第2の軸方向に延びる流路はプローブに沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを規定する、該試料抽出プローブと、抽出流体試料出口ポートと流体連通する試料取り出しラインと、試料取り出しラインに接続され、回収流体試料再注入出口と流体連通する試料回収ラインと、回収流体試料再注入出口の上流に試料回収ラインに沿って配置されるポンプであって、試料回収ライン内の回収流体試料の圧力を上昇させて、そこを通過する流体試料を加圧してスピードループ再注入システムを提供するポンプと、を特徴とする。
【0011】
本発明は、前述の実施形態による先の実施形態のいずれかに対して、試料プローブが一体型構造を規定し、第1の選択長さがプローブの伸長する全長に相当し、第2の選択長さが第1の選択長さよりも短いことを特徴とするさらなる実施形態を提供する。
【0012】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、試料再注入出口が流体試料抽出ポートから軸方向にずれていることを特徴とする別の実施形態を提供する。
【0013】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、試料取り出しラインと試料回収ラインの両方に接続された試料調整流体搬送ラインをさらに特徴とする別の実施形態を提供する。
【0014】
本発明は、先の実施形態のいずれかに対して、ポンプが、第1の流路および試料調整装置の下流にある再注入ラインと一列に配置されることを特徴とする別の実施形態を提供する。
【0015】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプが試料回収ラインと一列に配置された計量ポンプであることを特徴とする。
【0016】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、プローブがほぼ円筒形であり、試料再注入出口がプローブの伸長方向と垂直に横方向を向くことを特徴とする。
【0017】
先の実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプが極低温ポンプであることを特徴とする。
【0018】
本発明の上記およびさらに他の目的を満たす、関連するチャンバからの流体試料を単一プローブスピードループ再注入するための多流路試料取り出しおよび回収プローブは、関連する流体チャンバ内まで延びるのに十分な軸長さを有し、第1の軸方向に延びる流路および第2の軸方向に延びる流路を規定する試料プローブであって、流体連通を確立する第1の軸方向に延びる流路が、試料プローブを通って流体チャンバから流体を通過させる第1の選択長さを有し、第2の軸方向に延びる流路はプローブに沿って軸方向に選択距離を延びる第2の選択長さを有する、該試料プローブと、第1の流路と流体連通する試料取り出しラインと、試料取り出しラインに接続され、第2の流路と流体連通され、第2の流路が、再注入された流体による流体チャンバ内の乱流を最小限にするために試料取り出しからずれた回収排出ポートを有する試料回収ラインと、を特徴とする。
【0019】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、第2の流路が少なくとも1つの横方向に配置された排出ポートをさらに有することを特徴とする。
【0020】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第2の流路が少なくとも1つの横方向に配置された入口ポートをさらに有することを特徴とする。
【0021】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、試料回収ラインをプローブに取り外し可能に固定するように入口ポートがねじ付きであることを特徴とする。
【0022】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第2の流路が溶接プラグによって入口ポートの上方で密閉されていることを特徴とする。
【0023】
先の5つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、取り出しラインをプローブに取り外し可能に固定するための取り出しポートをさらに特徴とする。
【0024】
先の6つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、第1の流路に沿って配置された少なくとも1つの流体試料抽出ポートをさらに特徴とする。
【0025】
先の7つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、プローブを流体チャンバに取り外し可能に取り付けるための、半径方向に延びる一体型フランジをさらに特徴とする。
【0026】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、協働的に配置されたボルト穴を通してフランジをボルト止めすることによりプローブが流体チャンバに固定されることを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、多流路単一プローブの未使用抽出試料流体スピードループ再注入システムを使用する方法であって、未使用の抽出試料流体を加圧して抽出試料流体源に再注入するためのポンプが組み込まれ、該プローブが抽出試料流体経路と未使用流体試料の再注入経路とを備え、該方法が流体源から流体を抽出する工程と、抽出試料流体経路を通って流体を連通させる工程と、未使用の抽出試料流体を未使用流体試料の再注入経路に回収する工程と、未使用流体試料の再注入経路内での未使用の抽出試料流体の圧力を増加させる工程と、抽出試料流体源に流体を再注入する工程と、を特徴とする方法によって満たされる。
【0028】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、未使用の抽出試料流体を移動させ、流体源での流体の乱流を最小限にする工程をさらに特徴とする。
【0029】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明は、流体を下流の試料調整器および分析器と連通させる工程をさらに特徴とする。
【0030】
前述の実施形態に対する別の実施形態では、本発明は、プローブの下流であるが試料調整器の上流となる位置に配置されたポンプを用いて流体を加圧する工程をさらに特徴とする。
【0031】
前述の実施形態に対するさらなる実施形態では、本発明は、流体の圧力が流体源の吸入圧力よりも高いことを特徴とする。
【0032】
先の2つの実施形態のいずれかに対する別の実施形態では、本発明はポンプがインラインポンプであることを特徴とする。
【0033】
要約すると、本発明は、抽出流体源に再注入する際に、ポンプを使用してスピードループ回収ライン内の任意の過剰抽出流体の加圧を増加させ、例えば、パイプラインを通る流体の流れによって生じる吸引圧力を抑えることにより、単一のパイプラインプローブによって試料取り出しおよび回収を行うためのスピードループを企図する。
【0034】
本発明はさらに尚、パイプライン処理ストリームにおける流体の乱流を最小限にするために、入口ポートから軸方向にずらして配置された排出ポートを有する、多流路試料取り出しおよび回収プローブを特徴とする要素の組み合わせを企図する。
【0035】
本発明は、スピードループをプローブに組み込むことによって、単一のパイプラインプローブを取り出しおよび試料回収の両方に使用するために提供する。スピードループは、ポンプと連係することが好ましく、ポンプは、スピードループ回収ライン内の流体の圧力を上昇させるため、プローブの下流であるが試料調整装置の上流に位置する小容量極低温ポンプであることが好ましく、またプローブからの付随する流体吐出圧力を増加させることがより好ましい。
【0036】
一実施形態では、プローブは、構造体を下部フランジノズルにボルト止めするためのねじ穴を特徴とする半径方向に延びる溶接されたフランジを有する一体構造を特徴とする。プローブは2つの個別の流体通路を含み、第1の試料取り出し孔がプローブの全長にわたって軸方向に延び、第2の回収孔が、試料取り出し孔の底部上方からプローブ頂部付近の選択距離まで、軸方向に選択距離を延びる。
【0037】
回収孔は、回収入力ポートおよび回収排出ポートを含む。好ましくは、回収入力ポートは、プローブ頂部より下で、かつフランジより上の選択長さで回収孔に対して横方向に配置される。回収入力ポートは、好ましくは、接続されたスピードループ回収ラインへの取り外し可能な固定取り付けを可能にするためにねじ付きである。回収排出ポートは同様に、好ましくは回収孔に対して横方向に配置されるが、過剰抽出された試料がパイプラインに回収されるように選択されたプローブ長さに沿った位置に配置される。回収排出ポートはさらに、試料取り出し流体の流れまたは組成を乱さないように、取り出し孔から十分に離間される。
【0038】
上記の孔は、単一のステンレス鋼シリンダーを使用して機械加工することができる。取り出し孔は、シリンダーの軸方向全長にわたって穿孔され、例えばNational Pipe Thread(NPT)などの適切な規格に従って製造されたねじ付きテーパーを上端に備えている。回収孔は、好ましくは、シリンダーの上端から、シリンダーの軸方向長さよりも短い選択深さまで取り出し孔に平行に穿孔される。次に回収入力ポートおよび回収排出ポートは、回収孔と合流するように横方向に穿孔される。回収入力ポートはねじ付きであり、回収孔の上部は溶接によって密閉されている。次にフランジは、回収入力ポートと回収排出ポートとの間のプローブ本体に沿って、軸方向位置でシリンダーに溶接されている。
【0039】
本発明はまた、対象流体の具体的な組成に基づく圧力変動も企図する。当業者であれば、例えば極低温LNGまたは非極低温NGLのように、採取された流体の具体的な構成によって、いかなる所与の出願も変更されることを理解している。個々の相分析を用いた従来法により容易に決定可能である流体源の組成および相特性に基づいて具体的な流体に応じた要件を調整することで、流体の均質性を高め、試料の相分離を最小限にし、スピードループに関するデッドヘッドを回避することにより試料の回収が促進される。
【0040】
過剰抽出された試料の圧力を上昇させるために使用されるポンプは、LNGまたはNGLの使用に適した既製の小容量の遠心ポンプ、インペラーポンプ、または磁気ポンプ、さらにまたは気圧ポンプであってよい。
【0041】
この詳細な説明では、「一実施形態」、「実施形態」、または「実施形態では」という表現は、参照される特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、「一実施形態」、「実施形態(「an embodiment」または「embodiments」)」という個別の表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではないが、その旨の記載がない限り、また当業者にとって容易に明らかである場合を除いて、そのような実施形態はいずれも相互排他的ではない。したがって、本発明は、本明細書に記載の実施形態のいかなる様々な組み合わせおよび/または統合をも含み得る。
【0042】
本明細書に使用される用語は、単に特定の実施形態の説明を目的としており、本発明の限定を意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途文脈から明白でない限り、複数形も含むことが意図される。さらに本明細書で使用される場合、元の用語「含む(include)」および/または「有する(have)」は、記載された特徴、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を示すが、少なくとも1つの他の特徴、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないものと理解される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「含む(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」)」、「有する(「has」、「having」)」、「特徴とする」、またはそれらの任意の他の変化形は非排他的な包含を含むことを意図する。たとえば、特徴一覧の特徴を有するプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの特徴に限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、装置の明示的に列挙されていない、またはそれらに固有である他の特徴を含み得る。
【0044】
定義を目的として本明細書で使用される「接続された」は、直接的であるか間接的であるかに関わらず物理的に結合または調節可能に取り付けられることを含む。例えば、試料プローブは試料取り出しラインに接続された取り出しポートを含む。したがって、特に記載しない限り、「接続された」は、あらゆる操作上の機能的な接続を包含することを意図している。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「過剰抽出された試料」は、試料分析に必要な最小取り込み量を超える量の取り出し流体を意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、反する記載が明示されない限り、「または」とは、包括的な「または」であり、排他的な「または」でないことを意味する。たとえば、条件「AまたはB」は、以下のいずれかを満たす。Aが真で(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽で(または存在せず)Bが真である(または存在する)、AとBの両方が真である(または存在する)。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「スピードループ」とは、試料の取り出しで開始され、処理ストリームへの流体回収時点で終了する流体移送経路を指す。
【0048】
本明細書で使用される場合、「実質的に」、「ほぼ」、および他の程度を表す語は、そのように修飾された特性から許容可能な変動を示すことを意図した相対的修飾語である。これは絶対値または変更された特性に限定されることを意図するものではなく、むしろその逆よりも物理的または機能的特性の多くを有しており、好ましくはそのような物理的または機能的特性と接近または近似していることを意図する。
【0049】
本明細書で使用される場合、「吸引圧力」は、関連するパイプライン内の流体の圧力を意味し、例えば周囲大気圧程度の低さであり得る。
【0050】
以下では、添付図面を参照して、本発明を実施できる具体的な実施形態を例示することにより本発明を説明する。以下に例示する実施形態は、当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されている。他の実施形態を利用でき、また本発明の範囲から逸脱することなく、現在既知の構造的および/または機能的等価物に基づく構造的変更を行い得るものと理解される。