特許第6854315号(P6854315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854315
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】電動締付装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20210329BHJP
   B25B 5/04 20060101ALN20210329BHJP
   B25B 5/06 20060101ALN20210329BHJP
【FI】
   B23Q3/06 301P
   !B25B5/04
   !B25B5/06
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-104344(P2019-104344)
(22)【出願日】2019年6月4日
(65)【公開番号】特開2020-55094(P2020-55094A)
(43)【公開日】2020年4月9日
【審査請求日】2019年6月11日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0117718
(32)【優先日】2018年10月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519201123
【氏名又は名称】エナジウム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン チョンフン
(72)【発明者】
【氏名】リー カンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】チュ キュンサン
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/020488(WO,A2)
【文献】 登録実用新案第3106769(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3094617(JP,U)
【文献】 特開2000−042851(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0051725(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B25B 5/00 − 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
駆動力を提供する駆動モータと、
前記駆動モータの駆動力の大きさを変換して伝達する駆動力伝達部と、
一側が前記駆動力伝達部と連結され、前記駆動力伝達部の回転運動を往復運動に変換させるスライドクランク部と、
一側が前記スライドクランク部の他側と連結され、弾性変形可能なリンクを含むトグルリンク部と、
一側が前記トグルリンク部と連結され、他側が把持対象物をクランプ又はアンクランプするクランプ部と、を含み、
前記駆動力伝達部は、
複数個の歯車が噛み合って形成され、前記複数個の歯車のうち前記スライドクランク部と連結される末端歯車を含み、
前記スライドクランク部は、
一側が前記駆動力伝達部の前記末端歯車と連結され、前記末端歯車の回転中心から半径方向に離隔して結合され、他側が前記トグルリンク部と結合されるクランクアームと、
前記クランクアームの一側と他側との間に形成され、前記クランクアームの一側と他側とを連結する仮想の直線から離隔して形成されるクランクスライダーと、
前記本体に形成され、前記クランクスライダーの移動経路を提供するガイド溝と、を含み、
前記トグルリンク部は、
一側が前記クランクアームの他側と連結され、弾性変形が可能な弾性リンクと、
一側は前記弾性リンクの他側と連結され、他側は前記クランプ部と連結され、前記一側及び他側の連結部は回転可能に固定され、前記弾性リンクの作動によって前記クランプ部をクランプ又はアンクランプさせる回転リンクと、を含むことを特徴とする電動締付装置。
【請求項2】
記末端歯車が、前記駆動モータに比べて、回転数は低くなり、駆動力は増加するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の電動締付装置
【請求項3】
前記ガイド溝は、
前記末端歯車と隣接して形成される曲線区間と、前記曲線区間から延長される直線区間を含むことを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項4】
前記クランクアームの一側は、前記末端歯車の回転に応じて回転往復運動を行い、前記クランクアームの他側は、前記ガイド溝に沿って線形往復運動を行うことを特徴とする請求項に記載の電動締付装置
【請求項5】
前記弾性リンクは、
両側端部よりも中心部が厚く形成され、
前記中心部には、前記弾性リンクの一側及び他側を互いに連結する仮想の直線に向かって、前記仮想の直線と交差するように複数個のスリットが形成されることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項6】
前記複数個のスリットは、前記仮想の直線に対して互いに所定の間隔を隔てて形成され、重畳しないように形成されることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項7】
前記複数個のスリットは、波状に形成されることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項8】
前記クランプ部は、
一側が前記回転リンクと連結され、連結部が回転可能に固定されるクランプ胴体と、
前記クランプ胴体の他側に突出して形成され、把持対象物と接触するクランプチップと、
前記クランプ胴体の回転半径内に位置し、前記本体に固定されるように形成されるロケータ胴体と、
前記ロケータ胴体から突出して形成され、前記クランプ胴体の回転によって前記クランプチップの位置に対応して位置し、前記クランプチップとともに前記把持対象物を把持するロケータチップと、を含むことを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項9】
前記弾性リンクは、
前記弾性リンクの一側及び他側を互いに連結する仮想の直線を中心として、いずれか一側方向に湾曲されて突出する形状であることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項10】
前記弾性リンクは、
前記弾性リンクの一側及び他側の間に複数個のホールが形成される形態であることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項11】
前記弾性リンクは、
複数個の弾性リンクが重畳して形成されることを特徴とする請求項に記載の電動締付装置。
【請求項12】
前記複数個の弾性リンクは、互いに形状が重ならないように重畳することを特徴とする請求項11に記載の電動締付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルを把持する締付装置に関し、装置を小型化し、改善された駆動力伝達構造により、把持トルクを向上させ、様々な厚さのパネルを安定的に把持できるようにする電動締付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、締付装置は、パネルの運搬作業や切削、溶接などの加工作業時にパネルを固定するための装置であって、加工作業別にパネルの断面形状の厚さなどによって把持トルクや把持部位などが異なり、締付装置の構造も異なることがある。
【0003】
従来の締付装置は、空圧又は油圧を活用したシリンダを主に使用してパネルを把持していた。しかし、このような締付装置は、シリンダだけではなく、シリンダの作動のための空圧又は油圧の供給配管が必要となるため、締付装置のサイズが大きくなるだけではなく、構造も複雑になった。
【0004】
また、様々な厚さのパネルを把持するためには、把持トルクを向上させる必要があり、駆動力伝達メカニズムを変更したり、把持トルクが異なる別の締付装置を用意しなければならない問題があった。
【0005】
これにより、簡単な構造で把持トルクを向上させることで様々な厚さのパネルが把持できる締付装置の開発が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、駆動モータを駆動源として使用することによって装置を小型化し、スライドクランク部、ガイド溝及びトグルリンク部を適用することによって把持トルクを大きく向上させることができる電動締付装置を提供することを目的とする。
【0007】
具体的に、本発明は、曲線と直線で形成されたガイド溝によりクランプ胴体の可動範囲を広げ、弾性リンクを活用して駆動力伝達メカニズムを変更せずに、把持できるパネルの厚さを多様化させることができる電動締付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による電動締付装置は、本体と、駆動力を提供する駆動モータと、前記駆動モータの駆動力の大きさを変換して伝達する駆動力伝達部と、一側が前記駆動力伝達部と連結され、前記駆動力伝達部の回転運動を往復運動に変換させるスライドクランク部と、一側が前記スライドクランク部の他側と連結され、弾性変形可能なリンクを含むトグルリンク部と、一側が前記トグルリンク部と連結され、他側が把持対象物をクランプ又はアンクランプするクランプ部と、を含むことを特徴とする。
【0009】
前記駆動力伝達部は、複数個の歯車が噛み合って形成され、前記複数個の歯車のうち前記スライドクランク部と連結される末端歯車が、前記駆動モータに比べて、回転数は低くなり、駆動力は増加するように形成されることを特徴とする。
【0010】
前記スライドクランク部は、一側が前記駆動力伝達部の末端歯車と連結され、前記末端歯車の回転中心から半径方向に離隔して結合され、他側が前記トグルリンク部と結合されるクランクアームと、前記クランクアームの一側と他側との間に形成され、前記クランクアームの一側と他側とを連結する仮想の直線から離隔して形成されるクランクスライダーと、前記本体に形成され、前記クランクスライダーの移動経路を提供するガイド溝と、を含むことを特徴とする。
【0011】
前記ガイド溝は、前記末端歯車と隣接して形成される曲線区間と、前記曲線区間から延長される直線区間を含むことを特徴とする。
【0012】
前記クランクアームの一側は、前記末端歯車の回転に応じて回転往復運動を行い、前記クランクアームの他側は、前記ガイド溝に沿って線形往復運動を行うことを特徴とする。
【0013】
前記トグルリンク部は、一側が前記クランクアームの他側と連結され、弾性変形が可能な弾性リンクと、一側は前記弾性リンクの他側と連結され、他側は前記クランプ部と連結され、前記一側及び他側の連結部は回転可能に固定され、前記弾性リンクの作動によって前記クランプ部をクランプ又はアンクランプさせる回転リンクと、を含むことを特徴とする。
【0014】
前記弾性リンクは、両側端部よりも中心部が厚く形成され、前記中心部には、前記弾性リンクの一側及び他側を互いに連結する仮想の直線に向かって、前記仮想の直線と交差するように複数個のスリットが形成されることを特徴とする。
【0015】
前記複数個のスリットは、前記仮想の直線に対して互いに所定の間隔を隔てて形成され、重畳しないように形成されることを特徴とする。
【0016】
前記複数個のスリットは、波状に形成されることを特徴とする。
【0017】
前記クランプ部は、一側が前記回転リンクと連結され、連結部が回転可能に固定されるクランプ胴体と、前記クランプ胴体の他側に突出して形成され、把持対象物と接触するクランプチップと、前記クランプ胴体の回転半径内に位置し、前記本体に固定されるように形成されるロケータ胴体と、前記ロケータ胴体から突出して形成され、前記クランプ胴体の回転によって前記クランプチップの位置に対応して位置し、前記クランプチップとともに前記把持対象物を把持するロケータチップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
駆動モータを駆動源として使用することにより装置を小型化することができる。また、クランプ胴体を回転させる駆動力伝達構造において、ガイド溝の形状的特徴によってクランプ胴体がアンクランプされる角度を広げることができ、パネルのような把持対象物の把持力を向上させることができる。
【0019】
また、弾性リンクにより、クランプ部、トグルリンク部又はスライドクランク部といった駆動力伝達メカニズムを変更することなく、様々な厚さのパネルを把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による電動締付装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による電動締付装置の内部構造を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による電動締付装置の内部構造を示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態による電動締付装置のクランプ状態を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による電動締付装置のアンクランプ状態を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による電動締付装置のガイド溝を拡大して示す図である
図7】本発明の一実施形態による電動締付装置の弾性リンクを示す図である。
図8A】本発明の他の実施形態による弾性リンクを示す図である。
図8B】本発明の他の実施形態による弾性リンクを示す図である。
図9】本発明のさらに他の実施形態により弾性リンクを示す図である。
図10】本発明のさらに他の実施形態により弾性リンクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。この際、添付の図面において、同一の構成要素は、できる限り同一の符号で示していることを留意しなければならない。なお、本発明の要旨を曖昧にする恐れがある公知の機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による電動締付装置10の外形を示す斜視図であり、図2は、電動締付装置10の内部構造を示す斜視図であり、図3は、電動締付装置10の内部構造を正面から見た正面図である
【0023】
図1図3を参照してみると、本発明の一実施形態による電動締付装置10は、本体100、駆動モータ200、駆動力伝達部300、スライドクランク部400、トグルリンク部500及びクランプ部600を含む。
【0024】
本発明の一実施形態による本体100は、前記の駆動力伝達部300、スライドクランク部400、トグルリンク部500などを内蔵する筐体の形態である。本体100は、電動締付装置10の外観を形成するとともに、駆動力伝達部300、スライドクランク部400及びトグルリンク部500の動作が、外力により干渉されないように保護する役割を果たす。
【0025】
本発明の一実施形態による駆動モータ200は、駆動力伝達部300、クランク部及びトグルリンク部500の動作のための駆動力を提供し、本体100に内蔵されても良く、本体100の外部に露出するように配置されても良い。駆動モータ200は、回転方向及び回転数の調節が可能なサーボモータが使用されても良いが、これに限定されず、DCモータ、ACモータ、誘導電動機、ブラシレスモータなどの様々な種類のモータが使用されても良い。
【0026】
以下、図4図7に基づいて、本発明の一実施形態による電動締付装置10の具体的な構造について説明する。
【0027】
図4は、本発明の一実施形態による電動締付装置10のクランプ状態を示す図であり、図5は、本発明の一実施形態による電動締付装置10のアンクランプ状態を示す図である。図6は、本発明の一実施形態による電動締付装置10のガイド溝430を拡大して示す図であり、図7は、本発明の一実施形態による電動締付装置10の弾性リンク510を示す図である。
【0028】
図4図5を参照してみると、本発明の実施形態による駆動力伝達部300は、駆動モータ200と連結され、後述するスライドクランク部400に駆動モータ200の駆動力を変換して伝達する役割を果たす。駆動力伝達部300は、複数個の互いに異なる大きさの歯車が噛み合って形成される。本発明の実施形態による駆動力伝達部300は、互いに大きさが異なって歯車の歯数が異なる、複数個の平歯車(spur gear)が噛み合って形成される。駆動力伝達部300は、互いに異なる大きさの歯車が噛み合って歯車比が形成され、ことにより、駆動モータ200の回転数及び駆動力を変換してスライドクランク部400に伝達する。具体的に、駆動モータ200の回転数及び駆動力に比べて、スライドクランク部400と直接連結される末端歯車310は、回転数は低くなり、駆動力は増加する。
【0029】
一方、本発明の実施形態による駆動力伝達部300は、平歯車が適用された場合を例として説明したが、駆動モータ200の駆動力を伝達できるものであればいずれでも可能であり、限定されるものではない。例えば、ウォーム歯車やはすば歯車などを適用することもできる。
【0030】
本発明の実施形態によるスライドクランク部400は、クランクアーム410、クランクスライダー420及びガイド溝430を含む。スライドクランク部400は、一側が駆動力伝達部300の末端歯車310と連結され、他側が後述のトグルリンク部500と連結される。スライドクランク部400は、クランクスライダー420がガイド溝430に沿って移動することにより、駆動力伝達部300の回転運動を線形往復運動に変換させる。
【0031】
具体的に説明すると、クランクアーム410は、一側が末端歯車310と連結され、末端歯車310の回転中心から半径方向に所定間隔離隔されて設置される。クランクアーム410と末端歯車310が所定間隔離隔されて連結されることにより、末端歯車310の正回転又は逆回転に応じてクランクアーム410を押す又は引くように、力を伝達することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によるクランクアーム410は、クランクスライダー420を含み、クランクアーム410から突出される形態で形成される。クランクスライダー420は、後述するガイド溝430に挿入され、ガイド溝430に沿って移動する。クランクスライダー420は、電動締付装置10がパネルのような把持対象物を把持するとき、駆動モータ200からの駆動力をパネルまでに伝達し把持する過程で、クランプ部600及びトグルリンク部500により伝達されるパネル自体の重さなど、最大の荷重を受ける構成である。クランクスライダー420は、荷重を受ける状態でガイド溝430に沿って移動しなければならないため、円筒状の軸受などを使用することにより摩擦を減少させることができる。
【0033】
本発明の一実施形態によるクランクスライダー420は、クランクアーム410が末端歯車310と連結される一側と、トグルリンク部500と連結される他側との間に位置し、クランクアーム410の一側と他側とを連結する仮想の直線上から外れて位置する。クランクアーム410に力が作用する部分は、末端歯車310から駆動力を伝達される一側、後述するトグルリンク部500の弾性リンク510と連結される他側、及びガイド溝430に沿って移動するクランクスライダー420の計3ヶ所になる。このとき、クランクスライダー420がクランクアーム410の一側と他側とを連結する仮想の直線上から外れて位置し、クランクスライダー420がガイド溝430に沿って移動して支持点の役割を果たすことにより、末端歯車310からクランクアーム410へ伝達される力の方向を、クランクスライダー420を中心に折曲させて弾性リンク510に伝達できるようになる。
【0034】
図6を参照してみると、本発明の一実施形態によるガイド溝430は、本体100に形成され、前述したクランクスライダー420の移動経路を提供する。ガイド溝430は、末端歯車310と隣接して曲線区間が形成され、曲線区間431から延長されて直線区間433が形成される。
【0035】
曲線区間431は、クランプ胴体610が広がる範囲に関与し、直線区間433は、クランプ胴体610がパネルを把持する把持力に関与する。クランプ及びアンクランプ状態を示す図4及び図5を参照してみると、クランプ胴体610が広がる範囲は、クランククスライダー420の左右方向の移動距離に影響され、クランプ胴体610の把持力は、上下方向の移動距離に影響される。
【0036】
図4又は図5の図示状態を基準として、ガイド溝430は、左から右上向きの斜め方向に形成され、曲線区間431を左右方向に形成させてクランクスライダー420の左右方向の移動半径を増加させることにより、クランプ胴体610の広がる範囲を大きくすることができる。ガイド溝430を左右方向に直線ではなく曲線で形成することは、図5の状態で、末端歯車310の初期駆動時、クランクスライダー420がガイド溝430に挟まって動かないことを防止するためである。クランクアーム410の一側が末端歯車310に沿って初期に曲線で駆動することに合わせ、ガイド溝430を曲線で形成する。曲線区間以降、上向きの斜めの直線区間433により、クランプ胴体610が次第にクランプされ、パネルを強く把持できるようになる。
【0037】
本発明の実施形態によるトグルリンク部500は、クランプ部600と連結され、クランプ部600に回転力を伝達することにより、前記クランプ部600をクランプ又はアンクランプ状態に回転させる役割を果たす。このようなトグルリンク部500は、弾性リンク510及び回転リンク520を含む。
【0038】
弾性リンク510の一側は、クランクアーム410の他側と連結され、クランクアーム410が動作時、連結部位を中心に回動する。回転リンク520の一側は、弾性リンク510の他側と連結され、回転リンク520の他側は、クランプ胴体610と連結される。但し、回転リンク520の他側は、クランプ胴体610との連結部が本体100に対して固定されるように設置され、当該連結部を中心に回転できるように設置される。つまり、クランプ胴体610は、クランプ及びアンクランプ過程の回転中心を固定し提供する役割を果たす。
【0039】
本発明の一実施形態に係る弾性リンク510は、所定の範囲内で弾性変形が可能に形成される。
【0040】
例えば、図5のアンクランプ状態から図4のクランプ状態に変形されてパネルを把持するとき、厚さの薄いパネルである場合、図4の状態でも、後述するクランプチップ620又はロケータチップ640の弾性変形により、パネルを損傷させることなく把持することができる。しかし、一定の厚さ以上のパネルを把持する際には、パネルの厚さを考慮して、スライドクランク部400又はトグルリンク部500の構成を調整する必要がある。例えば、図4のようなクランプ状態で、厚さの太いパネルを損傷させずに把持するためには、クランプチップ620とロケータのチップ640との間が若干広がるように調整しなければならない。
【0041】
しかし、本発明の一実施形態による電動締付装置10は、トグルリンク部500の弾性リンク510自体の弾性変形により、パネルの厚さの差によってスライドクランク部400又はトグルリンク部500の構成を調整せずに、様々な厚さのパネルを損傷せせることなく把持することができる。
【0042】
図7を参照して、本発明の一実施形態による弾性リンク510を説明すると、弾性リンク510は、全体的に棒状であり、中心部が両側端部よりも厚く形成され、中心部に複数個のスリット511が形成された形態である。
【0043】
本発明の一実施形態によるスリット511は、中心部の外郭から内部へ陥没される形態で形成され、弾性リンク510の一側及び他側を互いに連結する仮想の直線を描いたとき、スリット511の相互間には交差せず、仮想の直線と交差するように形成される。つまり、スリット511は、仮想の直線に対して所定の間隔を隔てて形成され、互いに重畳しないように形成される。スリット511は、波状に形成され、弾性リンク510の中心点を基準として対称するように形成される。スリット511が波状に形成されることにより、直線に形成されることに比べて、応力が集中される折曲ポイントを減少させることができ、部分別に弾性リンク510の厚さを調節することができるようになる。
【0044】
例えば、図7の図示状態を基準として左側に形成されたスリット511の場合、上側の陥没部の厚さと下側端部の陥没部の厚さとを異なるように形成することができる。このように厚さを調節することにより、弾性係数値を調節することができ、繰り返される弾性変形にも耐えられる最高の耐久度を有するようにすることができる。
【0045】
本発明の一実施形態によるクランプ部600は、クランプ胴体610、クランプチップ620、ロケータ胴体630及びロケータチップ640を含む。
【0046】
本発明の一実施形態によるクランプ胴体610は、本体の外部に露出するように設置され、一側が回転リンク520の他側に連結されて本体に回転可能に設置される。
【0047】
本発明の一実施形態によるクランプチップ620は、クランプ胴体610の他側にロケータチップ640の方向に突出して形成され、ロケータチップ640に安着されたパネルを把持する。このとき、クランプチップ620は、ねじ締結構造などにより着脱可能に設置される。クランプチップ620が着脱可能に設置されることにより、クランプチップ620が破損及び摩耗した場合、クランプチップ620のみを容易に交換することができる。
【0048】
また、クランプチップ620の端部は、パネルの把持過程でパネルと直接的に接触する構成であり、パネルの表面を傷つけるなどの損傷を防止するために、丸みを有するように形成され、さらに弾性材料で形成される。
【0049】
本発明の一実施形態による電動締付装置10は、ロケータ胴体630及びロケータチップ640をさらに含む。但し、把持対象物の種類及び大きさなどによって選択的に含むことができる。
【0050】
本発明の一実施形態によるロケータ胴体630は、本体の外部に配置され、パネルのような把持対象物が安着される。ロケータ胴体630は、クランプ胴体610が把持対象物をクランプする過程で、支持台の役割を果たす。ロケータ胴体630は、本体と一体に製作されても良く、別に製作され、本体に結合されても良い。
【0051】
本発明の一実施形態によるロケータチップ640は、ロケータ胴体630から突出して形成され、把持対象物を支持する。ロケータチップ640が突出して形成されることにより、パネルを把持できるスペースが狭くても、クランプすることができる。ロケータチップ640は、図示してはいないが、ねじ締結構造により着脱可能に設置される。また、ロケータチップ640は、パネルの形態によって、ネジ締結構造の回転により高さの調節が可能に設置される。ロケータチップ640の端部は、パネルと直接的に接触する構成であり、安着されたパネルの表面を傷つけるなどの損傷を防止するために、丸みを有するように形成され、さらに弾性材料で形成される。
【0052】
図4から図5への過程がアンクランプ動作であり、図5から図4への過程がクランプ動作である。
【0053】
図4を基準として駆動モータが時計回りに回転すると、駆動力伝達部の末端歯車310は、反時計回りに回転することになる。このとき、クランクアーム410の一側は、末端歯車310の回転によって次第に左方向に移動し、クランクスライダー420は、ガイド溝の直線区間に沿って移動を開始する。クランクスライダー420が直線区間及び曲線区間に沿って移動するとき、クランクアーム410はクランクスライダー420を軸として時計回りに回動し、弾性リンク510が回転リンク520を引くことにより、クランプ胴体610が時計回りに回転してアンクランプされる。
【0054】
逆に、図5を基準として駆動モータが反時計回りに回転すると、駆動力伝達部の末端歯車310は、時計回りに回転することになる。このとき、クランクアーム410の一側は、末端歯車の回転によって次第に右方向に移動し、クランクスライダー420は、ガイド溝の曲線区間に沿って移動を開始する。クランクスライダー420は、ガイド溝の曲線区間に沿ってガイド溝にかからずに容易に移動することができる。クランクスライダー420が曲線区間及び直線区間に沿って移動するとき、クランクアーム410は、クランクスライダー420を軸として反時計回りに回動し、弾性リンク510が回転リンク520を押すことにより、クランプ胴体610が反時計方向に回転してクランプされる。
【0055】
図8A図10は、本発明の様々な実施形態による弾性リンクを示す図である。
【0056】
図8A図8Bは、本発明の他の実施形態により、複数個の弾性リンク510が互いに重畳して配置されたことを示す図である。複数個の弾性リンク510が重畳し、互いの形状が重ならないように重畳して配置される。複数個の弾性リンク510を重畳して配置することにより、電動締付装置の作動過程で、一つの弾性リンク510が破損する場合でも、他の弾性リンク510が電動締付装置の作動状態を保持することができる。
【0057】
図9は、本発明のさらに他の実施形態により、弾性リンク510が馬のひづめ状に形成されたことを示す図である。図示してはいないが、図9の弾性リンク510も、複数個が重畳し、互いに形状が重ならないように重畳して配置される。
【0058】
図10は、本発明のさらに他の実施形態により、弾性リンク510の一側及び他側の連結部に複数個のホールが形成された形態を示す図である。この実施形態では、ホールの数、パターンの大きさなどを調節することにより、弾性リンク510の弾性係数などを調節することができる。
【0059】
本発明の一実施形態による電動締付装置は、本体と、駆動力を提供する駆動モータと、前記駆動モータの駆動力の大きさを変換して伝達する駆動力伝達部と、一側が前記駆動力伝達部と連結され、前記駆動力伝達部の回転運動を往復運動に変換させるスライドクランク部と、一側が前記スライドクランク部の他側と連結され、弾性変形可能なリンクを含むトグルリンク部と、一側が前記トグルリンク部と連結され、他側が把持対象物をクランプ又はアンクランプするクランプ部と、を含むことを特徴とする。
【0060】
前記駆動力伝達部は、複数個の歯車が噛み合って形成され、前記複数個の歯車のうち前記スライドクランク部と連結される末端歯車が、前記駆動モータに比べて、回転数は低くなり、駆動力は増加するように形成されることを特徴とする。
【0061】
前記スライドクランク部は、一側が前記駆動力伝達部の末端歯車と連結され、前記末端歯車の回転中心から半径方向に離隔して結合され、他側が前記トグルリンク部と結合されるクランクアームと、前記クランクアームの一側と他側との間に形成され、前記クランクアームの一側と他側とを連結する仮想の直線から離隔して形成されるクランクスライダーと、前記本体に形成され、前記クランクスライダーの移動経路を提供するガイド溝と、を含むことを特徴とする。
【0062】
前記ガイド溝は、前記末端歯車と隣接して形成される曲線区間と、前記曲線区間から延長される直線区間を含むことを特徴とする。
【0063】
前記クランクアームの一側は、前記末端歯車の回転に応じて回転往復運動を行い、前記クランクアームの他側は、前記ガイド溝に沿って線形往復運動を行うことを特徴とする。
【0064】
前記トグルリンク部は、一側が前記クランクアームの他側と連結され、弾性変形が可能な弾性リンクと、一側は前記弾性リンクの他側と連結され、他側は前記クランプ部と連結され、前記一側及び他側の連結部は回転可能に固定され、前記弾性リンクの作動によって前記クランプ部をクランプ又はアンクランプさせる回転リンクと、を含むことを特徴とする。
【0065】
前記弾性リンクは、両側端部よりも中心部が厚く形成され、前記中心部には、前記弾性リンクの一側及び他側を互いに連結する仮想の直線に向かって、前記仮想の直線と交差するように複数個のスリットが形成されることを特徴とする。
【0066】
前記複数個のスリットは、前記仮想の直線に対して互いに所定の間隔を隔てて形成され、重畳しないように形成されることを特徴とする。
【0067】
前記複数個のスリットは、波状に形成されることを特徴とする。
【0068】
前記クランプ部は、一側が前記回転リンクと連結され、連結部が回転可能に固定されるクランプ胴体と、前記クランプ胴体の他側に突出して形成され、把持対象物と接触するクランプチップと、前記クランプ胴体の回転半径内に位置し、前記本体に固定されるように形成されるロケータ胴体と、前記ロケータ胴体から突出して形成され、前記クランプ胴体の回転によって前記クランプチップの位置に対応して位置し、前記クランプチップとともに前記把持対象物を把持するロケータチップと、を含むことを特徴とする。
【0069】
以上、本発明は特定の実施形態について図示しながら説明したが、以下の特許請求の範囲によって決められる本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で、本発明が多様に改良及び変形できるのは当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0070】
100 本体
200 駆動モータ
300 駆動力伝達部
310 末端歯車
400 スライドクランク部
410 クランクアーム
420 クランクスライダー
430 ガイド溝
431 曲線区間
433 直線区間
500 トグルリンク部
510 弾性リンク
511 スリット
520 回転リンク
600 クランプ部
610 クランプ胴体
620 クランプチップ
630 ロケータ胴体
640 ロケータチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10