(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1、第2、第3、及び第4の層を有する積層誘電体基板であって、前記第2の層が、前記第1の層と前記第3の層との間に介在し、前記第3の層が、前記第2の層と前記第4の層との間に介在する、積層誘電体基板と、
前記第1の層上の接地トレースと、
前記第2の層上の第1のパッチ素子及び前記接地トレースを含む第1のアンテナと、
前記第2の層上の第2のパッチ素子及び前記接地トレースを含む第2のアンテナであって、前記第1及び第2のアンテナが10GHzより高い第1の周波数帯域で放射するように構成された、第2のアンテナと、
前記第3の層上の第3のパッチ素子及び前記接地トレースを含む第3のアンテナであって、前記第3のアンテナは前記第1の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域で放射するように構成された、第3のアンテナと、
前記第4の層上の第4のパッチ素子及び前記接地トレースを含む第4のアンテナであって、前記第4のパッチ素子が前記第3のパッチ素子と少なくとも部分的に重なり合い、前記第4のアンテナは前記第1の周波数帯域よりも低い第4の周波数帯域で放射するように構成された、第4のアンテナと、
を備える、電子デバイス。
前記積層誘電体基板を通って延び、かつ前記第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のパッチ素子を横方向に取り囲む、導電ビアのフェンスを更に備える、請求項2に記載の電子デバイス。
導電ビアの前記フェンス及び前記接地トレースが、空洞の縁部を画定し、前記第1のアンテナが、前記空洞の第1の角部に位置し、前記第2のアンテナが、前記空洞の第2の角部に位置し、前記第3のアンテナが、前記空洞の中心に位置し、前記第4のアンテナが、前記空洞の前記中心に位置する、請求項3に記載の電子デバイス。
前記第1、第2、第3、及び第4のアンテナに結合された送受信機回路であって、前記送受信機回路は前記第1及び第2のアンテナを使用して高周波信号を伝達するように構成された、送受信機回路と、制御回路と、を更に備え、前記制御回路が、前記第1及び第2のアンテナによって伝達される前記高周波信号を使用して空間測距動作を実行するように構成されている、請求項1に記載の電子デバイス。
前記第1、第2、第3、及び第4のパッチ素子を横方向に取り囲む導電性壁を更に備え、前記導電性壁及び前記接地トレースが、前記第1、第2、第3、及び第4のアンテナのための導電性空洞を画定する、請求項1に記載の電子デバイス。
前記積層誘電体基板が、第5の層を含み、前記第4の層が、前記第3の層と前記第5の層との間に介在し、前記電子デバイスが、前記第4のパッチ素子に少なくとも部分的に重なり合う前記第5の層上の寄生アンテナ共振素子を更に備える、請求項10に記載の電子デバイス。
第1及び第2のアンテナ単位セルを含むアンテナ単位セルのアレイであって、前記アレイ内の各アンテナ単位セルが10GHzよりも高い第1の周波数帯域で放射するように構成された対応するアンテナを含む、アンテナ単位セルのアレイと、
前記第1のアンテナ単位セル内のアンテナの第1のセットと、
前記第2のアンテナ単位セル内のアンテナの第2のセットであって、アンテナの前記第1及び第2のセットは前記第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域で高周波信号を伝達するように構成された、アンテナの第2のセットと、
アンテナの前記第1及び第2のセットによって伝達される前記高周波信号を使用して空間測距動作を実行するように構成された制御回路と、
を備える、電子デバイス。
前記第1のアンテナ単位セルが、前記第1の周波数帯域で放射するように構成された第1のアンテナと、アンテナの前記第1のセットからの第2及び第3のアンテナと、を含み、前記第2のアンテナが、前記第1のアンテナ単位セルの第1の角部に位置し、前記第3のアンテナが、前記第1のアンテナ単位セルの第2の角部に位置する、請求項13に記載の電子デバイス。
前記第1のアンテナが、アンテナ接地の上の第1の距離に位置する第1のパッチ素子を含み、前記第2のアンテナが、前記第1の距離よりも短い前記アンテナ接地の上の第2の距離に位置する第2のパッチ素子を含み、前記第3のアンテナが、前記アンテナ接地の上の前記第2の距離に位置する第3のパッチ素子を含む、請求項14に記載の電子デバイス。
前記制御回路が、アンテナの前記第1のセットを使用して前記高周波信号を送信し、アンテナの前記第2のセットを使用して前記高周波信号の反射したバージョンを受信するように構成されている、請求項13に記載の電子デバイス。
前記第1のアンテナ単位セルが、前記アレイの第1の行及び第1の列内に配置され、前記第2のアンテナ単位セルが、前記アレイの第2の行及び第2の列内に配置され、前記アレイが、前記アレイの前記第2の行及び前記第1の列内に配置された第3のアンテナ単位セルと、前記アレイの前記第1の行及び前記第2の列内に配置された第4のアンテナ単位セルとを更に含む、請求項17に記載の電子デバイス。
第1の周波数帯域で高周波信号を伝達するように構成されたフェーズドアンテナアレイであって、前記フェーズドアンテナアレイは第1の空洞内の第1のアンテナ放射素子、及び第2の空洞内の第2のアンテナ放射素子を含む、フェーズドアンテナアレイと、
前記第1の空洞の対応する角部に位置し、かつ前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域で高周波信号を送信するように構成されたアンテナ放射素子を有するアンテナの第1のセットと、
前記第2の空洞の対応する角部に位置し、かつ前記第2の周波数帯域で高周波信号を受信するように構成されたアンテナ放射素子を有するアンテナの第2のセットと、
アンテナの前記第2のセットによって受信された前記第2の周波数帯域の前記高周波信号に基づいて空間測距動作を実行するように構成された制御回路と、
を備える、電子デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1の電子デバイス10などの電子デバイスは、無線回路を含むことができる。無線回路は、1つ以上のアンテナを含むことができる。アンテナは、ミリ波通信及びセンチ波通信を処理するために使用されるフェーズドアンテナアレイを含むことができる。極高周波(EHF)通信と呼ばれることもあるミリ波通信は、60GHz、又は約30GHz〜300GHzの他の周波数の信号を伴う。センチ波通信は、約10GHz〜30GHzの周波数の信号を伴う。電子デバイスは、これらの周波数での信号を使用して無線通信及び/又は空間測距動作を実行するためのアンテナを含むことができる。所望であれば、デバイス10はまた、衛星航法システム信号、セルラー電話信号、無線ローカルエリアネットワーク信号、近距離通信、光に基づく無線通信、又は他の無線通信を処理するための無線通信回路を含むこともできる。
【0019】
電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータモニタ、タブレットコンピュータ、セルラー電話機、メディアプレーヤ、又は他のハンドヘルド若しくはポータブル電子デバイスなどのコンピューティングデバイス、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホン若しくはイヤホンデバイス、仮想若しくは拡張現実ヘッドセットデバイス、眼鏡に埋め込まれたデバイス若しくはユーザの頭部に装着する他の機器、又は他の着用可能な若しくはミニチュアデバイスなどの小型デバイス、テレビ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子機器がキオスク若しくは自動車に搭載されるシステムなどの組み込み型システム、無線アクセスポイント若しくは基地局、デスクトップコンピュータ、キーボード、ゲームコントローラ、コンピュータマウス、マウスパッド、トラックパッド若しくはタッチパッド、これらのデバイスのうちの2つ以上の機能を実装する機器、又は他の電子機器であってもよい。
図1の例示的な構成では、デバイス10は、セルラー電話機、メディアプレーヤ、タブレットコンピュータ、又は他のポータブルコンピューティングデバイスなどのポータブルデバイスである。所望であれば、デバイス10に関して他の構成を使用することもできる。
図1の例は、単なる例示にすぎない。
【0020】
図1に示すように、デバイス10は、ディスプレイ8などのディスプレイを含むことができる。ディスプレイ8は、筐体12などの筐体内に搭載されてもよい。筐体12は、エンクロージャ又はケースと称される場合もあり、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維複合材、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなど)、他の好適な材料、又はこれらの材料のうちの任意の2つ以上の組合せで形成することができる。筐体12は、筐体12の一部又は全部が単一の構造体として機械加工又は成形された単体構成を用いて形成されてもよく、又は複数の構造体(例えば、内部フレーム構造体、外部筐体表面を形成する1つ以上の構造体、など)を用いて形成されてもよい。
【0021】
ディスプレイ8は、導電性の静電容量式タッチセンサ電極又は他のタッチセンサ構成要素(例えば、抵抗式タッチセンサ構成要素、音響式タッチセンサ構成要素、力ベースのタッチセンサ構成要素、光ベースのタッチセンサ構成要素など)の層を組み込んだタッチスクリーンディスプレイであってもよく、又はタッチ感知式でないディスプレイであってもよい。静電容量式タッチスクリーン電極は、インジウムスズ酸化物パッド又は他の透過性の導電性構造体のアレイから形成されてもよい。
【0022】
ディスプレイ8は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)構成要素から形成されたディスプレイ画素のアレイ、電気泳動ディスプレイ画素のアレイ、プラズマディスプレイ画素のアレイ、有機発光ダイオードディスプレイ画素のアレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ画素のアレイ、又は他のディスプレイ技術に基づくディスプレイ画素を含んでもよい。
【0023】
ディスプレイ8は、透明なガラス、透明なプラスチック、サファイア、又は他の透明な誘電体の層などの、ディスプレイカバー層を使用して保護することができる。開口部を、ディスプレイカバー層内に形成することができる。例えば、開口部は、1つ以上のボタン、指紋センサ又は光センサなどのセンサ回路、スピーカポート又はマイクロフォンポートなどのポートなどを収容するために、ディスプレイカバー層内に形成することができる。開口部は、通信ポート(例えば、オーディオジャックポート、デジタルデータポート、充電ポートなど)を形成するために、筐体12内に形成することができる。筐体12内の開口部はまた、スピーカ及び/又はマイクロフォンなどのオーディオ構成要素用に形成することもできる。
【0024】
アンテナは、筐体12内に搭載することができる。所望であれば、アンテナ(例えば、ビームステアリングを実行することができるアンテナアレイなど)の一部は、ディスプレイ8の非アクティブ境界領域の下に搭載することができる(例えば、
図1の例示的なアンテナ位置6を参照)。ディスプレイ8は、画素のアレイを有するアクティブエリア(例えば、中央矩形部分)を含むことができる。ディスプレイ8の非アクティブエリアは、画素を含まず、アクティブエリアのための境界を形成することができる。所望であれば、アンテナはまた、筐体12の背面内又はデバイス10内の他の所の誘電体で充填された開口部を介して動作することができる。
【0025】
人間の手又はユーザの他の体の一部分などの外部のオブジェクトが1つ以上のアンテナを遮断する場合に通信を阻害することを回避するために、アンテナは、筐体12内の複数の位置に搭載することができる。近接センサのデータなどのセンサデータ、リアルタイムのアンテナインピーダンス測定値、受信した信号強度情報などの信号品質の測定値、及び他のデータは、筐体12の向き、ユーザの手若しくは他の外部オブジェクトによる遮断、又は他の環境要因のために1つ以上のアンテナが悪影響を受けている場合を判定するのに使用することができる。デバイス10は、次に、悪影響を受けているアンテナの代わりに、1つ以上の交替アンテナを使用状態に切換えることができる。
【0026】
アンテナは、筐体12の角部(例えば、
図1の角部の位置6に、及び/又は筐体12の背面上の角部の位置に)に、筐体12の周囲縁部に沿って、筐体12の背面上に、デバイス10の前面上のディスプレイ8をカバーし保護するのに使用されるディスプレイカバーガラス若しくは他の誘電体ディスプレイカバー層の下に、筐体12の背面若しくは筐体12の縁部上の誘電体ウィンドウの下に、又はデバイス10内の他の所に搭載することができる。
【0027】
図2は、アンテナ(例えば、単一のアンテナ及び/又はフェーズドアンテナアレイ)をデバイス10内に搭載することができる筐体12の背面及び側面上の例示的な位置6を示す、電子デバイス10の背面斜視図である。アンテナは、デバイス10の角部に、側壁12Eによって形成された縁部などの筐体12の縁部に沿って、後部筐体部分(壁)12Rの上側及び下側部分上に、筐体後壁部12Rの中央に(例えば、後部筐体12Rの中央の誘電体ウィンドウ構造体又は他のアンテナ窓の下に)、筐体後壁部12Rの角部に(例えば、筐体12及びデバイス10の背面の左上の角部、右上の角部、左下の角部、及び右下の角部上に)などに搭載することができる。
【0028】
筐体12が誘電体から全体又はほぼ全体が形成される構成では、アンテナは、誘電体の任意の好適な部分を介してアンテナ信号を送受信することができる。筐体12が金属などの導電材料から形成される構成では、金属内のスロット又は他の開口部などの筐体の領域は、プラスチック又は他の誘電体で充填することができる。アンテナは、開口部内の誘電体と位置合わせして搭載することができる。誘電体アンテナ窓、誘電体隙間、誘電体で充填された開口部、誘電体で充填されたスロット、細長い誘電体開口部領域などと呼ばれることもあり得る、これらの開口部は、デバイス10の内部に搭載されたアンテナから外部無線機器にアンテナ信号を送信するのを可能にすることができ、内部のアンテナが外部無線機器からアンテナ信号を受信するのを可能にすることができる。別の好適な構成では、アンテナは、筐体12の導電部分の外部に搭載することができる。
【0029】
デバイス10において使用することができる例示的な構成要素を示す模式図を
図3に示す。
図3に示すように、デバイス10は、制御回路14などの記憶及び処理回路を含むことができる。制御回路14は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するように構成されている他の電気的にプログラムできる読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)などの記憶装置を含む場合がある。制御回路14内の処理回路は、デバイス10の動作を制御するために使用される場合がある。この処理回路は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ホストプロセッサ、ベースバンドプロセッサ集積回路、特定用途向け集積回路などに基づいてもよい。
【0030】
制御回路14は、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバー・インターネット・プロトコル(voice-over-internet-protocol、VOIP)通話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能などのソフトウェアをデバイス10上で走らせるために使用される場合がある。外部機器との相互作用をサポートするために、通信プロトコルを実施する際に制御回路14が使用される場合がある。制御回路14を使用して実施することができる通信プロトコルとしては、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワークプロトコル(例えば、WiFi(登録商標)と呼ばれることもあるIEEE802.11プロトコル)、Bluetooth(登録商標)プロトコル又は他のWPANプロトコルなどの他の近距離無線通信リンクのためのプロトコル、IEEE802.11adプロトコル、セルラー電話プロトコル、MIMOプロトコル、アンテナダイバーシティプロトコル、衛星航法システムプロトコル、アンテナベースの空間測距プロトコル(例えば、無線検出及び測距(radio detection and ranging、RADAR)プロトコル、又はミリ波及びセンチ波周波数で伝達される信号のための他の所望の距離検出プロトコル)などが挙げられる。各通信プロトコルは、プロトコルを実施する際に使用される物理的接続手順を指定する、対応する無線アクセス技術(radio access technology、RAT)と関連付けることができる。
【0031】
デバイス10内の制御回路(例えば、制御回路14)は、ハードウェア(例えば、専用のハードウェア又は回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して、デバイス10内で動作を実行するように構成されてもよい。デバイス10内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、制御回路14内の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、有形のコンピュータ可読記憶媒体)上に記憶される。ソフトウェアコードは、時に、プログラム命令、ソフトウェア、データ、命令、又はコードと呼ばれることがある。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、不揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random-access memory、NVRAM)などの不揮発性メモリ、1つ以上のハードドライブ(例えば、磁気ドライブ又はソリッドステートドライブ)、1つ以上のリムーバブルフラッシュドライブ、又は他のリムーバブル媒体などを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたソフトウェアは、制御回路14の処理回路上で実行することができる。処理回路は、処理回路を有する特定用途向け集積回路、1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、又は他の処理回路を含むことができる。
【0032】
デバイス10は、入出力回路16を含み得る。入出力回路16は、入出力デバイス18を含むことができる。入出力デバイス18を使用して、デバイス10にデータを供給することを可能にし、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にすることができる。入出力デバイス18は、ユーザインターフェースデバイス、データポートデバイス、センサ、及び他の入出力構成要素を含むことができる。例えば、入出力デバイスとしては、タッチスクリーン、タッチセンサ機能を有さないディスプレイ、ボタン、ジョイスティック、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、カメラ、スピーカ、状態インジケータ、光源、オーディオジャック及び他のオーディオポート構成要素、デジタルデータポートデバイス、光センサ、ジャイロスコープ、加速度計若しくは動き及び地球に対するデバイスの方位を検出し得る他の構成要素、キャパシタンスセンサ、近接センサ(例えば、静電容量近接センサ及び/又は赤外線近接センサ)、磁気センサ、並びに他のセンサ及び入出力構成要素を挙げることができる。
【0033】
入出力回路16は、外部機器と無線通信するため及び/又は空間測距動作を実行するための無線回路34を含むことができる。無線回路34は、1つ以上の集積回路から形成される高周波(radio-frequency、RF)送受信機回路、電力増幅器回路、低雑音入力増幅器、パッシブRF構成要素、1つ以上のアンテナ40、伝送線、及びRF無線信号を処理するための他の回路を含むことができる。無線信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)も送信され得る。
【0034】
無線回路34は、様々な高周波通信帯域を処理するための高周波送受信機回路20を含んでもよい。例えば、送受信機回路20は、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)受信機回路22、ローカル無線送受信機回路24、リモート無線送受信機回路26、及び/又はミリ波送受信機回路28を含むことができる。
【0035】
ローカル無線送受信機回路24は、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)送受信機回路を含んでもよく、したがって、本明細書では時にWLAN送受信機回路24と呼ばれることがある。WLAN送受信機回路24は、WiFi(登録商標)(IEEE802.11)通信用の2.4GHz及び5GHzの帯域を処理することができ、かつ2.4GHzのBluetooth(登録商標)通信帯域を処理することができる。
【0036】
リモート無線送受信機回路26は、セルラー電話送受信機回路を含むことができ、したがって、本明細書では時にセルラー電話送受信機回路26と呼ばれることがある。セルラー電話送受信機回路26は、700〜960MHzの通信帯域、1710〜2170MHzの通信帯域、及び2300〜2700MHzの通信帯域、又は600MHz〜4000MHz若しくは他の好適な周波数間の他の通信帯域などの周波数範囲での無線通信を処理することができる(例として)。セルラー電話送受信機回路26は、音声データ及び非音声データを処理することができる。
【0037】
ミリ波送受信機回路28(本明細書で極高周波(EHF)送受信機回路28又はミリ波送受信機回路28と呼ばれることもある)は、約10GHz〜300GHzの周波数での通信をサポートすることができる。例えば、ミリ波送受信機回路28は、約30GHz〜300GHzの極高周波(EHF)若しくはミリ波通信帯域における、及び/又は約10GHz〜30GHzのセンチ波通信帯域(超高周波(Super High Frequency、SHF)帯域と呼ばれることもある)における通信をサポートすることができる。例として、ミリ波送受信機回路28は、約18GHz〜27GHzのIEEE K通信帯域、約26.5GHz〜40GHzのK
a通信帯域、約12GHz〜18GHzのK
u通信帯域、約40GHz〜75GHzのV通信帯域、約75GHz〜110GHzのW通信帯域、又は約10GHz〜300GHzの任意の他の所望の周波数帯域での通信をサポートすることができる。所望であれば、ミリ波送受信機回路28は、60GHzでのIEEE802.11ad通信、及び/又は27GHz〜90GHzの第5世代モバイルネットワーク若しくは第5世代無線システム(5G)の通信帯域をサポートすることができる。所望であれば、ミリ波送受信機回路28は、27.5GHz〜29.5GHzの第1の帯域、37GHz〜41GHzの第2の帯域、57GHz〜71GHzの第3の帯域、及び/又は10GHz〜300GHzの他の通信帯域などの、10GHz〜300GHzの複数の周波数帯域における通信をサポートすることができる。ミリ波送受信機回路28は、1つ以上の集積回路(例えば、システム・イン・パッケージデバイス内の共通のプリント回路上に搭載された複数の集積回路、異なる基板上に搭載された1つ以上の集積回路など)から形成することができる。
【0038】
回路28は、本明細書ではミリ波送受信機回路28と呼ばれることもあるが、ミリ波送受信機回路28は、10GHz〜300GHzの周波数での任意の所望の通信帯域における通信を処理することができる(例えば、ミリ波通信帯域、センチ波通信帯域などにおいて)。例として本明細書で説明することがある1つの好適な構成では、ミリ波送受信機回路28は、アンテナ40によって送受信されるミリ波信号及び/又はセンチ波信号を使用して空間測距動作を実行する空間測距回路(例えばミリ波空間測距回路)を含むことができる。空間測距回路は、送信及び受信された信号を使用して、デバイス10とデバイス10の周囲の外部オブジェクト(例えば、ユーザ若しくは他の人の身体、他のデバイス、動物、家具、壁、又はデバイス10の近傍の他の物体若しくは障害物などの、筐体12及びデバイス10の外部の物体)との間の距離を検出又は推定することができる。
【0039】
GPS受信機回路22は、1575MHzでのGPS信号、又は他の衛星測位データを処理するための信号(例えば、1609MHzでのGLONASS信号)を受信することができる。GPS受信機回路22用の衛星航法システム信号は、地球の周囲を回る一連の衛星から受信される。
【0040】
無線回路34は、所望であれば、他の近距離及び遠距離無線リンク用の回路を含むことができる。例えば、無線回路34は、テレビ及びラジオ信号を受信するための回路、ページングシステム送受信機、近距離通信(near field communications、NFC)回路などを含んでもよい。
【0041】
衛星航法システムリンク、セルラー電話リンク、及び他の遠距離リンクでは、数千フィート又は数マイルにわたってデータを伝達する目的で無線信号が使用されるのが典型的である。2.4GHz及び5GHzでのWiFi(登録商標)リンク及びBluetooth(登録商標)リンク並びにその他の近距離無線リンクでは、数十フィートから数百フィートにわたってデータを伝達する目的で無線信号が使用されるのが典型的である。ミリ波送受信機回路28は、短距離にわたって、見通し経路を介して送信機と受信機との間を移動する信号を伝達することができる。ミリ波通信及びセンチ波通信用の信号受信を強化するために、フェーズドアンテナアレイ及びビームステアリング技術(例えば、ビームステアリングを実行するためにアレイ内のそれぞれのアンテナに対するアンテナ信号の位相及び/又は大きさが調整される方式)を使用することができる。遮断されたか、又はデバイス10の動作環境が原因で他の点で劣化したアンテナを未使用状態に切換え、より高性能のアンテナをそれらの代わりに使用できるように、アンテナダイバーシティ方式も使用されてもよい。
【0042】
無線回路機構34内のアンテナ40は、任意の好適な種類のアンテナを使用して形成されてもよい。例えば、アンテナ40は、積層パッチアンテナ構造体、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平板逆Fアンテナ構造体、モノポール、ダイポール、ヘリカルアンテナ構造体、八木(Yagi−Uda)アンテナ構造体、これらの設計の混成などから形成される共振素子を有するアンテナを含んでもよい。所望であれば、アンテナ40のうちの1つ以上は、空洞付きアンテナであってもよい。異なる帯域及び帯域の組合せに対して、異なる種類のアンテナが使用されてもよい。例えば、1つのタイプのアンテナをローカル無線リンクアンテナの形成に使用しもよく、別のタイプのアンテナをリモート無線リンクアンテナの形成に使用してもよい。衛星航法システム信号を受信するための専用アンテナが使用されてもよく、又は所望であれば、アンテナ40が衛星航法システム信号及び他の通信帯域のための信号(例えば、無線ローカルエリアネットワーク信号及び/又はセルラー電話信号)の両方を受信するように構成されてもよい。所望であれば、ミリ波及びセンチ波空間測距動作を実行するために、専用アンテナを使用することができる。アンテナ40は、ミリ波通信及びセンチ波通信を処理するために、及び/又は空間測距動作を処理するために、1つ以上のフェーズドアンテナアレイ内に配置されたアンテナを含むことができる。
【0043】
デバイス10内のアンテナ信号を転送するために、伝送線経路が使用されてもよい。例えば、アンテナ40を送受信機回路20に結合するために、伝送線経路が使用されてもよい。デバイス10内の伝送線経路(本明細書で伝送線と呼ばれることもある)は、同軸ケーブル、金属化ビアによって実現される同軸プローブ、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線、エッジ結合マイクロストリップ伝送線、エッジ結合ストリップライン伝送線、導波路構造体、これらの種類の伝送線の組合せから形成される伝送線などを含むことができる。
【0044】
所望であれば、デバイス10内の伝送線は、リジッドプリント回路基板及び/又はフレキシブルプリント回路基板内に統合することができる。1つの適切な構成では、デバイス10における伝送線はまた、複数の次元(例えば、2次元又は3次元)で折ることができ、又は曲げることができ、曲げた後に曲げた形状又は折った形状を維持する(例えば、多層積層構造は、他のデバイス構成要素の周りで経路選択するように特定の3次元形状に折られてもよく、補強材又は他の構造によって適切に保持されることなく折った後にその形状を保持するように十分に剛体であってもよい)、多層積層構造(例えば、間に入る接着剤なしで共に積層された銅などの導電材料及び樹脂などの誘電材料の層)内で統合された伝送線導体(例えば、信号及び接地導体)を含んでもよい。積層構造体の複数の層の全ては、接着剤なしで(例えば、接着剤で共に複数の層を積層する複数のプレス工程を実行することとは反対に)共に1回で積層されてもよい(例えば、単一のプレス工程で)。所望であれば、フィルタ回路、スイッチング回路、インピーダンス整合回路、及び他の回路を伝送線内に挿入することができる。
【0045】
ハンドヘルドデバイスなどのデバイスでは、ユーザの手若しくはテーブル又はデバイスが置かれている他の表面などの外部オブジェクトの存在が、ミリ波信号などの無線信号を遮断する可能性を有する。したがって、そのそれぞれがデバイス10内の異なる位置に配置される、複数のアンテナ又はフェーズドアンテナアレイをデバイス10内に組み込むことが望ましいことがある。このタイプの構成では、遮断されないアンテナ又はフェーズドアンテナアレイを使用状態に切り替えることができる。フェーズドアンテナアレイがデバイス10内に形成されるシナリオでは、使用状態に切り替えられると、フェーズドアンテナアレイは、ビームステアリングを使用して、無線性能を最適化することができる。デバイス10内の1つ以上の異なる位置からのアンテナが同時に動作する構成もまた、使用することができる。
【0046】
フェーズドアンテナアレイを有するデバイスでは、無線回路34は、フェーズドアンテナアレイ内の各アンテナ40に関連付けられた信号を調整するのに(例えば、ビームステアリングを実行して、フェーズドアンテナアレイの信号ビームを所望の指示方向に向けるために)使用されるゲイン及び位相調整回路を含むことができる。所望のアンテナ40を使用状態及び非使用状態に切換えるために、スイッチング回路を使用することができる。所望であれば、
図1及び
図2の位置6のそれぞれは、複数のアンテナ40(例えば、フェーズドアンテナアレイ内の3つのアンテナ又は3つより多い若しくは3つより少ないアンテナのセット)を含むことができ、所望であれば、位置6のうちの1つからの1つ以上のアンテナは、別の位置6からの1つ以上のアンテナを信号を送受信するのに使用しながら、信号を送受信するのに使用することができる。
【0047】
送受信機回路20(例えば、
図3のミリ波送受信機回路28)に結合されたアンテナ40の模式図を、
図4に示す。
図4に示すように、高周波送受信機回路20を、伝送線50を使用してアンテナ40のアンテナフィードFに結合することができる。アンテナフィードFは、正極アンテナフィード端子56などの正極アンテナフィード端子を含むことができ、かつ接地アンテナフィード端子58などの接地アンテナフィード端子を含むことができる。伝送線50は、プリント回路上の金属トレース又は他の導電性構造体から形成することができ、かつ正極アンテナフィード端子56に結合された経路52などの正極伝送線信号経路、及び接地アンテナフィード端子58に結合された経路54などの接地伝送線信号経路を有することができる。経路52は、本明細書では時に、信号導体52と呼ばれる場合がある。経路54は、本明細書では時に、接地導体54と呼ばれる場合がある。
【0048】
デバイス10は、複数のアンテナ40を含むことができる。これらのアンテナは同時に使用されてもよいし、あるいはアンテナのうちの1つが使用状態に切換えられ、他のアンテナ(単数又は複数)が未使用状態に切換えられてもよい。所望であれば、デバイス10内で使用するのに最適なアンテナをリアルタイムで選択するため、かつ/又はアンテナ40のうちの1つ以上に関連付けられた調節可能な無線回路のための最適な設定を選択するために、制御回路14(
図3)を使用してもよい。所望の周波数範囲内で動作するようにアンテナを同調するため、フェーズドアンテナアレイを使用してビームステアリングを実行するため、及びその他の方法でアンテナ性能を最適化するために、アンテナ調整が行われてもよい。アンテナ40を調整するのに使用されるセンサデータをリアルタイムで収集するために、センサがアンテナ40に組み込まれてもよい。
【0049】
いくつかの構成では、アンテナ40は、1つ以上のアンテナアレイ(例えば、ビームステアリング機能を実施するためのフェーズドアンテナアレイ)内に配置することができる。例えば、ミリ波送受信機回路28のためのミリ波信号及びセンチ波信号を処理するときに使用されるアンテナが、フェーズドアンテナアレイとして実装されてもよい。ミリ波通信及びセンチ波通信をサポートするためのフェーズドアンテナアレイ内の放射素子は、パッチアンテナ(例えば、積層パッチアンテナ)、ダイポールアンテナ、ダイポールアンテナ共振素子に加えてディレクタ及びリフレクタを有するダイポールアンテナ(八木アンテナ又はビームアンテナと呼ばれることもある)、又は他の好適なアンテナ要素であってもよい。一体化されたフェーズドアンテナアレイ及び送受信機回路モジュールを形成するために、送受信機回路がフェーズドアンテナアレイと一体化されてもよい。
【0050】
例として本明細書で説明されることもある1つの好適な構成では、アンテナ40を実装するために、パッチアンテナ構造体を使用することができる。パッチアンテナ構造体を使用して実装されるアンテナ40は、本明細書では、パッチアンテナと呼ばれることもあり得る。例示的なパッチアンテナを、
図5に示す。
【0051】
図5に示すように、アンテナ40は、アンテナ接地板64(本明細書ではアンテナ接地64と呼ばれることがある)などの接地板から分離され、かつ接地板と平行なパッチアンテナ共振素子60を有してもよい。パッチアンテナ共振素子60は、
図5のX−Y平面などの平面内に位置してもよい(例えば、素子60の側面領域はX−Y平面内に位置してもよい)。パッチアンテナ共振素子60は、本明細書では、パッチ60、パッチ素子60、パッチ共振素子60、アンテナ共振素子60、又は共振素子60と呼ばれることがあり得る。アンテナ接地64は、パッチ素子60の平面に対して平行な平面内に配置されてもよい。したがって、パッチ素子60及びアンテナ接地64は、固定距離だけ離れた別個の平行平面内に位置してもよい。パッチ素子60及びアンテナ接地64は、リジッドプリント回路基板又はフレキシブルプリント回路基板、金属ホイル、打ち抜き加工されたシートメタル、電子デバイス筐体構造体、又は任意の他の所望の導電性構造体などの誘電体基板上にパターニングされた導電性トレースから形成することができる。
【0052】
パッチ素子60の側部の長さは、アンテナ40が所望の動作周波数で共振する(放射する)ように選択することができる。例えば、パッチ素子60の側部はそれぞれ、アンテナ40によって伝達される信号の波長(例えば、パッチ素子60を取り囲む材料の誘電特性を所与とした有効波長)の半分にほぼ等しい長さ62を有してもよい。1つの好適な構成では、長さ62は、単なる一例として、57GHz〜70GHzのミリ波周波数帯域をカバーするための0.8mm〜1.2mm(例えば、約1.1mm)であってもよい。
【0053】
図5の例は、単なる例示にすぎない。パッチ素子60は、パッチ素子60の全ての辺が同じ長さである正方形形状を有してもよく、あるいは異なる矩形形状を有してもよい。パッチ素子60は、任意の所望の数の直線状縁部及び/又は湾曲縁部を有する他の形状で形成されてもよい。所望であれば、パッチ素子60及びアンテナ接地64は、異なる形状及び相対的な向きを有してもよい。
【0054】
パッチアンテナ40によって処理される偏波を拡張するために、アンテナ40は複数のフィードを備えてもよい。
図5に示すように、アンテナ40は、伝送線経路50Vなどの第1の伝送線経路50に結合されたアンテナポートP1の第1のフィード、及び伝送線経路50Hなどの第2の伝送線経路50に結合されたアンテナポートP2の第2のフィードを有することができる。第1のアンテナフィードは、アンテナ接地64に結合された第1の接地アンテナフィード端子(明確にするために
図5には示されていない)、及びパッチ素子60に結合された正極アンテナフィード端子56Vなどの第1の正極アンテナフィード端子56を有することができる。第2のアンテナフィードは、アンテナ接地64に結合された第2の接地アンテナフィード端子(明確にするために
図5には示されていない)、及びパッチ素子60に結合された正極アンテナフィード端子56Hなどの第2の正極アンテナフィード端子56を有することができる。
【0055】
アンテナ接地64内に、開口部70及び72などの孔又は開口部を形成することができる。伝送線経路50Vは、孔70を通ってパッチ素子60上の正極アンテナフィード端子56Vまで延びる垂直導体66V(例えば、導電性貫通ビア、導電性ピン、金属ピラー、はんだバンプ、これらの組合せ、又は他の垂直導電相互接続構造体)を含んでもよい。伝送線経路50Hは、孔72を通ってパッチ素子60上の正極アンテナフィード端子56Hまで延びる垂直導体66Hを含んでもよい。この例は単なる例示にすぎず、所望であれば、他の伝送線構造体(例えば、同軸ケーブル構造体、ストリップライン伝送線構造体など)を使用してもよい。
【0056】
ポートP1に関連付けられた第1のアンテナフィードを使用する場合、アンテナ40は、第1の直線偏波を有する高周波信号を送信及び/又は受信することができる(例えば、ポートP1に関連付けられたアンテナ信号68の電界E1は、
図5のY軸に対して平行に配向され得る)。ポートP2に関連付けられたアンテナフィードを使用する場合、アンテナ40は、第2の直線偏波を有する高周波信号を送信及び/又は受信することができる(例えば、ポートP2に関連付けられたアンテナ信号68の電界E2は、
図5のX軸に対して平行に配向され得、それにより、ポートP1及びP2に関連付けられた直線偏波は互いに直交する)。
【0057】
アンテナ40が単偏波アンテナとして動作するように、所与の時間にポートP1及びP2のうちの1つを使用してもよく、あるいは、アンテナ40が(例えば、二重偏波アンテナ、円偏波アンテナ、楕円偏波アンテナなどとして)他の偏波と共に動作するように、両方のポートを同時に動作させてもよい。所望であれば、アンテナ40が所与の時間に垂直偏波のカバーと水平偏波のカバーとを切り替えることができるように、アクティブポートを経時的に変えることができる。ポートP1及びP2は、異なる位相及び大きさのコントローラに結合されてもよく、又は両方が同じ位相及び大きさのコントローラに結合されてもよい(例えば、アンテナ40がフェーズドアンテナアレイ内に形成されるシナリオで)。所望であれば、(例えば、アンテナ40が二重偏波アンテナとして機能する場合)ポートP1及びP2は両方とも、所与の時間に同じ位相及び大きさで動作することができる。所望であれば、アンテナ40が他の偏波(例えば、円偏波又は楕円偏波)を呈するように、ポートP1及びP2を介して伝達される高周波信号の位相及び大きさを別々に制御し、経時的に変化させてもよい。
【0058】
注意が払われない場合、
図5に示す種類の二重偏波パッチアンテナなどのアンテナ40が有する帯域幅は、対象とする通信帯域(例えば、10GHzを超える周波数での通信帯域)全体をカバーするのに不十分であることがある。所望であれば、アンテナ40は、アンテナ40の帯域幅を広げるように(例えば、対応する通信帯域の全体をカバーするためにアンテナ40の帯域幅を拡張するように)機能する1つ以上の寄生アンテナ共振素子を含むことができる。寄生アンテナ共振素子は、一例として、パッチ素子60の上に位置する1つ以上の導電性パッチを含むことができる。寄生アンテナ共振素子の長さは、アンテナの帯域幅を広げる追加の共振を追加するように、パッチ素子60の長さよりも長く、又はそれよりも短くてもよい。寄生アンテナ共振素子は、所望であれば、インピーダンス整合のための十字形状を有することができる。
【0059】
デバイス10は、ミリ波信号及びセンチ波信号を使用して(例えば、
図3のミリ波送受信機回路28を使用して)無線通信及び空間測距動作の両方を実行することができる。
図6は、どのようにデバイス10が無線通信及び空間測距動作の両方を実行することができるかを示す図である。
図6に示すように、デバイス10は、無線通信リンク84を介して外部デバイス80などの外部無線機器と、ミリ波周波数及びセンチ波周波数で高周波信号を伝達することができる。
【0060】
外部デバイス80は、例として、無線基地局、無線アクセスポイント、組み込み型コンピュータ、タブレットコンピュータ、セルラー電話機、メディアプレーヤ、又は他のハンドヘルド若しくはポータブル電子デバイスなどの電子デバイス、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホン若しくはイヤホンデバイス、仮想若しくは拡張現実ヘッドセットデバイス、眼鏡に埋め込まれたデバイス若しくはユーザの頭部に装着する他の機器、又は他の着用可能な若しくはミニチュアデバイスなどの小型デバイス、テレビ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子機器がキオスク若しくは自動車に搭載されるシステムなどの組み込み型システム、デスクトップコンピュータ、キーボード、ゲームコントローラ、コンピュータマウス、マウスパッド、トラックパッド、又はタッチパッドであってもよい。
【0061】
同時に、デバイス10は、高周波信号86を(例えば、ミリ波周波数又はセンチ波周波数で)送信することができる。デバイス10は、外部オブジェクト82から反射された、送信された高周波信号86の反射したバージョンである反射高周波信号88を受信することができる。デバイス10は、高周波信号86及び88を処理して、デバイス10と外部オブジェクト82との間の距離(範囲)を特定することができる(例えば、高周波信号88が受信された時間を送信された高周波信号86内のタイムスタンプと比較することによって、など)。デバイス10は、高周波信号86及び88を使用して、任意の所望の空間測距動作(例えば、距離検出動作、外部オブジェクト検出動作、外部オブジェクト追跡動作など)を実行してもよい。
【0062】
無線通信リンク84は、双方向通信リンク(例えば、ミリ波通信プロトコルを使用して維持される通信リンク)であってもよい。双方向通信を実行するとき、デバイス10上のミリ波送受信機回路28(
図3)は、ミリ波通信プロトコルを使用して無線データを符号化することができ、ミリ波周波数又はセンチ波周波数で無線データを外部デバイス80に送信することができ、ミリ波周波数又はセンチ波周波数で外部デバイス80によって送信された無線データを受信することができ、ミリ波通信プロトコルを使用して受信した無線データを復号することができる。そのようなミリ波通信プロトコルとしては、例えば、IEEE 802.11ad通信プロトコル又は第5世代無線システム(5G)通信プロトコルを挙げることができる。
【0063】
図6の高周波信号86及び88を使用してミリ波送受信機回路28(
図3)によって実行される空間測距動作は、外部通信機器を必要としない一方向通信を伴う。空間測距動作を実行する際、ミリ波送受信機回路28は、信号がミリ波又はセンチ波周波数での一連(列)のパルス又は他の所定の信号を含むように(例えば、RADARプロトコル又は他の距離若しくは物体検出プロトコルに基づいて)、高周波信号86を送信することができる。ミリ波送受信機回路28は、その後、外部オブジェクト82から反射された反射高周波信号88を受信するのを待つことができる。送信された信号の反射したバージョンを受信すると、ミリ波送受信機回路28又は制御回路14(
図3)は、送信された高周波信号86(例えば、送信された信号内の一連のパルス)を受信した高周波信号88(例えば、受信した信号内の一連のパルス)と比較して、デバイス10と外部オブジェクト82との間の距離を特定することができる(例えば、送信された信号と受信した信号との間の時間遅延及び空気を介した信号の既知の伝搬速度に基づいて、かつ距離又は物体検出プロトコルを使用して)。一連のパルスにより、例えば、ミリ波送受信機回路28が、任意の所与の受信した信号がデバイス10で受信したなんらかの他の信号ではなく送信された信号の反射したバージョンであることを識別することを可能にすることができる(例えば、一連のパルスが、反射された信号に関して、送信された信号内の既知の一連のパルスと同じであるため)。
【0064】
デバイス10は、第1及び/又は第2の低周波数帯域(例えば、27.5GHz〜29.5GHzの周波数帯域、又は37GHz〜41GHzの周波数帯域)内で無線通信リンク84を介して高周波信号を伝達することができる。デバイス10は、高周波数帯域(例えば、57GHz〜71GHzの周波数帯域)内で高周波信号86を送信することができる。デバイス10はまた、所望であれば、高周波数帯域内で双方向通信を実行してもよい。デバイス10は、無線通信リンク84を処理するためのアンテナ40の第1のセット(例えば、フェーズドアンテナアレイ)を含むことができる。デバイス10は、高周波信号86を送信するためのアンテナ40の第2のセット(例えば、フェーズドアンテナアレイとして動作してもよく又はしなくてもよいアレイパターンに配置された1つ以上のアンテナ)を含むことができる。デバイス10は、高周波信号88を受信するためのアンテナ40の第3のセット(例えば、フェーズドアンテナアレイとして動作してもよく又はしなくてもよいアレイパターンに配置された1つ以上のアンテナ)を含むことができる。所望であれば、アンテナの同じセットを使用して、高周波信号86を送信し、かつ高周波信号88を受信することができる。
【0065】
図7は、どのようにデバイス10上の無線回路34が無線通信及び空間測距動作を実行するためのアンテナの異なるセットを含むことができるかを示す図である。
図7に示すように、無線回路34は、第1及び第2の低周波数帯域(例えば、27.5GHz〜29.5GHzの周波数帯域及び37GHz〜41GHzの周波数帯域)内の高周波信号を処理するアンテナ40Lの第1のセット90を含むことができる。無線回路34はまた、第1及び第2の低周波数帯域より高い高周波数帯域(例えば、57GHz〜71GHzの周波数帯域)で高周波信号を処理するアンテナ40Hの第2のセット92を含むことができる。セット90内のアンテナ40Lは、
図6の無線通信リンク84を介して無線通信を処理することができるのに対し、セット92内のアンテナ40Hは、
図6の高周波信号86及び88に関連付けられた空間測距動作を処理することができる。1つの好適な構成では、セット92は、
図6の高周波信号86を送信するためのアンテナの第1のサブセットを含むことができ、かつ
図6の高周波信号88を受信するためのアンテナの第2のサブセットを含むことができる。所望であれば、セット92内の同じアンテナ40Hは、高周波信号86を送信し、かつ高周波信号88を受信することができる。
【0066】
所望であれば、セット90内のアンテナ40Lは、選択された位相及び大きさを使用して動作させて、単一のフェーズドアンテナアレイを形成することができる(例えば、セット90は、本明細書では時に、アンテナ40Lのフェーズドアンテナアレイ90又はフェーズドアレイ90と呼ばれることがある)。セット90内のアンテナ40Lは、時にフェーズドアレイアンテナと集合的に呼ばれる場合がある。所望であれば、セット92内のアンテナ40Hは、選択された位相及び大きさを使用して動作させて、単一のフェーズドアンテナアレイを形成することができる(例えば、セット92は、本明細書では時に、フェーズドアンテナアレイ92と呼ばれることがある)。別の好適な構成では、セット92内のアンテナ40Hは、フェーズドアンテナアレイの一部として動作することなく、ミリ波信号及びセンチ波信号を送受信することができる。
【0067】
図7に示すように、セット90内の各アンテナ40Lは、対応する伝送線50を介して高周波集積回路(radio-frequency integrated circuit、RFIC)94の1つ以上のポート96に結合することができる。セット92内の各アンテナ40Hは、対応する伝送線50を介してRFIC 94の1つ以上のポート98に結合されてもよい。RFIC 94は、ポート98に結合された空間測距回路(例えば、1つ以上のポート98を介して
図6の高周波信号86を送信するための回路、及び1つ以上のポート98を介して
図6の高周波信号88を受信するための回路)を含むことができる。ポート96は、比較的低い周波数(例えば、アンテナ40Lの動作周波数)で高周波信号を処理することができるのに対し、ポート98は、比較的高い周波数(例えば、アンテナ40Hの動作周波数)で高周波信号を処理する。RFIC 94は、例えば、
図3のミリ波送受信機回路28を形成してもよい。
図7の例は、単なる例示にすぎない。一般に、任意の所望の数の集積回路を使用して、
図3のミリ波送受信機回路28を実装することができる(例えば、第1の集積回路が、セット90に結合されてもよく、ポート96を含んでもよく、第2の集積回路が、セット92に結合されてもよく、ポート98を含んでもよく、複数の集積回路が、セット92に結合されてもよい、など)。
【0068】
スペースは、多くの場合、デバイス10などの無線電子デバイス内で少なくて貴重である。そのように、
図6の無線通信リンク84を維持するためのアンテナ40Lのセット90及び空間測距動作を実行するためのアンテナ40Hのセット92の両方をデバイス10内に収容することは、困難であることがある(例えば、
図1の筐体12と関連付けられたフォームファクタの制約を所与として、など)。所望であれば、セット90内のアンテナ40Lの1つ以上を、セット92内の1つ以上のアンテナ40Hと共配置して、デバイス10内のスペースをより効率的に利用することができる。しかしながら、注意が払われない場合、共位置アンテナ40H及び40Lなどの共位置アンテナは、不十分な高周波性能を呈することがある。
【0069】
図8は、十分な高周波性能を呈することができる複数の共位置アンテナ40H及び40Lの側断面図である。
図8に示すように、共位置アンテナ構造体100は、第1のアンテナ40L−1及び第2のアンテナ40L−2などの複数のアンテナ40Lを含むことができる。共位置アンテナ構造体100は、本明細書では時に、アンテナの単位セル100又はアンテナ単位セル100と呼ばれる場合がある。アンテナ40L−1は、第1の低周波数帯域をカバーすることができ、アンテナ40L−2は、第1の低周波数帯域よりも高い周波数での第2の低周波数帯域をカバーする(単位セル100が、第1及び第2の低周波数帯域の両方を集合的にカバーするように)。例えば、第1の低周波数帯域は、27.5GHz〜29.5GHzの周波数帯域であってもよく、一方、第2の低周波数帯域は、37GHz〜41GHzの周波数帯域であってもよい。所望であれば、アンテナ40L−1及び40L−2のうちの1つを省略することができる(例えば、単位セル100が、第1及び第2の低周波数帯域のうちの1つのみをカバーするように)。
【0070】
図8に示すように、単位セル100はまた、第1のアンテナ40H−1及び第2のアンテナ40H−2などの複数のアンテナ40Hを含んでもよい。アンテナ40H−1及び40H−2は両方とも、高周波数帯域(例えば、57GHz〜71GHzの周波数帯域などの同じ高周波数帯域)をカバーすることができる。
図8の実施例では、単位セル100は、明確にするために、2つのアンテナ40Hのみを含むものとして示されている。一般に、単位セル100は、任意の所望の数のアンテナ40H(例えば、1つのアンテナ40H、3つのアンテナ40H、4つのアンテナ40Hなど)を含むことができる。
【0071】
アンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び40L−2はそれぞれ、
図5に示すパッチアンテナなどのパッチアンテナであってもよい。アンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び40L−2はそれぞれ、単一のアンテナフィードを含んでもよく、又は共に、異なる偏波をカバーするための複数のアンテナフィードを含むことができる。
図8に示すように、アンテナ40L−1は、パッチ素子60−1と、接地トレース114を使用して形成されたアンテナ接地(例えば、
図5のアンテナ接地64)と、パッチ素子60−1に結合された正極アンテナフィード端子56−1及び接地トレース114に結合された対応する接地アンテナフィード端子を含むアンテナフィードとを含むことができる。同様に、アンテナ40L−2は、パッチ素子60−2と、接地トレース114を使用して形成されたアンテナ接地と、パッチ素子60−2に結合された正極アンテナフィード端子56−2及び接地トレース114に結合された対応する接地アンテナフィード端子を含むアンテナフィードとを含むことができる。アンテナ40H−1は、パッチ素子60−3と、接地トレース114を使用して形成されたアンテナ接地と、パッチ素子60−2に結合された正極アンテナフィード端子56−3及び接地トレース114に結合された対応する接地アンテナフィード端子を含むアンテナフィードとを含むことができる。同様に、アンテナ40H−2は、パッチ素子60−4と、接地トレース114を使用して形成されたアンテナ接地と、パッチ素子60−4に結合された正極アンテナフィード端子56−4及び接地トレース114に結合された対応する接地アンテナフィード端子を含むアンテナフィードとを含むことができる。
【0072】
パッチ素子60−1、60−2、60−3、及び60−4はそれぞれ、
図8のX−Y平面内に延びる側面を有することができる。パッチ素子60−3及び60−4はそれぞれ、距離H1だけ接地トレース114(例えば、接地)から分離されてもよい。距離H1は、例えば、0.1mm〜0.5mm、0.2mm〜0.4mm、約0.3mm、0.5mmより大きい、0.1mm未満、又は他の距離であってもよい。パッチ素子60−1は、距離H1より大きい距離H2だけ接地トレース114から分離されてもよい。パッチ素子60−2は、距離H3だけパッチ素子60−1から、かつ距離H2+H3だけ接地トレース114から分離されてもよい。このようにして、単位セル100内のアンテナ40H−1及び40H−2用のパッチ素子は、単位セル100内のアンテナ40L−1及び40L−2用のパッチ素子よりもアンテナ接地(例えば、接地トレース114)に近くてもよい。これは、単位セル100内のアンテナ40H−1/40H−2とアンテナ40L−1/40L−2との間の干渉を最小化するように機能することができる。
【0073】
単位セル100内のアンテナ40H−1及び40H−2用のパッチ素子は、単位セル100内のアンテナ40L−1及び40L−2用のパッチ素子よりも下だが、アンテナ40L−1及び40L−2用のパッチ素子の側面外形と重なり合うことなく、位置してもよい。これにより、アンテナ40L−1及び40L−2による著しいシャドーイングなしに、アンテナ40H−1及び40H−2が高通信帯域で高周波信号111を伝達することを可能にすることができる。寄生素子102などの1つ以上の寄生アンテナ共振素子(例えば、十字形導電パッチなどの導電パッチ)は、パッチ素子60−2の上に搭載することができ、アンテナ40L−2及び/又はアンテナ40L−1の帯域幅を広げるように機能することができる。
【0074】
図8のアンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び40L−2は、基板104などの誘電体基板上に形成することができる。基板104は、例えば、リジッドプリント回路基板若しくはプリント回路基板、又は他の誘電体基板とすることができる。基板104は、複数の誘電体層106(例えば、多層セラミック又はガラス繊維充填エポキシなどのプリント回路基板の多層)を含んでもよい。誘電体層106は、第1の誘電体層106−1と、第1の誘電体層の上の第2の誘電体層106−2と、第2の誘電体層の上の第3の誘電体層106−3と、第3の誘電体層の上の第4の誘電体層106−4と、第4の誘電体層の上の第5の誘電体層106−5と、第5の誘電体層の上の第6の誘電体層106−6と、第6の誘電体層の上の第7の誘電体層106−7と、を含むことができる。所望であれば、より少ない又は追加の誘電体層106を基板104内に積層することができる。
【0075】
このタイプの構成では、アンテナ40L−1、40L−2、40H−1、及び40H−2は、基板104の誘電体層内に埋め込まれてもよい。例えば、接地トレース114(例えば、アンテナ接地)は、第2の誘電体層106−2の表面上に形成することができ、パッチ素子60−3及び60−4は、第3の誘電体層106−3の表面上の導電トレースから形成することができ、パッチ素子60−1は、第4の誘電体層106−4の表面上の導電トレースから形成することができ、パッチ素子60−2は、第5の誘電体層106−5の表面上の導電トレースから形成することができ、寄生素子102は、第6の誘電体層106−6の表面上の導電トレースから形成することができる。パッチ素子60−2の側面領域の一部又は全ては、パッチ素子60−1の側面外形(フットプリント)と重なり合ってもよい(X−Y平面内で)。アンテナ40L−1は、アンテナ40L−2による著しい信号遮断なしに、第1の低周波数帯域で放射することができる。
【0076】
アンテナ40L−1、40L−2、40H−1、及び40H−2は、対応する伝送線を使用して給電されてもよい。伝送線は、例えば、誘電体層106−1上の導電トレース112及び接地トレース114の一部分から形成されてもよい。導電トレース112は、アンテナ40L−1、40L−2、40H−1、及び40H−2に関連付けられた伝送線のための信号導体を形成することができる。アンテナ40H−1用の伝送線は、導電トレース112から誘電体層106−2、接地トレース114の孔、及び誘電体層106−3を通って、パッチ素子60−3上の正極アンテナフィード端子56−3まで延びる、垂直導電性貫通ビア110−3を含むことができる。同様に、アンテナ40H−2用の伝送線は、導電トレース112から誘電体層106−2、接地トレース114の孔、及び誘電体層106−3を通って、パッチ素子60−4上の正極アンテナフィード端子56−4まで延びる、垂直導電性貫通ビア110−4を含むことができる。アンテナ40L−1用の伝送線は、導電トレース112から誘電体層106−2、接地トレース114の孔、誘電体層106−3、及び誘電体層106−4を通って、パッチ素子60−1上の正極アンテナフィード端子56−1まで延びる、垂直導電性貫通ビア110−1を含むことができる。同様に、アンテナ40L−2用の伝送線は、導電トレース112から誘電体層106−2、接地トレース114の孔、誘電体層106−3、誘電体層106−4、パッチ素子60−1の孔、及び誘電体層106−5を通って、パッチ素子60−2上の正極アンテナフィード端子56−2まで延びる、垂直導電性貫通ビア110−2を含むことができる。この例は単なる例示にすぎず、所望であれば、他の伝送線構造体(例えば、同軸ケーブル構造体、ストリップライン伝送線構造体など)を使用してもよい。
【0077】
このように構成されると、アンテナ40L−1、40L−2、40H−1、及び40H−2は、第1及び第2の低周波数帯域並びに高周波数帯域で十分なアンテナ効率を呈しながら、同じ体積内に共配置することができる。アンテナ40H−1及び40H−2は、所望であれば、高周波信号111を使用して、アンテナ40L−1及び40L−2による著しい信号遮断なしに、空間測距動作を実行することができる(例えば、
図8の高周波信号111は、
図6の高周波信号86及び/又は88を形成することができる)。
【0078】
図8の実施例は、単なる例示に過ぎず、所望であれば、追加の誘電体層106を、単位セル100内の導電トレースのいずれかの間に介在させることができる。別の好適な構成では、基板104は、単一の誘電体層から形成されてもよい(例えば、アンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び40L−2は、成形プラスチック層などの単一の誘電体層内に埋め込まれてもよい)。更に別の好適な構成では、基板104は、省略されてもよく、アンテナは、他の基板構造体上に形成されてもよく、又は基板なしに形成されてもよい。
図8の実施例では、アンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び40L−2は、簡略化のためにそれぞれが単一のフィードのみを有するものとして示されている。単位セル100によってカバーされる偏波を拡張するために、アンテナ40H−1、40H−2、40L−1、及び/又は40L−2は、それぞれが対応する2つのフィードを有する二重偏波パッチアンテナであってもよい(例えば、
図5に示すように)。
【0079】
図9は、(例えば、
図8の矢印108の方向に見た)単位セル100の平面図である。
図9に示すように、セル100がアンテナ40H−3及び40H−4などの追加のアンテナ40Hを含むことができるまで。アンテナ40H−3は、対応するパッチ素子60−5を含むことができ、アンテナ40H−4は、対応するパッチ素子60−6(例えば、
図8の誘電体層106−3上の導電トレースから形成されたパッチ素子)を含むことができる。
図9の実施例では、明確にするために、誘電体基板104は示されていない。
【0080】
アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、40H−4、40L−1、及び40L−2はそれぞれ、空洞(体積)120内に共配置されてもよい。空洞120は、
図8の接地トレース114及び導電ビア122のセット(フェンス)によって画定された導電性壁(縁部)を有してもよい。導電ビア122は、
図8の基板104を通って、接地トレース114から基板104の上面まで延びてもよく、単位セル100を横方向に取り囲むことができる。導電ビア122は、接地又は基準電位に保持されてもよい。単位セル100の導電ビア122のフェンスは、アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、40H−4、40L−1、及び40L−2によってカバーされる周波数で不伝導性であってもよい。各導電ビア122は、単位セル100の動作の最長波長(例えば、
図8の基板104の誘電効果を補償した後の第1の低周波数帯域における有効波長)の約1/8未満の距離(ピッチ)だけ、隣接する2つの導電ビア170から分離することができる。導電ビア122のフェンスは、別の好適な構成では、中実金属壁(例えば、シートメタル壁、導電トレースから形成された壁、デバイス10の筐体の一体部分など)に置き換えられてもよい。更に別の好適な構成では、導電ビア122は、省略されてもよく、空洞120は、なんらの導電性壁によって横方向に取り囲まれなくてもよい。
【0081】
アンテナ40L−1及び40L−2は、点124周りに中心を置くことができる。一例として、点124は、空洞120(単位セル100)の中心に位置してもよい。アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4は、空洞120及び単位セル100の対応する角部に配置することができる。例えば、アンテナ40H−1は、パッチ素子60−1及び60−2の左下角部に隣接して(例えば、空洞120の左下角部に)配置することができ、アンテナ40H−2は、パッチ素子60−1及び60−2の右下角部に隣接して(例えば、空洞120の右下角部に)配置することができ、アンテナ40H−3は、パッチ素子60−1及び60−2の右上角部に隣接して(例えば、空洞120の右上角部に)配置することができ、アンテナ40H−4は、パッチ素子60−1及び60−2の左上角部に隣接して(例えば、空洞120の左上角部に)配置することができる。このようにアンテナ40H−1〜40H−4を配置することにより、例えば、アンテナ40L−1及び40L−2からのシャドーイングを最小化するように機能することができる。
【0082】
単位セル100内に4つのアンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4を配置することによって、単位セル100内のアンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4は、単位セル100にわたる実質的に均一な視野を集合的にカバーすることができる(例えば、アンテナ40H−2は、アンテナ40L−1及び40L−2からのシャドーイングに起因してアンテナ40H−4がカバーすることができない、単位セル100の右下の角度をカバーすることができ、アンテナ40H−3は、アンテナ40L−1及び40L−2からのシャドーイングに起因してアンテナ40−1がカバーできない単位セル100の右上の角度をカバーすることができる、など)。単位セル100がアンテナ40L−1及び40L−2のうちの1つのみを含むシナリオでは、アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4のうちの2つは、単位セル100に対する高周波数帯域におけるカバレッジ角度を犠牲にすることなく、省略することができる(例えば、アンテナ40L−1及び40L−2のうちの単一の1つがアンテナ40L−1及び40L−2の両方よりも少ないシャドーイングを生成することがあるため)。
【0083】
図9に示すように、パッチ素子60−1は、縁部132を有してもよく、パッチ素子60−2は、直交する軸126及び128のうちの1つに平行に延びる縁部130を有してもよい(例えば、パッチ素子60−1及び60−2は、矩形パッチであってもよく、及び/又は矩形の側面フットプリントを有してもよい)。
図9の実施例では、パッチ素子60−1は、インピーダンス整合のための十字形状を有する(例えば、そうでなければ矩形のパッチの角部を除去することができる)。これは例示にすぎない。所望であれば、パッチ素子60−2は、十字形状を有してもよく、及び/又はパッチ素子60−1は、完全に矩形の形状を有してもよい。パッチ素子60−1及び60−2の縁部はそれぞれ、空洞122の側壁と整列してもよい。換言すれば、軸126及び128、パッチ素子60−1の縁部132、及びパッチ素子60−2の縁部130はそれぞれ、空洞120の側壁の対応する対に平行に(例えば、空洞120を横方向に取り囲む1対のビアフェンスに平行に)延びてもよい。
【0084】
アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4内のパッチ素子60−3、60−4、60−5、及び60−6は、パッチ素子60−1の縁部132及びパッチ素子60−2の縁部130に対して非平行な角度に回転されてもよい。例えば、パッチ素子60−3、60−4、60−5、及び60−6の縁部138はそれぞれ、直交する軸136及び134のうちの1つに平行に延びてもよい。軸136及び134は、軸126及び124に対して非平行な角度(例えば、10度、30度、45度、1〜45度だけなど)に向けられてもよい。単位セル100内の各アンテナ40Hの縁部138は、互いの縁部138に平行に向けられてもよく、単位セル100内のアンテナ40H又は単位セル100内の各アンテナ40Hは、それぞれの向きを備えてもよい。一般に、パッチ素子60−3、60−4、60−5、及び60−6の縁部138は、パッチ素子60−2の縁部130及びパッチ素子60−1の縁部132に対して任意の所望の非平行な角度で延びてもよい。換言すれば、パッチ素子60−3、60−4、60−5、及び60−6の縁部138は、空洞120の側壁に対して(例えば、単位セル100内の導電ビア122のフェンスに対して)任意の所望の非平行な角度で延びてもよい。このようにパッチ素子60−3、60−4、60−5、及び60−6を向けることにより、例えば、アンテナ40L−1及び40L−2からのシャドーイングを最小化し、単位セル100内のアンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4と、アンテナ40L−1及び40L−2との間の分離を最大化し、アンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び40H−4に可能な限り均一なカバレッジ領域を提供するように機能することができる。
【0085】
図9の例は、単なる例示にすぎない。パッチ素子60−1〜60−6は、任意の所望の形状を有してもよい。空洞120は、矩形の外形を有する必要はない(例えば、空洞120は、所望であれば六角形の外形を有してもよい)。デバイス10は、
図9の単位セル100などの複数の単位セルを含むことができる(例えば、アンテナ40Lを使用してフェーズドアンテナアレイを形成するために)。
【0086】
図10は、どのように複数の単位セル100を使用して、アンテナ40Lの1×N個のフェーズドアンテナアレイを形成することができるかを示す上視図である。
図10に示すように、N個の単位セル100(例えば、第1の単位セル100−1、第2の単位セル100−2、第Nの単位セル100−Nなど)は、単一の行に配置されてもよい。各単位セル100は、対応するアンテナ40L−1及び40L−2(又はアンテナのうちの1つが省略されるシナリオでは、アンテナ40L−1及び40L−2のうちの1つのみ)を含んでもよい。集合的に、各単位セル100内のアンテナ40L−1及び40L−2は、第1及び/又は第2の低周波数帯域をカバーするための単一のフェーズドアンテナアレイ90を形成することができる(例えば、
図10のアンテナ40L−1及び40L−2は、ビームステアリングを実行するための対応する位相及び大きさを備えてもよい)。フェーズドアンテナアレイ90を使用して、
図6の無線通信リンク84などの双方向無線通信リンクを介して無線データを伝達することができる。
【0087】
単位セル100のうちの1つ以上は、アンテナ40Hの対応するセット(例えば、その単位セルの対応する角部に形成された
図9のアンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及び/又は40H−4)を含むことができる。
図10の実施例では、フェーズドアンテナアレイ90の両端部の単位セル(例えば、第1の単位セル100−1及び第Nの単位セル100−N)には、アンテナ40Hが設けられている。単位セル100−1内のアンテナ40Hは、空間測距動作を実行するために、高周波数帯域で高周波信号(例えば、
図6の高周波信号86)を送信することができる。単位セル100−N内のアンテナ40Hは、空間測距動作を実行するために、高周波数帯域で高周波信号(例えば、
図6の高周波信号88)を受信することができる。したがって、単位セル100−1内のアンテナ40Hは、本明細書では時に、送信アンテナのセット又はアレイ92TX(例えば、送信アレイ92TX)と呼ばれる場合があるのに対し、単位セル100−N内のアンテナ40Hは、本明細書では、受信アンテナのセット又はアレイ92RX(例えば、受信アレイ92RX)と呼ばれることがある。所望であれば、アレイ92TX内のアンテナ40Hは、ビームステアリングを実行するための対応する位相及び大きさを備えてもよい(例えば、アレイ92TXは、フェーズドアンテナアレイであってもよい)、又はビームステアリングを実行しなくてもよい。同様に、所望であれば、アレイ92RX内のアンテナ40Hは、ビームステアリングを実行するための対応する位相及び大きさを備えてもよい(例えば、アレイ92RXは、フェーズドアンテナアレイであってもよい)、又はビームステアリングを実行しなくてもよい。可能な限り遠く離れて位置する単位セル100内にアレイ92TX及び92RXを形成することにより、アレイ92TXと92RXとの間の分離(例えば、空間測距動作を実行するために使用される送信された高周波信号と受信された高周波信号との間の分離)を最大化するように機能することができる。
【0088】
所望であれば、
図10の単位セル100の各々内のアンテナ40L−1、40L−2、及び40Hは、同じ基板(例えば、
図8の基板104)内に埋め込むことができる。導電性壁(例えば、導電ビア122のフェンス)は、隣接する単位セル100を分離し、電磁的に絶縁することができる。所望であれば、ビア122を省略してもよい。
【0089】
図10の例は、単なる例示にすぎない。一般に、任意の所望の数の単位セル100は、アンテナ40Hの対応するアレイを含んでもよい(例えば、各単位セル、2つの単位セル、1つの単位セルなど)。単位セル100は、他のパターン(例えば、N個の列及びM個の行を有する矩形パターン、非矩形パターンなど)に配置されてもよい。
図11は、4つの単位セル100が2つの行及び2つの列を有する矩形パターンに配置されている実施例を示す。
【0090】
図11に示すように、フェーズドアンテナアレイ90は、単位セル100−1、100−2、100−3、及び100−4からのアンテナ40L−1及び40L−2を含むことができる。単位セル100−1及び100−2は、第1の行に配置されてもよく、単位セル100−3及び100−4は、第2の行に配置される。単位セル100−1及び100−3は、第1の列に配置されてもよく、単位セル100−2及び100−4は、第2の列に配置される。アレイ92RXと92TXとの間の分離を最大化するために、単位セル100−1は、アンテナ40Hのアレイ92TXを備えてもよく、単位セル100−4は、アンテナ40Hのアレイ92RXを備える。
図11の例は、単なる例示にすぎない。他のパターンが使用されてもよい。任意の所望の数のアンテナ40Hを、任意の所望の単位セル内に形成することができる。
【0091】
アンテナ40H(例えば、
図8のアンテナ40H−1及びアンテナ40H−2、
図9のアンテナ40H−1、40H−2、40H−3、及びアンテナ40H−4、並びに/又は
図10及び
図11のアンテナ40H)は、空間測距動作を実行するために使用される必要はなく、所望であれば、外部無線機器と(例えば、
図6の無線通信リンク84を介して外部デバイス80と)高周波数帯域で双方向通信を実行するために使用することができる。このようにして、電子デバイス10は、比較的小さいスペース内に、かつ高周波性能を犠牲にすることなく、複数のミリ波及び/又はセンチ波周波数帯域を使用して無線通信及び/又は空間測距動作を実行するためのアンテナの複数セットを含むことができる。
【0092】
一実施形態によれば、第1、第2、第3、及び第4の層を有する積層誘電体基板であって、第2の層が、第1の層と第3の層との間に介在し、第3の層が、第2の層と第4の層との間に介在する積層誘電体基板と、第1の層上の接地トレースと、第2の層上の第1のパッチ素子及び接地トレースを含む第1のアンテナと、第2の層上の第2のパッチ素子及び接地トレースを含む第2のアンテナであって、第1及び第2のアンテナは10GHzより高い第1の周波数帯域で放射するように構成された、第2のアンテナと、第3の層上の第3のパッチ素子及び接地トレースを含む第3のアンテナであって、第3のアンテナは第1の周波数帯域よりも低い第3の周波数帯域で放射するように構成された、第3のアンテナと、第4の層上の第4のパッチ素子及び接地トレースを含む第4のアンテナであって、第4のパッチ素子が第3のパッチ素子と少なくとも部分的に重なり合い、第4のアンテナは第1の周波数帯域よりも低い第4の周波数帯域で放射するように構成された、第4のアンテナと、を含む電子デバイスが提供される。
【0093】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第2の層上の第5のパッチ素子及び接地トレースを含む第5のアンテナと、第2の層上の第6のパッチ素子及び接地トレースを含む第6のアンテナとを含み、第5及び第6のパッチ素子は、第1の周波数帯域で放射するように構成されている。
【0094】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、積層誘電体基板を通って延び、かつ第1、第2、第3、第4、第5、及び第6のパッチ素子を横方向に取り囲む、導電ビアのフェンスを含む。
【0095】
別の実施形態によれば、導電ビアのフェンス及び接地トレースは、空洞の縁部を画定し、第1のアンテナは、空洞の第1の角部に位置し、第2のアンテナは、空洞の第2の角部に位置し、第3のアンテナは、空洞の第3の角部に位置し、第4のアンテナは、空洞の第4の角部に位置する。
【0096】
別の実施形態によれば、第3及び第4のパッチ素子は、空洞の中心に位置する。
【0097】
別の実施形態によれば、第1、第2、第5、及び第6のパッチ素子は、第3及び第4のパッチ素子に対して非平行な角度に回転される。
【0098】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第1、第2、第3、及び第4のアンテナに結合された送受信機回路であって、送受信機回路は第1及び第2のアンテナを使用して高周波信号を伝達するように構成された、送受信機回路と、制御回路とを含み、制御回路は、第1及び第2のアンテナによって伝達される高周波信号を使用して空間測距動作を実行するように構成されている。
【0099】
別の実施形態によれば、送受信機回路は、第5及び第6のアンテナを使用して、外部無線機器との双方向通信を実行するように構成されている。
【0100】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第1、第2、第3、及び第4のパッチ素子を横方向に取り囲む導電性壁を含み、導電性壁及び接地トレースは、第1、第2、第3、及び第4のアンテナのための導電性空洞を画定する。
【0101】
別の実施形態によれば、第4の周波数帯域は、第3の周波数帯域よりも高い。
【0102】
別の実施形態によれば、第1の周波数帯域は、57GHz〜71GHzの周波数を含み、第2の周波数帯域は、27.5GHz〜29.5GHzの周波数を含み、第3の周波数帯域は、37GHz〜41GHzの周波数を含む。
【0103】
別の実施形態によれば、積層誘電体基板は、第5の層を含み、第4の層は、第3の層と第5の層との間に介在し、電子デバイスは、第4のパッチ素子に少なくとも部分的に重なり合う第5の層上の寄生アンテナ共振素子を含む。
【0104】
一実施形態によれば、第1及び第2のアンテナ単位セルを含むアンテナ単位セルのアレイであって、アレイ内の各アンテナ単位セルが10GHzよりも高い第1の周波数帯域で放射するように構成された対応するアンテナを含む、アンテナ単位セルのアレイと、第1のアンテナ単位セル内のアンテナの第1のセットと、第2のアンテナ単位セル内のアンテナの第2のセットであって、アンテナの第1及び第2のセットは第1の周波数帯域よりも高い第2の周波数帯域で高周波信号を伝達するように構成された、アンテナの第2のセットと、アンテナの第1及び第2のセットによって伝達される高周波信号を使用して空間測距動作を実行するように構成された制御回路と、を含む電子デバイスが提供される。
【0105】
別の実施形態によれば、第1のアンテナ単位セルは、第1の周波数帯域で放射するように構成された第1のアンテナと、アンテナの第1のセットからの第2及び第3のアンテナとを含み、第2のアンテナは、第1のアンテナ単位セルの第1の角部に位置し、第3のアンテナは、第1のアンテナ単位セルの第2の角部に位置する。
【0106】
別の実施形態によれば、第1のアンテナは、アンテナ接地の上の第1の距離に位置する第1のパッチ素子を含み、第2のアンテナは、第1の距離よりも短いアンテナ接地の上の第2の距離に位置する第2のパッチ素子を含み、第3のアンテナは、アンテナ接地の上の第2の距離に位置する第3のパッチ素子を含む。
【0107】
別の実施形態によれば、第2及び第3のパッチ素子は、第1のパッチ素子の側面フットプリントの外側に位置する。
【0108】
別の実施形態によれば、制御回路は、アンテナの第1のセットを使用して高周波信号を送信し、アンテナの第2のセットを使用して高周波信号の反射したバージョンを受信するように構成されている。
【0109】
別の実施形態によれば、第1及び第2のアンテナ単位セルは、アンテナ単位セルのアレイの反対側に位置する。
【0110】
別の実施形態によれば、第1のアンテナ単位セルは、アレイの第1の行及び第1の列内に配置され、第2のアンテナ単位セルは、アレイの第2の行及び第2の列内に配置され、アレイは、アレイの第2の行及び第1の列内に配置された第3のアンテナ単位セルと、アレイの第1の行及び第2の列内に配置された第4のアンテナ単位セルとを含む。
【0111】
一実施形態によれば、第1の周波数帯域で高周波信号を伝達するように構成されたフェーズドアンテナアレイであって、フェーズドアンテナアレイは第1の空洞内の第1のアンテナ放射素子、及び第2の空洞内の第2のアンテナ放射素子を含む、フェーズドアンテナアレイと、第1の空洞の対応する角部に位置し、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域で高周波信号を送信するように構成されたアンテナ放射素子を有するアンテナの第1のセットと、第2の空洞の対応する角部に位置し、第2の周波数帯域で高周波信号を受信するように構成されたアンテナ放射素子を有するアンテナの第2のセットと、アンテナの第2のセットによって受信された第2の周波数帯域の高周波信号に基づいて空間測距動作を実行するように構成された制御回路と、を含む電子デバイスが提供される。
【0112】
前述は単なる例示であり、当業者は、記載された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な修正を行うことができる。前述の実施形態は、個別に又は任意の組合せで実施され得る。