(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1つ以上の改定した信号パラメータが、前記RF信号の周波数及び前記RF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータである、請求項1に記載の熱量増加システム。
前記1つ以上の改定した信号パラメータが、前記RF信号の周波数及び前記RF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータである、請求項9に記載の熱量増加システム。
前記所望の信号パラメータを、前記負荷を前記所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの前記初期の推定量に基づいて決定し、前記改定した信号パラメータを、前記負荷を前記所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの前記改定した推定量に基づいて決定する、請求項16に記載の方法。
前記1つ以上の改定した信号パラメータが、前記RF信号の周波数及び前記RF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータを含む、請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
以下の詳細な説明は事実上の例示に過ぎず、主題または本願の実施形態、及びこうした実施形態の利用法を制限することは意図していない。本明細書中に用いる「好適例」及び「例」は、「1つの例、事例、または例示としての役割を果たす」ことを意味する。好適例または例として本明細書中に記載するあらゆる実現は、他の実現に対して必ずしも好適または有利であるものと解釈するべきでない。さらに、先の技術分野、背景、あるいは以下の詳細な説明中に提示するいずれの明記または暗示された理論によっても束縛されるべき意図は存在しない。
【0007】
本明細書中に記載する主題の実施形態は、スタンドアロン(独立型)の機器または他のシステムに内蔵することができる半導体解凍装置に関するものである。以下により詳細に説明するように、ソリッドステート解凍装置の実施形態は「不平衡(アンバランス)型」解凍システム及び「平衡(バランス)型」装置を共に含む。例えば、好適な「不平衡型」解凍システムは、キャビティ内に配置された第1電極、シングルエンド(片端子)増幅装置(1つ以上のトランジスタを含む)、増幅装置の出力端子と第1電極との間に結合されたシングルエンド・インピーダンス整合(マッチング)回路網、及び解凍動作が完了した時点を検出することができる測定兼制御システムを用いて実現される。これとは対照的に、好適な「平衡型」解凍システムは、キャビティ内に配置された第1及び第2電極、シングルエンドまたはダブルエンド(両端子)増幅装置(1つ以上のトランジスタを含む)、増幅装置の出力端子と第1及び第2電極との間に結合されたダブルエンド・インピーダンス整合回路網、及び解凍動作が完了した時点を検出することができる測定兼制御システムを用いて実現される。種々の実施形態では、インピーダンス整合回路網が可変インピーダンス整合回路網を含み、この可変インピーダンス整合回路網を解凍動作中に調整して、増幅装置とキャビティとの整合を改善することができる。
【0008】
一般に、「解凍する」とは、凍結した負荷(例えば、食品負荷または他の種類の負荷)の温度を、負荷がもはや凍結していない温度(例えば、摂氏0度またはその付近の温度)まで上昇させることを意味する。本明細書中に用いる「解凍する」とは、負荷(例えば、食品負荷または他の種類の負荷)の熱エネルギーまたは温度を、無線周波数(RF)電力を負荷に供給することによって増加させるプロセスをより広義に意味する。従って、種々の実施形態では、「解凍動作」は、任意の初期温度(例えば、摂氏0度またはそれ未満の任意の初期温度)を有する負荷に対して実行することができ、解凍動作は、初期温度よりも高い任意の最終温度(例えば、摂氏0度を上回る、あるいは摂氏0度を下回る任意の最終温度)で停止することができる。それはそれとして、本明細書中に記載する「解凍動作」及び「解凍システム」は、その代わりに「熱量増加動作」及び「熱量増加システム」と称することができる。「解凍する」とは、本発明の用途を、凍結した負荷の温度を摂氏0度またはその付近の温度まで上昇させることしかできない方法またはシステムに限定するものと解釈するべきでない。一実施形態では、解凍動作が食品の温度を摂氏−1度またはその付近の予熱状態まで上昇させる。
【0009】
負荷の質量は、負荷を所望温度(例えば、摂氏−1度)まで加温するのに十分なエネルギーの量を決定するための根拠として用いることができる。負荷を解凍するために必要なエネルギーは次式1を用いて決定することができる:
Q=m×c×ΔT (式1)
ここに、Qは必要な熱エネルギーの量であり、mは熱エネルギーを供給される負荷の質量であり、cは負荷の比熱であり、ΔTは熱エネルギーの供給によって負荷に生じさせることを望む温度の変化である。各種食品の比熱はおよそ1〜2カロリー/(グラム・℃)である傾向があり、1カロリーはおよそ4.1868ジュールである。解凍システムの負荷に与えられる温度変化は一般におよそ−20℃(摂氏の度)〜およそ0℃であり、このためΔTはおよそ20℃に推定することができる。従って、所定負荷を解凍するために必要な熱エネルギーの量(カロリー単位)は、およそ30×負荷の質量(グラム単位)として推定することができる。なお、一部の実施形態では、ΔTの値を、20℃であるものと仮定するのではなくユーザが入力した初期温度に基づいて決定することができる。
【0010】
本明細書中では「質量」及び「重量」を時として互換的に用いることがあるが、両用語共に、所定の物体(例えば、負荷)が含有する物質の量の測定値を記述するために用いることは明らかである。解凍システムのキャビティ内の負荷の質量の初期推定値は、(例えば、負荷を加熱するためのRFエネルギーを供給する)RF信号源と解凍システムのキャビティとの最良または許容可能な初期のインピーダンス整合を確立した後の、解凍システムのインピーダンス整合状態(例えば、可変構成部品値、S11パラメータ値、等)に基づいて決定することができる。例えば、種々の実施形態によれば、負荷の質量は、(初期の整合を確立した際の)可変インピーダンス整合回路網内の可変構成部品の構成部品値を、システム・コントローラにとってアクセス可能なメモリ内に記憶されているルックアップテーブル(LUT:look-up table:早見表)中に記憶されている対応する構成部品値と比較することによって推定することができる。その代わりに、負荷の質量は、反射電力、順方向電力対反射電力の比率(S11パラメータ)、または(初期の整合を確立した際の)RF信号源における電圧定在波比(VSWR:voltage standing wave ratio)を、LUT中に記憶されているS11パラメータまたはVSWR値と比較することによって推定することができる。負荷を所望温度(例えば、摂氏−1度)まで加温するのに十分なエネルギーの量を用いて、RF信号パラメータ(例えば、RF信号電力レベル)及び加熱時間、並びに他の当てはまるパラメータを決定することができる。本明細書中に記載するように、「RF信号電力レベル」は、解凍動作中に負荷に供給される電磁エネルギーに変換されるRF信号の振幅を参照し、RF信号電力レベルは動作全体を通して変化させることができる。本明細書中に記載する「加熱時間」は、RF信号に対応する電磁エネルギーを解凍動作中に負荷に供給するべき時間長を参照する。このようにして、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの量が与えられると、解凍動作全体を通して用いる所望のRF信号パラメータ(例えば、電力レベル)は、本発明のシステムの実施形態によって決定することができる。それに加えて、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの量、及び所望のRF信号パラメータが与えられると、総加熱(解凍)時間は本発明のシステムの実施形態によって決定することができる。
【0011】
負荷の初期温度は、解凍システムにとって未知であれば、システムによって所定値(例えば、−20℃)であるものと仮定することができる。しかし、この過程は必ずしも正確ではないことがあり、このことは、解凍システムがこの仮定した温度に基づいて実行する質量推定の精度に影響を与え得る。特に、より小さい質量を有するより高温の負荷は、より大きい質量を有するより低温の負荷のインピーダンス整合状態と同様なインピーダンス整合状態を有することがある。しかし、負荷が解凍システムによって加熱されるに連れて、負荷の電気インピーダンス(及びそれに対応して、キャビティの電気インピーダンス)は変化する。その結果、解凍システムの可変インピーダンス整合回路を解凍動作中に反復的に再構成して、RF信号源とキャビティ(+負荷)との許容可能なインピーダンス整合を確立及び再確立することができる。
【0012】
最小の質量を有する負荷は、温度にかかわらず、より大きい質量を有する負荷に比べて、より大きな電気インピーダンスの変化率を有し得る。RF信号源におけるS11パラメータ値及び電圧定在波比(VSWR)の各々は、一般にRF信号源とキャビティ(+負荷)とのインピーダンス整合の品質を示す。従って、解凍動作を実行する間のS11パラメータまたはVSWRのいずれの変化率も、負荷の電気インピーダンスの変化率を示す。従って、所定負荷の質量のより正確な推定値は、RF信号源におけるS11パラメータまたはVSWR値の変化率を分析して、システムによる負荷の質量の初期推定値を改定する(即ち、更新する)ことによって得ることができる。
【0013】
S11またはVSWRの変化率は、RF信号源とキャビティとの初期のインピーダンス整合の確立に続いて解凍動作を実行する間に、(例えば、システム・コントローラ及び電力検出回路によって)S11パラメータ値またはVSWR値を周期的に測定し、次に、負荷のインピーダンスの変化に伴いS11パラメータまたはVSWRが時間と共に変化する傾きを測定することによって決定することができる。
【0014】
次に、S11の変化率またはVSWRの変化率を、記憶しているS11またはVSWRの変化率(時として記憶しているパラメータ変化率と称する)、及び解凍システムの特性化により事前に取得している対応する負荷質量と比較することができる。例えば、解凍システムのメモリデバイス上に記憶されているLUTは複数のエントリを含むことができ、各エントリは、負荷に対して実行する解凍動作中に測定したS11及び/またはVSWRの変化率を規定する。解凍システムのS11またはVSWRの変化率を決定した後に、システム・コントローラはLUTの対応するエントリを識別して、そのエントリに関連する負荷質量を識別することができる。次に、システム・コントローラは、初期の質量推定値を、識別したLUTエントリの負荷質量であるように改定する。
【0015】
次に、改定した解凍エネルギーの推定値(例えば、負荷を約−1℃のような目標の完了温度にもっていくために必要であるものと推定されるRFエネルギーの量に相当する)を、改定した質量推定値に基づいて決定することができる。次に、改定した信号パラメータ(例えば、供給するべきRFエネルギーの量及び/またはRFエネルギーを供給するべき時間長)を、改定した解凍エネルギーの推定値に基づいて決定することができる。負荷の質量推定値をこのように改定することによって、キャビティに供給するべきRFエネルギーの量及びRFエネルギーを供給するべき時間長をより正確に決定することができる。ユーザは一般に、解凍動作が費やそうとする時間長を知らされる際に正確さを望む。それに加えて、負荷に供給するべきRFエネルギーの量の正確な推定は、解凍システムのよりエネルギー効率的な動作を可能にすることができる。
【0016】
図1は、一実施形態による解凍システム100の透視図である。解凍システム100は、解凍キャビティ110(例えば、キャビティ360、760、1174(
図3、7、11))、制御パネル120、1つ以上のRF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))、電源(例えば、電源326、726(
図3、7))、第1電極170(例えば、電極340、740、1170(
図3、7、11))、第2電極172(例えば、電極750、1172(
図7、11))、インピーダンス整合回路(例えば、回路334、370、734、772、1160(
図3、7、11))、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730、730’、730”、1180(
図3、7、11))、及びシステム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))を含む。解凍キャビティ110は、上部、下部、側部、及び後部のキャビティ壁111、112、113、114、115の内面、及びドア116の内面によって規定される。ドア116が閉じていれば、解凍キャビティ110は密閉された空気キャビティを規定する。本明細書中に用いる「空気キャビティ」とは、空気または他の気体を包含する密閉領域(例えば、解凍キャビティ110)を意味することがある。
【0017】
「不平衡型」の実施形態によれば、第1電極170がキャビティ壁(例えば、上部壁111)に近接して配置され、第1電極170は残りのキャビティ壁(例えば、壁112〜115及びドア116)から電気絶縁され、残りのキャビティ壁は接地されている。こうした構成では、システムはコンデンサとして単純化してモデル化することができ、ここで第1電極170は1つの導体プレート(または電極)として機能し、接地されたキャビティ壁(例えば、壁112〜115)は第2導体プレート(または電極)として機能し、空気キャビティ(その中に包含されるあらゆる負荷を含む)は第1導体プレートと第2導体プレートとの間の誘電体媒質として機能する。
図1には示していないが、非導電性障壁(例えば、障壁362、762(
図3、7))もシステム100内に含めることができ、この非導電性障壁は、負荷を下部キャビティ壁112から電気的かつ物理的に絶縁するように機能することができる。
図1には、第1電極170が上部壁111に近接していることを示しているが、第1電極170は、その代わりに、電極172〜175で示すように他の壁112〜115のいずれに近接することもできる。
【0018】
「平衡型」の実施形態によれば、第1電極170は第1キャビティ壁(例えば、上部壁111)に近接して配置することができ、第2電極172はその反対側の第2キャビティ壁(例えば、下部壁112)に近接して配置することができ、第1及び第2電極170、172は残りのキャビティ壁(例えば、壁113〜115及びドア116)から電気絶縁されている。こうした構成では、上記システムはコンデンサとして単純化してモデル化することもでき、ここで第1電極170は1つの導体プレート(または電極)として機能し、第2電極172は第2導体プレート(または電極)として機能し。空気キャビティ(その中に包含されるあらゆる負荷を含む)は、第1導体プレートと第2導体プレートとの間の誘電体媒質として機能する。
図1には示していないが、非導電性障壁(例えば、障壁762、1156(
図7、11))もシステム100内に含めることができ、この非導電性障壁は、負荷を第2電極172及び下部キャビティ壁112から電気的かつ物理的に絶縁するように機能する。
図1は第1電極170が上部壁111に近接し、第2電極172が下部壁112に近接していることを示しているが、第1及び第2電極170、172は、その代わりに、互いに対向する他の壁に近接することができる(例えば、第1電極は壁113に近接した電極173とすることができ、第2電極は壁114に近接した電極174とすることができる)。
【0019】
一実施形態によれば、解凍システム100の動作中に、ユーザ(図示せず)は、1つ以上の負荷(例えば。食品及び/または液体)を解凍キャビティ110内に配置することができ、任意で、負荷の特性を指定する入力を、制御パネル120を介して与えることができる。例えば、指定した特性は、負荷の概略質量を含むことができる。それに加えて、指定した負荷特性は、負荷を形成する材料(例えば、肉、パン、液体)を示すことができる。代案実施形態では、負荷特性は、負荷の包装上のバーコードを走査することによって、あるいは負荷上の、または負荷内に埋め込まれた無線周波数識別(RFID:radio frequency identification)信号を受信することによって、といった他の何らかの方法で得ることができる。いずれにせよ、後により詳細に説明するように、こうした負荷特性に関する情報は、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))が、解凍動作の開始時におけるシステムのインピーダンス整合回路網についての初期状態を規定することを可能にし、この初期状態は、負荷内への最大RF電力伝達を可能にする最適な状態に比較的近くすることができる。その代わりに、解凍動作の開始よりも前に負荷特性を入力または受信しないこともでき、システム・コントローラはインピーダンス整合回路網についてのデフォルトの初期状態を規定することができる。
【0020】
解凍動作を開始するために、ユーザは制御パネル120を介して入力を与えることができる。それに応答して、システム・コントローラは、不平衡型の実施形態では、RF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))に、RF信号を第1電極170へ供給させ、平衡型の例では、RF信号源に、RF信号を第1電極170及び第2電極172の両方に供給させ、それに応答して、これらの電極は電磁エネルギーを解凍キャビティ110内へ放射する。この電磁エネルギーは負荷の熱エネルギーを増加させる(即ち、電磁エネルギーは負荷を加温する)。
【0021】
解凍動作中には、負荷の熱エネルギーが増加するに連れて、負荷のインピーダンス(従って、キャビティ110+負荷の合計入力インピーダンス)が変化する。このインピーダンス変化は負荷内へのRFエネルギーの吸収を変化させ、従って反射電力の大きさを変化させる。一実施形態によれば、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730、1180(
図3、7、11))が、RF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))と電極170、172との間の伝送経路(例えば、伝送経路328、728、1148(
図3、7、11))に沿った反射電力を、連続して、あるいは周期的に測定する。これらの測定に基づいて、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))は、解凍動作の完了を検出することができ、これについては以下で詳細に説明する。別な実施形態によれば、インピーダンス整合回路網が可変であり、反射電力測定値(あるいは、順方向電力測定値及び反射電力測定値の両方)に基づいて、システム・コントローラは、解凍動作中にインピーダンス整合回路網の状態を変化させて、負荷によるRF電力の吸収を増加させることができる。
【0022】
図1の解凍システム100は、調理台型の機器として具体化される。別な実施形態では、解凍システム100は、マイクロ波(電子レンジ)調理動作を実行するための構成要素及び機能を含むこともできる。その代わりに、解凍システムの構成要素は他の種類のシステムまたは機器に内蔵させることができる。例えば、
図2は、解凍システム210、220の他の実施形態を含む冷蔵庫/冷凍庫200の透視図である。より具体的には、解凍システム210は、システム200の冷凍区画212内に内蔵されているように示し、解凍システム220は、このシステムの冷蔵区画222内に内蔵されているように示している。実際の冷蔵庫/冷凍庫は、解凍システム210、220を1つしか含まないことが多いが、
図2にはその両方を示して両実施形態を簡潔に伝える。
【0023】
解凍システム100と同様に、解凍システム210、220の各々は、解凍キャビティ、制御パネル214、224、1つ以上のRF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))、電源(例えば、電源326、726(
図3、7))、第1電極(例えば、電極340、740、1170(
図3、7))、第2電極(例えば、格納構造366、電極750(
図3、7、11))、インピーダンス整合回路(例えば、回路334、370、734、772、1160(
図3、7、11))、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730、1180(
図3、7、11))、及びシステム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))を含む。例えば、解凍キャビティは、引き出しの下部壁、側壁、前部壁、及び後部壁、及び固定棚216、226の内側上面によって規定することができ、この内側上面下で引き出しが滑り動く。引き出しが完全に棚の下へ滑り動くと、引き出し及び棚がキャビティを密閉された空気キャビティとして規定する。種々の実施形態では、解凍システム210、220の構成要素及び機能を解凍システム100の構成要素及び機能とほぼ同じにすることができる。
【0024】
それに加えて、一実施形態によれば、解凍システム210、220の各々が、当該システム210、220が内部に配置された、それぞれ冷凍区画212または冷蔵区画222との十分な熱伝達を行うことができる。こうした実施形態では、解凍動作の完了後に、負荷を解凍システム210、220から取り除くまで負荷を安全な温度(例えば、食品の腐敗を遅らせる温度)に維持することができる。より具体的には、冷凍庫ベースの解凍システム210による解凍動作の完了時に、解凍された負荷を包含するキャビティは冷凍区画212との熱伝達を行うことができ、負荷が即座にキャビティから取り除かれなければ、負荷を再冷凍することができる。同様に、冷蔵庫ベースの解凍システム220による解凍動作の完了時に、解凍された負荷を包含するキャビティは冷蔵区画222との熱伝達を行うことができ、負荷が即座にキャビティから取り除かれなければ、負荷を冷蔵区画222内の温度で解凍状態に維持することができる。
【0025】
解凍システムの実施形態を、他の構成を有するシステムまたは機器内に内蔵させることもできることは、当業者が本明細書中の記載に基づいて理解する所である。従って、スタンドアロン型機器、電子レンジ、冷凍庫、及び冷蔵庫における解凍システムの上述した実現は、実施形態の利用法をこれらの種類のシステムに限定することを意味しない。
【0026】
解凍システム100、200は、その構成要素を互いに対して特定の相対的な配向にして示しているが、これらの種々の構成要素は異なるように配向させることもできることは明らかである。それに加えて、これらの種々の構成要素の物理的構成は異なることができる。例えば、制御パネル120、214、224は、より多数、より少数、あるいは異なるユーザ・インタフェース要素を有することができ、及び/または、これらのユーザ・インタフェース要素は異なるように配置することができる。それに加えて、
図1には略立方体の解凍キャビティ110を示しているが、他の実施形態では、解凍キャビティが異なる形状(例えば、円筒形、等)を有することができることは明らかである。さらに、解凍システム100、210、220は、
図1、2には具体的に示していない追加的構成要素(例えば、ファン、固定または回転プレート、トレイ、電気コード、等)を含むことができる。
【0027】
図3は、一実施形態による不平衡型解凍システム300(例えば、解凍システム100、210、220(
図1、2))の簡略化したブロック図である。一実施形態では、解凍システム300は、RFサブシステム310、解凍キャビティ360、ユーザ・インタフェース380、システム・コントローラ312、RF信号源320、電源兼バイアス回路326、可変インピーダンス整合回路網370、及び電力検出システム370を含む。それに加えて、他の実施形態では、解凍システム300は、温度センサ及び/または赤外線(IR:infrared)センサ390を含むことができるが、これらのセンサ構成要素の一部または全部を除外することができる。
図3は、説明及び記述しやすさの目的で簡略化した解凍システム300の表現であり、実際の実施形態は、追加的な機能及び特徴を提供するための他の装置及び構成要素を含むことができること、及び/または解凍システム300はより大きな電気システムの一部とすることができることは明らかである。
【0028】
ユーザ・インタフェース380は、例えば、ユーザが解凍動作用のパラメータ(例えば、解凍される負荷の特性、等)に関する入力をシステムに与えることを可能にする制御パネル(例えば、制御パネル120、214、224(
図1、2))、開始(スタート)及び取り消し(キャンセル)ボタン、機械的制御部(例えば、ドア/引き出しの開放ラッチ)、等に対応することができる。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状態を示すユーザが知覚可能な出力(例えば、カウントダウン・タイマー、解凍動作の進行または完了を示す可視の印、及び/または解凍動作の完了を示す可聴のトーン(音調))及び他の情報を提供するように構成することができる。
【0029】
解凍システム300の一部の実施形態は、温度センサ及び/またはIRセンサ390を含むことができる。これらの温度センサ及び/またはIRセンサは、解凍動作中に負荷364の温度を検出することが可能な位置に配置することができる。温度情報は、システム・コントローラ312に提供されると、システム・コントローラ312が、RF信号源320によって供給されるRF信号の電力を(例えば、電源兼バイアス回路326によって供給されるバイアス及び/または電源電圧を制御することによって)変化させて、可変インピーダンス整合回路網370の状態を調整すること、及び/または解凍動作を終了するべき時点を決定することを可能にする。システム・コントローラ312は、この情報を用いて、例えば、RF信号源320によって供給されるRF信号の所望の電力レベルを決定して、可変インピーダンス整合回路網370の初期設定値を決定すること、及び/または解凍動作の概略継続時間を決定することができる。
【0030】
一実施形態では、RFサブシステム310は、システム・コントローラ312、RF信号源320、第1インピーダンス整合回路334(本明細書では「第1整合回路」)、電源兼バイアス回路326、及び電力検出回路330を含む。システム・コントローラ312は、1つ以上の汎用または専用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、等)、揮発性及び/または不揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、読出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory)、フラッシュ(メモリ)、種々のレジスタ、等)、1つ以上の通信バス、及び他の構成要素を含むことができる。一実施形態によれば、システム・コントローラ312は、ユーザ・インタフェース380、RF信号源320、可変インピーダンス整合回路網370、電力検出回路330、及び(含まれていれば)センサ390に結合されている。システム・コントローラ312は、ユーザ・インタフェース380を介して受け付けたユーザ入力を示す信号を受信し、RF信号の反射電力(及び場合によってはRF信号の順方向電力)を示す信号を電力検出回路330から受信するように構成されている。受信した信号及び測定値に応答して、後に詳細に説明するように、システム・コントローラ312は制御信号を電源兼バイアス回路326、及びRF信号源320のRF信号発生器322に供給する。それに加えて、システム・コントローラ312は制御信号を可変インピーダンス整合回路網370に供給し、このことは回路網370にその状態または設定を変化させる。
【0031】
解凍キャビティ360は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷364を配置することができる。例えば、第1電極340は空気キャビティの上方に配置することができ、第2電極は格納構造366の一部分によって提供することができる。より具体的には、格納構造366は、下部壁、上部壁、及び側壁を含むことができ、これらの壁の内面がキャビティ360(例えば、キャビティ110(
図1))を規定する。一実施形態によれば、キャビティ360を(例えば、ドア116(
図1)で、あるいは引き出しを滑り動かして棚216、226(
図2)の下に閉じることによって)密封して、解凍動作中にキャビティ360内に導入される電磁エネルギーを包含することができる。システム300は1つ以上のインターロック・メカニズムを含むことができ、このインターロック・メカニズムは、解凍動作中に上記密封が完全であることを保証する。インターロック・メカニズムのうちの1つ以上が、密封が破れていることを示す場合に、システム・コントローラ312は解凍動作を停止することができる。一実施形態によれば、格納構造366は少なくとも部分的に導体材料で形成され、格納構造の導体部分は接地することができる。その代わりに、格納構造366における、少なくともキャビティ360の下面に相当する部分を導体材料で形成して接地することができる。どちらにしても、格納構造366(あるいは、格納構造366における、少なくとも第1電極340に平行な部分)は、上記容量型解凍装置の第2電極として機能する。負荷364とキャビティ360の接地された下面との直接の接触を回避するために、非導電性障壁362をキャビティ360の下面全体上に配置することができる。
【0032】
基本的に、解凍キャビティ360は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極340、366を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷364を配置することができる。一実施形態では、第1電極340が格納構造366内に配置されて、電極340と、格納構造366の対向面(例えば、下面、第2電極として機能する)との間に距離352を規定し、距離352はキャビティ360を準共鳴キャビティにする。
【0033】
種々の実施形態では、距離352が約0.10メートル〜約1.0メートルの範囲内であるが、この距離はより小さくすることもより大きくすることもできる。一実施形態によれば、距離352がRFサブシステム310によって生成されるRF信号の1波長未満である。換言すれば、上述したように、キャビティ360は準共鳴キャビティである。一部の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約半分未満である。他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約4分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約8分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約50分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離352がRF信号の1波長の約100分の1未満である。
【0034】
一般に、より低い動作周波数(例えば、周波数10メガヘルツ(MHz)〜100MHz)用に設計されたシステム300は、1波長のより小さい割合である距離352を有するように設計することができる。例えば、システム300を、約10MHzの動作周波数(約30メートルの波長に相当する)を有するRF信号を生成するように設計し、距離352を約0.5メートルであるように選択すると、距離352はRF信号の1波長の60分の1になる。逆に、システム300を約300MHzのより高い動作周波数(約1メートルの波長に相当する)用に設計し、距離352を約0.5メートルであるように選択すると、距離352はRF信号の1波長の約半分になる。
【0035】
動作周波数、及び電極340と格納構造366との間の距離352を、準共鳴内部キャビティ360を規定するように選択することにより、第1電極340と格納構造366とが容量結合される。より具体的には、第1電極340はコンデンサの第1極板(プレート)に例えることができ、格納構造366はコンデンサの第2極板に例えることができ、負荷364、障壁362、及びキャビティ360内の空気はコンデンサの誘電体に例えることができる。従って、本明細書では第1電極340を代わりに「陽極(アノード)」と称することがあり、本明細書では格納構造366を代わりに「陰極(カソード)」と称することがある。
【0036】
基本的に、第1電極340と格納構造366との間の電圧がキャビティ360内の負荷364を加熱する。種々の実施形態によれば、一実施形態では、RFサブシステム310はRF信号を発生して電極340と格納構造366との間に約90ボルト〜約3,000ボルトの範囲内の電圧を発生するように構成され、あるいは他の実施形態では、約3,000ボルト〜約10,000ボルトの範囲内の電圧を発生するように構成されているが、上記システムは、より低い電圧またはより高い電圧を電極340と格納構造366との間に生成するように構成することもできる。
【0037】
一実施形態では、第1電極340は、第1整合回路334、可変インピーダンス整合回路網370、及び導体伝送経路を通してRF信号源320に電気結合されている。第1整合回路334は、RF信号源320のインピーダンス(例えば、10オーム未満)から中間インピーダンス(例えば、50オーム、75オーム、または他の何らかの値)へのインピーダンス変換を実行するように構成されている。一実施形態によれば、導体伝送経路は、直列に接続された複数の導体328−1、328−2、及び328−3を含み、これらの導体を集合的に伝送経路328と称する。一実施形態によれば、導体伝送経路328は「不平衡な」経路であり、不平衡RF信号(即ち、接地を基準とする単一のRF信号)を伝えるように構成されている。一部の実施形態では、1つ以上のコネクタ(図示しないが、各々がオス及びメスのコネクタ部分を有する)を伝送経路328上に電気結合することができ、伝送経路328におけるこれらのコネクタ間の部分は同軸ケーブルまたは他の適切なコネクタを具えることができる。こうした接続を
図7に示して後に説明する(例えば、コネクタ736、738、及びコネクタ736、738間の同軸ケーブルのような導体728−3を含む)。
【0038】
後により詳細に説明するように、可変インピーダンス整合回路370は、上記の中間インピーダンスから、負荷364によって(例えば、約1000オーム〜約4000オーム以上のような何百または何千オームのオーダーで)変化した解凍キャビティ320の入力インピーダンスへのインピーダンス変換を実行するように構成されている。一実施形態では、可変インピーダンス整合回路網370が受動構成部品(例えば、インダクタ、コンデンサ、抵抗器)の回路網を含む。
【0039】
1つ以上の特定実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路網370は、複数の固定値の集中インダクタ(集中定数のインダクタ)(例えば、インダクタ412〜416(
図4A))を含み、これらのインダクタはキャビティ360内に配置され、第1電極340に電気結合されている。それに加えて、可変インピーダンス整合回路網370は複数の可変インダクタンス回路網(例えば、回路網410、411、500(
図4A、5A))を含み、これらの回路網はキャビティ360の内部にも外部にも配置することができる。他のより具体的な実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路370は複数の可変容量回路網(例えば、回路網442、446、540(
図4A、5A))を含み、これらの回路網はキャビティ360の内部にも外部にも配置することができる。可変インダクタンス回路網または可変容量回路網の各々によって提供されるインダクタンス値または容量値は、システム・コントローラ312からの制御信号を用いて規定され、これについては後により詳細に説明する。いずれにせよ、可変インピーダンス整合回路網370の状態を、解凍動作の経過と共に、常に変化するキャビティ+負荷のインピーダンスに動的に整合するように変化させることによって、解凍動作中の負荷インピーダンスの変動にかかわらず、負荷364によって吸収されるRF電力の量を高いレベルに維持することができる。
【0040】
一実施形態によれば、RF信号源326がRF信号発生器及び(例えば、1つ以上の電力増幅段324、325を含む)電力増幅器を含む。システム・コントローラ312によって接続部314を通して供給される制御信号に応答して、RF信号発生器322は、ISM(industrial, scientific, and medical:工業、科学、医療用)帯域内の周波数を有する振動電気信号を生成するように構成されているが、他の周波数帯域の動作をサポートするようにシステムを修正することもできる。種々の実施形態では、異なる電力レベル及び/または異なる周波数の振動信号を生成するように信号発生器322を制御することができる。例えば、RF信号発生器322は、VHF(very high frequency:超短波)範囲(約30MHz〜約300MHz)内で振動する信号、約10.0MHz〜約100MHzの周波数範囲内で振動する信号、及び/または約100MHz〜約3.0ギガヘルツ(GHz)の周波数範囲内で振動する信号を生成することができる。いくつかの望ましい周波数は、例えば13.56MHz(+/-5パーセント)、27.125MHz(+/-5パーセント)、40.68MHz(+/-5パーセント)、及び2.45MHz(+/-5パーセント)とすることができる。1つの特定実施形態では、例えば、RF信号発生器322が、約40.66MHz〜約40.70MHzの範囲内で振動する信号を、約10デシベル・ミリワット(dBm)〜約15dBmの範囲内の電力レベルで生成することができる。その代わりに、振動の周波数及び/または電力レベルはより低くすることもより高くすることもできる。
【0041】
図3の実施形態では、上記電力増幅器が駆動増幅段324及び最終増幅段325を含む。上記電力増幅器は、RF信号発生器322から振動信号を受信し、この信号を増幅して大幅に高い電力の信号を電力増幅器の出力端子に生成するように構成されている。例えば、出力信号は、約100ワット〜約400ワット以上の範囲内の電力レベルを有することができる。上記電力増幅器によって加えられるゲイン(利得)は、電源兼バイアス回路326によって各増幅段324、325の各々に供給されるゲートバイアス電圧及び/またはドレイン電源電圧を用いて制御することができる。より具体的には、電源兼バイアス回路326は、システム・コントローラ312から受信した制御信号に従って、バイアス電圧及び電源電圧を各RF増幅段324、325に供給する。
【0042】
一実施形態では、各増幅段324、325が、電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)のようなパワートランジスタとして実現され、このパワートランジスタは、入力端子(例えば、ゲートまたは制御端子)及び2つの電流搬送端子(例えば、ソース端子及びドレイン端子)を有する。種々の実施形態では、インピーダンス整合回路(図示せず)を、駆動増幅段324の入力(ゲート)端子に、駆動増幅段と最終増幅段325との間に、及び/または最終増幅段325の出力(例えば、ドレイン)端子に結合することができる。一実施形態では、増幅段324、325の各トランジスタが横方向拡散金属酸化物半導体FET(LDMOSFET:laterally diffused metal oxide semiconductor FET)トランジスタを含む。しかし、これらのトランジスタはいずれの特定の半導体技術に限定されることも意図しておらず、他の実施形態では、各トランジスタは、窒化ガリウム(GaN)トランジスタ、他の種類のMOSFETトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT:bipolar junction transistor)、または他の半導体技術を利用したトランジスタとして実現することができる。
【0043】
図3には、電力増幅装置を、他の回路構成要素に特定の方法で結合された2つの増幅段324、325を含むように示している。他の実施形態では、電力増幅装置が他の増幅トポロジを含むことができ、及び/または、この増幅装置が(例えば、増幅器724(
図7)の実施形態中に示すように)1つの増幅段のみ、あるいは3つ以上の増幅段を含むことができる。例えば、この電力増幅装置は、シングルエンド増幅器、ドハティ(Doherty)増幅器、スイッチモード電力増幅器(SMPA:Switch Mode Power Amplifier)、または他の種類の増幅器を含むことができる。
【0044】
解凍キャビティ360、及び解凍キャビティ360内に配置されたあらゆる負荷(例えば、食品、液体、等)は、電極340によってキャビティ360内に放射される電磁エネルギー(またはRF電力)に累積的な負荷をもたらす。より具体的には、キャビティ360及び負荷364はあるインピーダンスをシステムにもたらし、本明細書では「キャビティ+負荷のインピーダンス」と称する。キャビティ+負荷のインピーダンスは、解凍動作中に、負荷364の温度が増加するに連れて変化する。キャビティ+負荷のインピーダンスは、RF信号源320と電極340との間の導体伝送経路328に沿った反射信号電力の大きさに直接的影響を与える。大部分の場合、導体伝送経路328に沿ってキャビティ360内へ伝達される信号電力の大きさを最大にすること、及び/または導体伝送経路328に沿った反射信号対順方向信号の電力比を最小にすることが望ましい。
【0045】
一実施形態では、RF信号発生器320の出力インピーダンスを、キャビティ+負荷のインピーダンスに少なくとも部分的に整合させるために、第1整合回路334が伝送経路328上に電気結合されている。第1整合回路334は、種々の構成のいずれをも有することができる。一実施形態によれば、第1整合回路334が固定の構成部品(即ち、可変でない構成部品値を有する構成部品)を含むが、他の実施形態では、第1整合回路334が1つ以上の可変の構成部品を含むことができる。例えば、種々の実施形態では、第1整合回路334は、インダクタンス/キャパシタンス(LC)回路網、直列インダクタンス回路網、分路(シャント)インダクタンス回路網、あるいはバンドパス(帯域通過)、ハイパス(高域通過)、及びローパス(低域通過)回路の組合せ、から選択した任意の1つ以上の回路を含むことができる。基本的に、固定の整合回路334は、RF信号発生器320の出力インピーダンスとキャビティ+負荷のインピーダンスとの間の中間的レベルまでインピーダンスを上昇させるように構成されている。
【0046】
図15に関連して後に説明するように、多数の種類の食品負荷のインピーダンスは温度に対して幾分予測可能な様式で変化する、というのは、食品負荷は凍結状態から解凍状態へ変化するからである。一実施形態によれば、電力検出回路330からの反射電力測定値(及び一部の実施形態では順方向電力測定値)を用いて、システム・コントローラ312は、解凍動作中にキャビティ+負荷のインピーダンスの変化率が、負荷364が摂氏0°に近付いていることを示す時点を識別するように構成され、この時点でシステム・コントローラ312は解凍動作を終了させることができる。
【0047】
一実施形態によれば、電力検出回路330が、伝送経路328上の、RF信号源320の出力端子と電極340との間に結合されている。特定実施形態では、電力検出回路330がRFサブシステム310の一部分を形成し、一実施形態では、電力検出回路330が、第1整合回路334の出力端子と可変インピーダンス整合回路網370の入力端子との間の導体328−2に結合されている。代案の実施形態では、電力検出回路330を、RF信号源320の出力端子と第1整合回路334の入力端子との間にある伝送経路328の一部分328−1に結合することができ、あるいは、可変インピーダンス整合回路網370の出力端子と第1電極340との間にある伝送経路328の一部分328−3に結合することができる。
【0048】
電力検出回路330は、どこに結合されても、RF信号源320と電極340との間の伝送経路328に沿って進む反射信号(即ち、電極340からRF信号源320に向かう方向に進む反射RF信号)の電力を監視し、測定し、さもなければ検出するように構成されている。一部の実施形態では、電力検出回路330は、RF信号源320と電極340との間の伝送経路328に沿って進む順方向信号(即ち、RF信号源320から電極340に向かう方向に進む順方向RF信号)の電力を検出するようにも構成されている。接続部332を通して、電力検出回路330は、反射信号電力(及び一部の実施形態では順方向信号電力)の大きさをシステム・コントローラ312に伝える信号を、システム・コントローラ312に供給する。順方向信号電力の大きさ及び反射信号電力の大きさを共に伝える実施形態では、システム・コントローラ312は、反射信号電力対順方向信号電力の比率、またはS11パラメータを計算することができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ312が、順方向及び反射信号電力の大きさに基づいてシステムのVSWRを計算することもできる。以下でより詳細に説明するように、反射信号電力の大きさが反射信号電力の閾値を超えると、または反射信号電力対順方向信号電力の比率がS11パラメータの閾値を超えると、あるいはVSWR値が閾値を超えると、このことは、システム300がキャビティ+負荷のインピーダンスに十分に整合していないこと、及びキャビティ360内の負荷364によるエネルギー吸収が準最適であり得ることを示す。こうした状況では、システム・コントローラ312は、反射信号電力、S11パラメータ、またはVSWRを所望レベルに向けて、あるいは所望レベル未満に(例えば、反射信号電力の閾値、及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率の閾値、及び/またはVSWRの閾値未満に)追い込むように、可変整合回路網370の状態を変化させるプロセスを調整し、これにより、許容可能な整合を再確立し、負荷364によるより最適なエネルギー吸収を促進する。
【0049】
より具体的には、システム・コントローラ312は、制御信号を、制御経路316を通して可変整合回路370に供給することができ、これらの制御信号は、可変整合回路370に、回路内の1つ以上の構成部品のインダクタンス値、容量値、及び/または抵抗値を変化させ、これにより、回路370によって行われるインピーダンス変換を調整する。可変整合回路370の設定を調整することは、反射信号電力の大きさを所望通りに減少させ、このことは、S11パラメータの大きさを減少させて、あるいはVSWRの大きさを減少させて、負荷364によって吸収される電力を増加させることに相当する。
【0050】
上述したように、解凍キャビティ360+負荷364の入力インピーダンスに整合するように可変インピーダンス整合回路網370を用いて、負荷364内へのRF電力伝達を可能な範囲で最大にする。解凍キャビティ360及び負荷364の初期インピーダンスは、解凍動作の開始時には正確に知ることができないことがある。さらに、負荷364のインピーダンスは、解凍動作中に、負荷364が加温されるに連れて変化する。一実施形態によれば、システム・コントローラ312は制御信号を可変インピーダンス整合回路網370に供給することができ、これらの制御信号は、可変インピーダンス整合回路網370の状態の変化を生じさせる。このことは、システム・コントローラ312が、解凍動作の開始時に可変インピーダンス整合回路網370の初期状態を確立することを可能にし、解凍動作の開始時には、反射電力対順方向電力の比率が比較的低く、従って負荷364によるRF電力の吸収が比較的高い。それに加えて、このことは、システム・コントローラ312が、負荷364のインピーダンスの変化にかかわらず解凍動作全体を通して十分な整合を維持することができるように、可変インピーダンス整合回路網370の状態を変更することを可能にする。
【0051】
可変整合回路網370用の構成の非限定的な例を
図4A、4B、5A、及び5Bに示す。例えば、種々の実施形態では、回路網370は、インダクタンス/容量(LC)回路網、インダクタンスのみの回路網、容量のみの回路網、あるいはバンドパス、ハイパス、及びローパス回路の組合せから選択した任意の1つ以上の回路を含むことができる。一実施形態では、可変整合回路網370がシングルエンド回路網(例えば、回路網400、440(
図4A、4B))を含む。可変インピーダンス整合回路網によって提供されるインダクタンス、容量、及び/または抵抗の値は、回路網370によって行われるインピーダンス変換に影響を与え、システム・コントローラ312からの制御信号を用いて確立され、これについては後により詳細に説明する。いずれにせよ、可変整合回路網370の状態を、解凍動作の経過と共に、常に変化するキャビティ360+キャビティ360内の負荷364のインピーダンスに動的に整合するように変化させることによって、解凍動作全体を通してシステムを効率的に高いレベルに維持することができる。
【0052】
可変整合回路網370は、多種多様な回路構成のいずれを有することもでき、こうした構成の非限定的な例を
図4A、4B、5A、及び5Bに示す。一実施形態によれば、
図4A及び5Aに例示するように、可変インピーダンス整合回路網370は、受動構成部品のシングルエンド回路網を含むことができ、より具体的には、固定値のインダクタ(例えば、集中誘導性構成部品)及び可変インダクタ(または可変インダクタンス回路網)を含むことができる。他の実施形態によれば、
図4B及び5Bに例示するように、可変インピーダンス整合回路網370は受動構成部品のシングルエンド回路網を含むことができ、より具体的には、可変コンデンサの回路網(または可変容量回路網)を含むことができる。本明細書中に用いる「インダクタ」とは、ディスクリート(個別部品の)インダクタ、あるいは介在する他の種類の構成部品(例えば、抵抗器またはコンデンサ)なしに互いに電気結合された一組のインダクタ構成部品を意味する。同様に、「コンデンサ」とは、ディスクリートのコンデンサ、あるいは介在する他の種類の構成部品(例えば、抵抗器またはインダクタ)なしに互いに電気結合された一組の容量性構成部品を意味する。
【0053】
まず、可変インダクタンスのインピーダンス整合回路網の実施形態を参照すれば、
図4Aは、一実施解体によるシングルエンド可変インピーダンス整合回路網400(例えば、可変インピーダンス整合回路網370(
図3))の概略図である。以下でより詳細に説明するように、可変インピーダンス整合回路網370は基本的に次の2つの部分を有する:1つの部分はRF信号源(または電力増幅器の最終段)に整合し;他の部分はキャビティ+負荷に整合する。
【0054】
一実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路網400は、入力ノード402、出力ノード404、第1及び第2可変インダクタンス回路網410、411、及び複数の固定値のインダクタ412〜415を含む。解凍システム(例えば、システム300(
図3))に内蔵されると、入力ノード402はRF信号源(例えば、RF信号源320(
図3))の出力端子に電気結合され、出力ノード404は解凍キャビティ(例えば、解凍キャビティ360(
図3))内の電極(例えば、第1電極340(
図3))に電気結合される。
【0055】
一実施形態では、入力ノード402と出力ノード404との間の可変インピーダンス整合回路網400が、直列結合された第1及び第2集中インダクタ412、414を含む。一実施形態では、第1及び第2集中インダクタ412、414はサイズ及びインダクタンス値が共に比較的大きい、というのは、これらのインダクタは比較的低い周波数(例えば、約40.66MHz〜約40.70MHz)及び比較的大きい電力(例えば、約50ワット(W)〜約500W)の動作用に設計することができるからである。例えば、インダクタ412、414が約200ナノヘンリー(nH)〜約600nHの範囲内の値を有することができるが、他の実施形態では、これらの値をより低くすること、及び/またはより高くすることができる。
【0056】
第1可変インダクタンス回路網410は第1の分路インダクタンス回路網であり、入力ノード402と接地基準端子(例えば、接地された格納構造366(
図3))との間に結合されている。一実施形態によれば、第1可変インダクタンス回路網410は、第1整合回路(例えば、回路334(
図3))によって変化したRF信号源(例えば、RF信号源320(
図3))のインピーダンスに整合するように構成可能であり、あるいは、より具体的には、第1整合回路(例えば、回路334(
図3))によって変化した第1段の電力増幅器(例えば、増幅器325(
図3))のインピーダンスに整合するように構成可能である。従って、第1可変インダクタンス回路網410は、可変インピーダンス整合回路網400の「RF信号源整合部分」と称することができる。一実施形態によれば、そして
図5に関連してより詳細に説明するように、第1可変インダクタンス回路網410は誘導性構成部品の回路網を含み、これらの誘導性構成部品どうしを選択的に結合して約10nH〜約400nHの範囲内のインダクタンスを提供することができるが、この範囲はより低いインダクタンス値またはより高いインダクタンス値へ拡張することもできる。
【0057】
これとは対照的に、可変インピーダンス整合回路網400の「キャビティ整合部分」は第2の分路インダクタンス回路網416によって提供され、第2の分路インダクタンス回路網416は、第1及び第2集中インダクタ412、414と接地基準端子との間に結合されている。一実施形態によれば、第2の分路インダクタンス回路網416は、直列結合された第3集中インダクタ413及び第2可変インダクタンス回路網411を含み、第3集中インダクタ413と第2可変インダクタンス回路網411との間に中間ノード422を有する。第2可変インダクタンス回路網411の状態を変化させて複数のインダクタンス値を提供することができるので、第2の分路インダクタンス回路網416は、キャビティ+負荷(例えば、キャビティ360+負荷364(
図3))のインピーダンスに整合するように構成可能である。例えば、インダクタ413は、約400nH〜約800nHの範囲内の値を有することができるが、他の実施形態では、その値をより低くすること及び/またはより高くすることができる。一実施形態によれば、そして
図5に関連してより詳細に説明するように、第2可変インダクタンス回路網411は誘導性構成部品の回路網を含み、これらの誘導性構成部品どうしを選択的に結合して約50nH〜約800nHの範囲内のインダクタンスを提供することができるが、この範囲はより低いインダクタンス値またはより高いインダクタンス値へ拡張することもできる。
【0058】
最後に、可変インピーダンス整合回路網400は、出力ノード404と接地基準端子との間に結合された第4集中インダクタ415を含む。例えば、インダクタ415は約400nH〜約800nHの範囲内の値を有することができるが、他の実施形態では、その値をより低くすること、及び/またはより高くすることができる。
【0059】
図12Aに関連してより詳細に説明するように、集中インダクタ412〜415の集合430は、少なくとも部分的にキャビティ(例えば、キャビティ360(
図3))内に物理的に配置された、あるいは少なくとも格納構造(例えば、格納構造366(
図3))の境界内にあるモジュールの一部分を形成することができる。このことは、集中インダクタ412〜415によって生成される放射が、周囲環境内へ外部放射されるのではなく、システム内に安全に包含されることを可能にする。これとは対照的に、種々の実施形態では、可変インダクタンス回路網410、411はキャビティまたは格納構造内に含めることも含めないこともできる。
【0060】
一実施形態では、
図4Aの可変インピーダンス整合回路網400の実施形態が「インダクタのみ」を含んで、解凍キャビティ360+負荷364の入力インピーダンスの整合を行う。従って、回路網400は「インダクタのみ」の整合回路網と考えることができる。本明細書中に用いる「インダクタのみ」または「インダクタだけ」は、可変インピーダンス整合回路網の構成部品を記述する際には、この回路網が有意な抵抗値を有するディスクリート抵抗器、または有意な容量値を有するディスクリート・コンデンサを含まないことを意味する。一部の場合には、上記整合回路網の構成部品間の導体伝送線が最小の抵抗を有することができ、及び/または、最小の寄生容量が回路網内に存在することができる。こうした最小の抵抗及び/または最小の寄生容量は、「インダクタのみ」の回路網の実施形態を、抵抗器及び/またはコンデンサも含む整合回路網に変換するものとして解釈するべきでない。しかし、可変インピーダンス整合回路網が、異なるように構成されたインダクタのみの整合回路、及び、ディスクリート・インダクタ、ディスクリート・コンデンサ、及び/またはディスクリート抵抗器の組合せを含む整合回路網を含むことができることは、当業者の理解する所である。
図6に関連してより詳細に説明するように、「インダクタのみ」の整合回路網は、その代わりに、誘導性構成部品を専ら、あるいは主として用いて容量性負荷のインピーダンス整合を可能にする整合回路網として定義することができる。
【0061】
図5Aは、一実施形態による可変インダクタンス回路網500の概略図であり、可変インダクタンス回路網500は可変インピーダンス整合回路(例えば、可変インダクタンス回路網410及び/または411(
図4A))に内蔵することができる。回路網500は、入力ノード530、出力ノード532、及び複数N個のディスクリート・インダクタ501〜504を含み、ディスクリート・インダクタ501〜504は入力ノード530と出力ノード532との間に互いに直列に結合され、ここのNは2〜10以上の整数とすることができる。それに加えて、回路網500は複数N個のバイパススイッチ511〜514を含み、各スイッチ511〜514は、インダクタ501〜504のうちの1つの端子間に並列に結合されている。スイッチ511〜514は、例えば、トランジスタ、機械式リレー、または機械スイッチとして実現することができる。各スイッチ511〜514の導通状態(即ち、開または閉)は、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312(
図3))からの制御信号521〜524により制御される。
【0062】
インダクタ/スイッチの並列結合毎に、(インダクタに)対応するスイッチが開または非導通状態である際には、ほとんど全部の電流がインダクタを通って流れ、スイッチが閉または導通状態である際には、ほとんど全部の電流がスイッチを通って流れる。例えば、
図5Aに示すように全部のスイッチ511〜514が開である際には、入力ノード530と出力ノード532との間を流れる電流のほとんど全部が直列のインダクタ501〜504を通って流れる。この構成は、回路網500の最大インダクタンス状態(即ち、入力ノード530と出力ノード532との間に最大のインダクタンス値が存在する回路網500の状態)を表す。逆に、全部のスイッチ511〜514が閉である際には、入力ノード530と出力ノード532との間を流れる電流のほとんど全部が、その代わりに、インダクタ501〜504をバイパス(迂回)してスイッチ511〜514、及びノード530、532とスイッチ511〜514との間の導体相互接続部を通って流れる。この構成は、回路網500の最小インダクタンス状態(即ち、最小のインダクタンス値が入力ノード530と出力ノード532との間に存在する回路網500の状態)を表す。しかし、実際には、最小インダクタンス状態では、スイッチ511〜514、及びノード530、532とスイッチ511〜514との間の導体相互接続部の累積インダクタンスに起因する「微量の」インダクタンスが存在する。例えば、最小インダクタンス状態では、可変インダクタンス回路網500における微量インダクタンスは約10nH〜約50nHの範囲内であり得るが、微量インダクタンスはより小さくもより大きくもなり得る。より大きい、任意の所定の回路網状態における微量インダクタンスが、回路網500を通る電流を主に伝える一連の導体及びスイッチのインダクタンスの総和である場合に、より小さい、あるいはほぼ同様の微量インダクタンスは、他の回路網状態の各々に特有のものとすることもできる。
【0063】
全部のスイッチ511〜514が開である最大インダクタンス状態から始まって、システム・コントローラは制御信号521〜524を供給し、これらの信号は、スイッチ511〜514の任意の組合せの閉状態を生じさせて、対応するインダクタ501〜504の組合せをバイパスさせることによって回路網500のインダクタンスを低減することができる。一実施形態では、各インダクタ501〜504がほぼ同じインダクタンス値を有し、本明細書では正規化値Iと称する。例えば、各インダクタ501〜504は、約10mH〜約200mHの範囲内の値、あるいは他の何らかの値を有することができる。こうした実施形態では、回路網500における最大(即ち、全部のスイッチ511〜514が開状態である際の)インダクタンス値は、約N×I+(回路網500が最大インダクタンス状態にある際に回路網500内に存在し得るあらゆる微量インダクタンス)になる。任意のn個のスイッチが閉状態である際には、回路網500におけるインダクタンス値が約(N−n)×I(+微量インダクタンス)になる。こうした実施形態では、回路網500の状態は、N+1通りのインダクタンス値のいずれかを有するように構成することができる。
【0064】
代案実施形態では、インダクタ501〜504が互いに異なる値を有することができる。例えば、入力ノード530から出力ノード532に向かって移動すれば、第1インダクタ501は正規化インダクタンス値Iを有することができ、系列内で後続する各インダクタ502〜504はより大きい、あるいはより小さいインダクタンス値を有することができる。例えば、後続する各インダクタ502〜504は、上流の直近のインダクタ501〜503のインダクタンス値の倍数である(例えば、約2倍の)インダクタンス値を有することができるが、その差は必ずしも整数倍である必要はない。こうした実施形態では、回路網500の状態は2
N通りのインダクタンス値のいずれかを有するように設定することができる。例えば、N=4であり、各インダクタ501〜504が異なる値を有する際には、回路網500は16通りのインダクタンス値のいずれかを有するように設定することができる。例えば、限定目的ではないが、インダクタ501がIの値を有するものと仮定すれば、インダクタ502は2×Iの値を有し、インダクタ503は4×Iの値を有し、インダクタ504は8×Iの値を有する。以下の表1は、回路網500がとり得る16通りの状態の全部についての合計インダクタンス値を示す(微量インダクタンスは考慮しない):
【0066】
再び
図4Aを参照すれば、可変インダクタンス回路網410の実施形態を、上述した例の特性を有する(即ち、N=4であり、後続する各インダクタは先行するインダクタの約2倍のインダクタンスを有する)可変インダクタンス回路網500の形式で実現することができる。最小インダクタンス状態における微量インダクタンスが約10mHであるものと仮定し、回路網410によって実現可能なインダクタンス値の範囲が約10nH(微量インダクタンス)〜約400nHであるものと仮定すれば、インダクタ501〜504の値はそれぞれ、例えば約30nH、約50nH、約100nH、及び約200nHとすることができる。同様に、可変インダクタンス回路網411の実施形態を同じ方法で実現する場合、そして、微量インダクタンスが約50nHであり、回路網411によって実現可能なインダクタンス値の範囲が約50nH(微量インダクタンス)〜約800nHであるものと仮定すれば、インダクタ501〜504の値はそれぞれ、例えば約50nH、約100nH、約200nH、及び約400nHとすることができる。もちろん、4つのインダクタ501〜504よりも多数または少数のインダクタを、可変インダクタンス回路網410、411のいずれにも含めることができ、各回路網410、411内のインダクタは異なる値を有することができる。
【0067】
上記の実施形態は、回路網500内のスイッチ付きインダクタンスの数が4に等しいこと、及び各インダクタ501〜504がIの何らかの倍数である値を有することを規定しているが、可変インダクタンス回路網の代案実施形態は、4つよりも多数または少数のインダクタ、インダクタの異なる相対値、異なる数の可能な回路網状態、及び/または異なるインダクタの構成(例えば、異なるように接続された、並列及び/または直列結合されたインダクタの組)を有することができる。どちらにしても、可変インダクタンス回路網を解凍システムのインピーダンス整合回路網内に設けることによって、解凍システムは、解凍動作中に存在する常に変化するキャビティの入力インピーダンスにより良好に整合することができる。
【0068】
図4Bは、一実施形態によるシングルエンド可変容量整合回路網440(例えば、可変インピーダンス整合回路網370(
図3))の概略図であり、シングルエンド可変容量整合回路網440は、可変インダクタンスのインピーダンス整合回路網400の代わりに実現することができる。一実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路440は、入力ノード402、出力ノード404、第1及び第2可変容量回路網442、446、及び少なくとも1つのインダクタ454を含む。解凍システム(例えば、システム300(
図3))に内蔵されると、入力ノード402はRF信号源(例えば、RF信号源320(
図3))の出力端子に電気結合され、出力ノード404は、解凍キャビティ(例えば、解凍キャビティ360(
図3))内の電極(例えば、第1電極340(
図3))に電気結合される。
【0069】
一実施形態では、入力ノード402と出力ノード404との間の可変インピーダンス整合回路網440が、インダクタ454に直列に結合された第1可変容量回路網442、及び中間ノード451と接地基準端子(例えば、接地された格納構造366(
図3))との間に結合された第2可変容量回路網446を含む。一実施形態では、インダクタ454は、比較的低い周波数(例えば、約40.66MHz〜約40.70MHz)及び比較的大きい電力(例えば、約50W〜約500W)の動作用に設計することができる。例えば、インダクタ454は約200nH〜約600nHの範囲内の値を有することができるが、他の実施形態では、その値をより低くすること及び/またはより高くすることができる。一実施形態によれば、インダクタ454は固定値の集中インダクタ(例えば、コイル)である。他の実施形態では、インダクタ454のインダクタンス値を可変にすることができる。
【0070】
第1可変容量回路網442は入力ノード402と中間ノード451との間に結合され、第1可変容量回路網442は、可変インピーダンス整合回路網440の「RF信号源整合部分」と称することができる。一実施形態によれば、第1可変容量回路網442は、第1可変コンデンサ444に並列に結合された第1固定値コンデンサ443を含む。一実施形態では、第1固定値コンデンサ443が約1ピコファラッド(pF)〜約100pFの容量を有することができる。
図5Bに関連してより詳細に説明するように、第1可変コンデンサ444は容量性構成部品の回路網を含むことができ、これらの容量性構成部品どうしを選択的に結合して0pF〜約100pFの範囲内の容量を提供することができる。従って、第1可変容量回路網442によって提供される合計容量値は約1pF〜約200pFの範囲内にすることができるが、この範囲はより低い容量値またはより高い容量値へ拡張することもできる。
【0071】
可変インピーダンス整合回路網440の「分路整合部分」は第2可変容量回路網446によって提供され、第2可変容量回路網446は、(第1可変容量回路網442と集中インダクタ454との間に配置された)ノード451と接地基準端子との間に結合されている。一実施形態によれば、第2可変容量回路網446は、第2可変コンデンサ448に並列に結合された第2固定値コンデンサ447を含む。第2固定値コンデンサ447は約1pF〜約100pFの範囲内の容量値を有することができる。
図5Bに関連してより詳細に説明するように、第2可変コンデンサ448は容量性構成部品の回路網を含むことができ、これらの容量性構成部品どうしを選択的に結合して0pF〜約100pFの範囲内の容量を提供することができる。従って、第2可変容量回路網446によって提供される合計容量値は約1pF〜約200pFの範囲内にすることができるが、この範囲はより低い容量値またはより高い容量値へ拡張することもできる。第1及び第2可変容量回路網442、446の状態を変化させて複数の静電容量値を提供することができ、従って、これらの状態は、キャビティ+負荷(例えば、キャビティ360+負荷364、
図3)のインピーダンスをRF信号源(例えば、RF信号源320、
図3)に最適に整合させるように設定可能にすることができる。
【0072】
図5Bは、一実施形態によるシングルエンド可変容量回路網540の概略図であり、シングルエンド可変容量回路網540は可変インピーダンス整合回路網に(例えば、可変コンデンサ444、448(
図4B)の例毎に)内蔵することができる。回路網540は、入力ノード531、出力ノード533、及び複数N個のディスクリート・コンデンサ541〜544を含み、これらのディスクリート・コンデンサは入力ノード531と出力ノード533との間に互いに並列に結合され、ここにNは2〜10以上の整数とすることができる。それに加えて、回路網540は複数N個のバイパススイッチ551〜554を含み、各スイッチ551〜554はコンデンサ541〜544のうちの1つの一方の端子に直列に結合されている。スイッチ551〜554は、例えば、トランジスタ、機械式リレー、または機械スイッチとして実現することができる。各スイッチ551〜554の導通状態(即ち、開または閉)は、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312(
図3))からの制御信号561〜564により制御される。
図5Bに示す実施形態では、並列結合された各分岐内で、単一のスイッチが各コンデンサの一方の端子に接続され、スイッチが結合される方の端子は、一連の並列結合されたコンデンサ541〜544を通して見れば(例えば、コンデンサ541及び543では)下側の端子と(例えば、コンデンサ542及び544では)上側の端子との間で交互する。代案実施形態では、スイッチが結合される方の端子を、回路網全体を通して同じにすることができ(例えば、各スイッチは、並列結合された各分岐内の上側端子または下側端子(の一方)に結合されるが、その両方には結合されない)あるいは、2つのスイッチを、並列結合された各分岐内の上側及び下側端子の両方に結合することができる。後者の実施形態では、各コンデンサに結合された2つのスイッチを同期された様式で制御して開閉することができる。
【0073】
図示する実施形態では、各コンデンサ/スイッチの直列結合毎に、当該コンデンサに対応するスイッチが閉または導通状態である際には、ほとんど全部の電流がコンデンサを通って流れ、当該スイッチが開または非導通状態である際には、コンデンサを通って流れる電流はほぼ0である。例えば、
図5Bに示すように全部のスイッチ551〜554が閉である際には、入力ノード531と出力ノード533との間を流れる電流のほとんど全部がコンデンサ541〜544の並列結合を通って流れる。この構成は、回路網540の最大容量状態(即ち、最大の容量値が入力ノード531と出力ノード533との間に存在する回路網540の状態)を表す。逆に、全部のスイッチ551〜554が開である際には、入力ノード531と出力ノード533との間を流れる電流はほぼ0である。この構成は、回路網540の最小容量状態(即ち、入力ノード531と出力ノード533との間に最小の容量値が存在する状態)を表す。
【0074】
全部のスイッチ551〜554が閉である最大容量状態から始まって、システム・コントローラは制御信号561〜564を供給し、これらの制御信号は、スイッチ551〜554の任意の組合せの開状態を生じさせて、対応するコンデンサ541から544の組合せを切り離すことによって回路網540の容量を低減することができる。一実施形態では、各コンデンサ541〜544がほぼ同じ容量値を有し、本明細書では正規化値Jと称する。例えば、各コンデンサ541〜544は、約1pF〜約25pFの範囲内の値、あるいは他の何らかの値を有することができる。こうした実施形態では、回路網540における最大(即ち、全部のスイッチ551〜554が閉状態である際の)容量値は約N×Jになる。任意のn個のスイッチが開状態である際には、回路網540における容量値が約(N−n)×Jになる。こうした実施形態では、回路網540の状態はN+1通りの容量値のいずれかを有するように構成することができる。
【0075】
代案実施形態では、コンデンサ541〜544が互いに異なる値を有することができる。例えば、入力ノード531から出力ノード533に向かって移動すれば、第1コンデンサ541は正規化容量値Jを有することができ、系列内で後続する各コンデンサ542〜544は、より大きい、あるいはより小さい容量値を有することができる。例えば、後続する各コンデンサ542〜544は、上流の直近のコンデンサ541〜543の容量値の倍数である(例えば、約2倍の)容量値を有することができるが、その差は必ずしも整数倍である必要はない。こうした実施形態では、回路網540の状態は2
N通りの容量値のいずれかを有するように構成することができる。例えば、N=4であり、各コンデンサ541〜544が異なる値を有する際には、回路網540は16通りの容量値のいずれかを有するように構成することができる。例えば、限定目的ではないが、コンデンサ541がJの値を有するものと仮定すれば、コンデンサ542は2×Jの値を有し、コンデンサ543は4×Jの値を有し、コンデンサ544は8×Jの値を有する。回路網540がとり得る16通りの状態の全部についての合計容量値は、(Iの値をJの値に取り換え、「開」と「閉」の記号表示を逆にすることを除いては)上記の表1と同様の表によって表すことができる。
【0076】
図6はスミスチャート600の例であり、可変インピーダンス整合回路網(例えば、回路網370、400(
図3、4A))の実施形態における複数のインダクタンスが、入力キャビティのインピーダンスをRF信号源に整合させることができる様子を示す。図示していないが、可変インピーダンス整合回路網(例えば、回路網370、440(
図3、4A))の実施形態における複数の容量が、入力キャビティのインピーダンスをRF信号源に同様に整合させることができる。スミスチャート600の例は、システムが50オーム系であり、RF信号源の出力が50オームであるものと仮定する。本明細書中の記載に基づけば、このスミスチャートを、異なる特性インピーダンスを有するシステム及び/または信号源用に修正する方法は、当業者の理解する所である。
【0077】
スミスチャート600では、点601は、負荷(例えば、キャビティ360+負荷364(
図3))が(例えば、解凍動作の開始時に)可変インピーダンス整合回路網(例えば)、回路網370、400(
図3、4A)によって提供される整合なしに配置される点に相当する。スミスチャート600の右下の四分円内の負荷点601の位置によって示されるように、負荷は容量性負荷である。一実施形態によれば、可変インピーダンス整合回路網の分路及び直列インダクタンスが、実質的に容量性の負荷インピーダンスを最適な整合点606(例えば、50オーム)に向けて連続的に移動させ、整合点606では、負荷へのRFエネルギー伝達が最小の損失で発生することができる。より具体的には、そして
図4Aも参照すれば、分路インダクタンス415がインピーダンスを点602へ移動させ、直列インダクタンス414がインピーダンスを点603へ移動させ、分路インダクタンス416がインピーダンスを点604へ移動させ、直列インダクタンス412がインピーダンスを点605へ移動させ、そして分路インダクタンス410がインピーダンスを最適な整合点606へ移動させる。
【0078】
なお、可変インピーダンス整合回路網の実施形態によって行われるインピーダンス変換の組合せは、インピーダンスを、スミスチャート600の右下の四半円内またはそれに非常に近いいずれかの点に保つ。スミスチャート600のこの四半円は比較的高いインピーダンス及び比較的小さい電流によって特徴付けられるので、インピーダンス変換は、回路の構成部品を比較的大きく損傷を与える可能性がある電流に曝すことなしに実現される。従って、本明細書中に用いる「インダクタのみ」の整合回路の代わりの定義は、誘導性構成部品を専ら、あるいは主として用いて容量性負荷のインピーダンス整合を可能にする整合回路網とすることができ、このインピーダンス整合回路網は、こうした変換をスミスチャートの実質的に右下の四半円内で実行する。
【0079】
前述したように、負荷のインピーダンスは解凍動作中に変化する。従って、点601は解凍動作中にそれに対応して移動する。前述した実施形態によれば、負荷点601の移動は、可変インピーダンス整合回路網によって提供される最終的な整合が常に最適な整合点606またはその付近に到達することができるように、第1及び第2分路インダクタンス410、411のインピーダンスを変化させることによって補償される。本明細書では、特定の可変インピーダンス整合回路網を図示して説明してきたが、本明細書中の記載に基づけば、異なるように構成された可変インピーダンス整合回路網が、スミスチャート600によって伝えられるものと同じまたは同様の結果を実現することができることは、当業者の理解する所である。例えば、可変インピーダンス整合回路網の代案実施形態は、より多数またはより少数の分路及び/または直列インダクタンスを有することができ、及び/または、複数のインダクタンスのうちの異なるものを(例えば、直列インダクタンスのうちの1つ以上を含む)可変インピーダンス回路網として構成することができる。従って、本明細書では特定の可変インダクタンス整合回路網を図示して説明してきたが、本発明の主題は図示して説明する実施形態に限定されない。
【0080】
図3〜6に関連する記載は、「不平衡型」解凍装置を詳細に説明し、この解凍装置では、RF信号を一方の電極(例えば、電極340(
図3))に印加し、他方の「電極」(例えば、格納構造366(
図3))は接地する。上述したように、解凍装置の代案実施形態は「平衡型」解凍装置を具えている。こうした装置では、平衡RF信号が両電極に供給される。
【0081】
例えば、
図7は、一実施形態による平衡型解凍システム700(例えば、解凍システム100、210、220(
図1、2))の簡略化したブロック図である。一実施形態では、解凍システム700は、RFサブシステム710、解凍キャビティ760、ユーザ・インタフェース780、システム・コントローラ712、RF信号源720、電源兼バイアス回路726、可変インピーダンス整合回路網770、2つの電極740、750、及び電力検出回路730を含む。それに加えて、他の実施形態では、解凍システム700が、温度センサ及び/または赤外線(IR)センサ790を含むことができるが、これらのセンサ構成要素の一部または全部を除外することができる。
図7は、説明及び記述しやすさの目的で簡略化した解凍システム700の表現であり、実際の実施形態は、追加的な機能及び特徴を提供するための他の装置及び構成要素を含むことができること、及び/または解凍システム700はより大きな電気システムの一部とすることができることは明らかである。
【0082】
ユーザ・インタフェース780は、例えば、ユーザが解凍動作用のパラメータ(例えば、解凍される負荷の特性、等)に関する入力をシステムに与えることを可能にする制御パネル(例えば、制御パネル120、214、224(
図1、2))、開始及び取り消しボタン、機械的制御部(例えば、ドア/引き出しの開放ラッチ)、等に対応することができる。それに加えて、ユーザ・インタフェースは、解凍動作の状態を示すユーザが知覚可能な出力(例えば、カウントダウン・タイマー、解凍動作の進行または完了を示す可視の印、及び/または解凍動作の完了を示す可聴のトーン)及び他の情報を提供するように構成することができる。
【0083】
一実施形態では、RFサブシステム710は、システム・コントローラ712、RF信号源720、第1インピーダンス整合回路734(本明細書では「第1整合回路」)、電源兼バイアス回路726、及び電力検出回路730を含む。システム・コントローラ712は、1つ以上の汎用または専用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、ASIC、等)、揮発性及び/または不揮発性メモリ(例えば、RAM、ROM、フラッシュ、種々のレジスタ、等)、1つ以上の通信バス、及び他の構成要素を含むことができる。一実施形態によれば、システム・コントローラ712は、ユーザ・インタフェース780、RF信号源720、電源兼バイアス回路726、電力検出回路730(あるいは730’または730”)、可変整合サブシステム770、(含まれていれば)センサ790、及び(含まれていれば)ポンプ792に結合されている。システム・コントローラ712は、ユーザ・インタフェース780を介して受け付けたユーザ入力を示す信号を受信し、RF信号の反射電力(及び場合によってはRF信号の順方向電力)を示す信号を電力検出回路730(あるいは730’または730”)から受信し、そしてセンサ信号をセンサ790から受信するように構成されている。受信した信号及び測定値に応答して、後に詳細に説明するように、システム・コントローラ712は制御信号を電源兼バイアス回路726、及び/またはRF信号源720のRF信号発生器722に供給する。それに加えて、システム・コントローラ712は、制御信号を可変インピーダンス整合サブシステム770に(経路716を通して)供給し、このことはサブシステム770に、当該サブシステム770の可変インピーダンス整合回路772の状態または設定を変化させる。
【0084】
解凍キャビティ760は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極740、750を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷764を配置することができる。格納構造766内には、第1及び第2電極740、750(例えば、電極140、150(
図1))が、互いに対する固定の物理的関係で、解凍キャビティ760(例えば、内側キャビティ260(
図2))の内側のどちらかの側面上に配置されている。一実施形態によれば、電極740、750間の距離752がキャビティ760を準共鳴にする。
【0085】
第1電極740と第2電極750とは、キャビティ760全体を隔てて距離752だけ分離されている。種々の実施形態では、距離752が約0.10メートル〜約1.0メートルの範囲内であるが、この距離はより小さくすることもより大きくすることもできる。一実施形態によれば、距離752がRFサブシステム710によって生成されるRF信号の1波長未満である。換言すれば、上述したように、キャビティ360は準共鳴キャビティである。一部の実施形態では、距離752がRF信号の1波長の約半分未満である。他の実施形態では、距離752がRF信号の1波長の約4分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離752がRF信号の1波長の約8分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離752がRF信号の1波長の約50分の1未満である。さらに他の実施形態では、距離752がRF信号の1波長の約100分の1未満である。
【0086】
一般に、より低い動作周波数(例えば、周波数10MHz〜100MHz)用に設計されたシステム700は、1波長のより小さい割合である距離752を有するように設計することができる。例えば、システム700を、約10MHzの動作周波数(約30メートルの波長に相当する)を有するRF信号を生成するように設計し、距離752を約0.5メートルであるように選択すると、距離752はRF信号の1波長の60分の1になる。逆に、システム700を約300MHzの動作周波数(約1メートルの波長に相当する)用に設計し、距離752を約0.5メートルであるように選択すると、距離752はRF信号の1波長の約半分になる。
【0087】
動作周波数、及び電極740、750間の距離を、準共鳴内部キャビティ760を規定するように選択することにより、第1電極740と第2電極750とが容量結合される。より具体的には、第1電極740はコンデンサの第1極板に例えることができ、第2電極750はコンデンサの第2極板に例えることができ、負荷764、障壁762、及びキャビティ760内の空気はコンデンサの誘電体に例えることができる。従って、本明細書では第1電極740を代わりに「陽極」と称することがあり、本明細書では第2電極750を代わりに「陰極」と称することがある。
【0088】
基本的に、第1電極740と第2電極750との間の電圧がキャビティ760内の負荷764を加熱する。種々の実施形態によれば、一実施形態では、RFサブシステム710はRF信号を発生して電極740、750間に約70ボルト〜約3,000ボルトの範囲内の電圧を発生するように構成され、あるいは他の実施形態では、約3,000ボルト〜約10,000ボルトの範囲内の電圧を発生するように構成されているが、上記システムは、より低い電圧またはより高い電圧を電極740、750間に生成するように構成することもできる。
【0089】
RFサブシステム710の出力端子、より具体的にはRF信号源720の出力端子は、導体伝送経路を通して可変整合サブシステム770に電気結合され、この導体伝送経路は、直列に接続された複数の導体728−1、728−2、728−3、及び728−4を含み、これらの導体を集合的に伝送経路728と称する。一実施形態によれば、導体伝送経路728は「不平衡」部分と「平衡」部分とを含み、「不平衡」部分は不平衡RF信号(即ち、接地を基準とする単一のRF信号)を伝えるように構成され、「平衡」部分は平衡RF信号(即ち、互いを基準とする2つの信号)を伝えるように構成されている。伝送経路728の「不平衡」部分は、RFサブシステム710内の第1及び第2導体728−1、728−2、(各々がオス及びメスのコネクタ部分を有する)1つ以上のコネクタ736、738、及びコネクタ736と738との間に電気結合された不平衡の第3導体728−3を含むことができる。一実施形態によれば、第3導体728−3は同軸ケーブルで構成されるが、その電気的長さはより短くすることもより長くすることもできる。代案実施形態では、可変整合サブシステム770はRFサブシステム710と共に筐体に収容することができ、こうした実施形態では、導体伝送経路728はコネクタ736、738及び第3導体728−3を除外することができる。どちらにしても、一実施形態では、導体伝送経路728の「平衡」部分は、可変整合サブシステム770内にある平衡の第4導体728−4、及び可変整合サブシステム770と電極740、750との間に電気結合された平衡の第5導体728−5を含む。
【0090】
図7に示すように、可変整合サブシステム770は装置を収容し、この装置は、当該装置の入力端子で不平衡RF信号をRF信号源720から伝送経路の不平衡部分(即ち、不平衡の導体728−1、728−2、及び728−3を含む部分)を通して受信して、この不平衡RF信号を2つの平衡RF信号(例えば、約180度のような120度〜240度の位相差を有する2つのRF信号)に変換して、2つの平衡RF信号を当該装置の2つの出力端子に生成するように構成されている。例えば、一実施形態では、上記変換装置をバラン774とすることができる。上記平衡RF信号は平衡の導体728−4を通して可変整合回路772に伝達され、最終的に平衡の導体728−5を通して電極740、750に伝達される。
【0091】
代案実施形態では、
図7の中央にある点線のボックスで示すように、そして以下でより詳細に説明するように、代案のRF信号発生器720’が平衡RF信号を平衡の導体728−1’上に生成することができ、平衡の導体728−1’は可変整合回路772に直接(あるいは、種々の中間の導体及びコネクタを通して)結合することができる。こうした実施形態では、バラン774をシステム700から除外することができる。どちらにしても、以下でより詳細に説明するように、ダブルエンド可変整合回路772(例えば、可変整合回路800、900、1000(
図8〜10))は、平行なRF信号を(例えば、接続部728−4または728−1’を通して)受信して、ダブルエンド可変整合回路772の次回の現在設定に対応するインピーダンス変換を実行して、平衡RF信号を、接続部728−5を通して第1及び第2電極740、750に供給するように構成されている。
【0092】
一実施形態によれば、RF信号源720がRF信号発生器722及び(例えば、1つ以上の電力増幅段を含む)電力増幅器724を含む。システム・コントローラ712によって接続部714を通して供給される制御信号に応答して、RF信号発生器722は、ISM(工業、科学、医療用)帯域内の周波数を有する振動電気信号を生成するように構成されているが、他の周波数帯域の動作をサポートするようにシステムを修正することもできる。種々の実施形態では、異なる電力レベル及び/または異なる周波数の振動信号を生成するようにRF信号発生器722を制御することができる。例えば、RF信号発生器722は、VHF(very high frequency)範囲(例えば、約30MHz〜約300MHz)で振動する信号、約10.0MHz〜約100MHzの周波数範囲内で振動する信号、及び/または約100MHz〜約3.0GHzの範囲内で振動する信号を生成することができる。いくつかの望ましい周波数は、例えば13.56MHz(+/-5パーセント)、27.125MHz(+/-5パーセント)、40.68MHz(+/-5パーセント)、及び2.45MHz(+/-5パーセント)とすることができる。特定実施形態では、例えば、RF信号発生器722が、役40.66MHz〜約40.70MHzの範囲内で振動する約10dBm〜約15dBmの範囲内の電力レベルの信号を生成することができる。その代わりに、振動の周波数及び/または電力レベルは、上記に挙げた範囲または値よりも低くすることも高くすることもできる。
【0093】
電力増幅器724は、RF信号発生器722から振動信号を受信し、この信号を増幅して大幅に高い電力の信号を電力増幅器724の出力端子に生成するように構成されている。例えば、出力信号は、約100ワット〜約400ワット以上の範囲内の電力レベルを有することができるが、電力レベルはより低くすることもより高くすることもできる。電力増幅器724によって加えられるゲインは、電源兼バイアス回路726によって電力増幅器724の1つ以上の増幅段に供給されるゲートバイアス電圧及び/またはドレイン電源電圧を用いて制御することができる。より具体的には、電源兼バイアス回路726は、システム・コントローラ712から受信した制御信号に従って、バイアス電圧及び電源電圧を各RF増幅段の入力端子及び/または出力端子(例えば、ゲート及び/またはドレイン)に供給する。
【0094】
上記電力増幅器は1つ以上の増幅段を含むことができる。一実施形態では、増幅器724の各段がFETのようなパワートランジスタとして実現され、このパワートランジスタは、入力端子(例えば、ゲートまたは制御端子)及び2つの電流搬送端子(例えば、ソース端子及びドレイン端子)を有する。種々の実施形態では、インピーダンス整合回路(図示せず)を、一部または全部の増幅段の入力(例えば、ゲート)端子及び/または出力(例えば、ドレイン)端子に結合することができる。一実施形態では、増幅段の各トランジスタがLDMOSFETを含む。しかし、これらのトランジスタはいずれの特定の半導体技術に限定されることも意図しておらず、他の実施形態では、各トランジスタは、GaNトランジスタ、他の種類のMOSFETトランジスタ、BJT、または他の半導体技術を利用したトランジスタとして実現することができる。
【0095】
図7には、電力増幅装置724を、他の回路構成要素に特定の方法で結合された1つの増幅段を含むように示している。他の実施形態では、電力増幅装置724が他の増幅トポロジを含むことができ、及び/または、この増幅装置が(例えば、増幅器324/325(
図3)の実施形態中に示すように)2つ以上の増幅段を含むことができる。例えば、この電力増幅装置は、シングルエンド増幅器、ダブルエンド(平衡)増幅器、プッシュプル増幅器、ドハティ増幅器、スイッチモード電力増幅器(SMPA)、または他の種類の増幅器を含むことができる。
【0096】
例えば、
図7の中央にある破線のボックス内に示すように、代案のRF信号発生器720’は、プッシュプルまたは平衡増幅器724’を含むことができ、プッシュプルまたは平衡増幅器724’は、入力端子で不平衡RF信号をRF信号発生器722から受信し、この不平衡RF信号を増幅して、2つの平衡RF信号を増幅器724’の2つの出力端子に生成し、これら2つの平衡RF信号はその後に導体728−1’を通して電極740、750へ伝達される。こうした実施形態では、バラン774をシステム700から除外することができ、導体728−1’は可変整合回路772に直接接続すること(あるいは、複数の同軸ケーブル及びコネクタ、または他の多重導体構造を通して接続すること)ができる。
【0097】
解凍キャビティ760、及び解凍キャビティ760内に配置されたあらゆる負荷764(例えば、食品、液体、等)は、電極740、750によって内部チャンバ762内に放射される電磁エネルギー(またはRF電力)に累積的な負荷をもたらす。より具体的には、前述したように、キャビティ760及び負荷764はあるインピーダンスをシステムにもたらし、本明細書では「キャビティ+負荷のインピーダンス」と称する。キャビティ+負荷のインピーダンスは、解凍動作中に、負荷764の温度が増加するに連れて変化する。キャビティ+負荷のインピーダンスは、RF信号源720と電極740、750との間の導体伝送経路728に沿った反射信号電力の大きさに直接的影響を与える。大部分の場合、導体伝送経路728に沿ってキャビティ760内へ伝達される信号電力の大きさを最大にすること、及び/または導体伝送経路728に沿った反射信号対順方向信号の電力比を最小にすることが望ましい。
【0098】
一実施形態では、RF信号発生器720の出力インピーダンスを、キャビティ+負荷のインピーダンスに少なくとも部分的に整合させるために、第1整合回路734が伝送経路728上に電気結合されている。第1整合回路734は、RF信号源720のインピーダンス(例えば、10オーム未満)から中間インピーダンス(例えば、50オーム、75オーム、または他の何らかの値)へのインピーダンス変換を実行するように構成されている。第1整合回路734は種々の構成のいずれをも有することができる。一実施形態によれば、第1整合回路734が固定の構成部品(即ち、可変でない構成部品値を有する構成部品)を含むが、他の実施形態では、第1整合回路334が1つ以上の可変の構成部品を含むことができる。例えば、種々の実施形態では、第1整合回路734は、インダクタンス/キャパシタンス(LC)回路網、直列インダクタンス回路網、分路インダクタンス回路網、あるいはバンドパス、ハイパス、及びローパス回路の組合せ、から選択した任意の1つ以上の回路を含むことができる。基本的に、第1整合回路734は、RF信号発生器720の出力インピーダンスとキャビティの入力インピーダンスとの間の中間的レベルまでインピーダンスを上昇させるように構成されている。
【0099】
一実施形態によれば、上述したように、電力検出回路730は、伝送経路728上の、RF信号源720の出力端子と電極740、750との間に結合されている。特定実施形態では、電力検出回路730が、RFサブシステム710の一部分を形成し、RF信号源720とコネクタ736との間の導体728−2に結合されている。代案実施形態では、電力検出回路730を、導体728−1、導体728−3、RF信号源720(またはバラン774)と可変整合回路772との間の導体728−4のような伝送経路728の他のいずれかの部分に(即ち、電力検出回路730’で示すように)結合することができ、あるいは、可変整合回路772と電極740、750との間の導体728−5に(即ち、電力検出回路730”で示すように)結合することができる。簡潔にする目的で、本明細書では電力検出回路を参照番号730で参照するが、この回路は、参照番号730’または730”で示すような他の位置に配置することができる。
【0100】
電力検出回路730は、どこに結合されても、RF信号源720と電極740、750の一方または両方との間の伝送経路728に沿って進む反射信号(即ち、電極740、750からRF信号源720に向かう方向に進む反射RF信号)の電力を監視し、測定し、さもなければ検出するように構成されている。一部の実施形態では、電力検出回路730は、RF信号源720と電極740、750との間の伝送経路728に沿って進む順方向信号(即ち、RF信号源720から電極740、750に向かう方向に進む順方向RF信号)の電力を検出するようにも構成されている。
【0101】
接続部732を通して、電力検出回路730は、測定した反射信号電力の大きさを、一部の実施形態では測定した順方向信号電力の大きさも伝える信号を、システム・コントローラ712に供給する。順方向信号電力の大きさ及び反射信号電力の大きさを共に伝える実施形態では、システム・コントローラ712は、反射信号電力対順方向信号電力の比率、またはS11パラメータを計算することができる。一部の実施形態では、システム・コントローラ712が、順方向及び反射信号電力の大きさに基づいてシステムのVSWRを計算することもできる。以下でより詳細に説明するように、反射信号電力の大きさが反射信号電力の閾値を超えると、または反射信号電力対順方向信号電力の比率がS11パラメータの閾値を超えると、あるいはVSWR値がVSWRの閾値を超えると、このことは、システム700がキャビティの入力インピーダンスに十分に整合していないこと、及びキャビティ760内の負荷764によるエネルギー吸収が準最適であり得ることを示す。こうした状況では、システム・コントローラ712は、反射信号電力、またはS11パラメータ、あるいはVSWR値を所望レベルに向けて、あるいは所望レベル未満に(例えば、反射信号電力の閾値、及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率の閾値未満に)追い込むように、可変整合回路772の状態を変化させるプロセスを調整し、これにより、許容可能な整合を再確立し、負荷764によるより最適なエネルギー吸収を促進する。
【0102】
より具体的には、システム・コントローラ712は、制御信号を、制御経路716を通して可変整合回路772に供給することができ、これらの制御信号は、可変整合回路772に、回路内の1つ以上の構成部品のインダクタンス値、容量値、及び/または抵抗値を変化させ、これにより、回路772によって行われるインピーダンス変換を調整する。可変整合回路772の設定を調整することは、反射信号電力の大きさを所望通りに減少させ、このことは、S11パラメータまたはVSWRの大きさを減少させて負荷764によって吸収される電力を増加させることに相当する。
【0103】
上述したように、可変インピーダンス整合回路772を用いて、解凍キャビティ760+負荷764の入力インピーダンスに整合させて、負荷764内へのRF電力伝達を可能な範囲で最大にする。解凍キャビティ760及び負荷764の初期インピーダンスは、解凍動作の開始時には正確に知ることができないことがある。さらに、負荷764のインピーダンスは、解凍動作中に、負荷764が加温されるに連れて変化する。一実施形態によれば、システム・コントローラ712は制御信号を可変インピーダンス整合回路772に供給することができ、これらの制御信号は、可変インピーダンス整合回路772の状態の変化を生じさせる。このことは、システム・コントローラ712が、解凍動作の開始時に可変インピーダンス整合回路772の初期状態を確立することを可能にし、解凍動作の開始時には、反射電力対順方向電力の比率が比較的低く、従って、負荷764によるRF電力の吸収が比較的高い。それに加えて、このことは、システム・コントローラ712が、負荷764のインピーダンスの変化にかかわらず解凍動作全体を通して十分な整合を維持することができるように、可変インピーダンス整合回路772の状態を変化させることを可能にする。
【0104】
可変整合回路772は、種々の構成のいずれをも有することができる。例えば、種々の実施形態では、回路網370は、インダクタンス/容量(LC)回路網、インダクタンスのみの回路網、容量のみの回路網、あるいはバンドパス、ハイパス、及びローパス回路の組合せから選択した任意の1つ以上の回路を含むことができる。可変整合回路772が伝送経路728の平衡部分内に実現される実施形態では、可変整合回路772は2つの入力端子及び2つの出力端子を有するダブルエンド回路である。上記可変整合回路が伝送経路728の不平衡部分内に実現される代案実施形態では、この可変整合回路は、単一の入力端子及び単一の出力端子を有する(例えば、整合回路400または440(
図4A、4B)と同様の)シングルエンド回路とすることができる。より具体的な実施形態によれば、可変整合回路772が可変容量回路網(例えば、ダブルエンド回路網1000(
図10))を含む。さらに他の実施形態では、可変整合回路772が、可変インダクタンス素子及び可変容量素子を共に含むことができる。可変整合回路772によって提供されるインダクタンス値、容量値、及び/または抵抗値は、回路772によって行われるインピーダンス変換に影響を与え、システム・コントローラ712からの制御信号により確立され、これについては後により詳細に説明する。いずれにせよ、可変整合回路772の状態を、処理動作の経過と共に変化させて、常に変化するキャビティ760+キャビティ760内の負荷764のインピーダンスに動的に整合させることによって、解凍動作全体を通してシステム効率を高いレベルに維持することができる。
【0105】
可変整合回路772は、多種多様な回路構成のいずれをも有することができ、こうした構成の非限定的な例を
図8〜10に示す。例えば、
図8は、一実施形態による、解凍システム(例えば、システム80、200、800(
図1、2、7))に内蔵することができるダブルエンド可変インピーダンス整合回路800の概略図である。一実施形態によれば、可変整合回路800は固定値及び可変の受動構成部品の回路網を含む。
【0106】
回路800は、ダブルエンド入力端子801−1、801−2(入力端子801と称する)、ダブルエンド出力端子802−1、802−2(出力端子802と称する)、及び入力端子801と出力端子802との間にラダー構成の形で接続された受動構成部品の回路網を含む。例えば、システム700に接続する際には、第1入力端子801−1は平衡の導体728−4の第1導体に接続することができ、第2入力端子801−2は平衡の導体728−4の第2導体に接続することができる。同様に、第1出力端子802−1は平衡の導体728−5の第1導体に接続することができ、第2出力端子802−2は平衡の導体728−5の第2導体に接続することができる。
【0107】
図8に示す特定実施形態では、回路800が、入力端子801−1と出力端子802−1との間に直列に接続された第1可変インダクタ811及び第1固定インダクタ815、入力端子801−2と出力端子802−2との間に直列に接続された第2可変インダクタ816及び第2固定インダクタ820、入力端子801−1と801−2との間に接続された第3可変インダクタ821、及びノード825と826との間に接続された第3固定インダクタ824を含む。
【0108】
一実施形態によれば、第3可変インダクタ821は「RF信号源整合部分」に相当し、第1整合回路(例えば、回路734(
図7))によって変化したRF信号源(例えば、RF信号源720(
図7))のインピーダンスに整合するように構成可能であり、あるいは、より具体的には、第1整合回路(例えば、回路734(
図7))によって変化した最終段の電力増幅器(例えば、増幅器724(
図7))のインピーダンスに整合するように構成可能である。一実施形態によれば、第3可変インダクタ821が誘導性構成部品の回路網を含み、これらの誘導性構成部品どうしを選択的に結合して約5nH〜約200nHの範囲内のインダクタンスを提供することができるが、この範囲はより低いインダクタンス値またはより高いインダクタンス値へ拡張することもできる。
【0109】
これとは対照的に、可変インピーダンス整合回路網の「キャビティ整合部分」は、第1及び第2可変インダクタ811、816、及び固定インダクタ815、820、及び824によって提供される。第1及び第2可変インダクタ811、816の状態を変化させて複数のインダクタンス値を提供することができるので、第1及び第2可変インダクタ811、816は、キャビティ+負荷(例えば、キャビティ760+負荷764(
図7))のインピーダンスに最適に整合するように設定可能である。例えば、インダクタ811、816の各々は、約10nH〜約200nHの範囲内の値を有することができるが、他の実施形態では、これらの値をより低くすること及び/またはより高くすることができる。
【0110】
固定インダクタ815、820、824は、約50nH〜約800nHの範囲内のインダクタンス値を有することもできるが、これらのインダクタンス値はより低くすることもより高くすることもできる。種々の実施形態では、インダクタ811、815、816、820、821、824は、ディスクリート・インダクタ、分布インダクタ(例えば、プリントされたコイル)、ワイヤボンド、伝送線、及び/または他の誘導性構成部品を含むことができる。一実施形態では、可変インダクタ811及び816が対を成す様式で動作し、このことは、動作中の所定時刻において、これらの可変インダクタのインダクタンス値が互いに等しくなるように制御されて、出力端子802−1及び802−2に伝達されるRF信号が平衡であることが保証されることを意味する。
【0111】
上述したように、可変整合回路800はダブルエンド回路であり、伝送経路728の平衡部分上(例えば、コネクタ728−4と728−5との間)に接続されるように構成され、他の実施形態は、伝送経路728の不平衡部分上に接続するように構成されたシングルエンド(即ち、1入力及び1出力の)可変整合回路を含むことができる。
【0112】
回路800内のインダクタ811、816、821を変化させることによって、システム・コントローラ712は、回路800によって行われるインピーダンス変換を増加または減少させることができる。こうしたインダクタンス値の変化が、RF信号源720とキャビティの入力インピーダンスとの全体的なインピーダンス整合を改善することが望ましく、このことは反射信号電力の低減及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率を低減するはずである。大部分の場合に、システム・コントローラ712は、最大の電磁界強度がキャビティ760内に実現され、及び/または最大量の電力が負荷764によって吸収され、及び/または最小量の電力が負荷764によって反射される状態に回路800を設定することを追求することができる。
【0113】
図9は、他の実施形態によるダブルエンド可変インピーダンス整合回路網900の概略図である。回路網900は、ダブルエンド入力端子901−1、901−2(入力端子901と称する)、ダブルエンド出力端子902−1、902−2(出力端子902と称する)、及び入力端子901と出力端子902との間にラダー構成の形で接続された受動構成部品の回路網を含む。このラダー構成は、入力端子901−1と出力端子902−1との間に互いに直列に結合された第1数N個のディスクリート・インダクタ911〜914を含み、ここにNは2〜10以上の整数とすることができる。このラダー構成は、入力端子901−2と出力端子902−2との間に互いに直列に結合された第2数N個のディスクリート・インダクタ916〜919も含む。追加的なインダクタ915及び920を、中間ノード925、926と出力ノード902−1、902−2との間に結合することができる。さらにその上、このラダー構成は、入力端子901−1と901−2との間に互いに直列に結合された第3数個のディスクリート・インダクタ921〜923、及びノード925と926との間に結合された追加的なディスクリート・インダクタ924を含む。例えば、固定インダクタ915、920、924の各々は、約50nH〜約800nHの範囲内のインダクタンス値を有することができるが、これらのインダクタンス値はより低くすることもより高くすることもできる。
【0114】
インダクタ911〜914の直列配置は第1可変インダクタ(例えば、インダクタ811(
図8))と考えることができ、インダクタ916〜919の直列配置は第2可変インダクタ(例えば、インダクタ816(
図8))と考えることができ、そしてインダクタ921〜923は第3可変インダクタ(例えば、インダクタ820(
図8))と考えることができる。これらの「可変インダクタ」の可変性を制御するために、回路網900は複数のバイパススイッチ931〜934、936〜939、941、及び943を含み、各スイッチ931〜934、936〜939、941、及び943は、インダクタ911〜914、916〜919、921、及び923のうちの1つの両端子間に並列に結合されている。スイッチ931〜934、936〜939、941、及び943は、例えばトランジスタ、機械式リレー、または機械スイッチとして実現することができる。各スイッチ931〜934、936〜939、941、及び943の導通状態(即ち、開または閉)は、システム・コントローラからの制御信号951〜954、956〜959、961、963(例えば、システム・コントローラ712から接続部716(
図7)を通して供給される制御信号)を用いて制御される。
【0115】
一実施形態では、入力端子901と出力端子902との間の2つの経路内の対応するインダクタの組はほぼ等しい値を有し、対応するインダクタの組毎に対応するスイッチの導通状態は対を成す様式で操作され、このことは、動作中のスイッチの状態が任意の所定時刻において互いに同じであるように制御されて、出力端子902−1及び902−2に伝達されるRF信号が平衡であることが保証されることを意味する。例えば、インダクタ911及び916は、ほぼ等しい値を有する第1「組の対応するインダクタ」または第1の「対を成すインダクタ」を構成することができ、動作中には、スイッチ931及び936の状態が任意の所定時刻において同じである(例えば、両方が開であるか両方が閉であるかのいずれかである)ように制御される。同様に、インダクタ912及び917は対を成す様式で動作する、等しいインダクタンス値を有する第2組の対応するインダクタを構成することができ、インダクタ913及び918は対を成す様式で動作する、等しいインダクタンス値を有する第3組の対応するインダクタを構成することができ、インダクタ914及び919は対を成す様式で動作する、等しいインダクタンス値を有する第4組の対応するインダクタを構成することができる。
【0116】
インダクタ/スイッチの並列結合毎に、(インダクタに)対応するスイッチが開または非導通状態である際には、ほとんど全部の電流がインダクタを通って流れ、このスイッチが閉または導通状態である際には、ほとんど全部の電流がスイッチを通って流れる。例えば、
図9に示すように全部のスイッチ931〜934、936〜939、941、及び943が開である際には、入力ノード901−1と出力ノード902−1との間を流れる電流のほとんど全部が直列のインダクタ911〜915を通って流れ、入力ノード901−2と出力ノード902−2との間を通って流れる電流(インダクタ921〜923または924を流れるあらゆる電流によって変化している)のほとんど全部が直列のインダクタ916〜920を通って流れる。この構成は回路網900の最大インダクタンス状態(即ち、入力ノード901と出力ノード902との間に最大インダクタンス値が存在する、回路網900の状態)を表す。逆に、全部のスイッチ931〜934、936〜939、941、及び943が閉である際には、入力ノード901と出力ノード902との間に流れる電流のほとんど全部が、インダクタ911〜914及び916〜919をバイパスし、その代わりに、スイッチ931〜934または936〜939、インダクタ915または920、及び入力ノード901、902とスイッチ931〜934、936〜939との間の導体相互接続部を通って流れる。この構成は回路網900の最小インダクタンス状態(即ち、入力ノード901と出力ノード902との間に最小インダクタンス値が存在する、回路網900の状態)を表す。最小インダクタンス値は0に近いインダクタンスであることが理想的である。しかし、実際には、最小インダクタンス状態では、スイッチ931〜934または936〜939、インダクタ915または920、及びノード901、901とスイッチ931〜934または936〜939との間の累積インダクタンスに起因する比較的小さいインダクタンスが存在する。例えば、最小インダクタンス状態では、スイッチ931〜934または936〜939の直列結合の微量インダクタンスは、約10nH〜約400nHになり得るが、この微量インダクタンスはより小さくもより大きくもなり得る。あらゆる所定の回路網状態における微量インダクタンスが、回路網900を通る電流を主に伝える一連の導体及びスイッチのインダクタンスの総和である場合に、より大きい、より小さい、あるいはほぼ同様の微量インダクタンスは、他の回路網状態の各々に特有のものとすることもできる。
【0117】
全部のスイッチ931〜934、936〜939が開である最大インダクタンス状態から始まって、システム・コントローラは、スイッチ931〜934、936〜939の任意の組合せの閉状態を生じさせる制御信号951〜954、956〜959を供給して、インダクタ911〜914、916〜919の対応する組合せをバイパスさせることによって回路網900のインダクタンスを低減することができる。
【0118】
図8の実施形態と同様に、回路900では、第1数及び第2数のディスクリート・インダクタ911〜914、916〜919、及び固定インダクタ924がこの回路の「キャビティ整合部分」に相当する。
図5Aに関連して上述した実施形態と同様に、一実施形態では、各インダクタ911〜914、916〜919がほぼ同じインダクタンス値を有し、本明細書では正規化値Iと称する。例えば、各インダクタ911〜914、916〜919は、約1nH〜約400nH、または他の何らかの値を有することができる。こうした実施形態では、入力ノード901−1と(出力ノード)902−1との間の最大インダクタンス値、及び入力ノード901−2と(出力ノード)902−2との間の最大インダクタンス値(即ち、全部のスイッチ931〜934、936〜939が開状態である際)は、約N×I+(回路網900が最大インダクタンス状態である際に回路網900内に存在し得るあらゆる微量インダクタンス)となる。任意のn個のスイッチが閉状態である際には、対応する入力ノードと出力ノードとの間のインダクタンス値は約(N−n)×I(+微量インダクタンス)となる。
【0119】
これも
図5Aに関連して上記で説明したように、代案実施形態では、インダクタ911〜914、916〜919が互いに異なる値を有することができる。例えば、入力ノード901−1から出力ノード902−1に向かって移動すれば、第1インダクタ911は正規化インダクタンス値Iを有することができ、系列内で後続する各インダクタ912〜914はより大きい、あるいはより小さいインダクタンス値を有することができる。同様に、入力ノード901−2から出力ノード902−2に向かって移動すれば、第1インダクタ916は正規化インダクタンス値Iを有することができ、系列内で後続する各インダクタ917〜919はより大きい、あるいはより小さいインダクタンス値を有することができる。例えば、後続する各インダクタ912〜914または917〜919は、上流の直近のインダクタ911〜914または916〜918のインダクタンス値の倍数(例えば、約2倍または半分)であるインダクタンス値を有することができる。上記の表1の例は、入力ノード901−1と出力ノード902−1との間の第1系列のインダクタンス経路、及び入力ノード901−2と出力ノード902−2との間の第2系列のインダクタンス経路にも当てはまる。より具体的には、インダクタ/スイッチの組合せ911/931及び916/956の各々はインダクタ/スイッチの組合せ501/511に類似し、インダクタ/スイッチの組合せ912/932及び917/957の各々はインダクタ/スイッチの組合せ502/512に類似し、インダクタ/スイッチの組合せ913/933及び918/958の各々はインダクタ/スイッチの組合せ503/513に類似し、インダクタ/スイッチの組合せ914/934及び919/959の各々はインダクタ/スイッチの組合せ504/514に類似する。
【0120】
最小インダクタンス状態における直列のインダクタ911〜914の全体にわたる微量インダクタンスが約10nHであり、直列のインダクタ911〜914によって実現可能なインダクタンス値の範囲が約10nH(微量インダクタンス)〜約400nHであるものと仮定すれば、インダクタ911〜914の値は、例えば、それぞれ約10nH、約20nH、約40nH、約80nH、及び約160nHとすることができる。直列インダクタ916〜919の組合せは同様または同一に設定することができる。もちろん、4つのインダクタ911〜914または916〜919よりも多数または少数のインダクタを、入力及び出力ノード901−1/902−1間または902−1/902−2間のいずれの直列結合内にも含めることができ、各直列結合内のインダクタは、上記に挙げた値の例とは異なる値を有することができる。
【0121】
上記の実施形態は、対応する入力ノードと出力ノードとの間の各直列結合内のスイッチ付きインダクタンスの数が4つであり、各インダクタ911〜914、916〜919がIの何らかの倍数である値を有することを規定しているが、可変直列インダクタンス回路網の代案実施形態は、4つよりも多数または少数のインダクタ、インダクタの異なる相対値、及び/または異なるインダクタの構成(例えば、異なるように接続された、並列及び/または直列結合されたインダクタの組)を有することができる。どちらにしても、可変インダクタンス回路網を解凍システムのインピーダンス整合回路網内に設けることによって、解凍システムは、解凍動作中に存在する常に変化するキャビティの入力インピーダンスにより良好に整合することができる。
【0122】
図8の実施形態と同様に、第3数のディスクリート・インダクタ921〜923は回路の「RF信号源整合部分」に相当する。この第3の可変インダクタはインダクタ921〜923の直列配置を具え、バイパススイッチ941及び943は、制御信号961及び963に基づいて、インダクタ921及び923を選択的に、この直列配置に接続して組み入れること、またはバイパスすることを可能にする。一実施形態では、インダクタ921〜923の各々が等しい値(例えば、約1nH〜約100nHの範囲内の値)を有することができる。代案実施形態では、インダクタ921〜923が互いに異なる値を有することができる。インダクタ922は、バイパススイッチ941及び943の状態にかかわらず、入力端子901−1と901−2との間に電気接続されている。従って、インダクタ922のインダクタンス値は、入力端子901−1と901−2との間のベースライン(即ち、最小)インダクタンスとしての役割を果たす。一実施形態によれば、第1及び第3インダクタ921及び923が、互いの比率がある値であるインダクタンス値を有することができる。例えば、種々の実施形態では、第1インダクタ921が正規化インダクタンス値Jを有すると、インダクタ923は2×J、3×J、4×J、または他の何らかの比率を有することができる。
【0123】
図10は、他の実施形態による、解凍システム(例えば、システム100、200、700(
図1、2、7))に内蔵することができる可変インピーダンス整合回路1000の概略図である。整合回路800、900(
図8及び9)と同様に、一実施形態によれば、可変整合回路1000は固定値及び可変の受動構成部品の回路網を含む。
【0124】
回路1000は、ダブルエンドの入力端子1001−1及び1001−2(入力端子1001と称する)、ダブルエンドの出力端子1002−1、1002−2(出力端子1002と称する)、及び入力端子1001と出力端子1002との間に接続された受動構成部品の回路網を含む。例えば、システム700に接続する際には、第1入力端子1001−1は平衡導体728−4の第1導体に接続することができ、第2入力端子1001−2は平衡導体728−4の第2導体に接続することができる。同様に、第1出力端子1002−1は平衡導体728−5の第1導体に接続することができ、第2出力端子1002−2は平衡導体728−5の第2導体に接続することができる。
【0125】
図10に示す特定実施形態では、回路1000が、入力端子1001−1と出力端子1002−1との間に直列に接続された第1可変容量回路網1011及び第1インダクタ1015、入力端子1001−2と出力端子1002−2との間に直列に接続された第2可変容量回路網1016及び第2インダクタ1020、及びノード1025と1026との間に接続された第3可変容量回路網1021を含む。一実施形態では、インダクタ1015、1020はサイズ及びインダクタンス値が共に大きい、というのは、これらは比較的低い周波数(例えば、約40.66MHz〜約40.70MHz)及び比較的大きい電力(例えば、約50W〜約500W)の動作用に設計することができるからである。例えば、インダクタ1015、1020の各々は、約100nH〜約1000nHの範囲内(例えば、約200nH〜約600nHの範囲内)の値を有することができるが、他の実施形態では、その値をより低くすること及び/またはより高くすることができる。一実施形態によれば、インダクタ1015、1020は固定値の集中インダクタ(例えば、コイル、ディスクリート・インダクタ、分布インダクタ(種々の実施形態では、例えば、プリントコイル)、ワイヤボンド、伝送線、及び/または他の誘導性構成部品)である。他の実施形態では、インダクタ1015、1020のインダクタンス値を可変にすることができる。いずれにせよ、一実施形態では、(インダクタ1015、1020が固定値である際には)永久的にせよ、(インダクタ1015、1020が可変であり、対を成す様式で動作する際には)任意の所定時刻にせよ、インダクタ1015、1020のインダクタンス値がほぼ同じである。
【0126】
第1及び第2可変容量回路網1011、1016は回路1000の「直列整合部分」に相当する。一実施形態によれば、第1可変容量回路網1011は、第1可変コンデンサ1013に並列に結合された第1固定値コンデンサ1012を含む。一実施形態では、第1固定値コンデンサ1012が約1pF〜約100pFの容量値を有することができる。
図5Bに関連して前述したように、第1可変コンデンサ1013は容量性構成部品の回路網を含むことができ、これらの容量性構成部品どうしを選択的に結合して0pF〜約100pFの範囲内の容量を提供することができる。従って、第1可変容量回路網1011によって提供される合計容量値は約1pF〜約200pFにすることができるが、この範囲はより低い容量値またはより高い容量値へ拡張することもできる。
【0127】
同様に、第2可変容量回路網1016は、第2可変コンデンサ1018に並列に結合された第2固定値コンデンサ1017を含む。一実施形態では、第2固定値コンデンサ1017が約1pF〜約100pFの容量値を有することができる。
図5Bに関連して前述したように、第2可変コンデンサ1018は容量性構成部品の回路網を含むことができ、これらの容量性構成部品どうしを選択的に結合して0pF〜100pFの範囲内の容量を提供することができる。従って、第2可変容量回路網1016によって提供される合計容量値は約1pF〜約200pFの範囲内にすることができるが、この範囲はより低い容量値またはより高い容量値へ拡張することもできる。
【0128】
いずれにせよ、一実施形態では、出力端子1002−1及び1002−2に供給される信号の平衡を保証するために、第1及び第2可変容量回路網1011、1016の静電容量値を任意の所定時刻にほぼ同じであるように制御する。例えば、第1及び第2可変コンデンサ1013、1018の静電容量値を制御して、第1及び第2可変容量回路網1011、1016の静電容量値を任意の所定時刻にほぼ同じにすることができる。第1及び第2可変コンデンサ1013、1018は対を成す様式で動作し、このことは、動作中のこれらの可変コンデンサの静電容量値を制御して、任意の所定時刻に、出力端子1002−1及び1002−2に伝えられるRF信号が平衡することを保証することを意味する。一部の実施形態では、固定値の第1及び第2コンデンサ1012、1017の静電容量値を同じにすることができるが、他の実施形態ではこれらの静電容量値を異ならせることができる。
【0129】
可変インピーダンス整合回路網1000の「分路整合部分」は、第3可変容量回路網1021及び固定インダクタ1015、1020によって提供される。一実施形態によれば、第3可変容量回路網1021は、第3可変コンデンサ1024に並列に結合された第3固定値コンデンサ1023を含む。一実施形態では、第3固定値コンデンサ1023が約1pF〜約500pFの容量値を有することができる。
図5Bに関連して前述したように、第3可変コンデンサ1024は容量性構成部品の回路網を含むことができ、これらの容量性構成部品どうしを選択的に結合して0pF〜約200pFの範囲内の容量を提供することができる。従って、第3可変容量回路網によって提供される合計容量値は約1pF〜約700pFの範囲内にすることができるが、この範囲はより低い容量値またはより高い容量値へ拡張することもできる。
【0130】
可変容量回路網1011、1016、1021の状態を変化させて複数の静電容量値を提供することができるので、可変容量回路網1011、1016、1021は、キャビティ+負荷(例えば、キャビティ760+負荷764(
図7))のインピーダンスをRF信号源(例えば、RF信号源720、720’(
図7))に最適に整合させるように構成可能である。回路1000内の容量値1013、1018、1024を変化させることによって、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ712(
図7))は、回路1000によって行われるインピーダンス変換を増加させることも減少させることもできる。この容量値の変化が、RF信号源720とキャビティ+負荷のインピーダンスとの整合を改善することが望ましく、このことは反射信号電力及び/または反射電力対順方向電力の比率の低減を生じさせるはずである。大部分の場合に、システム・コントローラ712は、最大の電磁界強度がキャビティ760内に実現され、及び/または最大量の電力が負荷764によって吸収され、及び/または最小量の電力が負荷764によって反射される状態にすべく回路1000を構成することを追求することができる。
【0131】
図8〜10に示す可変インピーダンス整合回路800、900、100は、所望のダブルエンド可変インピーダンス変換を実行することができる3つの可能な構成に過ぎないことは明らかである。ダブルエンド可変インピーダンス整合回路の他の実施形態は、異なるように構成された誘導性または容量性の回路網を含むことができ、あるいは、インダクタ、コンデンサ、及び/または抵抗器の種々の組合せを含む受動回路網を含むことができ、これらの受動構成部品の一部は固定値の構成部品とすることができ、これらの受動構成部品の一部は可変値の構成部品(例えば、可変インダクタ、可変コンデンサ、及び/または可変抵抗器)とすることができる。さらに、上記ダブルエンド可変インピーダンス整合回路は能動デバイス(例えば、トランジスタ)を含むことができ、これらの能動デバイスは、受動構成部品を回路網内に組み入れ、回路網から切り離す切り換えを行って、回路によって行われる全体的なインピーダンス変換を変更する。
【0132】
ここで、解凍システムの特定の物理的構成を
図11に関連して説明する。より具体的には、
図11は、一実施形態による解凍システム1100の側断面図である。一実施形態では、解凍システム1100は、一般に、解凍キャビティ1174、ユーザ・インタフェース(図示せず)、システム・コントローラ1130、RF信号源1120、電源兼バイアス回路(図示せず)、電力検出回路1180、可変インピーダンス整合回路網1160、第1電極1170、及び第2電極1172を含む。一実施形態によれば、システム・コントローラ1130、RF信号源1120、電源兼バイアス回路、及び電力検出回路1180は、第1モジュール(例えば、RFモジュール1300(
図13))の複数部分を形成することができ、可変インピーダンス整合回路網1160は第2モジュール(例えば、モジュール1200または1240(
図12A、12B)のいずれか)の複数部分を形成することができる。それに加えて、一部の実施形態では、解凍システム1100が、温度センサ、及び/またはIRセンサ1192を含むことができる。
【0133】
一実施形態では、解凍システム1100を格納構造1150内に収容することができる。一実施形態によれば、格納構造1150は、解凍キャビティ1174及び回路収容領域1178のような2つ以上の内部領域を規定することができる。格納構造1150は、下部壁、上部壁、及び側壁を含む。格納構造1150のこれらの壁の一部の内面の一部分が解凍キャビティ1174を規定することができる。解凍キャビティ1174は容量型解凍装置を含み、この容量型解凍装置は、空気キャビティによって分離された第1及び第2平行平板電極1170、1172を有し、この空気キャビティ内に解凍される負荷1164を配置することができる。例えば、第1電極1170は空気キャビティの上方に配置することができ、第2電極1172は、シングルエンドシステムの実施形態では格納構造1150の導体部分(例えば、格納構造1150の下部壁の一部分)によって提供することができる。その代わりに、シングルエンドまたはダブルエンドシステムの実施形態では、第2電極1172を、図示するように格納構造1150から区別される導体プレートで形成することができる。一実施形態によれば、非導電性の支持構造1154を用いて第1電極1170を空気キャビティの上方に懸架して、第1電極1170を格納構造1150から絶縁して、第1電極1170を空気キャビティに対して固定された物理的な向きに保持することができる。それに加えて、負荷1164と第2電極1172との直接の接触を回避するために、非導電性の支持体及び障壁構造1156を格納構造1150の下面全体にわたって配置することができる。
【0134】
一実施形態によれば、格納構造1150が少なくとも部分的に導体材料で形成され、格納構造の導体部分を接地して、システムの種々の電気構成部品用の接地基準を提供することができる。その代わりに、格納構造1150における第2電極1172に相当する部分を導体材料で形成して接地することができる。
【0135】
温度センサ及び/またはIRセンサ1192は、負荷1164の温度を、解凍動作前、解凍動作中、及び解凍動作後のいずれにも検出することを可能にする位置に配置することができる。一実施形態によれば、温度センサ及び/またはIRセンサ1192は負荷温度の推定値をシステム・コントローラ1130に提供するように構成されている。
【0136】
一実施形態では、システム・コントローラ1130、RF信号源1120、電源兼バイアス回路(図示せず)、電力検出回路1180、及び可変インピーダンス整合回路網1160の構成部品の一部または全部を、格納構造1150の回路収容領域1178内の1つ以上の共通基板(例えば、基板1152)に結合することができる。例えば、上記に挙げた構成要素の一部または全部をRFモジュール(例えば、RFモジュール1300(
図13))及び種々のインピーダンス整合回路モジュール(例えば、モジュール1200または1240(
図12A、12B)の変形例)内に含めることができ、これらのモジュールは格納構造1150の回路収容領域1178内に収容されている。一実施形態によれば、システム・コントローラ1130が、共通基板1152上または共通基板1152内の種々の導体相互接続部、及び/または図示しない種々のケーブル(例えば、同軸ケーブル)を通して、ユーザ・インタフェース、RF信号源1120、可変インピーダンス整合回路網1160、及び電力検出回路1180に結合されている。それに加えて、一実施形態では、電力検出回路1180が、RF信号源1120の出力端子と可変インピーダンス整合回路網1160の入力端子との間の伝送経路1148上に結合されている。例えば、基板1152(あるいはRFモジュール1300または可変インピーダンス整合回路網モジュール1200、1240を規定する基板)は、マイクロ波またはRF積層板、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)基板、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)材料基板(例えば、FR−4)、アルミニウム基板、セラミックタイル、または他の種類の基板を含むことができる。種々の代案実施形態では、構成部品のうちの様々なものを異なる基板に、当該基板と当該構成部品との間の電気相互接続部により結合することができる。さらに他の代案実施形態では、これらの構成部品の一部または全部を、区別される基板に結合するのではなくキャビティ壁に結合することができる。
【0137】
一実施形態では、シングルエンドの実施形態でもダブルエンドの実施形態でも、第1電極1170が可変インピーダンス整合回路網1160及び伝送経路1148を通してRF信号源1120に電気結合されている。ダブルエンドの実施形態では、第2電極1172も、可変インピーダンス整合回路網1160及び伝送経路1148を通してRF信号源1120に結合されている。前述したように、可変インピーダンス整合回路網1160のシングルエンドの実施形態は、シングルエンド可変インダクタンス回路網(例えば、回路網400(
図4A))またはシングルエンド可変容量回路網(例えば、回路網440(
図4B))を含むことができる。その代わりに、可変インピーダンス整合回路網1160のダブルエンドの実施形態は、ダブルエンド可変インダクタンス回路網(例えば、回路網800、900(
図8、9))またはダブルエンド可変容量回路網(例えば、回路網1000(
図10))を含むことができる。一実施形態では、可変インピーダンス整合回路網1160が、モジュール(例えば、モジュール1200、1240(
図12A、12B)の一方)として実現され、あるいは共通基板1152に結合されて回路収容領域1178内に配置されている。導体構造(例えば、導体のビア、トレース、ケーブル、ワイヤ(配線)、及び他の構造)を、回路収容領域1178内の回路と電極1170、1172との間の電気通信用に設けることができる。
【0138】
種々の実施形態によれば、本明細書中に説明するシングルエンドまたはダブルエンド可変インピーダンス整合回路網に関連する回路は1つ以上のモジュールの形態で実現することができ、本明細書中では「モジュール」を、共通の基板に結合された電気構成部品のアセンブリとして定義する。例えば、
図12A及び12Bは、2つの実施形態による、ダブルエンド可変インピーダンス整合回路網(例えば、回路網800、900、1000(
図8〜10))を含むモジュール1200、1240の例の透視図である。より具体的には、
図12Aは、可変インダクタンスのインピーダンス整合回路網(例えば、回路網800、900(
図8、9))を示し、
図12Bは、可変容量のインピーダンス整合回路網(例えば、回路網1000(
図10))を収容するモジュール12Bを示す。
【0139】
モジュール1200、1240の各々は、プリント回路基板(PCB)1204、1244を含み、これらのPCBは前面1206、1246、及びその反対側に後面1208、1248を有する。PCB1204、1244は、1つ以上の誘電体層及び2つ以上のプリント導体層で形成される。導体ビア(
図12A、12B中には見えない)が、複数の導体層間の電気接続部を提供する。前面1206、1246では、第1のプリント導体層で形成された複数のプリント導体トレースが、PCB1204、1244の前面1206、1246に結合された種々の構成要素間の電気接続を行う。同様に、後面1208、1248では、第2のプリント導体層で形成された複数のプリント導体トレースが、PCB1204、1244の後面1208、1248に結合された種々の構成要素間の電気接続を行う。
【0140】
一実施形態によれば、各PCB1204、1244はRF入力コネクタ1238、1278(例えば、後面1208、1248に結合され、従って
図12A、12B中には見えないが、コネクタ738(
図7)に相当する)及びバラン1274、1284(例えば、後面1208、1248に結合され、従って
図12A、12B中には見えないが、バラン774(
図7)に相当する)を収容する。入力コネクタ1238、1278は、同軸ケーブルまたは他の種類の導体のような接続部(例えば、接続部728−3(
図7))でRFサブシステム(例えば、サブシステム310、710(
図3、7))に電気接続されるように構成されている。こうした実施形態では、バラン1274、1284によってRF入力コネクタ1238、1278から受信した不平衡RF信号を平衡な信号に変換し、この信号を一対の平衡導体(例えば、接続部728−4(
図7))を通して、第1及び第2入力端子1201−1、1201−2または1241−1、1241−2に供給する。入力コネクタ1238、1278とバラン1274、1284との接続部、及びバラン1274、1284と入力端子1201−1、1201−2、1241−1、1241−2との接続部の各々は、PCB1204、1244上及びこれらのPCB内に形成された導体トレース及び導体ビアを用いて実現することができる。代案実施形態では、上述したように、代案実施形態が平衡増幅器(例えば、平衡増幅器724’(
図7))を含むことができ、この平衡増幅器は入力端子1201−1、1201−2、1241−1、1241−2に直接結合することができる。こうした実施形態では、バラン1274、1284をモジュール1200、1240から除外することができる。
【0141】
それに加えて、各PCB1204、1244は、ダブルエンド可変インピーダンス整合回路網(例えば、回路網772、800、900、1000(
図7〜10))に関連する回路を収容する。
図12Aを参照すれば、
図12Aは可変インダクタンスのインピーダンス整合回路(例えば、回路網800、900(
図8、9))を収容するモジュール1200に相当し、PCB1204が収容する回路は、ダブルエンド入力端子1201−1、1201−2(例えば、入力端子901−1、901−2(
図9))、ダブルエンド出力端子1202−1、1202−2(例えば、出力端子902−1、902−2(
図9))、ダブルエンド入力端子の第1入力端子1201−1とダブルエンド出力端子の第1出力端子1202−1との間に直列に結合された第1数のインダクタ1211、1212、1213、1214、1215(例えば、インダクタ911〜915(
図9))、ダブルエンド入力端子の第2入力端子1201−2とダブルエンド出力端子の第2出力端子1202−2との間に直列に結合された第2数のインダクタ1216、1217、1218、1219、1220(例えば、インダクタ916〜920(
図9))、第1入力端子1201−1と第2入力端子1201−2との間に直列に結合された第3数のインダクタ(
図12中には見えないが、例えばインダクタ921〜923(
図9)に相当する)、及びノード1225と1226(例えば、ノード925、926)との間に結合された1つ以上の追加的インダクタ1224(例えば、インダクタ924(
図9))を含む。
【0142】
複数のスイッチまたはリレー(例えば、
図12中には見えないが、例えばスイッチ931〜934、936〜939、941、943(
図9)に相当する)もPCB1204に結合されている。例えば、これら複数のスイッチまたはリレーは、PCB1204の前面1206または後面1208に結合することができる。一実施形態では、これらのスイッチまたはリレーの各々が、インダクタ1211〜1214、1216〜1219のうちの1つ、あるいは入力端子1202−1と1202−2との間のインダクタ(例えば、インダクタ921、923(
図9))のうちの1つの両端子間に並列に電気接続されている。制御コネクタ1230がPCB1204に結合され、制御コネクタ1230の導体は導体トレース1232に電気結合されて、これらのスイッチに制御信号(例えば、制御信号951〜954、956〜959、961、963(
図9))を供給し、これにより、前述したように上記インダクタを回路内に組み入れ、回路から切り離す切り換えを行う。
図12Aに示すように、固定値のインダクタ1215、1220(例えば、インダクタ915、920(
図9))を比較的大型のコイルで形成することができるが、これらのインダクタは他の構造を用いて実現することもできる。さらに、
図12Aの実施形態に示すように、出力端子1202−1、1202−2に相当する導体の特徴部分は比較的大型にすることができ、そしてシステムの電極(例えば、電極740、750(
図7))に直接取り付けるために延長することができる。
【0143】
ここで
図12Bを参照すれば、
図12Bは可変容量のインピーダンス整合回路網(例えば、回路網1000(
図10))を収容するモジュール1240に相当し、PCB1244が収容する回路は、ダブルエンド入力端子1241−1、1241−2(例えば、入力端子1001−1、1001−2(
図10))、ダブルエンド出力端子1242−1、1242−2(例えば、出力端子1002−1、1002−2(
図10))、ダブルエンド入力端子の第1入力端子1241−1と第1中間ノード1265(例えば、ノード1025(
図10))との間に直列に結合された第1数のコンデンサ1251、1252(例えば、コンデンサ1012、1013(
図10))、ダブルエンド入力端子の第2入力端子1241−2と第2中間ノード1266(例えば、ノード1026(
図10))との間に直列に結合された第2数のコンデンサ1256、1257(例えば、コンデンサ1017、1018(
図10))、ノード1265と1266(例えば、ノード1025、1026)との間に結合された第3数のコンデンサ1258、1259(例えば、コンデンサ1023、1024(
図10))、及びノード1265と出力端子1242−1との間に結合されたインダクタ1255及びノード1266と出力端子1242−2との間に結合されたインダクタ1260(例えば、インダクタ1015、1020(
図10))を含む。
【0144】
第1数、第2数、及び第3数のコンデンサの各々は、固定コンデンサ1251、1256、1258(例えば、コンデンサ1012、1017、1023(
図10))及び可変コンデンサ(例えば、可変コンデンサ1013、1018、1024)を構成する1つ以上のコンデンサ1252、1257、1259の組を含む。可変コンデンサ1252、1257、1259の各組は、回路網500(
図5)のような容量性回路網を用いて実現することができる。複数のスイッチまたはリレー(例えば、
図12の写真では見えないが、例えばスイッチ551〜554(
図5)に相当する)をPCB1244に結合することもできる。例えば、これら複数のスイッチまたはリレーはPCB1244の前面1246または後面1248に結合することができる。これらのスイッチまたはリレーの各々は、可変コンデンサ1252、1257、1259に関連するコンデンサのうちの異なるものの端子に直列に電気接続されている。制御コネクタ1290がPCB1244に結合され、制御コネクタの導体(
図12Bには図示せず)はPCB1244の導体トレースに電気結合されて、制御信号(例えば、制御信号561〜564(
図5))をこれらのスイッチに供給し、これにより、前述したように上記コンデンサを回路内に組入れ、回路から切り離す切り換えを行う。
【0145】
図12Bに示すように、固定値のインダクタ1255、1260(例えば、インダクタ1015、1020(
図10))が中間ノード1265と出力端子1242−1との間、及び中間ノード1266と出力端子1242−2との間に結合されている。インダクタ1255、1260は比較的大型のコイルで形成することができるが、これらのインダクタは他の構造を用いて実現することもできる。さらに、
図12Bの実施形態中に示すように、出力端子1242−1、1242−2に相当する導体の特徴部分は比較的大型にすることができ、そしてシステムの電極(例えば、電極740、750(
図7))に直接取り付けるために延長することができる。一実施形態によれば、そして
図12Bに示すように、インダクタ1255、1260は、これらのインダクタの主軸が互いに直交する(即ち、インダクタ1255、1260の中心を通って延びる軸どうしが約90度の角度をなす)ように配置されている。このことは、大幅に低減された電磁結合をインダクタ1255、1260間に生じさせることができる。他の実施形態では、インダクタ1255、1260を、これらのインダクタの主軸どうしが平行であるように配置することができ、あるいは、これらの主軸が他の角度のオフセットを有するように配置することができる。
【0146】
種々の実施形態では、RFサブシステム(例えば、RFサブシステム310、710(
図3、7))に関連する回路も1つ以上のモジュールの形態で実現することができる。例えば、
図13は、一実施形態による、RFサブシステム(例えば、RFサブシステム310、710(
図3、7))を含むRFモジュール1300の透視図である。RFモジュール1300は、接地基板1304に結合されたPCB1302を含む。接地基板1304はPCB1302の構造的支持を行い、そして、PCB1302に結合された種々の電気構成部品に電気接地基準及びヒートシンクの機能も提供する。
【0147】
一実施形態によれば、PCB1302はRFサブシステム(例えば、サブシステム310または710(
図3、7))を収容する。従って、PCB1302が収容する回路は、システム・コントローラ1312(例えば、システム・コントローラ312、712(
図3、7))に相当する、RF信号源回路1320(例えば、RF信号発生器322、722及び電力増幅器324、325、724を含むRF信号源320、720(
図3、7)に相当する)、電力検出回路1330(例えば、電力検出回路330、730(
図3、7)に相当する)、及びインピーダンス整合回路1334(例えば、第1整合回路334、734(
図3、7)に相当する)を含む。
【0148】
図13の実施形態では、システム・コントローラ1312がプロセッサIC及びメモリICを含み、RF信号源回路1320が信号発生IC及び1つ以上の電力増幅デバイスを含み、電力検出回路1330が電力結合デバイスを含み、そしてインピーダンス整合回路1334が、互いに結合されてインピーダンス整合回路網を形成する複数の受動構成部品(例えば、インダクタ1335、1336及びコンデンサ1337)を含む。
図3、7に関連して説明した種々の導体及び接続部を参照して前述したように、回路1312、1320、1330、1334及び種々の副構成部品どうしは、PCB1302上の導体トレースを通して電気結合することができる。
【0149】
一実施形態では、RFモジュール1300が複数のコネクタ1316、1326、1338、1380も含む。例えば、コネクタ1380は、ユーザ・インタフェース(例えば、ユーザ・インタフェース380、780(
図3、7))及び他の機能を含むホストシステムに接続するように構成することができる。コネクタ1316は、前述したように可変整合回路(例えば、回路372、772(
図3、7))に接続して制御信号をこの回路に供給するように構成することができる。コネクタ1326は、電源に接続してシステム電力を受けるように構成することができる。最後に、コネクタ1338(例えば、コネクタ336、736(
図3、7))は、同軸ケーブルまたは他の伝送線に接続するように構成することができ、このことは、RFモジュール1300を(例えば、導体328−2、728−3(
図3、7)を通して)可変整合サブシステム(例えば、サブシステム370、770(
図3、7))に電気接続することを可能にする。代案実施形態では、可変整合サブシステム(例えば、可変整合回路網370、バラン774、及び/または可変整合回路772(
図3、7))の構成要素もPCB1302上に統合することができ、この場合、コネクタ1336はモジュール1330から除外することができる。RFモジュール1300のレイアウト、サブシステム、及び構成部品の他の変形を行うこともできる。
【0150】
RFモジュール(例えば、モジュール1300(
図13))及び可変インピーダンス整合回路網モジュール(例えば、モジュール1200、1240(
図12A、12B))の実施形態を、互いに電気接続し、そして他の構成部品に電気接続して、解凍装置またはシステムを形成することができる。例えば、RF信号の接続は、同軸ケーブルのような接続部(例えば、導体728−3(
図7))を通して、RFコネクタ1338(
図13)とRFコネクタ1238(
図12A)またはRFコネクタ1278(
図12C)との間で行うことができ、制御接続は、多導体ケーブルのような接続部(例えば、導体716(
図7))を通して、コネクタ1316(
図13)とコネクタ1230(
図12A)またはコネクタ1290(
図12B)との間で行うことができる。システムをさらに組み立てるために、ホストシステムまたはユーザ・インタフェースを、コネクタ1380を通してRFモジュール1300に接続することができ、電源を、コネクタ1326を通してRFモジュール1300に接続することができ、電極(例えば、電極740、750(
図7))を出力端子1202−1.1202−2(
図12A)または1242−1、1242−2(
図12B)に接続することができる。もちろん、上述したアセンブリは、種々の支持構造及び他のシステム構成要素にも物理的に接続されて、上記電極は解凍キャビティ(例えば、キャビティ110、360、760(
図1、3、7))の全体にわたって互いに固定的関係に保持され、解凍装置はより大きなシステム(例えば、システム100、200(
図1、2))内に統合することができる。
【0151】
これまでは、解凍システムの電気的及び物理的態様を説明してきたので、以下、こうした解凍システムを動作させる方法を、
図14A,14B、14C、14D、及び15に関連して説明する。より具体的には、
図14Aは、一実施形態による、動的な負荷整合を有する解凍システム(例えば、システム100、210、220、300、700、1100(
図1〜3、7、11))を動作させる方法のフローチャートであり、
図14Bは、一実施形態による、
図14Aのフローチャートのステップのうちの1つ、より具体的には、所望のRF信号パラメータを負荷質量に基づいて決定するステップを実行する方法のフローチャートである。
図14Cは、一実施形態による、所望のRF信号パラメータを負荷質量に基づいて決定する、
図14Bの代案の方法のフローチャートである。
図14Dは、一実施形態による、質量推定値を周期的に(例えば、解凍システムにおいて新たな整合が決定される毎に)改定し、改定した質量推定値に基づいて新たな所望のRF信号パラメータを決定する方法のフローチャートである。
【0152】
まず
図14Aを参照すれば、この方法はブロック1402で開始することができ、システム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))は解凍動作を開始するべきことの指示を受信する。こうした指示は、例えば、ユーザが負荷(例えば、負荷364、764、1164(
図3、7、11))をシステムの解凍キャビティ(例えば、キャビティ360、760、1174(
図3、7、11))内に配置し、(例えば、ドアまたは引き出しを閉じることによって)キャビティを密封し、そして(例えば、ユーザ・インタフェース380、780(
図3、7)の)始動ボタンを押した後に受信することができる。一実施形態では、キャビティの密封は、1つ以上の安全インターロック機構を掛けることができ、こうした安全インターロック機構は、掛けられると、キャビティに供給されるRF電力がキャビティの外部の環境内に実質的に漏洩しないことを示す。後に説明するように、安全インターロック機構を解除することは、システム・コントローラに解凍動作を即座に一時停止または終了させることができる。
【0153】
種々の実施形態によれば、システム・コントローラは任意で、負荷の種類(例えば、肉、液体、または他の材料)、初期の負荷温度、及び/または負荷質量を示す追加的入力を受信することができる。例えば、負荷の種類に関係する情報は、ユーザからユーザ・インタフェースとの相互作用により(例えば、認識されている負荷の種類のリストからユーザが選択することによって)受信することができる。その代わりに、上記システムは、負荷の外側に見えるバーコードを走査するように、あるいは負荷上の、または負荷内に埋め込まれたRFIDデバイスから電子信号を受信するように構成することができる。初期の負荷温度に関する情報は、例えば、システムの1つ以上の温度センサ及び/またはIRセンサ(例えば、センサ390、792、790、1192(
図3、7、11))から受信することができる。初期の負荷温度に関する情報は、ユーザからユーザ・インタフェースとの対話により受信することができ、あるいはシステムの1つ以上の温度センサ及び/またはIRセンサ(例えば、センサ390、790、1192(
図3、7、11))から受信することができる。上記に示したように、負荷の種類、初期の負荷温度、及び/または負荷質量を示す入力の受信は任意であり、システムはその代わりにこれらの入力の一部または全部を受信しないことができる。なお、負荷質量をユーザが入力する実施形態については、ブロック1416に関連して以下に説明する自動的な質量決定方法をスキップすることができ、ユーザが入力した質量を用いて、RF信号源によって供給されるRF信号の1つ以上の所望の信号パラメータを決定することができる。
【0154】
これらのユーザ入力には上限及び下限の閾値を置くことができる。例えば、ユーザが大き過ぎる(例えば、所定閾値を上回る)質量を誤って入力した場合、ユーザ・インタフェース(例えば、制御パネル120、214、224(
図1、2)のユーザ・インタフェース)は、入力が無効であることの指示を提供することができる。その代わりに、システムは、RF電力を上限及び下限閾値の境界内まで低減することができ、及び/または解凍動作の実行時間を低減することができる。
【0155】
ブロック1404では、システム・コントローラが、制御信号を可変整合回路網(例えば、回路網370、400、440、772、800、900、1000、1160(
図3、4A、4B、7〜11))に供給して、可変整合回路網の初期構成または初期状態を確立する。
図4A、4B、5A、5B、及び8〜10に関連して詳細に説明したように、これらの制御信号は、可変整合回路網内の種々のインダクタンス及び/または容量(例えば、インダクタンス410、411、414、811、816、821(
図4A、8)及び容量444、448、1013、1018、1024(
図4B、10))の値に影響を与える。例えば、上記制御信号は、バイパススイッチ(例えば、スイッチ511〜514、551〜554、931〜934、936〜939、941、943(
図5A、5B、9))の状態に影響を与えることができ、これらのバイパススイッチは、システム・コントローラからの制御信号(例えば、制御信号521〜524、561〜564、951〜954、956〜959、961、963(
図5A、5B、9))に応答する。
【0156】
これも前に説明したように、可変整合回路網の第1部分は、RF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))または終段電力増幅器(例えば、電力増幅器325、724(
図3、7))との整合を行うように構成することができ、可変整合回路網の第2部分は、キャビティ(例えば、キャビティ360、760、1174(
図3、7、11))+負荷(例えば、負荷364、764、1164(
図3、7、11))との整合を行うように構成することができる。例えば、
図4Aを参照すれば、第1分路型可変インダクタンス回路網410はRF信号源との整合を行うように構成することができ、第2分路型可変インダクタンス回路網416はキャビティ+負荷との整合を行うように構成することができる。
図4Bを参照すれば、第1可変容量回路網442は、第2可変容量回路網446と合同で、共に、RF信号源とキャビティ+負荷との最適な整合を行うように構成することができる。
【0157】
凍結した負荷との初期の最良の全体的な整合(即ち、最大量のRF電力が負荷によって吸収される整合)は、一般に、整合回路網のキャビティとの整合部分については比較的高いインダクタンスを有し、整合回路網のRF信号源との整合部分については比較的低いインダクタンスを有することが観測されている。例えば、
図15は、キャビティとの整合の最適な設定を、RF信号源との整合の設定に対して、解凍動作全体を通して2つの異なる負荷についてプロットした線図(チャート)であり、トレース1510は(例えば、第1の種類、質量、等を有する)第1負荷に対応し、トレース1520は(例えば、第2の種類、質量、等を有する)第2負荷に対応する。
図15では、(例えば、負荷が凍結している際の)解凍動作の開始時における最適な初期の整合設定を、これら2つの負荷について、それぞれ点1512及び1522で示す。図からわかるように、点1512及び1522は共に、比較的低いRF信号源との整合に比べて、比較的高いキャビティとの設定を示している。
図4Aの実施形態を参照すれば、このことは、可変インダクタンス回路網416にとっては比較的高いインダクタンスに読み替えられ、可変インダクタンス回路網410にとっては比較的低いインダクタンスに読み替えられる。
図8の実施形態を参照すれば、このことは、可変インダクタンス回路網811及び816にとっては比較的高いインダクタンスに読み替えられ、可変インダクタンス整合回路網821にとっては比較的低いインダクタンスに読み替えられる。
【0158】
一実施形態によれば、ブロック1410で可変整合回路網の初期の構成または状態を確立するために、システム・コントローラは、第1及び第2可変インダクタンス回路網(例えば、回路網410、411(
図4A))に制御信号を送信して、RF信号源との整合用の可変インダクタンス回路網(例えば、回路網410)に比較的低いインダクタンスを持たせ、キャビティとの整合用の可変インダクタンス整合回路網(例えば、回路網411)には比較的高いインダクタンスを持たせる。システム・コントローラは、どれほど低い、あるいはどれほど高いインダクタンスを設定するかを、システム・コントローラにとって先験的に既知の、負荷の種類/質量/温度の情報に基づいて決定する。先験的な負荷の種類/質量/温度の情報がシステム・コントローラにとって利用可能でない場合、システム・コントローラは、比較的低いデフォルトのインダクタンスをRF信号源との整合用に選択し、比較的高いデフォルトのインダクタンスをキャビティとの整合用に選択することができる。
【0159】
しかし、システム・コントローラが、負荷の特性に関する先験的情報を確かに有するものと仮定すれば、システム・コントローラは、初期の構成を、最適な初期の整合点の付近に確立しようとすることができる。例えば、再び
図15を参照すれば、第1の種類の負荷にとって最適な初期の整合点1512は、(例えば、回路網411(
図4A)または811/816(
図8)によって実現される)回路網における最大値の約80パーセントの、キャビティとの整合を有し、(例えば、回路網410または821(
図4A,8)によって実現される)回路網における最大値の約10パーセントの、RF信号源との整合を有する。可変インダクタンス回路網の各々が、例えば
図5の回路網500と同様な構造を有するものと仮定し、上記の表1中の状態に当てはまるものと仮定すれば、第1の種類の負荷については、システム・コントローラが可変インダクタンス回路網を初期化して、キャビティとの整合回路網(例えば、回路網411または811/816)が状態12(即ち、回路網411または811/816の最大可能なインダクタンスの約80パーセント)を有し、RF信号源との整合回路網(例えば、回路網410または821)が状態2(即ち、回路網410の最大可能なインダクタンスの約10パーセント)を有するようにすることができる。逆に、第2の種類の負荷にとって最適な初期の整合点1522は、(例えば、回路網411または811/816によって実現される)回路網における最大値の約40パーセントの、キャビティとの整合を有し、(例えば、回路網410または821によって実現される)回路網における最大値の約10パーセントの、RF信号源との整合を有する。従って、第2の種類の負荷については、システム・コントローラが可変インダクタンス回路網を初期化して、キャビティとの整合回路網(例えば、回路網411または811/816)が状態6(即ち、回路網411または811/816の最大可能なインダクタンスの約40パーセント)を有し、RF信号源との整合回路網(例えば、回路網410または821)が状態2(即ち、回路網410または821の最大可能なインダクタンスの約10パーセント)を有するようにすることができる。一般に、解凍動作中には、RF信号源との整合回路網のインピーダンス値の調整と、キャビティとの整合回路網のインピーダンス値の調整とは、逆の方法で行われる。換言すれば、RF信号源との整合回路網のインピーダンス値が減少する際には、キャビティとの整合回路網のインピーダンス値が増加し、その逆も成り立つ。本明細書中には詳細に説明していないが、同様な調整プロセスを実行して、可変容量回路網の実施形態(例えば、回路網440(
図4B)及び1000(
図10))によって行われる整合を制御することができる。
【0160】
図14Aを参照すれば、一旦、可変整合回路網の構成を確立すると、システム・コントローラは、ブロック1410で、適切である際に、可変インピーダンス整合回路網の構成を調整するプロセスを実行して、整合の品質を示す実際の測定値に基づいて、許容可能な、あるいは最良の整合を見出す。それに加えて、ブロック1410では、システム・コントローラが負荷の質量を推定することができ、あるいは以前に決定した負荷の質量推定値を(例えば、S11パラメータまたはVSWRの変化率に基づいて、あるいは、可変インピーダンス整合回路網の再構成による整合の決定が2回連続する間の経過時間に基づいて)改定することができる。これらのS11パラメータ及びVSWRを総称して「RF信号比」と称することができる、というのは、S11パラメータはRF信号源とキャビティとの間で測定した反射電力と順方向電力との比率であり、VSWRはRF信号の最大電圧の大きさとRF信号の最小電圧の大きさとの比率であるからである。
【0161】
負荷の質量に基づいて、システム・コントローラは、RF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))によって供給されるRF信号のパラメータの集合用の特定の値を決定することもできる。システム・コントローラが、推定した負荷質量に基づいて決定するこうしたRF信号パラメータの集合を、以下ではRF信号の「所望の信号パラメータ」の集合と称し、所望の信号パラメータの集合で生成されるRF信号を、以下では「質量推定値に基づくRF信号」と称する。所望の信号パラメータは、解凍動作中に、推定した負荷質量が改定されると共に、1回以上更新することができる。
【0162】
図14Bに、一実施形態によるタスク1410−1を示し、タスク1410−1は
図14Aに示すブロック1410で実行することができる。ブロック1411では、システム・コントローラが、RF信号源に、比較的低電力のRF信号を、可変インピーダンス整合回路網を通して電極(例えば、第1電極340または両電極740、750、1170(
図3、7、11))に供給させる。システム・コントローラは、電源兼バイアス回路(例えば、回路326、726(
図3、7))への制御信号によりRF信号電力レベルを制御することができ、これらの制御信号は、電源兼バイアス回路に、所望の信号電力レベルに合った電源兼バイアス電圧を増幅器(例えば、増幅段324、325、7224(
図3、7))に供給させる。例えば、上記比較的低電力のRF信号は、約10W〜約20Wの範囲内の電力レベルを有する信号とすることができるが、異なる電力レベルを代わりに用いることができる。ブロック1411中に比較的低い電力レベルの信号を供給することは、(例えば、初期の整合が高い反射電力を生じさせる場合に)キャビティ及び/または負荷を損傷させる恐れを低減するために、そして(例えば、スイッチ接点間のアーク放電により)可変インダクタンスまたは可変容量回路網のスイッチング構成部品を損傷させる恐れを低減するために望ましいことがある。
【0163】
次に、ブロック1412では、「評価時刻」において、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730,1180(
図3、7、11))が、RF信号源と電極との間の伝送経路(例えば、経路328、728、1148(
図3、7、11))に沿った反射電力及び(一部の実施形態では)順方向電力を測定して、これらの測定値をシステム・コントローラに提供する。次に、システム・コントローラは、反射信号電力と順方向信号電力との比率を決定することができ、そしてこの比率に基づいて、システムの(例えば、リターンロスに対応する)S11パラメータ及び/またはVSWRを決定することができる。一実施形態では、システム・コントローラが、受信した電力測定値(例えば、受信した反射電力測定値、受信した順方向電力測定値、あるいはその両方)、及び/または上記計算した比率、及び/またはS11パラメータ、及び/またはVSWRを、将来の評価または比較用に記憶することができる。
【0164】
ブロック1413では、システム・コントローラが、反射電力測定値、及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/またはS11パラメータ、及び/またはVSWRに基づいて、可変インピーダンス整合回路網が評価時刻に行った整合が許容可能であるか否か(例えば、反射電力が閾値未満であるか否か、または反射信号電力対順方向信号電力の比率が10パーセント以下(または他の何らかの閾値未満)であるか否か、あるいはこれらの測定値または値が他の何らかの基準と好都合に同等であるか否か)を判定することができる。その代わりに、システム・コントローラは、この整合が「最良の」整合であるか否かを判定するように構成することができる。「最良の」整合は、例えば、あり得るすべてのインピーダンス整合回路網の構成について(あるいは、インピーダンス整合回路網の構成の少なくとも所定の部分集合について)反射RF電力(及び一部の実施形態では順方向RF電力)を反復的に測定して、最低の反射RF電力及び/または最低の反射電力対順方向電力の比率を生じさせる構成を特定することによって判定することができる。一部の実施形態では、バイナリサーチ・アルゴリズムまたはリージョナルサーチ・アルゴリズムを代わりに用いて、最低の反射RF電力及び/または最低の反射電力対順方向電力の比率を生じさせる「最良の整合」の構成を識別することができ、このことは最良の整合の構成を見出すために必要な時間長を低減することができる。
【0165】
整合が許容可能でないか最良の整合でないことをシステム・コントローラが判定すると、システム・コントローラは、ブロック1414で、可変インピーダンス整合回路網を再構成することによって整合を調整することができる。例えば、この再構成は、可変インピーダンス整合回路網に制御信号を送信することによって実現することができ、この制御信号は、この回路網に(例えば、可変インダクタンス回路網410、411、415、811、816、821(
図4A、8)または可変容量回路網422、444、446、448、1011、1013、1016、1018、1021、1024(
図4B、10)に異なるインダクタンス状態または静電容量状態を持たせることによって、あるいはインダクタ501〜504、911〜914、916〜919、921、923(
図5A、9)またはコンデンサ541〜544(
図5B)を回路内に組み入れ、回路から切り離す切り換えを行うことによって)当該回路網内の可変インダクタンス及び/または可変容量を増加及び/または減少させる。可変インピーダンス整合回路網内の可変インダクタンス回路網のその時点で最新のインダクタンス値または状態(例えば、インダクタ410、411、415、811、816、821(
図4A、8)のインダクタンス値)、あるいは可変容量回路網のその時点で最新の静電容量値または状態(例えば、コンデンサ442、444、446、448、1011、1013、1016、1018、1021、1024(
図4B、10)の静電容量値)を、システム・コントローラのメモリに記憶することができる。可変インダクタ及び可変コンデンサの各々について、特定の評価時刻に関連するインダクタンス値及び静電容量値を、本明細書中では「現在の可変構成部品値」と称することがあり、特定の評価時刻における可変インダクタンス回路網または可変容量回路網内の1つ以上の可変構成部品における現在の可変構成部品値の集合を、本明細書中では「現在の可変構成部品値の集合」と称することがある。可変インピーダンス回路網を再構成(または調整)した後に、ブロック1413で許容可能な、あるいは最良の整合を決定するまで、ブロック1411、1412、及び1413を反復的に実行することができる。
【0166】
可変インピーダンス回路網が、(例えば、反射電力、反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/またはS11パラメータ、及び/またはVSWRが対応する閾値未満であることによって示されるような)許容可能な、あるいは最良の整合が実現される状態に構成されると、現在の可変構成部品値の集合は、可変インピーダンス整合回路網内の1つ以上の構成部品のその時点で最新の値を含む。例えば、
図4Aまたは8の可変インダクタンス整合回路網400または800については、現在の可変構成部品値の集合は、評価時刻における可変インダクタンス410、411、811、816、及び821のインダクタンス値(本明細書中では「現在の可変インダクタンス値」と称する)を含むことができ、例えば、
図4Bまたは10の可変容量整合回路網440または1000については、現在の可変構成部品値の集合は、評価時刻における可変容量442または444、446または448、1011または1013、1016または1018、及び1021または1024の静電容量値(本明細書中では「現在の可変容量値」と称する)を含むことができる。一実施形態によれば、次に、現在の可変構成部品値の集合を用いて、負荷の質量を、以下に説明するように1つ以上のルックアップテーブル(LUT)を用いて推定することができる。一部の実施形態では、こうした質量の推定を、解凍動作中に1回だけ実行することができる。その代わりに、質量推定プロセスは2回以上実行することができる。
【0167】
一旦、許容可能な、あるいは最良の整合をブロック1413で決定すると、システム・コントローラは、ブロック1415で、ブロック1413で決定した整合が、現在の解凍動作中に行われた最初の整合に相当する「初期の整合」であったか否かを判定することができる。例えば、解凍動作の初期の整合を判定すると、ブロック1413で「初期フラグ」をメモリ内にアサート(またはセット)することができ、システム・コントローラは、ブロック1415で初期フラグの状態をチェックすることができる。初期フラグがアサートされていれば、システム・コントローラはブロック1416に進んで初期フラグをデアサート(例えば、クリア)する。初期フラグがアサートされていなければ、改定した質量推定値を1回だけ決定する実施形態については、システム・コントローラはブロック1419に進み、あるいは、解凍プロセス全体を通して改定した質量推定値を周期的に決定する実施形態については、システム・コントローラは経路(パス)を通ってブロック1430に直接進む。
【0168】
決定したばかりの整合が初期の整合であることをシステム・コントローラがブロック1415で判定した場合、ブロック1416では、可変インダクタンス回路網内の可変構成部品の一部または全部の現在の可変構成部品値を、1つ以上のLUT内のエントリと比較して、キャビティ内の負荷の質量を推定することができ、このLUTは、システム・コントローラのメモリ、及び/または、システム・コントローラが他の方法でアクセス可能なメモリに記憶することができる。一部の実施形態では、初期の整合のS11パラメータ値(本明細書中では時として「初期のS11パラメータ値」と称する)を、代わりに、負荷の質量を推定するための根拠として、1つ以上のLUT内のエントリと比較することができる。例えば、LUTが複数のエントリを含むことができ、各エントリは、可変構成部品毎のフィールド、初期の整合におけるS11パラメータ用のフィールド、関連する負荷質量用のフィールド、及び/または関連する負荷温度用のフィールドを含む。なお、(例えば、ユーザ・インタフェースを通して受信した入力により、あるいは、キャビティ内の温度センサにより)負荷の初期温度を知ることは、システム・コントローラが負荷の質量をより正確に知ることを可能にすることができるが、負荷の初期温度が提供されないか検出可能でない際には、システムは、負荷がデフォルトの初期温度(例えば、−20℃または他の何らかの温度)であるものと自動的に仮定することができる。
【0169】
LUTの構成(例えば)、各LUTエントリ内のフィールドは、少なくとも部分的に、システム内で利用される可変インピーダンス整合回路網の構成、及び可変インピーダンス整合回路網内に含まれる可変構成部品の数に依存する。例えば、
図16は、
図8の可変インダクタンス回路網800に関連するLUT1600の一部分の説明的な例であり、可変インダクタンス回路網800は3つの可変インダクタンス821、811、816を含み、以下ではそれぞれ「L1」、「L2」、及び「L3」と称する。一部の実施形態では、インダクタンス811が、インダクタンス821の値にかかわらずインダクタンス816と同じ値を有することができる。LUT1600は、複数の列1602、1604、1606、1608、1610、1612、1614、1616、1618、及び複数の行またはエントリ1622、1624、1626、1628、1630、1632を含み、
図16Aにはこれらの行/エントリの部分集合のみを例示する。LUT1600内に記憶されているインダクタンス値L1、L2、及びL3は「記憶インダクタンス値」と称することがあり、LUT1600の所定行については、当該行内のインダクタンス値L1、L2、及びL3を記憶インダクタンス値の「部分集合」と称することがある。本明細書中では、各列と各行との交点をLUT1600の「セル」と称する。
【0170】
本例では、任意である列1602内のセルが、システムのキャビティの内容物(本例では「空」または「牛のひき肉」)の種々の特性化を含む。列1604内のセルは、第1可変インダクタンス回路網(例えば、可変インダクタンス821(
図8))用の記憶インダクタンス値L1を含む。列1606内のセルは、第2可変インダクタンス回路網(例えば、可変インダクタンス811(
図8))用の記憶インダクタンス値L2を含む。列1608内のセルは、第3可変インダクタンス回路網(例えば、可変インダクタンス816(
図8))用の記憶インダクタンス値L3を含む。インダクタンス811の値がインダクタンス816の値と同じである実施形態については、列1606と1608とを組み合わせて単一の列にしてテーブルを簡略化することができる、というのは、列1606内のインダクタンス値は列1608内のインダクタンス値と同じであるからである。なお、列1604内に示すインダクタンス値L1は50nHに正規化されているのに対し、それぞれ列1606及び1608内に示すインダクタンス値L2及びL3は100nHに正規化されている。一実施形態では、記憶インダクタンス値を正規化しないことができ、あるいは記憶インダクタンス値を他の値に正規化することができる。
【0171】
LUT1600の列1610のセルは、システムにおける記憶S11パラメータ値を含み、デシベル(dB)単位で示され、システムにおける初期の整合の判定時の入力リターンロスを表し、この入力リターンロスはRF信号源とキャビティとのインピーダンス整合の品質によって影響を与えられ得る。この品質は負荷の質量によって影響を与えられる。一部の実施形態では、システムのキャビティ内の負荷の質量を推定するに当たり、これらのS11パラメータを、L1、L2、及びL3の値の代わりに、あるいはこれらの値と組み合わせて用いる。
【0172】
列1612内のセルは、キャビティの内容物のグラム(g)単位の重量を含むことができる。図に示すように、(温度及び負荷の種類は一定であるものと仮定すれば)負荷の質量が増加するに連れてS11パラメータ値は減少し、より大きな負荷に対してより良好なインピーダンス整合を実現することができることを示している。列1614内のセルは、キャビティの内容物(例えば、負荷の内容物)の摂氏温度(℃)単位の温度を含むことができる。
【0173】
列1616内のセルは、負荷の質量、及びRF電力を負荷に供給する時間長に基づく、負荷に供給されるRF電力の種々の異なるレベルを含むことができる。図に示すように、負荷に供給されるRF電力の量は、負荷の質量が増加するに連れて、図示する300Wの最大閾値まで増加する。RF電力の最大閾値は解凍システムの動作パラメータに応じて変化させることができることは明らかである。
【0174】
列1618内のセルは、負荷の質量、及び負荷に供給されるRF電力の量に基づく、RF電力を負荷に供給することができる種々の異なる時間長を含むことができる。図に示すように、供給されるRF電力が行1628、1630、及び1632内の最大閾値に達した際でも、RF電力を負荷に供給する時間長を増加させることによって、より大きな質量を有する負荷を解凍することができる。
【0175】
行1622内のセルは空のキャビティに対応する。行1624内のセルは、−20℃の200gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1626内のセルは、−20℃の500gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1628内のセルは、−20℃の1000gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1630内のセルは、−20℃の1500gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1632内のセルは、−20℃の2000gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。
【0176】
一実施形態によれば、LUT1600はシステム・コントローラにアクセス可能なメモリに記憶されている。システム・コントローラは、可変インピーダンス整合回路網内の可変インダクタンス回路網の現在のインダクタンス値(例えば、現在のインダクタンス値は、
図14Bのブロック1414においてシステム・コントローラのメモリに記憶されているインダクタンス値に相当する)を、LUTの列1604、1606、及び1608内の対応するインダクタンス値と比較するか相関をとって、負荷の質量を推定することができる。
【0177】
他の例として、
図16Bは、
図10の可変容量回路網1000に関連するLUT1700の一部分の説明的な例を示し、可変容量回路網1000は3つの可変コンデンサ1011、1016、1023を含み、以下ではそれぞれ「C1」、「C2」、及び「C3」と称する。一部の実施形態では、静電容量1011が、静電容量1023の値にかかわらず静電容量1016と同じ値を有することができる。LUT1700は複数の列1702、1704、1706、1708、1710、1712、1714、1716、1718、及び複数の行またはエントリ1722、1724、1726、1728、1730、1732を含み、
図16Bにはこれらの行/エントリの部分集合のみを例示する。LUT1700内に記憶されている静電容量値C1、C2、及びC3は「記憶静電容量値」と称することがあり、LUT1700の所定行については、当該行内の静電容量値C1、C2、及びC3を記憶静電容量値の「部分集合」と称することがある。本明細書中では、各列と各行との交点をLUT1700の「セル」と称する。
【0178】
本例では、任意である列1702内のセルが、システムのキャビティの内容物(本例では「空」または「牛のひき肉」)の種々の特性化を含む。列1704内のセルは、第1可変容量回路網(例えば、可変静電容量1011(
図10))用の記憶静電容量値C1を含む。列1706内のセルは、第2可変容量回路網(例えば、可変静電容量1016(
図10))用の記憶静電容量値C2を含む。静電容量1011の値が静電容量1016の値と同じである実施形態については、列1704と1706とを組み合わせて単一の列にしてテーブルを簡略化することができる、というのは、列1704内の静電容量値は列1706内の静電容量値と同じであるからである。列1708内のセルは、第3可変容量回路網(例えば、可変静電容量1023(
図8))用の記憶静電容量値C3を含む。なお、それぞれ列1704及び1706内に示す静電容量値C1及びC2は200nFに正規化されているのに対し、列1708内に示す静電容量値C3は500nFに正規化されている。他の実施形態では、記憶静電容量値を正規化しないことができ、あるいは記憶静電容量値を他の値に正規化することができる。
【0179】
LUT1700の列1710は、システムにおける記憶S11パラメータ値を含み、デシベル(dB)単位で示され、システムにおける初期の整合の判定時の入力リターンロスを表し、この入力リターンロスはRF信号源とキャビティとの間のインピーダンス整合の品質によって影響を与えられ得る。この品質は負荷の質量によって影響を与えられる。一部の実施形態では、システムのキャビティ内の負荷の質量を推定するに当たり、これらのS11パラメータを、C1、C2、及びC3の値の代わりに、あるいはこれらの値と組み合わせて用いる。
【0180】
列1712内のセルは、キャビティの内容物のグラム(g)単位の重量を含むことができる。図に示すように、(同じ初期の温度及び負荷の種類については)負荷の質量が増加するに連れてS11パラメータ値は減少し、より大きな負荷に対してより良好なインピーダンス整合を実現することができることを示している。列1714内のセルは、キャビティの内容物(例えば、負荷の内容物)の摂氏温度(℃)単位の温度を含むことができる。
【0181】
列1716内のセルは、負荷の質量、及びRF電力を負荷に供給する時間長に基づく、負荷に供給されるRF電力の種々の異なるレベルを含むことができる。図に示すように、負荷に供給されるRF電力の量は、負荷の質量が増加するに連れて、図示する300Wの最大閾値まで増加する。RF電力の最大閾値は解凍システムの動作パラメータに応じて変化させることができることは明らかである。
【0182】
列1718内のセルは、負荷の質量、及び負荷に供給されるRF電力の量に基づく、RF電力を負荷に供給することができる種々の異なる時間長を含むことができる。図に示すように、供給されるRF電力が行1728、1730、及び1732内の最大閾値に達した際でも、RF電力を負荷に供給する時間長を増加させることによって、より大きな質量を有する負荷を解凍することができる。
【0183】
行1722内のセルは空のキャビティに対応する。行1724内のセルは、−20℃の200gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1726内のセルは、−20℃の500gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1728内のセルは、−20℃の1000gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1730内のセルは、−20℃の1500gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。行1732内のセルは、−20℃の2000gの牛のひき肉を含むキャビティに対応する。
【0184】
一実施形態によれば、LUT1700はシステム・コントローラにアクセス可能なメモリに記憶されている。システム・コントローラは、可変インピーダンス整合回路網内の可変容量回路網の現在の静電容量値(例えば、現在の静電容量値は、
図14Bのブロック1414においてシステム・コントローラのメモリに記憶されている静電容量値に相当する)を、LUTの列1704、1706、及び1708内の対応する静電容量値と比較して、負荷の質量を推定することができる。
【0185】
図16A及び16Bに関連して説明した可変インダクタンス回路網及び可変容量回路網は例示的であり限定的ではないことを意図していることは明らかである。他の可変インピーダンス回路網(例えば、回路網400、440、500、540(
図4A、4B、5A、及び5B)のような不平衡(例えば、シングルエンド)システム用の可変インピーダンス回路網、異なるように構成された可変インダクタンス回路網、異なるように構成された可変容量回路網、及び可変インダクタ及び可変コンデンサを共に含む回路網を含む)をシステム内で代わりに用いることができ、これらの回路網の可変構成部品値を、システム・コントローラのメモリに記憶されている、異なるように構成された1つ以上のLUTのエントリに入れることができる。なお、それに加えて、「可変回路網」は、固定構成部品を可変構成部品と共に含むことができ、可変または固定抵抗器を含むことができる。なお、さらに、「可変コンデンサ」または「可変インダクタ」は、入力ノードと出力ノードとの間の静電容量またはインダクタンスを可変にするスイッチング素子(例えば、
図5A、5B、及び9に反映させたトランジスタまたは機械式リレー)を含むことができる。追加的なスイッチング素子を含めることができ、これらのスイッチング素子は、受動構成部品の一部または全部を切り替えにより可変インピーダンス回路網内に含めること、あるいは可変インピーダンス回路網から切り離すことができる。その代わりに、こうした可変構成部品は、(例えば、インダクタ・コイル上の異なる位置に入れ込むことによって、あるいは、コンデンサの極板をより近くに、またはより遠く離れるように移動させることによって)それ自体を修正可能にして可変値を提供することができる。
【0186】
(例えば、ブロック1413で決定した)許容可能な/最良の整合に対応する現在の可変構成部品値の集合の知識を与えられると、システム・コントローラは、現在の構成部品値の集合内の1つ以上の可変構成部品値の各々を、システム・コントローラのメモリに記憶されているLUT内にリストアップされた各エントリ(例えば、行)と比較するか相関をとることができる。例えば、
図16A中のLUTの例1600を再び参照すれば、インダクタンス値L1(例えば、インダクタンス821(
図8))の現在の可変構成部品値を、列1604内の対応するL1の記憶値と比較して、インダクタL1の現在の可変構成部品値とL1の各記憶値との差を決定することができる。同様に、インダクタL2の現在の可変を、列1606内の対応するL2の記憶値と比較して、インダクタL2の現在の可変構成部品値とL2の各記憶値との差を決定することができる、等である。この比較プロセスに関連して、現在の可変構成部品値を正規化することができる(LUT1600内の対応する記憶値も正規化されているものと仮定する)。
【0187】
この比較プロセスに基づいて、コントローラは、LUTのどのエントリが、現在の可変構成部品値と最も密接な相関がある記憶可変構成部品値を有する最良の整合(例えば、同一の整合または最も近い整合)に相当するかを特定することができる。本明細書中では、「最良の整合」に相当する行またはエントリを「相関エントリ(相関があるエントリ)」と称する。最良の整合を判定することの実現例は、可変インピーダンス整合回路網のインピーダンス値を反復的に調整すること、及び各反復回に低いRF電力が供給される間にS11パラメータ値を測定して実現可能な最低のS11パラメータ値を識別することを含む。従って、実現可能な最低のS11パラメータ値に対応する可変インピーダンス整合回路網の構成を、解凍システムによって(例えば、システム・コントローラによって)最良の整合を提供するものとして識別する。
【0188】
最良の整合を識別する代案の方法を代わりに適用することができ、この方法は、可変インピーダンス整合回路網のすべての可能な構成をテストするのではなく、現在の構成の所定範囲内の構成のみをテストする。一部の方法は、どの可変インピーダンス整合回路網の構成をテストするかを、解凍システムのメモリに記憶されている(例えば、以前に実行した解凍/加熱動作中に収集した)履歴的構成データに基づいて予測することができる。一部の実施形態では、最良の整合を、供給したRFエネルギーの所定閾値以上のパーセント比率(例えば、95%〜99%)が負荷によって吸収されることを可能にするものと判定されたあらゆるインピーダンス整合回路網の構成として識別することができる。
【0189】
一部の実施形態では、相関エントリの判定の精度を、負荷の初期温度をLUT(例えば、LUT1600の列1614)中にリストアップされた記憶温度値と比較することによって増強することができる。こうした実施形態では、コントローラは、LUTのどのエントリが相関エントリであるかを、現在の可変構成部品値と記憶可変構成部品値との比較だけでなく、負荷の初期温度と記憶温度値との比較にも基づいて特定することができる。さもなければ、システム・コントローラは、負荷の初期温度を、デフォルト温度(例えば、−20℃または他の何らかの値)であるものと仮定することができる。例えば、コントローラは、現在の可変構成部品値及び/またはS11パラメータと最も密接な相関がある記憶可変構成部品値及び/またはS11パラメータ値を有し、かつ初期温度値と最も密接な相関がある記憶温度値を有するエントリが相関エントリであるものと判定することができる。次に、システム・コントローラは、負荷の質量をLUTの相関エントリ内に含まれる質量として推定することができる。
【0190】
一部の実施形態では、LUT内の複数のエントリが同一の記憶可変構成部品値を有するが、異なる記憶温度値及び/または記憶負荷種類指定子(記憶されている負荷の種類の指定子)を有することができる。従って、上述したプロセスでは複数の相関エントリを特定することができ、これら複数の相関エントリは同一の記憶構成部品値を有するが異なる温度及び/または負荷の種類を有する。こうした実施形態では、ユーザ提供の、あるいは検出した負荷の温度、及びユーザ提供の、あるいは検出した負荷の種類(例えば、本例では摂氏−20度の牛のひき肉)が与えられると、複数の相関エントリのうちの1つを最終の相関エントリ(例えば、ユーザ提供の、あるいは検出した負荷の種類または温度と最も近い値で一致する記憶質量または記憶温度値を有する相関エントリ)として選択することができる。相関エントリを特定した後に、負荷の質量を相関エントリの列1612内にリストアップされた質量値として(例えば、システム・コントローラによって)推定することができる。ここでも、一実施形態では、相関エントリが、列1604、1606、及び1608内に記憶されている対応するインダクタンス値L1、L2、及びL3の部分集合が現在の可変構成部品値(例えば、より具体的には、可変インピーダンス整合回路網の可変インダクタンス回路網の現在のインダクタンス値)の集合と最も近い値で一致するか密接な相関があるエントリである。
【0191】
要約すれば、許容可能な/最良の整合に対応する構成部品値の集合(例えば、ブロック1413において決定した現在の構成部品値)の知識が与えられると、システム・コントローラは、現在の構成部品値の集合を、システム・コントローラのメモリに記憶されているLUT中にリストアップされた構成部品値と比較し、次に、LUTのどのエントリ/行が最良の整合(例えば、同一の整合または最も近い整合)に相当するかを特定することができる。
【0192】
前に示したように、現在のインダクタンス値(例えば、可変インダクタンス回路網の現在のL1、L2、及びL3の値)がLUT1600のあるエントリ内のインダクタンス値のいずれの部分集合とも正確に一致しない例が存在し得る。こうした例では、システム・コントローラは、2つ(または複数)の相関エントリを識別することができ、そしてこれら2つ(または複数)の相関エントリ内の対応する2つ(または複数)の質量値を、(例えば、線形補間を用いて)温度値間を補間し、数学的に平均し、さもなければ数学的に操作して、初期の推定質量値を決定することができる。
【0193】
例えば、LUT1600中に示す記憶値の例を参照すれば、現在のインダクタンス値L1、L2、及びL3が、それぞれ1.3、2.55、及び2.55である際に、システム・コントローラは、エントリ1626及び1628を可能性のある相関エントリとして識別することができ、そして(列1612内の)2つの質量値500及び1000を補間することができる、というのは、エントリ1626及び1628は、LUT1600中の記憶インダクタンス値L1、L2、及びL3のうち最も近い値で一致する部分集合に対応するからである。上記補間がこれら2つの値の平均値に相当するものと仮定すれば、このことは、負荷の質量が750グラムであるという推定値を生じさせる。
【0194】
LUT1600中の本例の値は−20℃の牛のひき肉に対応するが、このことは例示的であり限定的ではないことを意図している。変動する質量、温度、及び種類の負荷に対応するデータを含む他のLUTをシステム・コントローラのメモリに記憶することができることは明らかである。所定のLUTは、例えば、種々の質量、温度、及び種類の負荷をテストし、対応する可変構成部品値(例えば、インダクタンス値L1、L2、及びL3)及びS11パラメータを収集してLUT中に記憶して、事前に特性化することができる。S11パラメータは
図16A及び16Bに関連して負荷の推定質量を決定するための根拠であるものとして説明しているが、RF信号のVSWRまたは反射電力のような他のRF信号パラメータを、代わりに、あるいは追加的に、LUT1600またはLUT1700に含めて負荷の推定質量を決定するための根拠として用いることができることは明らかである。
【0195】
図14Bを参照すれば、一旦、システム・コントローラがキャビティ内の負荷の初期の質量推定値を決定すると、システム・コントローラは、ブロック1417で、キャビティ内で負荷を所望温度まで加温するために必要なエネルギーの量(本明細書中では時として初期のエネルギー推定値と称する)を、初期の質量推定値と、(例えば、ブロック1402で入力として与えた、あるいはキャビティ内の温度センサにより測定した)既知の負荷の温度、または仮定した負荷の温度(例えば、約−20℃または他の何らかの温度のような、システム・コントローラのメモリに記憶されているデフォルトの開始温度)との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適用可能な式)を用いて、あるいは式1(または他の適用可能な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)推定することができる。
【0196】
RF信号源によって供給されるRF信号は複数の信号パラメータによって特性化することができる。例えば、RF信号パラメータは、周波数、振幅、及び電力レベルを含むことができるが、これらに限定されず、これらのパラメータの各々は所定時刻に特定値を有する。ブロック1418では、システム・コントローラが、RF信号源によって生成されるRF信号用の1つ以上の「所望の信号パラメータ」を、(例えば、システムのメモリに記憶されているLUTによる)初期のエネルギー推定値に基づいて決定することができる。例えば、これらの所望の信号パラメータは、RF信号の所望の周波数、所望の振幅、及び所望の電力レベル(例えば、所望のRF電力レベル)を含むことができるが、これらに限定されない。所望の信号パラメータは、初期のエネルギー推定値に基づいて決定することができ、初期のエネルギー推定値は負荷の初期の質量推定値に基づいて決定されるので、本明細書中に用いる「初期の質量推定値に基づくRF信号」は、初期の整合の直後の、かつその後の整合の前の1つ以上の所望のRF信号パラメータによって特性化されるRF信号を参照する。システム・コントローラは、初期の推定量のエネルギーを負荷に伝達するために、初期の質量推定に基づくRF信号を供給する必要のある時間長をさらに決定することができる。
【0197】
システム、コントローラが、初期の質量推定値の決定後に、改定した質量推定値を1回だけ決定する実施形態では、ブロック1419を実行する。(例えば、複数の改定した質量推定値を周期的に、及び/または解凍動作全体を通して複数回決定する)他の実施形態については、ブロック1419を迂回(バイパス)することができ、システム・コントローラは経路(パス)1435を通ってブロック1430に直接進むことができる。
【0198】
ブロック1419では、システム・コントローラが、ブロック1413で判定した整合が、現在の解凍動作中に行われた初期でない整合に相当する「次の整合」であったか否かを判定することができる。例えば、ブロック1413では、解凍動作の「次の整合」が判定されると、「2回目フラグ」をメモリ内にアサート(例えば、セット)することができ、システム・コントローラはブロック1419で2回目フラグの状態をチェックすることができる。2回目フラグがアサートされていれば、システム・コントローラはブロック1430に進んで2回目フラグをデアサート(例えば、クリア)する。さもなければ、2回目フラグがアサートされていなければ、システム・コントローラは、ブロック1410における前回の反復において改定した質量推定値が既に決定されていることを識別し、ブロック1430、1432、及び1434をバイパスしてブロック1420に進むことができる。
【0199】
一般に、負荷を包含するキャビティのインピーダンスが解凍動作中に(例えば、負荷の温度が増加するに連れて)変化する速度と負荷の質量との間には負の相関が存在する。例えば、より小さい質量を有する負荷のインピーダンスは、RFエネルギーが負荷に供給され(て、例えば負荷を加熱す)る間に、より大きい質量を有して同量のRFエネルギーを供給される負荷のインピーダンス変化率に比べて、より急速に変化し得る。負荷のインピーダンスの変化は、キャビティとRF信号源とのインピーダンス整合の品質の変化に反映され、インピーダンス整合の品質の変化は、例えばS11パラメータまたはVSWRの変化率と相関がある。従って、解凍動作中にS11パラメータの変化率またはVSWRの変化率を監視することによって、負荷の質量を決定することができる。S11パラメータ及び/またはVSWRの変化率は、解凍プロセスの着手時には未知であるので、負荷の初期の質量推定値は(例えば、ブロック1416で)代わりの方法を用いて作成することができ、次に、S11パラメータの変化率またはVSWRの変化率に基づいて改定することができる。
【0200】
ブロック1430では、改定した質量推定値を、初期の質量推定値、及び(例えば、ブロック1420で監視した)RF信号源とキャビティにある電極との間のS11パラメータまたはVSWRのようなシステム・パラメータの変化率に基づいて決定する。例えば、改定した質量推定値は、S11パラメータの変化率またはVSWRの変化率及び供給されるRF電力レベルを、システム・コントローラにとってアクセス可能なメモリに記憶されているLUTのエントリと比較することによって決定することができる。このLUTは、記憶している負荷質量値の集合、記憶しているRF電力レベルの集合、及び記憶しているS11及び/またはVSWRの変化率の集合(時として記憶しているパラメータ変化率と称する)を含むことができ、これらのすべてが複数の相関エントリの形に編成されている。一実施形態によれば、これらの相関エントリにおける各エントリは、記憶している負荷質量値、記憶しているRF電力レベル(例えば、負荷に供給されているRFエネルギーの量)、及び(例えば、記憶しているRF電力レベルを、記憶している負荷質量値に対応する負荷に供給した際に観測された)記憶しているS11及び/またはVSWRの変化率を含むことができる。システム・コントローラは、LUTを検索して、解凍システムにおいて測定したS11パラメータまたはVSWRの変化率、及び負荷を包含するキャビティにある電極に供給されているRF信号のRF電力レベルに対応する(あるいは最も近い対応関係にある)エントリを識別することができる。識別したエントリが、初期の質量推定値(あるいは、一部の実施形態によれば、直近に作成した質量推定値)と一致しない、記憶している負荷質量値を含む場合、システム・コントローラは、識別したエントリ中にリストアップされている負荷質量に等しい改定した質量推定値を決定することができる。
【0201】
一旦、システム・コントローラがキャビティ内の負荷の改定した質量推定値を決定すると、システム・コントローラは、ブロック1432で、キャビティ内で負荷を所望温度まで加温するために必要なエネルギーの量を、改定した質量推定値と、(例えば、ブロック1402で入力として与えた、あるいはキャビティ内の温度センサにより測定した)既知の負荷の温度、または仮定した負荷の温度(例えば、約−20℃または他の何らかの温度のような、システム・コントローラのメモリに記憶されているデフォルトの開始温度)との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適切な式)を用いて、あるいは、式1(または他の適切な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)推定することによって、改定したエネルギー推定値を決定することができる。
【0202】
ブロック1434では、システム・コントローラが、RF信号源が生成するRF信号の所望の信号パラメータを、改定したエネルギー推定値に基づいて更新または「改定」することができる。これらの更新した所望の信号パラメータは、本明細書中では時として「改定した信号パラメータ」または「改定した所望の信号パラメータ」と称することがある。所望の信号パラメータは、改定したエネルギー推定値に基づいて決定することができ、改定したエネルギー推定値は、負荷の改定した質量推定値に基づいて決定されるので、本明細書中に用いる「改定した質量推定値に基づくRF信号」は、2回目の(あるいはその後の)整合の直後の1つ以上の所望のRF信号パラメータによって特性化されるRF信号を参照する。システム・コントローラは、さらに、改定した質量推定値に基づくRF信号を供給する必要のある時間長を決定して、改定した推定量のエネルギーを負荷に伝達することができる。
【0203】
図14Cは、代案の実施形態による、
図14Aに示す方法のブロック1410で実行することができるタスク1410−2を示す。ブロック1811では、システム・コントローラが、RF信号源に、比較的低電力のRF信号を、可変インピーダンス整合回路網を通して電極(例えば、第1電極340、または両電極70、750、1170、1172(
図3、7、11))に供給させる。システム・コントローラは、RF信号電力レベルを、電源兼バイアス回路(例えば、回路326、726(
図3、7))への制御信号により制御することができ、この制御信号は、電源兼バイアス回路に、所望の信号電力レベルに合った電源兼バイアス電圧を増幅器(例えば、増幅段324、325、724(
図3、7))に供給させる。
【0204】
次に、ブロック1812では、「評価時刻」に、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730、1180(
図3、7、11))が、RF信号源と電極との間の伝送経路(例えば、経路328、728、1148(
図3、7、11))に沿った反射電力及び(一部の実施形態では)順方向電力を測定する。次に、システム・コントローラは、反射信号電力対順方向信号電力の比率を決定することができ、そして、システムの(例えば、リターンロスに対応する)S11パラメータ及び/またはこの比率に基づくVSWRを決定することができる。一実施形態では、システム・コントローラが、受信した電力測定値(例えば、受信した反射電力測定値、受信した順方向電力測定値、あるいはその両方)、及び/または計算した上記比率、及び/またはS11パラメータ、及び/またはVSWRを、将来の評価または比較のために記憶することができる。
【0205】
ブロック1813では、システム・コントローラが、反射電力測定値、及び/または反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/またはS11パラメータ、及び/またはVSWRに基づいて、可変インピーダンス整合回路網が評価時刻に行う整合が許容可能であるか否か(例えば、反射電力が閾値未満であるか否か、または反射信号電力対順方向信号電力の比率が10パーセント未満(または他の何らかの閾値未満)であるか否か、あるいは上記の測定値または値が他の何らかの基準と好都合に同程度であるか否か)を判定することができる。その代わりに、前に規定したように、システム・コントローラは、整合が最良の整合であるか否かを判定するように構成することができる。一部の実施形態では、バイナリサーチ(二分探索)アルゴリズムまたはリージョナルサーチ(局所探索)アルゴリズムを代わりに用いて、最低の反射RF電力及び/または最低の反射電力対順方向電力の比率を生じさせる「最良の整合」の構成を識別することができ、このことは最良の整合の構成を見出すために必要な時間長を低減することができる。
【0206】
システム・コントローラが、整合が許容可能でない、あるいは最良の整合でないものと判定すると、システム・コントローラは、ブロック1814で、可変インピーダンス整合回路網を再構成することによって整合を調整することができる。例えば、こうした再構成は、制御信号を可変インピーダンス整合回路網へ送信することによって実現することができ、この制御信号は、(例えば、可変インダクタンス回路網410、411、415、811、816、821(
図4A,8)または可変容量回路網422、444、446、1011、1013、1016、1018、1021、1024(
図4B、10)に異なるインダクタンスまたは静電容量状態を持たせることによって、あるいは、インダクタ501〜504、911〜914、916〜919、921、923(
図5A、9)またはコンデンサ541〜544(
図5B)を回路内に組み入れ、回路から切り離す切り換えを行うことによって)この回路網に、当該回路網内の可変インダクタンス及び/または可変容量を増加及び/または減少させる。可変インピーダンス整合回路網内の可変インダクタンス回路網のその時点で最新のインダクタンス値または状態(例えば、インダクタ410、411、415、811、816、821(
図4A,8)のインダクタンス値)あるいは可変容量回路網の静電容量値または状態(例えば、コンデンサ442、444、446、448、1011、1013、1016、1018、1021、1024(
図4B、10)の静電容量値)は、システム・コントローラのメモリに記憶することができる。可変インピーダンス回路網を再構成(または調整)した後に、ブロック1811、1812、及び1813を、許容可能な、あるいは最良の整合がブロック1813で判定されるまで反復して実行することができる。
【0207】
可変インピーダンス回路網を、(例えば、反射電力、反射信号電力対順方向信号電力の比率、VSWR、及び/またはS11パラメータによって示される)許容可能な、あるいは最良の整合が実現される状態に構成すると、現在の可変構成部品値の集合は、可変インピーダンス整合回路網内の1つ以上の可変構成部品の、その時点で最新の値を含む。例えば、
図4Aまたは8の可変インダクタンス整合回路網400または800については、現在の可変構成部品値の集合は、評価時刻における可変インダクタ410、411、811、816、及び821のインダクタンス値を含むことができ、例えば、
図4Bまたは10の可変容量整合回路網については、現在の可変構成部品値の集合は、評価時刻における可変コンデンサ422または444、446または448、1011または1013、1016または1018、及び1021または1024の静電容量値を含むことができる。一実施形態によれば、次に、現在の可変構成部品値を用いて、負荷の質量を、LUTを用いて推定することができる。一部の実施形態では、質量の推定を解凍動作中に1回だけ実行することができる。その代わりに、この質量推定プロセスを2回以上実行することができる。
【0208】
一旦、ブロック1813で許容可能な、あるいは最良の整合を決定すると、システム・コントローラは、ブロック1815で、ブロック1813で判定した整合が、現在の解凍動作中に行われた最初の整合に相当する「初期の整合」であったか否かを判定することができる。例えば、解凍動作の初期の整合を(例えば、第1評価時刻において)判定すると、ブロック1813で「初期フラグ」をメモリ内にアサート(例えば、セット)することができ、システム・コントローラは、ブロック1815で初期フラグの状態をチェックすることができる。初期フラグがアサートされていれば、システム・コントローラはブロック1816に進んで初期フラグをデアサート(例えば、クリア)する。初期フラグがアサートされていなければ、システム・コントローラはブロック1819に進む。
【0209】
システム・コントローラが、ブロック1815で判定したばかりの整合が初期の整合であるものと判定した場合、ブロック1816では、可変インピーダンス整合回路網の可変インダクタンス回路網及び/または可変容量回路網内の可変構成部品の一部または全部の現在の可変構成部品値を、1つ以上のLUT内のエントリと比較して、キャビティ内の負荷の質量を推定することができ、このLUTはシステム・コントローラのメモリ内、さもなければシステム・コントローラにとってアクセス可能なメモリ内に記憶することができる。一部の実施形態では、初期の整合のS11パラメータ値を代わりに、負荷の質量を推定するための根拠として、上記1つ以上のLUT内のエントリと比較することができる。例えば、LUTは複数のエントリを含むことができ、各エントリは、可変構成部品毎のフィールド、初期の整合におけるS11パラメータ値用のフィールド、関連する負荷質量用のフィールド、及び/または関連する負荷温度用のフィールドを含むことができる。なお、負荷の初期温度を(例えば、ユーザ・インタフェースを通して受信した入力、またはキャビティ内の温度センサにより)負荷の初期温度を知ることは、システム・コントローラが負荷の質量をより正確に推定することを可能にすることができるが、負荷の初期温度が提供されないか、あるいは検出可能でない際には、システムは負荷がデフォルトの初期温度(例えば、−20℃)であるものと自動的に仮定することができる。ブロック1816でシステム・コントローラがアクセス可能なLUTの例を、上述した
図16A及び16Bに示す。
【0210】
一旦、システム・コントローラがキャビティ内の負荷の初期の質量推定値を決定すると、システム・コントローラは、ブロック1817で、キャビティ内で負荷を所望温度まで加温するために必要なエネルギーの量(本明細書中では時として初期のエネルギー推定値と称する)を、初期の質量推定値と、(例えば、ブロック1402で入力として与えた、あるいはキャビティ内の温度センサにより測定した)既知の負荷の温度、または仮定した負荷の温度(例えば、約−20℃または他の何らかの温度のような、システム・コントローラのメモリに記憶されているデフォルトの開始温度)との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適切な式)を用いて、あるいは式1(または他の適切な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)推定することができる。
【0211】
RF信号源が供給するRF信号は複数の信号パラメータによって特性化することができる。例えば、RF信号パラメータは、周波数、振幅、及び電力レベルを含むことができるがこれらに限定されず、これらのパラメータの各々は所定時刻に特定の値を有する。ブロック1818では、システム・コントローラが、RF信号源によって生成されるRF信号についての「所望の信号パラメータ」を、(例えば、システムのメモリに記憶されているLUTによる)初期のエネルギー推定値に基づいて決定することができる。例えば、所望の信号パラメータは、RF信号の所望の周波数、所望の振幅、及び所望の電力レベルを含むが、これらに限定されない。システム・コントローラは、さらに、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給する必要のある時間長を決定して、初期の推定量のエネルギーを負荷に伝達することができる。
【0212】
システム、コントローラが、初期の質量推定値の決定後に、改定した質量推定値を1回だけ決定する実施形態では、ブロック1819を実行する。ブロック1819では、システム・コントローラが、ブロック1813で決定した整合が、現在の解凍動作中に行われた初期でない整合に相当する「次の整合」であったか否かを判定することができる。例えば、ブロック1813では、解凍動作の「次の整合」が(例えば、第2評価時刻において)判定されると、「2回目フラグ」をメモリ内にアサート(例えば、セット)することができ、システム・コントローラはブロック1819で2回目フラグの状態をチェックすることができる。2回目フラグがアサートされていれば、システム・コントローラはブロック1830に進んで2回目フラグをデアサート(例えば、クリア)する。さもなければ、2回目フラグがアサートされていなければ、システム・コントローラは、ブロック1410−2における前回の反復において改定した質量推定値が既に決定されていることを識別し、ブロック1830、1832、及び1834をバイパスしてブロック1820に進むことができる。
【0213】
ブロック1830では、改定した質量推定値を、初期の整合の判定と次の整合の判定との間に経過した時間に基づいて決定する。例えば、システム・コントローラは、この経過時間を、第1評価時刻と第2評価時刻との差であるものと決定することができる。改定した質量推定値は、初期の整合と次の整合との間の経過時間、及び供給したRF電力レベルを、システム・コントローラにとってアクセス可能なメモリに記憶されているLUTのエントリと比較することによって決定することができる。LUTは、記憶している負荷質量値の集合、記憶しているRF電力レベルの集合、及び経過時間値の集合を含むことができ、これらのすべてが複数の相関エントリの形に編成されている。これらの相関エントリにおける各エントリは、記憶している負荷質量値、RF電力レベル(例えば、負荷に供給されているRFエネルギーの量)、及び(例えば、初期の整合と次の整合との間の)記憶している経過時間を含むことができる。システム・コントローラは、LUTを検索して、整合間に経過した時間、及び負荷を包含するキャビティにある電極に供給されているRF信号のRF電力レベルに対応する(あるいは最も近い対応関係にある)エントリを識別することができる。識別したエントリが、初期の質量推定値(あるいは、一部の実施形態によれば、直近に作成した質量推定値)と一致しない、記憶している負荷質量値を含む場合、システム・コントローラは、識別したエントリ中にリストアップされている負荷質量に等しい改定した質量推定値を決定することができる。
【0214】
一旦、システム・コントローラがキャビティ内の負荷の改定した質量推定値を決定すると、システム・コントローラは、ブロック1832で、キャビティ内で負荷を所望温度まで加温するために必要なエネルギーの量を、改定した質量推定値と、(例えば、ブロック1802で入力として与えた、あるいはキャビティ内の温度センサにより測定した)既知の負荷の温度、または仮定した負荷の温度(例えば、約−20℃または他の何らかの温度のような、システム・コントローラのメモリに記憶されているデフォルトの開始温度)との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適切な式)を用いて、あるいは、式1(または他の適切な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)推定することによって、改定したエネルギー推定値を決定することができる。
【0215】
ブロック1834では、システム・コントローラが、RF信号源によって生成されるRF信号の所望の信号パラメータを、改定したエネルギー推定値に基づいて更新または「改定」することができる。所望の信号パラメータは、改定したエネルギー推定値に基づいて決定することができ、改定したエネルギー推定値は負荷の改定した質量推定値に基づいて決定されるので、本明細書中に用いる「改定した質量推定値に基づくRF信号」は、上記次の整合の直後の、1つ以上の所望のRF信号パラメータによって特性化されるRF信号を参照する。システム・コントローラは、さらに、改定した質量推定値に基づくRF信号を供給する必要がある時間長を決定して、改定した推定量のエネルギーを負荷に伝達することができる。
【0216】
図14Dに、動的な負荷整合を有する解凍システム(例えば、システム100、210、220、300、700、1100(
図3、7、11))のシステム・コントローラ(例えば、システム・コントローラ312、712、1130(
図3、7、11))によって実行することができる方法に対応するフローチャートを示す。
【0217】
ブロック1902では、システム・コントローラが、解凍システムによって解凍される負荷の初期の質量推定値、負荷を所望温度まで加温するために必要なRFエネルギーの量の初期のエネルギー推定値、及び負荷を加熱するために供給するRF信号の所望の信号パラメータを、初期の整合状態に基づいて決定する。システム・コントローラは、初期の整合状態を、システム・コントローラがアクセス可能なメモリに記憶されているLUTのエントリと比較することによって、初期の質量推定値を決定することができる。例えば、初期の整合状態は、(例えば、ブロック1416、1816(
図14B、14C)に関連して説明したような)システムにおけるRF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))と解凍キャビティ(例えば、キャビティ360、760、1174(
図3、7、11))との「最良の整合」の判定時の、可変インピーダンス整合回路網(例えば、回路網772、800、900、1000(
図7〜10))のS11パラメータ値及び/または可変構成部品値を含むことができる。システム・コントローラは、負荷を所定温度(例えば、−1℃または他の温度)にもっていくために負荷に供給する必要のあるRFエネルギーの量に相当する初期のエネルギー推定値を、初期の質量推定値と、(例えば、ブロック1402で入力として与えた、あるいはキャビティ内の温度センサにより測定した)既知の負荷の温度、または仮定した初期の負荷の温度(例えば、約−20℃または他の何らかの温度のような、システム・コントローラのメモリに記憶されているデフォルトの開始温度)との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適切な式)を用いて、あるいは式1(または他の適切な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)計算するか、さもなければ決定することができる。次に、システム・コントローラは、RF信号源が生成するRF信号の1つ以上の所望の信号パラメータを、初期のエネルギー推定値に基づいて(例えば、システムのメモリに記憶されているLUTにより)決定することができる。例えば、所望の信号パラメータは、RF信号の所望の周波数、所望の振幅、及び所望の電力レベルを含むことができるが、これらに限定されない。
【0218】
ブロック1904では、システム・コントローラが、RF信号源と解凍キャビティとの間の順方向電力及び反射電力の測定値から導出されるS11パラメータまたはVSWRを周期的に測定することができる。システム・コントローラは、S11パラメータまたはVSWRの変化率を、これらの測定値に基づいて計算して記憶することができる。
【0219】
ブロック1906では、可変インピーダンス整合回路網の再構成により新たな整合が決定されたことをシステム・コントローラが識別した場合、システム・コントローラはブロック1908に進んで、負荷の質量推定値及びRF信号の所望の信号パラメータを改定する。さもなければ、システム・コントローラはブロック1904に戻って、S11パラメータ及び/またはVSWRを測定してその変化率を計算することを継続する。
【0220】
ブロック1908では、システム・コントローラが、改定した質量推定値、改定したエネルギー推定値、及び改定した所望の信号パラメータを、ブロック1904で周期的に決定したS11パラメータまたはVSWRの変化率に基づいて決定することができる。例えば、システム・コントローラは、解凍動作中の、S11パラメータまたはVSWRの変化率、及び負荷を加熱するために供給するRF電力レベルを、システム・コントローラにとってアクセス可能なメモリに記憶されているLUTのエントリと比較して、改定した質量推定値を決定する。システム・コントローラは、改定したエネルギー推定値を、改定した質量推定値と、既知の、あるいは仮定した初期の負荷の温度との組合せに基づいて(例えば、式1(または他の適切な式)を用いて、あるいは式1(または他の適切な式)から導出されてシステムのメモリに記憶されているLUTを用いて)計算するか、さもなければ決定することができる。次に、システム・コントローラは、RF信号源が生成するRF信号の1つ以上の改定した所望の信号パラメータを、改定したエネルギー推定値に基づいて(例えば、システムのメモリに記憶されているLUTにより)決定することができる。例えば、所望の信号パラメータは、RF信号の所望の周波数、所望の振幅、及び所望の電力レベルを含むことができるが、これらに限定されない。
【0221】
図14Aに戻れば、一旦、許容可能な、あるいは最良の整合、及び1つ以上の所望の信号パラメータを決定すると、解凍動作を開始または継続することができる。解凍動作の開始または継続は、ブロック1420において、RF信号源(例えば、RF信号源320、720、1120(
図3、7、11))に、ブロック1418、1818、1434、または1834で決定した所望の信号パラメータ(例えば、所望のRF電力レベル)を有するRF信号(または推定質量に基づくRF信号)を生成させることを含み、このRF信号は比較的高電力のRF信号に相当する。前に示したように、他のRF信号パラメータ(例えば、周波数)も「所望の信号パラメータ」として含めることができる。ここでも、システム・コントローラは、RF信号源及び電源兼バイアス回路(例えば、回路326、726(
図3、7))への制御信号により、RF信号電力レベルを含むRF信号パラメータを制御することができる。RF信号源への制御信号は、例えばRF信号の周波数を制御することができ、電源兼バイアス回路への制御信号は、電源兼バイアス回路に、所望の信号電力レベルに合った電源兼バイアス電圧を増幅器(例えば、増幅段324、325、724(
図3、7))に供給させることができる。例えば、上記質量推定に基づくRF信号は、約50W〜約500Wの範囲内の電力レベルを有する信号とすることができるが、異なる電力レベルを代わりに用いることができる。
【0222】
ブロック1422では、電力検出回路(例えば、電力検出回路330、730、730’、730”、1180(
図3、7、11))が、RF信号源と上記電極との間の経路(例えば、経路328、728、1148(
図3、7、11))に沿った反射電力、及び一部の実施形態では順方向電力を周期的に測定して、これらの測定値をシステム・コントローラに提供する。システム・コントローラは、ここでも、反射信号電力と順方向信号電力との比率を決定することができ、そしてこの比率に基づいてシステムにおけるS11パラメータを決定することができ、及び/または反射信号電力及び順方向信号電力に基づいてシステムのVSWRを決定することができる。一実施形態では、システム・コントローラが、受信した電力測定値、及び/または計算した上記比率、VSWR、及び/またはS11パラメータを、将来の評価または比較用に記憶することができる。一実施形態によれば、順方向電力及び反射電力の周期的測定値を、(例えば、ミリ秒のオーダーの)相当高い頻度、あるいは(例えば、秒のオーダーの)相当低い頻度で取得することができる。例えば、上記周期的測定値を取得するための相当低い頻度は、10秒〜20秒毎に1回測定する速度とすることができる。
【0223】
ブロック1424では、システム・コントローラが、1つ以上の反射信号電力測定値、1つ以上の計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率、及び/または1つ以上のS11パラメータ、及び/または1つ以上のVSWR値に基づいて、可変インピーダンス整合回路網によって提供された整合が許容可能であるか否かを判定することができる。例えば、システム・コントローラは、この判定を行うに当たり、単一の反射信号電力測定値、単一の計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率、または単一の計算したS11パラメータを用いることができ、あるいは、この判定を行うに当たり、事前に受信した複数の反射信号電力測定値、事前に計算した反射電力対順方向電力の比率、または事前に計算したS11パラメータまたはVSWR値の平均をとる(あるいは他の計算を行う)ことができる。整合が許容可能であるか否かを判定するために、システム・コントローラは、受信した反射信号電力、計算した比率、VSWR値、及び/またはS11パラメータを、例えば1つ以上の対応する閾値と比較することができる。例えば、一実施形態では、システム・コントローラが、受信した反射信号電力を、例えば順方向信号電力の5パーセント(または他の何らかの値)の閾値と比較することができる。順方向信号電力の5パーセントを下回る反射信号電力は、整合が許容可能なままであることを示すことができ、5パーセントを上回る比率は、整合がもはや許容可能でないことを示すことができる。他の実施形態では、システム・コントローラが、計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率を、10パーセント(または他の何らかの値)の閾値と比較することができる。10パーセントを下回る比率は、整合が許容可能なままであることを示すことができ、10パーセントを上回る比率は、整合がもはや許容可能でないことを示すことができる。測定した反射電力、あるいは計算した比率またはS11パラメータまたはVSWRが対応する閾値よりも大きく(即ち、比較が好ましくなく)許容可能でない整合を示す際には、システム・コントローラは、ブロック1410に戻ることによって、可変インピーダンス整合回路網の再構成を開始することができる。
【0224】
前述したように、可変インピーダンス整合回路網によって提供される整合は、負荷が加温される間の負荷(例えば、負荷364、764、1164(
図3、7、11))のインピーダンス変化により、解凍動作が行われるうちに劣化し得る。解凍動作が行われるうちに、キャビティ整合のインダクタンスまたは容量を調整することによって、そしてRF信号源のインダクタンスまたは容量も調整することによって、最適なキャビティ整合を維持することができることが観測されている。例えば、
図15を参照すれば、解凍動作の終了時における第1の種類の負荷にとって最適な整合は点1514によって示され、及び解凍動作の終了時における第2の種類の負荷にとって最適な整合は点1524によって示されている。両方の場合に、例えば、解凍動作の開始時と完了時との間で最適な整合を追跡することは、キャビティの整合のインダクタンスを次第に減少させること、及びRF信号源の整合のインダクタンスを次第に増加させることを含む。
【0225】
一実施形態によれば、ブロック1410では、可変インピーダンス整合回路網を再構成する際に、システム・コントローラがこうした傾向を考慮に入れることができる。より具体的には、ブロック1414または1814において可変インピーダンス整合回路網を再構成することによって整合を調整する際には、システム・コントローラは最初に、可変インダクタンス回路網の状態を、(キャビティの整合、または回路網411(
図4A)用には)より低いインダクタンスに対応するキャビティ及びRF信号源の整合用に選択し、(RF信号源の整合、または回路網410(
図4B)用には)より高いインダクタンスに対応するキャビティ及びRF信号源の整合用に選択する。可変容量回路網をキャビティ及びRF信号源用に利用する実施形態においても、同様のプロセスを実行することができる。期待される最適な整合の軌跡(例えば、
図15中に示すもの)に追従しやすいインピーダンス値を選択することによって、これらの傾向を考慮に入れない再構成プロセスに比べると、(例えば、ブロック1410における)可変インピーダンス整合回路網の再構成プロセスを実行する時間を低減することができる。
【0226】
代案の実施形態では、システム・コントローラがその代わりに隣接する構成の各々を反復的に試験して、許容可能な構成を決定しようとすることができる。例えば、上記の表1を参照すれば、現在の構成がキャビティ整合回路網についての状態12に相当し、かつRF信号源整合回路網についての状態3に相当する場合、システム・コントローラは、キャビティ整合回路網についての状態11及び/または13を試験することができ、RF信号源整合回路網についての状態2及び/または4を試験することができる。これらの試験が好都合な結果(例えば、許容可能な整合)を生じさせない場合、システム・コントローラは、キャビティ整合回路網についての状態10及び/または14を試験することができ、RF信号源整合回路網についての状態1及び/または5を試験することができる、等々である。
【0227】
実際には、システム・コントローラが、許容可能なインピーダンス整合を有するようにシステムを再構成するために用いることができる種々の異なる探索方法が存在し、これらの探索方法は、あり得るすべてのインピーダンス整合回路網の構成を試験することを含む。許容可能な構成を探索するあらゆる妥当な方法が、本発明の主題の範囲内に入る。いずれにせよ、一旦、ブロック1413または1813において許容可能な整合が決定されると、ブロック1420において解凍動作を再開して、プロセスを反復し続けることができる。
【0228】
再びブロック1424を参照すれば、システム・コントローラが、1つ以上の反射電力の測定値、1つ以上の計算した反射信号電力対順方向信号電力の比率、1つ以上の計算したVSWR値、及び/または1つ以上の計算したS11パラメータに基づいて、可変インピーダンス整合回路網によって提供される整合が未だに許容可能である(例えば、反射電力の測定値、計算した比率またはS11パラメータまたはVSWRが対応する閾値未満である、あるいは、上記比較が良好である)ものと判定すると、システムは、ブロック1426において終了条件が発生したか否かを評価することができる。実際には、終了条件が発生したか否かの判定は、解凍プロセス中の任意時点に発生させることができる割り込み駆動プロセスとすることができる。しかし、
図14Aのフローチャートに含める目的で、このプロセスはブロック1424の後に発生するように示している。
【0229】
いずれにせよ、いくつかの条件が解凍プロセスの停止を保証することができる。例えば、システムは、安全インターロックが破られた際に、終了状態が発生したものと判定することができる。その代わりに、システムは、ユーザが(例えば、ユーザ・インタフェース380、780(
図3、7)により)セットしたタイマーの時間切れ時に、あるいは、システム・コントローラによる、解凍動作を実行するべき時間長の推定値に基づいて(例えば、ブロック1418または1818において、システム・コントローラが以前に識別した最適なRF信号電力レベル、及び以前に識別した、負荷を解凍するのに必要であるものと推定されたエネルギーの量に基づいて決定した加熱時間に基づいて)システム・コントローラが定めたタイマーの時間切れ時に、終了条件が発生したものと判定することができる。さらに他の代案実施形態では、システムが他の方法で解凍動作の完了を検出することができる。
【0230】
終了条件が発生していない場合、ブロック1422及び1424(及び必要に応じて、整合回路網を再構成するプロセス1410)を反復的に実行することによって、解凍動作を継続することができる。終了条件が発生すると、ブロック1428では、システム・コントローラが、RF信号源によるRF信号の供給を中止させる。例えば、システム・コントローラは、RF信号発生器(例えば、RF信号発生器322、722(
図3、7))を停止させることができ、及び/または電源兼バイアス回路(例えば、回路326、726(
図3、7))に電源電流の供給を中止させることができる。それに加えて、システム・コントローラは信号をユーザ・インタフェース(例えば、ユーザ・インタフェース380、780(
図3、7))に送信することができ、これらの信号は、ユーザ・インタフェースに、ユーザが知覚可能な終了条件の印を(例えば、「ドア開」または「終了」を表示装置上に表示することによって、あるいは可聴音を提供することによって)生成させる。そして、方法を終了することができる。
【0231】
図14A〜Dに示すブロックに関連する動作の順序は一実施形態に相当し、動作の順序を図示する順序のみに限定するものと考えるべきでないことは明らかである。その代わりに、一部の動作は異なる順序で実行することができ、及び/または一部の動作は並列的に実行することができる。
【0232】
本明細書中に含まれる種々の図面中に示す接続線は。種々の要素間の代表的な機能的関係及び/または物理的結合を表現することを意図している。なお、主題の実施形態中には、多数の代替的または追加的な機能的関係または物理的接続が存在し得る。それに加えて、本明細書中では、特定の用語は参考目的で用いるに過ぎないこともあり、従って限定的であることは意図しておらず、構造を参照する「第1」、「第2」、及び他のこうした数字の用語は、特に明示的断りのない限り、順序または順番を暗に意味しない。
【0233】
本明細書中に用いる「ノード」は、所定の信号、論理レベル、電圧、データパターン、電流、または存在する、内部または外部のあらゆる基準点、接続点、接合、信号線、導体素子、等を意味する。さらに、2つ以上のノードを1つの物理的素子で実現することができる(そして、2つ以上の信号は、共通ノード上で受信するか共通ノード上に出力されても、多重化、変調、さもなければ区別することができる)。
【0234】
以上の説明は、互いに「接続」または「結合」される要素を参照している。本明細書中に用いる「接続される」は、特に明示的断りのない限り、1つの要素が他の要素に、必ずしも機械的でなく、直接つながる(あるいは直接連通する)ことを意味する。同様に、「結合される」は、特に明示的断りのない限り、1つの要素が他の要素に、必ずしも直接的でなく、直接または間接的につながる(あるいは、直接または間接的に連通する)ことを意味する。従って、図面中に示す概略図は1つの好適な要素の配置を示すが、追加的に介在ずる要素、装置、特徴、または構成要素が、図示する主題の実施形態中に存在し得る。
【0235】
一実施形態では、熱量増加システムが、無線周波数(RF)信号源と、少なくとも1つの可変インピーダンス回路網と、コントローラとを含み、この可変インピーダンス回路網は、少なくとも1つの現在の可変構成部品値を有する少なくとも1つの可変受動構成部品を含む。少なくとも1つの可変インピーダンス回路網は、RF信号源と電極との間に結合することができる。コントローラは、電極に近接した負荷の初期の推定質量を、少なくとも1つの可変インピーダンス回路網の少なくとも1つの現在の可変構成部品値に少なくとも基づいて決定し、RF信号の所望のRF電力レベルを含む1つ以上の所望の信号パラメータを、少なくとも負荷の推定質量に基づいて決定し、RF信号源を制御して、1つ以上の所望の信号パラメータを有する、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給し、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給する間に、RF信号源のパラメータの変化率を決定し、少なくとも上記パラメータの変化率に基づいて負荷の改定した推定質量を決定し、RF信号の1つ以上の改定した信号パラメータを、負荷の改定した推定質量に基づいて決定し、RF信号源を制御して、上記1つ以上の改定した改定した信号パラメータを有する、質量推定値に基づくRF信号を供給するように構成されている。このパラメータは、RF信号のS11パラメータ、電圧定在波比、または反射電力とすることができる。
【0236】
一実施形態では、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量を、負荷の初期の推定質量に基づいて決定し、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量を、少なくとも負荷の改定した推定質量に基づいて決定するように、上記コントローラを構成することができる。上記コントローラは、RF信号の1つ以上の所望の信号パラメータを、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量に基づいて決定し、RF信号の改定した信号パラメータを、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量に基づいて決定するように構成することができる。
【0237】
一実施形態では、上記熱量増加システムが、ルックアップテーブル(LUT)を記憶するメモリを含むことができ、このLUTは、記憶している負荷質量値の集合、記憶しているRF電力レベルの集合、及び記憶しているパラメータ変化率の集合を含み、複数のエントリの形に編成され、各エントリは、記憶している負荷質量値の集合内の1つの記憶している負荷質量値、記憶しているRF電力レベルの集合内の1つの記憶しているRF電力レベル、及び記憶しているパラメータ変化率の集合内の1つの記憶しているパラメータ変化率を含むことができる。上記コントローラは、上記パラメータの変化率を、LUT内に記憶されているパラメータ変化率の集合と比較し、上記所望のRF電力レベルをLUT内に記憶されているRF電力レベルの集合と比較して、複数のエントリのうちの相関エントリ(相関があるエントリ)を識別することによって、そして記憶している負荷質量値の集合内の、相関エントリに対応する第1の記憶している負荷質量値を識別することによって、負荷の改定した推定質量を決定するように構成することができる。相関エントリは、上記パラメータの変化率と相関がある第1の記憶しているパラメータ変化率、及び上記所望のRF電力レベルと相関がある第1の記憶しているRF電力レベルを含む。第1の記憶している負荷質量値は、上記コントローラによって、上記負荷の改定した推定質量であるものと決定することができる。上記少なくとも1つの可変インピーダンス回路網は、ダブルエンド型可変インピーダンス回路網を含むことができ、このダブルエンド型可変インピーダンス回路網は、第1及び第2入力端子、第1及び第2出力端子、第1入力端子と第1出力端子との間に結合された第1の可変受動構成部品、第2入力端子と第2出力端子との間に結合された第2の可変受動構成部品、及び第1入力端子と第2入力端子との間に結合された第3の可変受動構成部品を含む。
【0238】
一実施形態では、上記1つ以上の改定した信号パラメータが、RF信号の周波数及びRF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータを含む。
【0239】
一実施形態では、上記熱量増加システムを、負荷を包含するためのキャビティに結合することができる。上記熱量増加システムは、RF信号を供給するように構成されたRF信号源と、キャビティ内の両端に配置された第1及び第2電極と、上記伝送経路の中間に電気結合されたインピーダンス整合回路網とを含むことができる。このインピーダンス整合回路網は、1つ以上の可変受動構成部品を含むことができる。これら1つ以上の可変受動構成部品の各々は、第1評価時刻における現在の可変構成部品値を有することができ、現在の可変構成部品値の集合は、上記1つ以上の可変構成部品の各々の現在の可変構成部品値を含む。上記コントローラは、負荷の初期の推定質量を、少なくとも現在の可変構成部品値の集合に基づいて決定し、RF信号の所望のRF電力レベルを含む1つ以上の所望の信号パラメータを、少なくとも負荷の初期の推定質量に基づいて決定し、これら1つ以上の所望の信号パラメータを有する、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給するようにRF信号源を修正し、第1評価時刻において上記インピーダンス整合回路網を再構成し、第1評価時刻と第2評価時刻との間の経過時間を決定し、負荷の改定した推定質量を、少なくともこの経過時間に基づいて決定し、RF信号の1つ以上の改定した信号パラメータを、少なくとも上記負荷の改定した推定質量に基づいて決定し、RF信号源を修正して、上記1つ以上の改定した信号パラメータを有する、改定した質量推定値に基づくRF信号を供給するように構成されている。
【0240】
一実施形態では、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量を、少なくとも負荷の初期の推定質量に基づいて決定し、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量を、少なくとも負荷の改定した推定質量に基づいて決定するように、上記コントローラを構成することができる。上記コントローラは、RF信号の上記1つ以上の信号パラメータを、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量に基づいて決定し、RF信号の改定した信号パラメータを、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量に基づいて決定するように、さらに構成することができる。
【0241】
一実施形態では、上記熱量増加システムが、ルックアップテーブル(LUT)を記憶するように構成されたメモリを含むことができ、このLUTは、記憶している負荷質量の集合、記憶しているRF電力レベルの集合、及び記憶している経過時間の集合を含み、複数のエントリの形に編成され、各エントリは、記憶している負荷質量の集合内の1つの記憶している負荷質量、記憶しているRF電力レベルの集合内の1つの記憶しているRF電力レベル、及び記憶している経過時間の集合内の1つの記憶している経過時間を含むことができる。一実施形態では、上記経過時間を、LUT内に記憶されている経過時間の集合と比較し、上記所望のRF電力レベルを、LUT内に記憶されているRF電力レベルの集合と比較して、複数のエントリのうちの相関エントリを識別することによって、そして、LUT内の複数のエントリのうち上記相関エントリに対応する第1の記憶している負荷質量を、記憶している負荷質量の集合内で識別することによって、負荷の改定した推定質量を決定するように、上記コントローラを構成することができ、相関エントリは、上記経過時間と相関がある第1の記憶している経過時間、及び上記所望のRF電力レベルと相関がある第1の記憶しているRF電力レベルを含む。第1の記憶している負荷質量は、上記コントローラによって、上記負荷の改定した推定質量であるものと決定することができる。
【0242】
一実施形態では、上記1つ以上の改定した信号パラメータが、RF信号の周波数及びRF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータを含むことができる。
【0243】
一実施形態では、負荷を包含するキャビティを含む熱量増加システムを動作させる方法が、無線周波数(RF)信号源によって、RF信号源と、キャビティに近接して配置された1つ以上の電極との間の伝送経路に1つ以上のRF信号を供給するステップと、電力検出回路によって、伝送経路に沿った反射信号電力を検出するステップと、コントローラによって、伝送経路の中間に電気結合されたインピーダンス整合回路網の1つ以上の可変受動構成部品の1つ以上の構成部品値を修正して反射信号電力を低減するステップと、コントローラによって、負荷の初期の推定質量を、少なくとも、1つ以上の可変受動構成部品の1つ以上の現在の構成部品値に基づいて決定するステップと、コントローラによって、RF信号の1つ以上の所望の信号パラメータを、少なくとも、負荷の初期の推定質量、RF電力レベルを含む1つ以上の所望の信号パラメータに基づいて決定するステップと、コントローラによって、RF信号源を制御して、1つ以上の所望の信号パラメータを有する、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給するステップと、コントローラによって、初期の質量推定値に基づくRF信号を供給する間に、RF信号源のパラメータの変化率を決定するステップであって、これらのパラメータは:RF信号のS11パラメータ、電圧定在波比、及び反射電力から成るグループから選択したパラメータであるステップと、コントローラによって、負荷の改定した推定質量を、少なくともパラメータの変化率に基づいて決定するステップと、コントローラによって、RF信号の1つ以上の改定した信号パラメータを、少なくとも負荷の改定した推定質量に基づいて決定するステップと、コントローラによって、RF信号源を制御して、1つ以上の改定した信号パラメータを有する、改定した質量推定値に基づくRF信号を供給するステップとを含むことができる。
【0244】
一実施形態では、上記方法が、コントローラによって、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量を、負荷の初期の推定質量に基づいて決定するステップと、コントローラによって、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量を、負荷の改定した推定質量に基づいて決定するステップとを含むことができる。
【0245】
一実施形態では、上記所望の信号パラメータを、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの初期の推定量に基づいて決定することができ、上記改定した信号パラメータは、負荷を所望温度まで加温するのに十分なエネルギーの改定した推定量に基づいて決定される。
【0246】
一実施形態では、負荷の初期の推定質量を決定するステップが、コントローラによって、上記1つ以上の現在の構成部品値を、上記熱量増加システムのメモリに記憶されている複数の記憶構成部品値の集合と比較するステップと、コントローラによって、上記1つ以上の現在の構成部品値と相関がある相関記憶構成部品値の集合を、複数の記憶構成部品値の集合から識別するステップと、コントローラによって、複数の記憶質量(記憶している質量)のうち相関記憶構成部品値の集合に対応する識別記憶質量を識別するステップと、コントローラによって、上記時価の初期の推定質量を、上記識別記憶質量であるものと決定するステップとを含む。
【0247】
一実施形態では、負荷の改定した質量推定値を決定するステップが、コントローラによって、上記パラメータの変化率を、システムのメモリに記憶されている複数の記憶パラメータ変化率と比較するステップと、コントローラによって、上記所望のRF電力レベルを、システムのメモリに記憶されている複数の記憶RF電力レベルと比較するステップと、コントローラによって、システムのメモリに記憶されている相関エントリを識別するステップであって、この相関エントリは、上記パラメータの変化率と相関がある、記憶しているパラメータ変化率を含み、上記所望のRF電力レベルと相関がある、記憶しているRF電力レベル、及び記憶している負荷質量を含むステップと、コントローラによって、上記負荷の改定した推定質量を、上記相関エントリに記憶されている負荷質量であるものと決定するステップとを含む。
【0248】
一実施形態では、上記1つ以上の改定した信号パラメータが、RF信号の周波数及びRF信号の振幅を含むグループから選択した少なくとも1つの信号パラメータを含むことができる。
【0249】
以上の詳細な説明では、少なくとも1つの好適な実施形態を提示してきたが、膨大な数の実施形態が存在することは明らかである。また、本明細書中に記載する好適な実施形態は、特許請求する主題の範囲、適用性、または構成を、多少なりとも限定することを意図していないことも明らかである。むしろ、以上の詳細な説明は、記載した実施形態を実現するための道筋(ロードマップ)を当業者に提供するものである。特許請求の範囲によって規定する範囲から逸脱することなしに、各要素の機能及び構成に種々の変更を加えることができ、この範囲は、本願の出願時に既知である等価物及び予見可能な等価物を含むことは明らかである。