(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854330
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】処理炉を通り搬送される可撓性の長尺材料、特に薄膜樹脂の処理装置
(51)【国際特許分類】
B29C 55/02 20060101AFI20210329BHJP
B29C 55/08 20060101ALI20210329BHJP
B29C 55/16 20060101ALI20210329BHJP
B29C 55/04 20060101ALI20210329BHJP
B29C 55/14 20060101ALI20210329BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20210329BHJP
F27B 9/30 20060101ALI20210329BHJP
F27D 7/06 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
B29C55/02
B29C55/08
B29C55/16
B29C55/04
B29C55/14
F27B9/02
F27B9/30
F27D7/06 B
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-182670(P2019-182670)
(22)【出願日】2019年10月3日
(65)【公開番号】特開2020-59274(P2020-59274A)
(43)【公開日】2020年4月16日
【審査請求日】2019年12月17日
(31)【優先権主張番号】10 2018 124 521.1
(32)【優先日】2018年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510331593
【氏名又は名称】ブリュックナー・マシーネンバウ・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヘグラウアー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ウンターライナー
(72)【発明者】
【氏名】アントン・ヴェッテマン
【審査官】
正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−098634(JP,U)
【文献】
特開平03−087238(JP,A)
【文献】
特開2003−039543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/00−55/30
F27B 9/00− 9/40
F27D 7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理炉を通して搬送される薄膜樹脂(1’)形式の可撓性の長尺材料(1)の搬送方向(A)に連続して配置されて長尺材料(1)を処理する少なくとも2つの処理領域(7)と、
搬送方向(A)に連続する少なくとも2つの処理領域(7)間に設けられる少なくとも1つの中立領域(7n)とを備え、
中立領域(7n)の前段に設けられる処理領域(7)は、搬送方向(A)前段に配置される処理領域(7)から中立領域(7n)内に長尺材料(1)を搬出する出口開口(9b)を備える領域出口壁(11b)及び/又は中立領域壁(113b)を有し、
中立領域(7n)より搬送方向(A)後段に設けられる処理領域(7)は、領域入口壁(11a)及び/又は中立領域壁(113a)を有し、中立領域壁(113a)は、搬送方向(A)後段の処理領域(7)内に中立領域(7n)から長尺材料(1)が進入する入口開口(9a)を備え、
領域出口壁(11b)及び/又は前段の中立領域壁(113b)に隣接して設けられかつ/又は他方で領域入口壁(11a)及び/又は後続の中立領域壁(113a)に隣接して設けられるノズル装置(15v, 15n)は、長尺材料(1)に達する移動気体(S)を発生する処理装置において、
ノズル装置(15)は、中立領域(7n)内で前段のノズル装置(15v)及び/又は中立領域(7n)内で後続のノズル装置(15n)を備え、
ノズル装置(15)は、隣接する領域出口壁(11b)及び/又は前段の中立領域壁(113b)又は領域入口壁(11a)及び/又は後続の中立領域壁(113a)に対し45°よりも小さい噴射角度(α)で各移動気体(S)を噴出し、かつ
ノズル装置(15)は、領域出口壁(11b)又は前段の中立領域壁(113b)又は領域入口壁(11a)及び/又は後続の中立領域壁(113a)に沿って長尺材料(1)に達する移動気体(S)を送出することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
ノズル装置(15)からの移動気体(S)の案内壁又はガイド壁として、領域出口壁(11b)又は前段の中立領域壁(113b)又は領域入口壁(11a)及び/又は後続の中立領域壁(113a)が用いられ、
領域出口壁(11b)又は前段の中立領域壁(113b)又は領域入口壁(11a)及び/又は後続の中立領域壁(113a)に接して各移動気体(S)を案内しかつ/又は沿わせかつ/又は並行させかつ/又は流動させかつ/又は方向づけて、長尺材料(1)の移動方向に移動気体を更に安定して案内する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
複数のノズル装置(15v, 15n)は、複数のノズル開口(19v, 19n)を有し、
ノズル開口(19v, 19n)を介して流出する移動気体(S)は、噴射角度(α)で隣接する領域出口壁(11b)又は領域入口壁(11a)に向かって噴出され、
噴射角度(α)は、40°より小さく、又は35°より小さく、30°、25°、20°、15°、12.5°、10°、8°、7°、6°、5°、4°、3°又は2°又は1°より小さく、0°より大きい請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
処理装置は、搬送方向(A)前段に配置されるノズル装置(15v)を通して供給される移動気体(S)を、前段の処理領域(7)内の処理温度(TZ1)又は処理温度(TZ1)より10℃未満だけ異なる温度範囲(T1)に加熱し、かつ/又は
搬送方向(A)後段に配置されるノズル装置(15n)を通して供給される移動気体(S)を、後続の処理領域(7)内の処理温度(TZ2)又は処理温度(TZ2)から10℃未満だけ異なる温度(T2)に加熱する請求項1、2又は3に記載の処理装置。
【請求項5】
処理装置は、中立領域(7n)内で噴出する各移動気体(S)を、20℃、15℃、12.5℃、10℃、8℃、7℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃又は1℃未満だけ各処理温度(TZ1, TZ2)とは異なる温度(T1又はT2)に加熱し、
中立領域(7n)の搬送方向(A)前段に配置される処理領域(7)又は後段に配置される処理領域(7)内に前記処理温度を設定する請求項1〜4の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
複数のノズル装置(15v, 15n)は、穿孔ノズル(37a)及び/又は開口ノズル(37b)を備える複数の開口ノズル(19v, 19n)を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
中立領域(7n)は、長尺材料(1)の搬送方向(A)前段に配置されるノズル装置(15v)及び/又は後段のノズル装置(15n)の各ノズル装置(15v, 15n)を介して流出する移動気体(S)に共通の吸引装置(35)を備え、
長尺材料(1)から離隔する位置の両ノズル装置(15v, 15n)間に、吸引装置(35)が配置される請求項1〜5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項8】
長尺材料(1)の平面(E)から離隔して配置されかつ両ノズル装置(15v, 15n)の各々に対応して、互いに隣接する異なる吸引装置(35a, 35b)を備える請求項1〜6の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項9】
別体の筐体装置(31)形状の筐体装置(31)が中立領域(7n)に対応する請求項1〜8の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
中立領域(7n)内に設けられるノズル装置(15v, 15n)及び/又は吸引装置(35; 35a, 35b)は、別体の筐体装置(31)の内部に配置される請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
長尺材料(1)の平面(E)に対し、角度90°で、又は20°、15°、12°、10°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°又は1°未満だけ90°とは異なる角度で領域入口壁(11a)、領域出口壁(11b)及び/又は中立領域壁(113a, 113b)を配置する請求項1〜10の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項12】
扇形の及び/又は平面的な移動気体(S)は、ノズル装置(15)及び/又はノズル開口(19v, 19n)から発生し、空気案内装置となる領域入口壁(11a)及び/又は領域出口壁(11b)及び/又は中立領域壁(113a, 113b)に沿って移動する請求項1〜10の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
ノズル装置(15)及び/又はノズル開口(19v, 19n)は、長尺材料(1)の全幅にわたり又は±20%未満若しくは±10%未満だけ全幅とは異なる幅で形成される請求項1〜12の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項14】
ノズル装置(15)及び/又はノズル開口(19v, 19n)は、入口開口(9a)及び/又は出口開口(9b)の高さに沿って少なくとも入口開口(9a)及び/又は出口開口(9b)の幅にわたり延伸し又は広がる平面的及び/又は扇形の移動気体を発生する請求項1〜13の何れか1項に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理炉を通過する特に薄膜樹脂(プラスチックフィルム)形式の請求項1の前文に記載する可撓性の長尺材料を処理する処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の処理装置は、特に薄膜樹脂形態に使用され多くの場合薄膜延伸装置である。公知の所謂同時延伸装置では、縦方向と横方向に同時に薄膜樹脂を延伸することができる。例えば、縦方向に薄膜樹脂をまず延伸し、次に横方向(又はその逆)に薄膜樹脂を延伸する順次2段階延伸装置も公知である。また、純粋な縦延伸装置と横延伸装置も知られている。
【0003】
既知のように、薄膜樹脂の成形時に、周回するガイドレール上で走行可能に配置される複数の把持装置は、延伸すべき長尺材料を構成する対向する薄膜樹脂の両端縁を長尺材料の両側で把持する。把持装置は、進入領域(例えば、延伸すべき薄膜樹脂の両端縁を把持する領域)から延伸領域(ガイドレール区域上の対向する把持装置が移送方向に対して互いに横に離間して移動する領域)を介して排出領域に順次走行し、その後、帰路を通り再び進入領域を走行するが、延伸領域の後段に設けられる単一又は複数の処理領域(アニール領域、冷却領域)内で、薄膜樹脂は、通常、例えば、所定の内部応力緩和又は除去処理及び/又は熱処理を受ける。
【0004】
本来の延伸工程前、延伸工程間及び延伸工程後に、薄膜樹脂は、各処理区域内で種々の加熱処理及び/又は冷却処理を受けなければならない。従って、延伸すべき長尺の薄膜樹脂は、連続して種々の処理領域(中立領域を処理領域間に設ける場合もある)を備える処理炉を通過する。形成すべき薄膜樹脂は、処理領域内で様々な熱処理を受けるほかに、特に、常に新鮮な空気を供給しかつ使用済みの空気を排出する処理炉空気供給装置も、延伸装置の処理炉室内に設けなければならない。
【0005】
この種の処理炉は、処理領域形式の複数の処理区域に通常分割されて、薄膜樹脂、即ち通常可撓性の長尺材料は、ある処理領域から排出され、導入される次の処理領域内で他の温度処理を長尺材料に行う場合もある。
【0006】
延伸装置は、原則的に複数の処理領域に分割される。例えば、予熱領域、延伸領域、アニール領域及び冷却領域に分割することができる。共通の処理領域として予熱領域と延伸領域を形成することもできる。冷却領域(原則的に他の処理領域も同様)は、複数の個別の処理領域に、例えば、連続して設けられる第1と第2の冷却領域及び延伸装置の終端を第3の冷却領域に分割でき、第3の冷却領域は、第2と第3の冷却領域間に設けられる中立領域により分離される。例えば、延伸領域とアニール領域との間(更に他の箇所)にこの種の中立領域を設けることもできる。先の処理領域から中立領域に移行する位置及び中立領域から後続の処理領域に移行する位置に、延伸炉を通して薄膜樹脂が通過する入口開口と出口開口が通常設けられる。別法として、例えば、多数の処理室を備えるアニール領域のように、各処理領域に複数の処理室を設けることができる。単一の処理領域の処理室間には、薄膜樹脂が通過する入口開口と出口開口は通常設けられない。このため、例えば、出口領域内で処理領域から中立領域に移動する薄膜樹脂に伴流気体が常に捕捉されて搬送される気体の「分断」問題が生じる。また、中立領域から後続の処理領域内に薄膜樹脂が移動する際に、(周辺の)空気が後続の処理領域の処理室内に一緒に運び込まれる。処理領域から中立領域への流体(通常空気)の流出と、後続の処理領域への周囲空気(中立領域内の)の流入は、最終的に、延伸炉を通して移動する薄膜樹脂が捕捉して、物理的に隣接する流体又は空気層を連動させる。
【0007】
例えば、処理領域の出口開口から薄膜樹脂が排出されるとき、出口開口を通して周辺の流体(気体)も処理領域から搬出し、搬出される流体は、対応する領域温度を帯びる。
【0008】
中立領域から流体(通常周囲空気)が、後続の処理領域内に薄膜樹脂により伴送(搬送)されるときに、同様の温度問題が生じる。
【0009】
即ち、伴送(搬送)される流体の温度は、高過ぎるか、低過ぎて、調節する処理温度に変化を与えるので、伴送される流体は、後続の処理室に不最適な処理温度を通常有する。薄膜樹脂の移動に伴い連動する流体の他に、処理炉全体内の種々の圧力水準により、複数の処理室間及び/又は後続の中立領域又は中立領域の処理室と後続の処理室との間の流体交換を強化する付加的な重畳底層流が生ずる。
【0010】
しかし、異なる2処理領域間の不十分な流体遮断により、長尺の薄膜樹脂全体にわたり比較的制御不能に流出する移動気体が生ずるのみならず、比較的制御不能な圧力状況を生ずることもあり得る。長尺の薄膜樹脂が極めて幅広で、空気圧状況が不安定のときに、薄膜樹脂が出口開口を通過すると、長尺の薄膜樹脂の全幅にわたり同時に空気搬入と空気搬出とが行われ、それにより、長尺の薄膜樹脂が幅に沿って異なる温度に調節される欠陥があり、例えば、薄膜樹脂に平坦性を喪失する問題を招来することがあり得る。
【0011】
従って、処理炉内には移動する薄膜樹脂による周辺空気の伴送(搬送)作用及び/又は処理炉内の圧力差に起因する底層流が生じ、周辺空気の伴送と底層流との併発により、「不適切温度」領域が発生する難点を生ずる。例えば、高温空気が低温の処理炉領域内に流入し、逆に低温の空気が高温の処理炉領域内に流入することがあり得る。
【0012】
このように、異なる温度の空気流は、薄膜樹脂の品質低下を原則的に招来し、不適切加熱又は不適切冷却は、少なくとも非最適加熱又は非最適冷却に起因する薄膜樹脂の機械的特性の劣化を生ずる。特性劣化は、特に薄膜樹脂の延伸時に生じる。
【0013】
そこで、連続する2処理室又は処理領域間に、熱分離機能を備える特にいわば中立領域の設置を提案することができる。例えば、延伸領域とアニール領域との間、アニール領域と冷却領域との間及び部分的には最後の冷却領域の前等の2処理領域間のどの位置でもこの種の中立領域を設けることができる。
【0014】
ところが、前段の処理領域から長尺材料を搬出するとき、不良な高さレベルの流体が伴送作用により中立領域内に導入され又は中立領域から不適当な量の流体が入口開口を介して後続の処理領域内に搬送されることがあるので、所謂中立領域を設置するのみでは、不適切な流体移動を阻止するには明らかに未だ不充分である。
【0015】
このため、処理室(通常処理炉)に流入しかつ/又は処理室から流出する際に伴送される熱媒体気流を最小量に抑制する隔壁装置を設ける努力が既に試行されている。
【0016】
特許文献1は、延伸装置、長尺薄膜樹脂の搬送(引出し)方向に複数の処理領域を互いに変位して形成する特に長尺の薄膜樹脂幅延伸装置に使用する隔壁装置を提案する。この隔壁装置は、引出す長尺の薄膜樹脂を搬入し又は搬出する入口開口又は出口開口を有する。薄膜樹脂が進入し又は退出する開口(間隙)の境界での空気の移動を制限する垂下式ノズルも設けられる。垂下式ノズルの開口により、長尺の薄膜樹脂に対し実質的に接線状に向けられかつ/又はノズル開口を通して流出する熱媒体気流は、長尺の薄膜樹脂平面に対して実質的に接線方向の気体流となり、垂下式ノズルに対向する長尺の薄膜樹脂側に形成される間隙境界の長尺薄膜に対する変位を調節することができる。
【0017】
特許文献1は、長尺薄膜の各側に配置した上部ノズルと下部ノズルから長尺薄膜の平面に対して原則的に横方向に空気を噴出して、両側に緩衝用空気層を形成する着想を提案する。特許文献1の隔壁装置では、薄膜樹脂の大きい幅に沿って複数の領域間の空気を遮断する空気遮蔽材構造を調節して、長尺の薄膜樹脂を均一かつ安定に移動することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】独国実用新案登録第9213802(U1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明の課題は、特に延伸すべき長尺の薄膜樹脂形態、特に移動する長尺材料に使用する処理炉又は延伸炉形式の処理領域用の隔壁装置の改良された解決手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の前記課題は、請求項1に記載する特徴により解決される。本発明の好適な実施の形態を下位請求項に記載する。
【0021】
本発明では、各処理炉及び関連する各処理領域又は処理室間の空気を遮断する作用の極めて驚くべき著しい改良が得られる。
【0022】
本発明では、少なくとも処理領域から中立領域への移行部及び/又は中立領域から処理領域への移行部に、例えば、調節可能又は折畳み可能な薄膜積層体(「バリヤ」又は「エアシャッタ」とも称する)形態の適切に調節可能な複数の隔壁が使用される。移動する長尺材料に接近可能に遮断材を移動し又は形態を変更して、移動する長尺材料に向けられる遮蔽材の終端縁又は境界縁と、長尺材料自体の平面との間の間隔を極力減少することができる。遮蔽材の終端縁又は境界縁と長尺材料自体の平面との間の間隔を減少することにより、移動する平面的な長尺材料が通過する入口開口又は出口開口の寸法を、ほぼ最小限に抑制して、処理炉又は延伸炉に対する熱媒体気流の進入又は流出を、最小限度に抑制できる。遮蔽材は、ある種の調節可能な障壁、調節袖及び/又は閉鎖袖又は閉鎖板とも言える通過する薄膜樹脂の間隙高さを制限する調節装置である。
【0023】
処理炉入口と処理炉出口では、他の遮蔽解決法が通常選択される。
【0024】
本発明の利点は、空気遮蔽隔壁とも称する調節可能な隔壁を部分的に設ける上に、長尺材料の搬送方向に処理領域から中立領域への出口開口の後段及び/又は中立領域から処理領域への移行部での入口開口の前段に、好適な空気膜(エアベール)又は空気遮断膜(エアカーテン)を設け又は位置決めして、更に完全で改良された効果を実現できる。
【0025】
エアシャッタ(空気遮断膜)を形成する平面的な移動気体は、隔壁(遮蔽薄板)上に噴射されるので、隔壁の配置方向は、移動気体の案内薄板又はガイド板となり、隔壁に向けられる熱媒体の気流(移動気流)は、移動する長尺材料方向に安定して案内される。移動気体は、程度の差はあっても、長尺材料に隣接する領域内で隔壁(遮蔽薄板)に対して平行に流動し、特に程度の差はあっても移動する長尺材料の平面に垂直に到達して、入口開口及び/又は出口開口を移動気体によりほぼ「遮断」することができる。
【0026】
エアシャッタを形成する移動気体は、例えば、隔壁に引き寄せられかつ隔壁に接近して移動する粘性気体のように、境界壁の表面に沿う気体流も、境界壁の表面から殆ど「離れない」コアンダ効果の物理的原理を原則的に利用するものであるから、移動気体又は気流は、特にコアンダ効果により隣接する壁面の凸状湾曲に沿って流れる。
【0027】
コアンダ効果により、移動気体の熱媒体気流(少なくとも大部分の量)は、もはや入口開口の領域では処理領域内に流入せず又は出口開口の領域で処理領域から流出しない。実際の適用例では、移動する長尺材料の上側と下側との対向側でかつ入口側又は出口側に設けられる隔壁装置を連続壁として形成し、移動する長尺材料の幅よりも少なくとも僅かに幅広に入口開口又は出口開口を形成することが好ましい。
【0028】
換言すると、移動気体の熱媒体気流は、処理領域の開口部を通る空気流を阻止する抑止流となり、中立領域への空気流入又は中立領域からの空気流出を阻止する。それにより、特に熱媒体気流が処理領域から流出して、後続の中立領域を貫流し、入口開口を通り後続の処理領域内への熱媒体気流の侵入を阻止することができる。
【0029】
代替的又は累積的に前記解決法を補足して、隣接する前段及び/又は後段の処理領域の温度と同一温度の移動気体を、移動する長尺材料に吹付けて、多少の相違があっても熱媒体気流の阻止作用と効果を更に改良することができる。その場合に、各適用法に応じて移動気体の流速を変更することができる。例えば、5m/s〜25m/s速度範囲が、特に好適であることが判明した。
【0030】
本発明の利点は、第1に処理領域の開口部を通る空気流量(処理領域の入口開口又は出口開口を通過する)を減少又は阻止し、長尺材料、特に薄膜樹脂を安定して搬送する点にある。この利点は、特に、遮蔽材の間隙(入口開口又は出口開口)を安定して通過する薄膜樹脂にも、生ずる現象である。
【0031】
即ち、薄膜樹脂形式の移動する長尺材料により接近して、各境界壁又は仕切壁、特に、隔壁(遮蔽薄板)を配置するほど、本発明の利点をより良好に実現できる。
【0032】
例えば、長尺の薄膜樹脂に比較的大きいたるみが発生し又は垂直方向に比較的大きく変位して薄膜樹脂が通過するとき、本発明では、非拘束の加熱流体形態のエアシャッタにより、移動する長尺材料に隣接して配置される遮蔽材の境界縁(入口開口又は出口開口を形成する)と、移動する長尺材料との間に安全な間隔を確保して、特に長尺の薄膜樹脂として移動する長尺材料の損傷又は薄膜亀裂を阻止することができる。
【0033】
本発明の解決手段の他の利点は、所定の作業幅にわたる安定した扇形又は平面的な移動気体のエアシャッタ流により、所定量の熱伝達を行う点にある。この熱伝達法を利用して、例えば、特に長尺の薄膜樹脂等の移動する長尺材料を予め決められた温度水準に加熱し又は冷却することができる。
【0034】
種々の処理装置で本発明を実施できる。熱風で薄膜樹脂を加熱する全薄膜延伸装置内で、本発明に利用するエアシャッタ法を使用できる。また、同時薄膜延伸装置、連続式薄膜延伸装置又は純粋な縦延伸装置又は横延伸装置でも、明らかに所望の利点を生じつつ、本発明による解決法を実現できる。様々な速度、例えば、50m/minを越えて、各処理領域を通して長尺薄膜が移動する場合でも、本発明の利点を達成できることが実験でも判明し、前記速度値を超える速度が、例えば、700m/minに上昇しても、前記利点を尚実現できる。
【0035】
各処理領域(又は処理炉)に使用する加熱装置又は冷却装置の場合と同様に、遮蔽材仕切壁(遮蔽薄板)に対し、通常、角度45°未満、好ましくは40°未満、35°、30°、25°、20°、15°又は又10°未満で好適にはやや傾斜して、送風機及び熱交換器を介して駆動又は加熱される空気ノズルケースを用いて移動気体(気流)を噴出することができる。例えば、長尺の薄膜樹脂から離間して、処理装置の天井構造の中央に設けられる流出領域又は例えば、別体の吸引ケースを介して、気流を吸引することができる。前記構造を補完しかつ代替的に、長尺薄膜樹脂の下方中央に、例えば、長尺の薄膜樹脂から離隔する底構造の上方に移動気体の吸引装置を設けることもできる。
【0036】
通常、空気形式の気流に対する所定の限界値又は補助変数の遵守は、不要である。温度により、効果を更に改良できるから、問題は、移動気体/空気の温度である。隣接する各処理領域からの空気を一緒に利用し又は例えば、加熱した新鮮空気を利用して、エアシャッタ装置を用いて長尺の薄膜樹脂方向に噴出することができる。
【0037】
例えば、開口ノズル又は同様の穿孔ノズルから遮蔽材に吹付けるエアシャッタ空気又は移動気体を通常発生し、ノズルケースを簡略化して形成することができる。また、穿孔ノズルと開口ノズルの組合わせ構造も、可能である。
【0038】
移動する薄膜樹脂の近傍又はやや離れて、使用済みの熱媒体気流が吸引される。中立領域の入口と出口でのエアシャッタの使用例では、中立領域の内部で熱媒体気流が吸引される。熱媒体気流の吸引を通じて、移動する薄膜樹脂に対し移動気体を特有に押し付けて、処理領域の開口部を通る空気流を安定して阻止することができる。
【0039】
本発明の実施の形態を図面について以下詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】薄膜樹脂延伸装置に接続した処理装置を図式で示す側面図
【
図2】エアシャッタを適用した長尺材料の移動面に直角に見た処理装置の原理断面図
【
図6】穿孔ノズルを使用する開口ノズルの
図5と同様の斜視図
【
図7】開口ノズルと穿孔ノズルを使用する開口ノズルの
図5と同様の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、薄膜延伸装置3’に設けられる延伸炉3”を通して、長尺材料1、例えば、薄膜樹脂1’を搬送方向Aに移動する処理装置3、特に延伸炉3”を備える薄膜延伸装置3’の断面図を示す。同時延伸装置又は順次延伸装置を処理装置3に採用でき、順次延伸装置では、縦延伸と横延伸とを(同時延伸装置とは異なり)同時ではなく、まず縦方向に延伸し、その後横方向に延伸し又はその逆に延伸される。原則的に、横延伸装置でもよい。
【0042】
例えば、処理装置3は、連続する多数の処理領域7を有する適切な筐体構造5を備える。薄膜樹脂延伸装置の複数の処理領域7は、中立領域7nを介して通常互いに接続される。単一のみならず、例えば、2つ又は通常複数の処理室7’を各処理領域に設けることができる。全処理領域7は、特に、移動する薄膜樹脂1’形式の長尺材料1が通過する延伸炉3”を形成する。
【0043】
図2に示すように、処理領域7は、長尺材料1が移動する平面Eに対して通常対称構造であるが、非対称の処理領域7の構造も、可能である。
【0044】
各処理領域7は、領域入口側に設けられる入口開口9aと、出口側に設けられる出口開口9bとを有し、入口開口9aと出口開口9bは、入口開口9aと出口開口9bを形成する縁部に、通過する長尺材料1が接触しない高さと幅の寸法に設計されるので、特に薄膜樹脂形式の長尺材料の損傷を回避することができる。
【0045】
図1に示す各処理領域7内を通って移動する薄膜樹脂を種々の異なる温度に加熱することができる。各処理領域7間に設けられる中立領域7nにより、隣合う2つの処理領域7を互いに完全に分離して、一方の処理領域7から後続の処理領域7内への移動気体Sである処理気体流の移動を阻止することができる。搬送方向Aに移動する薄膜樹脂は、一方の処理領域から後続の処理領域への熱媒体である処理気体流を捕捉して搬送する(移動する長尺の薄膜樹脂が運搬する)薄膜樹脂の伴送作用を生ずるため、本発明では、移動する薄膜樹脂による伴送作用を阻止する種々の手段が設けられる。
【0046】
図2は、薄膜樹脂の搬送方向Aに隣合う複数の処理領域7間に配置される中立領域7nの断面を示す。
【0047】
各処理領域7は、入口側の領域壁(境界壁、遮断壁、遮蔽材)11を構成する領域入口壁11aと、出口側の領域壁11を構成する領域出口壁11bとを通常有し、領域入口壁11aと領域出口壁11bを、遮蔽材境界壁、遮蔽材戸又は遮蔽材板と呼ぶこともある。
【0048】
入口開口9a又は出口開口9b−
図2に示す中立領域7nに通じる−が領域壁11に設けられ、薄膜樹脂の搬送方向Aに前段の出口開口9bと、搬送方向に中立領域7nの後方で後続の領域入口壁11a内に入口開口9aが設けられる。
【0049】
入口開口9aと出口開口9bは、移動する長尺材料1の平面Eに対して通常実質的に平行に配置される境界縁13を有する。可能な限り薄膜樹脂の搬送平面Eに接近する位置に境界縁13を延長すると、開口9a, 9bの高さH(
図2)を極力小さく形成することができる。開口9a, 9bの高さHが小さいほど、処理領域7から次の処理領域7内に流入する移動気体量を減少することができる。従って、領域壁11、遮蔽材境界壁又は遮蔽材鋼板113を長尺材料の移動平面Eに対して最適な間隔に調節し、境界縁113’を異なる位置に調節できる構造が好ましい。例えば、領域壁11の境界縁113’は、領域壁11の境界縁13又は境界縁13を越えて長尺材料1の移動方向に張出す本来の調節可能な遮蔽部材又は遮蔽材鋼板を通常構成し、領域壁11の境界縁113’と、移動する長尺材料1との接触を回避して、長尺材料1が通過する入口開口9aと出口開口9bを形成しなければならない。この形成法により、薄膜樹脂の損傷又は亀裂を招来する薄膜樹脂と境界縁13との接触を回避することができる。
【0050】
図示の実施の形態では、遮蔽材境界壁又は遮蔽材鋼板形式の領域壁11は、長尺材料1、即ち薄膜樹脂1’の移動平面E、長尺材料1の搬送方向Aに対して直角又は実質的に垂直に配置される。
【0051】
図示の実施の形態では、遮蔽材鋼板形式の領域壁11に隣接して、特に本来の処理領域7の外部に、各ノズル装置15が配置される。従って、中立領域7nを設けるとき、2つのノズル装置15は、中立領域7n内に設けられる。
【0052】
ノズル装置15は、移動気体(流体流、気体流、通常は、空気流)Sを発生するノズル噴出開口19を備えるノズル17を有し、移動気体Sは、隣接する遮蔽材境界壁又は遮蔽材鋼板を構成する領域壁11に対し噴射角度αで噴出される。
【0053】
ノズル17から噴出する移動気体Sを
図3に矢印25で示す。
【0054】
領域壁11に対する移動気体Sの噴射角度αは、比較的小さく、通常45°未満に調節される。好ましい噴射角度値は、40°未満、35°、30°、25°、20°及び特に15°未満、又は特に12.5°未満、10°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、又は1°未満であり、1°未満の噴射角度αは、通常、0°より大きいか又は0°に等しい。
【0055】
その結果、移動気体Sは、コアンダ効果により領域壁11の表面11cに接触した後、領域壁11に沿って長尺材料1方向に流れ、コアンダ効果により領域壁11の表面11cから殆ど剥がれない。
【0056】
領域壁11の表面11c及び/又は薄膜樹脂の移動平面Eに対して、領域壁11を直角(垂直)に配置すると、
図2のように、移動気体Sは、量に相違はあるが、通常長尺材料1に垂直(直角)に衝突する。従って、長尺材料1の移動平面Eに対する移動気体Sの噴射角度は、領域壁11の表面11c又は領域壁11自体の方向に依存して、移動気体Sの流量に関わらず定められる。
【0057】
また、移動気体Sは、領域壁11の境界縁13に向かいかつ長尺材料1方向の下方に境界縁13を越えて流動し、移動気体Sは、薄膜樹脂平面Eに実質的に直接衝突する。
【0058】
従って、ノズル装置15及び/又はノズル17及び/又はノズル開口(ノズル噴出口)19の形成構造かつ/又は配置かつ/又は方向により、領域出口壁11b、前段の中立領域壁113b(
図3と
図4)又は領域入口壁11aかつ/若しくは後続の中立領域壁113a(
図3と
図4)は、各移動気体Sを案内し、沿わせかつ/又は並進させて、領域出口壁11b、前段の中立領域壁113b又は領域入口壁11a及び/若しくは後続の中立領域壁113aの各領域壁に移動気体Sが接触した後、長尺材料1に向かって流動させる。移動気体Sのこの条件は、本発明の全実施の形態のノズル装置15に同様に要求される。
【0059】
換言すると、ノズル装置15は、平面的な移動気体Sを発生し、隔壁又は隔壁の方向は、案内壁又はガイド壁となり、移動気体Sは、適切な壁、例えば、領域壁(遮蔽薄板)に沿って隔壁に並流するので、隔壁に向かう移動気体Sは、長尺材料の移動方向に更に安定して案内される。即ち、移動気体は、長尺材料に隣接する領域内で隔壁(遮蔽薄板)に対して事実上平行(並行)にかつ特に長尺材料の移動平面に事実上垂直に接近して、入口開口及び/又は出口開口をほぼ「遮蔽」する。
【0060】
入口開口9aと出口開口9bを通過する薄膜樹脂の上面と下面から境界縁13に至るまでに形成される入口開口9a又は出口開口9bの各残部開放領域は、移動気体Sにより閉鎖される。従って、長尺材料の移動平面Eの上方と下方に、ノズル17を備えるノズル装置15を設けることが好ましい。
【0061】
隣接する処理領域7内の各温度に相当する温度範囲に移動気体Sを加熱すると、各間隙開口の「遮蔽」効果を改善することができる。
【0062】
例えば、中立領域7nの搬送方向前段に配置される処理領域7内の循環空気を、温度範囲T
1に加熱するとき、出口開口9bを閉鎖する移動気体Sも同様に温度範囲T
1に加熱することが好ましい。
【0063】
例えば、
図2に示す中立領域7nの後段に配置される処理領域7内で、温度範囲T
1とは異なる温度範囲T
2に薄膜樹脂を加熱すると、後続の処理領域7の入口開口9aの領域内で、移動気体Sは、薄膜樹脂と同じ好適な温度範囲T
2に加熱されるから、後続の処理領域7内を環流する移動気体(通常は空気)の温度に相当する温度に移動気体Sを加熱することが好ましい。その場合に、隣接する処理領域内の熱媒体となる移動気体Sの各温度に対し、20℃未満、特に15℃未満、12.5℃未満かつ特に10℃未満、8℃、6℃、5℃、4℃、3℃、2℃又は1℃だけ異なる温度に移動気体Sを加熱することが好ましい。
【0064】
図3は、本発明の具現的な実施の形態の詳細な拡大断面図を示す。
図3に示す変形実施の形態では、搬送方向Aに前段の処理領域7と後続の処理領域7との間に設けられる中立領域7nは、筐体装置31により形成される。
【0065】
図3の断面図に示す筐体装置31内には、搬送方向Aに前段の処理領域7に隣接して、ノズル開口19vを有するノズル17vを備える第1のノズル装置15vが設けられ、後続の処理領域7の後続の入口開口9aに隣接して、ノズル17n(ノズル開口19nを有する)を備える他のノズル装置15nが後段に配置される。
【0066】
ノズル装置15及び/又はノズル開口19v, 19nは、長尺材料1の全幅にわたり配置され又は長尺材料1の全幅から±20%未満だけ、特に±10%未満だけ異なって形成される。
【0067】
ノズル開口19v, 19n(
図3)は、隣接する領域壁11に対し噴射角度αで適切な移動気体Sを噴出する作用を発生する。
【0068】
遮蔽材又は遮蔽薄板113の各境界縁113’は、長尺材料1方向への間隔を調節でき、移動気体Sは、遮蔽材又は遮蔽薄板113の各境界縁113’を越えて薄膜樹脂平面Eに向かって流動し、その後、矢視33a又は33b方向に偏向される。薄膜樹脂の搬送方向A前方に設けられる処理領域7に隣接する前段のノズル装置15vから噴射される移動気体Sは、薄膜樹脂の搬送方向Aから矢視33b方向に偏向され、その後、中立領域7nのほぼ中央領域で、移動気体Sは、薄膜樹脂平面Eから離れて、吸薄膜樹脂平面Eから離間して設けられる引装置35に案内される。
【0069】
後続の処理領域7に隣接するノズル17nから薄膜樹脂の搬送方向Aに対し直角に噴出される移動気体Sは、入口開口9aを通り後続の処理領域7内への流入を回避しつつ、薄膜樹脂の搬送方向Aとは逆方向に中立領域7nで移動し、同様に中立領域7nのほぼ中央の領域で、薄膜樹脂平面Eから離れる矢視33a方向に吸引装置35に向かって偏向される。
【0070】
形態と構成の異なる2個の吸引装置35を選択できる。
【0071】
図4は、薄膜樹脂平面Eの各側に設けられるノズル装置15v及び15nに対する単一で共用の吸引装置35の代わりに、例えば、各ノズル装置15とノズル17に対する個別の吸引装置35a及び35bを長尺材料1の各側に設ける他の実施の形態を示す。吸引装置35a及び35bは、例えば、薄膜樹脂平面Eから離間して各ノズル装置15の背後に配置される。単一の吸引装置35を使用しても、複数の吸引装置35a及び35bを使用しても、移動気体Sの吸引方向と流れ方向経路は、基本的に同様である。即ち、中立領域7n内で搬送方向前段に配置されるノズル装置15vは、まず薄膜樹脂の搬送方向Aに対し直角に移動気体を噴出するので、移動気体は、吸引装置35bから離間する逆方向に流動し、薄膜樹脂に向かって噴出した後に、薄膜搬送方向Aの薄膜樹脂平Eに沿って後方に流れ、その後、薄膜樹脂平Eから離間する筐体装置31内の垂直領域の適切な吸引装置35bに向かって反転される。中立領域7n内で後方に配置されるノズル装置15n(後続の処理領域7に対応する)からの移動気体は、薄膜樹脂に向かって噴出した後に、薄膜搬送方向Aとは逆方向の薄膜樹脂平Eに沿って前方に流れ、その後、薄膜樹脂平Eから離間する筐体装置31内の垂直領域の適切な吸引装置35aに向かって反転する。
【0072】
図3と
図4に示す実施の形態では、ノズル装置15v, 15nと吸引装置35は、中立領域7n内で筐体装置31内に収容され、長尺材料1の搬送方向Aに分離して入口側又は出口側に配置される中立領域及び中立領域壁113aと113bを筐体装置31に設けることが好ましい。−
図3と
図4に示すように−隣接する領域入口壁11a又は領域出口壁11bに対して、十分な高さで搬送方向Aの側方に間隔を空けて、中立領域壁113a, 113bを平行に配置することが好ましい。
【0073】
また、処理領域7の領域入口壁11a及び領域出口壁11bの一部となる袖壁かつ/又は中立領域壁113、即ち中立領域壁113a, 113bの一部となる袖壁を薄膜樹脂平面Eに隣接して設けることが好ましい。袖壁は、対向する境界縁13間に各入口開口9a又は各出口開口9bを形成する距離で薄膜樹脂平面Eに接近する方向に突出する少なくとも部分高さを有する。
【0074】
図5と
図6は、例えば、開口ノズル37a又は穿孔ノズル37bから領域壁11及び/又は遮蔽薄板113方向に対し移動気体Sを僅かに傾斜して噴出する盤状断面を有するノズル装置15の斜視図を示し、噴射される移動気体Sは、領域壁11及び/又は領域壁11に対して平行に配置される中立領域壁113に沿いかつ中立領域壁113に取り付けられる領域壁11及び/又は遮蔽薄板113を越えて矢視の移動気体Sで示す薄膜樹脂平面E方向に流動し、
図5と
図6は、更に、各入口開口9a又は各出口開口9bの半分の高さH
1/2でノズル装置15と薄膜樹脂平面Eとの間に形成される間隙を示す。移動気体Sは、ノズル装置15と薄膜樹脂平面Eとの間の間隙を覆って流動し、領域壁11と遮蔽薄板113とで構成される遮蔽材装置は、前段の処理領域7からの気体流出を阻止する。実際には、薄膜樹脂平面Eに対して垂直な充分な距離区間で移動気体Sが流動するが、隣接する前段の処理領域又は後続の処理領域への間隙開口部の領域内では、長尺材料1の平面Eに対してやや斜めに方向変換される場合もある。
【0075】
図5と
図6は、例えば、吸引装置35内の吸引開口部39に相当する吸引領域を示す。
図5と
図6の変形実施の形態では、開口ノズル37a又は37bの高さに吸引開口部39を配置して、様々な構造の吸引装置35の様々な変形例に対し、例えば、中立領域7n内に吸引開口部39を設けることができる。しかし、より高く又はより低く開口ノズル37a又は37bを形成して、開口ノズル37a又は37bとは異なる高さに吸引開口部39を配置できる。
【0076】
長尺材料1の厚さ方向又は少なくとも入口開口9a又は出口開口9bの高さ方向から、移動気体Sは、長尺材料1の横方向の全幅で長尺材料1に衝突し、長尺材料1の上面と下面の各側で入口開口9a又は出口開口9bのほぼ半分の高さの間隙を覆う幅で長尺材料1に向かってノズル装置15から移動気体Sが噴射されるので、各入口開口9a又は各出口開口9bは、移動気体Sにより覆われ、移動気体Sによって「閉鎖」される。このように、入口開口9a又は各出口開口9bを完全に覆う幅で、長尺材料1を横切る幅方向に移動気体を噴射するノズル装置15が設けられ又は配置される。また、長尺材料に対しより小さい幅で平面的又は扇子形状に分割して、開口ノズル37a又は37bを設けかつ/又は形成して、少なくとも入口開口部9a及び/又は出口開口9bの高さに移動気体を拡張して、移動気体を長尺材料に対して噴出し、各入口開口9a又は各出口開口9bをほぼ閉鎖することもできる。
【0077】
図7は、開口ノズル37aに対して平行に形成される穿孔ノズル37bを設けた適切なノズル装置を有する
図5及び
図6とは異なる好適な変形実施の形態を示す。