特許第6854368号(P6854368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6854368情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6854368
(24)【登録日】2021年3月17日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20210329BHJP
【FI】
   G06Q30/02 382
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-29750(P2020-29750)
(22)【出願日】2020年2月25日
【審査請求日】2020年12月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】宇波 真紀
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕
(72)【発明者】
【氏名】藤田 亮
(72)【発明者】
【氏名】西浦 謙二
(72)【発明者】
【氏名】西 翔平
【審査官】 山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−288906(JP,A)
【文献】 特開2007−310431(JP,A)
【文献】 再公表特許第2013/065817(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信を行う通信装置から、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置から所定範囲内に位置する端末から前記通信装置が前記近距離無線通信により受信した前記端末を識別する端末識別情報とを取得する第1取得部と、
前記端末から、前記端末識別情報と広告を示す広告情報の取得要求とを取得する第2取得部と、
前記第2取得部が前記端末から取得した前記端末識別情報が、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに前記第1取得部が取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信する広告配信部と、
前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部が前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置から、当該通信装置の前記装置識別情報と、当該通信装置が受信した当該端末の前記端末識別情報とを取得したか否かを判定する判定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部による判定結果に基づいて、前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部による、前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置の前記装置識別情報と、当該端末の前記端末識別情報との取得状況を特定し、当該取得状況に基づいて、前記広告の効果を測定する測定部、
をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2取得部は、前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記端末から前記広告情報に対応する操作履歴を取得し、
前記測定部は、前記装置識別情報と、前記端末識別情報との前記取得状況と、前記操作履歴の取得状況とに基づいて、前記広告の効果を測定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
近距離無線通信を行う複数の通信装置と、情報処理装置とを備える測定システムであって、
第1の前記通信装置は、所定の商品又はサービスに関する情報が表示される表示装置に対応して設けられ、第2の前記通信装置は、前記商品又はサービスの提供場所に設けられ、
前記通信装置は、
前記通信装置の所定範囲内に位置する端末から、前記端末を識別する端末識別情報を取得する端末識別情報取得部と、
前記端末識別情報取得部が取得した前記端末識別情報と、自身を識別する装置識別情報とを前記情報処理装置に送信する送信部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記通信装置から、前記端末識別情報と、前記装置識別情報とを取得する第1取得部と、
前記端末から、前記端末識別情報と前記商品又はサービスに関する広告情報の取得要求とを取得する第2取得部と、
前記第2取得部が前記端末から取得した前記端末識別情報が、前記表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに前記第1取得部が取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信する広告配信部と、
前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部が、第2の前記通信装置の前記装置識別情報と、当該端末の前記端末識別情報とを取得したかを判定する判定部と、
を有する、
情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部による、前記第2の前記通信装置の前記装置識別情報と、当該端末の前記端末識別情報との取得状況を特定し、当該取得状況に基づいて、前記広告情報が示す広告の効果を測定する測定部、
をさらに有する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第1の前記通信装置の前記送信部は、前記端末識別情報取得部が、所定時間以上にわたって前記端末から前記端末識別情報を取得すると、当該端末識別情報と、前記装置識別情報とを前記情報処理装置に送信する、
請求項4又は5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2の前記通信装置は、前記商品又はサービスが提供される施設の入口に設けられる、
請求項4から6のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記第2の前記通信装置は、前記商品又はサービスが提供される施設における前記商品又はサービスの提供位置から所定距離以内に設けられる、
請求項4から7のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
近距離無線通信を行う通信装置から、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置から所定範囲内に位置する端末から前記通信装置が前記近距離無線通信により受信した前記端末を識別する端末識別情報とを取得するステップと、
前記端末から、前記端末識別情報と広告を示す広告情報の取得要求とを取得するステップと、
前記端末から取得した前記端末識別情報が、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信するステップと、
前記商品又はサービスに関する広告情報が前記端末に配信された後に、前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置から、当該通信装置の前記装置識別情報と、当該通信装置が受信した当該端末の前記端末識別情報とを取得したか否かを判定するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項10】
前記コンピュータが実行する、前記判定の結果に基づいて、前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後における、前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置の前記装置識別情報と、当該端末の前記端末識別情報との取得状況を特定し、当該取得状況に基づいて、前記広告の効果を測定するステップ、
をさらに有する、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記端末識別情報と前記広告情報の取得要求とを取得するステップにおいて、前記商品又はサービスに関する広告情報が前記端末に配信された後に、前記端末から前記広告情報に対応する操作履歴を取得し、
前記測定するステップにおいて、前記装置識別情報と、前記端末識別情報との前記取得状況と、前記操作履歴の取得状況とに基づいて、前記広告の効果を測定する、
請求項10に記載の情報処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルサイネージに表示させた広告の効果を測定することが行われている。例えば、特許文献1には、デジタルサイネージに広告が表示されている場合に、デジタルサイネージの周囲を撮像し、撮像画像に含まれる閲覧者の数を算出することにより広告効果を測定する測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−097465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される技術では、デジタルサイネージを視聴した人の数によって広告効果を測定することから、デジタルサイネージにおける広告表示が、広告閲覧後のユーザの行動に影響を及ぼしているかを特定することができず、広告効果を精度良く測定することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、広告効果を精度良く測定することを可能とする情報処理装置、情報処理システム及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、近距離無線通信を行う通信装置から、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置から所定範囲内に位置する端末から前記通信装置が前記近距離無線通信により受信した前記端末を識別する端末識別情報とを取得する第1取得部と、前記端末から、前記端末識別情報と広告を示す広告情報の取得要求とを取得する第2取得部と、前記第2取得部が前記端末から取得した前記端末識別情報が、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに前記第1取得部が取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信する広告配信部と、前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部が前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置から、当該通信装置の前記装置識別情報と、当該通信装置が受信した当該端末の前記端末識別情報とを取得したか否かを判定する判定部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係る情報処理システムは、近距離無線通信を行う複数の通信装置と、情報処理装置とを備える測定システムであって、第1の前記通信装置は、所定の商品又はサービスに関する情報が表示される表示装置に対応して設けられ、第2の前記通信装置は、前記商品又はサービスの提供場所に設けられ、前記通信装置は、前記通信装置の所定範囲内に位置する端末から、前記端末を識別する端末識別情報を取得する端末識別情報取得部と、前記端末識別情報取得部が取得した前記端末識別情報と、自身を識別する装置識別情報とを前記情報処理装置に送信する送信部と、を有し、前記情報処理装置は、前記通信装置から、前記端末識別情報と、前記装置識別情報とを取得する第1取得部と、前記端末から、前記端末識別情報と前記商品又はサービスに関する広告情報の取得要求とを取得する第2取得部と、前記第2取得部が前記端末から取得した前記端末識別情報が、前記表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに前記第1取得部が取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信する広告配信部と、前記広告配信部が前記商品又はサービスに関する広告情報を前記端末に配信した後に、前記第1取得部が、第2の前記通信装置の前記装置識別情報と、当該端末の前記端末識別情報とを取得したか否かを判定する判定部と、を有する。
【0008】
本発明の第3の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、近距離無線通信を行う通信装置から、前記通信装置を識別する装置識別情報と、前記通信装置から所定範囲内に位置する端末から前記通信装置が前記近距離無線通信により受信した前記端末を識別する端末識別情報とを取得するステップと、前記端末から、前記端末識別情報と広告を示す広告情報の取得要求とを取得するステップと、前記端末から取得した前記端末識別情報が、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置に対応して設けられている前記通信装置に対応する前記装置識別情報とともに取得した前記端末識別情報と一致する場合、前記商品又はサービスに関する広告情報を当該端末に配信するステップと、前記商品又はサービスに関する広告情報が前記端末に配信された後に、前記商品又はサービスの提供場所に設けられている前記通信装置から、当該通信装置の前記装置識別情報と、当該通信装置が受信した当該端末の前記端末識別情報とを取得したか否かを判定するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、広告効果を精度良く測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る測定システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る通信装置の構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る測定装置の構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る効果測定用テーブルの一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る測定システムにおいて、効果測定用テーブルの更新に係る処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[測定システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る測定システムSの概要を示す図である。測定システムSは、表示装置1と、複数の通信装置2と、情報処理装置としての測定装置3とを有し、表示装置1に表示された広告の効果を測定するシステムである。
【0012】
測定装置3は、デジタルサイネージに表示された広告の効果を測定するコンピュータである。測定装置3は、ユーザが所持する端末と近距離無線通信を行う複数の通信装置2と、ユーザが所持するユーザ端末4と、広告の効果を分析する分析者が使用する分析者端末5とに通信可能に接続されている。
【0013】
通信装置2は、デジタルサイネージとしての表示装置1に対応して設けられているとともに、表示装置1が広告として表示する所定の商品又はサービスの提供場所としての施設に設けられている。図1に示す例では、通信装置2Aが、表示装置1の近傍に設けられており、通信装置2Bが所定の商品又はサービスの提供場所である施設の内部に設けられている。例えば、通信装置2Bは、所定の商品又はサービスが提供される施設の入口に設けられている。ユーザ端末4は、ユーザが携帯して所持することができる端末であり、例えば、スマートフォン等の携帯端末である。
【0014】
図1に示す例において、ユーザが、所定の商品又はサービスに関する広告情報を表示する表示装置1の近傍を通過すると、通信装置2Aは、ユーザ端末4から端末を識別する端末識別情報として、端末IDを取得する(図1の(1))。ここで、端末IDは、例えば、ユーザ端末4のユーザに適した広告を提供するためにユーザ端末4に付与される広告識別情報としての広告IDや、ユーザ端末4にインストールされているアプリケーションプログラムにおいてユーザに対して付与したユーザIDである。
【0015】
通信装置2Aは、端末IDを取得すると、自身を識別する装置識別情報としての装置IDと、取得した端末IDとを測定装置3に送信する(図1の(2))。
【0016】
測定装置3は、ユーザが所持するユーザ端末4から、端末IDと、広告情報の取得要求とを取得する(図1の(3))。測定装置3は、ユーザ端末4から取得した端末IDが、通信装置2Aから取得した端末IDと一致していると判断すると、表示装置1に表示されていた広告と同じく、所定の商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信する(図1の(4))。
【0017】
その後、ユーザが、所定の商品又はサービスを提供する施設に入場すると、通信装置2Bは、ユーザ端末4から端末を識別する端末識別情報として、端末IDを取得する(図1の(5))。通信装置2Bは、端末IDを取得すると、自身を識別する装置IDと、取得した端末IDとを測定装置3に送信する(図1の(6))。
【0018】
測定装置3は、商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信した後に、商品又はサービスを提供する施設に設けられている通信装置2Bからの当該ユーザ端末4の端末IDの取得状況に基づいて、広告の効果を測定する(図1の(7))。このようにすることで、測定装置3は、広告効果を精度良く測定することができる。
【0019】
その後、測定装置3は、広告効果の測定結果を分析者端末5に出力する(図1の(8))。これにより、分析者端末5において広告の効果を分析する分析者は、測定結果に基づいて、広告閲覧後のユーザの行動に影響を及ぼしているかを特定することができる。
【0020】
[通信装置2の構成]
続いて、測定システムSが備える通信装置2と、測定装置3との構成について説明する。まず、通信装置2の構成について説明する。なお、通信装置2A及び2Bは同じ構成を有しているものとする。
【0021】
図2は、本実施形態に係る通信装置2の構成を示す図である。図2に示すように、通信装置2は、通信部21と、近距離無線部22と、記憶部23と、制御部24とを備える。
【0022】
通信部21は、インターネット等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。通信部21は、制御部24の制御により測定装置3と通信する。
近距離無線部22は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信を介してユーザ端末4との間で情報の送受信をするための高周波(RF(Radio Frequency))部である。近距離無線部22は、制御部24の制御により、近距離無線通信の通信範囲内である所定範囲内に存在するユーザ端末4と通信する。なお、近距離無線部22は、BLE等の近距離無線通信を介してユーザ端末4との間で情報の送受信をすることとしたが、これに限らず、Wi−Fi(登録商標)等の無線通信を介して、ユーザ端末4との間で情報の送受信をしてもよい。この場合、ユーザ端末4の端末IDとして、ユーザ端末4のMACアドレスが用いられてもよい。
【0023】
記憶部23は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部23は、制御部24が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部23は、制御部24を、端末ID取得部241、送信部242として機能させるプログラムを記憶している。また、記憶部23は、通信装置2を識別する装置IDを記憶している。
【0024】
制御部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部24は、記憶部23に記憶されたプログラムを実行することにより、端末ID取得部241及び送信部242として機能する。
【0025】
端末ID取得部241は、通信装置2の所定範囲内に位置するユーザ端末4から、ユーザ端末4を識別する端末IDを取得する。具体的には、端末ID取得部241は、表示装置1において、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示されている場合に、近距離無線部22に、端末IDの取得要求に対応する近距離無線信号を発信させる。ユーザ端末4は、端末IDの取得要求に対応する近距離無線信号を受信すると、端末IDを通信装置2に送信する。
【0026】
送信部242は、端末ID取得部241が取得した端末IDと、記憶部23に記憶され、自身を識別する装置IDとを測定装置3に送信する。具体的には、送信部242は、端末ID取得部241が、所定時間以上にわたってユーザ端末4から端末IDを取得すると、当該端末IDと、自身を識別する装置IDとを測定装置3に送信する。
【0027】
ここで、所定時間の長さは、表示装置1に対応して設けられる通信装置2Aと、商品又はサービスが提供される提供場所に設けられる通信装置2Bとで異なっていてもよい。例えば、通信装置2Aに対応する所定時間の長さを、通信装置2Bに対応する所定時間の長さよりも大きくしてもよい。このようにすることで、通信装置2は、表示装置1の前で立ち止まったり、ゆっくり歩いたりして、表示装置1に表示されている広告を閲覧した可能性が高いユーザに対応する端末IDを測定装置3に送信することができる。
【0028】
[測定装置3の構成]
続いて、測定装置3の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る測定装置3の構成を示す図である。図3に示すように、測定装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを備える。
【0029】
通信部31は、インターネット等の通信ネットワークに接続するためのインタフェースである。通信部31は、制御部33の制御により通信装置2及びユーザ端末4と通信する。
記憶部32は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部32は、制御部33が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部32は、制御部33を、第1取得部331、第2取得部332、広告配信部333、測定部334として機能させるプログラムを記憶している。
【0030】
また、記憶部32は、広告効果を測定するための効果測定用テーブルを記憶している。図4は、本実施形態に係る効果測定用テーブルの一例を示す図である。図4に示されるように、効果測定用テーブルは、端末IDと、装置IDと、サイネージ広告閲覧時刻と、広告配信時刻と、来場時刻とを関連付けた情報である。
【0031】
ここで、効果測定用テーブルにおける端末IDは、測定装置3が表示装置1に対応して設けられている通信装置2Aから取得したユーザ端末4の端末IDを示している。また、装置IDは、通信装置2Aの装置IDを示している。サイネージ広告閲覧時刻は、測定装置3が通信装置2Aから端末IDを取得した時刻、すなわち、ユーザ端末4のユーザが表示装置1に表示されている所定の商品又はサービスに関する広告を閲覧した時刻を示している。広告配信時刻は、測定装置3がユーザ端末4に広告情報を配信した時刻を示している。来場時刻は、所定の商品又はサービスが提供される施設にユーザ端末4のユーザが来場した時刻を示している。
【0032】
制御部33は、例えばCPUである。制御部33は、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、第1取得部331、第2取得部332、広告配信部333、及び測定部334として機能する。
【0033】
第1取得部331は、通信装置2から、通信装置2を識別する装置IDと、端末IDとを取得する。具体的には、第1取得部331は、通信装置2を識別する装置IDと、通信装置2から所定範囲内に位置するユーザ端末4から通信装置2が近距離無線通信により受信したユーザ端末4の端末IDとを取得する。
【0034】
第1取得部331は、取得した装置IDが、表示装置1に対応して設けられている通信装置2Aを示している場合、当該装置IDを取得した時刻をサイネージ広告閲覧時刻とする。そして、第1取得部331は、効果測定用テーブルに、取得した端末IDと、取得した装置IDと、サイネージ広告閲覧時刻とを関連付けて記憶させる。
【0035】
なお、第1取得部331は、通信装置2から、装置IDと端末IDとを取得することとしたが、これに限らず、通信装置2から、装置IDと、端末IDと、表示装置1を識別するサイネージIDとを取得してもよい。このようにすることで、測定装置3は、複数の表示装置1が存在する場合において、複数の表示装置1のそれぞれに広告情報を表示させた場合の広告効果を測定することができる。
【0036】
第2取得部332は、ユーザ端末4から、ユーザ端末4の端末IDと、広告を示す広告情報の取得要求とを取得する。例えば、ユーザ端末4にインストールされているアプリケーションプログラムは、自身が実行されている場合に、所定時間間隔で、アプリケーションプログラムに対応する表示画面上で広告を表示させるために、ユーザ端末4の端末IDと、広告情報の取得要求とを測定装置3に送信する。第2取得部332は、ユーザ端末4から、ユーザ端末4の端末IDと、広告情報の取得要求とを取得する。
【0037】
広告配信部333は、第2取得部332がユーザ端末4から広告情報の取得要求を取得すると、ユーザ端末4に広告情報を配信する。具体的には、広告配信部333は、記憶部32に記憶されている効果測定用テーブルを参照し、第2取得部332がユーザ端末4から取得した端末IDが、表示装置1に対応して設けられている通信装置2Aに対応する装置IDとともに第1取得部331が取得した端末IDと一致するか否かを判定する。
【0038】
広告配信部333は、端末IDが一致している場合、表示装置1に表示されていた広告情報が示す所定の商品又はサービスに関する広告情報である連動広告情報をユーザ端末4に配信する。広告配信部333は、連動広告情報をユーザ端末4に配信すると、効果測定用テーブルにおいて、第2取得部332が取得した端末IDに関連付けて、広告配信時刻を記憶させる。また、広告配信部333は、端末IDが一致していない場合には、端末IDに基づいて、任意の広告情報である非連動広告情報を選択してユーザ端末4に配信する。
【0039】
測定部334は、判定部として機能し、広告配信部333が商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信した後に、第1取得部331が商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置2から、当該通信装置2の装置IDと、当該通信装置2が受信した当該ユーザ端末4の端末IDとを取得したかを判定する。そして、測定部334は、判定結果に基づいて、広告配信部333が所定の商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信した後に、第1取得部331による、商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置2Bの装置IDと、当該ユーザ端末4の端末IDとの取得状況を特定し、特定した取得状況に基づいて、広告の効果を測定する。
【0040】
例えば、測定部334は、第1取得部331が端末IDと装置IDとを通信装置2から取得した場合、当該装置IDが、所定の商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置2Bを示すものであるか否かを判定する。測定部334は、通信装置2から取得した装置IDが通信装置2Bを示すものである場合、当該装置IDとともに取得した端末IDが効果測定用テーブルに記憶されているか否かを判定する。測定部334は、端末IDが効果測定用テーブルに記憶されていると判定すると、第1取得部331が端末IDと装置IDとを取得した時刻を来場時刻とし、効果測定用テーブルにおいて端末IDに関連付けて記憶させる。
【0041】
所定期間にわたって第1取得部331、広告配信部333、測定部334により効果測定用テーブルが更新されると、表示装置1の所定の商品又はサービスに係る広告を閲覧した可能性が高く、当該広告と同様の広告が配信されたユーザの、所定の商品又はサービスの提供場所に来場状況が記録されることとなる。そこで、測定部334は、効果測定用テーブルを参照して、表示装置1の所定の商品又はサービスに係る広告を閲覧した可能性が高く、当該広告と同様の広告が配信されたユーザの割合を解析することにより、当該広告の効果を測定する。そして、測定部334は、広告の効果の測定結果を示す測定結果情報を分析者端末5に出力する。
【0042】
[測定システムSの処理の流れ]
続いて、測定システムSにおける処理の流れについて説明する。図5は、本実施形態に係る測定システムSにおいて、効果測定用テーブルの更新に係る処理の流れを示すシーケンス図である。なお、図5に示す例では、測定システムSに含まれないユーザ端末4も含めてシーケンスを説明する。
【0043】
表示装置1に対応して設けられている通信装置2Aの端末ID取得部241は、自身から所定範囲内に位置するユーザ端末4に端末IDの取得要求を送信する(S1)。ユーザ端末4は、通信装置2Aから端末IDの取得要求を受信すると、端末IDを通信装置2Aに送信する(S2)。
【0044】
通信装置2Aの端末ID取得部241は、端末IDをユーザ端末4から受信する。通信装置2Aの送信部242は、自身の装置IDと、ユーザ端末4から受信した端末IDとを測定装置3に送信する(S3)。測定装置3の第1取得部331は、通信装置2Aから装置IDと端末IDとを受信し、これらの装置IDと端末IDとを効果測定用テーブルに記憶させる(S4)。
【0045】
続いて、ユーザ端末4は、端末IDと広告情報の取得要求とを測定装置3に送信する(S5)。測定装置3の第2取得部332は、ユーザ端末4から端末IDと、広告情報の取得要求とを取得する。
【0046】
続いて、測定装置3の広告配信部333は、第2取得部332が取得した端末IDと一致する端末IDが効果測定用テーブルに格納されているか否かを判定することにより、第2取得部332が取得した端末IDと、先に第1取得部331が取得した端末IDとが一致しているか否かを判定する(S6)。
【0047】
広告配信部333は、端末IDが一致していると判定すると(S6のYES)、表示装置1に表示されていた広告情報と連動する連動広告情報をユーザ端末4に配信する(S7)。そして、広告配信部333は、効果測定用テーブルにおいて、第2取得部332が取得した端末IDに関連付けて、広告配信時刻を記憶させる(S8)。なお、図5では、表示を省略しているが、広告配信部333は、端末IDが一致していないと判定すると、表示装置1に表示されていた広告情報と連動しない非連動広告情報をユーザ端末4に配信する。
【0048】
続いて、所定の商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置2Bの端末ID取得部241は、自身から所定範囲内に位置するユーザ端末4に端末IDの取得要求を送信する(S9)。ユーザ端末4は、通信装置2Bから端末IDの取得要求を受信すると、端末IDを通信装置2Bに送信する(S10)。
【0049】
通信装置2Bの端末ID取得部241は、端末IDをユーザ端末4から受信する。通信装置2Bの送信部242は、自身の装置IDと、ユーザ端末4から受信した端末IDとを測定装置3に送信する(S11)。測定装置3の第1取得部331は、通信装置2Bから装置IDと端末IDとを受信する。
【0050】
測定装置3の測定部334は、第1取得部331が取得した装置IDが通信装置2Bを示しているとともに、当該装置IDとともに取得した端末IDが効果測定用テーブルに記憶されている場合、第1取得部331が端末IDと装置IDとを取得した時刻を来場時刻とする。そして、測定部334は、効果測定用テーブルにおいて、第1取得部331が受信した端末IDに当該来場時刻を関連付けて記憶させる(S12)。
【0051】
[変形例1]
なお、上述の実施形態において、通信装置2Bは、所定の商品又はサービスが提供される施設の入口に設けられることとしたが、これに限らない。通信装置2Bは、商品又はサービスが提供される施設における商品又はサービスの提供位置から所定距離以内に設けられるようにしてもよい。例えば、通信装置2Bは、商品又はサービスが提供される売り場内に設けられるようにしてもよい。このようにすることで、測定装置3は、表示装置1が広告として表示する所定の商品又はサービスに対して興味を持つユーザを精度良く特定することができる。これにより、測定装置3における広告効果の測定の信頼度を向上させることができる。
【0052】
[変形例2]
また、第2取得部332は、広告配信部333が所定の商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信した後に、当該ユーザ端末4から広告情報に対応する操作履歴を取得してもよい。そして、測定部334は、装置IDと、端末IDとの取得状況と、当該操作履歴の取得状況とに基づいて、広告の効果を測定してもよい。
【0053】
例えば、測定部334は、所定の商品又はサービスに関する広告情報の操作履歴の取得結果を、広告効果の重み付けに用いてもよい。この場合、測定部334は、第2取得部332がユーザ端末4から当該広告情報の操作履歴を取得した場合には、当該ユーザ端末4のユーザが所定の商品又はサービスの提供場所に来場したか否かにかかわらず、効果測定用テーブルの解析により得られる広告効果を上方修正してもよい。このようにすることで、広告情報に対する操作状況を広告効果の測定に反映させることができる。
【0054】
[本実施形態における効果]
以上説明したように、本実施形態に係る測定装置3は、ユーザ端末4から取得した端末IDが、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置1に対応して設けられている通信装置2Aに対応する装置IDとともに取得した端末IDと一致する場合、所定の商品又はサービスに関する広告情報を当該ユーザ端末4に配信する。そして、測定装置3は、所定の商品又はサービスに関する広告情報をユーザ端末4に配信した後に、当該所定の商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置2Bの装置IDと、当該ユーザ端末4の端末IDとの取得状況に基づいて、広告の効果を測定する。このようにすることで、測定装置3は、広告閲覧後のユーザの行動に影響を及ぼしているかを特定し、広告効果を精度良く測定することができる。
【0055】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0056】
1・・・表示装置、2・・・通信装置、21・・・通信部、22・・・近距離無線部、23・・・記憶部、24・・・制御部、241・・・端末ID取得部、242・・・送信部、3・・・測定装置、31・・・通信部、32・・・記憶部、33・・・制御部、331・・・第1取得部、332・・・第2取得部、333・・・広告配信部、334・・・測定部、4・・・ユーザ端末、5・・・分析者端末
【要約】      (修正有)
【課題】広告効果を精度良く測定することを可能とする。
【解決手段】測定装置3は、通信装置を識別する装置IDと、当該通信装置がユーザ端末から受信した端末IDとを取得する第1取得部331と、ユーザ端末から端末IDと広告情報の広告取得要求とを取得する第2取得部332と、第2取得部332がユーザ端末から取得した端末IDが、所定の商品又はサービスに関する広告情報が表示される表示装置に対応して設けられている通信装置に対応する装置IDとともに第1取得部331が取得した端末IDと一致する場合、当該商品又はサービスに関する広告情報を当該ユーザ端末に配信する広告配信部333と、広告情報をユーザ端末に配信した後に、第1取得部331が商品又はサービスの提供場所に設けられている通信装置から、当該通信装置の装置IDと、当該ユーザ端末の端末IDとを取得したかを判定する測定部334と、を備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5