(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電源部は、前記太陽光発電パネルからの直流電路に接続される昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータの出力側に接続される降圧コンバータとを含み、両コンバータの中間に前記コンデンサが存在する請求項1に記載の開閉装置。
前記コンデンサは、前記太陽光発電パネルが発電する時間帯において発電電力が所定時間の範囲内で低下した場合に、閉路している前記開閉部を前記所定時間維持するエネルギーを蓄えるキャパシタンスを有している請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の開閉装置。
太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルと直流電路を介して接続されるパワーコンディショナと、前記直流電路に設けられる開閉装置と、を備える太陽光発電システムであって、前記開閉装置は、
前記直流電路の高電位側電路にアノードが接続された一のダイオード、及び、低電位側電路にカソードが接続された他のダイオード、の少なくとも一方のダイオードと、
前記ダイオードを介して前記直流電路から与えられる直流電圧に基づいて充電されるコンデンサと、
スイッチング素子を含み、前記コンデンサの両端の電圧を所望の電圧に変換して出力する電源部と、
前記直流電路に挿入され、前記電源部の出力する電圧を駆動電圧とする開閉部と、
前記開閉部の開閉を制御する制御スイッチと、
を備えている太陽光発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態の要旨]
本発明の実施形態の要旨としては、少なくとも以下のものが含まれる。
【0012】
(1)これは、太陽光発電パネルとパワーコンディショナとを互いに接続する直流電路に設けられる開閉装置であって、前記直流電路の高電位側電路にアノードが接続された一のダイオード、及び、低電位側電路にカソードが接続された他のダイオード、の少なくとも一方のダイオードと、前記ダイオードを介して前記直流電路から与えられる直流電圧に基づいて充電されるコンデンサと、スイッチング素子を含み、前記コンデンサの両端の電圧を所望の電圧に変換して出力する電源部と、前記直流電路に挿入され、前記電源部の出力する電圧を駆動電圧とする開閉部と、前記開閉部の開閉を制御する制御スイッチと、を備えている。
【0013】
上記のように構成された開閉装置では、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、コンデンサに蓄えられているエネルギーにより開閉部を閉路状態に維持することができる。直流電路の電圧が、充電されたコンデンサの電圧より低くなっても、ダイオードの存在により逆阻止され、また、コンデンサのキャパシタンスも必要最小限にすることで、直流電路への影響を抑制することができる。従って、コンデンサが、パワーコンディショナのMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御に影響を与えることを抑制できる。コンデンサの電圧に基づいて、電源部は開閉部の駆動電圧を生成し、この駆動電圧により、通常は開閉部が閉路されている。制御スイッチは、非常時に自己の動作により、開閉部を開路することができる。このようにして、外部から電源供給しなくても太陽光発電に基づいて、かつ、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、開閉装置の通常の閉路状態を維持することができる。
【0014】
(2)また、(1)の開閉装置において、前記電源部は降圧コンバータを含むものであってもよい。
太陽光発電は一般に数百ボルトの発電電圧になるので、降圧コンバータにより適切な駆動電圧を得ることができる。
【0015】
(3)また、(1)の開閉装置において、前記電源部は、前記太陽光発電パネルからの直流電路に接続される昇圧コンバータと、前記昇圧コンバータの出力側に接続される降圧コンバータとを含み、両コンバータの中間に前記コンデンサが存在する構成であってもよい。
この場合、太陽光発電パネルの発電電圧にかかわらず、コンデンサには安定した電圧を印加することができる。従って、コンデンサに蓄えられるエネルギーを安定して一定に維持することができる。
【0016】
(4)また、(1)〜(3)のいずれかの開閉装置において、前記コンデンサは、前記太陽光発電パネルが発電する時間帯において発電電力が所定時間低下した場合に、閉路している前記開閉部を前記所定時間維持するエネルギーを蓄えるキャパシタンスを有していることが好ましい。
この場合、例えば日射の一時的な(短時間の)低下で発電電力が急落しても、所定時間は開閉部の閉路を維持することができる。従って、頻繁に開閉部が開路動作して開閉部の寿命が短くなる、という事態を抑制することができる。
【0017】
(5)また、(1)〜(4)のいずれかの開閉装置において、前記制御スイッチは、熱及び水の少なくとも一方に反応して前記開閉部を開路するように動作するようにしてもよい。
この場合、火災の熱や放水の水により開閉部が開路されることにより、開閉装置からパワーコンディショナまでの電路に発電電圧が現れないようにすることができる。
【0018】
(6)また、(1)〜(5)のいずれかの開閉装置において、前記電源部は、前記開閉部が閉路された後、閉路を保持する電力を所定レベルまで低下させてもよい。
この場合、例えば開閉部がリレーである場合、定格動作電圧より釈放電圧が低いことを利用して駆動電圧を低下させ、電力消費を低減することができる。
【0019】
(7)また、(1)の開閉装置が、複数の太陽光発電パネルと、これらにそれぞれ対応するパワーコンディショナとを互いに接続する複数系統の直流電路に設けられる場合、前記ダイオードは複数あって、前記複数系統の直流電路のそれぞれにおける高電位側電路から低電位側電路への方向を順方向としたとき逆阻止の極性となるように接続されており、
前記コンデンサは、前記ダイオードを介して前記複数系統の直流電路から与えられる直流電圧に基づいて充電され、前記開閉部は複数あって、前記複数系統の直流電路にそれぞれ挿入されている、という構成であってもよい。
この場合、太陽光発電パネルとパワーコンディショナとの組が複数組あっても、ダイオードをそれぞれの組に設けることと、キャパシタンスの増量とにより対応することができる。
【0020】
(8)また、これは、太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルと直流電路を介して接続されるパワーコンディショナと、前記直流電路に設けられる開閉装置と、を備える太陽光発電システムであって、前記開閉装置は、前記直流電路の高電位側電路にアノードが接続された一のダイオード、及び、低電位側電路にカソードが接続された他のダイオード、の少なくとも一方のダイオードと、前記ダイオードを介して前記直流電路から与えられる直流電圧に基づいて充電されるコンデンサと、スイッチング素子を含み、前記コンデンサの両端の電圧を所望の電圧に変換して出力する電源部と、前記直流電路に挿入され、前記電源部の出力する電圧を駆動電圧とする開閉部と、前記開閉部の開閉を制御する制御スイッチと、を備えている。
【0021】
上記のように構成された太陽光発電システムにおける開閉装置は、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、コンデンサに蓄えられているエネルギーにより開閉部を閉路状態に維持することができる。直流電路の電圧が、充電されたコンデンサの電圧より低くなっても、ダイオードの存在により逆阻止され、また、コンデンサのキャパシタンスも必要最小限にすることで、直流電路への影響を抑制することができる。従って、コンデンサが、パワーコンディショナのMPPT制御に影響を与えることを抑制できる。コンデンサの電圧に基づいて、電源部は開閉部の駆動電圧を生成し、この駆動電圧により、通常は開閉部が閉路されている。制御スイッチは、非常時に自己の動作により、開閉部を開路することができる。このようにして、外部から電源供給しなくても太陽光発電に基づいて、かつ、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、開閉装置の通常の閉路状態を維持することができる太陽光発電システムを提供することができる。
【0022】
[実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る開閉装置について、図面を参照して説明する。
【0023】
[第1実施形態]
《回路構成》
図1は、第1実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、開閉装置1は、太陽光発電パネル2とパワーコンディショナ3とを互いに接続する直流電路4に介在する形で設けられている。パワーコンディショナ3は、交流電路5と接続される。なお、開閉装置1は、自己が開路したときの、太陽光発電パネル2から開閉装置1までの活線部位を短くする観点から、なるべく太陽光発電パネル2に近い場所に設けられることが好ましい。
【0024】
開閉装置1は、ダイオード11、コンデンサ12、電源部13、開閉部14、及び、外部にではあるが、制御スイッチ15と、を備えている。ダイオード11のアノードは直流電路4の高電位側電路4pに接続されている。太陽光発電パネル2の直流電路4の低電位側電路4nと、ダイオード11のカソードとの間には、コンデンサ12が接続されている。コンデンサ12は、低電位側電路4nと、ダイオード11のカソードとの間に現れる電圧すなわち、太陽光発電パネル2の発電電圧により充電される。
【0025】
コンデンサ12の両端には電源部13が接続されている。電源部13は降圧コンバータを含み、所定の直流電圧を出力する。電源部13が出力する直流電圧は内部の制御電源電圧になると共に、開閉部14の駆動電圧となる。開閉部14は例えば、励磁コイルと接点とを有するリレーである。制御スイッチ15は、開閉装置1の構成要素でもあるが、この例では、外部に設けられている。制御スイッチ15は、例えば需要家のユーザが手動操作により開閉することができる。
【0026】
図2は、
図1における電源部13の内部回路の一例を示す回路図である。図において、この電源部13の実体は、コンデンサ12の両端電圧を所定の直流電圧に変換(降圧)する非絶縁の降圧コンバータ13Dである。すなわち、降圧コンバータ13Dの基本的な構成要素として、例えばMOS−FET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であるスイッチング素子131と、ダイオード132と、リアクトル133と、コンデンサ134とを、図示のように備えている。太陽光発電は一般に数百ボルトの発電電圧になるので、降圧コンバータ13Dにより適切な駆動電圧を得ることができる。
【0027】
スイッチング素子131は、ドレインが高電位側入力電路P
inに接続されている。ダイオード132は、スイッチング素子131のソース側にカソードが、低位電位側入力電路N
inにアノードが、それぞれ接続されている。リアクトル133は、スイッチング素子131に対して直列に接続されている。コンデンサ134の両端からは、高電位側出力電路P
out、低電位側出力電路N
outが引き出される。
【0028】
スイッチング素子131は、例えばIC130に搭載されている。IC130は、スイッチング素子131のゲートに接続された制御部135と、起動回路136とを備えている。起動回路136は、高電位側入力電路P
inとIC130のVcc端子との間に設けられている。制御部135はVcc端子から制御電源電圧を受けている。IC130の外側には、ダイオード137と、コンデンサ138とが設けられている。ダイオード137は、そのカソードがVcc端子に接続され、アノードが高電位側出力電路P
outに接続されている。コンデンサ138は、Vcc端子とGND端子との間に接続されている。
【0029】
制御部135は、PWM(Pulse Width Modulation)制御、FETドライバ、フィードバック制御等の機能を有している。起動回路136は、電源部13を自立的に立ち上げる機能を有している。
【0030】
《開閉装置の動作》
次に開閉装置1の動作について説明する。
図1において、通常、制御スイッチ15は閉路されている。また、例えば夜であるとすると、電源部13からは出力電圧が得られず、開閉部14は開路している。この状態から朝になり、太陽光発電パネル2が発電できる状態になると、直流電路4の線間(4p−4n間)に直流電圧が印加され、ダイオード11を介して、コンデンサ12が充電される。
【0031】
図2において、高電位側入力電路P
inの電圧が0から上昇して所定の電圧(例えば29V程度)に達すると、起動回路136は動作を開始し、定電流でコンデンサ138の充電を開始する。これによりコンデンサ138に電荷が蓄積され、Vcc端子の電圧が所定の電圧(例えば15V)になると、制御部135が制御動作を開始する。すなわち、制御部135は、スイッチング素子131のスイッチング制御(PWM制御)を開始する。これにより、電源部13は、降圧コンバータ13Dとして起動し、高電位側出力電路P
outと低電位側出力電路N
outとの間に、所定の電圧(例えばDC24V)を出力する。
【0032】
電源部13が出力を開始すると、起動回路136は自動的に停止し、起動回路136による電力消費を抑える。リアクトル133、ダイオード137、及び、コンデンサ138は閉回路を構成し、コンデンサ138は常時、充電されている状態となる。
【0033】
図1に戻り、電源部13の出力電圧は開閉部14の駆動電圧となる。制御スイッチ15が閉路されていると、駆動電圧が開閉部14に与えられ、開閉部14は接点を閉路する。開閉部14は、直流電路4上に介在している。従って、太陽光発電パネル2は直流電路4(4p,4n)を介してパワーコンディショナ3と互いに接続されている状態となる。開閉部14の閉路によりパワーコンディショナ3はスタンバイ状態から起動し、太陽光発電パネル2の発電出力に対してMPPT制御を開始し、交流電路5に交流電力を提供する。
【0034】
MPPT制御により、直流電路4の線間電圧は絶えず微小変化をしている。例えば、MPPT制御により、直流電路4の線間電圧がコンデンサ12の両端電圧より低くなった場合、ダイオード11の存在により、コンデンサ12の両端電圧は直流電路4の線間電圧に影響を与えない。逆に、直流電路4の線間電圧がコンデンサ12の両端電圧より高くなった場合、ダイオード11を通してコンデンサ12に電流が流れ込むが、コンデンサ12のキャパシタンスを適切に選定することにより電流を抑制し、MPPT制御に実質的な影響を与えないようにすることができる。
【0035】
図3は、開閉装置1における1日の状態変化を示す図である。(a)は太陽光発電パネル2から開閉装置1への入力電圧V
in、(b)は電源部13への入力電圧Vc
in、(c)は電源部13が出力する駆動電圧、(d)は開閉部14の開閉状態を、それぞれ表している。
【0036】
この例では、入力電圧V
inは、時刻T1より少し前に立ち上がり時刻T1より少し後には安定する。時刻T3には例えば天候の急激な変化による日射急変により、入力電圧V
inが低下し、一旦0になった後、時刻T5に元の状態に復帰する。時刻T6には日没が近くなり、その後、入力電圧が低下して0になる。
【0037】
このような入力電圧V
inの変化に対して、電源部13への入力電圧Vc
inすなわちコンデンサ12の両端電圧は、時刻T1から時刻T3までは(a)の入力電圧V
inと同じように推移する。時刻T3以後、入力電圧Vc
inも低下するが、コンデンサ12の存在により低下が緩慢になり、時刻T3から時刻T4までの保持時間ΔTの間、下限値Vc
in_min以上を保持する。この下限値Vc
in_minとは、一旦閉路した開閉部14を閉路状態で保持できる最低電圧(釈放電圧より高い)を駆動電圧として電源部13から出力するために、入力電圧Vc
inとして必要な最低の電圧である。
【0038】
一方、電源部13が出力する(c)の駆動電圧は、電源部13が動作を開始した時刻T1から立ち上がり、所定の電圧となる。これにより、(d)に示すように、開閉部14は閉路する。その後、時刻T2において電源部13は、節電のため、駆動電圧を低下させ、時刻T7までその状態となる。駆動電圧は、釈放電圧より高ければよい。すなわち、開閉部14がリレーである場合、定格動作電圧より釈放電圧が低いことを利用して駆動電圧を低下させ、開閉部14の電力消費を低減することができる。なお、電力消費を低減できればよいので、駆動電圧・駆動電流の少なくとも一方を低下させる手段であればよい。
【0039】
入力電圧Vc
inは、時刻T5に元の状態に復帰する。時刻T6には日没が近くなり、電圧が低下していく。時刻T7までは、下限値Vc
in_min以上の電圧が入力されるので、駆動電圧を維持することができ、開閉部14は閉路している。その後、さらに入力電圧Vc
inが低下して下限値Vc
in_minより低い電圧になると、開閉部14の閉路を維持する駆動電圧は出力できなくなり、開閉部14は開路する。すなわち、1日の発電終了である。
【0040】
なお、もし、この需要家で太陽光発電中に火災が発生し、消火活動が必要になる場合には、制御スイッチ15を開くことにより、開閉部14を強制的に開路することができる。開閉部14が開路されれば、開閉装置1からパワーコンディショナ3までの直流電路4には電圧は印加されない状態となり、放水時の電気的な安全性が確保できる。
【0041】
《コンデンサの容量計算》
火災のような非常時を除けば、太陽光発電中は日射急変等があっても、開閉部14を閉路すなわち励磁した状態に維持できることが好ましい。開閉部14を閉路状態で維持するためのエネルギーは、常時、コンデンサ12に蓄えられている。そのために必要な、いわば最低限のキャパシタンスC
inは、以下のようにして求められる。
【0042】
まず、各記号は以下の通りである。
V
in:太陽光発電パネル2から電源部13への入力電圧(例えば定格電圧)
V
in_min:開閉部14の閉路状態を維持するための入力電圧の下限値(≒Vc
in_min)
η:電源部13の変換効率
P:電源部13の消費電力
Δt:
図3の保持時間
【0043】
この場合、コンデンサ12に蓄えられるエネルギーは、
(1/2)×C
in×(V
in−V
in_min)
2
である。一方、電力及び保持時間より必要なエネルギーは、
(P/η)×Δt
である。従って、
(1/2)×C
in×(V
in−V
in_min)
2=(P/η)×Δt
・・・(1)
を満たすキャパシタンスC
inであればよい。
式(1)をC
inについて解くと、
C
in=(2×P×Δt)/{η×(V
in−V
in_min)
2} ・・・(2)
となる。
【0044】
かかるキャパシタンスC
inを有するコンデンサ12は、太陽光発電パネル2が発電する時間帯において発電電力が所定時間の範囲内で一時的に低下しても、閉路している開閉部14を所定時間維持するエネルギーを蓄えることができる。従って、例えば日射の一時的な(短時間の)低下で発電電力が急落しても、所定時間は開閉部14の閉路を維持することができる。従って、頻繁に開閉部14が開路動作して開閉部14の寿命が短くなる、という事態を抑制することができる。
【0045】
[第2実施形態]
《回路構成》
図4は、第2実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、この開閉装置1が、
図1の開閉装置1と異なるのは、
図1の位置にコンデンサ12が存在しない点である。
図4に示すその他の回路構成及び機能は
図1と同様であるので、説明を省略する。このような開閉装置1では、太陽光発電パネル2の発電電圧にかかわらず、コンデンサ12(
図5)には安定した電圧を印加することができる。従って、コンデンサ12に蓄えられるエネルギーを安定して一定に維持することができる。
【0046】
図5は、
図4における電源部13の内部回路の一例を示す回路図である。図において、この電源部13の実体は、太陽光発電パネル2からの直流電路に接続される昇圧コンバータ16と、その出力側に接続される降圧コンバータ13Dとの間に、コンデンサ12が設けられたものである。
【0047】
昇圧コンバータ16は、コンデンサ161、リアクトル162、スイッチング素子163、ダイオード164、及び、スイッチング素子163の制御部165を、図示のように接続して構成されている。スイッチング素子163は例えばMOS−FETである。コンデンサ12は、
図1では電源部13の外にあったが、この実施形態では、昇圧コンバータ16の出力側の2線間に接続されている。降圧コンバータ13Dの内部開路構成及び機能は、
図2の降圧コンバータ13Dと概ね同じであるので同じ部分についての説明は省略するが、異なるのは、降圧コンバータ13Dの高電位側出力電路P
outの電圧を、昇圧コンバータ16の制御部165の制御電源電圧としても利用している点である。なお、昇圧コンバータ16の制御部165の制御電源電圧を、降圧コンバータ13Dからもらうのは一例であり、昇圧コンバータ16にも起動回路を設けて独自に制御電源電圧を得るようにしてもよい。
【0048】
《開閉装置の動作》
次に、
図4,
図5の開閉装置1の動作について説明する。
図5において、太陽光発電パネル2(
図4)の発電による出力電圧がダイオード11(
図4)を介して電源部13に入力される。高電位側入力電路P
inと、低電位側入力電路N
inとの線間電圧により、停止状態の昇圧コンバータ16におけるリアクトル162及びダイオード164を介して、コンデンサ12が充電される。
【0049】
図5において、コンデンサ12の両端の電圧が0から上昇して所定の電圧(例えば29V程度)に達すると、起動回路136は動作を開始し、定電流でコンデンサ138の充電を開始する。これによりコンデンサ138に電荷が蓄積され、Vcc端子の電圧が所定の電圧(例えば15V)になると、制御部135が制御動作を開始する。すなわち、制御部135は、スイッチング素子131のスイッチング制御(PWM制御)を開始する。これにより、電源部13は、降圧コンバータ13Dとして起動し、高電位側出力電路P
outと低電位側出力電路N
outとの間に、所定の電圧(例えばDC24V)を出力する。
【0050】
電源部13が出力を開始すると、起動回路136は自動的に停止し、起動回路136による電力消費を抑える。リアクトル133、ダイオード137、及び、コンデンサ138は閉回路を構成し、コンデンサ138は常時、充電されている状態となる。
【0051】
一方、Vcc端子の電圧により昇圧コンバータ16もスイッチング素子163のスイッチングを開始し、昇圧動作が行われる。このように昇圧コンバータ16で入力電圧を一旦昇圧することで、太陽光発電パネル2が出力する電圧にかかわらず、コンデンサ12を一定電圧以上の電圧で充電することができる。これにより、コンデンサ12には一定値以上のエネルギーを蓄えることができるので、必要最小限のキャパシタンスでもエネルギーは足りる。逆に言えば、必要以上にキャパシタンスを大きくする必要がない。
【0052】
図4に戻り、電源部13の出力電圧は開閉部14の駆動電圧となる。制御スイッチ15が閉路されていると、駆動電圧が開閉部14に与えられ、開閉部14は接点を閉路する。開閉部14は、直流電路4上に介在している。従って、太陽光発電パネル2は直流電路4(4p,4n)を介してパワーコンディショナ3と互いに接続されている状態となる。開閉部14の閉路によりパワーコンディショナ3はスタンバイ状態から起動し、太陽光発電パネル2の発電出力に対してMPPT制御を開始し、交流電路5に交流電力を提供する。
【0053】
MPPT制御により、直流電路4の線間電圧は絶えず微小変化をしている。例えば、MPPT制御により、直流電路4の線間電圧がコンデンサ12の両端電圧より低くなった場合、ダイオード11の存在により、コンデンサ12の両端電圧は直流電路4の線間電圧に影響を与えない。逆に、直流電路4の線間電圧がコンデンサ12の両端電圧より高くなった場合、ダイオード11を通して昇圧コンバータ16のコンデンサ161、及び、コンデンサ12に電流が流れ込むが、コンデンサ161及びコンデンサ12の各キャパシタンスを適切に選定することにより電流を抑制し、MPPT制御に実質的な影響を与えないようにすることができる。
【0054】
[第3実施形態]
《回路構成》
図6は、第3実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、この開閉装置1が、
図1の開閉装置1と異なるのは、例えばパワーコンディショナ3から、開閉部14の駆動電圧のアシストを受けている点である。すなわち、電源部13の出力の2線と並列に、パワーコンディショナ3から同等の出力電圧が与えられる。ダイオード17は、逆流防止のために挿入されている。
図6に示すその他の回路構成及び機能は
図1と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図6のような回路構成の場合は、開閉装置1の外部から駆動電圧のアシストを受けるので、コンデンサ12のキャパシタンスをさらに低減することができる。
【0056】
[第4実施形態]
《回路構成》
図7は、第4実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、開閉装置1は、太陽光発電パネル2Aとパワーコンディショナ3Aとを互いに接続する直流電路4A(4Ap,4An)に介在する形で設けられている。また、開閉装置1は、太陽光発電パネル2Bとパワーコンディショナ3Bとを互いに接続する直流電路4B(4Bp,4Bn)に介在する形で設けられている。パワーコンディショナ3A,3Bは、交流電路5と接続される。なお、開閉装置1は、自己が開路したときの、太陽光発電パネル2A,2Bから開閉装置1までの活線部位を短くする観点から、なるべく太陽光発電パネル2A,2Bに近い場所に設けられることが好ましい。
【0057】
開閉装置1は、ダイオード11A,11B、コンデンサ12、電源部13、開閉部14A,14B、及び、外部にではあるが、制御スイッチ15と、を備えている。ダイオード11Aのアノードは直流電路4Aの高電位側電路4Apに接続されている。太陽光発電パネル2Aの直流電路4Aの低電位側電路4Anと、ダイオード11Aのカソードとの間には、コンデンサ12が接続されている。コンデンサ12は、低電位側電路4Anと、ダイオード11Aのカソードとの間に現れる電圧すなわち、太陽光発電パネル2Aの発電電圧により充電される。
【0058】
また、ダイオード11Bのアノードは直流電路4Bの高電位側電路4Bpに接続されている。太陽光発電パネル2Bの直流電路4Bの低電位側電路4Bnと、ダイオード11Bのカソードとの間には、コンデンサ12が接続されている。コンデンサ12は、低電位側電路4Bnと、ダイオード11Bのカソードとの間に現れる電圧すなわち、太陽光発電パネル2Bの発電電圧により充電される。なお、太陽光発電パネル2Bの発電電圧は、太陽光発電パネル2Aの発電電圧と、同等であるとする。
【0059】
コンデンサ12の両端には電源部13が接続されている。電源部13は降圧コンバータを含み、所定の直流電圧を出力する。電源部13が出力する直流電圧は内部の制御電源電圧になると共に、開閉部14A,14Bの駆動電圧となる。開閉部14A,14Bは例えば、励磁コイルと接点とを有するリレーである。開閉部14Aは直流電路4A上に介在し、開閉部14Bは直流電路4B上に介在する。制御スイッチ15は、開閉装置1の構成要素でもあるが、この例では、外部に設けられている。制御スイッチ15は、例えば需要家のユーザが手動操作により開閉することができる。
【0060】
このように、太陽光発電パネルが複数系統存在する場合でも、開閉装置1は共通のものとし、電源部13も共用できる。この場合、電源部13は、2つの開閉部14A,14Bに駆動電圧を与えるので、所要電力が大きくなり、その分、コンデンサ12のキャパシタンスを大きくする必要がある。
すなわち、太陽光発電パネルとパワーコンディショナとの組が複数組あっても、ダイオードをそれぞれの組に設けることと、キャパシタンスの増量とにより簡単に対応することができる。
【0061】
[第5実施形態]
《制御スイッチの変形例1》
図8は、第5実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、
図1との違いは、制御スイッチ15が通信部18により開閉される点であり、その他の構成及び機能は同様である。
図8の回路構成では、制御スイッチ15及び通信部18は、開閉装置1の内部に設けられている。需要家のユーザは、離れた場所から、操作部19により開閉の操作を行う。開閉の操作信号は例えば無線信号で通信部18に受信され、これを受けて通信部18が制御スイッチ15の開閉を行う。この場合、万一の火災の際、消防隊員による消火活動が始まってからでも安全に開閉部14を開路することができる。
【0062】
[第6実施形態]
《制御スイッチの変形例2》
図9は、第6実施形態に係る開閉装置1を含む太陽光発電システム100の接続図の一例を示す図である。図において、
図1との違いは、制御スイッチ15として、温度ヒューズ15fが使用されている点である。通常は、温度ヒューズ15fは溶断しておらず、電路の繋ぎとなっている。万一の火災の際には、火災の熱によって溶断し、開閉部14が開路する、というものである。この場合、人の操作に依存せず、開閉部14を開路することができる。
なお、その他、例えば電池(太陽電池も可)を内蔵した水検知スイッチのb接点を制御スイッチ15として用いてもよい。その場合、通常は、b接点が電路の繋ぎとなっているが、放水により水検知スイッチが動作すれば、b接点は開くので、開閉部14を開路することができる。
【0063】
このように、制御スイッチ15が、熱及び水の少なくとも一方に反応して開閉部14を開路する動作をするように構成すれば、火災の熱や放水の水により開閉部14が開路されることにより、開閉装置1からパワーコンディショナ3までの電路に発電電圧が現れないようにすることができる。
【0064】
なお、上述の各実施形態については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。
【0065】
[その他]
図10は、
図1の変形版とも言える接続図の一例である。
図1との違いは、コンデンサ12の低圧側端子(下端)と直流電路4の低電位側電路4nとの間にダイオード11Cを設けている点であり、その他の構成は
図1と同様である。ダイオード11Cは、カソードが低電位側電路4nに接続されている。この場合、ダイオード11は省略(直結)して、ダイオード11Cのみでもよい。すなわち、ダイオードは、ダイオード11を「一のダイオード」、ダイオード11Cを「他のダイオード」とするならば、高電位側電路にアノードが接続された一のダイオード、及び、低電位側電路にカソードが接続された他のダイオード、の少なくとも一方が存在すればよい。また、ダイオード11又は11Cは、直流電路4の高電位側電路4pから低電位側電路4nへの方向を順方向とした場合に、逆阻止の極性になるように設けられていればよい。これにより、コンデンサ12に蓄えられた電荷を直流電路4に逆流させないようにすることができる。このことは、他の実施形態についても同様である。
【0066】
[まとめ]
以上詳述したように、各実施形態の開閉装置1は、直流電路の高電位側電路にアノードが接続された一のダイオード、及び、低電位側電路にカソードが接続された他のダイオード、の少なくとも一方のダイオード11と、ダイオード11を介して直流電路から与えられる直流電圧に基づいて充電されるコンデンサ12と、コンデンサ12の両端の電圧を所望の電圧に変換して出力する電源部13と、電源部13の出力する電圧を駆動電圧とする開閉部14と、開閉部14の開閉を制御する制御スイッチ15と、を備えている。
【0067】
このように構成された開閉装置1では、コンデンサ12に蓄えられるエネルギーにより、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、開閉部14を閉路状態に維持することができる。直流電路の電圧が、充電されたコンデンサ12の電圧より低くなっても、ダイオード11の存在により逆阻止され、また、コンデンサ12のキャパシタンスも必要最小限にすることで、直流電路への影響を抑制することができる。従って、コンデンサ12が、パワーコンディショナ3のMPPT制御に影響を与えることを抑制できる。コンデンサ12の電圧に基づいて、電源部13は開閉部14の駆動電圧を生成し、この駆動電圧により、通常は開閉部14が閉路されている。制御スイッチ15は、非常時に自己の動作により、開閉部14を開路することができる。このようにして、外部から電源供給しなくても太陽光発電に基づいて、かつ、太陽光発電の発電電力が大きく変動しても、開閉装置1の通常の閉路状態を維持することができる。
【0068】
[補記]
なお、上記各実施形態における開閉部14はリレーを用いる例を示したが、開閉装置1は系統連系をする装置ではないので、系統連系規定の縛りを受けることはなく、従って、解列にリレーではなく半導体スイッチを使うことも可能である。但し、現状では、開路時の確実な絶縁の確保や、駆動する電力抑制の観点から、リレーが好適と考えられる。
【0069】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。