特許第6854436号(P6854436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6854436
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】はんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20210329BHJP
   B23K 3/08 20060101ALI20210329BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   B23K1/008 C
   B23K3/08
   H05K3/34 507H
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-150298(P2020-150298)
(22)【出願日】2020年9月8日
【審査請求日】2020年9月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】相馬 和成
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−153440(JP,A)
【文献】 特開2001−144426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/008
B23K 3/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、
前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、
前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、
前記第1壁には、第1送風口が形成され、
前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置され、
前記第1導風板は、第1端部及び前記第1端部の反対側に位置する第2端部を有し、前記軸方向において、前記第2壁と空間を空けた位置に位置する前記第2端部から、前記第2壁から離れる向きに延びる、
はんだ付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ付け装置において、
前記第1導風板は、前記ファンの回転中心から放射状に延びる仮想線と交わる方向に拡がる板面を有し、前記軸方向において、前記第2端部から、前記第2壁から離れる向きに延びて、少なくとも前記第1送風口に届き、
前記第1端部は、前記第1送風口を前記軸方向に延長した領域の内部に配置されている、
はんだ付け装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のはんだ付け装置において、
前記ファンは、前記軸方向において、近位端部から遠位端部まで延び、
前記第2端部は、前記軸方向において、前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する、
はんだ付け装置。
【請求項4】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、
前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、
前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、
前記第1壁には、第1送風口が形成され、
前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置され、
前記第1導風板は、前記第1壁と平行な断面において、円弧形状を有し、
前記第1導風板の前記円弧形状の凹んでいる側が、前記ファンが送風した前記気体を受けられる方向に向けられている、
はんだ付け装置。
【請求項5】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、
前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、
前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、
前記第1壁には、第1送風口が形成され、
前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置され、
前記内壁は、前記ファンが送風した前記気体を前記第1導風板に導くための湾曲部を有する誘導壁を備え、
前記湾曲部は、前記第1壁と平行な断面において円弧形状を有し、当該円弧形状の凹んでいる側が前記ファンの回転中心の方を向いている、
はんだ付け装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、第2導風板を有し、
前記第1壁には、第2送風口が形成され、
前記第2送風口は、前記ファンの回転中心に対して前記第1送風口の反対側に位置し、
前記第2導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第2送風口に導くように前記第1送風室に配置される、
はんだ付け装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、前記第1壁に対して前記ファンの反対側に配置され、前記第1壁と平行に拡がるパンチングメタルをさらに有する、
はんだ付け装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、前記第1壁に対して前記ファンの反対側に配置され、前記軸方向に前記気体が供給される供給口を有し、前記軸方向と垂直な垂直方向に並べられた複数のノズルをさらに有する、
はんだ付け装置。
【請求項9】
はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、
対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、
前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、
前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、
前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、
前記第1壁には、第1送風口が形成され、
前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置され、
前記送風ユニットは、前記第1壁に対して前記ファンの反対側に配置され、前記軸方向に前記気体が供給される供給口を有し、前記軸方向と垂直な垂直方向に並べられた複数のノズルをさらに有し、
前記ケースは、前記第1送風口から前記複数のノズルの前記供給口までの流路を形成する第2送風室を有する、
はんだ付け装置。
【請求項10】
請求項9に記載のはんだ付け装置において、
前記第1送風口のいずれの位置の圧力も、前記第2送風室の圧力よりも高い、
はんだ付け装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のはんだ付け装置において、
前記送風ユニットは、前記ケースを収容する外部ケースをさらに有し、
前記複数のノズルは、前記外部ケースを貫通して、前記外部ケースの外部まで延び、
前記外部ケースには、外部の気体を内部に吸込むための吸込口が形成され、
前記第2壁には、前記ファンが前記ケースの外部の気体を内部に吸気するための吸気口が形成されている、
はんだ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板へ電子部品のはんだ付けをする場合には、リフロー装置や噴流はんだ付け装置等のはんだ付け装置が使用されている。例えば、特許文献1には、その図5に示されるように、送風機と、送風機から下方に噴出される風を受けて分散させる導風板と、導風板の下方に配置されたヒータと、ヒータの下方に配置され多数の小孔が形成されたパネルと、を備えるリフロー装置が開示されている。この送風機は、ケース、モータ及びケースに収容されモータにより回転される羽根を有している。そして、このケースは、回転軸方向に延びる内面と、内面と垂直な方向に延びる垂直面とを有し、垂直面には穴が形成されている。このため、送風機において、羽根が回転すると、羽根の回転によって引き起こされた風が、ケースの内面に当たって、内面によって流れる向きが変えられ、垂直面に形成された穴からケースの外部に送風される。その後、この風は、導風板によって分散され、ヒータ及びパネルに形成された多数の小孔を通過し、熱風として被加熱物に吹きつけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−27931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される送風機では、上述したように、ケースの内面に当たって流れる向きが変えられた風が、穴からケースの外部に送風されている。このため、羽根から遠く且つ内面に近い穴の部分を通る気体の流量が、羽根に近く且つ内面から遠い穴の部分を通る気体の流量よりも多くなる。すなわち、この送風機では、穴の位置に応じて、その位置を通過する気体の流量に差が生じてしまう虞がある。その結果、送風機の穴から送風された気体が、このまま分散されずにパネルに送られてしまうと、パネルの小孔から被加熱物に吹きつけられる熱風の流量が不均一になる虞がある。このため、特許文献1に記載のリフロー装置では、送風機から吹き出される風が、導風板によって分散されて、パネルの小孔から被加熱物に吹きつけられる熱風の流量が均一にされている。
【0005】
しかしながら、送風機の穴から送風される気体の流量が、穴における送風される位置によって、あまりに不均一な場合、導風板は、充分に風を分散させることができず、気体が被加熱物に均一に吹き付けられない虞がある。また、送風機の穴から送風された気体が導風板によって分散される場合、送風された気体を遮るように取り付けられている導風板が、強制的に風を分散させている。このため、圧力損失が、著しく増加してしまう。このため、気体が、ケースの穴から、穴における各位置において均一な流量で送風されることが求められる。
【0006】
そこで、本開示は、穴(第1送風口)から、穴(第1送風口)における各位置において、従来装置よりも均一に気体を送風できるはんだ付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るはんだ付け装置は、はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、前記第1壁には、第1送風口が形成され、前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るはんだ付け装置は、第1送風口から、第1送風口における各位置において、従来装置よりも均一に気体を送風できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係るリフロー炉の構造図である。
図2図1で示した送風ユニットの構造図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2のB−B断面図である。
図5】第1導風板及び第2導風板を備えていない送風ユニットの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係るリフロー炉100の断面図である。図1を参照すると、リフロー炉100は、本体部101及び基板200を搬送するコンベア102を備える。リフロー炉100は、基板200に電子部品をリフロー方式ではんだ付けするための装置である。リフロー炉100では、ソルダーペーストを介して電子部品が載置された基板200が、入口110から出口112に搬送される間に、電子部品が基板200にはんだ付けされる。なお、リフロー炉100ははんだ付け装置の一例であり、基板200は対象物の一例である。以下、リフロー炉100について詳述する。
【0012】
本体部101は、入口110から近い順に、予備加熱ゾーンA、本加熱ゾーンB及び冷却ゾーンCの3つのゾーンに分けられている。予備加熱ゾーンAには、上下にそれぞれ5つずつの送風ユニット300aが配置されている。予備加熱ゾーンAにおける送風ユニット300aは、基板200に加熱された気体を供給し、一例として、150〜180度に基板200を加熱する。これにより、基板200と電子部品は予熱される。すなわち、予備加熱ゾーンAは、基板200や基板200に実装された電子部品等をゆっくり加熱して熱に慣らすための領域である。なお、送風ユニット300aの詳細な構成は後述する。
【0013】
本加熱ゾーンBには、上下にそれぞれ3つずつの送風ユニット300bが配置される。本加熱ゾーンBにおける送風ユニット300bは、基板200に加熱された気体を供給し、一例として、220〜260度に基板200を加熱する。これにより、送風ユニット300bは、ソルダーペーストに含まれるはんだを溶融させて、基板200と電子部品とのはんだ付けを行う。すなわち、本加熱ゾーンBは、ソルダーペースト中のはんだ粉末を溶融させてはんだ付けを行う領域である。
【0014】
冷却ゾーンCには、送風ユニット300cが上下に1つずつ配置される。送風ユニット300cは、冷却された気体を基板200に向かって吹き出し、はんだ付けされた基板200を冷却する。すなわち、冷却ゾーンCは、はんだ付けされた基板200を冷却する領域である。
【0015】
なお、他の実施形態では、リフロー炉100は、上述の構成に限定されず、任意の公知の構成が採用され得る。例えば、本実施形態に係るリフロー炉100の内部は、一例として、窒素で満たされていて、送風ユニット300a,300b,300cは、それぞれ窒素を基板200に向かって噴射できる。しかしながら、他の実施形態では、リフロー炉100の内部は、当業者によって用いられる既知のあらゆる気体で満たされてもよく、送風ユニット300a,300b,300cは、当業者によって用いられるあらゆる気体を噴射してもよい。また、本実施形態に係るリフロー炉100は、一列のコンベア102を備えているが、他の実施形態では、リフロー炉100は、平行に配置された複数のコンベア102を備えてもよい。この場合、各コンベア102は、それぞれ独立して基板200を搬送してもよい。
【0016】
(送風ユニット)
次に、図2を参照して、送風ユニット300a、送風ユニット300b及び送風ユニット300cについて説明する。送風ユニット300a,300b,300cは、供給する気体の温度が異なるだけで、同じ構成を有する。このため、図2図4では、送風ユニット300a,300b,300cを、送風ユニット300と表して説明する。図2は、送風ユニット300の構造図である。図3は、図2のA−A断面図であり、図4は、図2のB−B断面図である。なお、図2から図4の矢印250は、リフロー炉100における基板200の搬送方向を示している。すなわち、本実施形態では、矢印250の指す向きに基板200が搬送される。他の実施形態では、矢印250の指す向きと反対方向に基板200が搬送されてもよい。
【0017】
図2を参照すると、送風ユニット300は、一例として、ケース320、外部ケース360、第1導風板380、第2導風板400、複数のノズル420、ファン302、モータ304、回転軸306、複数のヒータ308及び2つのパンチングメタル310を備える。以下、送風ユニット300の各構成要素について説明する。
【0018】
ケース320は、第1送風室322及び第2送風室324を有し、ケース本体340及び取付プレート342を備える。ケース本体340は、取付プレート342によって塞がれる開口を有する略直方体形状の角形の筒状体である。ケース本体340は、第1壁326、第2壁328及び内壁330を備える。第1壁326、第2壁328及び内壁330は、それぞれ板状の部材から構成されている。第1壁326は、ファン302の軸方向においてファン302と対向している。より詳細には、第1壁326は、ファン302の軸方向に対して垂直な平面に平行である。第2壁328は、第1壁326と向かい合っている。より詳細には、第2壁328は、第1壁326と平行であり、第1壁326よりもモータ304側に位置する。そして、内壁330は、第1壁326と第2壁328との間を繋いでいる。より詳細には、内壁330は、第1壁326及び第2壁328と直交している。また、第1壁326、第2壁328及び内壁330によって囲まれた部分が、第1送風室322である。別言すると、第1壁326、第2壁328及び内壁330は、第1送風室322を画定している。また、第2壁328には、吸気口332が形成されていて、第1壁326には、第1送風口334及び第2送風口336が形成されている。別言すると、第1送風室322は、吸気口332から第1送風口334までの流路と、吸気口332から第2送風口336までの流路とを形成する。なお、第1壁326、第2壁328及び内壁330は、それぞれ1枚の板状の部材から構成されていてもよいが、複数の部材が組み合わさって構成されてもよい。
【0019】
ファン302は、一例としてターボファンであり、第1送風室322に収容されている。また、ファン302は、回転軸306を介して、外部ケース360の外部に配置されているモータ304と接続されている。別言すると、回転軸306は、吸気口332を通過するようにファン302とモータ304との間を延びている。これにより、モータ304が駆動されると、ファン302は、回転し、遠心方向D1に気体を送風できる。また、ヒータ308は、外部ケース360に収容され、吸気口332を介してファン302が吸気する気体を加熱する。これにより、後述する複数のノズル420は、加熱された気体を噴射できる。なお、ヒータ308は、複数のノズル420が噴射する気体を加熱できるならば、送風ユニット300の任意の位置に配置されてもよい。しかしながら、ヒータ308は、ファン302とモータ304との間のような回転軸306に隣接する位置に配置される方が好ましい。これにより、ヒータ308は、回転軸306をより高温に加熱することができ、回転軸306にフラックスが固着することを抑止できる。なお、送風ユニット300が送風ユニット300cのように基板200を冷却するために使用される場合には、送風ユニット300は、ヒータ308の代わりに、熱交換器のような気体を冷却するための既知の冷却ユニット309を有していてもよい。
【0020】
また、送風ユニット300では、第1導風板380は、板状の部材であり、第1端部384及び第1端部384の反対側に位置する第2端部386を有する(図2参照)。第1端部384は、第1送風口334をファン302の軸方向に延長した領域の内部に配置されている(図3参照)。また、第2端部386は、第2壁328から空間を開けた位置、即ち離間した位置に配置される。したがって、第1導風板380は、ファン302の軸方向において、第2壁328と空間を空けた位置から第1送風口334の位置まで延びている(図2参照)。さらに、第1導風板380は、ファン302の回転中心Oから放射状に延びる仮想線Lと交わる方向に拡がる板面382の形状をしている(図4参照)。これにより、第1導風板380は、第1送風口334から気体が均一な流量で送風されるようにしている。その理由について、以下で、第1導風板380を備えない送風ユニット500と比較しながら説明する。
【0021】
図5は、第1導風板380を備えない送風ユニット500の構造図である。送風ユニット500は、第1導風板380及び第2導風板400を備えないことを除いて、送風ユニット300と同一の構成である。第1導風板380を備えない送風ユニット500では、ファン302が送風した気体は、内壁330に当たって、流れる向きが変えられて、第1送風口334から送風される。すなわち、ファン302が送風した気体の多くが、図5の矢印502のように流れる。このため、第1送風口334から送られる風は内壁330に近い位置の方が、内壁330から遠い位置よりも、送風される気体の流量が多くなる。その結果、気体は、第1送風口334から均一な流量で送風されない。
【0022】
次いで、図2を再び参照する。送風ユニット300では、ファン302から送風された気体の一部は、第2壁328と第2端部386との間を通り、内壁330に当たって、第1送風口334の内壁330に近い位置から送風される。すなわち、ファン302から送風された気体の一部は、図3の矢印316のように流れる。また、ファン302から送風された残りの気体の一部は、第1導風板380の板面382に当たる。第1導風板380の板面382に当たった気体は、第1導風板380に流れる向きが変えられて、第1送風口334の内壁330から遠い位置から送風される。すなわち、ファン302から送風された気体の一部は、図3の矢印318のように流れる。このため、第1導風板380は、ファン302から送風された気体の一部を、図5の送風ユニット500において第1送風口334の送風される気体の流量が少ない部分に導くことができる。その結果、送風ユニット300は、第1導風板380を備えない場合よりも、第1送風口334から均一な流量で気体を送風することができる。
【0023】
なお、送風ユニット300では、上述したように、第1導風板380は、ファン302の軸方向において、第2端部386から第1送風口334の位置まで延びているが、第1送風口334まで延びなくてもよい。第1導風板380が、第1送風口334まで延びていない場合でも、第1導風板380は、板面382に当たった気体の流れる向きを変えられる。このため、第1導風板380は、ファン302から送風された気体の一部を、第1送風口334における送風される気体の流量が少ない部分に導くことができる。
【0024】
しかし、第1導風板380は、ファン302の軸方向において、第2端部386から、第2壁328から離れる向きに延びて、少なくとも第1送風口334に届く位置まで延びることが好ましい。第1導風板380が、第1送風口334に届く位置まで延びていない場合、ファン302の軸方向における、第1導風板380の第1端部384と第1壁326との間に空間が生じる。そして、この空間を通って内壁330に向かう気体と、第1導風板380の板面382に当たって第1送風口334に向かう気体とが衝突し、圧力損失を生じる虞があるからである。
【0025】
また、図2を参照すると、送風ユニット300では、ファン302は、軸方向において、モータ304に近い近位端部312から、遠位端部314まで延びている。そして、第1導風板380の第2端部386は、ファン302の軸方向において、近位端部312と遠位端部314との間に位置している。
【0026】
ファン302が送風する気体は、ファン302の軸方向において近位端部312と遠位端部314との間でより多く流れる。このため、第1導風板380の第2端部386が、近位端部312と遠位端部314との間に位置しない場合、第2壁328と第2端部386との間を通る気体の流量又は第1導風板380の板面382に当たる気体の流量のどちらか一方が、他方よりも極めて多くなる。その結果、第1送風口334の内壁330に近い位置から送風される気体の流量と、第1送風口334の内壁330にから遠い位置から送風される気体の流量との間の差が極めて大きくなってしまい、第1送風口334から均一な流量で気体が送風されない虞がある。
【0027】
これに対し、送風ユニット300では、第2端部386は、軸方向において、近位端部312と遠位端部314との間に位置している。このため、第2壁328と第2端部386との間を通る気体と、第1導風板380の板面382に当たる気体とが、均一に分割される。その結果、送風ユニット300は、第1送風口334からより均一な流量で気体を送風することができる。
【0028】
また、図4を参照すると、第1導風板380は、第1壁326と平行な断面において、円弧形状を有する。そして、第1導風板380の円弧形状の凹んでいる板面382が、ファン302が送風した気体を受けられる方向に向けられている。これにより、第1導風板380は、直線形状の場合よりも、ファン302が送風したより多くの気体を第1送風口334に導くことができる。その理由を以下に説明する。気体が第1導風板380の板面382に衝突すると、気体は、板面382の付近よりも圧力が低い、第1導風板380及び第2壁328の間の空間と、第2送風室324とへ流れようとする(図2参照)。
【0029】
まず、第1導風板380が円弧形状の場合を考える。第1導風板380が円弧形状の場合、気体が流れて第1導風板380に近づくにつれて、第1導風板380の板面382に挟まれるようにして形成されている気体の流路幅が徐々に狭められる(図4参照)。そして、気体の圧力が徐々に上昇し、気体は、より圧力の低い空間へ流れようとする。ここで、第1導風板380及び第2壁328の間の空間と、第2送風室324とでは、下流である第2送風室324の方が、圧力が低い。その結果、第1導風板380に衝突した気体の多くが、第2送風室324へ流れる。
【0030】
他方、第1導風板380が直線形状の場合、気体が第1導風板380に衝突すると、第1導風板380の板面382の付近の圧力が一気に上昇する。これにより、板面382の付近の気体が、第2送風室324に流れようとする。このとき、板面382の付近の圧力が一気に上昇したため、気体が第2送風室324に充分に流れることができない。その結果、第2送風室324に流れられなかった気体が、第1導風板380及び第2壁328の間の空間に流れる。したがって、上述したように、円弧形状である第1導風板380は、直線形状の場合よりも、ファン302が送風したより多くの気体を第1送風口334に導くことができる。
【0031】
また、内壁330は、誘導壁331及び壁333を備える。誘導壁331は、ファン302が送風した気体を第1導風板380に導くための湾曲部338を有する(図4参照)。そして、湾曲部338は、第1壁326と平行な断面において円弧形状を有し、当該円弧形状の凹んでいる側がファン302の回転中心Oの方を向いている。これにより、円弧形状を有している湾曲部338が、ファン302が送風した気体を第1導風板380に導くため、この気体は第1導風板380まで滑らかに流れることができる。その結果、ファン302から第1導風板380までに発生する圧力損失が低減される。
【0032】
また、送風ユニット300では、第2導風板400は、第1導風板380のように、ファン302から送風された気体の一部を第2送風口336に導くように第1送風室322に配置される。そして、第2送風口336は、ファン302の回転中心Oに対して第1送風口334の反対側に位置している(図3参照)。より詳細には、第2導風板400は、ファン302の回転中心Oを基準として、第1導風板380の点対称の位置に位置し、第1導風板380と同一の形状を有する。第2送風口336は、ファン302の回転中心Oを基準として、第1送風口334の点対称の位置に位置し、第1送風口334と同一の形状を有する。この結果、送風ユニット300は、第1送風口334と同様に、第2送風口336からも均一な流量で気体を送風することができる。
【0033】
また、ケース320は、上述したように、ケース本体340及び取付プレート342を有する(図2参照)。そして、ケース本体340は、板状の部材から構成されている内壁344をさらに有している。取付プレート342は、板状の部材から構成されている。取付プレート342は、第1壁326と平行な状態で、ケース本体340に対して取付け可能に構成され、第1壁326に対してファン302の反対側に配置される。さらに、取付プレート342は、ノズルカバー364の後述する複数の吸込口366と対向している。そして、内壁344は、第1壁326と取付プレート342との間を繋いでいる。より詳細には、内壁344は、第1壁326及び取付プレート342と直交している。また、取付プレート342には、複数のノズル420が取付けられている。複数のノズル420は、ファン302の軸方向に供給口422を有し、この軸方向と垂直な垂直方向に並んで位置している。また、第1壁326、取付プレート342及び内壁344によって囲まれた部分が、第2送風室324である。別言すると、第1壁326、取付プレート342及び内壁344は、第2送風室324を画定している。このため、第1送風口334又は第2送風口336から均一な流量で気体が送風されると、この気体は、第2送風室324を介して、複数のノズル420の供給口422に供給される。その結果、複数のノズル420は、均一な流量で気体をそれぞれの吹出口424から噴射できる。
【0034】
また、送風ユニット300では、2つのパンチングメタル310は、第1壁326に対してファン302の反対側に配置され、第1壁326と平行に拡がる。これにより、第1送風口334及び第2送風口336から送風された気体は、パンチングメタル310でさらに拡散され、ファン302の軸方向に垂直な平面における各位置で流量がより均一になる。その結果、送風ユニット300は、パンチングメタル310を備えない場合よりも、複数のノズル420のそれぞれの供給口422に均一な流量で気体を供給できる。
【0035】
また、送風ユニット300では、第1送風口334のいずれの位置の圧力も、第2送風室324の圧力よりも高くなるように、第1送風口334は、第1壁326に形成されている。第1送風口334のいずれかの位置の圧力が、第2送風室324の圧力よりも低い場合、第2送風室324に送風された気体が、この圧力が低い部分を通って、第1送風室322に戻ってしまい、圧力損失が発生する。しかし、第1送風口334のいずれの位置の圧力も、第2送風室324の圧力よりも高い場合、第2送風室324に送風された気体が、再び第1送風室322に戻ることがなく、気体が再び第1送風室322に戻ることによる圧力損失が発生しない。
【0036】
また、送風ユニット300では、外部ケース360は、外部ケース本体362及びノズルカバー364を有する(図2参照)。そして、外部ケース本体362は、ノズルカバー364によって塞がれる開口を有する略直方体形状の箱体である。ノズルカバー364は、外部ケース本体362にはめ込まれて接続されることが可能である。このため、外部ケース本体362及びノズルカバー364は、一体となって、略直方体形状を有する外部ケース360を構成する。また、複数のノズル420は、外部ケース360のノズルカバー364を貫通して、外部ケース360の外部まで延びている。そして、外部ケース360のノズルカバー364には、外部の気体を内部に吸込むための吸込口366が複数のノズル420に隣接するように形成されている。
【0037】
送風ユニット300は上述した構成を備えるため、送風ユニット300には、複数の吸込口366から延び、ヒータ308及びファン302を通過し、複数のノズル420に至る流路906が形成されている。なお、流路906のうち、吸込口366から吸気口332までを第1流路903と呼び、吸気口332から第1送風口334又は第2送風口336までの流路を第2流路904と呼び、第1送風口334又は第2送風口336から複数のノズル420までの流路を第3流路905と呼ぶ。また、送風ユニット300では、流路906の一部が、取付プレート342の周端部347を囲んでいる。すなわち、基板200の搬送方向において、流路906の一部が、取付プレート342の周端部347の前後と左右とに位置している。別言すると、取付プレート342の周端部347と外部ケース360との間に、流路906の一部が形成されている。また、送風ユニット300では、取付プレート342と平行な断面において、第1流路903が、第1送風室322又は第2送風室324を囲むように位置している(図2図3及び図4参照)。これにより、送風ユニット300では、吸込口366から吸い込まれた気体は、第1流路903に沿って、取付プレート342の周端部347の周りを通過し、ケース本体340を囲むように位置している第1流路903を通り、吸気口332まで流れることができる。そして、吸気口332から第1送風室322に吸気された気体は、第2流路904に沿って、第1送風室322を通過し、第1送風口334又は第2送風口336まで流れることができる。その後、第1送風口334又は第2送風口336から第2送風室324へ送風された気体は、第3流路905に沿って、第2送風室324を通過し、複数のノズル420まで流れることができる。
【0038】
なお、他の実施形態では、送風ユニット300の送風経路は、上述の構成に限定されず、任意の構成が採用され得る。具体的には、第1流路903は、吸込口366と吸気口332とを接続していればよく、送風ユニット300の内部のどこに位置していてもよい。さらに、第3流路905は、第1送風口334及び第2送風口336と、複数のノズル420とを接続していればよく、送風ユニット300の内部のどこに位置していてもよい。
【0039】
また、リフロー炉100では、送風ユニット300a,300b,300cの直下を基板200が搬送されている(図1参照)。すなわち、それぞれの送風ユニット300a,300b,300cが有するファン302の直下を基板200が搬送される(図2参照)。このため、リフロー炉100は、ファン302と搬送される基板200の搬送路との間に、気体を供給するための大きな空間を必要としない。つまり、リフロー炉100では、ファン302と基板200の搬送路とが近接するように配置されてもよい。この場合、ファン302と搬送される基板200の搬送路との間の距離が短くなる。その結果、送風ユニット300a,300b,300cの高さが低くなり、リフロー炉100が小型になる。つまり、リフロー炉100では、ファン302の直下に基板200の搬送路が位置しているため、リフロー炉100は、小型に設計されることができる。
【0040】
(動作)
次に、図2を参照しながら、リフロー炉100における送風ユニット300の動作について説明する。送風ユニット300の電源が入れられると、モータ304が駆動しファン302が回転を開始する。そして、ファン302の上流側が負圧となる。その結果、リフロー炉100の内部の気体であって外部ケース360の外部の気体が、吸込口366から外部ケース360の内部に吸込まれる(図1及び図2参照)。次いで、この吸込まれた気体が、外部ケース360の内部で、ヒータ308により加熱される。
【0041】
次いで、ヒータ308に加熱されたこの気体は、吸気口332を介して、ケース320の内部に吸気される。次いで、ケース320の内部に吸気された気体は、ファン302によって、遠心方向D1に送風される。その後、ファン302から送風された気体の一部は、第2壁328と第1導風板380の第2端部386との間を通って、内壁330に当たって、第1送風口334の内壁330に近い位置から第2送風室324に送風される。また、ファン302から送風された残りの気体の一部は、第1導風板380の板面382に当たる。そして、第1導風板380の板面382に当たった気体は、第1導風板380に流れる向きが変えられて、第1送風口334の内壁330から遠い位置から第2送風室324に送風される。このため、気体は、上述したように、第1導風板380がないときよりも、第1送風口334の各位置において均一な流量で送風される。また、ファン302から送風された残りの気体は、第1送風口334と同様に、第2送風口336を通って第2送風室324に送風される。次いで、第1送風口334又は第2送風口336を通過した気体は、2つのパンチングメタル310で分散されてノズル420の供給口422に供給される。そして、気体は、ノズル420の吹出口424から噴出される。このようにして、送風ユニット300は、基板200に対し熱風を供給できる。その結果、上述したリフロー炉100は、はんだ付けを行うことができる。
【0042】
[付記]
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0043】
(付記1)
付記1に係るはんだ付け装置は、はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、前記送風ユニットは、第1送風室を有するケース、前記第1送風室に収容されて遠心方向に前記気体を送風するためのファン、第1導風板及び、前記気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、前記ケースは、前記ファンの軸方向において前記ファンと対向する第1壁、前記第1壁と向かい合う第2壁、及び前記第1壁と前記第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、前記第1壁、前記第2壁及び前記内壁は、前記第1送風室を画定し、前記第1壁には、第1送風口が形成され、前記第1導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第1送風口に導くように前記第1送風室に配置される。
【0044】
送風ユニットが第1導風板を備えない場合、気体が第1送風口から均一な流量で送風されない虞がある。これに対し、付記1に係るはんだ付け装置は、第1導風板がファンから送風された気体の一部を第1送風口に導くことができる。このため、第1導風板が、ファンから送風された気体の一部を、第1導風板を備えない送風ユニットにおける第1送風口の送風される気体の流量が少ない部分に導くことができる。つまり、このはんだ付け装置は、第1導風板を備えない場合よりも、第1送風口から均一な流量で気体を送風することができる。
【0045】
(付記2)
付記2に係るはんだ付け装置によれば、付記1に記載のはんだ付け装置において、前記第1導風板は、前記ファンの回転中心から放射状に延びる仮想線と交わる方向に拡がる板面、第1端部及び前記第1端部の反対側に位置する第2端部を有し、前記軸方向において、前記第2壁と空間を空けた位置に位置する前記第2端部から、前記第2壁から離れる向きに延びて、少なくとも前記第1送風口に届き、前記第1端部は、前記第1送風口を前記軸方向に延長した領域の内部に配置されている。
【0046】
送風ユニットが第1導風板を備えない場合、ファンが送風した気体は、内壁に当たって、流れる向きが変えられて、第1送風口から送風される。このため、第1送風口の内壁に近い位置を通る気体の流量の方が、内壁から遠い位置を通る気体の流量よりも多く、気体が第1送風口から均一な流量で送風されない虞がある。これに対し、付記2に係るはんだ付け装置では、ファンから送風された気体の一部は、第2壁と第2端部との間を通って、内壁に当たって、第1送風口の内壁に近い位置から送風される。また、ファンから送風された残りの気体の一部は、第1導風板の板面に当たる。第1導風板の板面に当たった気体は、第1導風板に流れる向きが変えられて、第1送風口の内壁から遠い位置から送風される。このため、第1導風板は、ファンから送風された気体の一部を、第1導風板を備えない送風ユニットにおける第1送風口の送風される気体の流量が少ない部分に導くことができる。つまり、このはんだ付け装置は、第1導風板を備えない場合よりも、第1送風口から均一な流量で気体を送風することができる。
【0047】
(付記3)
付記3に係るはんだ付け装置によれば、付記2に記載のはんだ付け装置において、前記ファンは、前記軸方向において、近位端部から遠位端部まで延び、前記第2端部は、前記軸方向において、前記近位端部と前記遠位端部との間に位置する。
【0048】
ファンが送風する気体は、軸方向において近位端部と遠位端部との間でより多く流れる。このため、第2端部が、近位端部と遠位端部との間に位置しない場合、第2壁と第2端部との間を通る気体の流量又は第1導風板の板面に当たる気体の流量のどちらか一方が、他方よりも極めて多くなる。その結果、第1送風口の内壁に近い位置から送風される気体と、第1送風口の内壁から遠い位置から送風される気体との間に差ができてしまい、第1送風口から均一な流量で気体が送風されない虞がある。これに対し、付記2に係るはんだ付け装置では、第2端部は、軸方向において、近位端部と遠位端部との間に位置している。このため、第2壁と第2端部との間を通る気体と、第1導風板の板面に当たる気体とが、均一に分割される。その結果、このはんだ付け装置は、第1送風口から均一な流量で気体を送風することができる。
【0049】
(付記4)
付記4に係るはんだ付け装置によれば、付記1から3のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記第1導風板は、前記第1壁と平行な断面において、円弧形状を有し、前記第1導風板の前記円弧形状の凹んでいる側が、前記ファンが送風した前記気体を受けられる方向に向けられている。
【0050】
付記4に係るはんだ付け装置によれば、円弧形状である第1導風板は、直線形状の場合よりも、ファンが送風したより多くの気体を第1送風口に導くことができる。
【0051】
(付記5)
付記5に係るはんだ付け装置によれば、付記1から4のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記内壁は、前記ファンが送風した前記気体を前記第1導風板に導くための湾曲部を有する誘導壁を備え、前記湾曲部は、前記第1壁と平行な断面において円弧形状を有し、当該円弧形状の凹んでいる側が前記ファンの回転中心の方を向いている。
【0052】
付記5に係るはんだ付け装置によれば、円弧形状を有している湾曲部が、ファンが送風した気体を第1導風板に導くため、この気体は第1導風板まで滑らかに流れることができる。このため、このはんだ付け装置では、ファンから第1導風板までに発生する圧力損失を低減できる。
【0053】
(付記6)
付記6に係るはんだ付け装置によれば、付記1から5のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、第2導風板を有し、前記第1壁には、第2送風口が形成され、前記第2送風口は、前記ファンの回転中心に対して前記第1送風口の反対側に位置し、前記第2導風板は、前記ファンから送風された前記気体の一部を前記第2送風口に導くように前記第1送風室に配置される。
【0054】
付記6に係るはんだ付け装置は、ファンの回転中心を基準として第1送風口の反対側に第2送風口が形成されていて、第1送風口と同様に、第2送風口からも均一な流量で気体を送風することができる。
【0055】
(付記7)
付記7に係るはんだ付け装置によれば、付記1から6のいずれか1つに記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記第1壁に対して前記ファンの反対側に配置され、前記第1壁と平行に拡がるパンチングメタルをさらに有する。
【0056】
付記7に係るはんだ付け装置は、第1送風口から送風された気体をパンチングメタルでさらに拡散し、ファンの軸方向に垂直な平面における各位置で流量が均一になる。
【0057】
(付記8)
付記8に係るはんだ付け装置によれば、付記1から7のいずれか1項に記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記第1壁に対して前記ファンの反対側に配置され、前記軸方向に前記気体が供給される供給口を有し、前記軸方向と垂直な垂直方向に並べられた複数のノズルをさらに有する。
【0058】
付記8に係るはんだ付け装置では、均一な流量で気体が複数のノズルの供給口にそれぞれ供給される。このため、複数のノズルは、それぞれ均一な流量で気体を噴射できる。
【0059】
(付記9)
付記9に係るはんだ付け装置によれば、付記8に記載のはんだ付け装置において、前記ケースは、前記第1送風口から前記複数のノズルの前記供給口までの流路を形成する第2送風室を有する。
【0060】
付記9に係るはんだ付け装置は、第1送風口から送風された気体を、第2送風室を介して複数のノズルに供給できる。
【0061】
(付記10)
付記10に係るはんだ付け装置によれば、付記9に記載のはんだ付け装置において、前記第1送風口のいずれの位置の圧力も、前記第2送風室の圧力よりも高い。
【0062】
付記10に係るはんだ付け装置によれば、第1送風口のいずれの位置の圧力も、第2送風室の圧力よりも高いため、第2送風室に送風された気体が、再び第1送風室に戻ることがない。このため、気体が再び第1送風室に戻ることによる、気体の圧力損失が発生しない。
【0063】
(付記11)
付記11に係るはんだ付け装置によれば、付記9又は10に記載のはんだ付け装置において、前記送風ユニットは、前記ケースを収容する外部ケースをさらに有し、前記複数のノズルは、前記外部ケースを貫通して、前記外部ケースの外部まで延び、前記外部ケースには、外部の気体を内部に吸込むための吸込口が形成され、前記第2壁には、前記ファンが前記ケースの外部の気体を内部に吸気するための吸気口が形成されている。
【0064】
以上、本発明の実施形態とそれに係る各変形例について説明したが、上述した各例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、改良することができ、本発明にその等価物は含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【符号の説明】
【0065】
100:リフロー炉
300,500:送風ユニット
302:ファン
308:ヒータ
309:冷却ユニット
310:パンチングメタル
320:ケース
322:第1送風室
324:第2送風室
326:第1壁
328:第2壁
330:内壁
332:吸気口
334:第1送風口
336:第2送風口
338:湾曲部
360:外部ケース
366:吸込口
380:第1導風板
382:板面
384:第1端部
386:第2端部
400:第2導風板
420:ノズル
422:供給口
D1:遠心方向
L:仮想線
O:回転中心
【要約】
【課題】
第1送風口から、第1送風口における各位置において、従来装置よりも均一に気体を送風できるはんだ付け装置を提供する。
【解決手段】
本開示に係るはんだ付け装置は、はんだ付けを行うためのはんだ付け装置であって、対象物に気体を供給するための送風ユニットを備え、送風ユニットは、第1送風室を有するケース、第1送風室に収容されて遠心方向に気体を送風するためのファン、第1導風板及び、気体を加熱するためのヒータ又は前記気体を冷却するための冷却ユニットを有し、ケースは、ファンの軸方向においてファンと対向する第1壁、第1壁と向かい合う第2壁、及び第1壁と第2壁との間を繋ぐ内壁を有し、第1壁、第2壁及び内壁は、第1送風室を画定し、第1壁には、第1送風口が形成され、第1導風板は、ファンから送風された気体の一部を第1送風口に導くように第1送風室に配置される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5