(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分析サーバは、行動情報提供サーバから特定の条件に基づく基礎的分析の要求があると、特定の基礎的分析モデルを利用して基礎分析データを取得し、当該基礎分析データを基礎的分析の要求があった前記行動情報提供サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の行動分析システム。
分析サーバは、基礎的分析モデルにおける貢献度の算出には、ユーザ単位で行動情報の座標数又はエリア数に重み付けを行うことを特徴とする請求項2記載の行動分析システム。
分析サーバは、行動情報提供サーバから特定の条件に基づく応用的分析の要求があると、特定の応用的分析モデルを利用して応用分析データを取得し、当該応用分析データを応用的分析の要求があった前記行動情報提供サーバに送信することを特徴とする請求項1記載の行動分析システム。
分析サーバは、応用的分析モデルにおける貢献度の算出には、行動情報提供サーバ単位で行動情報の座標数又はエリア数に重み付けを行うことを特徴とする請求項4記載の行動分析システム。
分析サーバは、提供されたユーザの行動情報について、当該行動情報を提供した行動情報提供サーバからの分析要求には使用するが、他の行動情報提供サーバからの分析要求には使用させないよう制限することを特徴とする請求項1乃至5記載の行動分析システム。
複数の行動情報提供サーバからユーザの位置情報を含む行動情報が提供され、行動分析を行う行動分析システムの分析サーバで実行されるコンピュータプログラムであって、
前記分析サーバを、
前記提供されたユーザの行動情報を記憶するユーザデータベースにおける特定のユーザの行動情報について、位置情報を対応する施設情報又は地域情報に変換する空間情報変換データベースを参照して当該特定のユーザの基礎的な行動分析を行う基礎的分析手段と、
前記特定のユーザの行動情報及び前記特定のユーザ以外の行動情報を用いて前記特定のユーザの応用的な行動分析を行う応用的分析手段と、
前記行動情報提供サーバに前記基礎的な行動分析の結果又は前記応用的な行動分析の結果の分析データを送信する送信手段と、
前記提供された行動情報の提供の量又は前記提供された行動情報の利用の程度を示す利用状況から行動分析における前記複数の行動情報提供サーバの中で特定の行動情報提供サーバの貢献度を算出する決定手段として機能させることを特徴とするプログラム。
決定手段は、応用的分析モデルにおける貢献度の算出には、行動情報提供サーバ単位で行動情報の座標数又はエリア数に重み付けを行うことを特徴とする請求項10記載のプログラム。
基礎分析手段又は/及び応用分析手段は、提供されたユーザの行動情報について、当該行動情報を提供した行動情報提供サーバからの分析要求には使用するが、他の行動情報提供サーバからの分析要求には使用させないよう制限することを特徴とする請求項7乃至11記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る位置情報を利用した行動分析システムは、複数の行動ログ提供会社から提供されたユーザの行動ログデータ(行動情報)を用いて当該ユーザの基礎的分析を行うと共に、他のユーザの行動情報も用いて人工知能機械学習等による応用的分析も行い、提供されたユーザの行動情報の量又は分析における利用状況から行動ログ提供会社の情報提供の貢献度を判断するようにしているので、その貢献度に応じて行動ログ提供会社に情報提供料を支払うことが可能となり、行動情報の収集を促進させて分析精度を向上させることができるものである。
【0025】
[本システム:
図1]
本発明の実施の形態に係る行動分析システム(本システム)について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略構成図である。
本システムは、
図1に示すように、分析サーバ1と、行動ログ提供会社Aのサーバ41と、行動ログ提供会社Bのサーバ51とがネットワーク3を介して接続している。
【0026】
本システムでは、各々の行動ログ提供会社と分析サーバ1で分析を行う会社は別の会社であり、複数の行動ログ提供会社のサーバがユーザの行動ログを分析サーバ1に提供しており、行動分析の条件を設定して行動分析を分析サーバ1に依頼し、分析サーバ1が行動分析の処理を行い、分析結果のレポートを分析依頼のあった行動ログ提供会社のサーバに送信するものである。
【0027】
また、本システムでは、分析サーバ1で行動分析が為されると、ユーザの行動ログデータの利用状況を判断し、分析依頼を行っていない行動ログ提供会社(他の行動ログ提供会社)のデータの貢献度を決定し、その貢献度に応じて他の行動ログ提供会社に情報提供料を支払うものである。
【0028】
ここで、分析サーバ1にアクセスするのは、ユーザの行動情報を提供するだけで分析を要求しない行動ログ提供会社サーバと、ユーザの行動情報の提供は行わず、行動分析を要求するサーバと、ユーザの行動情報を提供すると共に分析要求も行う行動ログ提供会社サーバとがある。
行動分析だけを要求するサーバは、
図1では図示していないが、ネットワーク3を介して分析サーバ1に接続するものである。
【0029】
分析サーバ1には、ユーザデータベース(ユーザDB)21、基礎的分析データベース(基礎的分析DB)22と、応用的分析データベース(応用的分析DB)23、空間情報変換データベース(空間情報変換DB)24が接続されている。
尚、これらDBに記憶されるデータを分析サーバ1内の記憶部に記憶させさるようにしてもよい。
【0030】
また、行動ログ提供会社Aのサーバ41にはA会社用行動ログデータベース(A会社用行動ログDB)42が接続され、行動ログ提供会社Bのサーバ51にはB会社用行動ログデータベース(B会社用行動ログDB)52が接続されている。
【0031】
A会社用行動ログDB42は、行動ログ提供会社Aのサーバ41で取得されたユーザの行動ログデータ(行動情報)を記憶している。
B会社用行動ログDB52は、行動ログ提供会社Bのサーバ51で取得されたユーザの行動ログデータ(行動情報)を記憶している。
【0032】
図1では、行動ログ提供会社Aのサーバ41と行動ログ提供会社Bのサーバ51がネットワーク3に接続することが示されているが、実際は更に複数の行動ログ提供会社のサーバが接続するものとなっている。
【0033】
[本システムの各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[分析サーバ1]
本システムの分析サーバ1は、
図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、インタフェース部13とを基本的に備えている。
【0034】
記憶部12には、処理プログラム、処理に必要なデータが記憶されている。
インタフェース部13は、各種DBに接続すると共にネットワーク3に接続している。
制御部11は、記憶部12に記憶されている処理プログラムを読み込んで本実施の形態の特徴的な処理を実行するものである。
【0035】
制御部11の処理内容は、行動ログ提供会社Aのサーバ41、行動ログ提供会社Bのサーバ51から送信されたユーザの行動情報(行動ログデータ)を受信してユーザDB21に格納し、行動分析の依頼(要求)に対して、ユーザの行動情報を基に空間情報変換DB24を参照して基礎的分析を行い、その基礎的分析データを基礎的分析DB22に格納し、複数のユーザの行動情報を基に人工知能機械学習による応用的分析を行い、その応用的分析データを応用的分析DB23に格納し、基礎的分析データ、応用的分析データを分析依頼があった行動ログ提供会社Aのサーバ41、行動ログ提供会社Bのサーバ51に送信するものである。制御部11での具体的処理内容は後述する。
【0036】
[ユーザDB21]
ユーザDB21は、行動ログ提供会社Aのサーバ41、行動ログ提供会社Bのサーバ51から提供されたユーザの行動情報をユーザID(識別子)単位で記憶している。
ここで、ユーザIDとは、携帯端末を個々に特定するためのIDであり、デジタル広告との連携も可能なものである。つまり、ユーザIDとして、機器ID、広告用ID等が考えられ、一つの携帯端末に固有に付与されるIDである。
尚、携帯端末は、スマートフォン、携帯型PC(パーソナルコンピュータ)を想定しているが、自動車等の移動装置に搭載される通信端末であってもよい。
従って、一つのユーザIDの行動情報が、行動ログ提供会社Aのサーバ41と行動ログ提供会社Bのサーバ51の双方から得られることがある。
【0037】
[基礎的分析DB22]
基本的分析DB22は、ユーザ毎の行動情報に基づいて特定される基礎的分析モデルを記憶し、更にその基礎的分析モデルを利用して得られた基礎的分析データ(基礎分析データ)を記憶している。
【0038】
[応用的分析DB23]
応用的分析DB23は、複数のユーザの行動情報に基づいて得られる応用的分析モデルを記憶し、更にその応用的分析モデルを利用して得られた応用的分析データ(応用分析データ)を記憶している。
【0039】
[空間情報変換DB24]
空間情報変換DB24は、位置情報の座標の群(座標群)に対応する施設情報や地域情報を記憶しており、座標群を施設や地域に関連付けて、座標群を意味付けするのに用いられる。尚、施設情報又は地域情報には、施設名、地域名、関連する情報が含まれる。
空間情報としては、POI(Point Of Interest:関心地点)、施設ポリゴン、3次元データ、地域の統計データ等を用いてもよい。
【0040】
POIは、地図上で特定の場所を占有する地物を指し、例えば、学校、公共施設、郵便局、店舗、観光名所等がある。POIは、代表点(中心点)であるので、そこから円などを定義して、事例の施設に訪問したか否かの判断に利用するものである。
施設ポリゴンは、2次元の座標群であり、施設の建物、敷地の範囲がPOIより正確に認識でき、それらに訪問したか否かを厳密に判断できるものである。
3次元(3D)データは、高さの情報を持った施設の構造情報である。施設ポリゴンに加えて高さの情報から階数が判別できるので、フロアやテナントまで判断できるものである。
地域の統計データは、ジオデモグラフィックスの手法による居住者特性をエリア分析したもので、地域がカテゴリーに分類されたものである。また、地域の統計データは、スタンダードな国勢調査や年収別世帯数などの指標を利用してもよい。
【0041】
[ネットワーク3]
ネットワーク3は、インターネットを想定しているが、専用回線で接続される閉鎖的なネットワークであってもよい。
【0042】
[行動ログ提供会社Aサーバ41]
行動ログ提供会社Aサーバ41は、例えば、ユーザのスマートフォン等の携帯端末から携帯端末の移動に伴う行動ログ(位置情報と時刻情報)を取得し、A会社行動ログDB42に記憶し、更に取得したユーザの行動ログ(行動情報)を分析サーバ1にネットワーク3を介して送信する。ここで、行動情報に性別、年代等の属性情報(教師データ)を含めてもよい。
【0043】
また、携帯端末が、位置情報以外に加速度データ、方位データ、脈拍データ、体温データ等の情報を行動ログ提供会社Aサーバ41に送信し、行動ログ提供会社Aサーバ41が、それらデータをA社行動DB42に記憶して、分析サーバ1に送信してもよい。
更に、行動ログ提供会社Aサーバ41は、分析サーバ1に行動分析を依頼し、分析条件等の設定を送信し、分析サーバ1から基礎的分析モデルによって得られた基礎的分析データ(基礎分析データ)を受信し、応用的分析モデルによって得られた応用的分析データ(応用分析データ)を受信する。
【0044】
[行動ログ提供会社Bサーバ51]
行動ログ提供会社Bサーバ51は、例えば、ユーザのスマートフォン等の携帯端末からアプリ使用に基づく行動ログデータ(位置情報と時刻情報)を取得し、B会社行動ログDB52に記憶し、更に取得したユーザの行動ログデータ(行動情報)を分析サーバ1にネットワーク3を介して送信する。ここで、行動情報にID−POS等の購買履歴等の属性情報(教師データ)を含めてもよい。
また、行動ログ提供会社Bサーバ51は、分析サーバ1から基礎的分析モデルによって得られた基礎分析データを受信し、応用的分析モデルによって得られた応用分析データを受信する。
【0045】
[分析サーバ1の処理内容]
次に、分析サーバ1の制御部11で処理プログラムを記憶部12から読み込んで実行する機能実現手段には、ユーザ行動情報の受信手段と、基礎的分析手段と、応用的分析手段と、分析結果の提供手段と、ユーザの行動情報の提供元についてデータ提供の貢献度を判断(決定)する決定手段等とを備えている。
以下、各手段について説明する。
【0046】
[受信手段]
受信手段は、ネットワーク3を介して行動ログ提供会社Aサーバ41又は/及び行動ログ提供会社Bサーバ51からユーザの行動情報を受信すると、そのユーザの行動情報をユーザDB21に記憶する。ユーザDB21へのユーザの行動情報の格納は、ユーザID毎に行う方がデータを利用し易い。
【0047】
[基礎的分析手段]
基礎的分析手段は、空間情報変換DB24を参照し、ユーザDB21に格納されたユーザの行動情報における座標群を関連付けられた施設情報や地域情報に変換する。
また、基礎的分析手段は、各施設又は各地域のユーザの訪問回数、訪問頻度、訪問時間帯を計算する。
尚、基礎的分析手段は、教師情報を用いないで分析を行うものとしている。
【0048】
基礎的分析手段によって特定される基礎的分析モデルは、「自店舗行動」「他店舗行動」「居住地」「勤務地」「利用駅」「性年代」「出張」「散歩」「通院」「旅行」等のモデルである。
そして、これらモデルの情報から「基礎的なプロファイル」「行動の傾向」「ペルソナ(心理的人物像)」「ライフステージ」等の情報(基礎分析データ)が得られ、基礎的分析DB22に記憶される。
尚、基礎的分析モデルは、ユーザ本人の行動情報を用いて分析されたものとなっている。
【0049】
[応用的分析手段]
応用的分析手段は、ユーザDB21に記憶された複数のユーザの行動情報、または複数のユーザについての基礎的分析モデルの情報を用いて人工知能機械学習により応用的分析モデル(人工知能分析モデル)の情報を生成する。
【0050】
具体的には、応用的分析手段は、複数のユーザの行動情報、複数のユーザについての基礎的分析モデルの情報を同時に学習させ、分析モデルの予測を行う。それにより、「行動の特徴」「売上予測」「ロイヤリティ」「離反の兆候」等の応用的分析モデルを生成し、その応用的分析モデルに基づいて応用的分析を行って応用的分析データ(応用分析データ)が得られ、応用的分析DB23に記憶される。
【0051】
更に、応用的分析手段は、行動ログ提供会社Aサーバ41又は/及び行動ログ提供会社Bサーバ51から提供される、性年代などの属性情報、購買履歴等の教師情報を用いた分析を行うようにしてもよい。
応用的分析では、教師情報を用いることとし、例外的に、用いなくてもよい。
尚、応用的分析モデルは、複数のユーザの行動情報を用いて、それらが相互作用して分析されたものとなっている。
更に、応用的分析では、人工知能機械学習を用いない分析手法であってもよい。
【0052】
[提供手段]
提供手段は、行動ログ提供会社Aサーバ41又は/及び行動ログ提供会社Bサーバ51からの分析依頼に応じて、ユーザID毎に基礎的分析又は/及び応用的分析を行い、基礎的分析DB22又は/及び応用的分析DB23に分析結果のデータ(分析レポート)を記憶し、そして、分析依頼があった行動ログ提供会社Aサーバ41又は/及び行動ログ提供会社Bサーバ51に分析レポートを送信する。
分析レポートは、分析を依頼した側の設定条件に基づいて基礎的分析又は/及び応用的分析が為され、作成されるものである。
【0053】
[決定手段]
本システムでは、行動ログ提供会社Aサーバ41、行動ログ提供会社Bサーバ51といった複数の行動情報提供元からユーザの行動情報を取得して分析を行うものであるから、できるだけ多くのユーザの行動情報が必要である。そのため、情報提供元の会社が情報提供のモチベーションが得られる仕組みがあると情報提供が促されることになる。
【0054】
そこで、決定手段は、情報提供元の会社からの情報提供の貢献度を計算して決定している。つまり、情報提供の貢献度に応じて情報提供料を情報提供のあった会社に支払うようにしている。
【0055】
例えば、行動情報の提供元Pが行動情報を提供したものの、その情報が他の情報提供元Q,Rでは分析に利用されず、貢献度がゼロの場合には、提供元Pは提供元Q,Rから情報提供料を受け取ることはない。また、他の情報提供元Q,Rが分析で利用して貢献があった場合には、貢献度に応じて提供元Pは提供元Q,Rから情報提供料を受け取ることになる。
【0056】
[貢献度の算出方法]
次に、行動情報の貢献度の決定について説明する。
[量のみの算出方法]
具体的には、単純に情報提供元の会社A,B,Cからの行動情報の提供量に応じて貢献度を決定する。例えば、以下の式(1)によりユーザID毎に貢献度を求める。
A社の貢献度=A社の提供量/(A+B+Cの総提供量)・・・式(1)
尚、上記例では、全ての情報提供元の行動情報が利用されるという前提であるが、提供されただけで利用されない場合にも、この量のみの算出方法を用いてもよい。
【0057】
[量と質の算出方法]
また、各社の情報の重み付けを行い、貢献度を決定してもよい。例えば、以下の式(2)により貢献度を求める。以下の「提供量」が量で、「重み付け係数」が質となる。
A社の貢献度=(A社の提供量×重み付け係数a)/{(A社の提供量×重み付け係数a)+(B社の提供量×重み付け係数b)+(C社の提供量×重み付け係数c)}・・・式(2)
【0058】
[基礎的分析の貢献度]
基礎的分析モデルにおける貢献度は、各行動情報の提供元から提供されたユーザID毎の行動情報について、行動分析を依頼した提供元以外の提供元の行動情報がどの程度利用されたかを示すものである。
貢献度は、分析が為される度に算出されるもので、分析サーバ1を運営する会社が把握するものである。
【0059】
例えば、特定のユーザIDについて、行動提供元A社が行動情報を100件、提供元B社が200件、提供元C社が300件あって、A社が依頼した分析にA社の50件、B社の100件、C社の150件が使用された場合に、B社の貢献度は100/(50+100+150)=100/300で33.3%となる。
また、C社の貢献度は150/300で50%となる。
【0060】
[基礎的分析の貢献度算出:
図2]
次に、基礎的分析モデルにおける貢献度の算出について
図2を参照しながら説明する。
図2は、基礎的分析モデルの貢献度算出表を示す図である。
基礎的分析モデルでは、共通するユーザIDについて情報提供の貢献度を算出するものである。
図2の表は、分析サーバ1の記憶部12に基礎的分析モデルの貢献度演算のテーブルとして記憶される。
【0061】
図2では、行動分析の度にユーザID毎に各情報提供元の座標数、その価値が設定されている。
座標数の価値とは、提供された座標数がどの程度利用されるものであるのかを示す数値(%)である。
図2の表は、基礎的分析の内容、種類に応じて設定される数値が変更されるものである。
図2の表を用いた貢献度算出処理フローは後述する。
【0062】
[応用的分析の貢献度算出:
図3]
次に、応用的分析モデルにおける貢献度の算出について
図3を参照しながら説明する。
図3は、応用的分析モデルの貢献度算出表を示す図である。
応用的分析モデルでは、ユーザIDではなく情報提供元単位で情報提供の貢献度を算出するものである。
図3の表は、分析サーバ1の記憶部12に応用的分析モデルのテーブルとして記憶される。
【0063】
図3では、情報提供元毎に座標数、その価値、教師情報の項目数、その価値が設定されている。教師情報を用いないで、座標数の価値だけで重み付けを行ってもよい。
教師情報(教師データ)は、情報提供元が取得した、行動情報以外の情報でPOS等の購買履歴情報、アプリの利用情報等である。
図3の表は、応用的分析の内容、種類に応じて設定される数値が変更されるものである。
図3の表を用いた貢献度算出処理フローは後述する。
【0064】
[全体処理フロー:
図4]
次に、分析サーバ1の制御部11によって実行される全体の処理フローについて
図4を参照しながら説明する。
図4は、全体の処理フローを示す図である。
図4に示すように、制御部11は、行動ログ提供会社サーバからの分析依頼(分析要求)が基礎的分析か否かを判定する(S1)。
分析要求が基礎的分析であれば(Yesの場合)、基礎的分析処理を行い(S2)、分析要求が基礎的分析でなければ(Noの場合)、分析要求が応用的分析か否かを判定する(S3)。
基礎的分析処理は、特定の基礎的分析モデルを用いて基礎分析データ(レポート)を生成し、そのレポートを分析要求があった行動ログ提供会社サーバに送信する。
【0065】
分析要求が応用的分析であれば(Yesの場合)、応用的分析処理を行い(S4)、分析要求が応用的分析でなければ(Noの場合)、貢献度算出処理へ移行する(S5)。
応用的分析処理は、特定の応用的分析モデルを用いて応用分析データ(レポート)を生成し、そのレポートを分析要求があった行動ログ提供会社サーバに送信する。
【0066】
後述する基礎的分析モデルにおける貢献度算出フロー又は/及び応用的分析モデルにおける貢献度算出フローによる貢献度算出処理を行う(S5)。
貢献度算出処理で得られた貢献度は、分析要求を行っていない行動ログ提供会社(他の行動ログ提供会社)の貢献度となる。
そして、全体の処理を終了する。
【0067】
[基礎的分析モデルにおける貢献度算出フロー:
図5]
次に、分析サーバ1の制御部11によって実行される基礎的分析モデルにおける貢献度算出フローについて
図5を参照しながら説明する。
図5は、基礎的分析モデルにおける貢献度算出フローを示す図である。
図5の処理フローは、
図4の貢献度算出処理S5の一部である。
制御部11は、
図4の基礎的分析処理が実行された場合に、
図4の貢献度算出処理S5において、基礎的分析モデルにおける貢献度算出処理が実行されるようになっている。
【0068】
基礎的分析モデルにおける貢献度算出処理が開始されると、制御部11は、ユーザDB21から基礎的分析対象のユーザIDの情報(行動情報)を取得する(S11)。この処理S11は、
図4の処理S2で行ってもよい。
ユーザID毎に各情報提供元における座標数、その価値を用いてユーザIDの座標数に重み付けを行い、得られた数値を有効利用量として、各情報提供元における有効利用量を求める(S12)。
そして、各情報提供元の有効利用量を合計し、ユーザID毎の合計有効利用量を求める(S13)。
【0069】
更に、貢献度を求める情報提供元の有効利用量を合計有効利用量で除算してユーザID毎の貢献度を求める(S14)。
貢献度は、ユーザDB21に記憶され、当該情報提供元には、当該貢献度に応じて分析会社が使用料を支払う。
【0070】
[応用的分析モデルにおける貢献度算出フロー:
図6]
次に、分析サーバ1の制御部11によって実行される応用的分析モデルにおける貢献度算出フローについて
図6を参照しながら説明する。
図6は、応用的分析モデルにおける貢献度算出フローを示す図である。
制御部11は、
図4の応用的分析処理が実行されると、応用的分析モデルにおける貢献度算出処理が開始されるようになっている。
【0071】
応用的分析モデルにおける貢献度算出処理が開始されると、制御部11は、ユーザDB21から応用的分析対象の行動情報を参照し、各情報提供元の座標数と教師情報の項目数を取得し、
図3のテーブルに設定する(S21)。
そして、
図3のテーブルに、各情報提供元の座標数の価値を設定し(S22)、各情報提供元の教師情報の価値を設定する(S23)。
【0072】
次に、情報提供元毎の座標数、その価値、教師情報の項目数、その価値を用いて座標数に重み付けを行い、得られた数値を有効利用量とする(S24)。
そして、各情報提供元の有効利用量を合計し、合計有効利用量を求める(S25)。
【0073】
更に、貢献度を求める情報提供元の有効利用量を合計有効利用量で除算して貢献度を求める(S26)。
この貢献度も、ユーザDB21に記憶され、当該情報提供元には、当該貢献度に応じて分析会社が使用料を支払う。
【0074】
[応用例1]
次に、応用例1を説明する。
応用例1では、行動ログ提供会社がユーザの行動情報を分析サーバ1に提供するものの、その行動情報の全部又は一部を他の行動ログ提供会社サーバの分析に使用させないよう制限を付するものである。尚、制限を付した行動ログ提供会社サーバが分析を依頼した場合には、自己保有のデータとして制限なく使用することができる。
上記制限は、テーブル等で分析サーバ1内の記憶部12に記憶させておき、分析処理の際に参照して処理を行うものとなる。
【0075】
[応用例2]
次に、応用例2を説明する。
本システムでは、ユーザの行動情報における位置情報に座標データを用いているが、応用例2では、位置情報が座標データだけでなく、郵便番号データ、行政界データ、メッシュデータ、Wi−Fiエリアデータ等を用いたものであり、それぞれのデータへの対応を可能としたものである。
【0076】
郵便番号データは、郵便番号によって特定されるエリアの情報であり、行政界データは、行政によって区切られたエリアの情報であり、メッシュデータは、任意に設定された地図上のメッシュによって特定されるエリアの情報であり、Wi−Fiエリアデータは、Wi−Fiの基地局によって電波が届くエリアの情報である。
これらエリアの情報には、具体的にはエリア番号、エリアコードが付与されて管理されるものである。
【0077】
[応用例2における動作]
応用例2における処理動作について説明する。
行動ログ提供会社Xのサーバが、ユーザIDに対応して、座標データの代わりに、例えば、郵便番号データによる行動分析を分析サーバ1に要求する場合、郵便番号データのエリアの情報に基づくユーザの行動情報(ユーザID、エリアコード、時刻)を取得し、その会社Xの行動ログDBに記憶する。
【0078】
尚、行動ログ提供会社Xのサーバが、郵便番号データではなく、行政界データ、メッシュデータ又はWi−Fiエリアデータ等のいずれかのエリアの情報による行動分析を分析サーバ1に要求する場合には、それらのエリアの情報に基づくユーザの行動情報(ユーザID、エリアコード、時刻)を取得し、ユーザの行動情報として、その会社Xの行動ログDBに記憶してもよい。
【0079】
そして、行動ログ提供会社Xのサーバが、郵便番号データのエリアの情報に基づくユーザの行動情報を分析サーバ1に送信し、分析サーバ1がその行動情報を受信してユーザDB21に記憶する。更に、分析サーバ1は、ユーザDB21に記憶したユーザの行動情報を基に行動分析を行う。
つまり、初めに記載した実施例では、ユーザの位置を座標で特定したが、応用例2では、ユーザの位置をエリアの情報で特定するものである。
【0080】
[座標データをエリア情報に変換]
分析サーバ1は、行動ログ提供会社Xのサーバから郵便番号エリアでの行動分析の要求(依頼)を受信すると、ユーザDB21に記憶されている、他の行動ログ提供会社サーバから送信されたユーザIDの座標データを郵便番号エリアの情報に変換する。
具体的には、分析サーバ1は、郵便番号エリアの情報と座標データとを対応付けて記憶しておき、ユーザの行動情報における座標データを対応する郵便番号エリアの情報に変換する。
【0081】
そして、行動ログ提供会社Xから提供された郵便番号エリアに基づく行動情報と他の行動ログ提供会社サーバから提供され、郵便番号エリアの情報に変換された行動情報を用いて、分析サーバ1が分析処理を行う。
つまり、ユーザの座標データを郵便番号エリアの情報に変換することで、他の行動ログ提供会社サーバから提供された行動情報も利用して行動分析を行うことができる。
【0082】
座標データを郵便番号エリアの情報に変換したのと同じ手法で、座標データを行政界データ、メッシュデータ又はWi−Fiエリアデータ等のエリア情報に変換すれば、座標データをいずれのデータ形式のエリア情報に対応付けることができ、分析を要求する会社としては、自己の分析スタイルに合ったデータ形式で分析結果を取得できる。
【0083】
このように、分析要求を行う会社のデータ形式(要求するエリア情報)に応じて、座標データを利用してユーザの行動分析を行うことができるので、提供されたユーザの行動情報を有功に活用でき、分析精度を向上させることができる効果がある。
無論、基礎的行動分析と応用的行動分析の双方の行動分析に適用可能である。
【0084】
尚、行動ログ提供会社サーバからは座標データが提供されるものの、分析サーバ1が郵便番号エリア又はその他のエリアの情報に変換して行動分析を行い、そのエリアに基づく分析結果を行動ログ提供会社サーバに提供してもよい。
【0085】
また、エリア情報を用いた行動分析として、当該エリアについてクラスタ分析を行い、クラスタ番号を付与しておく。ユーザがエリアを移動した場合に、ユーザの履歴情報からクラスタ番号の変遷を取得し、クラスタ分析エリアの移動順、滞在時間、移動時間を基にユーザの行動分析を行うようにしてもよい。
【0086】
更に、ユーザの行動情報の貢献度についても、提供されるユーザの行動情報がエリア単位であれば、
図2、
図3の「座標数」は「エリア数」となり、
図6の「座標数」も「エリア数」として処理を行えば適用できるものである。
【0087】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、複数の行動情報の提供者(行動ログ提供会社Aサーバ41、行動ログ提供会社Bサーバ51)から提供されたユーザの行動情報を用いて分析サーバ1が当該ユーザの基礎的分析を行うと共に、他のユーザの行動情報も用いて人工知能機械学習等による応用的分析も行い、更に、提供されたユーザの行動情報の量又は分析における利用状況から提供者の情報提供の貢献度を決定するようにしているので、その貢献度に応じて情報提供料の支払いを可能とし、行動情報の収集を促進して分析精度を向上させることができる効果がある。