特許第6854496号(P6854496)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854496
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】三環式ヘテロアリール基含有化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20210329BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20210329BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20210329BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20210329BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20210329BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20210329BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20210329BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   C07D471/04 120
   C07D471/04CSP
   C07D498/04 112T
   C07D498/04 111
   A61K31/5383
   A61K31/4985
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P11/00
   A61P1/16
【請求項の数】20
【全頁数】86
(21)【出願番号】特願2019-552329(P2019-552329)
(86)(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公表番号】特表2020-503378(P2020-503378A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】CN2017115756
(87)【国際公開番号】WO2018108084
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】201611141395.2
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519213012
【氏名又は名称】ハンジョウ イノゲート ファーマ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU INNOGATE PHARMA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハンチェン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,シフェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨウ,シャンヤン
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/118438(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/197987(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/101673(WO,A1)
【文献】 国際公開第97/019089(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/134259(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/090738(WO,A1)
【文献】 国際公開第2005/123696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C07D 498/04
A61K 31/4985
A61K 31/5383
A61P 1/16
A61P 11/00
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【化1】
(ただし、前記のMは下記(II)で表される基である。
【化2】
式(I)および式(II)において、
【化3】
は式(II)と式(I)におけるUの連結部位を表す。
「*」はキラル中心を表す。
Aはアリール基またはヘテロアリール基から選ばれる。
Bはアリール基、ヘテロアリール基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、NRaRb、ORb、SRb、またはSO2Rbで、ここで、前記のアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は独立に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
UはNRd、OまたはSである。
Xは水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、3-10員ヘテロ環基、ORe、SRe、NReRe、CN、C(O)Re、C(O)ORe,C(O)NReRe、OC(O)Re、NReC(O)Re、またはS(O)2Reである。
JおよびGはそれぞれ独立にNRf、O、S、S(O)、S(O)2またはCRgRgである。
R1およびR2はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C3-6シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、またはC(O)NReReからなる群から選ばれ、ここで、前記のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は任意に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
各R3はそれぞれ独立に水素、またはC1-4アルキル基で、2つのR3が同時に同一の炭素原子に連結している場合、この2つのR3はこれらに連結した炭素原子と任意にともにカルボニル基(C=O)を形成してもよい。
nは0、1、2、または3である。
Raは水素、C1-4アルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3-12員ヘテロ環基で、ここで、前記のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は、形成する化学構造式が安定して有意なものであれば、任意に独立に1つまたは複数のハロゲン、ORe、CN、SO2NReReで置換されてもよい。
Rbはアリール基、ヘテロアリール基、C1-4アルキル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、C(O)Re、またはC(O)NReReで、ここで、前記のアリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は任意に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
各Rcはそれぞれ独立にハロゲン、C1-4アルキル基、C3-8シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、C(O)NReRe、NReC(O)Re、ORe、CN、またはSO2NReReである。
Rdは水素またはC1-4アルキル基である。
各Reはそれぞれ独立に水素、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、アリール基、またはヘテロアリール基からなる群から選ばれるか、あるいは2つのReはこれらに連結した窒素原子とともに3-8員ヘテロ環基を形成してもよく、当該ヘテロ環基は1または2個のN原子および0または1個のO、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
Rfは水素、C1-8アルキル基、C1-8ハロアルキル基、C2-8アルケニル基、C2-8アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、C(O)Re、C(O)ORe、C(O)NReRe、S(O)2Re、またはS(O)2NRhRhである。
各Rgはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基からなる群から選ばれるか、あるいは2つのRgはこれらに連結した炭素原子とともにカルボニル基(C=O)を形成するか、あるいは2つのRgはこれらに連結した同一の炭素原子とともに3-8員環状構造を形成してもよく、当該環状構造は任意に0、1または2個のN、O、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
各Rhはそれぞれ独立に水素、またはC1-4アルキル基であるか、あるいは2つのRhはこれらに連結した同一の炭素原子とともに3-員環状構造を形成してもよい。
ここで、各上記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、環状構造、アリール基およびヘテロアリール基は任意にかつそれぞれ独立にハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、CN、NO2、ORe、SRe、NReRe、C(O)Re、C(O)ORe、C(O)NReRe、NReC(O)Re、またはS(O)2Reからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されてもよく;
特別に説明しない限り、上記のアリール基は6-12個の炭素原子を含有する芳香族基で、ヘテロアリール基は5-15員ヘテロ芳香族基で、環状構造は飽和または不飽和の、ヘテロ原子を含有するか、または含有しない環状基である。
付加条件は、Aは下記群から選ばれる基ではないことである:
【化4】

ここで、「**」はUと連結することを、「***」はBと連結することを表す。
かつ前記の式I化合物は
【化5】
ではない。)
【請求項2】
前記のMは下記式(IIa)で表される基であることを特徴とする、請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【化6】
(ただし、X、R3、G、およびnの定義は請求項1に記載の通りである。)
【請求項3】
前記のMは式(IIb)、式(IIc)、または式(IId)で表される基であることを特徴とする、請求項1-2のいずれかに記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【化7】
(ただし、Rfの定義は請求項1の通りである。)
【請求項4】
式(I)におけるAはそれぞれ独立に以下の基から選ばれることを特徴とする、請求項1-3のいずれかに記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【化8】
(ここで、「**」はUと連結することを、「***」はBと連結することを表す。
UはNRdである。)
【請求項5】
式(I)におけるBは以下の群から選ばれることを特徴とする、請求項1-3のいずれかに記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物:
【化9】
【請求項6】
式(I)は、
【化10】
である、
(XはHである。
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は請求項1に記載の通りである。
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれ、前記のアルキル基は任意に1個または複数のハロゲンで置換されてもよい。
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成する。
nは0、1、または2である。)
ことを特徴とする、請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項7】
式(I)は、
【化11】
である、
(XはHである。
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は請求項1に記載の通りである。
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれる。
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成する。
nは0、1、または2である。)
請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項8】
式(I)は、
【化12】
である、
(XはHである。
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は請求項1に記載の通りである。
R1は水素、ハロゲン、またはCONH2から選ばれる。
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成する。
nは0、1、または2である。)
請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項9】
式(I)は、
【化13】
である、
(XはHである。
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は請求項1に記載の通りである。
R1は水素、またはC1-4アルキル基から選ばれ、R2はCONH2である。
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成する。
nは0、1、または2である。)
請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項10】
式(I)は、
【化14】
である、
(XはHである。
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は請求項1に記載の通りである。
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれ、前記のアルキル基は任意に1個または複数のハロゲンで置換されてもよい。
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成する。
nは0、1、または2である。)
請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項11】
以下の群から選ばれる、請求項1に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物:
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、
(a) プロテインキナーゼの活性または発現量に関連する疾患を治療する薬物の製造、
(b) プロテインキナーゼ選択的阻害剤の製造、および/または
(c) 体外におけるプロテインキナーゼの活性に対する非治療的な阻害、
に使用され、
ここで、前記のプロテインキナーゼはEGFR、CDK、SYK、JAK、Flt-3、Axl、FAK、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする、前記使用。
【請求項13】
EGFRの高発現に関連する疾患の治療の使用における、請求項6に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項14】
CDKの高発現に関連する疾患の治療の使用における、請求項7に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項15】
SYKおよびJAKの高発現に関連する疾患の治療の使用における、請求項8に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項16】
Flt-3およびAxlの高発現に関連する疾患の治療の使用における、請求項9に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項17】
FAKの高発現に関連する疾患の治療の使用における、請求項10に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物。
【請求項18】
(i)治療有効量の請求項1に記載の式I化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする薬物組成物。
【請求項19】
プロテインキナーゼの活性を阻害する方法であって、阻害対象に、阻害有効量の請求項1に記載の式I化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物を施用する工程、あるいは阻害対象に、阻害有効量の請求項18に記載の薬物組成物を施用する工程を含み、ここで、前記のプロテインキナーゼはEGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAK、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とし、ここで対象はヒトではない、前記方法。
【請求項20】
請求項1に記載の化合物の製造方法であって、化合物が式Icであり、方法が
【化21】
不活性溶媒において、化合物IaをIbと反応させ、式I化合物を得る工程を含み、
一方、化合物Iaは、化合物V−1であり、以下の方法
【化22】
によって調製され、
(i) 塩基性の条件において、式(Va)化合物を式(Vb)化合物と反応させ、式(Vc-1)化合物を得る工程、
任意に、(ii) 酸性の条件において、それぞれ式(Vc-1)化合物で反応させることによって、保護基を脱離させる工程、
(iii) 保護基を脱離させた式(Vc-1)化合物反応させ、式(Vd-1)化合物を得る工程、
ならびに任意に、(iv)(Vd-1)化合物を還元させ、式(V-1)化合物を得る工程、
を含む方法で製造されることを特徴とする、前記製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化学の分野に関する。具体的に、新規な三環式ヘテロアリール基含有誘導体、その合成方法および一つまたは複数のプロテインキナーゼ阻害剤としての、腫瘍、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、特発性肺線維症(IPF)などの複数の関連疾患を治療するための薬物の製造における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は悪性腫瘍とも呼ばれ、世界中で発症率と死亡率が最も高い疾患の一つで、その特徴は細胞の異常増殖および転移で、発症後短時間または比較的に短時間で拡散し、転移する。従来の治療法は、摘出(摘出の条件に合う場合)、放射線治療、化学治療を含む。近年進んできた標的治療法は、毒性および患者に対する副作用を低下させることや、生存率を向上させるなどの利点がある。しかし、標的薬物をある程度使用すると、薬剤耐性が生じ、その後癌細胞の成長と拡散が異常に速くなる。よく見られる癌は、血液癌、肺癌、肝臓癌、膀胱癌、直腸癌、胃癌などがある。
特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis、またはIPF)は、慢性で、進行性で、線維化性の間質性肺疾患、病変が肺に局在し、中高年の発症が多く、その肺組織学および/または胸部高分解能CT(HRCT)の特徴的な所見は、通常型間質性肺炎(UIP)で、病因は不明である。慢性間質性肺疾患として、IPFは発症がわかりにくく、病状が次第に深刻化し、急激に深刻化することもある。IPFは、診断後の平均生存期間が2.8年だけで、死亡率が腫瘍の多くよりも高く、「腫瘍様疾患」と呼ばれている。
【0003】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH)とは、アルコールおよびほかの明確な肝臓損傷要素以外の原因による、肝細胞内における脂肪の過剰な蓄積を主な特徴とする臨床病理学的症候群で、インスリン抵抗性および遺伝的感受性に密接に関連する後天性代謝ストレス性肝障害である。肥満およびそれに関連するメタボリックシンドロームのグローバル的に流行する傾向に伴い、非アルコール性脂肪性肝疾患は、現在、欧米などの先進国および我が国の裕福な地域における慢性肝疾患の主要な原因となっており、一般の成人はNAFLDの罹患率が10%〜30%で、そのうち10%〜20%がNASHで、後者の10年以内の肝硬変の発症率が25%と高い。非アルコール性脂肪性肝疾患は、代償性肝硬変、肝細胞癌および肝臓移植後再発に直接つながるのみならず、ほかの慢性肝疾患の進行にも影響し、そして2型糖尿病およびアテローム性動脈硬化の発症に関与する。メタボリックシンドロームに関連する悪性腫瘍、動脈硬化性心脳血管疾患および肝硬変は、非アルコール性脂肪性肝疾患の患者の生活の質および予期寿命に影響する要素である。そのため、非アルコール性脂肪性肝疾患は現代医学分野における新たな挑戦で、近い将来、非アルコール性脂肪性肝疾患による人類の健康に対する危害は増える一方である。
【0004】
腫瘍分子生物学の研究の進展につれ、腫瘍の発生、進行の分子機序、および異なる病原性標的に対する知見が深くなってきた。多くの癌の誘発に関わるシグナル伝達経路の中では、プロテインキナーゼは生物活性物質で、ATPのγ-リン酸基の多くの重要なタンパク質のチロシン残基への転移を触媒し、リン酸化させることによって、シグナルを伝達することで、一連の細胞の活動に関与し、細胞の成長、分化、増殖に密接に関連する。選択的なプロテインキナーゼ阻害剤を発展させてこれらのシグナル経路の異常による疾患を遮断または調節することは、すでに抗腫瘍薬の開発の一つの有効な研究の策とされている。これは臨床試験で実証され、そしていくつかのプロテインキナーゼ阻害剤は市販を許可された。
【0005】
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(epidermal growth factor receptor tyrosine kinase、EGFR)は1186個のアミノ酸からなり、分子量が170-kDaの膜貫通糖タンパク質をコードする。EGFRは、いくつかのシグナル伝達経路を仲介し、細胞外シグナルを細胞内に伝達し、正常細胞と腫瘍細胞の増殖、分化およびアポトーシスのいずれにも重要な調節作用を発揮する(Cell, 2000, 100, 113-127)。EGFRは、多くの正常上皮組織(たとえば皮膚や毛嚢)の構成性発現成分で、大半の固形腫瘍において、EGFRが過発現または高発現することがある。たとえば、肺癌において、EGFRの発現率は40〜80%に達する。そのため、選択的にEGFRを阻害してそれを介するシグナル伝達経路を干渉することで、肺癌を治療する目的が実現され、肺癌の標的治療に実行可能な道が開いた。臨床治療において、従来の放射線治療、化学治療と合わせ、EGFR標的薬物、たとえばゲフィチニブ(IressaR)、エルロチニブ(TarcevaR)などを第一線の薬物とするのは、肺癌治療で非常に有效であると証明された。しかし、このような薬物を使用すると、6-12か月以内で獲得性薬剤耐性が現れる。中では、約50%のケースの薬物耐性は、EGFRキナーゼのドメインにおける一つのアミノ酸残基の突然変異(790番目のトレオニン残基のメチオニンへの突然変異、T790M)に関係する(The New England Journal of Medicine, 2005, 352, 786-792)。T790M突然変異によって阻害剤とEGFRが結合する時に立体障害が生じるかEGFRとATPの親和力が増加することで、このような可逆的な結合の競合阻害剤の抗癌効果が大幅に弱くなる。薬剤耐性の発生は患者の薬物に対する感受性を低下させるだけでなく、腫瘍患者のQOLも大幅に低下させる。そのため、ほかのプロテインキナーゼを含むほかの標的に対する阻害剤の研究はより重要になってきた。
【0006】
脾臓チロシンキナーゼ(spleen tyrosine kinase、SYK)遺伝子は1991年に初めてブタ脾臓cDNAからクローニングされ、非受容体型プロテインチロシンキナーゼをコードする。ヒトSYK遺伝子は9番染色体q22領域に位置し、SYKタンパク質は635個のアミノ酸を含み、自己免疫疾患および血液悪性腫瘍における作用が重要で、たとえばSYK遺伝子は乳癌、メラノーマや肝臓癌などの悪性腫瘍細胞の増殖と転移を阻害することができる。現在、SYK阻害剤はすでに関節リウマチ、慢性リンパ性白血病などの臨床II/III期の実験に使用された。最近の研究では、SYK阻害剤の使用またはSYK遺伝子の発現の干渉は、友好的に肝線維化/肝硬変の進行を遅延させ、優れた治療作用を有することが示された(CN 105664178Aを参照)。
焦点接着斑キナーゼ(Focal Adhesion Kinase、FAK)は、非受容体型チロシンプロテインキナーゼで、1992に癌遺伝子v-srcに関連する高度リン酸化タンパク質として同定され、正常細胞のインテグリンを多く含む接着斑領域に位置する。FAKは細胞内における重要な骨格タンパク質および多くのシグナル経路の主要な分子で、細胞の生存、増殖・遷移および侵入において重要な作用がある。多くの科学研究では、FAK阻害剤は有効な抗腫瘍薬物になる可能性があることが示された。また、近年の科学研究では、FAK阻害剤は有効に肺線維化を治療することもできることが示された。
【0007】
AXLは、重要な受容体型チロシンキナーゼで、英語の全称はAXL receptor tyrosine kinaseである。 AXLは、UFO/ARK/Tyroとも呼ばれ、そのリガンドはビタミンK依存性の増殖促進因子GAS6である。AXLは、初めに慢性骨髓性白血病(CML)の転化遺伝子として発見された。AXLは、転移性結腸癌、甲状腺癌、乳癌、前立腺癌およびメラノーマにおいて過剰に発現される。AXLの活性を阻害すると、腫瘍の成長、拡散および転移を阻害する目的を果たすことができる。
FLT-3(FMS関連チロシンキナーゼ3、Fms-related tyrosine kinase 3)はIII型受容体型チロシンキナーゼファミリーに属するメンバーで、シグナル分子である。FLT-3は、肝臓、脾臓、リンパ、脳、胎盤や生殖腺などの様々な組織において発現され、同時に正常の骨髄細胞およびリンパ系細胞の前駆体においても発現され、多くの造血系悪性疾患において発現され、そのシグナル伝達経路は多くの腫瘍の伝達経路に関わるため、FLT-3は理想的な抗腫瘍薬物の作用標的になっている。
【0008】
細胞周期の制御は、主に一連のセリン/スレオニンキナーゼの影響を受け、このようなセリン/スレオニンキナーゼはサイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-dependent kinase、CDK)とも呼ばれ、これらに相応するサイクリン(cyclin)と結合することによって、細胞周期の進行、遺伝情報の転写および細胞の正常な分裂・増殖を進める。CDK4/6は、細胞周期の主要な調節因子で、細胞周期の成長期(G1期)からDNA複製期(SI期)への移行を触発することができる。細胞増殖の過程において、サイクリンD(Cyclin D)とCDK4/6からなる複合体は網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)をリン酸化させることができる。腫瘍阻害タンパク質Rbがリン酸化すると、リン酸化されていない状態で緊密に結合した転写因子E2Fを放出し、E2Fが活性化してさらに転写し、細胞周期が制限点(R点)を越えてG1期からS期に進み、細胞増殖の周期に入るようにさせる。そのため、サイクリンD-CDK4/6複合体が形成しないようにCDK4/6を阻害すると、細胞周期のG1期からS期への進行を阻止することによって、腫瘍増殖を阻害する目的を実現させることができる。
【0009】
ヤーヌスキナーゼ(Janus kinase、JAK)は、サイトカインのシグナルを膜受容体からSTAT転写因子に伝達する細胞質チロシンキナーゼである。科学研究では、JAKは有望な抗癌薬の標的になる可能性がある。
このように、新規なプロテインキナーゼ阻害剤の開発は重要な意義がある。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、新規なプロテインキナーゼ阻害剤を提供することである。
【0011】
本発明の第一の側面では、下記式Iで表される構造の化合物を提供する。
【化1】
(ただし、前記のMは下記(II)で表される基である。
【化2】
【0012】
式(I)および式(II)において、
【化3】
は式(II)と式(I)におけるUの連結部位を表す。
「*」はキラル中心を表す。
Aはアリール基またはヘテロアリール基から選ばれる。
Bはアリール基、ヘテロアリール基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、NRaRb、ORb、SRb、またはSO2Rbで、ここで、前記のアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は独立に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
UはNRd、OまたはSである。
【0013】
Xは水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C3-6シクロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、3-10員ヘテロ環基、ORe、SRe、NReRe、CN、C(O)Re、C(O)ORe,C(O)NReRe、OC(O)Re、NReC(O)Re、またはS(O)2Reである。
JおよびGはそれぞれ独立にNRf、O、S、S(O)、S(O)2またはCRgRgである。
R1およびR2はそれぞれ独立に水素、ハロゲン、C1-4アルキル基、C3-6シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、またはC(O)NReReからなる群から選ばれ、ここで、前記のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は任意に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
各R3はそれぞれ独立に水素、またはC1-4アルキル基で、2つのR3が同時に同一の炭素原子に連結している場合、この2つのR3はこれらに連結した炭素原子と任意にともにカルボニル基(C=O)を形成してもよい。
nは0、1、2、または3である。
【0014】
Raは水素、C1-4アルキル基、C3-6シクロアルキル基、または3-12員ヘテロ環基で、ここで、前記のアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は、形成する化学構造式が安定して有意なものであれば、任意に独立に1つまたは複数のハロゲン、ORe、CN、SO2NReReで置換されてもよい。
Rbはアリール基、ヘテロアリール基、C1-4アルキル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、C(O)Re、またはC(O)NReReで、ここで、前記のアリール基、ヘテロアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は任意に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
各Rcはそれぞれ独立にハロゲン、C1-4アルキル基、C3-8シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、C(O)NReRe、NReC(O)Re、ORe、CN、またはSO2NReReである。
Rdは水素またはC1-4アルキル基である。
【0015】
各Reはそれぞれ独立に水素、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-8員ヘテロ環基、アリール基、またはヘテロアリール基からなる群から選ばれるか、あるいは2つのReはこれらに連結した窒素原子とともに3-8員ヘテロ環基を形成してもよく、当該ヘテロ環基は1または2個のN原子および0または1個のO、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
Rfは水素、C1-8アルキル基、C1-8ハロアルキル基、C2-8アルケニル基、C2-8アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、C(O)Re、C(O)ORe、C(O)NReRe、S(O)2Re、またはS(O)2NRhRhである。
【0016】
各Rgはそれぞれ独立に水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基からなる群から選ばれるか、あるいは2つのRgはこれらに連結した炭素原子とともにカルボニル基(C=O)を形成するか、2つのRgはこれらに連結した同一の炭素原子とともに3-8員環状構造を形成してもよく、当該環状構造は任意に0、1または2個のN、O、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
各Rhはそれぞれ独立に水素、またはC1-4アルキル基であるか、あるいは2つのRhはこれらに連結した同一の炭素原子とともに3-員環状構造を形成してもよい。
【0017】
ここで、各上記のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロ環基、環状構造、アリール基およびヘテロアリール基は任意にかつそれぞれ独立にハロゲン、C1-4アルキル基、C1-4ハロアルキル基、C2-4アルケニル基、C2-4アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、CN、NO2、ORe、SRe、NReRe、C(O)Re、C(O)ORe、C(O)NReRe、NReC(O)Re、またはS(O)2Reからなる群から選ばれる1〜3個の置換基で置換されてもよいが、その前提条件は形成する化学構造が安定して有意なものであることである。
特別に説明しない限り、上記のアリール基は6-12個の炭素原子を含有する芳香族基で、ヘテロアリール基は5-15員ヘテロ芳香族基で、環状構造は飽和または不飽和の、ヘテロ原子を含有するか、または含有しない環状基である。
【0018】
付加条件は、Aは下記群から選ばれる基ではないことである:
【化4】

ここで、「**」はUと連結することを、「***」はBと連結することを表す。
かつ前記の式I化合物は
【化5】
ではない。)
【0019】
もう一つの好適な例において、前記のMは下記(IIa)で表される基である。
【化6】
(ただし、X、R3、G、およびnの定義は上記の通りである。)
【0020】
もう一つの好適な例において、前記のMは式(IIb)、式(IIc)、または式(IId)で表される基である。
【化7】
(ただし、Rfの定義は上記の通りである。)
【0021】
もう一つの好適な例において、式(I)におけるAは、それぞれ独立に以下の基から選ばれる。
【化8】
(ここで、「**」はUと連結することを、「***」はBと連結することを表す。
UはNRdである。)
【0022】
もう一つの好適な例において、式(I)におけるBは、-NH-アリール基、-NH-C3-8シクロアルキル基、-NH-(3-12員ヘテロ環基)、ヘテロアリール基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基からなる群から選ばれ、ここで、上記の任意のアリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロ環基は(単独の場合またはほかの基とともに置換基にある場合)独立に1つまたは複数のRcで置換されてもよい。
【0023】
もう一つの好適な例において、式(I)におけるBは、以下の群から選ばれる:
【化9】
もう一つの好適な例において、R1、R2、A、U、M、Bはそれぞれ実施例で製造された各具体的な式(I)化合物ににおける相応する基である。
【0024】
もう一つの好適な例において、式(I)は、
【化10】
で、
XはHで、
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は上記の通りで、
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれ、前記のアルキル基は任意に1個または複数のハロゲンで置換されてもよく、
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成し、
nは0、1、または2である。
【0025】
もう一つの好適な例において、式(I)は、
【化11】
で、
XはHで、
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は上記の通りで、
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれ、
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成し、
nは0、1、または2である。
【0026】
もう一つの好適な例において、式(I)は、
【化12】
で、
XはHで、
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は本発明の第一の側面に記載の通りで、
R1は水素、ハロゲン、またはCONH2から選ばれ、
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成し、
nは0、1、または2である。
【0027】
もう一つの好適な例において、式(I)は、
【化13】
で、
XはHで、
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は上記と同様で、
R1は水素、またはC1-4アルキル基から選ばれ、R2はCONH2で、
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成し、
nは0、1、または2である。
【0028】
もう一つの好適な例において、式(I)は、
【化14】
で、
XはHで、
GはNRfまたはOで、ここで、Rfの定義は上記と同様で、
R1は水素、ハロゲン、またはC1-4アルキル基から選ばれ、前記のアルキル基は任意に1個または複数のハロゲンで置換されてもよく、
各R3はそれぞれ独立に水素であるか、あるいは2つのR3は同一の炭素原子に連結してともにカルボニル基(C=O)を形成し、
nは0、1、または2である。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記の化合物は以下の群から選ばれる1つである:
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0030】
本発明の第二の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、
(a) プロテインキナーゼの活性または発現量に関連する疾患を治療する薬物の製造、
(b) プロテインキナーゼ選択的阻害剤の製造、および/または
(c) 体外におけるプロテインキナーゼの活性に対する非治療的な阻害、
に使用され、
ここで、前記のプロテインキナーゼはEGFR、CDK、SYK、JAK、Flt-3、Axl、FAK、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれるが、これらに限定されない、
使用を提供する。
【0031】
本発明の第三の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、EGFR阻害剤としての使用、またはEGFRの高発現に関連する疾患の治療における使用を提供する。
本発明の第四の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、CDK阻害剤としての使用、またはCDKの高発現に関連する疾患の治療における使用を提供する。
本発明の第五の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、SYKおよびJAK阻害剤としての使用、またはSYKおよびJAKの高発現に関連する疾患の治療における使用を提供する。
【0032】
本発明の第六の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、Flt-3およびAxl阻害剤としての使用、またはFlt-3およびAxlの高発現に関連する疾患の治療における使用を提供する。
本発明の第七の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物の使用であって、FAK阻害剤としての使用、またはFAKの高発現に関連する疾患の治療における使用を提供する。
【0033】
本発明の第八の側面では、(i)治療有効量の本発明の第一の側面に記載の式I化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物と、(ii)薬学的に許容される担体とを含む薬物組成物を提供する。
本発明の第九の側面では、プロテインキナーゼの活性を阻害する方法であって、阻害対象に、阻害有効量の本発明の第一の側面に記載の式I化合物、またはその光学異性体、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、重水素置換誘導体、水和物、溶媒和物、あるいは阻害対象に、阻害有効量の本発明の第八の側面に記載の薬物組成物を施用する工程を含み、ここで、前記のプロテインキナーゼはEGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAK、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる、方法を提供する。
【0034】
本発明の第十の側面では、本発明の第一の側面に記載の化合物の製造方法であって、
【化20】
不活性溶媒において、Ia化合物をIbと反応させ、式I化合物を得る工程を含み、
【0035】
好ましくは、前記の式Ia化合物は、
【化21】
【0036】
(i) 塩基性の条件において、式(Va)化合物を式(Vb)化合物と反応させ、式(Vc-1)および(Vc-2)化合物を得る工程、
任意に、(ii) 酸性の条件において、それぞれ式(Vc-1)および(Vc-2)化合物で反応させることによって、保護基を脱離させる工程、
(iii) 保護基を脱離させた式(Vc-1)および(Vc-2)化合物でそれぞれ反応させ、それぞれ式(Vd-1)および(Vd-2)化合物を得る工程、
ならびに任意に、(iv) それぞれ式(Vd-1)および(Vd-2)化合物を還元させ、それぞれ式(V-1)および(V-2)化合物を得る工程、
を含む方法で製造される、方法を提供する。
【0037】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組み合わせ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明者は長期間にわたって深く研究したところ、意外に、新規な構造の三環式ヘテロアリール基含有化合物であるプロテインキナーゼ阻害剤、およびこれらの製造方法と使用を見出した。前記のプロテインキナーゼ阻害剤は、EGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAKを含む多くのプロテインキナーゼを阻害することができる。本発明の化合物は、前記キナーゼの活性に関連する様々な疾患の治療に有用である。上記の知見に基づき、発明者らは本発明を完成させた。
【0039】
用語
特別に説明しない限り、本明細書に記載の「または」は「および/または」と同じ意味を有する(「または」ならびに「および」を指す)。
特別に説明しない限り、本発明のすべての化合物において、各キラル炭素原子(キラル中心)は任意にR配置またはS配置でもよく、あるいはR配置とS配置の混合物でもよい。
本明細書で用いられるように、単独またはほかの置換基の一部である場合、用語「アルキル基」とは炭素原子を有する直鎖(すなわち、無分岐鎖)または分岐鎖の飽和炭化水素基、あるいは直鎖と分岐鎖を組み合わせた基をいう。アルキル基の前に炭素原子数の限定がある(たとえばC1-10)場合、前記のアルキル基が1〜10個の炭素原子を有することをいう。たとえば、C1-8アルキル基とは、炭素原子を1〜8個有するアルキル基で、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、または類似の基を含む。
【0040】
本明細書で用いられるように、単独またはほかの置換基の一部である場合、用語「アルケニル基」とは直鎖または分岐鎖で、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭素鎖の基をいう。アルケニル基は置換のものでも無置換のものでもよい。アルケニル基の前に炭素原子数の限定がある(たとえばC2-8)場合、前記のアルケニル基が2〜8個の炭素原子を有することをいう。たとえば、C2-8アルケニル基とは、炭素原子を2〜8個有するアルケニル基で、ビニル基、プロペニル基、1,2-ブテニル基、2,3-ブテニル基、ブタジエニル基、または類似の基を含む。
本明細書で用いられるように、単独またはほかの置換基の一部である場合、用語「アルキニル基」とは少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する脂肪族炭化水素基をいう。前記のアルキニル基は直鎖または分岐鎖のもの、あるいはこれらの組み合わせでもよい。アルキニル基の前に炭素原子数の限定がある(たとえばC2-8アルキニル基)場合、前記のアルキニル基が2〜8個の炭素原子を有することをいう。たとえば、用語「C2-8アルキニル基」とは、炭素原子を2〜8個有する直鎖まは分岐鎖のアルキニル基で、エチニル基、プロピニル基、イソプロピニル基、ブチニル基、イソブチニル基、sec-ブチニル基、t-ブチニル基、または類似の基を含む。
【0041】
本明細書で用いられるように、単独またはほかの置換基の一部である場合、用語「シクロアルキル基」とは飽和または部分飽和の単環、二環または多環(縮合環、橋架け環またはスピロ環を含む)の環系基をいう。あるシクロアルキル基の前に炭素原子数の限定がある(たとえばC3-10)場合、前記のシクロアルキル基が3〜10個の炭素原子を有することをいう。一部の好適な実施例において、用語「C3-8シクロアルキル基」とは3〜-8個の炭素原子を有する飽和または部分飽和の単環または二環のアルキル基をいい、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘプチル基、または類似の基を含む。「スピロシクロアルキル基」とは、単環の間で一つの炭素原子(スピロ原子と呼ぶ)を共有する二環または多環基をいい、これらの基は一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がない。「縮合シクロアルキル基」とは、系における各環が系におけるほかの環と隣接する一対の炭素原子を共有する全炭素二環または多環基をいい、その一つまたは複数の環は一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がない。「架橋シクロアルキル基」とは、任意の二つの環が直接連結しない二つの炭素原子を共有する全炭素多環基をいい、これらの基は一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がない。前記シクロアルキル基に含まれる原子はすべて炭素原子である。以下はシクロアルキル基の一部の例で、本発明は下記のシクロアルキル基に限定されない。
【化22】
【0042】
相反する陳述がない限り、以下の明細書と請求の範囲で使用される用語は下記の意味となる。「アリール基」とは共役のπ電子系を有する、全炭素の単環または縮合多環(すなわち隣接する炭素原子対を共有する環)基で、たとえばフェニル基やナフチル基が挙げられる。前記アリール基の環はほかの環状基に縮合してもよいが(飽和および不飽和の環を含む)、窒素、酸素、または硫黄のようなヘテロ原子を含有せず、同時に母体と連結する部位は共役のπ電子系を有する環における炭素原子でなければならない。アリール基は置換のものでも無置換のものでもよい。以下はアリール基の一部の例で、本発明は下記のアリール基に限定されない。
【化23】
【0043】
「ヘテロアリール基」とは1個または複数個のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族基をいう。ここでいうヘテロ原子は酸素、硫黄および窒素を含む。たとえば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピラゾリル基、ピロリル基、N-アルキルピロリル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基などが挙げられる。前記ヘテロアリール環はアリール基、複素環基またはシクロアルキル環に縮合してもよいが、ここで、母体構造と連結した環はヘテロアリール環である。ヘテロアリール基は任意に置換のものまたは無置換のものでもよい。以下はヘテロアリール基の一部の例で、本発明は下記のヘテロアリール基に限定されない。ここで、最後の3つのヘテロアリール基は三環式ヘテロアリール基で、本発明のポイントである。
【化24】
【0044】
「ヘテロ環基」とは、飽和または部分飽和の単環または多環の環状炭化水素の置換基で、そのうちの一つまたは複数の環原子が窒素、酸素または硫黄から選ばれ、残りの環原子が炭素である基をいう。単環の複素環基の非制限的な実施例は、ピロリジル基、ピペリジル基、ピペラジル基、モルホリル基、チオモルホリル基、ホモピペラジル基を含む。多環式複素環基とは、スピロ環、縮合環および架橋環の複素環基を含む。「スピロ環式ヘテロ環基」とは、系における各環が系におけるほかの環との間で一つの原子(スピロ原子と呼ぶ)を共有する多環式ヘテロ環基で、そのうちの一つまたは複数の環原子が窒素、酸素または硫黄から選ばれ、残りの環原子が炭素である基をいう。「縮合環式ヘテロ環基」とは、系における各環が系におけるほかの環と隣接する一対の原子を共有する多環式複素環基をいい、一つまたは複数の環は一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がなく、かつそのうちの一つまたは複数の環原子が窒素、酸素または硫黄から選ばれ、残りの環原子が炭素である。「架橋環式ヘテロ環基」とは、任意の二つの環が直接連結しない二つの炭素原子を共有する多環式複素環基をいい、これらの環は一つまたは複数の二重結合を含んでもよいが、完全共役のπ電子系を有する環がなく、かつそのうちの一つまたは複数の環原子が窒素、酸素または硫黄から選ばれ、残りの環原子が炭素である。ヘテロ環基に飽和環と芳香族環が同時に存在する(たとえば飽和環と芳香族環が縮合した)場合、母体に連結する部位は必ず飽和の環に位置する。注:母体に連結する部位が芳香族環に位置する場合、ヘテロ環基ではなく、ヘテロアリール基と呼ぶ。以下はヘテロ環基の一部の例で、本発明は下記のヘテロ環基に限定されない。
【化25】
【0045】
本明細書で用いられるように、単独またはほかの置換基の一部である場合、用語「ハロゲン」とはF、Cl、BrおよびIをいう。
本明細書で用いられるように、用語「置換」(「任意に」修飾された場合またはない場合)とは特定の基における1個または複数の水素原子が特定の置換基で置換されることをいう。特定の置換基は前記における相応する置換基、または各実施例に記載の置換基である。特別に説明しない限り、ある任意に置換されてもよい基は当該基の任意の置換可能な部位に特定の群から選ばれる1つの置換基があってもよく、前記の置換基は各位置で同じでもよく異なってもよい。環状置換基、たとえばヘテロ環基は、もう一つの環、たとえばシクロアルキル基と結合することで、スピロ二環系を形成し、すなわち、二つの環が一つの共通の炭素原子を有してもよい。当業者にわかるように、本発明で想定される置換基の組み合わせは安定した組み合わせまたは化学的に実現可能な組み合わせである。前記置換基はたとえばC1-8アルキル基、C2-8アルケニル基、C2-8アルキニル基、C3-8シクロアルキル基、3-12員ヘテロ環基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、ヒドロキシ基、カルボキシ基(-COOH)、C1-8アルデヒド基、C2-10アシル基、C2-10エステル基、アミノ基であるが、これらに限定されない。
【0046】
便宜上、そして通常の理解に合うように、用語「任意に置換される」は置換基で置換されることが可能な部位だけに適用し、化学的に実現不可能な置換を含まない。
本明細書で用いられるように、特別に説明しない限り、用語「薬学的に許容される塩」とは対象(たとえば、ヒト)の組織との接触に適し、不適度な副作用が生じない塩をいう。一部の実施例において、本発明のある化合物の薬学的に許容される塩は、酸性基を有する本発明の化合物の塩(たとえば、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩)または塩基性基を有する本発明の化合物の塩(たとえば、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、硝酸塩、炭酸塩)を含む。
【0047】
用途:
本発明は、式(I)または式(II)の化合物、あるいはこれらの重水素置換誘導体、これらの塩、異性体(存在する場合、エナンチオマーまたはジアステレオマー)、水和物、薬用可能な担体または賦形剤の使用であって、プロテインキナーゼを阻害するための使用を提供する。ここでいうプロテインキナーゼは、EGFR、CDK、SYK、JAK、Flt-3、Axl和FAKを含むが、以上のキナーゼに限定されない。
本発明の化合物は、1種または複数種のキナーゼの阻害剤として有用で、たとえば一部の実施例において、本発明のある化合物はEGFRキナーゼ阻害剤として有用で、一部の実施例において、本発明のある化合物はCDKキナーゼ阻害剤として有用で、一部の実施例において、本発明のある化合物はSYKキナーゼ阻害剤として有用で、一部の実施例において、本発明のある化合物はFAKキナーゼ阻害剤として有用で、一部の実施例において、本発明のある化合物はSYKキナーゼおよびJAKキナーゼの二重阻害剤として有用で、一部の実施例において、本発明のある化合物はFlt-3キナーゼおよびAxlキナーゼの二重阻害剤として有用である。
【0048】
癌患者の体内において、上記で挙げられた各プロテインキナーゼの発現または活性はいずれも顕著に向上する。これらの過剰発現および/または異常なプロテインキナーゼの活性レベルは腫瘍の発生と直接関連する。本発明の化合物はこれらのプロティンキナーゼの単一および/または二重阻害剤である。これらのプロティンキナーゼの活性を調整することによって疾患を予防、緩和または治癒する。前記疾患は、アレルギー性喘息、骨髄線維化、関節リウマチ、B細胞性リンパ腫、単球性白血病、真性赤血球増加症、好酸球増加症候群、本態性血小板減少症、全身性巨細胞疾患、肝臓癌、直腸癌、膀胱癌、喉頭癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、乳癌、前立腺癌、神経膠細胞腫、卵巣癌、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸癌、食道癌、腎臓癌、膵臓腺癌、結腸癌、皮膚癌、リンパ腫、胃癌、多発性骨髄腫および固形腫瘍などを含む。
【0049】
ある観点から、二重プロテインキナーゼ阻害剤は同時に2種類の異なるキナーゼを阻害し、生じる抗腫瘍効果は一般的に相乗効果があるため、より有効に様々な癌を治療する潜在性を有する。
本発明の化合物は生物製剤、たとえばPD-1阻害剤であるOpdivoRおよびKeytrudaRと併用して様々な癌および関連疾患を治療することができる。
【0050】
本発明およびその重水素置換誘導体、ならびに薬学的に許容される塩またはその異性体(存在する場合)またはその水和物および/または組成物を薬学的に許容される賦形剤または担体と配合し、得られた組成物を体内で哺乳動物、たとえば男性、女性や動物に投与することによって、病症、症状および疾患の治療に使用することができる。組成物は、錠剤、丸剤、懸濁剤、溶液材、乳剤、カプセル、噴霧剤、無菌注射溶液でもよい。無菌粉末など。一部の実施例において、薬学的に許容される賦形剤は、、微晶質セルロース、乳糖、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、マンニトール、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン(増加)、グリシン、崩壊剤(たとえばデンプン、クロスカルメロース、複合ケイ酸塩や高分子ポリエチレングリコール)、造粒バインダー(たとえばポリビニルピロリドン、ショ糖、ゼラチンやアラビアゴム)および潤滑剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、グリセリンやタルク粉)を含む。好適な実施形態において、前記薬物組成物は経口投与の剤形に適し、錠剤、溶液剤、懸濁液、カプセル剤、顆粒剤、粉剤を含むが、これらに限定されない。患者に施用する本発明の化合物または薬物組成物の量は一定のものではなく、通常、薬用有効量で投与する。同時に、実際に投与する化合物の量は医師によって治療する病症、選択する投与経路、投与する実際の化合物、患者の個体の状況などを含む実際の状況から決まる。本発明の化合物の投与量は治療の具体的な用途、投与形態、患者の状態、医師の判断によって決まる。本発明の化合物の薬物組成物における比率または濃度は、投与量、物理・化学的性質、投与経路などを含む多くの要素によって決まる。
【0051】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組み合わせ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。
【0052】
化合物の共通の合成方法
本発明の式I化合物は、以下の方法によって製造することができる。
【化26】
不活性溶媒において、(Ia)化合物を(Ib)と反応させ、(I)化合物を得る。
【0053】
上記各式において、各基の定義は前記の通りである。各工程の試薬および条件は本分野でこのような製造方法を実施する通常の試薬または条件を選択することができ、本発明の化合物の構造が公開された後、上記選択は当業者が本分野の知識によって決めることができる。
【0054】
より具体的に、本発明の一般式Iで表される化合物は、以下のような方法で製造することができるが、その方法の条件、たとえば、反応物、溶媒、塩基、使用される化合物の量、反応温度、反応の所要時間などが以下の解釈に限定されない。本発明化合物は、本明細書で説明された、または本分野で知られた各種の合成方法を任意に組合せて便利に製造するができ、このような組合せは本発明が属する分野の技術者が容易にできることである。
本発明の製造方法において、各反応は、通常、不活性溶媒の中で、通常-20〜150℃(好ましくは0〜120℃)の反応温度で行われる。各工程の反応時間は、通常、0.5〜48 h、好ましくは2〜12 hである。
【0055】
反応式1は化合物1-A7および1-A8の共通の合成方法を表す。
反応式1:
【化27】
【0056】
反応式2は化合物2-B4および2-B5の共通の合成方法を表す。
反応式2:
【化28】
【0057】
反応式3は化合物3-C8の共通の合成方法を表す。
反応式3:
【化29】
【0058】
反応式4は化合物4-D2の共通の合成方法を表す。
反応式4:
【化30】
【0059】
反応式5は化合物5-E2の共通の合成方法を表す。
反応式5:
【化31】
【0060】
反応式6は化合物6-F4の共通の合成方法を表す。
反応式6:
【化32】
【0061】
反応式7は化合物7-G3の共通の合成方法を表す。
反応式7:
【化33】
【0062】
反応式8は化合物8-H3の共通の合成方法を表す。
反応式8:
【化34】
【0063】
反応式9は化合物9-I2の共通の合成方法を表す。
反応式9:
【化35】
【0064】
反応式10は化合物10-J2の共通の合成方法を表す。
反応式10:
【化36】
【0065】
薬物組成物および施用方法
本発明化合物は、優れたCDKキナーゼ、たとえば一連のプロテインキナーゼに対する阻害活性を有するため、本発明化合物およびその各種の結晶型、薬学的に許容される無機・有機塩、水和物もしくは溶媒和物、並びに本発明化合物を主要活性成分として含有する薬物組成物はEGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAKの活性または発現量に関連する疾患の治療、予防および緩和に有用である。
本発明の薬物組成物は、安全な有効量の範囲にある本発明化合物または薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤または担体と含む。ここで、「安全有効量」とは、化合物の量が病状の顕著な改善に充分で、重度な副作用が生じないことを指す。通常、薬物組成物は、本発明化合物を1〜2000mg/製剤で、好ましくは5〜200mg/製剤で含有する。好ましくは、前記の「製剤」は、カプセルまたは錠である。
【0066】
「薬学的に許容される担体」とは、ヒトに適用でき、且つ十分な純度および充分に低い毒性を持たなければならない、一種または複数種の相溶性固体または液体フィラーまたはゲル物質を指す。「相溶性」とは、組成物における各成分が本発明の化合物と、またその同士の間で配合することができ、化合物の効果を顕著に低下させないことを指す。薬学的に許容される担体の例の一部として、セルロースおよびその誘導体(たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースナトリウム、セルロースアセテートなど)、ゼラチン、タルク、固体潤滑剤(たとえばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム)、硫酸カルシウム、植物油(たとえば大豆油、ゴマ油、落花生油、オリーブオイルなど)、多価アルコール(たとえばプロピレングリコール、グリセリン、マンニトール、ソルビトールなど)、乳化剤(たとえばツインR)、湿潤剤(たとえばドデシル硫酸ナトリウム)、着色剤、調味剤、安定剤、酸化防止剤、防腐剤、発熱性物質除去蒸留水などがある。
【0067】
本発明の薬物組成物の施用様態は、特に限定されないが、代表的な施用様態は、経口投与、腫瘍内、直腸、胃腸外(静脈内、筋肉内、または皮下)投与、および局部投与を含むが、これらに限定されない。
経口投与に用いられる固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。これらの固体剤形において、活性化合物は通常、少なくとも一種の不活性賦形剤(または担体)、たとえばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムと混合されるが、あるいは、(a)フィラーまたは相溶剤、たとえば、でん粉、乳糖、ショ糖、グルコース、マンニトールやケイ酸、(b)バインダー、たとえば、ヒドロメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖やアラビアゴム、(c)保湿剤、たとえば、グリセリン、(d)崩壊剤、たとえば、寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉、アルギン酸、ある複合ケイ酸塩や炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、たとえばパラフィン、(f)吸収促進剤、たとえば、アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、たとえばセタノール、グリセリンモノステアレート、(h)吸着剤、たとえば、カオリン、また(i)潤滑剤、たとえば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、またはこれらの混合物、のような成分と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤において、剤形に緩衝剤を含んでもよい。
【0068】
固体剤形、たとえば錠剤、ピル、カプセル剤、丸剤や顆粒剤は、コーディングやシェル剤、たとえば、腸衣および他の本分野で公知の材料で製造することができる。不透明剤を含んでもよく、且つこのような組成物において、活性物または化合物の放出は遅延の様態で消化管のある部分で放出してもよい。使用できる包埋成分の実例として、重合物質やワックス系物質が挙げられる。必要な場合、活性化合部も上記賦形剤のうちの一種または複数種とマイクロカプセルの様態に形成してもよい。
経口投与に用いられる液体剤形は、薬学的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップまたはチンキ剤を含む。活性化合物の他、液体剤形は、本分野で通常使用される不活性希釈剤、たとえば、水または他の溶媒、相溶剤および乳化剤、たとえば、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジメチルホルムアミドおよび油、特に、綿実油、落花生油、コーン油、オリーブ油、ヒマシ油やゴマ油またはこれらの物質の混合物などを含んでもよい。
【0069】
これらの不活性希釈剤の他、組成物は助剤、たとえば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、矯味剤や香料を含んでもよい。
活性化合物の他、懸濁液は、懸濁剤、たとえば、エトキシ化イソオクタデカノール、ポリオキシエチレンソルビトールやソルビタンエステル、微晶質セルロース、メトキシアルミニウムや寒天またはこれらの物質の混合物などを含んでもよい。
胃腸外注射用組成物は、生理的に許容される無菌の水含有または無水溶液、分散液、懸濁液や乳液、および再溶解して無菌の注射可能な溶液または分散液にするための無菌粉末を含む。適切な水含有または非水性担体、希釈剤、溶媒または賦形剤は、水、エタノール、多価アルコールおよびその適切な混合物を含む。
【0070】
局部投与のための本発明化合物の剤形は、軟膏剤、散剤、湿布剤、噴霧剤や吸入剤を含む。活性成分は、無菌条件で生理学的に許容される担体および任意の防腐剤、緩衝剤、または必要よって駆出剤と一緒に混合される。
本発明化合物は、単独で投与してもよいし、あるいは他の薬学的に許容される化合物と併用して投与してもよい。
薬物組成物を使用する場合、安全な有効量の本発明化合物を治療の必要のある哺乳動物(たとえばヒト)に使用し、使用の際の用量は薬学上で効果があるとされる投与量で、体重60kgのヒトの場合、毎日の投与量は、通常1〜2000mg、好ましくは5〜500mgである。勿論、具体的な投与量は、さらに投与の様態、患者の健康状況などの要素を考えるべきで、すべて熟練の医者の技能範囲以内である。
【0071】
本発明の主な利点は以下の通りである。
1.式Iで表される化合物を提供する。
2.新規な構造のEGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAKなどのプロテインキナーゼの活性阻害剤、およびその製造と使用を提供し、前記の阻害剤は非常に低い濃度でも上記プロテインキナーゼの活性を阻害することができる。
3.EGFR、FAK、SYK、FLT-3、Axl、CDK、JAKなどのプロテインキナーゼの活性に関連する疾患を治療する薬物組成物を提供する。
【0072】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に断らない限り、%と部は、重量で計算される。
【0073】
実施例1 化合物A1の製造
【化37】
【0074】
化合物A1a (34.2 mg, 0.10 mmol)およびA1b(21.9 mg,0.10 mmol)を2 mLの1,4-ジオキサンに溶解させ、さらに100 mgのトリフルオロ酢酸を滴下した。反応混合物を60℃に加熱して6時間反応させ、LC-MSによって反応をモニタリングした。反応完了後、室温に冷却し、減圧で濃縮して残留物を得、分取高圧液相によって精製して黄色固体の化合物A1を得た(5.4 mg,収率10%)。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.21 (s, 1H), 7.83-7.60 (m, 2H), 7.33 (dd, J = 8.4Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.00-6.89 (m, 2H), 6.70-6.55 (br s, 1H), 6.47-6.30 (m, 2H), 5.77 (d, J = 9.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.15 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.94-3.84 (m, 1H), 3.71-3.60 (m, 1H), 3.05-2.90 (m, 2H), 2.87-2.80 (m, 1H),. 2.70-2.58 (m, 1H), 2.33 (s, 3H), 2.29-2.20 (m, 1H), 1.83 (t, J = 10.8 Hz, 1H); MS m/z 526.2 [M+H]+.
【0075】
実施例2 化合物A1Sの製造
【化38】
【0076】
30 mLのDMSOに室温で撹拌しながら順に化合物A1Sa(3.0 g, 18.8 mmol)、化合物A1Sb(3.0 g, 13.8 mmol,100% ee)および水酸化カリウム(2.4 g, 42.8 mmol)を入れた。反応混合物を30℃に加熱して3時間撹拌し、さらに60℃に昇温して5時間撹拌した。反応完了後、反応系を室温に冷却し、300 mLの水を入れ、固体が析出し、室温で一晩撹拌した。ろ過し、ケーキを収集し、得られた固体を5:1の石油エーテル:酢酸エチルの25 mLの混合溶媒に入れ、室温で半時間撹拌し、ろ過し、黄色固体の化合物A1Scを得た(3.0 g,収率64%)。MS 336.2 [M+H]+
【0077】
化合物A1Sc(2.0 g, 6.0 mmol)を20 mLのジクロロメタンに溶解させ、室温で撹拌しながら5 mLのトリフルオロ酢酸を入れた。室温で1時間撹拌した後、TLCによって反応の完了をモニタリングした。反応液を減圧で濃縮してトリフルオロ酢酸を除去し、さらに残留物を30 mLのジクロロメタンに溶解させ、1M炭酸ナトリウム水溶液でpHを9〜10に調整し、分液した。水層をジクロロメタンで2回抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水(30 mL)で1回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して黄色固体のA1Sdを得た(1.2 g,収率86%)。MS m/z 236.1 [M+H]+.
化合物A1Sd(1.2 g, 5.1 mmol)を20 mLのメタノールに溶解させ、37%ホルムアルデヒド水溶液(6 mL)を入れ、さらに2滴の酢酸を入れ、室温で30分撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.8 g, 12.7 mmol)を入れ、室温で3時間撹拌し、TLCによって反応の完了をモニタリングした。反応液を減圧で濃縮して粗製品を得、粗製品をシリカゲルカラムによって精製して(DCM:MeOH = 60:1)黄色固体のA1Se (1.0 g, 収率79%)。MS m/z 250.2 [M+H]+
【0078】
3 mLのメタノールに室温で化合物A1Se(145 mg, 0.58 mmol)および15 mgのパラジウム炭素触媒を入れ、当該反応混合物を室温で常圧で1時間水素添加反応させ、TLCによって反応の完了をモニタリングした。反応混合物を珪藻土でろ過し、ろ液を減圧で濃縮して褐色固体の組成物A1Sf(100 mg,収率79%)を得、製品をそのまま次の工程に使用した。MS m/z 220.2 [M+H]+
化合物A1a(100 mg, 0.29 mmol)およびA1Sf(64 mg,0.29 mmol)を1.5 mLの1,4-ジオキサンに溶解させ、さらに100 mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。反応混合物を60℃に加熱して6時間反応させ、反応完了後炭酸水素ナトリウムを入れてpHを8〜9に調整した。ジクロロメタンを入れて3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して残留物を得、シリカゲル分取クロマトグラフィーシートによって精製した後、分取高圧液相によって精製して白色固体の化合物A1Sを得た(29.3 mg,100% ee)。1H NMR (CD3OD, 400 Hz): δ 8.21 (s, 1H), 7.74 (br, 1H), 7.65 (br, 1H), 7.33 (dd, J = 8.0 Hz, 8.00Hz, 1H), 7.21-7.19 (m, 1H), 6.97-6.94 (m, 2H), 6.62 (br, 1H), 6.47-6.33 (m, 2H), 5.77 (dd, J = 9.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.15 (dd, J = 10.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.88 (t, J = 9.6 Hz, 1H), 3.66 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.05-2.96 (m, 2H), 2.86 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.66 (td, J = 12.0 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.28 (td, J = 12.0 Hz, 3.2 Hz, 1H), 1.88 (t, J = 10.8 Hz, 1H); MS m/z 526.2 [M+H]+.
【0079】
実施例3 化合物A1Rの製造
【化39】
【0080】
実施例4における中間体A1Sfの製造方法を参照し、A1Rb(100% ee)を原料として中間体A1Rfを製造した。化合物Aa1a(80 mg, 0.23 mmol)およびA1Rf(51 mg,0.23 mmol)を1.5 mLの1,4-ジオキサンに溶解させ、さらに100 mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。反応混合物を60℃に加熱して6時間反応させ、反応完了後炭酸水素ナトリウムを入れてpHを8〜9に調整した。ジクロロメタンを入れて3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して残留物を得、シリカゲル分取クロマトグラフィーシートによって精製した後、分取高圧液相によって精製して白色固体の化合物A1Rを得た(12.5 mg,99.9% ee)。1H NMR (CD3OD, 400 Hz): δ 8.21 (s, 1H), 7.74 (br, 1H), 7.64 (br, 1H), 7.33 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.21-7.19 (m, 1H), 6.96-6.94 (m, 2H), 6.62 (br, 1H), 6.47-6.33 (m, 2H), 5.77 (dd, J = 9.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.15 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.88 (t, J = 9.6 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.00-2.94 (m, 2H), 2.84 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.65 (td, J = 12.0 Hz, 2.4 Hz, 1H), 2.34 (s, 3H), 2.25 (td, J = 11.6 Hz, 3.2 Hz, 1H), 1.84 (t, J = 10.8 Hz, 1H); MS m/z 526.2 [M+H]+.
【0081】
実施例4 化合物A2Sの製造
【化40】
【0082】
化合物A1Sd(180 mg, 0.77 mmol)を室温で4 mLのジクロロメタンに溶解させ、DIPEA(200 mg, 1.54 mmol)を入れ、さらにアセチルクロリド(90 mg, 1.16 mmol)を滴下した。室温で1時間撹拌し、TLCによって反応の完了をモニタリングした。反応液をジクロロメタン(50 mL)で希釈した。有機相を飽和食塩水(10 mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して黄色固体の化合物A2Saを得た(150 mg)。
化合物A2Sa(150 mg, 0.54 mmol)を室温で3 mLのメタノールに溶解させ、15 mgのパラジウム炭素触媒を入れ、室温で常圧で1時間水素添加反応させ、TLCによって反応の完了をモニタリングした。反応混合物を珪藻土でろ過し、ろ液を減圧で回転蒸発させてオフ白色固体の化合物A2Sb(100 mg)を得た。
【0083】
化合物A1a(40 mg, 0.11 mmol)および化合物A2Sb(30 mg,0.12 mmol)を1 mLのジオキサンに溶解させ、さらに100 mgのトリフルオロ酢酸を滴下した。反応混合物を60℃で6時間反応させた。反応完了後、炭酸水素ナトリウムを入れてpHを8-9に調整し、ジクロロメタンを入れて3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して粗製品を得、粗製品をシリカゲルカラムによって分離・精製して(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)白色固体の化合物A2Sを得た(22 mg,収率34%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ 8.29 (s, 1H), 7.32 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.26-7.03 (m, 3H), 7.00-6.89 (m, 1H), 6.86 (br s, 1H), 6.75-6.65 (m, 1H), 6.46 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 6.31-6.20 (m, 1H), 5.79 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 4.72-4.59 (m, 1H), 4.30-4.20 (m, 1H), 4.10-3.83 (m, 1.5H), 3.78-3.63 (m, 1.5H), 3.43-3.35 (m, 0.5H), 3.14-2.58 (m, 3H), 2.45-2.36 (m, 0.5H), 2.20-2.10 (m, 3H); MS m/z 554.2(M+H)+.
【0084】
実施例5 化合物A2Rの製造
【化41】
【0085】
実施例4に記載された方法によって、A1Rdを原料として化合物A2Rbを製造した。化合物A1a(40 mg, 0.11 mmol)および化合物A2Rb(30 mg,0.12 mmol)を1 mLのジオキサンに溶解させ、さらに100 mgのトリフルオロ酢酸を滴下した。反応混合物を60℃で6時間反応させた。反応完了後、炭酸水素ナトリウムを入れてpHを8-9に調整し、ジクロロメタンを入れて3回抽出し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮して粗製品を得、粗製品をシリカゲルカラムによって分離・精製して(石油エーテル:酢酸エチル=1:1)白色固体の化合物A2Rを得た(22 mg,収率34%)。 1H NMR (CDCl3, 400 Hz): δ 8.29 (s, 1H), 7.32 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 7.26-7.03 (m, 3H), 7.00-6.89 (m, 1H), 6.86 (br s, 1H), 6.75-6.65 (m, 1H), 6.46 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 6.31-6.20 (m, 1H), 5.79 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 4.72-4.59 (m, 1H), 4.30-4.20 (m, 1H), 4.10-3.83 (m, 1.5H), 3.78-3.63 (m, 1.5H), 3.43-3.35 (m, 0.5H), 3.14-2.58 (m, 3H), 2.45-2.36 (m, 0.5H), 2.20-2.10 (m, 3H); MS m/z 554.2(M+H)+.
【0086】
実施例6 化合物A3Sの製造
【化42】
【0087】
化合物A1Sc(300 mg,0.896 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(10 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,50 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を減圧で濃縮して褐色固体の化合物A3Saを得た(280 mg、収率99%)。MS m/z 306.2(M+H)+.
【0088】
化合物A1a(120 mg, 0.351 mmol)およびA3Sa(107 mg,0.351 mmol)をイソプロパノール(3 mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(40 mg,0.351 mmol)を滴下した。当該反応溶液を40℃で16時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(10 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物をクロマトグラフィーシートによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 30/1)淡黄色固体の化合物A3Sbを得た(180 mg,収率84%)。MS m/z 612.2(M+H)+.
【0089】
化合物A3Sb(5 mg, 0.008 mmol)をイソプロパノール(1 mL)に溶解させた後、それにHCl(1%のイソプロパノール溶液、109 mg,0.033 mmol)を滴下した。当該反応溶液を70℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了をモニタリングし、当該反応溶液を直接回転乾燥した後、無水エチルエーテルで撹拌・混合して黄色固体のA3S塩酸塩を得た(4 mg,収率80%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.30 (s, 1H), 9.74-9.58 (br, 1H), 9.25-9.10 (m, 2H), 9.10-8.78 (br, 1H), 8.34 (s, 1H), 7.85-7.60 (m, 2H), 7.32 (dd, J = 8.4 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.22-6.80 (m, 3H), 6.77-6.49 (m, 1H), 6.48 (dd, J = 17.2 Hz, 10.0 Hz, 1H), 6.25 (dd, J = 17.2 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.25-4.18 (m, 1H), 3.98-3.70 (m, 4H), 3.42-3.20 (m, 3H), 3.10-2.97 (m, 1H), 2.85-2.63 (m, 2H); MS m/z 512.3 [M+H]+.
【0090】
実施例7 化合物A3Rの製造
【化43】
【0091】
実施例6に記載された方法によって、A1Rcを原料として化合物A3Rbを製造した。化合物A3Rb(45 mg, 0.074 mmol)をイソプロパノール(3 mL)に溶解させた後、それにHCl(1%のイソプロパノール溶液、986 mg,0.296 mmol)を滴下した。当該反応溶液を70℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了をモニタリングし、当該反応溶液を直接回転乾燥した後、無水エチルエーテルで撹拌・混合して黄色固体のA3R塩酸塩を得た(33.20 mg,収率74%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.37 (s, 1H), 9.93-9.70 (br, 1H), 9.40-9.20 (m, 2H), 9.20-8.97 (br, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.83-7.60 (m, 2H), 7.32 (dd, J = 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.22-6.80 (m, 3H), 6.73-6.44 (m, 2H), 6.25 (dd, J = 17.2 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.25-4.18 (m, 1H), 4.10-3.80 (m, 4H), 3.42-3.22 (m, 3H), 3.10-2.94 (m, 1H), 2.90-2.63 (m, 2H); MS m/z 512.3 [M+H]+.
【0092】
実施例8 化合物A4Rの製造
【化44】
【0093】
化合物A1Rdのトリフルオロ酢酸塩(500 mg,1.43 mmol)およびDIPEA(554 mg, 4.29 mmol)をジクロロメタン(20 mL)に入れた後、室温の条件においてゆっくりトリフルオロ酢酸無水物(601 mg, 2.86 mmol)を入れ、当該反応混合物を室温で2時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を水(50 mL)に注ぎ、ジクロロメタン(20 mL × 4)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、分取薄層クロマトグラフィーによって(石油エーテル/酢酸エチル=2/1)分離・精製して黄色固体の化合物A4Raを得た(320 mg,収率68%)。1H NMR(CDCl3, 400 MHz) δ 7.86-7.80 (m, 1H), 7.70 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.82 and 6.78 (two d, J = 9.2 Hz, 8.8 Hz, 1H), 4.71-4.65 and 4.60-4.55 (two m, 1H), 4.39-4.33(m, 1H), 4.19-3.90 (m, 3H), 3.52-3.36 (m, 2H), 3.19-3.00 (m, 2H), 2; MS m/z 332.2 [M+H]+.
【0094】
化合物A4Ra(200 mg,0.60 mmol)をメタノール(6 mL)に溶解させた後、Pd/C(10%, 100 mg)を慎重に反応系に入れ、さらに水素ガスで3回置換し、当該反応混合物を常温の条件において2時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、珪藻土でろ過し、さらに無水メタノールでケーキを3回洗浄し、有機相を減圧で濃縮して褐色固体の化合物A4Rbを得た(170 mg,収率93%)。MS m/z 302.3 [M+H]+.
【0095】
化合物A4Rb(17 mg, 0.06 mmol)および化合物A1a(21 mg,0.06 mmol)を乾燥したイソプロパノール(2 mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(10 mg,0.09 mmol)を入れた。反応混合物を40℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温に冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(10 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーシートによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 35/1)淡黄色固体の化合物A4Rを得た(15 mg,収率44%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.15 (s, 1H), 9.58-9.37 (br, 1H), 8.78-8.61 (br, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.64-7.56 (m, 1H), 7.32 (dd, J = 8.4 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.20-7.10 (m, 1H), 7.07-7.01 (m, 1H), 7.00-6.83 (m, 1H), 6.66-6.45 (m, 1H), 6.44-6.38 (m, 1H), 6.28-6.20 (m, 1H), 5.79-5.68 (m, 1H), 4.39-4.24 (m, 2H), 3.96-3.72 (m, 3H), 3.50-3.40 (m, 0.5H), 3.19-2.95 (m, 2H), 2.79-2.71 (m, 0.5H), 2.67-2.53 (m, 1H); MS m/z 608.1(M+H)+.
【0096】
実施例9 化合物A5Rの製造
【化45】
【0097】
化合物A1Rdのトリフルオロ酢酸塩(590 mg,1.69 mmol)およびアセトアルデヒド(1.30 g,29.45 mmol)をメタノール(30 mL)に溶解させ、撹拌しながら、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(678 mg,10.79 mmol)を分けて入れ、温度を10℃以下になるように制御した。当該反応系を室温で1時間撹拌しながら反応させ、TLCによるモニタリングで反応の完了が示された後、室温で減圧で溶媒を除去した。得られた残留物を飽和炭酸ナトリウム溶液に分散させ、酢酸エチルで3回抽出し(25 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 50/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物A5Raを得た(430 mg,収率97%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.80 (dd, J = 9.2 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.26 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.00 (dd, J = 10.8 Hz, 8.4 Hz, 1H), 3.80-3.74 (m, 1H), 3.43-3.36 (m, 1H), 3.08-2.90 (m, 3H), 2.50-2.46 (m, 2H), 2.21-2.14 (m, 1H), 1.81 (dd, J = 7.6 Hz, 7.2 Hz, 1H), 1.13 (t, J = 7.2 Hz, 3H); MS m/z 264.2 [M+H]+.
【0098】
化合物A5Ra(408 mg,1.55 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(3 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,40 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を減圧で濃縮して褐色固体の化合物A5Rbを得(361 mg、収率99%)、化合物をさらに精製せずに直接次の工程の反応に使用した。
【0099】
化合物A5Rb(361 mg,1.55 mmol)および化合物A1a(583 mg,1.70 mmol)を乾燥したイソプロパノール(8 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(194 mg,1.70 mmol)を入れ、当該反応系を40℃に加熱して16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(20 mL × 3)、合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し(20 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 50/1)淡黄色固体の化合物A5Rを得た(416 mg,収率50%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.17 (s, 1H), 9.49-9.39 (br, 1H), 8.80-8.60 (br, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.65-7.57 (m, 1H), 7.32 (dd, J = 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.18-7.08 (m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.89-6.79 (br, 1H), 6.53-6.38 (m, 2H), 6.25 (dd, J = 16.8 Hz, 1.6 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 4.19-4.11 (m, 1H), 3.85-3.75 (m, 1H), 3.60-3.50 (m, 1H), 2.96-2.80 (m, 3H), 2.50-2.43 (m, 1H), 2.41-2.29 (m, 2H), 2.09-1.99 (m, 1H), 1.62 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8 Hz, 1H), 1.02 (t, J = 7.2 Hz, 3H); MS m/z 540.2(M+H)+.
【0100】
実施例10 化合物A6Rの製造
【化46】
【0101】
化合物A1Rdのトリフルオロ酢酸塩(150 mg,0.43 mmol)および1-エトキシ-1-トリメチルシリルオキシシクロプロパン(234 mg,1.34 mmol)をメタノール(6 mL)に溶解させ、撹拌しながら、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(84 mg,1.34 mmol)を入れた。当該反応系を65℃に加熱して16時間撹拌し、TLCによるモニタリングで反応の完了が示され、反応系を室温に冷却した後、それを飽和炭酸ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(15 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(15 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 60/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物A6Raを得た(95 mg,収率80%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.79 (dd, J = 9.2 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.26 (dd, J = 10.8 Hz, 3.2 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 10.8 Hz, 8.4 Hz, 1H), 3.79-3.71(m, 1H), 3.34-3.27 (m, 1H), 3.15-3.08 (m, 1H), 3.04-2.88(m, 2H), 2.47-2.41 (m, 1H), 2.09 (dd, J = 10.4 Hz, 10.0 Hz, 1H), 1.71-1.65 (m, 1H), 0.55-0.42 (m, 4H); MS m/z 276.2 [M+H]+.
【0102】
化合物A6Ra(30 mg,0.11 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(3 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,10 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を回転乾燥して褐色固体の化合物A6Rbを得(25 mg、収率94%)、化合物をさらに精製せずに直接次の工程の反応に使用した。
【0103】
化合物A6Rb(25 mg, 0.10 mmol)および化合物A1a(29 mg,0.08 mmol)を乾燥したイソプロパノール(2 mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(11 mg,0.10 mmol)を入れた。反応混合物を40 °Cに加熱して16時間撹拌した。TLCによるモニタリングで反応の完了が示され、反応系を室温に冷却した後、それを飽和炭酸ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(10 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物を薄層クロマトグラフィーによって(ジクロロメタン/メタノール = 20/1)分離して黄色固体の化合物A6Rを得た(30 mg,収率64%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.16 (s, 1H), 9.50-9.35 (br, 1H), 8.78-8.60 (m, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.65-7.57 (m, 1H), 7.31 (dd, J = 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.18-7.08 (m, 1H), 7.03 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.94-6.78 (m, 1H), 6.60-6.38 (m, 2H), 6.24 (dd, J = 16.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.20-4.12 (m, 1H), 3.84-3.77 (m, 1H), 3.59-3.51 (m, 1H), 3.00-2.74 (m, 3H), 2.51-2.32 (m, 2H), 1.94 (dd, J = 10.4 Hz, 10.4 Hz, 1H), 1.67-1.61 (m, 1H), 0.47-0.30 (m, 4H); MS m/z 552.3 [M+H]+.
【0104】
実施例11 化合物A7Rの製造
【化47】
【0105】
化合物A1Rd(430 mg, 1.83 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(706 mg,5.46 mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン(8 mL)に溶解させ、撹拌しながらトリフルオロメタンスルホン酸-2,2,2-トリフルオロエチル(551 mg,2.37 mmol)を入れた。当該反応系を60 °Cに加熱して16時間撹拌し、TLCによるモニタリングで反応の完了が示され、反応系を水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(15 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(15 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(石油エーテル/酢酸エチル = 3/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物A7Raを得た(550 mg,収率95%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.80 (dd, J = 9.2 Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.25 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 11.2 Hz, 8.4 Hz, 1H), 3.81-3.75 (m, 1H), 3.48-3.41 (m, 1H), 3.10-2.95 (m, 5H), 2.70-2.63 (m, 1H), 2.31 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8Hz, 1H); MS m/z 318.2 [M+H]+.
【0106】
化合物A7Ra(300 mg,0.95 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(15 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,50 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を減圧で濃縮して褐色固体の化合物A7Rbを得た(250 mg、収率92%)。
【0107】
化合物A7Rb(250 mg,0.87 mmol)および化合物A1a(327 mg,0.95 mmol)を乾燥したイソプロパノール(7 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(198 mg,1.74 mmol)を入れ、反応混合物を40℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。TLCによるモニタリングで反応の完了が示され、反応系を室温に冷却した後、それを飽和炭酸ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(10 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって(ジクロロメタン/メタノール = 60/1)分離して淡黄色固体の化合物A7Rを得た(300 mg,収率58%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz,) δ 10.17 (s, 1H), 9.58-9.46 (br, 1H), 8.79-8.60 (, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.66-7.56 (m, 1H), 7.32 (dd, J = 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.21-7.07 (m, 1H), 7.04-7.00 (m, 1H), 6.93-6.77 (m, 1H), 6.60-6.38 (m, 2H), 6.29-6.20 (m, 1H), 5.75 (dd, J = 10.0 Hz, 1.6 Hz, 1H), 4.19-4.10 (m, 1H), 3.85-3.73 (m, 1H), 3.64-3.51 (m, 1H), 3.32-3.18 (m, 2H), 3.03-2.84 (m, 3H), 2.60-2.50 (m, 2H), 2.14 (dd, J = 11.2 Hz, 11.2 Hz, 1H); MS m/z 594.2[M+H]+.
【0108】
実施例12 化合物A8Sの製造
【化48】
【0109】
(3R)-3-(ヒドロキシメチル)モルホリン-4-カルボン酸-t-ブチル(2.0 g,9.21 mmol)を乾燥した1,4-ジオキサン(10 mL)に溶解させ、撹拌しながら、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(4M,5 mL)を入れた。当該反応系を室温で撹拌しながら3時間反応させた後、35℃で減圧で溶媒を除去し、トリクロロメタンを入れて超音波処理した後、濃縮して白色固体の化合物A8Sbの粗製品を得、そのまま次の工程の反応に使用した。得られたA8Sb粗製品および化合物A1Sa(1.5 g, 9.43 mmol)をDMSO(6 mL)に溶解させた後、KOH粉末(2.1g, 37.49 mmol)を入れた。 まず混合物を室温で3時間撹拌した後、さらに60℃に加熱して16時間反応させた。反応液を室温に冷却し、それを水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(15 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(15 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過・濃縮した後、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(石油エーテル/酢酸エチル = 1/1)黄色固体の化合物A8Scを得た(400 mg,2つの工程の収率18%)。
【0110】
化合物A8Sc(140 mg,0.59 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(5 mL)を入れて溶解させた後、それにPd/C(10%,20 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を回転乾燥して褐色固体の化合物A8Sdを得た(110 mg、収率90%)。MS m/z 207.2 [M+H]+.
【0111】
化合物A1a(25 mg, 0.073 mmol)およびA8Sd(15 mg,0.073 mmol)をイソプロパノール(2 mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(8 mg,0.073 mmol)を滴下した。当該反応混合物を40℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し(20 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で濃縮した後、得られた残留物を分取クロマトグラフィーシートによって(ジクロロメタン/メタノール = 25/1)分離してオフ白色固体の化合物A8Sを得た(7.64 mg,収率20%,99% ee)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.17 (s, 1H), 9.55-9.35 (br, 1H), 8.78-8.60 (br, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.64-7.56 (m, 1H), 7.31 (dd, J = 8.4 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.20-7.07 (m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.93-6.79 (br, 1H), 6.58-6.38 (m, 2H), 6.24 (dd, J = 16.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.17-4.07 (m, 1H), 3.96-3.90 (m, 1H), 3.85-3.71 (m, 2H), 3.61-3.52(m, 1H), 3.49-3.40(m, 1H), 3.13 (dd, J = 10.8 Hz, 10.4Hz, 1H), 2.99-2.87 (m, 1H), 2.60-2.50 (m, 1H); MS m/z 513.2(M+H)+.
【0112】
実施例13 化合物A8Rの製造
【化49】
【0113】
実施例12における中間体A8Sdの製造方法を参照し、A8Ra(>99% ee)を原料として中間体A8Rdを製造した。 化合物A1a(45 mg,0.131 mmol)およびA8Rd(30 mg,0.146 mmol)をイソプロパノール(2 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(17 mg,0.146 mmol)を入れ、反応混合物を40℃で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し(20 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で濃縮した後、得られた残留物を分取薄層クロマトグラフィーによって(ジクロロメタン/メタノール = 25/1)分離・精製して灰色固体の化合物A8Rを得た(19.4 mg,収率29%,>99% ee)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.16 (s, 1H), 9.55-9.33 (br, 1H), 8.78-8.60 (br, 1H), 8.31 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.64-7.56 (m, 1H), 7.31 (dd, J = 8.4 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.21-7.08 (m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.94-6.80(br, 1H), 6.58-6.38 (m, 2H), 6.24 (dd, J = 16.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.17-4.07 (m, 1H), 3.96-3.90 (m, 1H), 3.85-3.71 (m, 2H), 3.61-3.52(m, 1H), 3.50-3.40(m, 1H), 3.13 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8 Hz, 1H), 2.99-2.88 (m, 1H), 2.60-2.50 (m, 1H); MS m/z 513.2(M+H)+.
【0114】
実施例14 化合物A9Sの製造
【化50】
【0115】
化合物A9Sa(1.3 g,5.67 mmol)およびサルコシンエチル塩酸塩(1.7 g,11.07 mmol)を乾燥したメタノール(15 mL)に溶解させ、混合物を室温で2時間撹拌し、反応系に酢酸(664 mg,11.06 mmol)を入れた後、反応系を氷浴に置き、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(692 mg,11.01 mmol)を分けて入れ、温度を5℃未満に維持し、添加完了後、反応系を室温で3時間撹拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(15 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し(15 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過・濃縮した後、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離・精製して(石油エーテル/酢酸エチル = 4/1)無色油状の化合物A9Sbを得た(800 mg,収率43%)。MS m/z 331.2[M+H]+.
【0116】
化合物A9Sb(800 mg,2.42 mmol)をメタノール(8 mL)に溶解させた後、0.8 mLの6N塩酸溶液を入れ、反応系を75℃に加熱して16 h撹拌した。反応系を室温に冷却した後、それを炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した(10 mL × 2)。水層を減圧で濃縮し、得られた固体をジクロロメタン/メタノール/アンモニア水(100/10/1)に分散させ、ろ過し、ろ液を回転乾燥して黄色固体の化合物A9Scを得た(320 mg,収率92%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 6.79 (s, 1H), 3.74-3.66 (m, 2H), 3.63-3.55 (m, 1H), 3.14 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 3.03 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.72 (dd, J = 12.0 Hz, 4.4 Hz, 1H), 2.58 (dd, J = 12.0 Hz, 5.2 Hz, 1H), 2.34 (s, 3H); MS m/z 145.1[M+H]+.
【0117】
化合物A9Sc(100 mg,0.69 mmol)、化合物A9Sd(174 mg,1.11 mmol)およびトリフェニルホスフィン(365 mg,1.39 mmol)を乾燥したジクロロメタン(4 mL)に溶解させ、室温で反応系にアゾジカルボン酸ジイソプロピル(283 mg,1.40 mmol)を入れた後、当該反応系を室温で16 h撹拌した。減圧で濃縮して粗製品を得、粗製品を分取クロマトグラフィーシートによって(酢酸エチル)精製して黄色固体の化合物A9Seを得た(85 g, 収率43%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.96-7.83 (m, 2H), 7.23 (dd, J = 9.2 Hz, 0.8 Hz, 1H), 6.32 (s, 1H), 4.25-4.16 (m, 1H), 4.14 (dd, J = 8.8 Hz, 8.0 Hz, 1H), 4.01-3.92 (m, 1H), 3.20 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 3.05 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.77 (dd, J = 15.8 Hz, 3.6 Hz, 1H), 2.58 (dd, J = 16.4 Hz, 5.2 Hz, 1H), 2.37 (s, 3H).
【0118】
化合物A9Se(50 mg,0.177 mmol)を乾燥したDMF(3 mL)に懸濁させ、炭酸セシウム(115 mg,0.353 mmol)を入れ、混合物を45℃に加熱して3時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温に冷却した後、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過・濃縮した後、得られた粗製品を分取クロマトグラフィーシートによって分離・精製して(ジクロロメタン/メタノール = 60/1)黄色固体の化合物A9Sfを得た(28 mg,収率60%)。 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.45 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.82-7.76 (m, 2H), 4.40 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.11 (dd, J = 10.4 Hz, 10.4 Hz, 1H), 4.04-3.96 (m, 1H), 3.52 (dd, J =16.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.13-3.02 (m, 2H), 2.40-2.36 (m, 4H); MS m/z 264.2 [M+H]+.
【0119】
化合物A9Sf(26 mg,0.099 mmol)を25 mLの単口フラスコに置き、メタノール(3 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,5 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で40分間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を回転乾燥して灰色固体の化合物A9Sgを得た(23 mg、収率99%)。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.27 (dd, J = 8.8 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.20 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 4.25 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.03 (dd, J = 10.4 Hz, 10.0 Hz, 1H), 4.00-3.90 (m, 1H), 3.80-3.45 (br s, 2H), 3.44 (dd, J =16.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.04-2.95 (m, 2H), 2.36-2.27 (m, 4H).
【0120】
化合物A9Sg(8 mg,0.034 mmol)および化合物A1a(12 mg,0.035 mmol)を乾燥したイソプロパノール(1 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(4 mg,0.035 mmol)を入れ、当該反応混合物を40℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。反応混合物を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し(20 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で濃縮した後、得られた残留物を分取クロマトグラフィーシートによって(ジクロロメタン/メタノール = 25/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物A9Sを得た(5 mg,収率27%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.14 (s, 1H), 9.70-9.57 (br, 1H), 8.77 (br s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.90-7.80 (m, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.57 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.4 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.24-7.10 (m, 2H),7.04 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.43 (dd, J = 16.8 Hz, 10 Hz, 1H) , 6.24 (dd, J = 17.2 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.74 (dd, J = 10.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.33-4.26 (m, 1H), 3.92-3.75 (m, 2H), 3.31-3.25 (m, 1H), 3.00-2.85 (m, 2H), 2.35-2.25 (m, 1H), 2.20 (s, 3H); MS m/z 540.2 (M+H)+.
【0121】
実施例15 化合物A9Rの製造
【化51】
【0122】
実施例14における中間体A9Sgの製造方法を参照し、A9Ra(>99% ee)を原料として中間体A8Rgを製造した。化合物A9Rg(8 mg,0.034 mmol)および化合物A1a(12 mg,0.035 mmol)を乾燥したイソプロパノール(1 mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(4 mg,0.035 mmol)を入れ、当該反応系を40℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。反応混合物を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(10 mL × 3)、合併した有機相を飽和食塩水で洗浄し(20 mL)、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧で濃縮した後、得られた残留物を分取クロマトグラフィーシートによって(ジクロロメタン/メタノール = 25/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物A9Rを得た(5 mg,収率27%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.14 (s, 1H), 9.70-9.56 (br, 1H), 8.76 (br s, 1H), 8.36 (s, 1H), 7.90-7.80 (m, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.57 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.23-7.10 (m, 2H),7.04 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.43 (dd, J = 17.2 Hz, 10 Hz, 1H) , 6.24 (dd, J = 17.2 Hz, 2.0 Hz, 1H), 5.74 (dd, J = 10.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.33-4.26 (m, 1H), 3.92-3.75 (m, 2H), 3.31-3.25 (m, 1H), 3.00-2.85 (m, 2H), 2.35-2.25 (m, 1H), 2.24 (s, 3H); MS m/z 540.2 (M+H)+.
【0123】
実施例16 化合物B1Sの製造
【化52】
【0124】
化合物A1Sf(66 mg,0.301 mmol)、B1Sa(80 mg,0.248 mmol)、Pd(OAc)2(20 mg)、BINAP(20 mg)および炭酸セシウム(294 mg,0.903 mmol)を1,4-ジオキサン(3 mL)に入れ、窒素ガスで置換した後、当該反応混合物を密封管で120℃に加熱して2時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール = 30/1〜25/1混合溶液で溶離)分離・精製して黄色固体の化合物B1S(32 mg,収率25%,>99% ee)。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 8.39-8.36 (m, 2H), 7.78 (dd, J = 12.0 Hz, 0.8 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 4.94-4.89 (m, 1H), 4.24 (dd, J = 10.4 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 10.8 Hz, 9.2 Hz, 1H), 3.77-3.72 (m, 1H), 3.13-3.07 (m, 1H), 3.00 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.93-2.87 (m, 1H), 2.78-2.70 (m, 1H), 2.69 (s, 3H), 2.38 (s, 3H), 2.37-2.27 (m, 1H), 1.91 (dd, J = 11.2 Hz, 10.8 Hz, 1H), 1.72 (d, J = 6.8 Hz, 6H); MS m/z 506.3 [M+H]+.
【0125】
実施例17 化合物B1Rの製造
【化53】
【0126】
化合物A1Sf(50 mg,0.228 mmol)、B1S(73 mg,0.228 mmol)、Pd(OAc)2(20 mg)、BINAP(20 mg)および炭酸セシウム(223 mg,0.684 mmol)を1,4-ジオキサン(3 mL)に入れ、窒素ガスで置換した後、当該反応混合物を密封管で120℃に加熱して2時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応液をろ過し、ろ液を濃縮した残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール = 30/1〜25/1混合溶液で溶離)分離・精製して黄色固体の化合物B1R(45 mg,収率39%,>99% ee)。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 8.39-8.36 (m, 2H), 7.78 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 8.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.91-4.85 (m, 1H), 4.25 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 10.4 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.79-3.73 (m, 1H), 3.15-3.07 (m, 1H), 3.06-2.99 (m, 1H), 2.95-2.89 (m, 1H), 2.79-2.69 (m, 1H), 2.68 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 2.39-2.30 (m, 1H), 1.94 (dd, J = 11.2 Hz, 10.8 Hz, 1H), 1.72 (d, J = 7.2 Hz, 6H); MS m/z 506.3 [M+H]+.
【0127】
実施例18 化合物B2Rの製造
【化54】
【0128】
化合物A1Rd(600 mg,2.55 mmol)およびテトラヒドロピラノン(511 mg,5.10 mmol)をメタノール(25 mL)に溶解させ、撹拌しながら、酢酸(153 mg,2.55 mmol)を入れた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(481 mg,7.65 mmol)を分けて入れ、温度を10℃以下になるように制御した。当該反応系を室温で一晩撹拌し、TLCによるモニタリングで反応の完了が示された後、室温で減圧で溶媒を除去した。得られた残留物を飽和炭酸ナトリウム溶液に分散させ、酢酸エチルで3回抽出し(20 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水(20 mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 30/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物B2Raを得た(800 mg,収率98%)。MS m/z 320.2 [M+H]+.
【0129】
化合物B2Ra(200 mg,0.63 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(5 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,30 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で1時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を減圧で濃縮して得られた残留物をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 30/1の混合溶媒で溶離)褐色固体の化合物B2Rbを得た(80 mg、収率44%)。MS m/z 290.2 [M+H]+.
【0130】
化合物B2Rb(30 mg,0.10 mmol)、B1Sa(50 mg,0.16 mmol)、Pd(OAc)2(2.3 mg,0.01 mmol)、BINAP(12.5 mg,0.02 mmol)、Cs2CO3(65 mg,0.20 mmol)および1,4-ジオキサン(2.0 mL)を反応試験管に入れ、窒素ガスで置換した後、当該反応混合物を密封管で120℃に加熱して2時間撹拌しながら反応させた。室温に冷却し、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、ろ液を濃縮した残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって(ジクロロメタン/メタノール = 15/1)分離・精製して粗製品を得、さらに分取HPLCによって精製して黄色固体の化合物B2Rを得た(22 mg,収率37%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 9.48 (s, 1H), 8.58 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.64 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.87-4.78 (m, 1H), 4.26-4.20 (m, 1H), 3.94-3.86 (m, 3H), 3.68 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.34-3.24 (m, 2H), 3.03-2.87 (m, 3H), 2.64 (s, 3H), 2.52-2.37 (m, 2H), 2.35-2.25 (m, 1H), 1.88 (dd, J = 10.8 Hz, 10.0Hz, 1H), 1.78-1.68 (m, 2H), 1.62 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.47-1.35 (m, 2H); MS m/z 576.3 (M+H)+.
【0131】
実施例19 化合物B3Rの製造
【化55】
【0132】
化合物A1Rd(970 mg,4.12 mmol)およびN-メチル-4-ピペリドン(933 mg,8.24 mmol)をメタノール(35 mL)に溶解させ、撹拌しながら、酢酸(247 mg,4.12 mmol)を入れた後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(776 mg,12.35 mmol)を分けて入れ、温度を10℃以下になるように制御した。当該反応系を室温で16時間撹拌し、TLCによるモニタリングで反応の完了が示された後、室温で減圧で溶媒を除去した。得られた残留物を飽和炭酸ナトリウム溶液に分散させ、酢酸エチルで3回抽出し(25 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水(20 mL)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 20/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物B3Raを得た(860 mg,収率63%)。MS m/z 333.2 [M+H]+.
【0133】
化合物B3Ra(373 mg,1.12 mmol)を50 mLの単口フラスコに置き、メタノール(7 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,40 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で2時間撹拌した。TLCによって反応の完了をモニタリングし、反応液をろ過した後、ろ液を減圧で濃縮して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール/アンモニア水 = 10/1/0.25の混合溶媒で溶離)褐色固体の化合物B3Rbを得た(150 mg、収率44%)。MS m/z 303.3 [M+H]+.
【0134】
化合物B3Rb(30 mg,0.099 mmol)、B1Sa(48 mg,0.15 mmol)、Pd(OAc)2(2.3 mg,0.01 mmol)、BINAP(12.5 mg,0.02 mmol)、Cs2CO3(65 mg,0.20 mmol)および1,4-ジオキサン(2.0 mL)を反応試験管に入れ、窒素ガスで置換した後、当該反応混合物を密封管で120℃に加熱して2時間撹拌しながら反応させた。室温に冷却し、反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、ろ液を濃縮した残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって(CH2Cl2/MeOH/NH4OH = 10:1:0.05)分離・精製して粗製品を得、さらに分取HPLCによって精製して黄色固体の化合物B3Rを得た(12 mg,収率21%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 9.46 (s, 1H), 8.57 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.64 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.13 (dd, J = 8.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.87-4.78 (m, 1H), 4.25-4.19 (m, 1H), 3.89 (dd, J = 9.6Hz, 9.6 Hz, 1H), 3.66 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 3.01-2.85 (m, 4H), 2.85-2.74 (m, 2H), 2.64 (s, 3H), 2.35-2.25 (m, 1H), 2.16 (s, 3H), 1.93-1.78 (m, 4H), 1.77-1.68 (m, 2H), 1.62 (d, J = 6.8 Hz, 6H), 1.48-1.35 (m, 2H); MS m/z 589.4 (M+H)+.
【0135】
実施例20 化合物C1Rの製造
【化56】
【0136】
化合物A1Rc(200 mg,0.60 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解させ、反応系にトリフルオロ酢酸(1.5 mL)を入れて室温で2時間撹拌した。40℃で減圧で濃縮してトリフルオロ酢酸を除去し、得られた残留物をジクロロメタン(10 mL)に溶解させ、そしてそれにエチルスルホニルクロリド(116 mg, 0.90 mmol)およびトリエチルアミン(121 mg, 1.20 mmol)を入れ、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水で洗浄した(10 mL × 2)後、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した後、得られた残留物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して(ジクロロメタン/酢酸エチル = 1:1)黄色固体のC1Raを得た(150 mg, 収率77%)。MS m/z 328.0 [M+H]+.
【0137】
化合物C1Ra(150 mg,0.46 mmol)をメタノール(10 mL)に溶解させた後、Pd/C(10%,25 mg)を入れた。当該反応混合物を室温で2時間撹拌した。ろ過し、ろ液を収集し、そしてジクロロメタン/メタノール(10:1)で製品が完全に溶離するまでろ過残渣を洗浄し、ろ液を合併し、ろ液を減圧で濃縮して灰色固体の化合物C1Rbを得た(100 mg, 収率73%)。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz) δ 6.61 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.09 (dd, J = 8.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.03 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 4.56 (br s, 2H), 4.22 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.82 (dd, J = 10.4 Hz, 9.2 Hz, 1H), 3.70 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.59 (dd, J = 10.0H, 10 Hz, 2H), 3.10 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.01-2.95 (m, 1H), 2.91-2.82 (m, 1H), 2.70-2.55 (m, 2H), 1.22 (t, J = 7.2 Hz, 3H); MS m/z 298.0 [M+H]+.
【0138】
化合物C1Rc(120 mg,0.54 mmol)をジクロロメタン(10 mL)に溶解させ、ゆっくりm-クロロ過安息香酸(186 mg, 1.08 mmol)を入れ、反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧で濃縮して得られた残留物を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して(CH2Cl2/MeOH = 30:1)分離して無色固体の化合物C1Rdを得た(70 mg, 収率54%)。MS m/z 241.0 [M+H]+.
【0139】
化合物C1Rd(70 mg,0.29 mmol)およびC1Rb(70 mg,0.20 mmol)をNMP(2 mL)に溶解させた後、TsOH-H2O(57 mg,0.30 mmol)を入れ、反応混合物を100℃で16時間撹拌しながら反応させた。反応混合物を室温に冷却し、反応系を水(4 mL)に注ぎ、ジクロロメタンで抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、ろ液を濃縮して得られた残留物をクロマトグラフィーシートによって(CH2Cl2/MeOH = 15:1)分離して粗製品の化合物を得、さらにアセトニトリルで撹拌・混合し、ろ過して乾燥して灰色固体の化合物C1Rを得た(30 mg,収率32%)。1H NMR(DMSO-d6, 400 MHz) δ 9.34 (br s, 1H), 9.10 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.90-7.60 (br, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.29 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.20-6.98 (br s, 1H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.93-3.82 (m, 2H), 3.70-3.60 (m, 2H), 3.11 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.07-2.96 (m, 2H), 2.75-2.65 (m, 1H), 2.70-2.54 (m, 2H), 1.22 (t, J = 7.2 Hz, 3H), 0.89-0.80 (m, 2H), 0.57-0.50 (m, 2H); MS m/z 474.2 [M+H]+.
【0140】
実施例21 化合物C2Rの製造
【化57】
化合物C2Rは中間体B3RbおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.35 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.06 (dd, J = 8.7, 2.2 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.57 (s, 1H), 4.20 (dd, J = 10.5, 2.5 Hz, 1H), 4.01-3.86 (m, 1H), 3.71 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 3.10-2.59 (m, 7H), 2.43 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.20 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 2.03-1.92 (m, 3H), 1.65-1.60 (m, 2H), 0.89-0.87 (m, 2H), 0.57-0.55 (m, 2H)。 LCMS m/z 479.2 [M+H]+
【0141】
実施例22 化合物C3Rの製造
【化58】
化合物C3Rは中間体A2RbおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.22 (s, 1H), 7.05 (t, J = 9.3 Hz, 1H), 6.74 (dd, J = 15.5, 8.9 Hz, 1H), 5.59 (s, 2H), 4.65 (dd, J = 52.1, 12.8 Hz, 1H), 4.35-3.95 (m, 2H), 3.72 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 3.49 (s, 1H), 3.03-2.45 (m, 5H), 2.15 (d, J = 4.7 Hz, 3H), 0.91-0.88 (m, 2H), 0.63 (t, J = 7.7 Hz, 2H)。
【0142】
実施例23 化合物C4Rの製造
【化59】
化合物C4Rは中間体B2RbおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.48 (d, J = 42.2 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 5.65 (s, 2H), 4.18 (dd, J = 10.4, 2.5 Hz, 1H), 4.05-3.99 (m, 3H), 3.65 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 3.39 (t, J = 11.2 Hz, 2H), 3.11-2.76 (m, 5H), 2.48-2.43 (m, 2H), 2.01 (t, J = 10.6 Hz, 1H), 1.78 (d, J = 12.3 Hz, 2H), 1.60 (dd, J = 8.3, 3.7 Hz, 2H), 0.88 (t, J = 13.9 Hz, 2H), 0.64-0.61 (m, 2H)。 LCMS m/z 466.3 [M+H]+
【0143】
実施例24 化合物C5Rの製造
【化60】
化合物C5Rは中間体A1RfおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.77 (s, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.34 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.51 (s, 2H), 4.17 (dd, J = 10.5, 2.6 Hz, 1H), 4.02-3.98 (m, 1H), 3.63 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.49 (s, 1H), 3.23-3.11 (m, 1H), 3.02-2.78 (m, 4H), 2.35 (s, 3H), 2.28-2.23(m, 1H), 0.88 (dd, J = 13.7, 6.8 Hz, 2H), 0.64-0.61 (m, 2H)。 LCMS m/z 396.2 [M+H]+
【0144】
実施例25 化合物C6Rの製造
【化61】
化合物C6Rは中間体A4RbおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.80 (s, 1H), 8.19 (s, 1H),7.63 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.04 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 6.74 (dd, J = 15.9, 8.8 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 4.56 (dd, J = 59.4, 12.8 Hz, 1H), 4.29-4.25 (m, 1H), 4.07-4.03 (m, 1H), 3.80-3.77 (m, 1H), 3.49-2.85 (m, 4H), 2.38-2.35 (m, 1H), 2.03 (dd, J = 13.4, 5.8 Hz, 1H), 0.83-0.81 (m, 2H), 0.63 (m, 2H)。LCMS m/z 478.3 [M+H]+
【0145】
実施例26および27 化合物C7RおよびC8Rの製造
【化62】

化合物C1Rd(278 mg,1.15 mmol)およびA3Ra(530 mg,1.73 mmol)をN-メチル-2-ピロリドン(5 mL)に溶解させた後、TsOH-H2O(556 mg,2.92 mmol)を入れた。反応液を100℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー(まず石油エーテル/酢酸エチル = 1/1、さらにジクロロメタン/メタノール = 10/1の混合溶媒)にかけ、黄色固体のC8R(100 mg,収率23%)、および約200 mgの粗製品のC7R(純度約50%)を得た。化合物C8R: 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 8.36 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.06 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.79 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.18 (dd, J = 10.6, 2.5 Hz, 1H), 3.95-3.91 (m, 1H), 3.68 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.10 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.99-2.84 (m, 4H), 2.63-2.58 (m, 1H), 2.48-2.43 (m, 1H), 0.91-0.88 (m, 2H), 0.58-0.55 (m, 2H)。 LCMS m/z 382.4 [M+H]+
【0146】
【化63】

化合物C8R(20 mg,0.05 mmol)をジクロロメタン(2 mL)に溶解させ、二炭酸ジ-t-ブチル(23 mg, 0.1 mmol)を入れ、最後にトリエチルアミン(16 mg,0.16 mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。5 mLのジクロロメタンを入れた後、飽和塩化ナトリウムで反応を洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-80%,酢酸エチル:石油エーテル)にかけ、黄色固体の化合物C7Rを得た(11.5 mg, 収率45%)。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.36 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.08 (dd, J = 8.8, 2.3 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.25 (dd, J = 10.7, 2.7 Hz, 1H), 4.13 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 4.03 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.94-3.98 (m, 1H), 3.75 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.04-2.93 (m, 2H), 2.88-2.85 (m, 1H), 2.65-2.56 (m 2H), 1.48 (s, 9H), 0.91-0.88 (m, 2H), 0.59-0.55 (m, 2H)。LCMS m/z 482.4 [M+H]+
【0147】
実施例28 化合物C9Rの製造
【化64】

化合物C8R(30 mg,0.075 mmol)をジクロロメタン(2 mL)に溶解させ、ベンゼンスルホニルクロリド(26 mg, 0.15 mmol)を入れ、最後にトリエチルアミン(24 mg,0.24 mmol)を滴下し、室温で10分間撹拌した。ジクロロメタン(5 mL)を入れた後、飽和塩化ナトリウムで反応を洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-100%,酢酸エチル:石油エーテル)にかけ、黄色固体の化合物C9Rを得た(17 mg, 収率41%)。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.35 (s, 1H), 7.82-7.80 (m, 2H), 7.70-7.68 (m, 1H), 7.64-7.61 (m, 2H), 7.58 (s, 1H), 7.05 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 4.24 (dd, J = 10.7, 2.6 Hz, 1H), 3.90-3.86 (m, 1H), 3.84-3.80 (m, 2H), 3.77-3.74 (m, 1H), 3.13 (s, 1H), 2.86-2.82 (m, 1H), 2.78-2.73 (m, 1H), 2.50-2.45 (m, 1H), 2.12 (t, J = 10.9 Hz, 1H), 0.91-0.86 (m, 3H), 0.57-0.54 (m, 2H)。LCMS m/z 522.3 [M+H]+
【0148】
実施例29 化合物C10Rの製造
【化65】

化合物C10Rは化合物C8Rおよびシクロプロピルスルホニルクロリドで化合物C9Rの製造方法によって合成した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.36 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.10 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 10.7, 2.5 Hz, 1H), 4.00 (dd, J = 10.6, 8.5 Hz, 1H), 3.88 (d, J = 12.3 Hz, 1H), 3.78 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.14-3.09 (m, 2H), 2.89-2.85 (m, 1H), 2.76 (t, J = 11.1 Hz, 2H), 2.52-2.49 (m, 1H), 1.10-1.01 (m, 4H), 0.92-0.88 (m, 2H), 0.59-0.56 (m, 2H)。LCMS m/z 486.3 [M+H]+
【0149】
実施例30 化合物C11Rの製造
【化66】

化合物C11Rは化合物C8Rおよびメチルスルホニルクロリドで化合物C9Rの製造方法によって合成した。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 9.81 (s, 1H), 9.48 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 7.96 (s, 1H),7.46-7.37 (m, 2H), 7.21 (s, 1H), 6.92-6.90 (m, 1H), 4.34 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 3.94-3.90 (m, 2H), 3.60 (d, J = 10.4 Hz, 2H), 3.12-3.08 (m, 1H), 2.93 (s, 3H), 2.85 (s, 1H), 2.71-2.67 (m, 1H), 2.59-2.55 (m, 1H), 2.33-2.32 (m, 1H), 0.86 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 0.61-0.57 (m, 2H)。LCMS m/z 460.2 [M+H]+
【0150】
実施例31 化合物C12Rの製造
【化67】

化合物C12Rは化合物C8Rおよび2-プロピルスルホニルクロリドで化合物C9Rの製造方法によって合成した。1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 8.39 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.12 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.28 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 4.01-3.98 (m, 1H), 3.86 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 3.77 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.70-3.66 (m, 1H), 3.22-3.17 (m, 1H), 3.11-3.07 (m, 1H), 2.91-2.81 (m, 2H), 2.75-2.71 (m, 1H), 1.36 (d, J = 6.79 Hz, 6H), 0.92 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 0.61-0.58 (m, 2H)。LCMS m/z 488.28 [M+H]+
【0151】
実施例32 化合物C13Rの製造
【化68】

化合物C13Rは化合物C8Rおよびテトラヒドロピラン-4-スルホニルクロリドで化合物C9Rの製造方法によって合成した。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.80 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 7.05 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 6.73 (dd, J = 8.9 Hz, 3.2 Hz, 1H), 5.50 (s, 2H), 4.22 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 4.09 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 4.01-3.98 (m, 1H), 3.85 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 3.74 (d, J = 10.3 Hz, 2H), 3.37 (t, J = 11.9 Hz, 2H), 3.22-3.17 (m, 3H), 2.88-2.85 (m, 2H), 1.99-1.86 (m, 5H), 0.90 (d, J = 5.3 Hz, 2H), 0.65-0.60 (m, 2H)。 LCMS m/z 530.24 [M+H]+
【0152】
実施例33 化合物C14Rの製造
【化69】

化合物C8R(5 mg,0.013 mmol)をジクロロメタン(1 mL)に溶解させ、ジメチルアミノスルホニルクロリド(2.5 mg, 0.013 mmol)を入れ、最後にトリエチルアミン(4.0 mg,0.039 mmol)を滴下し、80℃で3時間撹拌した。ジクロロメタン(5 mL)を入れた後、飽和塩化ナトリウムで反応を洗浄し、有機相をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-10%,メタノール:ジクロロメタン)にかけ、黄色固体の化合物C14Rを得た(2.0 mg, 収率31%)。1HNMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.78 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.06-7.04 (m, 1H), 6.74-6.73 (m, 1H), 5.52 (s, 2H), 4.23-4.20 (m, 1H), 4.03-3.99 (m, 1H), 3.75-3.70 (m, 2H), 3.61-3.58 (m, 1H), 3.21-3.17 (m, 1H), 3.12-3.06 (m, 1H), 2.90-2.80 (m, 7H), 2.74-2.69 (m, 1H), 0.90-0.88 (m, 2H), 0.65-0.62 (m, 2H)。LCMS m/z 489.24 [M+H]+
【0153】
実施例34 化合物C15Rの製造
【化70】
化合物C8R(5 mg,0.013 mmol)をジクロロメタン(1 mL)に溶解させ、2-クロロエチルスルホニルクロリド(2.6 mg, 0.13 mmol)を入れ、最後にトリエチルアミン(4.0 mg,0.039 mmol)を滴下し、80℃で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液、ジクロロメタン(5 mL)、飽和塩化ナトリウムを入れて反応液を洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-10%,メタノール:ジクロロメタン)にかけ、黄色固体の化合物C15Rを得た(0.41 mg, 収率7%)。LCMS m/z 472.19 [M+H]+
【0154】
実施例35 化合物C16Rの製造
【化71】
化合物C8R(5 mg,0.013 mmol)をジオキサン(1 mL)に溶解させ、スルホンアミド(3 mg, 0.026 mmol)を入れ、最後にトリエチルアミン(4 mg,0.039 mmol)を滴下し、100℃で5時間反応させ、TLCによってC8Rが完全に反応したことが検出された。飽和塩化アンモニウム溶液を入れ、酢酸エチルで抽出し、飽和塩化ナトリウムて反応液を洗浄し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(0-10%,メタノール-ジクロロメタン)にかけ、淡黄色固体の化合物C16Rを得た(1.47 mg, 収率25%)。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.36 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.09 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 10.7, 2.6 Hz, 1H), 4.00 (dd, J = 10.7, 8.5 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.69-3.55 (m, 3H), 3.18-3.11 (m, 2H), 2.89-2.82 (m, 2H), 2.78 (dd, J = 12.9, 10.3 Hz, 1H), 2.48 (t, J = 11.0 Hz, 1H), 2.03 (s, 1H), 0.89 (dd, J = 6.2, 3.4 Hz, 5H), 0.59-0.54 (m, 2H)。 LCMS m/z 461.26 [M+H]+
【0155】
実施例36 化合物C17Rの製造
【化72】
【0156】
化合物 C17a(1.1 g,3.43 mmol)、p-フルオロニトロベンゼンC17b(1.4 g,9.93 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.6 g,20.16 mmol)を乾燥したN-メチルピロリドン(9 mL)に溶解させ、混合物をマイクロ波の照射で160℃に加熱して5時間反応させ(計8ロットの1.1 g C17aの規模の反応)、反応系を室温に冷却した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(石油エーテル/酢酸エチル = 6/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物C17cを得た(1.8 g,収率18%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.12 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.33 (m, 5H), 6.84 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 4.47 (s, 1H), 3.65-3.57 (m, 2H), 3.54 (s, 3H), 3.48 (m, 1H), 3.21 (td, J = 12.3, 3.7 Hz, 1H), 3.08 (dd, J = 15.5, 9.3 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.85 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 2.48 (dd, J = 15.6, 3.7 Hz, 1H), 2.33 (dd, J = 11.7, 2.6 Hz, 1H), 2.26 (td, J = 11.6, 3.6 Hz, 1H)。LCMS m/z 370.2 [M+H]+
【0157】
化合物C17c(1.8 g,4.87 mmol)、塩化アンモニウム(1.1 g,20.56 mmol)および鉄粉(1.1 g,19.70 mmol)をエタノール/水(50 mL/10 mL)に溶解させ、反応系を70℃に加熱して3時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温に冷却し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮し、得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 20/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物C17dを得た(1.6 g、収率97%)。1H NMR (400 MHz, ) δ 7.32 (m, 7.9 Hz, 5H), 6.80 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.64 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.02 (d, J = 9.7 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 13.8 Hz, 2H), 3.49 (s, 3H), 3.49 (s, 2H), 3.04 (d, J = 12.5 Hz, 2H), 2.83 (d, J = 23.6 Hz, 2H), 2.68 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 2.52 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 2.34 (m, 2H)。LCMS m/z 340.2 [M+H]+
【0158】
化合物C17d(1.6 g,4.71 mmol)およびトリエチルアミン(1.4 g,13.86 mmol)を乾燥したジクロロメタン(25 mL)に溶解させ、室温で反応系に酢酸無水物(964 mg,9.44 mmol)を入れた後、当該反応系を室温で3時間撹拌しながら反応させた。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 50/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物C17eを得た(1.7 g,収率95%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39-7.28 (m, 7H), 7.03 (s, 1H), 6.86 (d, J = 8.9 Hz, 2H), 4.23 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.51 (s, 3H), 3.47 (m, 3H), 3.24 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.02 (ddd, J = 25.4, 13.4, 9.1 Hz, 2H), 2.89 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.79 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 2.47-2.24 (m, 3H), 2.12 (s, 3H)。LCMS m/z 382.2 [M+H]+
【0159】
化合物C17e(1.7 g,4.46 mmol)をメタノール/水(25 mL/5 mL)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(750 mg,17.86 mmol)を入れ、混合物を35℃に加熱して一晩撹拌した。反応液を濃縮してメタノールを除去し、水(20 mL)を入れ、酢酸エチルで1回抽出し、水層を希塩酸でpHが6になるように中和し、水層をそのまま乾燥まで濃縮し、得られた混合物をジクロロメタン/メタノール(10/1)に分散させ、撹拌し、ろ過し、固体をジクロロメタン/メタノール(10/1)で数回洗浄し、ろ液を合併し、濃縮して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 10/1の混合溶媒で溶離)灰色固体の化合物C17fを得た(1.6 g,収率98%)。LCMS m/z 368.2 [M+H]+
【0160】
化合物C17f(1.6 g,4.35 mmol)および10 mLのポリリン酸を50 mLの単口フラスコに置き、混合物を100℃に加熱して7時間撹拌しながら反応させ、反応系を室温に冷却し、氷水に注ぎ、水酸化ナトリウム溶液でpHが8になるように中和し、得られた混合物を乾燥まで濃縮した後、ジクロロメタン/メタノール(10/1)に分散させ、撹拌し、ろ過し、固体をジクロロメタン/メタノール(10/1)で数回洗浄し、ろ液を合併し、濃縮して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 20/1の混合溶媒で溶離)灰色固体の化合物C17gを得た(890 mg,収率58%)。LCMS m/z 350.2 [M+H]+
【0161】
化合物C17g(640 mg,1.83 mmol)およびホルムアルデヒド水溶液(37%,3.0 g,37.0 mmol)を250 mLの単口フラスコに置き、メタノール(100 mL)で溶解させた後、それにPd/C(10%,100 mg)を入れ、水素ガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系を水素ガスの雰囲気において常温で一晩撹拌した。TLCによるモニタリングで一部の原料が残ったことが示され、反応液をろ過した後、ろ液を回転乾燥して得られた粗製品をシリカゲルカラムによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 50/1〜25/1の混合溶媒で溶離)黄色固体の化合物C17hを得た(160 mg、収率32%)。LCMS m/z 274.2 [M+H]+
【0162】
化合物C17h(8 mg,0.029 mmol)を希塩酸(6 N,0.5 mL)で溶解させ、アルゴンガスでフラスコにおける空気を置換し、当該反応系をアルゴンガスの雰囲気において85℃に加熱して2時間撹拌しながら反応させた。反応液を水酸化ナトリウム溶液でpHが8になるように中和し、酢酸エチルで3回抽出し、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して黄色固体の化合物C17iを得た(3 mg,収率74%)。NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.00 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 6.84 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 4.76 (s, 2H), 3.70 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.21-3.01 (m, 1H), 2.85 (dd, J = 27.1, 11.4 Hz, 2H), 2.63-2.53 (m, 2H), 2.43 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 2.19 (s, 3H), 1.91 (m, 1H)。LCMS m/z 232.2 [M+H]+
【0163】
化合物C17は中間体C17iおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.87 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 8.16 (s, 1H), 7.27 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 6.91 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 5.85 (s, 1H), 3.77 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.45 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 2.98-2.88 (m, 4H), 2.58 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H), 2.33-2.31 (m, 1H), 2.10 (t, J = 10.8 Hz, 1H), 0.92 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 0.64 (d, J = 1.7 Hz, 2H)。LCMS m/z 408.4 [M+H]+
【0164】
実施例37 化合物C18Rの製造
【化73】
中間体E1bは中間体A8RdおよびA8Sdのラセミ体である。中間体A8RdおよびA8Sdの合成方法を参照して製造した。
化合物C18Rは中間体E1bおよびC1Rdで化合物C1Rの製造方法によって製造した。1H NMR (500 MHz, CD3OD) δ 8.78 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 7.05 (dd, J = 8.6, 2.1 Hz, 1H), 6.69 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.60 (s, 2H), 4.14 (dd, J = 10.6, 2.6 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 11.4, 3.3 Hz, 1H), 3.97 (dd, J = 10.4, 9.2 Hz, 1H), 3.86 (dd, J = 10.9, 2.9 Hz, 1H), 3.77-3.73 (m, 1H), 3.47 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 3.29 (t, J = 10.7 Hz, 1H), 3.21-3.16 (m, 1H), 2.90-2.90 (m, 2H), 0.92-0.89 (m, 2H), 0.64-0.62 (m, 2H)。LCMS m/z 383.3 [M+H]+
【0165】
実施例38 化合物C19Rの製造
【化74】
化合物C19Rは化合物C8Rおよび塩化アクリルからジクロロメタンおよびトリエチルアミンにおいて反応させて製造した。1H NMR (500 MHz, CDOD3) δ 8.50 (s, 1H), 6.96-6.93 (m, 1H), 6.87-6.81 (m, 1H), 6.74 (dd, J = 8.7 Hz, 2.4 Hz, 1H), 6.68-6.60 (m, 2H), 6.37 (dd, J = 16.8 Hz, 1.8 Hz, 1H), 6.28 (dd, J = 16.8 Hz, 1.8 Hz, 1H), 5.80 (dd, J = 10.6 Hz, 1.8 Hz, 1H), 5.73 (dd, J = 10.6 Hz, 1.8 Hz, 1H), 4.60-4.58 (m, 1H), 4.33 (dd, J = 10.8 Hz, 2.6 Hz, 1H), 4.03-4.00 (m, 1H), 3.94-3.87 (m, 2H), 3.16-3.10 (m, 1H), 3.05-2.98 (m, 1H), 2.82-2.63 (m, 3H), 0.77-0.73 (m, 2H), 0.53-0.50 (m, 2H)。LCMS m/z 490.28 [M+H]+
【0166】
実施例39 化合物C20Rの製造
【化75】
化合物C20Raは化合物A1Rdおよび塩化アクリルからジクロロメタンおよびトリエチルアミンにおいて反応させて製造した。化合物C20Rbは化合物C20Raから鉄粉および塩化アンモニウムによって還元させて得た(化合物C17Rdの合成を参照する)。化合物C20Rは化合物C20Rbおよび化合物C1Rdから反応させて得た(A8RdおよびA8Sdの合成方法を参照)。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.82 (s, 1H), 8.24(s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.05 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 6.62-6.57 (m, 1H), 6.33 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 5.75 (dd, J = 10.5 Hz, 1.5 Hz, 1H), 5.64 (s, 2H), 4.73-4.63 (m, 1H), 4.26-4.23 (m, 1H), 4.02 (dd, J = 10.5 Hz, 8.9 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 3.42-3.38 (m, 1H), 3.07-2.96 (m, 2H), 2.90-2.86 (m, 1H), 2.74-2.69 (m, 1H), 2.58-2.53 (m, 1H), 0.90-0.88 (m, 2H), 0.63-0.61 (m, 2H)。LCMS m/z 436.24 [M+H]+
【0167】
実施例40 化合物D1Sの製造
【化76】
化合物D1Sa(100 mg,0.455 mmol)、A1Sf(109 mg,0.499 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(117 mg,0.909 mmol)を1,4-ジオキサン(3 mL)に入れ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 30/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D1Sbを得た(160 mg,収率88%)。 1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.93 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.14 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.93-6.82 (m, 2H), 4.23 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.90 (dd, J = 10.4 Hz, 9.2 Hz, 1H),3.66 (d, J = 11.6Hz, 1H), 3.05-2.95 (m, 1H), 2.89-2.74 (m, 4H), 2.65-2.55 (m, 1H), 2.22 (s, 3H), 2.13-2.03 (m, 1H), 1.68 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8 Hz, 1H), 1.24 (t, J = 7.4 Hz, 3H)。MS m/z 403.2 [M+H]+, 405.2 [M+H]+
【0168】
化合物D1Sb(200 mg,0.498 mmol)およびD1Sc(251 mg,2.488 mmol)をN-メチルピロリドン(5 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(10 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 30/1)分離・精製して黄色固体の化合物D1Sを得た(113 mg,収率49%,>99% ee)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.91 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.35 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.22 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.14-4.00 (m, 1H), 3.97-3.85 (m, 3H), 3.64 (d, J = 11.6 Hz , 1H), 3.43 (dd, J = 12.0 Hz, 12.0 Hz, 2H), 3.01-2.93 (m, 1H), 2.89-2.75 (m, 2H), 2.61-2.51 (m, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.14-2.04 (m, 1H), 1.90-1.82 (m, 2H), 1.72-1.53 (m, 3H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。MS m/z 468.4 [M+H]+
【0169】
実施例41 化合物D1Rの製造
【化77】
化合物D1Ra(100 mg,0.455 mmol)、A1Rf(109 mg,0.499 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(117 mg,0.909 mmol)を1,4-ジオキサン(3 mL)に入れ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 30/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D1Rbを得た(150 mg,収率82%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.93 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.14 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.93-6.82 (m, 2H), 4.23 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.90 (dd, J = 10.4 Hz, 9.2 Hz, 1H), 3.66 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.05-2.95 (m, 1H), 2.89-2.74 (m, 4H), 2.65-2.55 (m, 1H), 2.22 (s, 3H), 2.13-2.03 (m, 1H), 1.68 (dd, J = 10.4 Hz, 10.0 Hz, 1H), 1.24 (t, J = 7.4 Hz, 3H)。MS m/z 403.2 [M+H]+, 405.2 [M+H]+.
【0170】
化合物D1Rb(200 mg,0.498 mmol)および(251 mg,2.488 mmol)をN-メチルピロリドン(5 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(10 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した粗製品をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 30/1の混合溶媒で溶離)分離・精製し、得られた化合物H1-7Rは黄色固体であった(123 mg,収率:53%)。
【0171】
化合物D1Rb(200 mg,0.498 mmol)およびD1Rc(251 mg,2.488 mmol)をN-メチルピロリドン(5 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(10 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(10 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 30/1)分離・精製して黄色固体の化合物D1Rを得た(123 mg,収率53%,>99% ee)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.91 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.35 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.22 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 4.14-4.00 (m, 1H), 3.97-3.85 (m, 3H), 3.64 (d, J = 11.6 Hz , 1H), 3.43 (dd, J = 12.4 Hz, 11.6 Hz, 2H), 3.01-2.93 (m, 1H), 2.88-2.75 (m, 2H), 2.61-2.51 (m, 3H), 2.22 (s, 3H), 2.14-2.04 (m, 1H), 1.90-1.82 (m, 2H), 1.72-1.53 (m, 3H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 468.4 [M+H]+
【0172】
実施例42 化合物D2Sの製造
【化78】
化合物D1Sa(25 mg,0.114 mmol)、A8Sd(26 mg,0.126 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(29 mg,0.228 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 50/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D2Sbを得た(43 mg,収率97%)。MS m/z 390.2 [M+H]+, 392.2 [M+H]+.
【0173】
化合物D2Sb(43 mg,0.111 mmol)およびD1Sc(56 mg,0.553 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(5 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(2 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 50/1)分離・精製して黄色固体の化合物D2Sを得た(22 mg,収率44%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.91 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.36 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.21 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.12-4.01 (m, 1H), 3.97-3.80 (m, 5H), 3.64-3.52 (m, 2H), 3.48-3.37 (m, 2H), 3.16 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8Hz, 1H), 3.07-2.97 (m, 1H), 2.70-2.53 (m, 3H), 1.92-1.85 (m, 2H), 1.69-1.55 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 455.2 [M+H]+
【0174】
実施例43 化合物D2Rの製造
【化79】
化合物D1Sa(26 mg,0.119 mmol)、A8Rd(27 mg,0.131 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(31 mg,0.237 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 50/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D2Rbを得た(44 mg,収率96%)。MS m/z 390.2 [M+H]+, 392.2 [M+H]+.
【0175】
化合物D2Rb(44 mg,0.113 mmol)およびD1Sc(57 mg,0.566 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(5 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(2 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 50/1)分離・精製して黄色固体の化合物D2Rを得た(20 mg,収率39%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.91 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.36 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.21 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.13-4.01 (m, 1H), 3.97-3.82 (m, 5H), 3.64-3.52 (m, 2H), 3.47-3.38 (m, 2H), 3.16 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8Hz, 1H), 3.07-2.97 (m, 1H), 2.70-2.53 (m, 3H), 1.92-1.85 (m, 2H), 1.69-1.55 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 455.2 [M+H]+
【0176】
実施例44 化合物D3Rの製造
【化80】
化合物D1Sa(23 mg,0.105 mmol)、A7Rb(30 mg,0.104 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(40 mg,0.310 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 100/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D3Rbを得た(47 mg,収率95%)。MS m/z 471.2 [M+H]+, 473.2 [M+H]+.
【0177】
化合物D3Rb(47 mg,0.100 mmol)およびD1Sc(60 mg,0.593 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(5 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(3 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 40/1)分離・精製して黄色固体の化合物D3Rを得た(25 mg,収率47%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.90 (s, 1H), 7.50 (d, s, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.20 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.24 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.15-4.01 (m, 1H), 3.96-3.85 (m, 3H), 3.71-3.65 (m, 1H), 3.48-3.39 (m, 2H), 3.33-3.20 (m, 2H), 3.04-2.90 (m, 3H), 2.62-2.51 (m, 4H), 2.18 (dd, J = 11.2 Hz, 10.4 Hz, 1H), 1.93-1.82 (m, 2H), 1.67-1.56 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 536.2 [M+H]+
【0178】
実施例45 化合物D4Rの製造
【化81】
化合物D1Sa(26 mg,0.118 mmol)、A6Rb(29 mg,0.118 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(46 mg,0.357 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(ジクロロメタン/メタノール = 100/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D4Rbを得た(47 mg,収率92%)。MS m/z 429.2 [M+H]+, 430.2 [M+H]+.
【0179】
化合物D4Rb(47 mg,0.110 mmol)およびD1Sc(67 mg,0.662 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(5 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(3 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 35/1)分離・精製して黄色固体の化合物D4Rを得た(25 mg,収率46%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.89 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.19 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.24 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 4.13-4.00 (m, 1H), 3.96-3.87 (m, 3H), 3.70-3.63 (m, 1H), 3.47-3.38 (m, 2H), 3.04-2.83 (m, 3H), 2.56 (q, J = 7.6 Hz, 2H), 2.45-2.32 (m, 1H), 1.98 (dd, J = 10.8 Hz, 10.8 Hz, 1H), 1.92-1.82 (m, 2H), 1.70-1.55 (m, 3H), 1.18 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 0.89-0.81 (m, 1H), 0.48-0.40 (m, 2H), 0.38-0.31 (m, 2H)。 MS m/z 494.2 [M+H]+
【0180】
実施例46 化合物D5Sの製造
【化82】

化合物D1Sa(27 mg,0.123 mmol)、A9Sg(29 mg,0.124 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(48 mg,0.372 mmol)を1,4-ジオキサン(1 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で150℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 25/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D5Sb(9 mg,収率18%)。MS m/z 417.2 [M+H]+, 419.2 [M+H]+
【0181】
化合物D5Sb(7 mg, 0.017 mmol)およびD1Sc(10 mg,0.099 mmol)をイソプロパノール(0.5 mL)に溶解させた後、トリフルオロ酢酸(3 mg,0.026 mmol)を入れた。当該反応液を密封管で100℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。反応液を室温に冷却した後、それを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5 mL)に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、さらに無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮して得られた残留物を分取クロマトグラフィーシートによって分離して(ジクロロメタン/メタノール = 20/1)黄色固体の化合物D5Sを得た(4 mg,収率49%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 11.20 (s, 1H), 8.08 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.64 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.30 (s, 1H), 6.91 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 9.2 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 4.42-4.36 (m, 1H), 4.14-4.05 (m, 1H), 4.02-3.88 (m, 4H), 3.48-3.38 (m, 2H), 3.05-2.85 (m, 3H), 2.59 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.35-2.30 (m, 1H), 2.25 (s, 3H), 1.93-1.85 (m, 2H), 1.70-1.59 (m, 2H), 1.19(t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 482.2 [M+H]+
【0182】
実施例47 化合物D6Rの製造
【化83】
化合物D1Sa(30 mg,0.137 mmol)、B3Rb(41 mg,0.137 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(35 mg,0.274 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 15/1)分離・精製して淡黄色固体の化合物D6Rb(30 mg,収率45%)。MS m/z 486.2 [M+H]+, 488.2 [M+H]+
【0183】
化合物D6Rb(30 mg,0.062 mmol)およびD1Sc(31 mg,0.309 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に入れた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応液を酢酸エチル(5 mL)に注ぎ、さらに飽和食塩水(3 mL × 2)で洗浄し、有機相を合併して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール = 5/1)分離・精製し、カラムクロマトグラフィーによって分離された産物をさらにジクロロメタンおよび石油エーテルで撹拌・混合してて黄色固体の化合物D6Rを得た(3 mg,収率9%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.88 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.33 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (s, 1H), 6.83-6.74 (m, 3H), 4.27-4.20 (m, 1H), 4.13-4.00 (m, 1H), 3.95-3.85 (m, 3H), 3.66 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.48-3.38 (m, 2H), 3.01-2.75 (m, 6H), 2.56 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.37-2.24 (m, 2H), 2.24-2.09 (m, 3H), 1.92-1.80 (m, 5H), 1.80-1.70 (m, 2H), 1.67-1.55 (m, 2H), 1.50-1.36 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 551.3[M+H]+
【0184】
実施例48 化合物D7Rの製造
【化84】

化合物D1Sa(46 mg,0.21 mmol)、B2Rb(40 mg,0.14 mmol)およびN,N-ジメチルエチルアミン(36 mg,0.28 mmol)を1,4-ジオキサン(2 mL)に溶解させ、当該反応液を密封管で130℃に加熱して16時間撹拌しながら反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、反応混合物を減圧でを濃縮し、ろ過し、ケーキをジクロロメタンで洗浄して黄色固体のD7Rbを得た(36 mg,収率55%)。MS m/z 473.2 [M+H]+, 475.2 [M+H]+
【0185】
化合物D7Rb(35 mg,0.074 mmol)およびD1Sc(37 mg,0.37 mmol)をN-メチルピロリドン(1 mL)に溶解させた。当該反応液をマイクロ波で照射する条件で180℃に加熱して1時間撹拌しながら反応させた。反応液を水に注ぎ、ジクロロメタンを入れて抽出し(5 mL × 3)、有機相を合併して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、ろ液を35℃で減圧で濃縮した後、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して(CH2Cl2/MeOH = 30:1)固体の粗製品を得、さらに分取HPLCによって精製して黄色固体の化合物D7Rを得た(14 mg,収率35%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.89 (s, 1H), 7.50 (s, 1H), 7.34 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.21 (s, 1H), 6.85-6.75 (m, 3H), 4.24 (dd, J = 10.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 4.13-4.01 (m, 1H), 3.97-3.85 (m, 5H), 3.67 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.53-3.36 (m, 3H), 3.35-3.23 (m, 2H), 3.03-2.87 (m, 3H), 2.56 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.47-2.37 (m, 1H), 2.35-2.25 (m, 1H), 1.93-1.83 (m, 3H), 1.76-1.55 (m, 4H), 1.48-1.32 (m, 2H), 1.18 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。 MS m/z 538.4[M+H]+
【0186】
実施例49 化合物E1の製造
【化85】
化合物E1a(50 mg,0.152 mmol)、E1b(34 mg,0.167 mmol)および濃塩酸(0.1 mL)を順にt-ブタノール(2 mL)に入れ、当該反応混合物を密封管で撹拌しながら110℃に加熱して16時間反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7になるように調整した後、酢酸エチル(5 mL × 2)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(石油エーテル/酢酸エチル=1/1)によって分離・精製して灰色固体の化合物E1を得た(37 mg,収率49%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.16 (s, 1H), 8.98 (s, 1H), 8.71-8.64 (m, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 7.6 Hz, 7.2Hz, 1H), 7.13-7.05 (m, 2H), 6.93 (dd, J = 8.8 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.76 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.67 (s, 1H), 4.19 (dd, J = 10.4 Hz, 2.0 Hz, 1H), 3.94 (dd, J = 11.6 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.88-3.80 (m, 2H), 3.62-3.50 (m, 2H), 3.16 (dd, J = 10.8Hz, 10.4 Hz, 1H), 3.04-2.98 (m, 1H), 2.76 (d, J = 4.0 Hz, 3H), 2.64-2.55 (m, 1H)。MS m/z 500.2 [M+H]+
【0187】
実施例50 化合物E1Sの製造
【化86】

化合物E1a(55 mg,0.167 mmol)、A1Sf(37 mg,0.167 mmol)および濃塩酸(0.1 mL)を順にt-ブタノール(2 mL)に入れた。当該反応混合物を密封管で撹拌しながら110℃に加熱して16時間反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7になるように調整した後、酢酸エチル(5 mL × 2)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール=15/1)によって分離・精製して灰色固体の化合物E1Sを得た(16 mg,収率19%)。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 8.12 (s, 1H), 7.62 (dd, J = 8.0 Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.48-7.43 (m, 1H), 7.13-7.08 (m, 1H), 6.83-6.78 (m, 3H), 6.57 (s, 1H), 4.23 (dd, J = 10.8 Hz, 2.8 Hz, 1H), 3.95 (dd, J = 10.4 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.10-3.02 (m, 1H), 2.98 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.90-2.84 (m, 4H), 2.76-2.65 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.32-2.23 (m, 1H), 1.88 (dd, J = 11.2Hz, 10.8 Hz, 1H)。 MS m/z 513.2 [M+H]+
【0188】
実施例51 化合物E1Rの製造
【化87】

化合物E1a(50 mg,0.152 mmol)、A1Rf(33 mg,0.152 mmol)および濃塩酸(0.1 mL)を順にt-ブタノール(2 mL)に入れた。当該反応混合物を密封管で撹拌しながら110℃に加熱して16時間反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7になるように調整した後、酢酸エチル(5 mL × 2)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール=15/1)によって分離・精製して淡黄色固体のE1Rを得た(30 mg,収率39%)。1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 8.11 (s, 1H), 7.61 (dd, J = 7.6 Hz, 1.2 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.48-7.42 (m, 1H), 7.12-7.07 (m, 1H), 6.82-6.78 (m, 3H), 6.56 (s, 1H), 4.21 (dd, J = 10.4 Hz, 2.4 Hz, 1H), 3.94 (dd, J = 10.4 Hz, 8.8 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 3.09-3.02 (m, 1H), 2.96 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.90-2.84 (m, 4H), 2.74-2.65 (m, 1H), 2.34 (s, 3H), 2.32-2.23 (m, 1H), 1.86 (dd, J = 11.2Hz, 10.8 Hz, 1H)。MS m/z 513.2[M+H]+
【0189】
実施例52 化合物E2Rの製造
【化88】
化合物E1a(30 mg,0.091 mmol)、B3Rb(41 mg,0.14 mmol)および濃塩酸(0.1 mL)を順にt-ブタノール(1.5 mL)に入れた。当該反応混合物を密封管で撹拌しながら160 °Cに加熱して8時間反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7になるように調整した後、ジクロロメタンで抽出し(5 mL × 3)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール=5/1)によって分離・精製して淡黄色固体のE2Rを得た(4.0 mg,収率7%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.16 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.72-8.65 (br, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.60-7.44 (m, 2H), 7.10 (dd, J = 7.6Hz, 7.2 Hz, 1H), 7.03 (s, 1H), 6.90 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.66 (s, 1H), 4.21 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 3.87 (dd, J = 9.6 Hz, 1H), 3.64 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 3.01-2.70 (m, 9H), 2.35-2.22 (m, 1H), 2.21-2.09 (m, 4H), 1.92-1.80 (m, 3H), 1.77-1.68 (m, 2H), 1.50-1.35 (m, 2H)。 MS m/z 596.3 [M+H]+
【0190】
実施例53 化合物E3Rの製造
【化89】

化合物E1a(30 mg,0.10 mmol)、B2Rb(50 mg,0.16 mmol)および濃塩酸(0.1 mL)を順にt-ブタノール(2.0 mL)に入れた。当該反応混合物を密封管で撹拌しながら150 °Cに加熱して6時間反応させた。LCMSによって反応の完了が検出された後、当該反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpH=7になるように調整した後、ジクロロメタンで抽出し(5 mL × 3)で抽出し、有機相を合併して飽和食塩水(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧で濃縮した残留物を分取クロマトグラフィーシート(ジクロロメタン/メタノール=10/1)によって分離・精製して淡黄色固体のE3Rを得た(10 mg,収率19%)。1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 10.20-10.13 (br, 1H), 9.00-8.90 (br, 1H), 8.71-8.62 (br, 1H), 8.23 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.74-7.67 (m, 1H), 7.60-7.42 (m, 2H), 7.14 -6.99(m, 2H), 6.95-6.87 (m, 1H), 6.76 (dd, J = 8.8Hz, 8.8 Hz, 1H), 6.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.27-4.18 (m, 1H), 3.95-3.82 (m, 3H), 3.70-3.60 (m, 1H), 3.28-3.22 (m, 2H), 3.03-2.85 (m, 4H), 2.81-2.72 (m, 3H), 2.48-2.23 (m, 2H), 1.91-1.81 (m, 1H), 1.78-1.68 (m, 2H), 1.50-1.35 (m, 2H)。MS m/z 583.3 [M+H]+
【0191】
実施例54 プロテインキナーゼ活性阻害の測定
EGFRおよびEGFR(T790M/L858R)キナーゼ活性阻害実験
Caliper移動度変化検出技術(Caliper mobility shift assay)によってEGFRおよびEGFR(T790M/L858R)プロテインキナーゼの活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液で希釈し(EGFR(T790M/L858R):pH 7.5の50 mM HEPES、0.0015% Brij-35、10 mM MgCl2、2 mM DTT; EGFR: pH 7.5 50 mM HEPES、0.0015% Brij-35、10 mM MgCl2、10 mM MnCl2、2 mM DTT)、384ウェルプレートに5 μlの反応最終濃度5倍の化合物(10%DMSO)を入れた。10 μLの2.5倍酵素(それぞれEGFRおよびEGFR(T790M/L858R)で)溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに10 μLの2.5倍基質(ペプチドFAM-P22およびATP)溶液を入れた。28℃で60分間インキュベートした後、25 μLの停止液(pH 7.5の100 mM HEPES、0.015% Brij-35、0.2% コーティング試薬#3、50 mM EDTA)を入れて反応を停止させた。Caliper EZ Reader II(Caliper Life Sciences)で転化率のデータを読み取った。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表1に示す。
【0192】
【表1】
【0193】
CDK2、CDK4およびCDK6キナーゼ活性阻害実験
Caliper移動度変化検出技術(Caliper mobility shift assay)によってCDK2/CycA2、CDK4/CycD3およびCDK6/cycD3プロテインキナーゼの活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液で希釈し(CDK2/CycA2およびCDK6/cycD3:50 mM HEPES (pH 7.5)、10 mM MgCl2、0.0015% Brij-35、および2 mM ジチオトレイトール; CDK4/CycD3: 20 mM HEPES (pH 7.5)、10 mM MgCl2、0.01% Triton X-100、および2 mM ジチオトレイトール)、384ウェルプレートに5 μlの反応最終濃度5倍の化合物(10%DMSO)を入れた。10 μLの2.5倍Axl酵素溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに10 μLの2.5倍基質溶液(相応する酵素および基質の濃度:CDK2/CycA2 12 nM、ATP Km 39 μM; CDK4/CycD3 10 nM、ATP Km 221 μM; CDK6/cycD3 15 nM、ATP Km 800μM)を入れた。 28℃でそれぞれインキュベートした(60分間 CDK2、180分間 CDK4、60分間 CDK6)後、25 μLの停止液(100 mM HEPES(pH 7.5)、0.015% Brij-35、0.2% コーティング試薬#3、50 mM EDTA)を入れて反応を停止させた。Caliper EZ Reader II(Caliper Life Sciences)で転化率のデータを読み取った。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表2に示す。
【0194】
【表2】
【0195】
FLT3キナーゼ活性阻害実験
Caliper移動度変化検出技術(Caliper mobility shift assay)によってFLT3プロテインキナーゼの活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液(pH 7.5の50 mM HEPES、0.0015% Brij-35、2 mM DTT)で希釈し、384ウェルプレートに5 μlの反応最終濃度5倍の化合物(10%DMSO)を入れた。10 μLの2.5倍FLT3酵素溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに10μLの2.5倍基質(FAMで標識されたポリペプチドおよびATP)溶液を入れた。28℃で60分間インキュベートした後、25 μLの停止液(pH 7.5の100 mM HEPES、0.015% Brij-35、0.2% コーティング試薬#3、50 mM EDTA)を入れて反応を停止させた。Caliper EZ Reader II(Caliper Life Sciences)で転化率のデータを読み取った。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表3に示す。
【0196】
Axlキナーゼ活性阻害実験
Caliper移動度変化検出技術(Caliper mobility shift assay)によってAxlプロテインキナーゼの活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液(pH 7.5の50 mM HEPES、0.0015% Brij-35、2 mM DTT)で希釈し、384ウェルプレートに5 μLの反応最終濃度5倍の化合物(10%DMSO)を入れた。10 μLの2.5倍Axl酵素溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに10 μLの2.5倍基質(FAMで標識されたポリペプチドおよびATP)溶液を入れた。 28℃で60分間インキュベートした後、25μLの停止液(pH 7.5の100 mM HEPES、0.015% Brij-35、0.2% コーティング試薬#3、50 mM EDTA)を入れて反応を停止させた。Caliper EZ Reader II(Caliper Life Sciences)で転化率のデータを読み取った。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表3に示す。
【0197】
【表3】
【0198】
FAKキナーゼ活性阻害実験
Latha screen分析によってFAKプロテインキナーゼ活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液(25 mM HEPES、pH 7.5、0.01mM Triton、10 mM MgCl2、0.5 mM EGTA、0.01% BRIJ-35、2 mM DTT)で希釈し、384ウェルプレートに2.5 μlの反応最終濃度4倍の化合物(4%DMSO)を入れた。5 μLの2倍FAK酵素溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに2.5 μLの4倍基質(フルオレセイン-ポリGTおよびATP)溶液を入れた。25℃で30分間インキュベートした後、10 μLの検出溶液(リン酸化部位を認識する抗体2 nMおよびEDTA 10 mM)を入れて反応を停止させた。 Envisionで340nmで励起させ、520nmで放出したデータを読み取り、Envisionプログラムから発光読み取り値のデータをコピーし、発光読み取り値を公式で阻害百分率に変換した。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。「min」は酵素を入れずに反応を行った場合の対照サンプルの蛍光読み取り値で、「max」はDMSOを対照として入れたサンプルの蛍光読み取り値である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表4に示す。
【0199】
【表4】
【0200】
Sykキナーゼ活性阻害実験
Caliper移動度変化検出技術(Caliper mobility shift assay)によってSYKプロテインキナーゼの活性を測定した。化合物をDMSOで溶解させた後、キナーゼ緩衝液(20 mM HEPES、0.01% Triton X-100、5 mM MgCl2、1 mM MnCl2、2 mM DTT)で希釈し、384ウェルプレートに5 μlの反応最終濃度5倍の化合物(10%DMSO)を入れた。10 μLの2.5倍酵素(SYKで)溶液を入れた後、室温で10分間インキュベートし、さらに10 μLの2.5倍基質(ペプチドFAM-P22およびATP)溶液を入れた。 28℃で30分間インキュベートした後、25 μLの停止液(pH 7.5の100 mM HEPES、0.015% Brij-35、0.2% コーティング試薬#3、50 mM EDTA)を入れて反応を停止させた。Caliper EZ Reader II(Caliper Life Sciences)で転化率のデータを読み取った。転化率を阻害率のデータに変換した(%阻害率=(max-転化率)/(max-min)×100)。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。化合物濃度および阻害率を横と縦の座標とし、曲線を作り、XLFit excel add-in version4.3.1ソフトによって曲線をフィッティングしてIC50を計算した。一部の代表的な化合物の活性を表5に示す。
【0201】
【表5-1】
【表5-2】
【0202】
Jak1およびJak2キナーゼ活性阻害実験
キナーゼJAk1およびJak2酵素活性阻害IC50評価実験:緩衝液は、50 mM HEPES、pH 7.5、0.00015% Brij-35のような成分で調製された。化合物を100% DMSOで濃度勾配にし、そして緩衝液で10%DMSOに希釈し、384ウェルプレートに入れた。たとえば、化合物の初期濃度は250 nMで、100%DMSOで12.5 μMになるように調製し、そして5つまたは6つの濃度に勾配希釈し、さらに緩衝液で10倍希釈し、10% DMSOを含有する化合物中間希釈体に調製し、5 μLを384ウェルプレートに移した。Jak1およびJak2酵素は、50mM HEPES、pH 7.5、0.00015% Brij-35、2 mM DTTのような緩衝液で最適な濃度に希釈した。10 μLを384ウェルプレートに移し、化合物と10-15分間インキュベートした。基質は、50mM HEPES、pH 7.5、0.00015% Brij-35、10 mM MgCl2、Kmにおけるアデノシン三リン酸のような緩衝液で最適な濃度に希釈した。10 μLを384ウェルプレートに入れて反応を開始させ、28℃で1時間反応させた。その後、Caliper Readerで転化率を読み取り、阻害率を計算した。公式は、阻害百分率 = (max-転化率)/(max-min)×100である。ここで、maxとはDMSO対照の転化率で、minとは無酵素活性対照の転化率である。XLFit excel add-in version 5.4.0.8でフィッテイングしてIC50値を得た。フィッテイング公式: Y=Bottom + (Top-Bottom)/(1+(IC50/X)^HillSlope)。
【0203】
【表6】
【0204】
実施例55:マウス体内における薬物動態学研究
装置:AB Sciex製のAPI4000+液相質量分析装置で、すべての測定データはAnalyst 1.6.3ソフトによって採集して処理し、Microsoft Excelによってデータを計算および処理した。DAS 3.2.8ソフトによって、統計モーメント法で薬物動態学パラメーターの計算を行った。主に動態学パラメーターのTmax、T1/2、Cmax、AUC(0-t)などを含む。クロマトグラフィーカラム:ACQUITY UPLC BEH C18(2.1 mm×50 mm,1.7 μm)、カラム温度:40 ℃、移動相A:水(0.1%ギ酸+5 mM酢酸アンモニウム)、移動相B:アセトニトリル(0.1%酢酸)、流速:0.30 mL/分、均一濃度溶離90%のBで1.5分間維持した。仕込み量:5μl
【0205】
動物:ICR雄マウス12匹で、体重の範囲22-26 gで、購入後、実験動物センターの実験室で2日飼育してから使用し、投与の12時間前から投与の4時間後まで食事を禁じ、試験期間中で自由に水を飲ませた。マウスはランダムに4群に分けられ、各群に3匹で、胃内投与後、各群はそれぞれ2つの異なる時点で血液サンプルを採取した。
溶媒:0.5% メチルセルロース(0.4% Tween 80を含有する水溶液)。胃内投与溶液の調製:精密に化合物を量り、溶媒に入れ、薬品が完全に溶解するように常温で5分間超音波処理し、0.33 mg/mLの薬液に調製した。
【0206】
薬物サンプル:本発明の特許の式(I)で表される構造の代表的な化合物は、一般的に、複数の構造が類似するサンプル(分子量の差は2単位以上である)を使用し、精確に量り、ともに投与した(cassette PK)。このように、同時に複数の化合物を選別し、これらの経口投与吸収率を比較した。単一投与で薬物サンプルのマウス体内における薬物動態学を研究した。
胃内投与後、それぞれ0.25、0.5、1、2、4、8、12および24時間で目縁から採血し、ヘパリンナトリウムで処理された試験管に置き、遠心後、上清液の血漿をLC-MS/MS分析に使用した。
【0207】
精確に化合物を量って異なる濃度に調製し、質量分析で定量分析を行うことによって、標準曲線を構築し、さらに上記血漿における化合物の濃度を測定し、異なる時点における化合物濃度を得た。すべての測定データは関連ソフトによって採集して処理し、統計モーメント法で薬物動態学パラメーターの計算を行った(主に動態学パラメーターのTmax、T1/2、Cmax、AUC(0-t)などを含む)。
【0208】
上記方法では、本発明の特許の式(I)で表される構造の代表的な化合物は優れた経口投与による吸収を有し、たとえば化合物C10RおよびB2Rの経口投与による吸収は下記表に示す。
【表7】
【0209】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。