(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6854499
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】きのこ廃培地由来由来の有価物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B09B 3/00 20060101AFI20210329BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20210329BHJP
C10L 5/44 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
B09B3/00 301Z
B09B5/00 Z
C10L5/44
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-175284(P2020-175284)
(22)【出願日】2020年10月19日
【審査請求日】2020年10月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510178378
【氏名又は名称】プロスペックAZ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181940
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 禎浩
(72)【発明者】
【氏名】古川 斉司
【審査官】
上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1609696(KR,B1)
【文献】
特開2010−077201(JP,A)
【文献】
特開2016−005822(JP,A)
【文献】
特開平07−312975(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3197705(JP,U)
【文献】
特開2013−047592(JP,A)
【文献】
特許第6785017(JP,B2)
【文献】
特開2009−073973(JP,A)
【文献】
特開2013−226556(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2009−0114961(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0066397(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00−5/00
C10L 5/00−5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率45〜55%の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項2】
少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地をきのこ収穫から7日以内に任意の方法で含水率25%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項3】
少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率45〜55%の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項4】
少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地をきのこ収穫から7日以内に任意の方法で含水率25%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項5】
少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率35%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率25〜35%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項6】
きのこ廃培地を、高温攪拌により含水率17〜25%にしてからペレット成形する工程、又は、高温攪拌により含水率35%超、55%以下の粉体にしてから袋詰めする工程、に供するために、任意の方法できのこ廃培地の含水率を45〜55%にすることを特徴とするきのこ廃培地粉体の製造方法。
【請求項7】
きのこ廃培地を、高温攪拌により含水率17〜25%にしてからペレット成形する工程、又は、高温攪拌により含水率35%超、55%以下の粉体にしてから袋詰めする工程、に供するために、きのこ収穫から7日以内に任意の方法できのこ廃培地の含水率を前記工程の上限値超、55%以下にすることを特徴とするきのこ廃培地粉体の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の製造方法で製造した粉体を前記目的とする工程に供し、当該工程に係る処理を行うことを特徴とするきのこ廃培地の有価物の製造方法。
【請求項9】
少なくとも、きのこ廃培地を高温攪拌により乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程後の工程として前記ペレット成形工程又は前記袋詰め工程のいずれかの工程を適宜、選択し、前記ペレット成形工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率17〜25%にするものであり、前記袋詰め工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率25〜35%にするものであることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【請求項10】
少なくとも、きのこ廃培地を高温攪拌により乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記貯留工程後の工程として前記ペレット成形工程又は前記袋詰め工程のいずれかの工程を適宜、選択し、前記ペレット成形工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率17〜25%にして前記貯留工程が前記含水率範囲を維持するものであり、前記袋詰め工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率25〜35%にして前記貯留工程が前記含水率範囲をするものであることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、きのこ廃培地を燃料、敷料等の有価物にするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、きのこ栽培において年間30万トン以上の廃菌床(廃培地)が国内排出されており、悪臭等の環境問題になっている。一方、こうした廃培地を再利用する等、有効活用する試みも広がりつつある。こうした試みとして燃料化や敷料化等が挙げられる。廃培地を乾燥させ、粉体にしたものをそのまま燃料等にするもの、粉体にしたものをさらにペレットにする等、成形してから燃料等にするものがある。
【0003】
しかしながら、廃培地は非常に多くの水分を含んでおり、腐敗しやすい、粘性が高い等、再利用する上では多くの問題を有している。このような問題はペレット等の有価物の品質にも影響を与える。例えば、ペレットからカビが発生したり、ペレットの強度にバラつきが生じたりすることが挙げられる。
【0004】
廃培地を燃料等として再利用するにあたっては、通常、現場(きのこ栽培場)で発生した廃培地を燃料化等するための設備を有する施設まで輸送し、石づきを分離し、乾燥や成形等の処理を行うことになる。これらの工程の設計や運用、管理等を改善等し、上記問題を解決することが求められる。
【0005】
ここで、きのこ廃培地から燃料等を製造する発明としては、茸栽培に使用した茸栽培用培地の使用済培地を乾燥し、当該乾燥した使用済培地をペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形してバイオマス燃料を製造するバイオマス燃料製造方法(特許文献1)がある。
【0006】
また、燃料製造装置の発明としては、茸栽培に使用した後の廃培地を乾燥させて固形燃料を製造するバイオマス燃料製造装置において、原料を搬送しながら乾燥させて圧縮するスクリューコンベアと、前記スクリューコンベアの始端部に設けられ、ホッパーから投入される原料を前記スクリューコンベア内に定量供給する定量供給機と、前記スクリューコンベアの終端部に設けられ、前記スクリューコンベア内で乾燥、圧縮されて固形化した原料の切断、整粒を行う成形部とを備え、前記スクリューコンベアは、内筒と外筒とを有する二重構造のトラフと、該トラフ内で回転して搬送する2本のスクリューと、前記スクリューの回転軸内及び前記トラフの内筒と外筒との間に熱媒体を導入する手段と、前記内筒内を減圧排気する手段とを備えるとともに、前記スクリューは、スクリューコンベア入口側及び出口側のピッチよりも中間部のピッチを広く形成し、入口側に原料を圧縮して水分を搾り出す水分搾出部を、中間部に原料をほぐして水分を蒸発させる水分蒸発部を、出口側に原料を圧縮して固形化させる原料固形化部をそれぞれ設けたことを特徴とするバイオマス燃料製造装置(特許文献2)がある。
【0007】
また、きのこ廃培地を乾燥処理する発明としては、菌床栽培キノコの収穫が終わった後にキノコの栽培瓶から掻き出されることによって菌糸が切断されて生長力が失われた直後の雑菌の侵入が少ない段階での含水有機物であるキノコ廃菌床に、好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程と、前記キノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する含水有機物の乾燥方法であって、前記好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程では、前記キノコ廃菌床の掻き出し装置から順次排出されてコンベアに乗って順次貯留場所へ移送される間に前記好気性の種菌を投入することを特徴とする含水有機物の乾燥方法(特許文献3)がある。
【0008】
また、きのこ廃培地を乾燥処理する装置、方法等の発明としては、きのこ栽培後に発生した廃培地が投入される受入ホッパと、前記受入ホッパからの廃培地と後記戻りコンベアからの乾燥粉体とを含水率調整のために混合する混合機と、前記混合機からの混合廃培地を粉砕する流動乾燥粉砕機と、前記流動乾燥粉砕機内の乾燥粉体を吸引する吸引ブロワーと、 前記吸引ブロワーにより導かれた乾燥粉体を回収する乾粉回収機と、前記乾粉回収機で回収された乾燥粉体を2系統に配分する分配ダンパーと、配分された1系統の乾燥粉体について前記混合機に搬送する戻りコンベアとを備えるとともに、配分された他の1系統の乾燥粉体について振動により粗状と細状に篩い分けを行う振動篩機と、前記振動篩機による粗状乾燥粉体を搬送するスクリューコンベアと、前記振動篩機による細状乾燥粉体を比重選別して乾燥製品を得る比重選別機とを備える一方、前記スクリューコンベアからの粗状乾燥粉体を高温気体と焼却灰に分離するサイクロン焼却機と、を具備することを特徴とするきのこ廃培地乾燥装置(特許文献4)がある。
【0009】
また、上記の他に、間伐材等の生木を用いて木質ペレットを製造する工程において用いられる、粉砕した生木を熱風により乾燥する乾燥方法であって、粉砕した生木を熱風乾燥機に供給し、該乾燥機内を一定速度で入口から出口に向けて一定速度で連続的に搬送しながら、該乾燥機内に熱風を供給して、粉砕した生木を乾燥するとともに、該乾燥機に供給される粉砕した生木の含水率A及び該乾燥機に供給される粉砕した生木の時間当たりの供給量Bを連続して計測し、該乾燥機に対して供給される時間当たりの水分供給量(A×B)が、乾燥後の粉砕した生木が予め設定した含水率となるように算出した一定の量となるように、該供給量B を制御することを特徴とする乾燥方法(特許文献5)がある。
【0010】
特許文献1にはペレット状、粒状、タブレット状およびフレーク状のいずれかの形状に成形する前の含水率を13%以下となるように廃培地を乾燥させることが示されている。具体的には、茸栽培施設から回収した含水率60〜70%の廃培地を貯留、脱水機による脱水および送風機による乾燥により含水率を12%程度まで乾燥(1次乾燥)、その後、ペレット成形装置を用いて直径が6mm程度で長さが10〜15mm程度のペレット状に成形、さらに二次乾燥装置の送風、冷却で含水率10%まで乾燥(2次乾燥)するというものである。
【0011】
特許文献2には含水量が70〜80%のシメジ茸等の廃培地と、含水量が50〜60%のえのき茸やエリンギ茸の廃培地とを混合させて相対水量を65%程度とするとともに、消臭剤を混合して燃料製造用の原料を調整し、当該発明に係る装置に投入して所定の含水率になるまで乾燥、固形化することが示されている。
【0012】
特許文献3にはキノコ廃菌床に、好気性菌の種菌を投入して植え付ける工程とキノコ廃菌床を好気性菌の作用によって乾燥させる工程とを有する含水有機物の乾燥方法が示されている。
【0013】
特許文献4にはきのこ栽培後に発生する米ぬかが含まれた含水率60〜70%のきのこ廃培地と、きのこ廃培地を乾燥粉砕した乾燥粉体とを混合し含水率40〜50%に調整した後に乾燥粉砕する処理、比重選別処理等行い、含水率8〜15%の粗状乾燥粉体として焼却処理したり、比重が軽い乾燥粉体を再利用可能な乾燥廃培地にしたりすること等が示されている。
【0014】
特許文献5には含水率が30〜60%の生木粉砕原料を、制御手段を備えた熱風乾燥機を用いて、木質ペレット表面をリグニンで適度にコーティングするために必要とされる含水率8〜13%以下の範囲、より好ましくは9〜12.5%以下の範囲となるように乾燥し、木質ペレットを製造することが示されている。
【0015】
このように、きのこ廃培地から燃料等の有価物を得ることを目的として、製造方法や製造方法等に係るいくつかの発明が存在する。
【0016】
しかしながら、特許文献1には廃培地の含水率とペレット化前後の含水率が示されているにとどまり、特許文献2には廃培地の含水率が示されているにとどまる。特許文献3には好気性菌の発酵乾燥により廃培地を所定水分量まで乾燥できることが示されているにとどまる。特許文献4には廃培地に戻りコンベアからの乾燥粉体を混合することで混合廃培地の含水率を40〜50%に調整することと、サイクロン焼却機に供給される粗状の乾燥粉体の含水率が8〜15%であることが示されているにとどまる。特許文献5には30〜60%という変動幅の大きい生木粉砕原料の含水率とペレット成形においてリグニンでコーティングするために必要な含水率が8〜13%であることが示されているにとどまる。
【0017】
上記の通り、廃培地から燃料等を製造するにあたっては、廃培地発生のタイミングから燃料化等のための設備を備えた施設への輸送、当該施設における廃培地の処理等が重要なものとなる。これが不十分だと品質面、コスト面に悪影響を及ぼす。
【0018】
このような問題を鑑みると、特許文献1に係る発明は含水率60〜70%の廃培地を12%まで乾燥した上で成形するものであるが、このような大幅な乾燥を行うとその分、大きなエネルギーが必要になり、装置等に係るコストが大きくなるという問題がある。特許文献2に係る発明は含水率65%程度の混合廃培地をバイオマス燃料製造装置に投入するものであるが、当該装置を必要とし、また、当該装置で廃培地の含水率をどの程度まで下げるのか不明である。特許文献3に係る発明は廃培地を所定水分量まで乾燥するものであるが、種菌の投与が必須であり、どのようなタイミングでどの程度まで乾燥するものか不明である。特許文献4に係る発明は含水率40〜50%の混合廃培地を含水率8〜15%の粗状粉体にして焼却処理するものであるが、これはペレット燃料等の有価物の製造を目的としたものではなく課題も異なる。特許文献5に係る発明は30〜60%という乾燥機投入前の生木破砕原料の含水率を制御するものではないため、一律な運用処理を行うと運転に要するエネルギーが過剰になる可能性がある。また、当該発明はペレット成形におけるリグニンとの作用を期待したものであり、きのこによってリグニンが分解した廃培地とは前提条件が異なるものである。
【0019】
また、特許文献1〜5に係る発明は廃培地を燃料等の有価物にするにあたり以下の課題を解決することが示唆されていない。
【0020】
すなわち、課題の一つに廃培地の品質低下に伴う製造物(燃料等)の品質低下防止がある。廃培地の状態によっては、乾燥工程において乾燥機内で団子状態(ダマ)になることがある。これは燃料等の品質低下要因の一つとなる。
【0021】
さらに、廃培地の腐敗の進行は悪臭やカビの発生につながる。腐敗を防止するためには各工程において廃培地の含水率等の管理を適切に行う必要がある。
【0022】
特許文献1〜5に係る発明は上記のような課題を解決するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2008−120890号公報
【特許文献2】特開2010−77201号公報
【特許文献3】特開2013−226558号公報
【特許文献4】特開2016−5822号公報
【特許文献5】特開2015−52418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明が解決しようとする課題は、きのこの廃培地から燃料等の有価物を製造するにあたり、廃培地からの悪臭の発生やカビの発生を抑えるとともに高品質、低コストの有価物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率
45〜55%の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。
また、第2の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地をきのこ収穫から7日以内に任意の方法で含水率25%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。また、第
3の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率
45〜55%の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。
また、第4の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地をきのこ収穫から7日以内に任意の方法で含水率25%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。また、第
5の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程が前記きのこ廃培地を任意の方法で含水率35%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率25〜35%にする第2の工程からなることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。また、第
6の発明は、
きのこ廃培地を、高温攪拌により含水率17〜25%にしてからペレット成形する工程、又は、高温攪拌により含水率35%超、55%以下の粉体にしてから袋詰めする工程、に供するために、任意の方法できのこ廃培地の含水率を
45〜55%にすることを特徴とするきのこ廃培地粉体の製造方法である。また、第7の発明は、
きのこ廃培地を、高温攪拌により含水率17〜25%にしてからペレット成形する工程、又は、高温攪拌により含水率35%超、55%以下の粉体にしてから袋詰めする工程、に供するために、きのこ収穫から7日以内に任意の方法できのこ廃培地の含水率を前
記工程の上限値超、55%以下にすることを特徴とするきのこ廃培地粉体の製造方法である。また、第8の発明は、第
6又は7の発明の製造方法で製造した粉体を前記
目的とする工程に供し、
当該工程に係る処理を行
うことを特徴とするきのこ廃培地の有価物の製造方法である。また、第
9の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を高温攪拌により乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程後の工程として前記ペレット成形工程又は前記袋詰め工程のいずれかの工程を適宜、選択し、前記ペレット成形工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率17〜25%にするものであり、前記袋詰め工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率25〜35%にするものであることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。また、第
10の発明は、少なくとも、きのこ廃培地を高温攪拌により乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を貯留する貯留工程、前記貯留工程後に前記きのこ廃培地をペレット化するペレット成形工程、前記乾燥工程後に前記きのこ廃培地を袋詰めする袋詰め工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記貯留工程後の工程として前記ペレット成形工程又は前記袋詰め工程のいずれかの工程を適宜、選択し、前記ペレット成形工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率17〜25%にして前記貯留工程が前記含水率範囲を維持するものであり、前記袋詰め工程選択時には前記乾燥工程がきのこ廃培地を含水率25〜35%にして前記貯留工程が前記含水率範囲をするものであることを特徴とするきのこ廃培地由来の有価物の製造方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、きのこ廃培地から高品質な燃料等の有価物を衛生的かつ低コストで製造できる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は粉体化処理場兼保管場におけるきのこ廃培地粉体の外観である。
【
図2】
図2はきのこ廃培地の乾燥日数と含水率の関係図である。
【
図3】
図3はきのこ廃培地から石づきを分離した場合の含水率とpHの関係図である。
【
図4】
図4はきのこ廃培地から石づきを分離しなかった場合の含水率とpHの関係図である。
【
図5】
図5はきのこ廃培地から有価物を得るための工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態を以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
(1)菌床
きのこ廃培地からペレット用資材としてペレット製造に供するための処理方法について説明する。ここで、ペレット用資材とは最終製造物である燃料や敷料等の有価物(リサイクル製品)を製造するための資材であり、きのこ収穫後の廃培地を粉体状になるまで水分を下げ、乾燥機に投入可能な状態にしたものを意味する。まず、粉体化するきのこ廃培地を用意した。本実施例では、富山きのこセンター(ホクト株式会社)においてブナシメジ栽培後に排出される廃培地を用いた(きのこ収穫直後の廃培地含水率は約65%)。菌床は広葉樹のオガクズ、米ぬかから構成される。一般的に菌床はオガクズ等の木質基材、米ぬか等の栄養源から構成され、多量の水分を含むものである。木質基材としては他にブナ、ナラ、トチ等の広葉樹、スギ、マツ等の針葉樹を用いることも可能であるし、栄養源としては米ぬかだけでなく、むぎぬか(フスマ)、トウモロコシぬか、小麦粉等を用いてもできる。また、栽培するきのこの種類についてもブナシメジに限定するものでない。ブナシメジ以外にシイタケの廃培地についても本実施例と同様の結果が得られることが確認されている(記載は省略)。これらを踏まえ、本発明は前記以外にエリンギ、マイタケ、エノキタケ、ヒラタケ等、きのこ全般に適用されるものである。
【0030】
(2)粉体化
用意したきのこ廃培地(概ね350〜400kg)から石づきを分離したものを送風(エアレーション)により乾燥させた。エアレーションは通常空気をそのまま用いたもの、加温したもの(例えば、60℃の温風)で行うことができる。本実施例で用いた菌床は乾燥とともに脆くなり粉体化した(
図1)。この繰り返し評価により、木質系基材を主とする菌床の廃培地の場合、収穫から7日以内に含水率55%以下にすることで、臭気の発生を抑え、次工程の乾燥処理に適したものとなり、品質が安定したペレット用資材となることが確認された(乾燥後、少なくとも1週間から2週間は臭気を抑え、ペレット用資材として問題なく使用できることが確認された)。ここで、本発明における含水率は、水分の重量を水分と固形分の重量の和で除したものであり、複数サンプルの平均値を意味する。なお、本実施例におけるエアレーション装置(製造元:株式会社ミライエ)は1メートル程度に堆積した粉体の最下部に設置した棒状に伸びた複数の排気パイプに設けられた複数の穴からエアーを噴き出すものである。含水率50%程度までであれば乾燥機のような大きな熱量を要することなく乾燥できることが確認された。また、乾燥条件を変えることで含水率を50%以下にすることも可能である。例えば、廃培地の堆積量を本実施例よりも少なくすることでエアレーションの効果をより高め、本工程において廃培地を含水率25%超、55%以下の範囲内にすることができる。
【0031】
粉体化にあたっては同程度の重量のきのこ廃培地から石づきを分離せずにそのまま乾燥した場合の含水率についても確認した(
図2)。
図2は同時期におけるきのこ廃培地の乾燥日数と含水率(堆積物頂上から深さ約40cmの試料)の一例である。石づきを分離した場合の方が早く乾燥する傾向にあることが確認された。また、堆積したきのこの廃培地を乾燥する過程において、攪拌前に内部(深さ約40cmと約80cm)の温度差を確認したところ、石づきを分離した場合の最大温度差は8.2℃、最小温度差は0.4℃、平均温度差は6.0℃、石づきを分離しない場合の最大温度差は17.0℃、最小温度差は2.4℃、平均温度差は8.2℃であった。
【0032】
また、きのこ廃培地の含水率とpHの関係を確認した(
図3、
図4)。
図3は石づきを分離した場合、
図4は石づきを分離しない場合の含水率とpHの関係の一例である。本工程で想定する含水率範囲内において、石づきを分離した場合には含水率が低下するほどpHが上昇する負の相関が確認された。石づきを分離しない場合はこのような傾向は確認されなかった。
【0033】
きのこ収穫後、何の処理もせずに廃培地を放置しつづけると、きのこ収穫から7日を超えたあたりで腐敗が起こることが確認された。この場合、時間経過とともにpHが低下する傾向にあることが確認された。
【0034】
(3)乾燥
廃培地を粉体にした後、投入ホッパーを通じて粉体を熱風式乾燥機に投入した。本実施例で用いた乾燥機は内部が回転して粉体を攪拌するとともに熱風を送り込むパドルドライヤー(ヒルデブランド社製:型番HD14/WTD)である。乾燥機に投入した粉体を30秒で含水率20%にした(乾燥機の処理量は1064kg/時)。ここで、乾燥機に投入するきのこ廃培地の含水率が55%以下の場合は乾燥機内でのダマの発生は確認されなかった。一方、含水率が55%を超えるとダマが発生しやすくなることが確認された。
【0035】
また、本発明に係るシステムの構成では乾燥工程における含水率17〜25%を実現するものとすることで狙いとする品質のペレットを製造できることが確認された。乾燥工程における乾燥後の廃培地含水率とペレットの性状を表1に示す。乾燥工程において含水率が25%を超えると保管中にペレットからカビが発生する場合があった。含水率25%以下にした場合には数週間経ってもカビの発生は認められなかった。また、肉眼評価では含水率25%程度からペレットの表面にテカリが生じ、含水率20%以下とした場合にはペレットの表面に高級感のある光沢が確認された。含水率をさらに下げていくと(含水率10%以下では)ペレットの結合性が弱くなることが確認された。また、ペレットを水中に投下した場合、含水率25%を超えるものは容易に分解することが確認されたが、含水率25%以下では分解し難くなることが確認された。
【表1】
【0036】
(4)貯留・ミキシング
乾燥機による乾燥後、上記含水率の粉体を貯留用ミキサーに数時間から数日間貯留した。当該工程は次工程(ペレット化)におけるペレットの生産を安定的に行うためのバッファとしての機能を担うとともに粉体含水率を一定に維持し、品質を安定化するための工程でもある。本実施例に用いたミキサーは粉体の最大貯留量が5トンであり、攪拌、温風エアレーション、排気を通じて粉体の含水率を維持することができるものである。さらに当該ミキサーは粉塵捕集及び脱臭機構を備えたものである。これにより一定の乾燥状態で静置するほど、また、エアレーション等の処理を行うほど、粉体からにおい等の揮発成分が放出するとともに微粉の分離が促される。ただし、当該工程を省略してもペレットの品質が低下することはない。なお、本発明におけるミキサー、ミキシングとは、貯留装置や貯留という語とともに用いていない場合でもミキシング前後に粉体を静置することがあるため、貯留装置や貯留の意味を含むことがある。
【0037】
(5)ペレット化
貯留後、含水率20%の粉体をペレット成形用装置(ペレタイザー:新興工機株式会社製)に投入し、燃料用ペレットとした。本実施例で用いたペレタイザーはリングダイ方式であり、能力は1.5トン/時である。得られたペレットの性状等は以下の通りである。
・直径約6mm
・長さ概ね10〜30mm
・円柱状
・かさ密度0.5〜0.6kg/m
3
・含水率約17%
・灰分4〜8%
・臭気は製造直後、製造数週間後とも無
・カビ発生は製造直後、製造数週間後とも無
・色合いはこげ茶(良品)
成形時のペレタイザーの摩擦熱の影響によりペレットの含水率は17%まで下がっていた。繰り返し評価によりペレット化を通じて含水率は3〜5%低下することが確認された。
図4に係る石づきを分離しなかった場合の粉体から得られたペレットに関しても上記品質と同程度のものが得られることが確認された。
【実施例2】
【0038】
粉体製造について以下、説明する。
(1)乾燥
粉体状有価物とする場合においても乾燥機投入まではペレットの製造と同じである。すなわち、きのこ収穫時から7日以内に廃培地を含水率55%以下にして次工程の乾燥処理に供した。粉体の製造においては、乾燥機に投入した粉体を15秒で含水率30%とした。繰り返し評価の結果、粉体では袋詰め等の処理により含水率を高め(25〜35%)に設定しても、数週間経ってもカビが発生しない等、品質を維持できることが確認された。
【0039】
(2)貯留・ミキシング
乾燥機による乾燥後、上記含水率の粉体を貯留ミキサーに数時間から数日間、貯留した。当該工程の作用効果はペレット製造の場合と同様である。
【0040】
(3)粉体袋詰め
貯留後、粉体を粉体袋詰め機に投入し、燃料用とした。得られた粉体の性状等は以下の通りである。
・粒径 概ね0.1〜0.4mm
・含水率約30%
・きのこ由来のかおり
粉体袋詰め機で500〜600kgの粉体をフレコンバックに詰めた。
【0041】
以上、実施例1、2を通じて、きのこ廃培地由来の有価物製造方法を検討し、悪臭等の問題を解決し、狙いとする品質の有価物を製造できることが確認された。
【0042】
まず、きのこ農家において発生したきのこ廃培地を7日以内に含水率を55%以下とすることで、特別な装置や投与物、操作を必要とせず、腐敗等の進行を遅らせ、臭気を抑制できることが示唆された。また、pHが石づきの分離処理の適否や廃培地の腐敗進行等の指標にし得ることが示唆された。例えば、石づきを分離処理した場合、含水率が小さくなるほどpHは上昇するという負の相関が確認されたことから(
図3)、これを根拠に廃培地が適切に処理されたと判断することができる。本実施例ではpH測定時の含水率の範囲が石づきの有無で必ずしも一致するものではないが、平均pHに関して見ても、石づきを分離したものの方が高い結果となった。これは、含水率とpHが負の相関を示すか否かというだけでなく、石づきを分離することで平均pHが上がったか否かでも処理の適否を判断し得るものである。例えば、石づきを分離した場合の平均pHが石づきを(事前に測定しておいた又は比較対象として測定した)分離しなかった場合の平均pHと比較して大きいこと(例えば、含水率45〜55%における数値で見ると平均pHの差が1以上)を石づきが適切に分離処理されたきのこ廃培地であると判断できることが示唆された。石づきを分離した廃培地のみをペレット用資材とする場合にはこれらの適否判断において不適と判断された廃培地をペレット製造工程から除外してもよい。また、このようなpHを指標とする判断は廃培地から石づきを分離処理せずにペレット用資材とする場合にも有用である。石づきは良質なペレット製造の阻害要因となり得るため一般的に分離除去されるものであるが、本実施例では適切な処理を行うことで石づきを分離したものと同程度の品質のペレットを製造できることが確認できた。例えば、
図4に示される含水率47〜63%の範囲内やその近傍において、初期pHと比較し、経時的なpH低下幅が概ね1以内であればペレット製造に適したものであると判断することができる。また、含水率55%以下にするまでのpHの低下幅が1より大きい廃培地についてはペレット製造工程からの除外対象と判断することができる。
【0043】
また、本実施例では最初の乾燥処理をエアレーションにより行っているが、上記条件を満たすものであれば最終製造物の品質に影響はないと考えられる。従って、廃培地を構成する成分を変質させない(腐敗その他強制的な化学変化を起こさない)方法、すなわち物理的、機械的な乾燥方法であればどのような形態の乾燥であってもよい。例えば、減圧、真空乾燥でもよいし、送風による場合には常温や熱風だけでなく冷風によるものでもよい。また、人力で廃培地をバラして天日干しで乾燥させるものであってもよいし、スポンジのような吸水性素材に廃培地を接触させて乾燥させるものであってもよく、これらを組み合わせたものでもよい。ただし、微生物を投与する等、廃培地中の成分を予測不能なものに変化させる方法は除かれる。
【0044】
上記条件を満たす廃培地は一定期間品質を維持したまま次工程に供するまでストック可能である。例えば、次工程において廃培地の含水率を17〜25%にしてペレットを製造する場合には前工程で含水率25%超、55%以下の範囲にし、次工程において廃培地の含水率を25〜35%にして粉体を製造する場合には前工程で含水率35%超、55%以下の範囲にすることで仕掛品として
図1に示すように大量にストックすることができる。これにより廃培地が発生するきのこ農家において廃培地を所定の含水率まで乾燥させ、重量を軽くしてから必要に応じて次工程の乾燥処理を行う現場に輸送する運用が可能になる。
【0045】
また、きのこ廃培地の含水率を55%以下とすることで熱風攪拌式乾燥機においてダマの発生を抑制できることが確認された。ダマの発生はきのこ廃培地の攪拌混合によって生じ得るものであることから、ダマを抑制にあたっては特定の攪拌乾燥に限定されるものではなくパドル式、プロペラ式、ディスクタービン式、アンカー式、スクープ式等、高温状態(少なくともエアレーションの温度以上)で攪拌するものであればどのような形態のものでもよい。
【0046】
上記工程を経て得られた廃培地を用い、乾燥工程以降の工程において廃培地を所望の含水率にすることで狙いとする品質の有価物を製造することができた。特に、乾燥工程においてペレットを製造する場合には含水率を17〜25%、粉体を製造する場合には含水率を25〜35%の範囲内にすることで品質面とコスト面を両立しつつ目的とする有価物を製造することができた。
【0047】
また、当該乾燥工程後を分岐点としてペレットを製造するライン、粉体を製造するラインの2系統にすることができる(
図5)。
図5には乾燥工程の後に貯留・ミキシング工程が示されているがこの工程については省略するものでもよい。最終製造物の需要に応じて、適宜いずれかの系統を選択し、乾燥工程を停止することなく製造ラインの切り替えが可能になる。すなわち、ペレットの製造から粉体の製造に切り替えること又は粉体の製造からペレットの製造に切り替えることができる。例えば、ペレットの製造から粉体の製造に切り替える例として以下の運用が挙げられる。まず、ペレットの製造では乾燥工程において、例えば、含水率50%の廃培地を含水率20%となるようにする。ここで、要請に応じるため、ペレット製造から粉体製造に切り替える必要が生じたとする。この場合、まず、廃培地の含水率が25%となるように乾燥工程の運用を変更する(例えば、廃培地の含水率が25%になるよう乾燥機の乾燥温度を下げる)。そして、粉体製造にライン替えした後に廃培地の含水率が30%になるように乾燥工程の運用をさらに変更する。このように乾燥工程において廃培地の含水率25%を目安としてライン替えすることでペレット、粉体のいずれも品質低下の影響を抑え、装置全体を停止することなく、スムーズなライン替えを行うことができる。
【0048】
また、実施例1のペレット製造の場合には乾燥工程後に廃培地の含水率を25%以下にする必要があったが、実施例2の粉体製造の場合にはペレットの場合よりも高めの含水率(25〜35%)にしてもカビが発生しない等、品質に影響がなかった。この点について、ペレットの場合はペレット内部に水分が固定化されるのに対し、粉体の場合はそのようなことがないのが理由の一つとして考えられる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、きのこ廃培地からの臭気を抑制し、良質な有価物製造方法に利用することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】きのこ廃培地からペレット等の有価物を製造する方法を提供する。
【解決手段】きのこ廃培地を乾燥させる乾燥工程、前記乾燥工程後にペレット化するペレット成形工程からなるきのこ廃培地由来の有価物の製造方法であり、前記乾燥工程がきのこ廃培地を任意の方法で含水率25%超、55%以下の粉体にする第1の工程、前記粉体を高温攪拌により含水率17〜25%にする第2の工程からなる。
【選択図】なし