特許第6854516号(P6854516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6854516
(24)【登録日】2021年3月18日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】化合物半導体基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20210329BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20210329BHJP
   C30B 29/36 20060101ALI20210329BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20210329BHJP
   C30B 29/38 20060101ALI20210329BHJP
   C30B 33/06 20060101ALI20210329BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20210329BHJP
【FI】
   H01L21/02 B
   H01L21/20
   H01L27/12 B
   C30B29/36 A
   C30B29/16
   C30B29/38 D
   C30B33/06
   H01L21/205
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-140348(P2017-140348)
(22)【出願日】2017年7月19日
(65)【公開番号】特開2019-21818(P2019-21818A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】515353811
【氏名又は名称】株式会社テンシックス
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 光治
【審査官】 小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−192544(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/028399(WO,A1)
【文献】 特開2013−098572(JP,A)
【文献】 特開2012−089639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
C30B 29/16
C30B 29/36
C30B 29/38
C30B 33/06
H01L 21/20
H01L 21/205
H01L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が支持基板上に接合された化合物半導体基板であって、
前記第1薄膜層は表面が中心角90度の扇形である4つの第1部分薄膜層に分割されており、前記支持基板の中心の回りに前記第1部分薄膜層が相互に接するように配列されていることを特徴とする化合物半導体基板。
【請求項2】
前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである請求項記載の化合物半導体基板。
【請求項3】
請求項1記載の化合物半導体基板の製造方法であって、
化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板から少なくともその周縁部の一部を除去し、前記第1基板の中心を含む部分を第1部分基板として形成する部分基板形成工程と、
前記第1基板よりも直径の大きい第1支持基板上に、2以上の前記第1部分基板を配列して接合した第1接合基板を形成する第1接合工程と、
を含み、
前記部分基板形成工程において、前記第1基板を、その中心からの距離が半径以下である基準点において直交し且つ前記基準点を通る直径に対して等角となる2つの直線により切断し、前記中心を含む部分を第1部分基板として形成し、
前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させ且つ前記直線で切断された部分が相互に接するように4つの前記第1部分基板を配列して接合することを特徴とする化合物半導体基板の製造方法。
【請求項4】
前記部分基板形成工程において、前記第1部分基板は、更に前記基準点を通る直径上で直交する2つの直線によって切断され四辺形に形成され
前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させて4つの前記第1部分基板を配列して接合する請求項記載の化合物半導体基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1支持基板上に配列して接合された前記第1部分基板の表面に、第2支持基板を接合する第2接合工程と、
前記第1支持基板を除去することにより第2接合基板を形成する第1除去工程と、
を含む請求項3又は4に記載の化合物半導体基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1接合基板又は前記第2接合基板の前記第1部分基板の表面から所定の深さに水素層を形成する水素層形成工程と、
前記第1部分基板の前記表面に第3支持基板を接合する第3接合工程と、
前記第1部分基板を前記水素層において分離することにより、前記第3支持基板上に前記化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が形成された第3接合基板を得る分離工程と、
を含む請求項記載の化合物半導体基板の製造方法。
【請求項7】
前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである請求項乃至のいずれかに記載の化合物半導体基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体基板及びその製造方法に関する。詳しくは、化合物半導体基板をより口径の大きい支持基板に貼り合わせて形成される化合物半導体基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧用途の半導体素子の基板として、バンドギャップ幅が大きい炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)などの化合物半導体基板が着目されている。このようなワイドバンドギャップの化合物半導体においては、基板の大口径化と結晶欠陥の低減が大きな課題となっている。小口径の基板においては欠陥密度が低くなりつつあるが、大口径の基板では結晶欠陥の低減が容易ではない。例えばSiC基板の場合、昇華法により気層成長で2000℃以上の高温下でSiC層が形成され、その結晶成長時にSiとCの配列が乱れる可能性が高く、結晶欠陥密度が高くなることが知られている。そのため、SiC半導体基板は口径4インチから6インチが一般的である。また、酸化ガリウム半導体基板の場合には、口径4インチ程度が実用上最大のサイズとなっている。
【0003】
一方、半導体素子の形成に当たっては、ウエーハの口径が大きい方が生産性は高く、半導体基板の大口径化が求められている。また、ワイドバンドギャップ素子用の半導体基板のコスト低減も課題であり、基板接合によりコスト低減を図ることも提案されている(特許文献1を参照。)。例えばSiCからなる半導体素子の基板としては、半導体素子が形成される表層だけが単結晶であればよい。その支持基板は結晶性を問わず、単結晶でも多結晶でも非晶質でもよい。特許文献1には、単結晶SiC基板と支持基板である多結晶SiC基板とを、基板表面を改質して接合する半導体基板の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−15401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高電圧駆動の化合物半導体素子の用途が拡大するにつれて、それらの素子の低コスト化と、より性能の高い素子の実用化が重要な課題となってきている。しかし、従来、化合物半導体基板の高品質化と大口径化を両立させることは困難であった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、化合物半導体基板をより口径の大きい支持基板に貼り合わせて形成される、結晶欠陥密度が低く且つ大口径の化合物半導体基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が支持基板上に接合された化合物半導体基板であって、前記第1薄膜層は表面が中心角90度の扇形である4つの第1部分薄膜層に分割されており、前記支持基板の中心の回りに前記第1部分薄膜層が相互に接するように配列されていることを特徴とする化合物半導体基板。
2.前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである前記1.記載の化合物半導体基板。
前記1.記載の化合物半導体基板の製造方法であって、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板から少なくともその周縁部の一部を除去し、前記第1基板の中心を含む部分を第1部分基板として形成する部分基板形成工程と、前記第1基板よりも直径の大きい第1支持基板上に、2以上の前記第1部分基板を配列して接合した第1接合基板を形成する第1接合工程と、を含み、
前記部分基板形成工程において、前記第1基板を、その中心からの距離が半径以下である基準点において直交し且つ前記基準点を通る直径に対して等角となる2つの直線により切断し、前記中心を含む部分を第1部分基板として形成し、前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させ且つ前記直線で切断された部分が相互に接するように4つの前記第1部分基板を配列して接合する、化合物半導体基板の製造方法。
.前記部分基板形成工程において、前記第1部分基板は、更に前記基準点を通る直径上で直交する2つの直線によって切断され四辺形に形成され
前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させて4つの前記第1部分基板を配列して接合する前記.記載の化合物半導体基板の製造方法。
.前記第1支持基板上に配列して接合された前記第1部分基板の表面に、第2支持基板を接合する第2接合工程と、前記第1支持基板を除去することにより第2接合基板を形成する第1除去工程と、を含む前記3.又は4.に記載の化合物半導体基板の製造方法。
.前記第1接合基板又は前記第2接合基板の前記第1部分基板の表面から所定の深さに水素層を形成する水素層形成工程と、前記第1部分基板の前記表面に第3支持基板を接合する第3接合工程と、前記第1部分基板を前記水素層において分離することにより、前記第3支持基板上に前記化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が形成された第3接合基板を得る分離工程と、を含む前記.に記載の化合物半導体基板の製造方法。
.前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである前記.乃至.のいずれかに記載の化合物半導体基板の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の化合物半導体基板の製造方法によれば、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板から少なくともその周縁部の一部を除去し、前記第1基板の中心を含む部分を第1部分基板として形成する部分基板形成工程と、前記第1基板よりも直径の大きい第1支持基板上に、2以上の前記第1部分基板を配列して接合した第1接合基板を形成する第1接合工程と、を含むため、化合物半導体の単結晶からなる小口径の第1基板を第1支持基板上に組み合わせて、大口径の単結晶基板を形成することができる。第1接合基板は、更に別の支持基板との接合、分離等の工程を経て、最終的には基板の周縁部の形状を整えることによって、円形或いは円盤形の半導体基板を構成することができる。基板を組み合わせるための加工費用により製造コストは高くなるが、製造された第1接合基板をそのまま素子基板として使用するのではなく、更に接合基板を構成するための種基板として使用すれば、多くの枚数の接合基板に充当することができ、大口径の接合基板を安価に実現することが可能になる。また、小口径の単結晶基板の方が結晶欠陥密度は低いため、これを組み合わせた基板の結晶欠陥密度は低くすることができる。
前記部分基板形成工程において、前記第1基板を、その中心からの距離が半径以下である基準点において直交し且つ前記基準点を通る直径に対して等角となる2つの直線により切断し、前記中心を含む部分を第1部分基板として形成し、前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させ且つ前記直線で切断された部分が相互に接するように4つの前記第1部分基板を配列して接合する場合には、第1基板を少なくとも2辺が直交するように切除して形成した、扇形、四辺形等の任意の形状の第1部分基板を形成することができる。そして、2以上の第1部分基板を第1支持基板の平面上に組み合わせて第1接合基板を形成することができる。また、隣り合う第1部分基板が接する境界線部には結晶の不連続が存在することになるが、これを半導体素子形成時のスクライブラインに当てることにより、損失とはならないようすることができる。
【0008】
前記部分基板形成工程において、前記第1部分基板は、更に前記基準点を通る直径上で直交する2つの直線によって切断され、四辺形に形成される場合には、第1基板と第1支持基板の大きさに応じて、第1部分基板を正方形等の四辺形に形成することができ、取扱い性をよくすることができる。
前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、n個(nは2以上の自然数)の前記第1部分基板を相互に辺が接するように配列して接合する場合には、第1支持基板の大きさに応じて、4、9、16個等の第1部分基板を整然と配列することができる。
前記第1接合工程において、前記第1支持基板上に、前記第1支持基板の略中心に前記基準点を対応させて4つの前記第1部分基板を配列して接合する場合には、各第1支持基板の境界線部を半導体素子形成時のスクライブラインとすることができる。
【0009】
前記第1支持基板上に配列して接合された前記第1部分基板の表面に、第2支持基板を接合する第2接合工程と、前記第1支持基板を除去することにより第2接合基板を形成する第1除去工程と、を含む場合には、第2支持基板を支持基板とし、その上に第1部分基板が組み合わされた第2接合基板を形成することができる。第2接合工程においては、第1部分基板の表面と第2支持基板とを、強固且つ高温度に耐えられるように接合することができ、種基板として好適である。
前記第1接合基板又は前記第2接合基板の前記第1部分基板の表面から所定の深さに水素層を形成する水素層形成工程と、前記第1部分基板の前記表面に第3支持基板を接合する第3接合工程と、前記第1部分基板を前記水素層において分離することにより、前記第3支持基板上に前記化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が形成された第3接合基板を得る分離工程と、を含む場合には、第3支持基板を支持基板とし、その上に第1部分基板から分離された化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が接合された第3接合基板を形成することができる。この第1薄膜層の厚さは薄くてよいため、前記第1接合基板上又は前記第2支持基板上に第1部分基板が組み合わされた第1接合基板又は第2接合基板を種基板として、第3支持基板上に第1薄膜層が接合された第3接合基板を多数製造することができる。第1接合基板又は第2接合基板は、小口径の第1基板と比べて大きな口径の種基板となる。
前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである場合には、前記接合基板上にそれぞれ高品質な半導体素子を形成することが可能になる。
【0010】
本発明の化合物半導体基板によれば、化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層が支持基板上に接合された化合物半導体基板であって、前記第1薄膜層は2以上の第1部分薄膜層に分割されており、各前記第1部分薄膜層が相互に接するように配列されているため、小口径の化合物半導体の高品質な単結晶からなる第1薄膜層が支持基板上に組み合わされた、大口径の化合物半導体基板とすることができる。
また、前記第1薄膜層は表面が中心角90度の扇形である4つの第1部分薄膜層に分割されており、前記支持基板の中心の回りに前記第1部分薄膜層が相互に接するように配列されている場合には、隣り合う第1部分薄膜層が接するため結晶の不連続が存在する境界線部を半導体素子のスクライブラインに当てることにより、損失とはならないように利用することができる。
前記化合物半導体はSiC、酸化ガリウム及びGaNのうちの1つである場合には、前記支持基板上にそれぞれ高品質な半導体素子を形成するために好適な化合物半導体基板となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】第1基板から切り出される第1部分基板を示す平面図
図2】4枚の第1部分基板を組み合わせる例を示す平面図及び断面図
図3】第1基板から切り出される四辺形の第1部分基板を示す平面図
図4】4枚の四辺形の第1部分基板を組み合わせる例を示す平面図及び断面図
図5】9枚の四辺形の第1部分基板を組み合わせる例を示す平面図及び断面図
図6】4枚の第1部分基板を支持基板に接合する例を示す平面図及び断面図
図7】4枚の第1部分基板を別の支持基板に接合する例を示す平面図及び断面図
図8】4枚の四辺形の第1部分基板を支持基板に接合する例を示す平面図及び断面図
図9】4枚の四辺形の第1部分基板を別の支持基板に接合する例を示す平面図及び断面図
図10】第1接合工程、第2接合工程及び第1除去工程の例を示す模式的断面図
図11】第1接合工程、第2接合工程及び第1除去工程の別の例を示す模式的断面図
図12】水素層形成工程及び第3接合工程を示す模式的断面図
図13】化合物半導体基板を示す模式的平面図及び断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照しながら、本発明を詳しく説明する。
ここで示される事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0013】
本実施形態に係る化合物半導体基板の製造方法は、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板(1)から少なくともその周縁部の一部を除去し、第1基板(1)の中心を含む部分を第1部分基板(11、12)として形成する部分基板形成工程と、第1基板(1)よりも直径の大きい第1支持基板(2)上に、2以上の第1部分基板(11、12)を配列して接合した第1接合基板(71)を形成する第1接合工程と、を含んでいる。
前記部分基板形成工程において、第1基板(1)を、前記円形の中心(C1)からの距離が半径以下である基準点(P1)において直交し且つ基準点(P1)を通る直径(D)に対して等角となる2つの直線(101、102)により切断し、前記円形の中心(C1)を含む部分を第1部分基板(11、12)として形成し、前記第1接合工程において、第1支持基板(2)上に、第1支持基板(2)の略中心(C2)に前記基準点(P1)を対応させ且つ前記直線部分(101、102)が相互に接するように4つの第1部分基板(11、12)を配列して接合した第1接合基板(71)を形成することができる。(図1〜9参照)。
前記部分基板形成工程において、別の第1部分基板(12)は、更に前記基準点(P1)を通る直径(D)上で直交する2つの直線(103、104)によって切断された四辺形に形成することができる(図3〜5参照)。
また、化合物半導体基板の製造方法は、第1支持基板(2)上に配列して接合された第1部分基板(11)の表面に、第2支持基板(3)を接合する第2接合工程と、第1支持基板(2)を除去することにより第2接合基板(72)を形成する第1除去工程と、を含んでもよい(図10、11参照)。
更に、化合物半導体基板の製造方法は、第2接合基板(72)の第1部分基板(11)の表面から所定の深さに水素層(15)を形成する水素層形成工程と、第1部分基板(11)の前記表面に第3支持基板(4)を接合する第3接合工程と、第1部分基板(11)を水素層(15)において分離することにより、第3支持基板(4)上に前記化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層(110)が形成された第3接合基板(73)を得る分離工程と、を含んでもよい(図12参照)。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る化合物半導体基板の製造方法について具体的に説明する。
(部分基板形成工程)
前記部分基板形成工程では、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板1から第1部分基板11が切り出される。第1部分基板11の形状やサイズは任意であり、後に接合される支持基板の大きさに応じて、無駄を少なくするように切出せばよい。
図1(a)は、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板1を中心C1からの距離が半径以下である基準点P1において直交し、且つ基準点P1を通る直径Dに対して等角となる2つの直線101、102により切断し、中心C1を含む部分を第1部分基板11として形成する例を示している。本例では、同図(b)に示すように、第1部分基板11は2つの直線部分(以下、「辺」という。)101、102と弧115とによって囲まれた形状となる。単結晶の第1基板1は、一般に周縁部では結晶欠陥が多くなる。このため、後に第1部分基板11の組み合わせの中心となる基準点P1は、第1基板の外周よりも内側の位置とすることが好ましい。
【0015】
例えば、第1基板1の直径を6インチとする。図1(a)においては、xy座標の原点(0,0)に第1基板1の中心C1が位置し、第1基板1の直径は6(単位:インチ、以下同様。)である。基準点P1の座標は(2,−2)であり、辺101は基準点P1を通りx軸に平行、辺102は基準点P1を通りy軸に平行としている。同図(b)に示す第1部分基板11は、第1基板1を辺101及び辺102にそれぞれ対応する直線で裁断することにより切り出される。
【0016】
図2は、4つの第1基板1からそれぞれ上記のように切り出した4つの第1部分基板11a〜11dを、各基準点P1a〜P1dを中心に集め、各辺101a〜101d、102a〜102dが接するように組み合わせた図である。例えば、第1部分基板11aの一方の辺101aは第1部分基板11bの辺102bと接し、第1部分基板11aの他方の辺102aは第1部分基板11dの辺101dと接するように配置することができる。同図(b)は(a)のAA’断面を表している。
【0017】
第1基板1の直径が6インチである場合、第1部分基板11の各辺の長さは最大4.2インチである。これは図1に示されたC1、M1、M2を頂点とする直角3角形において、C1−M1間の長さが3インチ、C1−M2間の長さが2インチであるから、M1−M2間の長さは2.2インチ、第1部分基板11の各辺(101、102)の長さは最大4.2インチとなる。基準点P1は、結晶欠陥が多い第1基板1の周縁部を避けるため、第1基板1の外周よりも内側に位置している。したがって、図2に示すように4つの第1部分基板11a〜11dを配置したとき、単結晶部の寸法(L1)は最大8.4インチとなる。
【0018】
以上においては、第1基板1を基準点P1において直交する2つの直線101、102により切断することによって第1部分基板11を形成する例を示したが、第1部分基板の形状はこれに限られない。第1部分基板12は、更に前記基準点P1を通る直径D上で直交する2つの直線によって切断し、四辺形に形成することができる。四辺形の第1部分基板12とすれば、その取り扱いが容易になる。
図3は、化合物半導体の単結晶からなる円形の第1基板1を中心C1からの距離が半径以下である基準点P1において直交し、且つ基準点P1を通る直径Dに対して等角となる2つの直線101、102により切断し、更に、基準点P1を通る直径D上で直交する2つの直線103、104によって切断することにより、第1部分基板12を形成する例を示している。本例では、同図(b)に示すように、第1部分基板12は4つの直線部分(辺)101、102、103、104によって囲まれた正方形になる。単結晶の第1基板1は、一般に周縁部では結晶欠陥が多くなるため、後に第1部分基板12の組み合わせの中心となる基準点P1は、第1基板の外周よりも内側の位置とすることが好ましい。
【0019】
例えば、第1基板1の直径を6インチとする。図3(a)においては、xy座標の原点(0,0)に第1基板1の中心C1が位置し、第1基板1の直径は6である。基準点P1の座標は(2,−2)であり、辺101は基準点P1を通りx軸に平行、辺102は基準点P1を通りy軸に平行としている。また、基準点P1を通る直径D上で直交する直線103はx軸に平行、直線104はy軸に平行である。同図(b)に示す第1部分基板12は、第1基板1を辺101、102、103及び104にそれぞれ対応する直線で裁断することにより切り出される。
【0020】
図4は、4つの第1基板1からそれぞれ上記のように切り出した4つの第1部分基板12a〜12dを、各基準点P1a〜P1dを中心に集め、それぞれの2辺101a〜101d、102a〜102dが接するように組み合わせた図である。例えば、第1部分基板12aの一つの辺101aは第1部分基板12bの辺102bと接し、第1部分基板12aの他方の辺102aは第1部分基板12dの辺101dと接するように配置することができる。同図(b)は(a)のAA’断面を表している。
【0021】
第1基板1の直径が6インチである場合、第1部分基板12の各辺の長さは最大4.2インチである。これは図3に示されたC1、M1、M2を頂点とする直角3角形において、C1−M1間の長さが3インチ、C1−M2間の長さが2インチであるから、M1−M2間の長さは2.2インチ、第1部分基板12の各辺(101〜104)の長さは最大4.2インチとなる。基準点P1は、結晶欠陥が多い第1基板1の周縁部を避けるため、第1基板1の外周よりも内側に位置している。したがって、図4に示すように4つの第1部分基板12a〜12dを配置したとき、単結晶部は1辺が最大8.4インチの四辺形になる。
【0022】
図4では4個の第1部分基板12を配列する例を示したが、第1部分基板12の数は特に限定されず、例えばn個(nは2以上の自然数)の第1部分基板12を相互に辺が接するように配列することができる。
図5は、9個の第1部分基板12(12a〜12i)を3×3に配列する例を示している。更に、16個の第1部分基板12が4×4に配列されてもよい。図5において、9個の第1部分基板12a〜12iは正方形であり、それぞれの四辺を101a〜i、102a〜i、103a〜i、104a〜i、前記基準点をP1a〜iと表している。これにより1辺が第1部分基板12の最大3倍の大きさの化合物半導体基板を構成することが可能となる。
【0023】
(第1接合工程)
前記第1接合工程において、第1基板1よりも直径の大きい第1支持基板2上に、第1支持基板2の略中心に前記基準点P1を対応させ且つ前記直線部分101、102が相互に接するように4つの第1部分基板(11a〜11d、又は12a〜12d)を配列して接合した第1接合基板71を形成する。
図6は、4つの直径6インチの第1基板1から切り出された4つの第1部分基板11a〜11dを図2に示したように組み合わせ、直径8インチの第1支持基板21上に搭載することによって形成された第1接合基板71を表している。図6(b)はそのAA’断面を表している。前記のとおり、4つの第1部分基板11a〜11dからなる単結晶部の寸法は約8.4インチであるから、直径8インチの第1支持基板21よりも大きくなる。
このような8インチサイズに対応した第1接合基板71は、第1支持基板21上に、接着材を介して第1部分基板11a〜11dを順に貼り合せることによって形成することができる。接着材を用いることにより、第1部分基板を精度よく第1支持基板上に貼り合せることができる。
【0024】
図7は、上記と同様にして、4つの直径6インチの第1基板1から切り出された4つの第1部分基板11a〜11dを、直径10インチの第1支持基板22上に搭載することによって形成された第1接合基板71を表している。4つの第1部分基板11a〜11dからなる単結晶部の寸法は約8.4インチであるから、直径10インチの第1支持基板22よりも小さくなる。このため、第1支持基板22上の周縁部4か所に単結晶部が存在しない欠損部221が生じる。しかし、第1支持基板22全体に対して欠損部221の面積は小さいため、半導体素子を形成するための基板として影響はわずかであるといえる。このようにして、10インチサイズに対応した第1接合基板71を形成することができる。
【0025】
図8は、4つの直径6インチの第1基板1から切り出された4つの第1部分基板12a〜12dを図4に示したように組み合わせ、直径8インチの第1支持基板21上に搭載することによって形成された第1接合基板71を表している。図8(b)はそのAA’断面を表している。前記のとおり、4つの第1部分基板12a〜12dからなる単結晶部の1辺は約8.4インチであるから、直径8インチの第1支持基板21よりも大きくなる。
このような8インチサイズに対応した第1接合基板71は、第1支持基板21上に、接着材を介して第1部分基板12a〜12dを順に貼り合せることによって形成することができる。接着材を用いることにより、第1部分基板を精度よく第1支持基板上に貼り合せることができる。
【0026】
図9は、上記と同様にして、4つの直径6インチの第1基板1から切り出された4つの第1部分基板12a〜12dを、直径10インチの第1支持基板22上に搭載することによって形成された第1接合基板71を表している。4つの第1部分基板12a〜12dからなる単結晶部の1辺は約8.4インチであるから、直径10インチの第1支持基板22上の周縁部4か所に単結晶部が存在しない欠損部223が生じる。しかし、第1支持基板22全体に対して欠損部223の面積は小さいため、半導体素子を形成するための基板として影響はわずかであるといえる。このようにして、10インチサイズに対応した第1接合基板71を形成することができる。
【0027】
前記のとおり、第1部分基板12の数は4個に限らず、9個(図5参照)、16個等と増すことができる。よって、第1部分基板12を配列したサイズに応じた直径の第1支持基板2を使用することにより、より大口径の第1接合基板71を形成することができる。そして、大口径の第1接合基板71又は第2接合基板72(後述)を形成することにより、それを種基板として大口径の化合物半導体基板となる第3接合基板73(後述)を製造することができる。これによって、大口径化が難しいワイドバンドギャップ半導体基板の大口径化が可能になる。また、大口径化を目的とする場合に限らず、小口径の高品質な化合物半導体基板(第1基板1)を組み合わせて品質の良い小口径の化合物半導体基板を得ることも可能である。
【0028】
(サークルカット)
以上のように形成された第1接合基板71は、第1支持基板2(21、22)の大きさに合わせて切断(サークルカット)することができる。これにより、第1接合基板71の外周は、第1支持基板2(21、22)の大きさに整えられる。サークルカットの位置は、必ずしも第1支持基板2(21、22)の大きさに合わせる必要はなく、やや小さめにサークルカットされてもよい。これにより、直径8インチ又は10インチの第1接合基板71が形成される。
【0029】
(第2接合工程、第1除去工程)
図10は、第1接合基板71の表面、すなわち第1支持基板2(21、22)上に配列して接合された第1部分基板(11、12)の表面に、第2支持基板3を接合する第2接合工程と、その後、第1支持基板2を除去することにより第2接合基板72を形成する第1除去工程を示している。本図では、第1接合基板71はサークルカットにより外周が整えられたものとして描いているが、外周が整えられていない状態(図6〜9参照)であってもよい。第2接合基板72は、後に形成される接合基板の種基板とすることができる。第1接合基板71を形成する際には、接着剤等を用いて第1支持基板2上に第1支持基板2(21、22)を精度よく貼り合わせたが、接合基板の種基板とするためには1000℃近い高温に耐える必要がある。第1接合基板71の接合部が高温度に耐えられない場合には、第1部分基板(11、12)を第2支持基板3に貼り替えることができる。
【0030】
図10(a)は、サークルカットにより、第1支持基板2(21、22)上に第1部分基板(11、12)が搭載された第1接合基板71の周縁部が除去されている状態(AA’断面)を示している。
同図(b)は、第2接合工程により、上記第1接合基板71の第1部分基板(11、12)側の表面に、第2支持基板3が接合された状態を表している。第2支持基板3のサイズは、第1接合基板71のサイズに応じて、8インチ、10インチ等とすることができる。また、単結晶からなる第1部分基板(11、12)すなわち第1基板1の材料がSiCである場合には、第2支持基板3は線膨張係数が同じ多結晶SiC基板とすることが好ましい。接合の方法は特に問わず、例えば、第1部分基板(11、12)の表面及び第2支持基板3の表面を平坦化した上で、アルゴンビーム等により両表面を活性化し、常温にて接合することができる。このように接合すれば、高温度に耐えられる接合基板の種基板を得ることができる。
同図(c)は、第1除去工程により、第1支持基板2(21、22)を剥離除去して第2接合基板72を形成した状態を示す。剥離の方法は特に問わず、例えば、第1支持基板2として透明な無アルカリガラス等を使用し、光硬化接着材を用いて第1部分基板(11、12)と接合した場合には、高温とすることにより容易に剥離することができる。
図11(a)〜(c)は、第1接合基板71において単結晶部の欠損部(221、223等)が存在している場合を示している。この場合にも構造上の問題はなく、前図(a)〜(c)と同様にして第2接合基板72を形成することができる。
以上により、8インチ又は10インチサイズの第2接合基板72を得ることができ、この第2接合基板72は接合基板の種基板として好適である。
【0031】
(水素層形成工程、第3接合工程、分離工程)
本実施形態には、前記第1接合基板71又は前記第2接合基板72の第1部分基板(11、12)の表面から所定の深さに水素層15を形成する水素層形成工程と、第1部分基板(11、12)の前記表面に第3支持基板4を接合する第3接合工程と、第1部分基板(11、12)を水素層15において分離することにより、第3支持基板4上に前記化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層110が形成された第3接合基板73を得る分離工程と、を含むことができる。これにより、第2接合基板72を種基板として、多数の接合基板(第3接合基板73)を得ることができる。
図12は、上記水素層形成工程、第3接合工程及び分離工程を表している。
同図(a)に示されるように、第2接合基板72は、第2支持基板3の全面に第1部分基板(11、12)が接合されて構成されている。水素層形成工程においては、その第1部分基板(11、12)の表面(図における下面)から一定の深さ(例えば、約0.5μmの深さ)に水素イオンを注入することにより、水素層15を形成する。この水素層15から第1部分基板(11、12)の表面までの単結晶表層部を第1薄膜層110とする。
同図(b)は、第1部分基板(11、12)の上記表面に第3支持基板4を接合した状態を示している。接合方法は特に問わず、例えば、第1部分基板(11、12)すなわち第1薄膜層110の表面と第3支持基板4の表面を平坦に加工し、両表面をアルゴンビーム等により活性化した状態で常温接合が可能である。
その後、約1000℃の高温度にすることにより、第1部分基板(11、12)は水素層15において分離される。これによって、同図(c)に示すように、水素層15において分離された第1薄膜層110が、第3支持基板4上に接合された第3接合基板73を得ることができる。第1部分基板(11、12)の厚さ、即ち第1基板1の厚さが100μmであったとすると、第1薄膜層110が1回分離されることにより厚さが1μm程度減少するのみであるから、剥離後に研磨等することにより、1つの第2接合基板72を種基板として数百回の再利用が可能である。
なお、第2支持基板3上に単結晶層が形成された第2接合基板72を種基板とすることに限らず、第1支持基板2上に単結晶層が形成された第1接合基板71を種基板とすることも可能である。この場合には、第1支持基板2と第1部分基板(11、12)とを接合する接合層を、耐熱性の高いものとすればよい。
【0032】
(エピタキシャル層形成工程)
更に、図12(d)に示すように、第3接合基板73の第1薄膜層110表面を研摩等して、その上にエピタキシャル層5を形成した接合基板74を得ることができる。エピタキシャル層5の厚さは10μm程度とすることができ、このエピタキシャル層5が半導体素子における能動層となる。
エピタキシャル層5は、4つの第1部分基板(11、12)から形成された第1薄膜層110の上に成膜されるため、エピタキシャル層5においても、各第1部分基板(11、12)の境界線部に当たる部分に結晶性が不連続となる接合線部51が存在することとなる。この接合線部51は、半導体素子の形成時にスクライブラインに当てることができる。このため、接合線部51の視認性が不十分であれば、同図(d)に示す段階で、印刷等によりマスクアライメント用のマーキングを施すことができる。
【0033】
上記のように接合基板74を基に形成された接合基板を、最終的な化合物半導体基板75とすることができる。化合物半導体基板75は、化合物半導体の単結晶からなる第1薄膜層110が支持基板4上に接合された化合物半導体基板であって、第1薄膜層110は2以上の第1部分薄膜層に分割されており、各第1部分薄膜層が相互に接するように配列されて構成されている。
図13は、化合物半導体基板75の模式的な上面図及び断面図である。本例においては、第1薄膜層110は表面が中心角90度の扇形である4つの第1部分薄膜層110a〜110dに分割されており、支持基板4の中心の回りに第1部分薄膜層110a〜110dが相互に接するように配列されて構成されている。上記化合物半導体は、SiC、酸化ガリウム及びGaNのうちから選択可能である。また、化合物半導体基板75は、第1部分薄膜層110a〜110dの表面上にエピタキシャル層5が形成された基板とすることができる。
化合物半導体基板75のサイズは特に問わないが、例えば、直径10インチ、12インチ等とすることができる。
また、化合物半導体基板75には、第1部分薄膜層110a〜110dの境界線部を視認させるためのマーキングを備えることができる。このマーキングにより、第1部分薄膜層110a〜110dの境界線部(エピタキシャル層5の接合線部51)を、半導体素子の形成に際してスクライブラインに当てることができ、無駄のない半導体基板として利用することができる。
【0034】
本実施形態に係る化合物半導体基板及びその製造方法により、大口径化が難しいワイドバンドギャップ基板の大口径化を可能にすることができる。この化合物半導体基板は、4枚からなる第1部分薄膜層110の境界線部51をスクライブラインとすることにより無駄のないように利用することができる。9個、16個等の第1部分薄膜層が配列されて第1薄膜層110が構成されている場合には、それらの境界線部を任意の素子サイズのスクライブラインに充当することは困難になる。すなわち、1つの境界線部はスクライブラインに当てることができるが、他の境界線部はピッチが合わなくなり、スクライブラインに当てることができない。例えば9個の第1部分薄膜層が組み合わされて(図5参照)第1薄膜層110が形成されている場合には、縦1列、横1行だけがスクライブラインと一致しないので無駄はごく一部となる。更に無駄を減らすためには、素子サイズに合わせて第1部分基板12の大きさを設定するようにすることができる。
以上においては、6インチの化合物半導体基板を用いて、8インチ又は10インチの種基板を構成する例を示したが、4インチの化合物半導体基板を用いて、6インチの種基板を構成することも、全く同様に可能である。また、化合物半導体基板として、主としてSiC基板の例を述べたが、GaN、酸化ガリウムなどのワイドバンドギャップ材料にも同様に適用することができる。
最終的な支持基板(第3支持基板4)は、多結晶SiC基板に限らず、水素層での剥離に必要な温度以上の高い耐熱性があればよく、例えば、サファイア基板でも、Si基板でもよい。
仮設の支持基板(第1支持基板2)は、無アルカリガラスのみならず透明基板であれば、第1部分基板との接合に光硬化型接着剤を使うことができる。その他、接着剤を使う場合には、材料を問わない。Si基板を使い捨ての仮設支持基板として用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
SiC等を用いた高電圧駆動素子は、車においてはハイブリッド車の普及、電気自動車の普及に伴ってますます重要度が増している。家庭においてはスマートグリッドの普及に伴って家電製品の電動化やエネルギー管理のために高電圧素子の役割が重要になってくる。本発明により、大口径且つ高品質の化合物半導体基板が製造可能になり、ワイドバンドギャップ素子の低コスト化に貢献することができる。
【符号の説明】
【0036】
1;第1基板、11、12;第1部分基板、110;第1薄膜層(第1部分薄膜層)、2、21、22;第1支持基板、3;第2支持基板、4;支持基板(第3支持基板)、5;エピタキシャル層、71;第1接合基板、72;第2接合基板、73;第3接合基板、74;接合基板、75;化合物半導体基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13