【実施例】
【0034】
以下、特記しない限り、「部」は重量部を意味する。
<実施例1>
グリセリンのエチレンオキシド3モル付加体{ブラウノンGL−3、青木油脂株式会社}227部(1モル部)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル{エピオールEH−N、日油株式会社、「エピオール」は同社の登録商標である。}373部(2モル部)及び三フッ化ホウ素{高千穂化学株式会社}2.3部を均一混合してから、70℃でエポキシ残量が0.2モル%以下になるまで反応させて、多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A1)を得た。
【0035】
エポキシ残量(モル%)は、JIS K7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準拠して、反応開始前の反応液のエポキシ当量(a1:g/eq.)と、反応モニター中の反応液のエポキシ当量(a2:g/eq.)とを測定し、次式から算出した。
(エポキシ残量)={1/(a1)−1/(a2)}×100/{1/(a1)}
【0036】
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A1)12部、ポリオキシアルキレングリコール(B1){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価56.1mgKOH/g、サンニックスPP−2000、三洋化成工業株式会社、「サンニックス」は同社の登録商標である。}88部及び側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(C1){SILFOAM SC−370、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「SILFOAM」はWacker Chemie AGの登録商標である。}18部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF1)を得た。
【0037】
<実施例2>
トリメチロールプロパンのエチレンオキシド3モル付加体{ブラウノンTMP−3、青木油脂株式会社}269部(1モル部)、t−ブチルグリシジルエーテル{東京化成工業株式会社}390部(3モル部)及び三フッ化ホウ素{高千穂化学株式会社}3.5部を均一混合してから、70℃でエポキシ残量が0.2モル%以下になるまで反応させて、多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A2)を得た。
【0038】
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A2)15部、ポリオキシアルキレングリコール(B2){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価37.4mgKOH/g、サンニックスPP−3000、三洋化成工業、「サンニックス」は同社の登録商標である。}85部及び側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(C1){SILFOAM SC−370、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「SILFOAM」はWacker Chemie AGの登録商標である。}18部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF2)を得た。
【0039】
<実施例3>
加熱、攪拌、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器にトリメチロールエタン{三菱化学ガス株式会社}120部(1モル部)及び水酸化カリウム{試薬特級、和光純薬工業株式会社、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。}3部を加えて、120℃にて減圧下にて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、エチレンオキシド132部(3モル部)を2時間かけて滴下し、さらに120℃にて3時間攪拌を続けた。次いで80℃にて脱イオン水30部を加えた後、無機吸着材{キョーワード700、協和化学工業株式会社、「キョーワード」は同社の登録商標である。}60部を加え、同温度にて2時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社、保留粒子径:5μm}を用いて濾過して無機吸着材を取り除き、さらに減圧下120℃にて1時間脱水し、トリメチロールエタン3モル付加体を得た。
【0040】
トリメチロールエタン3モル付加体252部(1モル部)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル{エピオールEH−N、日油株式会社、「エピオール」は同社の登録商標である。}559部(3モル部)及び三フッ化ホウ素{高千穂化学株式会社}3.5部を均一混合してから、70℃でエポキシ残量が0.2モル%以下になるまで反応させて、多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A3)を得た。
【0041】
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A3)10部、ポリオキシアルキレングリコール(B3){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価118.1mgKOH/g、サンニックスPP−950、三洋化成工業、「サンニックス」は同社の登録商標である。}90部及び側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(C2){FSアンチフォーム83、東レ・ダウコーニング株式会社}8部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF3)を得た。
【0042】
<実施例4>
加熱、攪拌、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器にトリメチロールエタン{三菱化学ガス株式会社}120部(1モル部)及び水酸化カリウム{試薬特級、和光純薬工業株式会社、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。}3部を加えて、120℃にて減圧下にて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、エチレンオキシド88部(2モル部)を2時間かけて滴下し、さらに120℃にて3時間攪拌を続けた。次いで80℃にて脱イオン水30部を加えた後、無機吸着材{キョーワード700、協和化学工業株式会社、「キョーワード」は同社の登録商標である。}60部を加え、同温度にて2時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社、保留粒子径:5μm}を用いて濾過して無機吸着材を取り除き、さらに減圧下120℃にて1時間脱水し、トリメチロールエタンのエチレンオキシド2モル付加体を得た。
【0043】
トリメチロールエタンのエチレンオキシド2モル付加体208部(1モル部)、t−ブチルグリシジルエーテル{東京化成工業株式会社}390部(3モル部)及び三フッ化ホウ素{高千穂化学株式会社}3.5部を均一混合してから、70℃でエポキシ残量が0.2モル%以下になるまで反応させて、多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A4)を得た。
【0044】
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A4)14部、ポリオキシアルキレングリコール(B1){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価56.1mgKOH/g、サンニックスPP−2000、三洋化成工業株式会社、「サンニックス」は同社の登録商標である。}86部及び側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(C2){FSアンチフォーム83、東レ・ダウコーニング株式会社}12部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF4)を得た。
【0045】
<実施例5>
加熱、攪拌、冷却、滴下、窒素による加圧及び真空ポンプによる減圧の可能な耐圧反応容器にグリセリン{ミヨシ油脂株式会社}92部(1モル部)及び水酸化カリウム{試薬特級、和光純薬工業株式会社、使用量は水分を除いた純分換算量で表示した。}3部を加えて、120℃にて減圧下にて脱水した。次いで減圧のまま100℃にて、エチレンオキシド88部(2モル部)を2時間かけて滴下し、さらに120℃にて3時間攪拌を続けた。次いで80℃にて脱イオン水30部を加えた後、無機吸着材{キョーワード700、協和化学工業株式会社、「キョーワード」は同社の登録商標である。}60部を加え、同温度にて2時間攪拌した。次いで同温度にてNo.2濾紙{東洋濾紙株式会社、保留粒子径:5μm}を用いて濾過して無機吸着材を取り除き、さらに減圧下120℃にて1時間脱水し、グリセリンのエチレンオキシド2モル付加体を得た。
【0046】
グリセリンのエチレンオキシド2モル付加体180部(1モル部)、t−ブチルグリシジルエーテル{東京化成工業株式会社}260部(2モル部)及び三フッ化ホウ素{高千穂化学株式会社}3.2部を均一混合してから、70℃でエポキシ残量が0.2モル%以下になるまで反応させて、多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A5)を得た。
【0047】
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A5)12.5部、ポリオキシアルキレングリコール(B4){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価93.5mgKOH/g、ユニオールD−1200、日油株式会社、「ユニオール」は同社の登録商標である。}87.5部及び側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル(C1){SILFOAM SC−370、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「SILFOAM」はWacker Chemie AGの登録商標である。}16部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF5)を得た。
【0048】
<実施例6>
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A3)10部及びポリオキシアルキレングリコール(B1){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価56.1mgKOH/g、サンニックスPP−2000三洋化成工業、「サンニックス」は同社の登録商標である。}90部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF6)を得た。
【0049】
<実施例7>
多価アルコールのエチレンオキシド及びアルキルグリシジルエーテルの付加体(A1)15部及びポリオキシアルキレングリコール(B3){ポリオキシプロピレングリコール、水酸基価118.1mgKOH/g、サンニックスPP−950、三洋化成工業、「サンニックス」は同社の登録商標である。}85部を均一攪拌して、本発明の消泡剤(DF7)を得た。
【0050】
<比較例1>
特許文献1に記載された実施例3に準拠して比較用の消泡剤(HDF1)を調製した。
なお、「TSF410(東芝シリコーン社製の商品名)」はモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社(旧・GE東芝シリコーン株式会社)から入手した。
【0051】
<評価>
実施例1〜7及び比較例1で得た本発明の消泡剤(DF1)〜(DF7)及び比較用消泡剤(HDF1)を用いて、以下のようにしてエマルション塗料を調製し、消泡性及び塗膜外観(グロス、雨筋跡)を評価した。
【0052】
(エマルションベース塗料の調製)
表1に記載した原料組成にて、円盤型羽根を装着した卓上サンドミル(カンペ家庭塗料株式会社、カンペサンドミル)でグラインディングし、ついでアンカー型羽根を装着した撹拌機(東京理化器械株式会社、MAZELLA ZZ−1100)でレットダウンして、エマルションベース塗料を調製した。
【0053】
【表1】
【0054】
注1:分散剤(サンノプコ株式会社、「ノプコール」は同社の登録商標である。)
注2:増粘剤(ダイセルファインケム株式会社)
注3:湿潤剤(サンノプコ株式会社)
注4:湿潤剤(サンノプコ株式会社)
注5:硫酸バリウム(堺化学工業株式会社、「バリエース」は堺化学工業株式会社の登録商標である。)
注6:二酸化チタン(石原産業株式会社、「タイペーク」は同社の登録商標である。)
注7:アクリルエマルション(BASF社、「ACRONAL」は、ビ−エ−エスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標である。)
注8:造膜調整剤(イーストマンケミカル社、「テキサノール」は吉村油化学株式会社の登録商標である。)
【0055】
(エマルション塗料の調製)
エマルションベース塗料99.7部及び消泡剤(DF1)〜(DF7)及び比較用消泡剤(HDF1)のいずれかを0.3部をコーレス型羽根を装着したエクセルオートホモジナイザー(日本精器株式会社、モデルED)にて25℃、3000rpm、5分間攪拌混合してエマルション塗料を得た。
また、消泡剤を加えないこと以外、上記と同様にして、ブランク用エマルション塗料を得た。
【0056】
(消泡性)
エマルション塗料100部及び水10部を混合して、各評価用エマルション塗料を得た後、中毛ウールローラー(大塚刷毛製造株式会社)を用いてブリキ板上に30cm角でローラー塗装し、初期消泡性と消泡速度を評価し、その結果を表2に記載した。
初期消泡性は肉眼で確認できる塗布直後の泡の数で評価し、数が少ない方が初期消泡性が優れることを意味する。また、消泡速度は泡が観察出来なくなるまでの時間で評価し、その値が小さい方が消泡速度が速く、消泡性に優れることを意味する。
【0057】
(塗膜外観1)光沢性
JIS K5960:2003 家庭用屋内壁塗料の附属書2(規定)アプリケーター塗装に準じた隙間150μmのアプリケーターを用いて評価用エマルション塗料をガラス板に塗布し、屋内(25℃)で1日乾燥後の塗膜について60°グロス及び20°グロスをISO2813:1994に準拠した光沢計(株式会社村上色彩技術研究所、DM26D)にてそれぞれ3個所測定して平均値を算出した。ブランクの評価用エマルション塗料の平均光沢値に対する各評価用エマルション塗料の平均光沢値の割合(百分率:評価用エマルション塗料の平均光沢値/ブランクの評価用エマルション塗料の平均光沢値×100)を算出し、光沢性として表2に示した。光沢性が100に近い程、光沢の低下が小さく良好であることを意味する。
【0058】
(塗膜外観2)雨筋跡
JIS K5960:2003 家庭用屋内壁塗料の附属書2(規定)アプリケーター塗装に準じた隙間150μmのアプリケーターを用いて評価用エマルション塗料をステンレス鋼板(10×30cm)に塗装し、屋内(25℃)で一日乾燥して試験用塗装片とした。愛知県東海市の地上高3mの屋外暴露台に塗装面を水平面に対して45度になるようにし、かつ塗装面が真北を向くようにして試験用塗装片を設置し、平成29年12月上旬から平成30年3月下旬までの約4ケ月間暴露した。そして、試験用塗装片の表面から直線で30cmの距離から、塗装片表面の雨筋跡を目視で確認し、以下の基準で表2に示した。また付着したゴミ、汚れ等を湿した木綿ウエスにてかるくこすり落とした後、白色度(L2)を測定した。ついで、予め測定した暴露前の試験用塗装片の白色度(L1)から白色度(L2)を差し引いた値(ΔL)を表2に示した。ΔLは小さいほど耐汚染性(雨筋跡)が良好でがあることを示す。白色度の測定試験機は日本電色工業株式会社製のSPECTRO COLOR METERMODEL PF−10を用いた。
【0059】
<基準>
○:雨筋跡が確認できない
×:雨筋跡が確認できる
【0060】
【表2】
【0061】
表2の結果から明らかのように、本発明の消泡剤(DF1)〜(DF7)は比較用消泡剤(HDF1)に比較して消泡性、塗膜外観(光沢性、雨筋跡)に優れていた。