(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラズマエッチングまたは前記Auイオンビーム注入ステップにより、各露出領域内にある前記電極の表面積が、プラズマエッチングまたはAuイオンビーム注入の前の前記露出領域の表面積から少なくとも50%増加している、請求項1に記載の方法。
Au金属合金が、Au−Si、Au−Ge、Au−Bi、Au−Co、Au−Mo、Au−Rh、Au−Ru、およびAu−Wからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
前記磁気層を磁化または消磁することによって、磁性ナノ粒子タグ付け生体分子の磁気的に誘引された付着を可能とするか、または永久磁石の掃引による付着した磁性ナノ粒子タグ付け生体分子の除去および一掃を可能として、前記デバイスを複数回繰り返して作動させることができるようにする、請求項19に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は本発明の概念を説明するためのものであり、縮尺通りではないことを理解するべきである。
【0032】
本明細書中の実施形態の詳細な説明では、イラストレーションによって具体的な実施形態を示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施するのを可能とするために十分に詳細に記載されているが、他の実施形態が実現され得ること、ならびに、論理的、化学的、および機械的変更が本発明の精神および範囲から離れることなくなされ得ることを理解すべきである。よって、本明細書中の詳細な説明は説明の目的で提示されるものであり、限定の原因となるものではない。例えば、別段の記載がなければ、方法またはプロセスの記載のいずれかにおいて述べるステップは、任意の順序で実行され、提示された順序に必ずしも限定されない。さらには、単数へのあらゆる言及は複数の実施形態を含み、1つより多くの構成要素またはステップへのあらゆる言及は、単数の実施形態またはステップを含み得る。また、付着した、固定された、接続されたなどのあらゆる言及は、永久的、取り外し可能、一時的、部分的、全的、および/またはあらゆる他の可能な付着の選択肢を含み得る。追加的に、接触を伴わないこと(または同様の表現)へのあらゆる言及は、低減された接触または最小の接触をも含み得る。
【0034】
明示的に定義しないあらゆる用語は、当業者に公知の通常の意味を与えられるべきである。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「サブ10nm」という用語は、デバイスおよびその構成要素のサイズ、ならびに方法を実行できるスケールを指す。特には、該用語は、約10nm未満のサイズの物理的構造物、および、約10nm未満のスケールで様々なプロセス中のステップを取り扱う能力を指す。
【0036】
本明細書中で使用される場合、「ナノギャップ」という用語は、ナノメートル範囲にある、2つの電極間または2つの導電性アイランド間などの要素間の空間または「ギャップ」を指す。同様に、「ナノギャップの」という用語は、2つの要素がそれらの間にナノメートルスケールのギャップを有することを指す。
【0037】
本明細書中で使用される場合、「標識フリー」という用語は、蛍光標識を必要としない、換言すれば「蛍光フリー」のプロセスを指す。
【0038】
本明細書中で使用される場合、原子の元素記号、および関連する元素の名前は、交換可能に使用され得るか、または一緒に使用され得る。例えば、金という元素は、「Au」、「金」、または「金(Au)」と本明細書中で記され得る。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「ラッチ可能な磁気ストライプ」(または「ラッチ可能な磁気層」)という用語は、外部磁場に応答して磁化方向を変化させる能力を有する磁化可能な材料の薄膜または層を指し、例えば、印加場または印加電圧の変化につれてプログラム可能かつ再構成可能な磁気特性を有する層などである。
【0040】
電気コンダクタンス測定によるDNAまたはゲノムシークエンシングは、一対の電気的に分離された導電性アイランドを含むデバイスの使用をしばしば伴い、該導電性アイランド上に生体分子が架橋し、該導電性アイランドを通じて電流または電圧信号は検出される。図面を参照すると、
図1は電極を示しており、この電極は、5〜20nmのナノギャップ、および、電気コンダクタンス測定によるヌクレオチド付着の標識フリーの検出が可能なデバイスにおいて使用するための、タンパク質または断片化DNAなどの生体分子を付着させまたは他の何らかの方法で固定化するための一対の金(Au)アイランドを有する。
図1(a)は、電気コンダクタンス測定によるゲノム/DNAシークエンシングのために使用できるナノギャップの電極対の一実施形態の上面図を示し、
図1(b)はその側面図を示す。電極は高い導電性を有する安定かつ不活性の金属を含み得る。電極間のナノギャップ10は、幅が約5〜20nmであり得る。例示的な電極金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、レニウム(Rh)、チタン(Ti)、銀(Ag)、および金(Au)、またはこれらの合金が挙げられるが、これらに限定されない。金(Au)は最も広く使用される電極材料である。しかしながら、本開示の様々な実施形態によれば、電極表面への生体分子、タンパク質、またはDNAの非特異的でランダムな付着を防止するために、Auの代わりに、Pt、Pd、Rh、およびこれらの合金などを利用することができる。例えば、Ptベース電極を使用することにより、生体分子がPt表面に直接付着する傾向がはるかに低くなる。よって、数ナノメートルのサイズの対となるAuアイランドをPtに追加すると、生体分子、特に単一生体分子の付着を、Pt電極表面それ自体ではなく金アイランドに制限することができる。
【0041】
例えば直径約5nmの金ナノ粒子などのナノスケール粒子は、Pt電極などの電極表面に直接的に正確に位置付けかつ配置することは難しい。ある特定の例では、原子間力顕微鏡法(AFM)または走査型プローブ顕微鏡法(SPM)の方法を使用してもよく、これにより、
図1(c)(該図では、Ptベース電極の上部に無差別に置かれたAuナノ粒子11が描かれている。)に示されるものなど、個々のAuナノ粒子を拾い上げ、動かし、かつ電極表面に解放することで、ファンデルワールス力が意図した位置にナノ粒子を保持するのを補助する(例えば、2014年2月20日に公開されたHuangらの米国特許出願公開第2014/0048776号を参照)。しかしながら、ナノ粒子のそのような精巧な移動および配置は、ナノ粒子が電極表面にあまりよく接着しないことに繋がり得る。さらに、所望の位置に個々のナノ粒子を位置付けすることに再現性がない。
図1(c)に示されるような、あまり強く接着していないこれらのナノ粒子11は、高い接触抵抗および低減した電気電導度を引き起こすことになる。さらに、これらのAuナノ粒子は、異なる位置へ容易に横方向の移動をしてしまい得るか、または例えば生体分子の洗浄もしくはマイクロ流体プロセシングの間といった取扱いの間に完全に脱着してしまい得る。したがって、ナノ粒子のそのようなAFMの導きによる1つずつの配置は労力を要し、時間を消費し、かつ低コストの製造のために拡張可能ではない。
【0042】
したがって、本開示の一実施形態によれば、Auナノ粒子は電極表面により強く結合し、その程度は、電極表面との結合において使用されるAu粒子の接触面積が、Au粒子の直径の、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、よりいっそう好ましくは、半球形のアイランドを示す
図1(d)中の一番上の例に示されるように100%までを含むものである。この半球アイランドの例では、単一生体分子12はアイランドと接触して示されており、電極間のギャップを架橋している。
図1(d)の2つ目の例は、Ptベース電極上の「柱」状のアイランドを含む実施形態を示しており、このアイランドは生体分子の架橋との結合のために利用可能である。
【0043】
本開示による別の実施形態は、Pt電極上にAuアイランドを製作することを完全に回避し、その代わりに生体分子の結合および架橋用のAu電極の露出した部分に依拠する。
図1(d)の3つ目の例に示されるように、ナノパターニングされたマスクを使用して、露出したままとして選択的な生体分子付着に利用可能である選択領域を除いてAu電極表面のほぼ全てを塞ぐ。この概念の一変形では、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、メタクリレート系コポリマー、水素シルセスキオキサン(HSQ)、および様々なシロキサンポリマーなどのレジスト層を利用して、
図1(d)の4つ目の例に示されるように、電極のまさに先端部を除いてAu電極の大部分を覆うことができる。レジスト層を利用するこれら2つの方法は本明細書中でより詳細に議論される。
【0044】
図2は、Au電極上の露出領域ならびに単一生体分子の結合および架橋を有する局所的に画定された電極を得るために使用可能なナノパターニングプロセスの一実施形態を示す。
図2(a)に示されるように、一対のAu電極を用いてプロセスは始まる。この切断側面図のイラストレーションは、SiO
2絶縁体表面を有するSiを含む基板上の一対の電極として2つのAu電極を示している。各電極対のナノギャップ20は約5nmから約20nmである。電極は「アレイ」と記されており、デバイス中に100未満から数百、または数千、または数百万、またはそれより多くの電極対といった、複数のこのような電極対があってもよいことを強調している。
図2に示されるプロセスの目標は、各露出領域内に1つの生体分子の1つの末端の結合のみを可能とする、直径約3〜10nmの各Au電極上の単一のナノ画定された露出領域を得ることである。換言すれば、各電極上の露出領域はサブ10nmである必要がある。この目的のために、
図2(b)に示されるように、ポジティブまたはネガティブレジスト層23を電極対上に加える。ポジティブレジスト(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、またはネガティブレジスト(例えば、水素シルセスキオキサン(HSQ)またはSU−8エポキシレジスト)を使用することができ、これらのいずれもその後のeビームまたはナノインプリントリソグラフィーと適合性がある。ある特定の例では、レジスト層23はネガティブレジストを含む。次いで、eビームまたはナノインプリントリソグラフィーを使用して、
図2(c)に示されるような露出領域24をパターニングする。
【0045】
代替的な実施形態では、Al
2O
3、SiO
2、もしくはSi
3N
4、または他の酸化物もしくは窒化物の層をAu電極上に積層してもよく、またポリマーレジスト層を使用する代わりに、これらを絶縁層として使用してもよい。この場合、酸化物または窒化物コーティングを塗布する前に、厚さ1〜3nmのTi層などの非常に薄い接着層をAu電極表面に積層してもよい。この保護コーティングは、ポリマーであろうとセラミックであろうと、電気絶縁体として、そしてまた、望まない位置に生体分子が接着するのを防止または最小化するコーティングとしてはたらく。
【0046】
図2(c)を参照すると、露出領域24の構成は、円形、楕円形、正方形、長方形、またはあらゆる他の幾何学形状などのいかなる形状であってもよい。Au電極上の各露出領域24のサイズは約3nmから約15nmの平均直径(または形状が円形でなければ、電極表面にわたっての水平な同等の寸法)である。ある特定の実施形態では、各露出領域24は、約5nmから約10nmの直径(または円形でなければ該領域にわたっての同等の寸法)である。
【0047】
図2に順次的に描かれたプロセスは、超並列アレイシークエンシングデバイスのプロセシングに適している。ナノインプリンティング、電子ビームリソグラフィー、シャドウマスクパターニング、EUV(極UV)リソグラフィー、X線リソグラフィー、および他の公知のパターニング方法などのナノパターニングアプローチは、少なくとも1,000、好ましくは少なくとも10,000またはそれより多くの、単一電極対デバイスを同時に製作することを可能にする。シークエンシングデバイス中のそのような大きな電極アレイは、シークエンシング速度を大幅に向上させ、かつシークエンシングコストを低減させる。
図2(d)は、各電極上の露出領域にその末端のそれぞれにおいて付着して架橋を形成している付着した生体分子22(例えば、タンパク質、DNA断片など)を示す。様々な実施形態では、生体分子22は、抗体−抗原、ビオチン−ストレプトアビジン、ペプチド結合、機能化リガンド、表面電荷、または他の生体分子固定化技術を使用して、機能化された末端によって示された位置に固定化され得る。
図2(d)に示される完全な電極対デバイスは、他の分子との生体分子22の相互作用を含むシークエンシング事象の電子的監視(「i」)のために使用される、各電極からの電気的接続を含んで示されている。
【0048】
タンパク質分析またはDNA/ゲノムシークエンシング用のものを含む分子エレクトロニクスデバイスのために、多くの電極対デバイスのアレイを使用する並列電子感知が望ましい。所与の空間内により多くの電気的測定デバイスおよび回路を詰め込むために、電極の寸法をミクロまたはナノの次元にまで低減しなければならない。
図2に示されるものなどの幾何学形状を有するナノ電極のアレイを利用することができる。そのようなアレイは、ナノインプリントリソグラフィーなどの簡便かつ拡張可能なプロセシング方法を使用することで作ることができる。eビームリソグラフィー、自己アセンブル、および他の手段などの代替的な方法を利用してもよい。
【0049】
標識フリーの電子的検出を含むDNAおよびゲノムシークエンシング、ならびに分子エレクトロニクスデバイスにおいては、一般に、生体分子とのヌクレオチドの相互作用の電子的監視の間に再現可能に強く、ノイズが低減された信号を得るために、強くかつ信頼できる生体分子と電極(または生体分子と導電性アイランド)との間の付着が必須である。表面を「粗面化」すれば、つまり生体分子が付着する表面積を増加させるように表面を改質すれば、表面への生体分子の付着を強化することができる。通常、既にナノ次元(例えば、5〜10nmの区画)の構造上に分岐または多孔性構造物を作ることは難しい。しかしながら、本開示によれば、この困難は解決されており、それにより電極表面への生体分子の強化された接着のためのさらに分割されたナノ構造が達成されている。電極表面に分割されたナノ構造を含む実施形態では、電極表面に積層されたAu柱が、少なくとも上表面を粗面化または多孔化するように表面損傷されている。
【0050】
Au表面は、Au−硫黄結合を通じて、Au表面に生体分子を接着(固定化)させるために生体分子のチオール(−SH)基を使用する機会を可能とする。それにもかかわらず、チオール基によって与えられる基本的なAu−硫黄結合を超えて生体分子接着が強化できれば、電子的な標識フリーのシークエンシングにおける信頼性および信号対ノイズ比を有意に向上させることができる。本開示によれば、Auのナノアイランドの表面積の増加は、Auへの生体分子の結合を増大させる。本明細書において、Auのサブ10nmのアイランドのさらなる表面ナノ構造化が開示される。
【0051】
ここで
図3を参照すると、大きい表面積のAuアイランドを有する例示的な微細構造の概略図が提供されている。本開示によれば、表面積の増加は、粒子誘発性の多孔性構造物(
図3(a)に示される)もしくはエッチング誘発性の多孔性構造物(
図3(b)に示される)の結果、または他の手段によるものであり得る。粒子誘発性の多孔性構造物およびエッチング誘発性の多孔性構造物を製造する方法が本明細書において詳述される。ある特定の実施形態によれば、生体分子が接着することになるAuアイランドの上表面におけるまたはその近くにおける表面積の増加は、平面のAuアイランドに対して少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%である。生体分子の接着強度は、平らで未改質のAuアイランドへの接着に対して、少なくとも30%、好ましくは少なくとも60%向上している。
【0052】
ここで
図4を参照すると、例示的な大きい表面積のAuアイランド構造物、およびその製造方法が示されている。言及したように、生体分子への結合のための表面積の増加は、より強い、再現性のある、強化された生体分子接着をもたらす。
図4(a)〜4(f)では、明瞭性の目的から各電極対の左側のみが示されている。
図4(a)は、電極49と、アイランド位置44が露出したレジスト層48とを含むベース電極構造物の一実施形態を図式的に示す。アイランドの表面積が増加されるのはこの領域44内である。PMMAおよび他のポリマー、または酸化物層(例えば、スパッタ積層されたSiO
2またはAl
2O
3など)などの絶縁コーティング48を利用することによって導電性電極(例えば、Au、Pd、Pt、Rh、Ag、またはこれらの合金)表面にパターン画定されたAuアイランド領域を形成することによってプロセスは始まる。論じたように、eビームまたはナノリソグラフィーを使用して、電極上に露出領域44のそれぞれを作製することができる。コーティングの性質は、望ましい電気的絶縁特性、および生体分子接着に対してコーティングが持つ抵抗性に基づいて選択される。
【0053】
レジスト層48をパターニングしたら、露出領域44を処理して露出領域44内の表面積を増加させる。
図4(b)は、プラズマエッチングにより作られた多孔性表面構造物401の一例である。ある特定の実施形態では、多孔性または縦型ナノワイヤのフォレスト型表面構造物などの粗表面構造物を、より選択的には露出したAuアイランド領域上に、RFプラズマまたはDCプラズマエッチング(またはスパッタエッチング)処理によって形成することができる。絶縁マスク層材料の完全なプラズマエッチングを最小化するように、プラズマエッチングの強度および継続時間を調整することができる。レジスト層の厚さは約3nmから約20nmであってよく、この厚さを調整してマスク層の完全なプラズマエッチングを和らげることができる。
【0054】
表面積が増加した粗表面は、例えばAuイオンビームを使用することによる、イオン注入によっても作製することができる。イオンビーム注入によって形成された粗表面の一例を
図4(c)中の表面441として示している。しかしながら、加速場およびイオン注入の総量によって定められるイオンの貫通深さに応じて絶縁コーティング下のAu電極ベースにイオン注入損傷が起こり得る。そのため、絶縁レジストコーティングは、イオン注入下のAu表面を必ずしも保護しない。しかしながら、絶縁層は粗面化電極表面を覆ったままなので、露出したアイランド領域以外の区画にある生じた粗面化表面はシークエンシングの作動に影響しない。本開示の様々な実施形態では、事後焼なましのステップがイオン注入に後続し得る。
【0055】
図4(d)に示されるように、Auアイランドの表面積を増加させるために使用される別の実施形態は、露出したAu領域にAuナノ粒子421を付着させることを含む。Au電極に付着したAuナノ粒子は表面積を増加させ、強化された生体分子付着をもたらす。様々な例では、公知の方法によって作られた直径約1nmから約2nmのAuナノ粒子は、露出領域内において生来的にAu電極に優先的に付着する傾向がある。そのため、このように積層されたAuナノ粒子は、任意選択で、約200から約500℃で焼なましされ得る。絶縁層48がセラミックベースの場合(例えば、絶縁層がAl
2O
3またはSiO
2を含む場合)に限り、より高い温度を使用することができる。これらの温度での事後焼なましは、露出したAu表面へのAuナノ粒子の接着を改善する。粒子誘発性の多孔性構造物の一例は、例えば
図3(a)に示されている。
【0056】
図4(e)は、露出したAuアイランド表面の表面積を増加させるプロセスの別の実施形態を表し、これは室温またはその近くにてAuおよびFeが示す非混和性を活用する。このプロセスのために、例えば、スパッタリングまたは蒸着によって約50重量%のAuおよび50重量%のFeを有するAu−Fe合金から電極ベース層を作ることができる。室温に近付くにつれて、合金相は、析出したFeナノ粒子を組み込んだAuマトリックス中に分離する。次いで、Feナノ粒子をエッチングで取り去って多孔性のAuマトリックスを後に残すことができる。この種類のエッチング誘発性の多孔性構造物の一例を
図3(b)に示している。Au−Si、Au−Ge、Au−Bi、Au−Co、Au−Mo、Au−Rh、Au−Ru、Au−Wなどの他のAuベース合金はAu−Fe合金と同様に振る舞うので、これらを使用することができる。高温での焼なまし(例えば、200〜600℃で10分〜12時間)は相分離を増進する。相分離を増進する別の方法は、150〜400℃などの温かい基板温度にて、任意選択でバイアス電圧の印加と共に、スパッタ堆積または蒸着を行うことである。
【0057】
図4(f)は、脱合金を含むAuアイランド表面の表面積を増加させるために使用されるプロセスの別の実施形態を示す。最初に、スパッタリングまたは蒸着などによって各露出領域44中に、Au含有量が約20〜80重量%のAu−Ag、Au−Cu、または他のAuベースの合金層を積層することによってプロセスは始まる。これに続いて、30%のHNO
3または他のエッチャントなどを使用することによって非Au金属の強い化学エッチングがなされる。このような脱合金プロセスは表面からAgまたはCuを除去し、高度に多孔性の構造物を後に残す。このような脱合金技術は、電子的シークエンシングデバイス中のAuナノアイランドに適用された時に、有意な表面積の増加およびこれに関連して生体分子接着の改善をもたらす。
【0058】
図4(g)に、タンパク質またはDNAなどの生体分子42の強化された付着のために、表面積が増加したAuアイランド(例えば、
図4(b)〜(f)に例示されるプロセスにより得られるものなど)をどのように利用できるかの一実施形態を示す。
【0059】
様々な実施形態では、平坦かつ滑らかなAuアイランド構造物に対して、上表面またはその近くにおけるAuアイランドの表面積を少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、よりいっそう好ましくは少なくとも60%増加させるために、分岐または多孔性として特徴付けられるAuアイランド領域内の体積による多孔度(volume of porosity)は、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、よりいっそう好ましくは少なくとも50%である。
【0060】
続けて図面を参照すると、
図5は、Pt、Rh、またはAuなどの電極上にAuアイランドを製造する方法の3つの実施形態を示す。ナノギャップ50により隔てられた電極対を用いてプロセスは始まる。これらのイラストレーションのそれぞれにおいて、SiO
2絶縁体表面を有するSiなどのデバイスの下地基板は明瞭性の目的から示していない。第1の実施形態(1)は、生体分子(例えば、タンパク質またはDNA断片)の付着ができないPtベース電極を利用しているため、生体分子は電極ではなくAuアイランド領域のみに接着する。より小さい直径のAu501を得るために、パターニングしたAuアイランド51を加熱してより小さい直径のスフェア501に丸め込む。電気抵抗がより低く(Rhは約4.5uΩ.cmであるのに対し、Ptは9.8uΩ.cm、Auは2.1uΩ.cm)、望ましくない生体分子付着の傾向が低いため、Rh電極も有用な選択肢である。また、Ptとは異なり、RhはAuとの相互溶解性がない(または非常に小さい)ため、合金の混合が最小化される。
【0061】
第2の実施形態(2)は、全てのAu電極構成を使用し、これはAu電極が長方形形状に配置されるが、電極の端部のアイランド様領域を除いて大部分の表面が絶縁体コーティング58によってマスクされる。絶縁体コーティング58は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、もしくはこれらの組合せ、水素シルセスキオキサン(HSQ)、またはAl
2O
3、SiO
2などの様々な酸化物コーティングもしくはSi
3N
4コーティングなどの窒化物コーティングを含み得る。
【0062】
第3の実施形態(3)は、鋭い先端部の幾何学形状を有するテーパー形状のAu電極を製作し、次いで電極の鋭い先端部を除いて全ての他の領域において電極表面の大部分を絶縁体層580によってマスキングすることを含む。PEGおよびPDMSは、タンパク質および細胞に対して顕著に非接着性の特徴を有しており、これは、Auアイランド以外の場所でのタンパク質接着が望ましくない電子的シークエンシングデバイスにとって追加の利点であり得る。
【0063】
生体分子の接着はAuアイランドのサイズに依存するため、Auアイランドのサイズの制御はシークエンシングデバイス中の生体分子の固定にとって決定的に重要である。様々な実施形態では、最適なAuアイランドサイズは直径約5から約9nmである。Auアイランドの直径が大きすぎるまたは小さすぎると、生体分子の再現性のある強い接着ができない。よって、本開示の様々な態様では、Auアイランドの直径を簡便に制御するために使用される技術が示される。
【0064】
続けて図面を参照すると、
図6は、漸進的なAuアイランドの直径の低減プロセスを示す。該方法は、
図6(a)から
図6(f)に進む、繰返しの「球状化」(丸め込み)および上部エッチングを含む。イラストレーション中、明瞭性の目的から各電極対の左側の電極のみを示している。さらに、下地デバイス基板は明瞭性のために示していない。繰返しの球状化およびアイランド上部エッチング除去プロセスを用いることによって、直径約5nmから約9nmのはるかに小さい直径のAuアイランド641をより容易に達成できる。プロセスの最初のステップでは、まず、PtまたはRh電極69上に、スパッタリング、イオンビーム堆積法、蒸着、パルスレーザー堆積法、または他の方法によって薄いAu膜(例えば、厚さ1〜10nm;図示せず)を積層し、次いでそれをナノパターニング(例えば、ナノインプリンティングまたは他のリソグラフィーの方法による)して、
図6(a)に示される画定された円形または楕円形の膜の幾何学形状61を作製する。続いて焼なましにより、Au領域を球状に丸め込んでより小さい直径のAuアイランド601とする。焼なましは、気体タイプの還元雰囲気を作るアルゴン、窒素などの雰囲気下、約200から約400℃で約10分から12時間の時間行い得る。次いで、丸め込まれたAuアイランド601を高さの低減のために(例えば、イオンミリング、スパッタエッチング、マスキング、および化学的溶解エッチングなどによる)化学的またはプラズマエッチングに供して、より平坦なAuアイランドの幾何学形状611を作る。続いて球状化焼なましにより、Auアイランドの直径をさらに低減し、Au球状アイランド621をもたらす。エッチングおよび球状化焼なましのステップを再び繰り返して、Auアイランド621を631に、次いで641に変換させる。
【0065】
図面を参照すると、
図7(a)は、磁気的誘引が全ての電極表面の選択位置に同時により堅固な生体分子(タンパク質またはDNA断片)の接着を提供する、シークエンシングデバイスを形成するためのプロセスの一実施形態を示す。図の最上部に示されるように、ナノギャップ70により隔てられた電極を有する電極対を用いてプロセスは始まる。ラッチ可能な磁気ストライプ785(例えば、FeCrCoもしくはFeCuNiのスピノーダル合金に基づく薄膜ステンレス磁性合金、または他の腐食抵抗性の磁石合金など)をAu電極表面790上に積層する。保磁力(Hc)を伴う磁気的硬さは、浮遊磁場による偶発的な磁化に対する防護のために10エルステッド(Oe)より高く選択されるが、磁性ナノ粒子を誘引するまたは誘引しないためのより容易な磁化または消磁のために100Oe未満とする。次いで、絶縁体スペーサー層780のナノパターニングを使用して、良好な電気的接続で磁性ナノ粒子を強くかつ確実に接着できる露出区画74を作製する。
【0066】
電子的シークエンシングデバイスの準備が整ったら、例えばフェライト磁石または電磁石を使用して、100〜1,000Oeの場の外部印加磁場によって磁気層を磁化する。次いで、周囲のマイクロ流体チャンバーを使用して、既に磁性ナノ粒子71でタグ付けされた生体分子72を含む液体媒体を導入する。磁性ナノ粒子を結合した生体分子は、抗体−抗原結合、ストレプトアビジン−ビオチン結合、ペプチド結合、もしくは電荷誘引、または他の結合アプローチを含み得る。次いで、
図7(a)の下図に示されるように、生体分子72を付着した磁性粒子71を磁気ストライプ791の露出区画に誘引し、磁気的および電気的にアンカリングする。また、任意選択で、様々な制御目的のために、生体分子に中間のAuナノ粒子を挿入してもよい。
【0067】
生体分子にタグ付けされる磁性ナノ粒子は、Fe
2O
3、Fe
3O
4、または、Fe、Co、Ni、およびこれらの合金を含めて酸化鉄より高い磁気モーメントを有する表面保護されたもしくは表面機能化された金属磁性粒子から選択することができる。酸化物ベースの磁性ナノ粒子は化学的に安定であるが、金属ベースの磁性ナノ粒子は、2〜4倍高い磁気モーメントを有するとはいえ、ゲノムシークエンシングの液体環境中で化学的安定性を欠くことがある。酸化に対する保護コーティングとしてわずかな表面酸化は望ましい。代替的には、磁性ナノ粒子の表面をAuコーティングして、化学的安定性、ならびに強化された電気伝導性および生体分子へのより強い親和性を提供することができる。
【0068】
所望の磁気的誘引および生体分子付着が起こったら、マイクロ流体チャンバー中の液体媒体を洗浄して未結合の生体分子を除去し、次いでシークエンシング電子測定を行って完了することができる。このような磁気的付着技術の特色は、生体分子付着の可逆性、すなわち必要に応じて生体分子を容易に脱着することである。磁気ストライプ(電極上の磁気層の部分)は、(例えば、60HzのAC場を使用して数秒のうちに200Oeから0近くの場まで徐々に磁場を減少させることによって)容易に消磁できるので、所望のシークエンシング測定が完了したら、例えば、掃引する永久磁石を使用して全ての磁性粒子および関連する生体分子を脱着および回収し、これらを廃棄することによって、全ての磁気的に付着した生体分子を完全に除去できる。このようにして、シークエンシングデバイスは再使用可能であり、例えば、該デバイスは、少なくとも10回、少なくとも100回、または少なくとも1,000回さえも再使用できる。
【0069】
Auベース電極の代わりにナノギャップ700によって隔てられたPt、Pd、またはRhベース電極対を利用する改良方法が
図7(b)に示されている。この方法では、薄いAuコーティング785を磁気層790の表面の上部に加えて生体分子のより良好な付着を可能としている。下にある磁気層は露出表面の非常に近くに位置するので、Au層は、ナノ粒子と下地の磁気ストライプとの間の磁気的誘引に著しい影響を及ぼさない。
図7(a)に示される実施形態によると、露出領域740はレジスト層780のeビームまたはナノパターニングによって作られる。次いで、デバイスは、磁性ナノ粒子710でタグ付けされた生体分子720の溶液で満たされ、磁性ナノ粒子710はAu層791に結合し、下地の磁気ストライプに磁気的に誘引される。
【0070】
超並列Au先端部露出電極アレイを
図8に示す。
図8(a)に示されるように、最初に、テーパー状または鋭い先端部のAu電極領域89をナノインプリンティングまたは他のリソグラフィーによって作り、多くの電極対をアレイ状にする。SiO
2表面絶縁体を有するSiなどの基板材料は明瞭性の目的から示していない。
図8(b)に示されるように、次いでAu電極89は積層されたマスク層880によってマスクされ、次にマスク層880はパターニングされて、電極の他の領域上の望まない生体分子付着を軽減するために電極のまさに先端部890を除いて電極表面積の大部分を覆う。この目的のための絶縁体膜は、例えば、PMMA、PEG、PDMS、Al
2O
3、SiO
2、またはSi
3N
4を含み得る。このようにして露出したままとされたAu電極先端部890の望ましい寸法は直径約5〜9nmである。各電極はリード線802および820をさらに含む。例えば10,000より多くのデバイスといった、
図9に詳述されるような多数のデバイスを同時に製作するために、ナノインプリンティングが可能である。様々な実施形態では、超並列電極アレイは、少なくとも1,000、好ましくは少なくとも10,000、よりいっそう好ましくは少なくとも百万のデバイスを含み得る。
【0071】
ヌクレオチドの付着または脱着事象の超並列の標識フリーの検出用のAuナノ先端部構造化電極対90の例示的なアレイ(例えば、100×100のデバイスアレイまたは1,000×1,000のアレイ)を
図9に示しており、これは電極対ギャップ区画の近くにパターン画定された露出したAu電極先端部990(または生体分子の固定化のために活性化された他の導体アイランド)を有する。リード線920は、パターニングしたトップコーティング98を用いて絶縁されたAuまたは任意の他の導体(例えば、Ag、Cu、Pt、Pd、またはRh)であり得る。ヌクレオチドの付着または脱着の標識フリーの検出用の全ての電極対は絶縁体膜98(例えば、PMMA、PEG、PDMS、またはSiO
2、Al
2O
3、もしくはSi
3N
4)によってマスクされて、図に示されるように、電極先端部990を除いてAu電極表面を覆う。ヌクレオチド付着の監視は、示されるような個々のリード線920を含む
図9に例示されるアレイ構造物構成を使用してリアルタイムで行うことができる。
【0072】
図10に示されるアレイ構成を使用する電子的信号監視の代替的な実施形態が可能である。この構成では、デバイス1000のアレイの電極対の右側からの全てのリード線は共通のリード線1020に短絡している。アレイは、露出したAu先端部1009を除いて電極アレイの大部分を覆う絶縁体層1008も含む。図示した構成を使用して、ヌクレオチド付着の監視は、共通のリード1020に短絡した全てのリード線の右側を用いて順次的に監視すること、および次いで例えばミリ秒毎に1つずつ、対の左側に存在する個々の電気的リード線1021の使用に移行することを含む。この方法は、何千もの並列信号を全て一度に取り扱うよりも複雑性が小さい電子的測定をもたらす。
【0073】
分子エレクトロニクスゲノムシークエンシングプラットフォームの例示的な三次元アレイを
図11に示す。先行する2つの図中の実施形態の通り、ポリマーまたは酸化物層(例えば、PMMA、PEG、PDMS、酸化アルミニウム、酸化Si、窒化Siなど)などの電気絶縁トップコーティング1108を塗布およびパターニングして、電極のまさに先端部1109を除いて電極対1100中の全ての電極表面を覆う。この保護コーティングは電気絶縁体としてはたらくが、望まない位置での生体分子の接着を防止または最小化するコーティングとしてもはたらく。
図10の構成の通り、右側の電極リードは共通のリード線1120に短絡していてもよく、左側のリード線1121は順次的な監視のために単独で残されてもよい。
【0074】
分子エレクトロニクスゲノムシークエンシングプラットフォームの三次元アレイを表す
図11に示されるものなど、
図9または
図10の類型の空中線アレイシークエンシング構造物を三次元に堆積すれば、いっそう大きいデータを得ることができる。3Dアレイは、各二次元アレイ(
図11(a)に示されるように、100から1,000層であって、それぞれが約10,000のデバイスおよびマイクロ流体チャンバーを含む)用の付随するマイクロ流体チャンバーをさらに含み、または代替的な実施形態では、三次元アレイ全体を入れる1つもしくは複数の共通のマイクロ流体チャンバー(
図11(b)に示されるように、100から1,000層の感知層であって、それぞれが約10,000のデバイスを有し、全てが1つのマイクロ流体チャンバー中に入れられる)を含む。このような3D構成では、極めて迅速なDNAまたはゲノムシークエンシングのために、少なくとも百万から十億のデバイスを同時に作動できる。電子的シークエンシングペアデバイスの望ましい詰め込み密度は、少なくとも10,000/cm
2、好ましくは少なくとも100,000/cm
2、より好ましくは少なくとも1,000,000/cm
2、よりいっそう好ましくは少なくとも10,000,000/cm
2である。
【0075】
本開示によるゲノムまたはDNAシークエンシング構造物およびシステムが
図12のフローチャートにおいて説明されている。適切な制御および信号解析/統合ソフトウェアおよびコンピュータシステムが組み込まれており、マイクロ流体システムが、シークエンシングされるDNAおよびヌクレオチドと共に生体分子およびカップリング剤を使用する超並列電子的検出システムに接続されている。
【0077】
様々な実施形態では、DNAまたはゲノムシークエンシング構造物は、電極対のアレイを含み、対中の各電極が、ナノギャップにより隔てられ、かつ接触抵抗が低減した強い接着性および高い導電性のアイランド、ならびに生体分子を含み、生体分子は、その末端のそれぞれを用いて1つの導電性アイランド上に堅固に付着してナノギャップを架橋し、導電性アイランドは、Au電極上にナノパターン画定されたAuを含み、Auアイランドの寸法はサブ10nmであり、ヌクレオチド付着に対するDC、RF、またはパルス信号を使用するが、蛍光要素を使用しないDNAまたはゲノムシークエンシングの電子的手段をさらに含む。
【0078】
様々な実施形態では、非Au電極ベースのDNAまたはゲノムシークエンシング構造物は、電極のアレイ、ならびに、接触抵抗が低減した強い接着性および高い導電性のAuまたは他の導電性アイランドを含み、生体分子は一対の導電性アイランド上に堅固に付着しており、Auアイランドの寸法はサブ10nmであり、電極ベース材料は、Pt、Pd、Rh、およびAgから選択されるものであり、DNAまたはゲノムシークエンシングの電子的手段は、ヌクレオチド付着に対するDC、RF、またはパルス信号を使用するが、蛍光要素を使用しない。
【0079】
様々な実施形態では、接着性導体は、Auアイランドの直径の少なくとも50%、好ましくは100%の接触面積を電極表面に対して有するAuによって作られる。
【0080】
様々な実施形態では、平坦および滑らかなAuナノアイランド構造物に対して少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、よりいっそう好ましくは少なくとも60%、金アイランドの上表面の表面積を増加させるために、接着性金ナノアイランドは、少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、よりいっそう好ましくは少なくとも50%の多孔度を有して分岐または多孔性である。
【0081】
様々な実施形態では、Auアイランドの表面積の増加は、i)プラズマエッチング、ii)イオン注入および任意選択の焼なまし熱処理、iii)金(Au)ナノ粒子の付着および結合、iv)ナノコンポジット構造物からの非Au成分の選択的な分解、またはv)脱合金プロセスというリストから選択される1つまたは複数の方法によって得られる。
【0082】
様々な実施形態では、構造物は、ナノインプリンティングリソグラフィー、シャドウマスクパターニング、電子ビームリソグラフィー、極UVリソグラフィー、またはX線リソグラフィーなどのナノパターニングアプローチから選択される1つまたは複数の方法によって製作された少なくとも1,000、好ましくは少なくとも10,000、よりいっそう好ましくは少なくとも百万のデバイスを有する並列デバイスを含む。
【0083】
様々な実施形態では、構造物は、マイクロ流体システムと組み合わせて少なくとも10,000、好ましくは少なくとも百万、よりいっそう好ましくは少なくとも1億のデバイスを有する多層のデバイスを含む。
【0084】
様々な実施形態では、電極の順次的な監視は、デバイスアレイのリード線の片側が共通のリード線に取り付けられた接続構造物によって可能とされる。
【0085】
様々な実施形態では、生体分子は、抗体−抗原連結、ストレプトアビジン−ビオチン連結、ペプチド結合、チオール−金結合、金結合タンパク質、または他の連結構成を使用してAuアイランドに付着する。
【0086】
様々な実施形態では、ゲノムまたはDNAシークエンシングシステムは、本明細書中に記載の数多くの生体分子感知デバイスを含有するチャンバー、ならびに、生体分子、ヌクレオチド、PBS、または水溶液、および他の必要な材料を供給または維持するマイクロ流体サブシステムを含む。
【0087】
様々な実施形態では、Auアイランドの直径は、繰返しの球状化焼なましおよび上部エッチングによって漸進的に低減され、該プロセスでは、球状化ならびに高さおよび直径を低減するための上部エッチングの部分が少なくとも2サイクル繰り返される。
【0088】
様々な実施形態では、高さを低減するエッチングは、化学エッチングまたはプラズマエッチングを含む。
【0089】
様々な実施形態では、構造物は、磁性粒子タグ付け生体分子の付着を強化するために、追加された磁気層を含み、腐食速度が少なくとも50%低減された抗腐食保護、および/または生体分子付着の可能性が少なくとも50%増加した生体分子への強化された親和性のために、天然の化学的安定性を有する酸化物材料、または薄い酸化物もしくは金で表面をコーティングされた金属合金材料に基づく磁性粒子を有する。
【0090】
様々な実施形態では、磁性粒子は、Fe
2O
3、Fe
3O
4、酸化鉄より高い磁気モーメントを有する表面保護されたまたは表面機能化された金属磁性粒子(Fe、Co、Ni、およびこれらの合金が挙げられる)から選択される。
【0091】
様々な実施形態では、磁気層を磁化または消磁することによって、生体分子の磁気的に誘引された付着を可能とするか、または永久磁石の掃引による付着した生体分子の除去および一掃を可能として、少なくとも10回、好ましくは少なくとも1,000回、シークエンシングデバイスを複数回繰り返して作動させることができるようにする。
【0092】
様々な実施形態では、
図1〜12およびその詳細な説明に関連する組立て方法、作動方法が開示される。
【0093】
様々な実施形態では、DNAシークエンシング用のこれらのデバイス構造物はがんの検出および他の医学的用途のために使用できる。
【0094】
様々な実施形態では、これらのデバイスはヒトゲノムシークエンシングのために使用できる。
【0095】
上述の実施形態は単に本発明を例示するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の精神に従うあらゆる等価な改良または変形もまた本発明の範囲内に含まれる。