(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係るプラグは、商用電源のコンセントに直接差し込んで使用するものであって、できる限りコンパクトであることが望ましい。しかし、上記特許文献2に示すように、3極のコンセント部が一列に並べて配置されると、並べられた方向にプラグの筐体が必然的に長くなってしまう。
【0006】
これに対し、3極のコンセント部を、筐体の互いに異なる面に設けることも考えられる。しかし、アース端子と電源端子とを確実に絶縁させるためには、アース端子と電源端子との間隔をある程度開ける必要がある。すると、3極のコンセント部を単に筐体の異なる面に配置したとしても、筐体のサイズが必然的に大きくなるおそれがある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、3極のコンセント部それぞれを筐体の異なる面に配置しつつも、筐体の小型化が実現できるプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るプラグは、商用コンセントに差し込まれる電極プラグを備えたプラグであって、前記電極プラグが突設された面以外の面のうち、互いに交差する面それぞれに第1コンセント部及び第2コンセント部が設けられた筐体と、前記筐体内部に配設され、前記第1コンセント部に差し込まれる電源栓刃に沿って延設された第1電源刃受け部と、前記第2コンセント部に差し込まれる電源栓刃に沿って延設された第2電源刃受け部と、を有する電源用刃受けと、前記筐体内部に配設され、前記第1電源刃受け部付近において該第1電源刃受け部及び前記第1コンセント部に差し込まれるアースピンに沿って延設された第1アース刃受け部と、前記第2電源刃受け部付近において該第2電源刃受け部及び前記第2コンセント部に差し込まれるアースピンに沿って延設された第2アース刃受け部と、を有するアース用刃受けと、前記筐体内部において、前記第1アース刃受け部の延設方向周りに該第1アース刃受け部を囲うと共に前記第2アース刃受け部の延設方向周りに該第2アース刃受け部を囲うようにして配設され、前記電源用刃受けと前記アース用刃受けとの所定の沿面距離を確保するための絶縁部材と
、前記筐体における前記電極プラグが突設された面に設けられ、アース端子の機能を有する圧着端子とを備
え、前記第1電源刃受け部は、差し込まれた電源栓刃の差し込み方向先端部を覆い、前記第2電源刃受け部は、差し込まれた電源栓刃の差し込み方向先端部を開放し、前記第1電源刃受け部及び前記第2電源刃受け部は互いに異なる方向に延びると共に、前記第2電源刃受け部における前記差し込まれた電源栓刃の前記差し込み方向先端部を開放する端部は、前記第1電源刃受け部の側方に近接配置され、前記第1アース刃受け部は、差し込まれたアースピンの差し込み方向先端部を開放し、前記第2アース刃受け部は、差し込まれたアースピンの差し込み方向先端部を覆い、前記第1アース刃受け部及び前記第2アース刃受け部は互いに異なる方向に延びると共に、前記第1アース刃受け部における前記差し込まれたアースピンの前記差し込み方向先端部を開放する端部は、前記第2アース刃受け部の側方に近接配置され、前記アース用刃受けは、前記第1アース刃受け部及び前記第2アース刃受け部が固定されるアース端子板をさらに有し、前記アース端子板は、前記圧着端子と接続され導通している。
【0009】
ここでは、電源用刃受けは、第1電源刃受け部及び第2電源刃受け部を有し、アース用刃受けは、第1アース刃受け部及び第2アース刃受け部を有する。このうち、第1コンセント部は、第1電源刃受け部と第1アース刃受け部とにより構成され、第2コンセント部は、第2電源刃受け部と第2アース刃受け部とにより構成される。この構成により、互いに交差する面それぞれに、3極のコンセント部それぞれを配置する構成が実現できている。特に、アース用刃受けを囲む絶縁部材により、アース用刃受けと電源用刃受けとの距離を物理的に開けずとも、絶縁に必要な電源用刃受けとアース用刃受けとの沿面距離が確保されている。これにより、確実な絶縁が実現できる。従って、3極のコンセント部それぞれを、筐体の異なる面に配置しつつも、筐体の小型化を実現することができる。
【0010】
また、前記第1コンセント部の正面視において、前記絶縁部材によって囲まれた前記第1アース刃受け部は、一対となる前記第1電源刃受け部の間に位置し、前記第2コンセント部の正面視において、前記絶縁部材によって囲まれた前記第2アース刃受け部は、一対となる前記第2電源刃受け部の間に位置していてもよい。
【0011】
ここでは、絶縁部材により、第1電源刃受け部同士及び第2電源刃受け部同士の沿面距離も確保されるため、より確実な絶縁が可能となる。
【0012】
また、前記第1コンセント部及び前記第2コンセント部は、前記筐体の面のうち、互いに垂直である面に設けられていてもよい。
【0013】
このように、互いに直角となる面に、第1コンセント部及び第2コンセント部を配置することができる。
【0014】
また、前記第1電源刃受け部は、差し込まれた電源栓刃の差し込み方向先端部を覆い、前記第2電源刃受け部は、差し込まれた電源栓刃の差し込み方向先端部を開放していてもよい。
【0015】
これにより、第2電源刃受け部に差し込まれた電源栓刃の先端部分は、第1電源刃受け部に差し込まれた電源栓刃に近接する形となる。即ち、プラグは、電源栓刃同士を限界まで近づける構成となっている。そのため、両電源刃受け部が電源栓刃を覆う構成である場合よりも、プラグの筐体をより小型化することができる。
【0016】
また、前記第1アース刃受け部は、差し込まれたアースピンの差し込み方向先端部を開放し、前記第2アース刃受け部は、差し込まれたアースピンの差し込み方向先端部を覆っていてもよい。
【0017】
これにより、第1アース刃受け部に差し込まれたアースピンの先端部分は、第2アース刃受け部に差し込まれたアースピンに近接する形となる。即ち、プラグは、アースピン同士を限界まで近づける構成となっている。そのため、両アース刃受け部がアースピンを覆う構成である場合よりも、プラグの筐体をより小型化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、3極のコンセント部それぞれを筐体の異なる面に配置しつつも、筐体の小型化を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態は、本質的に例示にすぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
≪実施形態≫
(プラグの概要)
本実施形態に係るプラグ10は、工事現場や建物に設置されたコンセント(商用コンセント)と負荷機器とを電気的に繋ぎ、当該負荷機器において漏電が発生した場合にはこれを瞬時に検知して商用電力の負荷機器への供給を遮断する漏電検知遮断器である。特に、プラグ10は、上記コンセントが、アースピン差込穴がある3極コンセントである場合及びアースピン差込穴のない2極コンセントである場合の両方において、アダプタなしで使用できるプラグとなっている。
【0022】
なお、以下では、プラグ10がコンセントに差し込まれた状態において、手前側を向くプラグ10の面を「正面」、コンセントと対向する面を「背面」と呼称する。プラグ10がコンセントに差し込まれた状態を基準に、「上」、「下」、「左」、「右」の各方向を定義する。
【0023】
図1及び
図2に示すように、プラグ10における筐体20の正面21には、上から下に向かって順に、電源表示部21a及び極数表示部21b、商用電力の負荷機器への供給をオンさせるためのONボタン21c、プラグ10が正常動作するか(即ち、漏電発生の際に負荷機器への商用電力の供給が遮断されるか)を確かめるためのテストボタン21d、が設けられている。
図1では、電源表示部21aが極数表示部21bよりも左側面28L側に位置している場合を例示している。
【0024】
更に、筐体20の正面21の下部及び底面23には、上記負荷機器との接続口となる3極コンセント部31,33が1つずつ設けられている。筐体20の背面24には、上記コンセントに差し込まれるための差し込みプラグ25が設けられている。つまり、プラグ10は、筐体20の正面21を手前側として差し込みプラグ25が上記コンセントに差し込まれ、且つ3極コンセント部31,33に負荷機器のプラグが差し込まれることで、上記コンセントと上記負荷機器とを電気的に繋ぐ。
【0025】
プラグ10の背面24における差し込みプラグ25の下方且つ左側面28L寄りの位置には、プラグ10のアース端子の機能を有する圧着端子26が設けられている。筐体20の左側面28Lのうち上面22寄りには、差し込みプラグ25の極数切換のための解除ボタン28aが設けられている。
【0026】
このようなプラグ10では、ONボタン21cを押下して差し込みプラグ25が上記コンセントに差し込まれた際、電源表示部21aが点灯する。すなわち、電源表示部21aは、通電状態を表示するためのものであって、プラグ10を介してコンセントと負荷機器等との間における通電が可能な状態となると、電源表示部21aは点灯する。これにより、プラグ10を使用するユーザは、商用電力が正常に導通されていることを把握することができる。上記コンセントと上記負荷機器とが電気的に接続された状態にて、負荷機器側にて過電流または漏電が生じた場合、商用電力の負荷機器への供給はプラグ10内にて遮断され、ONボタン21cが押下状態から正面側に突出遷移し、電源表示部21aは消灯する。これにより、ユーザは、過電流または漏電が生じたことを把握することができる。
【0027】
また、テストボタン21dが押下されると、筐体20内部では擬似的に地絡状態が作り出され、3極コンセント部31,33への電力の供給が経たれる。この場合にも、電源表示部21aは消灯する。これにより、ユーザは、プラグ10が正常に動作していること(テストが正常に行われたこと)を把握することができる。
【0028】
過電流または漏電が生じた後、及びテストボタン21dによるプラグ10の動作確認が終了した後は、ONボタン21cが再度押下されることにより、プラグ10は再び漏電検知遮断器として使用することが可能となる。
【0029】
また、プラグ10を上記コンセントに差し込む際、コンセントが2極用であればプラグ10の差し込みプラグ25を2極とし、コンセントが3極用であれば差し込みプラグ25を3極とする必要がある。解除ボタン28aは、コンセントが3極用であるにも関わらず差し込まれる差し込みプラグ25が2極の状態であることを防止するためのものであって、極数表示部21bは、差し込みプラグ25の極数の状態を表すものである。
【0030】
具体的に、差し込みプラグ25は、2本の電極プラグ25aと1本のアースプラグ25bとで構成されている。解除ボタン28aの押下の有無にかかわらず、2本の電極プラグ25aは、常に背面24から突設されている。アースプラグ25bは、解除ボタン28aが押下されていない状態では、筐体20内でロックされた状態であり、2本の電極プラグ25aと概ね平行に背面24から突設されている。解除ボタン28aが押下されると、アースプラグ25bのロックは解除され、アースプラグ25bは筐体20内に収納可能な状態となる。
【0031】
それ故、解除ボタン28aが押下されていない状態では、差し込みプラグ25は、3極の状態を維持する。この状態のプラグ10は、3極コンセントに差し込むことができる。
【0032】
一方、2極コンセントにプラグ10を差し込む際、ユーザは、解除ボタン28aを押し続けながらプラグ10を2極コンセントに差し込む。この際、ロック解除されたアースプラグ25bの先端がやがて2極コンセントの表面に当接した状態となる。なおもプラグ10が2極コンセントに差し込まれていくことで、アースプラグ25bには、2極コンセントへの差し込み方向とは逆の方向に力がかかり、アースプラグ25bは筐体20内に収納される。この際、極数表示部21bには、差し込みプラグ25が2極の状態である旨を示す色が表示される。
【0033】
2極コンセントに差し込まれているプラグ10が該コンセントから引き抜かれると、アースプラグ25bは自動的に筐体20の背面24から突出し、差し込みプラグ25は
図1の状態(3極の状態)に戻る。この際、極数表示部21bには、差し込みプラグ25が3極の状態である旨を示す色が表示される。
【0034】
(コンセント部に関する詳細構成)
以下、コンセント部31,33に関する構成について、
図2〜
図7を用いて説明する。
【0035】
図1及び
図2に示すように、プラグ10は、上述した筐体20に加え、電源用刃受け81,85と、アース用刃受け90と、負荷絶縁壁99(絶縁部材に相当)とを備える。
【0036】
−筐体−
筐体20は、
図1及び
図2の上下(X方向)に細長い中空の形状を有する。
【0037】
具体的に、筐体20は、
図1のZ方向の中央部分でZ方向に2つの部材に分離可能となっている。
図2は、筐体20が、2つの部材である前カバー20a及び後カバー20bに分離された状態を表す。前カバー20a及び後カバー20bは、それぞれの開口同士を対向させた状態で、前カバー20aの左側面28Lの端部に設けられた係合爪部と、該係合爪部と対応する位置に設けられた後カバー20bの係合凹部とが嵌合される。前カバー20a及び後カバー20bは、図示しないタッピングねじにより、後カバー20bの背面24側から4隅にねじ止めされ固定される。これにより、筐体20は、
図1に示す状態となり、筐体20内部には、閉空間が形成される。
【0038】
図2に示すように、前カバー20aは、筐体20の正面21及び底面23の全て、上面22及び両側面28L,28Rの一部分を形作っている。後カバー20bは、筐体20の背面24の全て、上面22及び両側面28L,28Rの残りの部分を形作っている。後カバー20bは、仕切り板20baを有する。仕切り板20baは、左側面28Lから右側面28RにかけてY方向に延びており(
図3参照)、後カバー20b内を
図2の上下方向(X方向)に2つに仕切っている。
【0039】
前カバー20aには、各表示部21a,21bが設けられると共に、各ボタン21c,21d,28aがプラグ10の外方に露出した状態で設けられる。前カバー20aの正面21上には、ボタンキャップと銘板とが順に載置されている。ボタンキャップは、ゴム等のフレキシブルな絶縁性の部材で構成されており、各ボタン21c,21dの配置位置を含む正面21一部分において、該ボタン21c,21dを覆うようにして配置されている。銘板は、各表示部21a,21b及び各ボタン21c,21dそれぞれが何であるのかを記した平板である。銘板は、これらの表記がされた面を手前側として、ボタンキャップ上から、正面21の概ね全体を覆っている。
【0040】
特に、前カバー20aの正面21における下部には、3極の差し込み口1つが第1コンセント部31として設けられ、正面21と概ね垂直な底面23には、3極の差し込み口1つが第2コンセント部33として設けられている。つまり、差し込みプラグ25の突設面(背面24)以外の筐体20の面21,23に、第1コンセント部31及び第2コンセント部33が1つずつ設けられている。第1コンセント部31及び第2コンセント部33は、前カバー20aが後カバー20bに
図1の状態にて固定された際に、後カバー20bの仕切り板20baよりも底面23側に位置していると言える。
【0041】
図3に示すように、筐体20の内部には、絶縁板29a、漏電を検知して遮断する回路が実装されたプリント基板29b、アースプラグ25bを筐体20の外方に突出させたり筐体20内に収納したりする機構29c等が収納されている。絶縁板29aは、仕切り板20baよりも上面22側に位置し、仕切り板20baに沿って延びた板状部材である。プリント基板29bは、絶縁板29a近傍且つ絶縁板29aよりも上面22側に位置している。絶縁板29aにより、各コンセント部31,33からの電気的な干渉をプリント基板29bが受けることが抑制されている。
【0042】
更に、筐体20内部のうち、第1コンセント部31及び第2コンセント部33に対応する部分には、アース用刃受け90、負荷絶縁壁99(絶縁部材に相当)、電源用刃受け81,85が、この順で積層されるようにして配設されている。
【0043】
−電源用刃受け−
電源用刃受け81,85は、各コンセント部31,33に負荷機器の電源プラグ170,180(
図5参照)が差し込まれた際、当該プラグ170,180の電源栓刃182,186,183,187を挟持するためのものであって、導電性の比較的良好な金属(銅等)によって形成されている。
図3において、筐体20の右側面28R側に電源用刃受け81が配置され、筐体20の左側面28L側に電源用刃受け85が配置される。電源用刃受け81及び電源用刃受け85は、筐体20内部に配設された際、
図3に係るX方向に延びる破線L1に対し、左右対称となっている。
【0044】
具体的に、電源用刃受け81は、第1電源刃受け部82及び第2電源刃受け部83を有し、電源用刃受け85は、第1電源刃受け部86及び第2電源刃受け部87を有する。
【0045】
図5に示すように、第1電源刃受け部82は、第1コンセント部31に差し込まれる電源プラグ170の電源栓刃182に沿ってZ方向に延設され、第1電源刃受け部86は、当該電源プラグ170の電源栓刃186に沿ってZ方向に延設されている。これにより、各電源用刃受け81,85の第1電源刃受け部82,86は、電源プラグ170の2極の電源栓刃182,186それぞれを挟持固定する。
【0046】
第2電源刃受け部83は、第2コンセント部33に差し込まれる電源プラグ180の電源栓刃183に沿ってX方向に延設され、第2電源刃受け部87は、当該電源プラグ180の電源栓刃187に沿ってX方向に延設されている。これにより、各電源用刃受け81,85の第2電源刃受け部83,87は、電源プラグ180の2極の電源栓刃183,187それぞれを挟持固定する。
【0047】
より詳細には、電源用刃受け81の第1電源刃受け部82及び第2電源刃受け部83は、1枚の板状の金属によって一体形成されており、
図3、
図5及び
図7に示すように、筐体20の底面23側から見た場合に、Z方向断面がいずれも同じ高さ部にてU字形となっている。つまり、第1電源刃受け部82は、電源栓刃182の差し込み方向側に凸となっているが、第2電源刃受け部83は、電源栓刃183の差し込み方向側ではなく、差し込み方向に対し垂直な方向に凸となっている。第1電源刃受け部82のZ方向の幅は、第2電源刃受け部83のZ方向の幅よりも長いが、第1電源刃受け部82のX方向の幅は、第2電源刃受け部83のX方向の幅よりも短い。各幅の長さは、第1電源刃受け部82と第2電源刃受け部83とで、差し込み方向が異なる挟持固定対象の電源栓刃182,183それぞれの延設長さに合わせて決定されている。第1電源刃受け部82及び第2電源刃受け部83それぞれにおいて、第1電源刃受け部82の正面21側の先端部及び第2電源刃受け部83の底面23側の先端部は、筐体20の外方に向けて拡開されている。
【0048】
上記構成により、各電源プラグ170,180が各コンセント部31,33に差し込まれると、第1電源刃受け部82は、電源栓刃182の差し込み方向先端部を覆うが、第2電源刃受け部83は、電源栓刃183の差し込み方向の先端部を開放する。即ち、電源プラグ170,180の差し込み時、電源プラグ170の電源栓刃182に、電源プラグ180の電源栓刃183が限界まで近接した状態にて固定される。これにより、第1電源刃受け部82及び第2電源刃受け部83が共に両電源栓刃182,183の差し込み方向の先端部を覆う場合に比して、筐体20の小型化が実現できている。
【0049】
なお、電源用刃受け85の第1電源刃受け部86及び第2電源刃受け部87に関しても、上記詳細と同様であるため、説明は省略する。
【0050】
また、
図3に示すように、各電源用刃受け81,85には、第1電源刃受け部82,86よりもX方向に延びる部分において、背面24側に凹部81a,85aが形成されている。この凹部81a,85aが、仕切り板20baに形成された溝に係合されることにより、電源用刃受け81,85は、後カバー20bに固定される。
【0051】
−アース用刃受け−
アース用刃受け90は、各コンセント部31,33に負荷機器の電源プラグ170,180(
図5参照)が差し込まれた際、当該プラグ170,180のアースピン194,196を挟持するためのものであって、導電性の比較的良好な金属(銅等)によって形成されている。アース用刃受け90は、
図4に示すアース端子板91、第1アース刃受け部94及び第2アース刃受け部96を有し、これらが
図3に示すように組み合わせられることで構成されている。
【0052】
図4に示すように、アース端子板91は、XY方向に延びる平板部92と、平板部92の一部分からZ方向に階段状に折り曲げられることで突出するように構成された突出部93とを有する。平板部92には、互いに間隔をあけて3つの貫通孔92a,92b,92cが形成されている。各貫通孔92a,92b,92cには、アース端子板91を後カバー20bに取り付けるためのネジ98a,98b,98cが螺合される。突出部93は、その根元から先端に向かって、Z方向、XY方向、Z方向の順に延びた形状となっている。XY方向に延びる部分と、XY方向からZ方向に延びる突出先端部分とには、貫通孔93a,93bが1つずつ形成されている。貫通孔93a,93bは、銅鋲95,97の差し込み用の孔である。銅鋲95により、XY方向からZ方向に延びる突出先端部分には第1アース刃受け部94が固定され、銅鋲97により、XY方向に延びる部分には第2アース刃受け部96が固定される。
【0053】
なお、アース端子板91は、筐体20の背面24に係る圧着端子26と接続され導通している。これにより、圧着端子26は、アース端子として機能することができる。
【0054】
第1アース刃受け部94は、第1コンセント部31に差し込まれる電源プラグ170のアースピン194(
図5参照)を挟持固定する。
図5に示すように、第1アース刃受け部94は、第1電源刃受け部82,86付近において、第1電源刃受け部82,86及びアースピン194に沿ってZ方向に延設されている。詳細には、第1アース刃受け部94は、
図4に示すように、Z方向に沿って突出すると共に互いにY方向に所定距離隔てて位置する一対の突出部94a,94bと、該突出部94a,94bと一体形成され該突出部94a,94b同士を繋ぐ繋ぎ部94cとを有する。所定距離は、差し込まれるアースピン194の直径程度であって、突出部94a,94bの突出長さは、アースピン194の延設長さに合わせて決定されている。突出部94a,94bの正面21側の先端部は、筐体20の外方に向けて拡開されている。繋ぎ部94cには、図示していないが、銅鋲95用の貫通孔が形成されている。
【0055】
第2アース刃受け部96は、第2コンセント部33に差し込まれる電源プラグ180のアースピン196(
図5参照)を挟持固定する。第2アース刃受け部96は、
図5に示すように、第2電源刃受け部83,87付近において、第2電源刃受け部83,87及びアースピン196に沿ってX方向に延設されている。詳細には、第2アース刃受け部96は、
図4に示すように、X方向に沿って突出すると共に互いにY方向に所定距離隔てて位置する一対の突出部96a,96bと、該突出部96a,96bと一体形成され該突出部96a,96b同士を繋ぐ繋ぎ部96cとを有する。所定距離は、差し込まれるアースピン196の直径程度であって、突出部96a,96bの突出長さは、アースピン196の延設長さに合わせて決定されている。突出部96a,96bの底面23側の先端部は、筐体20の外方に向けて拡開されている。繋ぎ部96cには、銅鋲97用の貫通孔96caが形成されている。
【0056】
上述したアース端子板91、第1アース刃受け部94及び第2アース刃受け部96を組み立てると、
図3に示すアース用刃受け90の形状となる。これにより、各電源プラグ170,180が各コンセント部31,33に差し込まれると、第2アース刃受け部96は、アースピン196の差し込み方向先端部を覆うが、第1アース刃受け部94は、アースピン194の差し込み方向の先端部を開放する。即ち、電源プラグ170,180の差し込み時、電源プラグ180のアースピン196に、電源プラグ170のアースピン194が限界まで近接した状態にて固定される。これにより、第1アース刃受け部94及び第2アース刃受け部96が共に両アースピン194,196の差し込み方向の先端部を覆う場合に比して、筐体20の小型化が実現できている。
【0057】
−負荷絶縁壁−
負荷絶縁壁99は、電源用刃受け81,85とアース用刃受け90とを絶縁する部品である。負荷絶縁壁99は、底部99a、第1囲い部99b及び第2囲い部99cを有し、これらはプラスチック等の樹脂によって一体成形されている。
【0058】
底部99aは、ネジ98a,98b,98cに対応する部分を除き、アース端子板91の平板部92に沿ってXY方向に延びている。ネジ98a,98cに対応する底部99aの部分は、ネジ98a,98cの頭部を覆うように、ネジ98a,98cの頭部の形状にあわせて膨出している。
【0059】
図5に示すように、第1囲い部99bは、第1アース刃受け部94の延設方向(Z方向)周りに、第1アース刃受け部94を囲っている。第1囲い部99bは、
図6に示すように、Z方向(正面21側)から見た場合に約矩形状となっている筒状の部材であって、第1アース刃受け部94の根元から先端部分付近までZ方向に延びている。
【0060】
図5に示すように、第2囲い部99cは、第2アース刃受け部96の延設方向(X方向)周りに、第2アース刃受け部96を囲っている。第2囲い部99cは、
図7に示すように、X方向(底面23側)から見た場合に上方向に凸となる略コの字の形状となっており、第2アース刃受け部96の根元から先端部分付近までX方向に延びている。正確には、負荷絶縁部99が後カバー20bに取り付けられることで、第2囲い部99cと後カバー20bとにより、第2アース刃受け部96は、延設方向周りを囲われる。
【0061】
この第1囲い部99b及び第2囲い部99cにより、電源用刃受け81,85とアース用刃受け90との所定の沿面距離が確保され、確実に絶縁がなされる。つまり、第1アース刃受け部94と第1電源刃受け部82,86それぞれとの沿面距離は、第1囲い部99bの壁を伝う距離によって定義され、第2アース刃受け部96と第2電源刃受け部83,87それぞれとの沿面距離は、第2囲い部99cの壁を伝う距離によって定義される。各囲い部99b,99cは、上述のように、各アース刃受け部94,96の延設方向周りに各アース刃受け部94,96を囲っているため、沿面距離を絶縁に必要な距離を稼ぐことができている。
【0062】
そして、第1コンセント部31の正面視、すなわち筐体20の正面21側から見た場合において、
図6に示すように、第1囲い部99bによって囲まれた第1アース刃受け部94は、Y方向において、一対となる第1電源刃受け部82,86の間に位置している。第2コンセント部33の正面視、すなわち筐体20の底面23側から見た場合において、
図7に示すように、第2囲い部99c及び後カバー20bによって囲まれた第2アース刃受け部96は、Y方向において、一対となる第2電源刃受け部83,87の間に位置している。この配置により、各アース刃受け部94,96と各電源刃受け部82,83,86,87との沿面距離のみならず、第1電源刃受け部82,86同士の沿面距離並びに第2電源刃受け部83,87同士の沿面距離も、絶縁に必要な距離を稼ぐことができる。従って、本実施形態では、より強固な絶縁が確保されていると言える。
【0063】
なお、底部99a、第1囲い部99b及び第2囲い部99cの厚みは、概ね同様であってもよいし、部分に応じて異なっていてもよい。
【0064】
(効果)
本実施形態では、
図3及び
図5に示すように、電源用刃受け81,85それぞれは、第1電源刃受け部82,86及び第2電源刃受け部83,87を有し、アース用刃受け90は、第1アース刃受け部94及び第2アース刃受け部96を有する。このうち、第1コンセント部31は、一対となる第1電源刃受け部82,86と第1アース刃受け部94とにより構成され、第2コンセント部33は、一対となる第2電源刃受け部83,87と第2アース刃受け部96とにより構成される。この構成により、互いに交差する面21,23それぞれに、3極のコンセント部31,33それぞれを配置する構成が実現できている。
【0065】
特に、第1アース刃受け部94及び第2アース刃受け部96それぞれは、負荷絶縁壁99の第1囲い部99b及び第2囲い部99cそれぞれによって囲まれている。これにより、アース用刃受け90と電源用刃受け81,85との距離を物理的に開けずとも、絶縁に必要な電源用刃受け81,85とアース用刃受け90との沿面距離が確保され、確実な絶縁が実現できる。従って、3極のコンセント部31,33それぞれを、筐体20の異なる面21,23に配置しつつも、筐体20の小型化を実現することができる。
【0066】
また、本実施形態では、
図6及び
図7に示すように、負荷絶縁壁99によって囲まれた第1アース刃受け部94は、一対となる第1電源刃受け部82,86の間に位置し、負荷絶縁壁99によって囲まれた第2アース刃受け部96は、一対となる第2電源刃受け部83,87の間に位置している。このように、本実施形態では、負荷絶縁壁99により、第1電源刃受け部82,86同士及び第2電源刃受け部83,87同士の沿面距離も確保されるため、より確実な絶縁が可能となる。
【0067】
特に、本実施形態では、
図1及び
図3に示すように、第1コンセント部31及び第2コンセント部33を、互いに垂直である正面21及び底面23に設けることができる。
【0068】
また、本実施形態では、第1電源刃受け部82,86は、差し込まれた電源栓刃182,186の差し込み方向先端部を覆い、第2電源刃受け部83,87は、差し込まれた電源栓刃183,187の差し込み方向先端部を開放する。これにより、第2電源刃受け部83,87に差し込まれた電源栓刃183,187の先端部分は、第1電源刃受け部82,86に差し込まれた電源栓刃182,186に近接する形となる。即ち、プラグ10は、電源栓刃182,183同士及び電源栓刃186,187同士を限界まで近づける構成となっている。そのため、各電源刃受け部82,86,83,87が電源栓刃を覆う構成である場合よりも、プラグ10の筐体20をより小型化することができる。
【0069】
また、本実施形態では、第1アース刃受け部94は、差し込まれたアースピン194の差し込み方向先端部を開放し、第2アース刃受け部96は、差し込まれたアースピン196の差し込み方向先端部を覆う。これにより、第1アース刃受け部94に差し込まれたアースピン194の先端部分は、第2アース刃受け部96に差し込まれたアースピン196に近接する形となる。即ち、プラグ10は、アースピン194,196同士を限界まで近づける構成となっている。そのため、各アース刃受け部94,96がアースピンを覆う構成である場合よりも、プラグ10の筐体20をより小型化することができる。
【0070】
≪その他の実施形態≫
差し込みプラグ25の配設面は、背面24以外であってもよい。
【0071】
各コンセント部31,33は、筐体20のうち、互いに交差する面に形成されていればよい。従って、各コンセント部31,33の配設面は、正面21及び底面23以外であってもよい。
【0072】
負荷絶縁壁99によって各アース刃受け部94,96が囲われることで、アース刃受け部と電源刃受け部との沿面距離が一定距離以上確保できればよい。従って、各アース刃受け部94,96及び電源刃受け部82,86,83,87の配置、及び各刃受け81,85,90や負荷絶縁壁99の各形状は、
図2〜
図7に限定されない。
【0073】
上記実施形態に係る電源用刃受け81,85、アース用刃受け90及び負荷絶縁壁99(絶縁部材)により、互いに交差する面21,23それぞれにコンセント部31,33が設けられることを実現した構成は、
図8に係るコンセント装置10’にて実現されてもよい。この場合、コンセント装置10’は、コンセントに差し込まれる電極プラグを備えないが、互いに交差する面(
図8では、直交する正面21及び底面23)それぞれに第1コンセント部31及び第2コンセント部33が設けられた筐体20を有する。コンセント装置10’に係る筐体20は、
図8に示すように背面側が壁面に埋没されるようにして壁面に予め取り付けられている。この筐体20の内部に、上述した電源用刃受け81,85と、アース用刃受け90と、負荷絶縁壁99である絶縁部材とが配設されている。これにより、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。コンセント装置10’の他の構成は、上記実施形態と同様であるため、省略する。
【0074】
なお、コンセント装置10’の壁面への取り付けは、
図8に限定されない。例えば、コンセント装置10’に係る筐体20は、壁面等の段差を利用し、正面21と底面23のみが外部に開放された状態で壁面等に設けられていてもよい。