【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
パージ剤に含有する極性樹脂として、溶融温度が115℃のアクリロニトリルスチレン樹脂(AS樹脂)と溶融温度が100℃のポリスチレン樹脂(PS樹脂)を用意した。また、パージ剤に含有する非極性樹脂として、溶融温度が160℃のポリプロピレン樹脂(PP樹脂)と溶融温度が125℃のポリエチレン樹脂(PE樹脂)を用意した。
【0035】
用意した極性樹脂(AS樹脂及びPS樹脂)と非極性樹脂(PP樹脂及びPE樹脂)を、下記表1に示す含有量でタンブラーミキサーを用いて非加熱混合(30℃以下で混合)し、極性樹脂と非極性樹脂の混合物を得た。この混合物を実施例1のパージ剤とした。
【0036】
なお、実施例1において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は107.5℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は142.5℃であった。
【0037】
(実施例2)
極性樹脂と非極性樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例1と同様の条件で実施例2のパージ剤を製造した。なお、実施例2において、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0038】
(実施例3)
極性樹脂と非極性樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例1と同様の条件で実施例3のパージ剤を製造した。なお、実施例3において、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0039】
(実施例4)
極性樹脂として含有するAS樹脂とPS樹脂の含有比率を変更するとともに、非極性樹脂として含有するPP樹脂とPE樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例2と同様の条件で実施例4のパージ剤を製造した。
【0040】
なお、実施例4において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は102.5℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は151.3℃であった。また、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0041】
(実施例5)
極性樹脂として含有するAS樹脂とPS樹脂の含有比率を変更するとともに、非極性樹脂として含有するPP樹脂とPE樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例2と同様の条件で実施例5のパージ剤を製造した。
【0042】
なお、実施例5において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は112.5℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は133.8℃であった。また、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0043】
(実施例6)
極性樹脂として、溶融温度が160℃のポリメタクリ酸樹脂(PMMA樹脂)及び溶融温度が250℃のポリカーホネイト樹脂(PC樹脂)を用意した。また、非極性樹脂として、溶融温度が165℃のポリプロピレン共重合体(PPCO樹脂)及び溶融温度が116℃のエチレン−プロピレン共重合体(EPR樹脂)を用意した。用意した極性樹脂(PMMA樹脂及びPC樹脂)と非極性樹脂(PPCO樹脂及びEPR樹脂)を下記表1に示す含有量で用いたこと以外は実施例2と同様の条件で実施例6のパージ剤を製造した。
【0044】
なお、実施例6において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は175℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は140.5℃であった。
【0045】
(比較例1)
溶融温度が115℃のアクリロニトリルスチレン樹脂(極性樹脂)を比較例1のパージ剤とした。
【0046】
(比較例2)
極性樹脂と非極性樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例1と同様の条件で比較例2のパージ剤を製造した。なお、比較例2において、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0047】
(比較例3)
極性樹脂と非極性樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例1と同様の条件で比較例3のパージ剤を製造した。なお、比較例3において、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0048】
(比較例4)
極性樹脂(AS樹脂及びPS樹脂)と非極性樹脂(PP樹脂及びPE樹脂)を、一軸混練機(製品名:ラボプラストミル、東洋精機製作所社製)を用いて200℃で溶融混合したこと以外は、実施例2と同様の条件で比較例4のパージ剤を製造した。
【0049】
(比較例5)
極性樹脂として含有するAS樹脂とPS樹脂の含有比率を変更するとともに、非極性樹脂として含有するPP樹脂とPE樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例2と同様の条件で比較例5のパージ剤を製造した。
【0050】
なお、比較例5において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は114.8℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は125.9℃であった。また、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0051】
(比較例6)
極性樹脂として含有するAS樹脂とPS樹脂の含有比率を変更するとともに、非極性樹脂として含有するPP樹脂とPE樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例2と同様の条件で比較例6のパージ剤を製造した。
【0052】
なお、比較例6において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は101.3℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は155.6℃であった。また、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0053】
(比較例7)
極性樹脂として含有するAS樹脂とPS樹脂の含有比率を変更するとともに、非極性樹脂として含有するPP樹脂とPE樹脂の含有比率を変更したこと以外は実施例2と同様の条件で比較例7のパージ剤を製造した。
【0054】
なお、比較例7において、極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は113.8℃であり、非極性樹脂の溶融温度(各樹脂の溶融温度と質量割合から算出される溶融温度の加重平均値)は129.4℃であった。また、各樹脂は、表1に示す含有量とした。
【0055】
【表1】
【0056】
(評価1:成型機内残留物の除去性能の評価)
射出成型機内に黒色の樹脂を残留させるとともに、スクリューの表面に焼け樹脂を予め付着させておいた。このスクリューを含む射出成型機に対してパージ剤を供給して射出成型機の洗浄を行った。射出成型機内に黒色の樹脂を残留させるとともに、スクリューの表面に焼け樹脂を付着させるために、射出成型機において、黒色に着色されたPC−ABS樹脂を用いて射出成型を行い、5時間放置した。この操作により、射出成型機内に黒色の樹脂を残留させ、スクリューの全面に焼け樹脂を付着させた。
【0057】
射出成型機にパージ剤を供給し、射出成型機からパージ剤を排出させた。ここで、射出成型機の温度は、すべての実施例及び比較例において同一温度とし、射出成型機から排出されたパージ剤の色が黒色から無着色に切り替わるまで、パージ剤を射出成型機に供給し続けた。すなわち、パージ剤の色が黒色から無着色に切り替わった時点で、パージ剤の供給を停止した。なお、実施例及び比較例のパージ剤は、製造後は全て無着色であった。
【0058】
射出成型機にパージ剤を供給し始めてから、パージ剤の色が黒色から無着色に切り替わるまでの間に、射出成型機に供給されたパージ剤の使用量Wsを測定した。そして、この使用量Wsに基づいてパージ量PA(%)を算出した。パージ量PAとは、比較例1のパージ剤を用いて射出成型機を洗浄したときのパージ剤の使用量Wrを基準(100%)とした、パージ剤の使用量Wsの割合を表す値であり、下記式(1)によって規定される。
【0059】
PA=(100×Ws)/Wr ・・・(1)
【0060】
実施例及び比較例の各パージ剤について、パージ量PAを後述する表2に示す。
【0061】
(評価2:次樹脂による置換性能の評価)
評価1で成型機内残留物を洗浄した後の各射出成型機について、内部に残留するパージ剤を次樹脂で置換して、各パージ剤の置換性能を評価した。具体的には、焼け樹脂を洗浄した後の射出成型機(パージ剤が残留する射出成型機)に、無色透明のPS樹脂(次樹脂)を投入し、射出成型機により射出成型を繰り返した。射出成型機から射出される成型物を目視で確認して、パージ剤の混入が認められなくなった時点で射出成型を停止し、それまでに射出成型機から排出された次樹脂の総量を測定した。
【0062】
実施例及び比較例のパージ剤について、次樹脂の総量を、後述する表2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】
表2に示す通り、実施例1〜6のパージ剤は、パージ量PAが30%以下であり、次樹脂の総量が700g以下であった。特に、非極性樹脂の含有量が25〜35質量%以上であり極性樹脂の含有量が65〜75質量%である実施例3は、パージ量PAが25%であり、次樹脂の総量が500gであり、その他の実施例と比較して、成型機内残留物の除去性能が高く、また、次樹脂の置換性能についても同等以上であった。
【0065】
一方、比較例1〜7のパージ剤は、パージ量PAが60%以上であり、実施例1〜6のパージ量PAの2倍以上もあった。また、比較例1〜7のパージ剤は、次樹脂の総量が1400g以上あり、実施例1〜6の次樹脂の総量の2倍以上もあった。
【0066】
以上の結果から、実施例1〜6のパージ剤は、成型機内残留物に対する優れた除去性能と、次樹脂による優れた置換性能の両方を有していることが理解できた。また、本発明のパージ剤を使用すれば、樹脂替えや色替えを容易に行うことができることも明らかとなった。