(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の半導体基板2を表面2a側から見た模式的な上面図である。
図2は、
図1の二点鎖線IIにより取り囲まれた領域の模式的な一部切欠き斜視図である。
図3は、
図1の半導体装置1の電気的構造を示す回路図である。
【0010】
本実施形態に係る半導体装置1は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)および還流ダイオード(Free Wheeling Diode)を含むRC(Reverse Conducting)−IGBT(逆導電絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を備えている。
図1および
図2を参照して、半導体装置1は、本発明の半導体層の一例としての半導体基板2を含む。半導体基板2は、本実施形態では、FZ(Floating Zone)法によって形成されたシリコン製のFZ基板である。半導体基板2は、平面視四角形状のチップ形状に形成されており、表面2aと、その反対側の裏面2bと、表面2aおよび裏面2bを接続する側面2cを含む。
【0011】
半導体基板2には、IGBTの一部および還流ダイオードの一部が形成されるアクティブ領域3と、その外側の外方領域4とが設定されている。アクティブ領域3は、本実施形態では、半導体基板2の内方領域において、半導体基板2の各側面2cに平行な4辺を有する平面視四角形状に設定されている。外方領域4は、アクティブ領域3を取り囲むように平面視四角環状に設定されている。
【0012】
半導体基板2の表面2a上には、アクティブ領域3に電力を供給するための表面電極5が形成されている。この表面電極5には、平面視においてアクティブ領域3の周囲に沿って形成されたゲート電極6と、アクティブ領域3を被覆するように形成されたエミッタ電極7とが含まれる。
ゲート電極6は、本実施形態では、ゲートフィンガー8とゲートパッド9とを含む。ゲートフィンガー8は、アクティブ領域3を取り囲むように外方領域4に配置されており、半導体基板2の各側面2Cに沿って延びる平面視四角環状に形成されている。ゲートフィンガー8は、アクティブ領域3を3方向から挟み込むように、半導体基板2の三つの側面2Cに沿って形成されていてもよい。また、ゲートフィンガー8は、アクティブ領域3のサイズに応じて、各側面2C側からアクティブ領域3内を横断するように形成されていてもよい。
【0013】
ゲートパッド9は、半導体基板2の一つの側面2Cに沿って延びる1つのゲートフィンガー8の長手方向中央部において、当該ゲートフィンガー8と接続されている。ゲートパッド9は、半導体基板2の各側面2cに平行な4辺を有する平面視四角形状に形成されている。ゲートパッド9は、半導体基板2の1つの角部において、互いに直交する方向に延びる2つのゲートフィンガー8と接続されていてもよい。また、アクティブ領域3を横断するようにゲートフィンガー8が形成されている場合、当該アクティブ領域3を横断するように形成されたゲートフィンガー8にゲートパッド9が接続されていてもよい。
【0014】
ゲート電極6によって取り囲まれた領域内には、ゲートフィンガー8の内縁およびゲートパッド9の内縁に沿って帯状に延び、かつ、平面視において無端状(閉環状)を成す絶縁領域10が形成されている。絶縁領域10は、電極材料が存在せずに、後述する絶縁層43がゲート電極6およびエミッタ電極7から露出する領域である。エミッタ電極7は、絶縁領域10によって取り囲まれた領域内に形成されている。
【0015】
図2を参照して、アクティブ領域3において、半導体基板2の表面2a側の表層部には、p
−型のチャネル領域21が形成されている。アクティブ領域3とは、本実施形態では、平面視においてチャネル領域21の周縁によって取り囲まれた領域によって定義される。つまり、アクティブ領域3は、本実施形態では、チャネル領域21を半導体基板2の表面2aおよび裏面2bに投影した領域である。
【0016】
アクティブ領域3において、チャネル領域21に対して半導体基板2の裏面2b側には、チャネル領域21と電気的に接続されるようにn
−型のドリフト領域22が形成されている。本実施形態では、n
−型の半導体基板が半導体基板2として用いられており、ドリフト領域22は、半導体基板2の一部を利用して形成されている。
アクティブ領域3において、半導体基板2の裏面2b側の表層部には、ドリフト領域22と電気的に接続されるように、p
+型のコレクタ領域23およびn
+型のカソード領域24が形成されている。本実施形態では、ドリフト領域22とコレクタ領域23との間、および、ドリフト領域22とカソード領域24との間を延びるようにn型のバッファ領域25が形成されており、コレクタ領域23およびカソード領域24は、バッファ領域25を介してドリフト領域22と電気的に接続されている。コレクタ領域23およびカソード領域24は、半導体基板2の裏面2bから露出するように形成されている。
【0017】
カソード領域24は、コレクタ領域23およびバッファ領域25の境界を横切るように形成されており、カソード領域24の半導体基板2の表面2a側の端部は、バッファ領域25内に位置している。その他、コレクタ領域23およびカソード領域24の各構成については、後に詳述する。
アクティブ領域3において、半導体基板2の表面2a側の表層部には、平面視帯状に延びる複数のトレンチゲート構造31が形成されている。各トレンチゲート構造31は、半導体基板2を掘り下げて形成されたゲートトレンチ32にゲート絶縁膜33を挟んで埋め込まれた埋め込みゲート電極34を含む。ゲートトレンチ32は、チャネル領域21を貫通しており、ドリフト領域22内に位置する底部を有している。ゲート絶縁膜33は、本実施形態では、半導体基板2の表面2aも被覆している。
【0018】
各トレンチゲート構造31の側方におけるチャネル領域21の表層部には、半導体基板2の表面2aから露出するようにn
+型のエミッタ領域35が形成されている。これにより、各トレンチゲート構造31の側方には、半導体基板2の表面2a側から裏面2b側に向かって順に、n
+型のエミッタ領域35、p
−型のチャネル領域21およびn
−型のドリフト領域22が形成されている。チャネル領域21は、互いに隣り合う複数のトレンチゲート構造31に共有されている。埋め込みゲート電極34は、ゲートトレンチ32内においてゲート絶縁膜33を挟んで、エミッタ領域35、チャネル領域21およびドリフト領域22と対向している。
【0019】
チャネル領域21の表層部における複数のトレンチゲート構造31間には、複数のコンタクト凹部41が形成されている。各コンタクト凹部41は、複数のトレンチゲート構造31と同一の方向に沿って延びる平面視帯状に形成されている。各コンタクト凹部41は、その底部がチャネル領域21内に位置するように半導体基板2の表面2a側の表層部を掘り下げて形成されている。半導体基板2の厚さ方向に関して、コンタクト凹部41の深さは、トレンチゲート構造31(ゲートトレンチ32)の深さよりも小さい。
【0020】
各コンタクト凹部41の側部からは前述のエミッタ領域35が露出している。本実施形態では、チャネル領域21内には、エミッタ領域35の下方からコンタクト凹部41の側部および底部に沿うように、チャネル領域21のp型不純物濃度よりも高いp型不純物濃度を有するp
+型のコンタクト領域42がさらに形成されている。コンタクト凹部41の側部の全域にエミッタ領域35が露出しており、コンタクト凹部41の底部のみに沿うコンタクト領域42が形成されていてもよい。
【0021】
半導体基板2の表面2a上には、トレンチゲート構造31を覆うように絶縁層43が形成されている。絶縁層43は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有していてもよいし、1つの絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。絶縁層43は、たとえば酸化膜(SiO
2)または窒化膜(SiN)を含んでいてもよい。この絶縁層43には、半導体基板2に形成された各コンタクト凹部41を露出させるコンタクト孔44が形成されている。
【0022】
コンタクト孔44は、コンタクト凹部41と同一の方向に沿って平面視帯状に延びており、半導体基板2の表面2a側の表層部に形成されたコンタクト凹部41と連通している。コンタクト孔44の内壁は、コンタクト凹部41の内壁と面一に形成されている。
絶縁層43上には、バリアメタル層45を介して、前述のエミッタ電極7が形成されている。バリアメタル層45は、エミッタ電極7がコンタクト孔44およびコンタクト凹部41の外側に拡散するのを抑制するための金属層であり、本実施形態では、半導体基板2側からこの順に積層されたチタン層および窒化チタン層を含む積層構造を有している。バリアメタル層45は、半導体基板2側の表面とその反対面が、コンタクト凹部41の内壁、コンタクト孔44の内壁および当該コンタクト孔44外の絶縁層43の表面に沿って形成されている。
【0023】
エミッタ電極7は、コンタクト凹部41およびコンタクト孔44を埋めて絶縁層43の表面全域を被覆するように、バリアメタル層45上に形成されている。エミッタ電極7は、コンタクト凹部41内においてバリアメタル層45を介して、チャネル領域21、エミッタ領域35、コンタクト領域42等と電気的に接続されている。
前述のゲート電極6は、絶縁層43の一部からなる前述の絶縁領域10を挟んでエミッタ電極7と間隔を空けて絶縁層43上に形成されている。前述のトレンチゲート構造31は、たとえばアクティブ領域3からゲートフィンガー8の直下の領域まで引き出されている。ゲートフィンガー8は、たとえば絶縁層43に形成されたコンタクト孔(図示せず)を介してトレンチゲート構造31と電気的に接続されている。そして、半導体基板2の裏面2b側には、コレクタ領域23およびカソード領域24と電気的に接続されるように裏面電極としてのコレクタ電極46が形成されている。
【0024】
図3を参照して、本実施形態に係る半導体装置1は、共通の半導体基板2にIGBTおよび還流ダイオードが作り込まれた構造を有している。還流ダイオードは、チャネル領域21およびドリフト領域22間のpn接合部によって形成されている。還流ダイオードは、チャネル領域21をアノード領域として含む。還流ダイオードは、チャネル領域21を介してエミッタ電極7に電気的に接続され、かつ、カソード領域24を介してコレクタ電極46に電気的に接続されている。
【0025】
このようにして、本実施形態に係る半導体装置1は、還流ダイオードのアノードがIGBTのエミッタ電極7に電気的に接続され、還流ダイオードのカソードがIGBTのコレクタ電極46に電気的に接続された構造を有している。
本実施形態に係る半導体装置1は、半導体基板2の裏面2b側の表層部に、カソード領域24が所定のパターンで形成されていることを一つの特徴としている。以下、
図4を参照して、カソード領域24の具体的な構成について説明する。
図4は、
図1の半導体装置1の半導体基板2を裏面2b側から見た模式的な底面図である。
図4では、明瞭化のため、クロスハッチングによってカソード領域24を示している。
【0026】
図4を参照して、半導体基板2の裏面2bにおいて、アクティブ領域3内には、コレクタ領域23およびカソード領域24が形成されている。コレクタ領域23は、本実施形態では、アクティブ領域3の平面視形状(つまり、チャネル領域21の平面視形状)とほぼ整合する平面視形状で形成されている。
カソード領域24は、アクティブ領域3内において、連続的に引き回されたライン状のパターンを有している。カソード領域24は、本実施形態では、コレクタ領域23のp型不純物濃度よりも高いn型不純物濃度を有しており、コレクタ領域23のp型不純物がn型不純物によって相殺されるようにアクティブ領域3内に形成されている。
【0027】
本実施形態では、アクティブ領域3には、コレクタ領域23のみが形成される第1領域50と、コレクタ領域23およびカソード領域24の双方が形成される第2領域51とが設定されている。第1領域50は、IGBTのみが形成される領域であり、第2領域51は、IGBTおよび還流ダイオードが形成される領域である。
第1領域50は、半導体基板2の周縁部、より具体的には、半導体基板2の一つの側面2Cの中央領域に沿って設定されている。さらに具体的には、第1領域50は、本実施形態では、前述のゲートパッド9の直下の領域に設定されており、平面視において、ゲートパッド9がアクティブ領域3と重なる部分の全域と対向している。第1領域50は、平面視において、ゲートパッド9がアクティブ領域3と重なる部分の周縁をその外側から取り囲んでいる。第1領域50は、平面視四角形状に区画された領域であってもよい。
【0028】
一方、第2領域51は、アクティブ領域3において第1領域50外の領域に設定された平面視凹状の領域であり、前述のエミッタ電極7の直下の領域に設定されている。アクティブ領域3に第1領域50および第2領域51が設定されることによって、カソード領域24は、平面視でゲートパッド9外の領域に形成され、かつ、半導体基板2の裏面2bに対して不均等なパターン(配置)で形成されている。
【0029】
カソード領域24は、アクティブ領域3の第2領域51内において、平面視において葛折状に連続的に引き回されたライン状のパターンを含む。以下では、説明の便宜上、
図4に示した+X方向および−X方向ならびに+Y方向および−Y方向を用いることがある。+X方向および−X方向は、半導体基板2の1辺に沿う2つの方向であり、これらを総称するときには単に「X方向」という。+Y方向および−Y方向は、半導体基板2の前記1辺と直交する他の1辺に沿う2つの方向であり、これらを総称するときには単に「Y方向」という。X方向は、本実施形態では、ゲートパッド9がゲートフィンガー8から引き出された方向でもある。
【0030】
カソード領域24は、X方向に沿って延び、かつY方向に沿って間隔を空けて形成された複数の第1ライン52と、Y方向に沿って延び、かつY方向に隣り合う複数の第1ライン52同士を接続する複数の第2ライン53とを含む。
複数の第1ライン52には、アクティブ領域3の+Y方向端部側に形成された複数の第1ライン52Aと、アクティブ領域3の−Y方向端部側に形成された複数の第1ライン52Bと、第1ライン52Aおよび第1ライン52Bの間に形成された複数の第1ライン52Cとが含まれる。
【0031】
複数の第1ライン52Aおよび複数の第1ライン52Bは、平面視において第1領域50(ゲートパッド9)を挟んでY方向に互いに対向するように、当該第1領域50(ゲートパッド9)のY方向両側の領域に引き出されている。複数の第1ライン52AのX方向幅、および複数の第1ライン52BのX方向幅は、本実施形態ではほぼ等しい値に設定されている。
【0032】
複数の第1ライン52Cは、平面視において第1領域50(ゲートパッド9)とX方向に対向する領域に形成されている。複数の第1ライン52CのX方向幅は、複数の第1ライン52AのX方向幅および複数の第1ライン52BのX方向幅よりも小さい値に設定されている。
第2ライン53には、Y方向に沿って隣り合う2つの第1ライン52の+X方向端部同士を接続する第2ライン53Aと、Y方向に沿って隣り合う2つの第1ライン52の−X方向端部同士を接続する第2ライン53Bとが含まれる。第2ライン53Aおよび第2ライン53Bは、Y方向に沿って交互に形成されている。このようにして、本実施形態では、カソード領域24が、連続的に連なる平面視葛折状のライン状のパターンで形成されている。また、カソード領域24は、X方向幅が異なる複数の第1ライン52A,52B,52Cを含み、これによって、アクティブ領域3に対して不均等なパターン(配置)で形成されている。
【0033】
第1ライン52のY方向幅および第2ライン53のX方向幅で定義されるカソード領域24のライン幅は、たとえば1μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下である。カソード領域24は、一様なライン幅を有していてもよいし、一様でないライン幅を有していてもよい。たとえば、カソード領域24は、Y方向幅がそれぞれ異なる第1ライン52A,52B,52Cを有していてもよいし、X方向幅がそれぞれ異なる第2ライン53A,53Bを有していてもよい。
【0034】
アクティブ領域3の面積S
Aに対する第1領域50の面積S
1の比S
1/S
Aは、たとえば0.03(3%)以上0.3(30%)以下である。また、平面視において、アクティブ領域3の面積S
Aに対するカソード領域24の面積の比S
K/S
A(以下、単に「カソード領域24の面積比S
K/S
A」という。)は、アクティブ領域3の面積S
Aに対するコレクタ領域23の面積S
Cの比S
C/S
A(以下、単に「コレクタ領域23の面積比S
C/S
A」という。)よりも小さい値に設定されている。カソード領域24の面積比S
K/S
Aは、たとえば0.1(10%)以下、より具体的には、0.01(1%)以上0.07(7%)以下である。
【0035】
本実施形態に係る半導体装置1の電気的特性と比較するため、
図5に示される参考例に係る半導体装置101を用意した。
図5は、参考例に係る半導体装置101の半導体層を裏面側から見た模式的な底面図である。
参考例に係る半導体装置101では、平面視円形状の複数のカソード領域24がアクティブ領域3に形成されている。複数のカソード領域24は、X方向およびY方向に沿って間隔を空けて行列状に規則的な配列で均等に形成されている。参考例に係る半導体装置101では、カソード領域24がゲートパッド9直下の領域にも形成されている。参考例に係る半導体装置101において、他の構成については、本実施形態に係る半導体装置1の各構成と略同様であるので、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0036】
図6は、本実施形態に係る半導体装置1のピーク順方向サージ電流I
FSMおよび参考例に係る半導体装置101のピーク順方向サージ電流I
FSMのシミュレーション結果を示すグラフである。
図6において、横軸は、カソード領域24の面積比S
K/S
Aを示しており、縦軸は、ピーク順方向サージ電流I
FSMを示している。ピーク順方向サージ電流I
FSMとは、半導体装置が破壊しない範囲で許容される1周期以上の商用正弦半波電流のピーク値である。したがって、ピーク順方向サージ電流I
FSMの値が高い程、半導体装置のピーク順方向サージ電流I
FSMに対する耐量(以下、単に「ピーク順方向サージ電流耐量」という。)が優れているといえる。
【0037】
図6では、本実施形態に係る半導体装置1のカソード領域24の面積比S
K/S
Aが、0.037(3.7%)である場合のピーク順方向サージ電流I
FSMのシミュレーション結果がプロットP1で示されている。また、
図6では、参考例に係る半導体装置101のカソード領域24の面積比S
K/S
Aが、0.012(1.2%),0.019(1.9%),0.023(2.4%)および0.032(3.2%)であるときのピーク順方向サージ電流I
FSMのシミュレーション結果がプロットP2〜P5で示されている。
図6では、プロットP2〜P5を近似直線Lで結んで示している。
【0038】
図6を参照して、参考例に係る半導体装置1では、複数のカソード領域24の平面視面積を減らしてカソード領域24の面積比S
K/S
Aを小さくすると、ピーク順方向サージ電流I
FSMが低下している。また、参考例に係る半導体装置101では、複数のカソード領域24の平面視面積を増やしてカソード領域24の面積比S
K/S
Aを大きくすると、ピーク順方向サージ電流I
FSMが向上している。したがって、参考例に係る半導体装置101では、複数のカソード領域24の平面視面積とピーク順方向サージ電流I
FSMとの間に大凡リニアな関係が成立しているといえる。
【0039】
しかし、参考例に係る半導体装置101では、カソード領域24の面積比S
K/S
Aがいずれの場合であっても、ピーク順方向サージ電流I
FSMが300A以下と比較的に低い値であった。近似直線Lを参照するに、参考例に係る半導体装置101では、カソード領域24の面積比S
K/S
Aを「1」に近づけると、良好なピーク順方向サージ電流I
FSMを実現できるとも考えられる。
【0040】
しかし、実際には、カソード領域24の面積比S
K/S
Aが「1」に近づくほど、コレクタ領域23の面積比S
C/S
Aが「0」に近づくので、IGBTの機能が失われていく。したがって、参考例に係る半導体装置101では、複数のカソード領域24の平面視面積の調整によってカソード領域24の面積比S
K/S
Aを調整したとしても、結果として近似直線Lで示される前記リニアな関係の中でしかピーク順方向サージ電流I
FSMを調整できず、また、比較的に高いピーク順方向サージ電流I
FSMを得ることが困難であるといえる。
【0041】
参考例に係る半導体装置101では、平面視円形状の複数のカソード領域24がアクティブ領域3に形成されているが、この問題は、平面視四角形状等の平面視多角形状の複数のカソード領域24が規則的な配列でアクティブ領域3に形成されている場合にも同様に生じる。
これに対して、連続的なライン状のパターンで形成されたカソード領域24を有する本実施形態に係る半導体装置1では、ピーク順方向サージ電流I
FSMが1000A以上であり、参考例に係る半導体装置101と異なり、近似直線Lから外れて比較的高いピーク順方向サージ電流I
FSMとなっている。したがって、カソード領域24を連続的なライン状のパターンで形成することによって、近似直線Lで示される前記リニアな関係から切り離して、比較的高いピーク順方向サージ電流I
FSMを実現できることが分かった。
【0042】
図7は、本実施形態に係る半導体装置1において、コレクタ電極46およびエミッタ電極7間にコレクタ−エミッタ電圧V
CEを印加してIGBTとして動作させたときの、コレクタ電流I
Cのシミュレーション結果を示すグラフである。
図7において、横軸は、コレクタ−エミッタ電圧V
CEを示しており、縦軸は、コレクタ電流I
Cを示している。
一般的に、IGBTおよび還流ダイオードを共通の半導体基板2に備える半導体装置では、比較的小さい値(たとえば0V以上2.5V以下の範囲)のコレクタ−エミッタ電圧V
CEが与えられると、スナップバック現象が生じる虞があることが知られている。
【0043】
図7に示されるように、本実施形態に係る半導体装置1では、比較的小さい値のコレクタ−エミッタ電圧V
CEが与えられた場合であっても、スナップバック現象の発生が抑制されている。これは、アクティブ領域3において、コレクタ領域23のみが形成される比較的大きい平面視面積の第1領域50が形成されているためであると考えられる。よって、本実施形態に係る半導体装置1のように、カソード領域24を連続的なライン状のパターンで形成した場合であっても、IGBTとして良好に動作させることができる。
【0044】
図8は、本実施形態に係る半導体装置1において、コレクタ電極46およびエミッタ電極7間に順方向電圧V
Fを印加して還流ダイオードとして動作させたときの、順方向電流I
Fのシミュレーション結果を示すグラフである。
図8において、横軸は、順方向電圧V
Fを示しており、縦軸は、順方向電流I
Fを示している。
図8を参照して、本実施形態に係る半導体装置1のように、カソード領域24を連続的なライン状のパターンで形成した場合であっても、還流ダイオードとして良好に動作させることができる。
【0045】
以上、本実施形態に係る半導体装置1では、カソード領域24が連続的に引き回されたライン状のパターンを含む。したがって、カソード領域24の平面視面積とピーク順方向サージ電流I
FSMとの間にリニアな関係が成立する参考例に係る半導体装置101と異なり、当該リニアな関係から切り離して、比較的に高い値のピーク順方向サージ電流I
FSMを得ることができる。
【0046】
しかも、半導体基板2の裏面2b側のアクティブ領域3(第2領域51)において、カソード領域24を引き回す領域を調整することにより、半導体装置1のピーク順方向サージ電流I
FSMを容易に調整することもできる。よって、IGBTおよび還流ダイオードを備えた構成において、設計の自由度を高めることができると同時に、ピーク順方向サージ電流耐量の向上を図ることができる構造の半導体装置1を提供できる。
【0047】
<第2実施形態>
図9は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置61の模式的な断面図である。
図9を参照して、本実施形態に係る半導体装置61は、トレンチゲート構造31に代えてプレーナゲート構造62を有している点で、前述の第1実施形態に係る半導体装置1と異なっている。
図9において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態に係る半導体装置61は、前述の半導体基板2を含む。半導体基板2の表面2a側の表層部には、前述のチャネル領域21が間隔を空けて形成されている。各チャネル領域21の表層部には、当該チャネル領域21の周縁から内側に間隔を隔てて前述のエミッタ領域35が形成されている。
本実施形態では、互いに隣り合うチャネル領域21の間の領域および各チャネル領域21に対して半導体基板2の裏面2b側の領域に、当該チャネル領域21と電気的に接続されるように前述のドリフト領域22が形成されている。半導体基板2の裏面2b側の表層部には、前述のバッファ領域25を介してドリフト領域22と電気的に接続されるように前述のコレクタ領域23および前述のカソード領域24が形成されている。コレクタ領域23およびカソード領域24は、前述の第1実施形態に係る構成と同様の構成を有している。
【0049】
プレーナゲート構造62は、半導体基板2の表面2a上に形成されたゲート絶縁膜63を挟んで少なくともチャネル領域21と対向するゲート電極64を含む。ゲート電極64は、より具体的には、ゲート絶縁膜63を挟んでエミッタ領域35、チャネル領域21およびドリフト領域22と対向している。チャネル領域21の表層部において、エミッタ領域35に対してゲート電極64とは反対側には前述のコンタクト領域42が形成されている。
【0050】
そして、プレーナゲート構造62を覆うように前述の絶縁層43が形成されている。絶縁層43には、チャネル領域21およびエミッタ領域35を露出させるコンタクト孔65が形成されている。前述のエミッタ電極7は、前述のバリアメタル層45を介して絶縁層43上からコンタクト孔65内に入り込み、当該コンタクト孔65内において、チャネル領域21、エミッタ領域35およびコンタクト領域42と電気的に接続されている。そして、半導体基板2の裏面2b側には、コレクタ領域23およびカソード領域24と電気的に接続されるように裏面電極としての前述のコレクタ電極46が形成されている。
【0051】
本実施形態では、
図9に示される単位セル66が複数形成された領域によって前述のアクティブ領域3が定義される。単位セル66とは、本実施形態では、
図9に示されるように、一つのプレーナゲート構造62に対して二つのチャネル領域21が形成された領域である。
以上、本実施形態に係る半導体装置61によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1実施形態では、カソード領域24が平面視葛折状に形成されたライン状のパターンを含む例について説明した。しかし、カソード領域24は、これに代えて、
図10〜
図12に示されるようなパターンで形成されていてもよい。
【0053】
図10は、半導体基板2を裏面2b側から見た模式的な底面図であって、カソード領域24の第1変形例を示す図である。
図10では、明瞭化のため、クロスハッチングによってカソード領域24を示している。
図10において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図10を参照して、第1変形例に係るカソード領域24は、前述の第1実施形態と同様、X方向に沿って延び、かつY方向に沿って間隔を空けて形成された複数の第1ライン52と、Y方向に沿って延び、かつY方向に隣り合う複数の第1ライン52同士を接続する複数の第2ライン53とを含む。
【0054】
第1変形例に係るカソード領域24では、前述の複数の第1ライン52A,52BのX方向幅が、いずれも第1ライン52CのX方向幅とほぼ同一の値に設定されている。したがって、第1変形例に係るカソード領域24では、平面視において、複数の第1ライン52Aおよび複数の第1ライン52Bが、第1領域50(ゲートパッド9)を挟んでY方向に互いに対向することなく、アクティブ領域3の+X方向側に偏在するように形成されている。つまり、前述の第1領域50は、アクティブ領域3の−X方向側の端部においてY方向に沿って延びる平面視長方形状に形成されている。
【0055】
このように、第1変形例に係るカソード領域24は、アクティブ領域3の+X方向側に偏在しており、当該カソード領域24がアクティブ領域3に対して不均等なパターン(配置)で形成されている。このような構成によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。前述の第2実施形態においても、第1変形例に係るカソード領域24を適用してもよい。
【0056】
図11は、半導体基板2を裏面2b側から見た模式的な底面図であって、カソード領域24の第2変形例を示す図である。
図11では、明瞭化のため、クロスハッチングによってカソード領域24を示している。
図11において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図11を参照して、第2変形例に係るカソード領域24は、前述の第1実施形態と同様、X方向に沿って延び、かつY方向に沿って間隔を空けて形成された複数の第1ライン52と、Y方向に沿って延び、かつY方向に隣り合う複数の第1ライン52同士を接続する複数の第2ライン53とを含む。第2変形例に係るカソード領域24では、第2ライン53が、いずれも、Y方向に沿って隣り合う2つの第1ライン52の+X方向端部同士を接続している。
【0057】
このように、第2変形例に係るカソード領域24は、平面視櫛歯状に形成されたライン状のパターンを含む構成とされており、当該カソード領域24がアクティブ領域3に対して不均等なパターン(配置)で形成されている。このような構成によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。前述の第2実施形態においても、第2変形例に係るカソード領域24を適用してもよい。
【0058】
図12は、半導体基板2を裏面2b側から見た模式的な底面図であって、カソード領域24の第3変形例を示す図である。
図12では、明瞭化のため、クロスハッチングによってカソード領域24を示している。
図12において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
第3変形例では、前述の第1領域50がアクティブ領域3の中央部に平面視四角形状に設定されており、当該第1領域50を取り囲むように前述の第2領域51が平面視四角環状に設定されている。つまり、第3変形例では、前述のゲートパッド9が平面視において半導体基板2の中央部に配置されている。
【0059】
第3変形例に係るカソード領域24は、前述の第1実施形態と同様、X方向に沿って延び、かつY方向に沿って間隔を空けて形成された複数の第1ライン52と、Y方向に沿って延び、かつY方向に隣り合う複数の第1ライン52同士を接続する複数の第2ライン53とを含む。
第3変形例に係るカソード領域24は、第1ライン52および第2ライン53によって、半導体基板2の側面2cに平行な平面視四角の螺旋状に形成されたライン状のパターンを含む。したがって、カソード領域24は、アクティブ領域3の周縁部側に偏在するように形成されており、これによって、当該カソード領域24が、アクティブ領域3に対して不均等なパターン(配置)で形成されている。
【0060】
このような構成によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。前述の第2実施形態においても、第3変形例に係るカソード領域24を適用してもよい。カソード領域24は、平面視円形の螺旋状であってもよいし、平面視八角形の螺旋状等のように四角形以外の平面視多角形の螺旋状であってもよい。
また、前述の各実施形態において、カソード領域24は、互いに異なる平面視形状または互いに同一の平面視形状のライン状のパターンを複数含む構成を有していてもよい。たとえば、カソード領域24は、平面視葛折状に形成されたライン状のパターン、平面視櫛歯状に形成されたライン状のパターン、および、平面視螺旋状に形成されたライン状のパターンから選択される少なくとも一種のパターンを含んでいてもよい。
【0061】
また、前述の各実施形態では、半導体層の一例としてFZ法により製造された半導体基板2が採用された例について説明した。しかし、半導体層は、半導体基板2に代えて、たとえばシリコン製のp
−型の半導体基板と、当該半導体基板のシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されたn
−型のエピタキシャル層とを含んでいてもよい。この場合、p
−型の半導体基板が、コレクタ領域23に相当する構成となり、エピタキシャル層が、ドリフト領域22に相当する構成となる。また、この場合、カソード領域24は、半導体基板(コレクタ領域23)に対するn型不純物の注入によって形成される。
【0062】
また、前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構成が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。