(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に情報分電盤用箱体は、天井際等の部屋の隅に設置されることが多い。そうすると、たとえば天井と情報分電盤用箱体の天面との間に十分な隙間が確保されにくく、情報分電盤用箱体内に熱がこもりやすいという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、たとえ天井際等に設置したとしても、情報分電盤用箱体内に熱がこもりにくい情報分電盤用箱体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、情報機器が搭載されるベース体と、後面が開口する箱状で、前記ベース体の前側を覆うように組み付けられるカバー体と
、前記情報機器の電源プラグを接続する電源コンセントとを有する情報分電盤用箱体であって、前記カバー体の天面が、前方へ向かって下降する傾斜面とされている一方、前記カバー体の底面が、前方へ向かって上昇する傾斜面とされており、さらに、前記天面及び前記底面に、複数の通気孔が設けられている
とともに、前記ベース体に、前記情報機器と接続されるケーブルを引き込むための引き込み口が設けられ、前記電源コンセントに係止片が設けられている一方、前記引き込み口の開口縁に、前記電源コンセントを設置するためのコンセント設置部として、前記係止片が係止可能な被係止部が設けられており、前記係止片を前記被係止部に係止させることによって、前記引き込み口の一部を覆うように前記電源コンセントが設置されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ベース体に、上面に情報機器を載置可能な機器載置板が、前記ベース体の前面に対して起立した姿勢で取付可能とされているとともに、前記機器載置板に、上下方向に貫通する複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記ベース体の前面に、前記情報機器を設置するための設置板が取り付けられている一方、前記情報機器を設置するための設置体が、前記設置板の一部の前側を覆う閉姿勢と、前記一部の前側を開放する開姿勢との間で、上下方向を軸として回動自在に取り付けられているとともに、前記設置体に、前後方向に貫通する複数の貫通孔が設けられていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記カバー体の左右両側面が、前方へ向かって左右方向で夫々内側へ傾斜する傾斜面とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カバー体の天面が、前方へ向かって下降する傾斜面とされている一方、カバー体の底面が、前方へ向かって上昇する傾斜面とされており、さらに、天面及び底面に、複数の通気孔が設けられている。したがって、情報機器から生じる熱により情報分電盤用箱体内に自然対流が発生し、内部に熱がこもりにくい。また、情報分電盤用箱体を部屋の天井際や床際に設置したとしても、天面と天井との間や、底面と床との間に隙間が形成されることになる。したがって、そのような場所に設置したとしても、天面や底面に設けられた通気孔が塞がれることがなく、情報分電盤用箱体内の換気が阻害されにくい。
また、ベース体に、情報機器と接続されるケーブルを引き込むための引き込み口を設けるとともに、電源コンセントに係止片を設ける一方、引き込み口の開口縁に、電源コンセントを設置するためのコンセント設置部として、係止片が係止可能な被係止部を設け、係止片を被係止部に係止させることにより、引き込み口の一部を覆うように電源コンセントが設置されるようにしているため、電源コンセントの設置にネジや工具等が必要でなく、電源コンセントの設置作業が非常に容易である上、引き込み口を用いて電源コンセントを配置させることで、情報分電盤用箱体内のスペースを効率良く使用することができ、情報分電盤用箱体内の設計自由度の向上等、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
請求項2、3に記載の発明によれば、情報機器を設置するための機器載置板や設置体にも、複数の貫通孔が設けられているため、機器載置板や設置体を利用したとしても情報分電盤用箱体内における空気の流動性の低下を抑えることができ、情報分電盤用箱体内の熱を効率良く逃がすことができる
さらに、請求項4に記載の発明によれば、カバー体の左右両側面が、前方へ向かって左右方向で夫々内側へ傾斜する傾斜面とされているため、情報分電盤用箱体を部屋の隅等の壁と壁とが交差する箇所に設置したとしても、側面と壁との間に隙間が形成されることになる。したがって、そのような場所に設置したとしても、カバー体のベース体への着脱を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となる情報分電盤用箱体(以下、箱体と称す)について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
図1は、情報分電盤1の外観を示した斜視説明図である。
図2は、ベース体4からカバー体5を取り外した状態を示した斜視説明図である。
図3は、ベース体4から機器載置板30を取り外した状態を示した斜視説明図である。
図4は、ベース体4から電源コンセント20、20を取り外した状態を示した斜視説明図である。
図5は、
図4の状態にあるベース体4を前側から示した説明図である。
図6は、電源コンセント20を示した斜視説明図である。
図7は、電源コンセント20の説明図であり、(a)は上側から、(b)は前側から、(c)は右側から、(d)は下側から夫々示している。
図8は、基台22の説明図であり、(a)は前側から、(b)は右斜め上側から夫々示している。
図9は、機器載置板30から情報機器3が取り除かれたベース体4を示した斜視説明図である。
図10は、
図9の状態にあるベース体4を前側から示した説明図である。
図11は、
図10中のA−A線断面を示した説明図である。
図12は、機器載置板30の説明図であり、(a)は上側から、(b)は右斜め上側から、(c)は前側から、(d)は右側から夫々示している。
図13は、機器載置板30をベース体4に取り付ける様子を示した説明図である。
図14は、
図9の状態から機器載置板30の取付位置が変更されたベース体4を示した説明図である。
図15は、情報分電盤1の断面を示した説明図である。
図16は、配線管9、9・・を用いる様子を示した説明図である。
図17は、設置フレーム体51、51が取り付けられたベース体4を示した斜視説明図であり、(a)は設置フレーム体51、51が閉姿勢にある状態を、(b)は設置フレーム体51、51が開姿勢にある状態を夫々示している。
【0011】
情報分電盤1は、箱体2内に情報機器3等を収納してなるものであって、箱体2は、情報機器3等が搭載される板状のベース体4と、ベース体4の前側を覆うカバー体5とを備えている。カバー体5は、前面、左右両側面5a、5b、天面5c、及び底面5dを有して、後側に開口する箱状に形成されている。そして、カバー体5の前面の左右両側には、前面から夫々隣り合う側面5a、5bへ跨がるように把持部6、6が設けられている。また、カバー体5の左側面5aは、前方へ向かって右側へ傾斜する傾斜面とされており、右側面5bは、同様に、前方へ向かって左側へ傾斜する傾斜面とされている。また、天面5cは前方へ向かって下降する傾斜面とされており、底面5dは前方へ向かって上昇する傾斜面とされている。そして、天面5c、底面5dには通気によって蓋体2内の熱を逃がすための多数の通気孔7、7・・が穿設されている。
【0012】
一方、ベース体4は、前後方向が厚み方向となる板状に形成されており、その中央部には、図示しない情報機器をネジ止めして設置可能な設置板11が備えられている。また、ベース体4には、電源コンセント20を設置するためのコンセント設置部15が複数箇所に設けられており、電源コンセント20の設置位置を選択可能となっている。さらに、ベース体4には、上面に情報機器3を載置可能な機器載置板30が、ベース体4から前側へ起立するような姿勢で取付可能となっている。そして、以上のような箱体2を有する情報分電盤1は、ベース体4を壁面等に固定した上で、設置板11にネジ止めしたり機器載置板30を利用したりして、必要な情報機器3をベース体4に設置し、最後にベース体4の前側にカバー体5を組み付けることで組み立て可能となっている。
【0013】
ここで、電源コンセント20とベース体4における電源コンセント20の設置構造とについて説明する。
電源コンセント20は、基台22と、電源プラグを差し込み可能であり、基台22の前面にネジ止めされるコンセント本体21とからなる。基台22は、左右方向へ長い略方体状の合成樹脂製ブロック体であり、上面の左部と右部とには、後側(ベース体4側)へ延びる脚片23Aと、その先端上面に設けられ、上側へ突出する係止突部23Bとからなる係止片23が夫々設けられている。また、基台22の下面で、上面側の係止片23、23と対向する箇所にも、後側へ延びる脚片23Aと、その先端下面に設けられ、下側へ突出する係止突部23Bとからなる係止片23、23が夫々設けられている。さらに、基台22の上面で、右側の係止片23の更に右側には、右側へ延びて上下方向に弾性を有する弾性片24Aと、弾性片24Aの先端から後側へ突設された係合突部24Bとからなる係合部24が設けられている。一方、基台22の前面は略平坦に成形されており、その前面には、コンセント本体21をネジ止めするための複数のネジ孔25、25・・が設けられている。
【0014】
一方、ベース体4における設置板11の上側には、電線や通信線等といった情報機器に接続するケーブルを引き込むための2つの引き込み口12A、12Bを左右に並べてなる上引き込み部13Aが設けられている。また、設置板11の下側にも、2つの引き込み口12C、12Dを左右に並べてなる下引き込み部13Bが設けられている。さらに、上下の両引き込み部13A、13Bには、各引き込み口12A〜12Dの内側へ突出する設置リブ14、14が、引き込み口12A〜12Dの上縁及び下縁に沿って左右に延設されている。また、各設置リブ14の前後方向での位置は、各引き込み口12A〜12Dの後端よりも上記係止突部23Bの前後方向での厚みと略同じだけ前側となっている。そして、上下の両引き込み部13A、13Bにおける引き込み口12A〜12Dの開口縁であって、特に設置リブ14、14に、電源コンセント20を設置するためのコンセント設置部15が、夫々3箇所(左右両端部及び中央部)ずつ設けられている。
【0015】
各コンセント設置部15は、4つの被係止部16、16・・と1つの被係合部17とを備えている。各被係止部16は、設置リブ14を係止突部23Bの左右幅と略同じ幅にわたって切り欠いた切り欠き部16Aと、切り欠き部16Aから左右へ係止突部23Bの左右幅と略同じ距離だけ離れた位置(なお、各コンセント設置部15毎に、切り欠き部16Aから右側へ離れるか、それとも左側へ離れるかは統一されている)において、設置リブ14の後面から後側へ立設された塞き止め面16Bとからなる。また、被係合部17は、設置リブ14の前面に設けられた凹部として形成されている。そして、各コンセント設置部15では、上側の設置リブ14に2つの被係止部16、16が左右に並んで設けられているとともに、下側の設置リブ14で上側の設置リブ14に設けられた被係止部16、16と対向する位置に、残り2つの被係止部16、16が左右に並んで設けられている。また、後述の如くして被係止部16、16・・に電源コンセント20の係止片23、23・・を係止させた際、電源コンセント20の係合部24に対応する位置に被係合部17が設けられている。なお、各設置リブ14における左右に並んだ被係止部16、16間の距離は、電源コンセント20における左右に並んだ係止片23、23間の距離と同じとなっている。
【0016】
上述したような電源コンセント20をベース体4に設置するにあたっては、ベース体4に6箇所設けられているコンセント設置部15、15・・から適切なコンセント設置部15を選択する。そして、電源コンセント20の係止突部23B、23B・・を被係止部16、16・・の切り欠き部16A、16A・・にあてがい、後側へ押し込んで係止突部23B、23B・・を設置リブ14、14よりも後側へ位置させる。そして、そのまま電源コンセント20を、ベース体4の前面に沿って塞き止め面16B、16B・・側へ左側若しくは右側へスライドさせれば、係止突部23B、23B・・が設置リブ14の後側へ入り込んで、係止片23、23・・が被係止部16、16・・に係止する。また、このスライドにより、後側への押し込み時に弾性変形していた弾性片24Aが元の状態に復帰して係合突部24Bが被係合部17に係合し、係合部24が被係合部17に係合する。そして、この係止片23、23・・の被係止部16、16・・への係止、及び係合部24の被係合部17の係合をもって、電源コンセント20は、コンセント設置部15に固定されてベース体4に設置される。なお、当該設置状態において、電源コンセント20は引き込み口12A〜12Dの一部の前側を覆っている。
【0017】
また、電源コンセント20の設置位置を変更したい場合には、設置状態にある電源コンセント20の係合部24の弾性片24Aを変形させ、係合突部24Bと被係合部17との係合を解除すればよい。すると、電源コンセント20の左右方向へのスライド(ベース体4の前面に沿ってのスライド)が可能となるため、電源コンセント20をスライドさせて係止片23、23・・と被係止部16、16・・との係止を解除すれば、電源コンセント20をベース体4から取り外すことができる。
【0018】
なお、上引き込み部13Aからケーブルを引き込む際、
図16に示すように、接続される情報機器毎に配線管9、9・・を分けて引き込むことで配線の接続作業や引き回し作業等が簡易となる。そして、配線管9、9・・の判別を容易とするために、ベース体4の引き込み口12A、12Bの上縁に沿って、ケーブルの種類、接続される情報機器等といったケーブル若しくは情報機器に関連する情報を表示するための名称表示部8、8・・が設けられている。
【0019】
次に、機器載置板30とベース体4における機器載置板30の取付構造とについて説明する。
機器載置板30は、上下方向が厚み方向となる合成樹脂製の板体であって、前部は情報機器3を載置する機器載置部として、後部はベース体4への取付部として夫々機能するようになっている。この機器載置部には、上下方向に貫通する多数の設置孔31、31・・が開設されている。そして、当該設置孔31、31・・を利用して、弾性を有するバンド部材(図示せず)を情報機器3に巻回させることで、機器載置部上で情報機器3を固定可能となっている。また、機器載置部の前端(機器載置板30の前端)には、機器載置部の上面よりも上側へ突出しており、情報機器3が機器載置部上から転落する事態を防止する転落防止壁32が設けられている。一方、取付部は、機器載置部よりも薄肉とされており、該取付部の上面における後端縁には、取付部の上面よりも上方へ突出しており、機器載置板30をベース体4に掛止するための掛止リブ33が、後端縁に沿って左右方向へ延設されている。また、取付部の下面における後端部は、後方へ向かって先細りするような傾斜面34として成形されている。さらに、取付部の下面には、取付部は勿論、機器載置部の下面よりも下方へ突出する支持リブ35が左右方向へ延設されている。
【0020】
一方、ベース体4における下引き込み部13Bの更に下側には、機器載置板30を取り付けるための取付空間40が設けられている。取付空間40は、前側へ突き出た底面41と、底面41の上方に設けられ、底面41の後半分程度を覆う天面42と、底面41の左右両端部において上方へ立設された側面43、43とに囲まれ、前面と上面の前半分とに開口した空間となっている。そして、天面42の下面(取付空間40内側の面)には、下方へ突出する被掛止リブ44が、両側面43、43間にわたって左右方向へ延設されている。また、底面41の上面(取付空間40内側の面)には、上方へ突出する支持突条45が、両側面43、43間にわたって左右方向へ延設されている。なお、取付空間40の左右幅は、機器載置板30の左右幅よりも十分に長い。また、取付空間40の前後幅(特に底面41の前後幅)は、機器載置板30の取付部の前後幅と略同じとなっている。
【0021】
そして、上述したような機器載置板30をベース体4に取り付けるにあたっては、機器載置板30をベース体4に対して傾斜させた姿勢とし、取付部を取付空間40内に差し込む。それから、機器載置板30の後端側を中心に前端側を下側へ回動させつつ、機器載置板30の掛止リブ33側を取付空間40内の奥側へ押し込んでいく(
図13)。そして最終的に、機器載置板30をベース体4の前面に対して略90度起立する起立姿勢とした際、掛止リブ33が被掛止リブ44よりも後方へ回り込んで、掛止リブ33が被掛止リブ44に掛止することで、機器載置板30はベース体4へ取り付けられることになる(
図11)。この取付状態にあっては、支持リブ35の端面が底面41上に当接しているとともに、支持リブ35の先端後面と支持突条45の前面とが当接しており、機器載置板30のガタ付きが防止されている。
【0022】
また、箱体2内部に収納される情報機器の種類等に応じて、取付空間40内での機器載置板30の取付位置を調整したい場合には、取付状態にある機器載置板30を僅かに持ち上げて支持リブ35を底面45から浮かせた状態とする。そして、その状態のまま、左右方向へ機器載置板30をスライドさせれば、
図9に示すように右側の側面43に当接する右端位置と、
図14に示すように左側の側面43に当接する左端位置との間で、機器載置板30の取付位置を自由に調整することができる。このとき、掛止リブ33は、被掛止44の後側に位置したままとなっており、機器載置板30の左右方向へのスライドは、被掛止リブ44に案内される格好でスムーズに行われることになる。なお、機器載置板30が必要なくなった場合には、機器載置板30の前端側を持ち上げて掛止リブ33と被掛止リブ44との掛止を解除した後、後端側が取付空間40内から抜け出るように機器載置板30を前方へ引き出せばよい。
【0023】
さらに、箱体2には、設置板11の前側で上下方向を軸として回動する設置フレーム体51を取り付けてもよい。この設置フレーム体51そのものの構成や設置フレーム体51を支持する構成について、以下説明する。
ベース体4における左右両側縁部には、設置フレーム体51を上下方向を軸として回動自在に支持するための軸支部52、52が夫々設けられている。また、ベース体4の左右方向での略中央部には、設置フレーム体51を閉姿勢で保持するための保持部材53が取り付けられている。保持部材53は、上下方向に長い板状の基部(図示せず)と、基部の上部から前側へ突設された角筒状の被係止部54と、基部の下部から前側へ突設された角柱状の被挟持部55とを備えてなる。そして、この保持部材53は、ベース体4に設けられた取付凹部(図示せず)内に嵌め込んだ状態で、ベース体4に掛止させることにより、ベース体4に対して着脱自在に取り付けられる。なお、保持部材53を取り付けた際に使用する設置板11には、被係止部54や被挟持部55を露出させるための開口が設けられている。
【0024】
設置フレーム体51は、左右方向の長さがベース体4の略半分程度となるような正面視矩形に成形されたフレーム体であって、その略全面にわたって上下左右に複数列並設された格子孔は、バンド部材を用いて情報機器3を締め付け固定するための設置孔56として機能する。また、設置フレーム体51の左右方向での一端側には、軸支部52に軸支される軸部が設けられている。一方、設置フレーム体51の左右方向で他端側の上部には、弾性を有する係止爪57が後方へ突設されている。また、係止爪57の下部(設置フレーム体51の左右方向で他端側の下部)には、弾性を有する一対の挟持片58、58が後方へ突設されている。加えて、設置フレーム体51の下縁には、設置フレーム体51に設置される情報機器の底面を支持するための支持段部59が、前方へせり出すように設けられている。
【0025】
上述の設置フレーム体51を用いる場合には、ベース体4に保持部材53を取り付けた後、左右の軸支部52、52に夫々設置フレーム体51の軸部を軸支させる。そして、設置フレーム体51、51を設置板11の前側へ傾倒させ、各設置フレーム体51の係止爪57を被係止部54に係止させるとともに、挟持片58、58を被挟持部55に挟持させ、設置フレーム体51、51を閉姿勢で保持させればよい。すると、
図17(a)に示す如く、設置板11の前面左右両部と設置フレーム体51、51との間に第1の設置空間が設けられ、左右の設置フレーム体51、51の前面に第2の設置空間が設けられる。なお、当該状態にある設置板11へ情報機器を設置するにあたっては、係止爪57と被係止部54との係止及び挟持片58、58と被挟持部55との挟持を解除として、
図17(b)に示す如く、左右の設置フレーム体51、51を夫々開姿勢側へ回動させればよい。すると、設置板11の前面が大きく開放され、設置板11への情報機器の設置が容易となる。
【0026】
以上のような構成を有する箱体2によれば、カバー体5の天面5c、底面5dには通気によって蓋体2内の熱を逃がすための多数の通気孔7、7・・が穿設されている。したがって、情報機器から生じる熱により箱体2内に自然対流が発生し、箱体2内に熱がこもりにくい。そして、この天面5cは前方へ向かって下降する傾斜面とされている一方、底面5dは前方へ向かって上昇する傾斜面とされているため、箱体2を部屋の天井際や床際に設置したとしても、天面5cと天井との間や、底面5dと床との間に隙間が形成されることになる。したがって、そのような場所に設置したとしても、天面5cや底面5dに設けられた通気孔7、7・・が塞がれることがなく、箱体2内の換気が阻害されにくい。
【0027】
また、カバー体5の左側面5aは、前方へ向かって右側へ傾斜する傾斜面とされている一方、右側面5bは、前方へ向かって左側へ傾斜する傾斜面とされている。すなわち、カバー体5の左右両側面が、前方へ向かって左右方向で夫々内側へ傾斜する傾斜面とされているため、箱体2を部屋の隅等の壁と壁とが交差する箇所に設置したとしても、側面5a、5bと壁との間に隙間が形成されることになる。したがって、そのような場所に設置したとしても、把持部6、6を確実に把持することができ、ベース体4に対するカバー体5の着脱を容易に行うことができる。
【0028】
さらに、ベース体4に取付可能とされた機器載置板30や設置フレーム体51にも、情報機器を設置するための設置孔31、56として複数の貫通孔が設けられている。したがって、機器載置板30や設置フレーム体51を利用したとしても箱体2内における空気の流動性の低下を抑えることができ、箱体2内の熱を効率良く逃がすことができる。
【0029】
また、ベース体4に6箇所ものコンセント設置部15、15・・が設けられているとともに、電源コンセント20側(基台22側)に係止片23、23・・及び係合部24を、各コンセント設置部15に被係止部16、16・・及び被係合部17を夫々設け、係止片23、23・・の被係止部16、16・・への係止と係合部24の被係合部17への係合とによって、電源コンセント20をコンセント設置部15に着脱自在に設置可能している。したがって、電源コンセント20の設置にネジや工具等が必要でなく、電源コンセント20の設置作業が非常に容易である上、収納する情報機器の種類やそれらの配置態様等に応じて電源コンセント20の設置位置を容易に変更することができるため、使い勝手が良い。
【0030】
また、箱体2内にケーブルを引き込むための引き込み口12A〜12Dの開口縁にコンセント設置部15、15・・を設けているため、引き込み口12A〜12Dの一部を覆うように電源コンセント20を配置させることができ、箱体2内のスペースを効率良く使用することができ、箱体2内の設計自由度の向上等、使い勝手の一層の向上を図ることができる。
【0031】
さらに、電源コンセント20のベース体4への設置に係り、係合部24を被係合部17へ係合させるのみならず、電源コンセント20側のスライドに伴って係止片23、23・・を被係止部16、16・・へ係止させるようにしているため、電源コンセント20を強固にベース体4に設置することができる。
【0032】
さらにまた、機器載置板30の後端縁に、取付部の上面よりも上方へ突出しており、機器載置板30をベース体4に掛止するための掛止リブ33を、後端縁に沿って左右方向へ延設する一方、ベース体4における下引き込み部13Bの更に下側に、前側へ突き出た底面41と、底面41の上方に設けられ、下方へ突出する被掛止リブ44を備えた天面42とを有する取付空間40を設けている。そして、掛止リブ33と被掛止リブ44との掛止/解除により、機器載置板30をベース体4に着脱自在に取付可能としている。したがって、工具やネジを要することなく、必要に応じて機器載置板30を容易に着脱することができ、使い勝手が非常に良い。
【0033】
またさらに、機器載置板30の取付部の下面における後端部を、後方へ向かって機器載置板30の厚みが先細りするような傾斜面34として成形している。したがって、機器載置板30のベース板4への着脱にあたり、機器載置板30をスムーズに回動させることができ、機器載置板30の着脱作業の一層の簡素化を図ることができる。
【0034】
加えて、取付空間40の左右幅を、機器載置板30の左右幅よりも十分に長くしており、掛止リブ33と被掛止リブ44との掛止を維持したまま、取付空間40内において機器載置板30を左右方向へスライド可能とした。すなわち、収納する情報機器の種類等に応じて、機器載置板30の取付位置をも容易に変更することができる。したがって、箱体2内における情報機器の配置態様に係る自由度が高くて使い勝手が良く、たとえば配線がスムーズにいかない、情報機器が発する熱により性能が低下する等といった問題が生じない。
【0035】
また、ベース体4の引き込み口12A、12Bの上縁に沿って、ケーブルの種類、接続される情報機器等といったケーブル若しくは情報機器に関連する情報を表示するための名称表示部8、8・・が設けられている。したがって、当該名称表示部8、8・・を利用することで、引き込み口12A、12Bから引き込まれているケーブルがどの情報機器に接続されるどのようなケーブルであるかといったことを容易に判別することができ、ケーブルの接続作業や引き回し作業等が簡易となる。
【0036】
なお、本発明に係る箱体の構造は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、ベース体における電源コンセントの設置構造や機器載置板の取付構造等について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0037】
たとえば、ベース体におけるコンセント設置部の数や位置等については、上記実施形態の数や位置に何ら限定されることはなく、適宜変更することができる。
また、電源コンセント側に設ける係止片や係合部の数や位置、形状等についても適宜変更可能であり、複数の係合部を設けることで係止片のない電源コンセントとしても何ら問題はないし、ネジ止めにより電源コンセントを固定するような箱体であってもよい。
【0038】
さらに、ベース体に設ける引き込み口の数や位置等についても上記実施形態のものに限定されることはないし、引き込み口の開口縁以外の箇所にコンセント設置部を設けることも可能である。
加えて、上記実施形態では、機器載置板側に設けた掛止部とベース体側に設けた被掛止部との両方をリブ状に形成しているが、掛止部と被掛止部との少なくとも何れか一方が左右方向へ延びるリブ状であればよい。
【0039】
また、上記実施形態では、上引き込み部における引き込み口の上縁に沿って名称表示部を設けているが、上引き込み部における引き込み口の下縁に沿って名称表示部を設けてもよいし、下引き込み部における引き込み口の開口縁に名称表示部を設けてもよく、電線や通信線を引き込む引き込み口の開口縁であれば、名称表示部の位置や数は適宜設計変更可能である。
さらに、上記実施形態では、設置孔を有する機器載置板や設置フレーム体を採用しているが、そのような設置孔を有さない機器載置板や設置フレーム体を採用することも当然可能である。