(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、実施形態の表示装置10は、信号処理部20と、画像表示パネル駆動部30と、画像表示パネル40とを有する。信号処理部20は、制御装置11の画像出力部12からの入力信号(RGBデータ)が入力され、入力信号に所定のデータ変換処理を加えて生成した信号を表示装置10の各部に送る。画像表示パネル駆動部30は、信号処理部20からの信号に基づいて画像表示パネル40の駆動を制御する。画像表示パネル40は、画像表示パネル駆動部30からの信号に基づいて画素48が有する副画素49(
図2参照)の自発光体を点灯させて画像を表示する自発光型の画像表示パネルである。
【0010】
最初に、画像表示パネル40の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る画像表示パネル40の副画素の配列を示す図である。
図3は、実施形態に係る画像表示パネル40の断面構造を示す図である。
図1に示すように、画像表示パネル40は、画素48が、P
0×Q
0個(行方向にP
0個、列方向にQ
0個)、2次元のマトリクス状(行列状)に配列されている。このように、画像表示パネル40には、画素48が設けられて表示出力が行われる領域としてアクティブエリアAAが設けられている。
【0011】
画素48は、複数の副画素49を含む。具体的には、画素48は、例えば
図2に示すように、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。第1副画素49Rは、第1色としての原色の赤色を表示する。第2副画素49Gは、第2色としての原色の緑色を表示する。第3副画素49Bは、第3色としての原色の青色を表示する。ただし、第1色、第2色、第3色は、それぞれ赤色、緑色、青色に限られず、補色などの任意の色を選択することができる。以下において、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとをそれぞれ区別する必要がない場合、副画素49という。
【0012】
図3に示すように、画像表示パネル40は、基板51と、絶縁層52,53と、反射層54と、下部電極55と、自発光層56と、上部電極57と、絶縁層58,59と、色変換層としてのカラーフィルタ61と、遮光層としてのブラックマトリクス62と、基板50とを備えている。基板51は、シリコンなどの半導体基板、ガラス基板、樹脂基板などであって、上述した点灯駆動回路などを形成又は保持している。絶縁層52は、上述した点灯駆動回路などを保護する保護膜であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。下部電極55は、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとにそれぞれ設けられており、発光素子としての有機発光ダイオードEL(
図6参照)のアノード(陽極)となる導電体である。下部電極55は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。絶縁層53は、バンクと呼ばれ、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを区画する絶縁層である。反射層54は、自発光層56からの光を反射する金属光沢のある材料、例えば銀、アルミニウム、金などで形成されている。自発光層56は、有機材料を含み、不図示のホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む。
【0013】
正孔を発生する層としては、例えば、芳香族アミン化合物と、その化合物に対して電子受容性を示す物質とを含む層を用いることが好ましい。ここで、芳香族アミン化合物とは、アリールアミン骨格を有する物質である。芳香族アミン化合物の中でも特に、トリフェニルアミンを骨格に含み、400以上の分子量を有するものが好ましい。また、トリフェニルアミンを骨格に有する芳香族アミン化合物の中でも特にナフチル基のような縮合芳香環を骨格に含むものが好ましい。トリフェニルアミンと縮合芳香環とを骨格に含む芳香族アミン化合物を用いることによって、発光素子の耐熱性が良くなる。芳香族アミン化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、2,2’,3,3’−テトラキス(4−ジフェニルアミノフェニル)−6,6’−ビスキノキサリン(略称:D−TriPhAQn)、2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)等が挙げられる。また、芳香族アミン化合物に対して電子受容性を示す物質について特に限定はなく、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等を用いることができる。
【0014】
電子輸送性物質について特に限定はなく、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。また、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質について特に限定はなく、例えば、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることができる。また、リチウム酸化物(Li2O)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(Na2O)、カリウム酸化物(K2O)、マグネシウム酸化物(MgO)等、アルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物の中から選ばれた物質を、電子輸送性物質に対して電子供与性を示す物質として用いても構わない。
【0015】
例えば、赤色系の発光を得たいときには、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTB)やペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン等、600nmから680nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また緑色系の発光を得たいときは、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6やクマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等、500nmから550nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。また、青色系の発光を得たいときは、9,10−ビス(2−ナフチル)−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−ガリウム(略称:BGaq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等、420nmから500nmに発光スペクトルのピークを有する発光を呈する物質を用いることができる。以上のように、蛍光を発光する物質の他、ビス[2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(FIr(pic))、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)、イリジウム(略称:Ir(ppy)3)等の燐光を発光する物質も発光物質として用いることができる。
【0016】
上部電極57は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)等の透光性導電材料(透光性導電酸化物)で形成される透光性電極である。なお本実施形態では、透光性導電材料の例としてITOを挙げたが、これに限定されない。透光性導電材料として、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)等の別の組成を有する導電材料を用いてもよい。上部電極57は、有機発光ダイオードELのカソード(陰極)になる。絶縁層58は、上部電極57を封止する封止層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。絶縁層59は、バンクにより生じる段差を抑制する平坦化層であり、シリコン酸化物、シリコン窒化物などを用いることができる。基板50は、画像表示パネル40全体を保護する透光性の基板であり、例えば、ガラス基板を用いることができる。なお、
図3においては、下部電極55がアノード(陽極)、上部電極57がカソード(陰極)の例を示しているが、これに限定されない。下部電極55がカソード及び上部電極57がアノードであってもよく、その場合は、下部電極55に電気的に接続されている駆動用トランジスタDRT(
図6参照)の極性を適宜変えることも可能であり、また、キャリア注入層(ホール注入層及び電子注入層)、キャリア輸送層(ホール輸送層及び電子輸送層)、発光槽の積層順を適宜変えることも可能である。
【0017】
画像表示パネル40は、カラー表示パネルであり、自発光層56の発光成分のうち、副画素49と画像観察者との間に、副画素49の色に応じた色の光を通過させるカラーフィルタ61が配置されている。画像表示パネル40は、赤色、緑色、青色、及び白色に対応する色の光を発光することができる。また、画像表示パネル40は、自発光層56の発光成分がカラーフィルタ61などの色変換層を介さず、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bの各々の色を発光することもできる。
【0018】
図4は、実施形態に係る画像表示パネル40の副画素の他の配列を示す図である。画像表示パネル40が有する画素48は、
図2を参照して説明した第1副画素49R、第2副画素49G及び第3副画素49Bを含む例に限られない。例えば、
図4に示すように、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B及び第4副画素49Wを含む副画素49を2行2列で組み合わせた画素48がマトリクス状に配置されていてもよい。第4副画素49Wは、第1色、第2色及び第3色とは異なる第4色(例えば、白色)を表示する。このように、画像表示パネル40は、画素48内の副画素49の配列を、任意に設定してもよい。なお、白色に対応する第4副画素49Wと画像観察者との間のカラーフィルタ61は、配置されていないようにしてもよいし、カラーフィルタ61の代わりに透明な樹脂層が備えられていてもよい。透明な樹脂層を設けることで、第4副画素49Wに大きな段差が生じることを抑制することができる。なお、1つの画素48が含む副画素49の数は3又は4に限られず、1つ以上の任意の数であってよい。また、副画素49の色は、適宜変更可能である。
【0019】
信号処理部20は、制御装置11から入力される入力信号IPを処理して出力信号OPを生成する。信号処理部20は、例えば、赤色(第1色)、緑色(第2色)、青色(第3色)の色の組み合わせによる入力信号IP(所謂RGB入力信号)が示す入力値を、副画素49の色の組み合わせで再現される色空間の再現値を示す出力信号OPに変換して生成する。そして、信号処理部20は、生成した出力信号OPを画像表示パネル駆動部30に出力する。
【0020】
画像表示パネル駆動部30は、例えば、信号出力回路31、走査回路32、切替回路33、電圧生成回路34、制御回路35を有する。信号出力回路31は、所謂ソースドライバとして機能し、信号処理部20から出力された出力信号OPを副画素49の各々に割り当て、信号線Vsigを介して副画素49の各々に出力する。走査回路32は、所謂ゲートドライバとして機能し、副画素49を行単位で駆動する駆動信号を含む各種の信号を出力する。
【0021】
切替回路33は、電圧生成回路34が生成する複数の電圧のうちいずれかの電圧が画素(例えば、画素48が有する副画素49)に印加されるよう切り替え可能に設けられている。
【0022】
電圧生成回路34は、有機発光ダイオードELに流れる電流を生じさせる電圧を生成する。具体的には、電圧生成回路34は、例えばそれぞれ異なる複数の電圧を生成する第1電圧生成部34a、第2電圧生成部34bを有する。本実施形態の電圧生成回路34は、低電位用配線PVSS(
図6参照)の電位よりも高い電位を示す電圧を生成して高電位用配線PVDDに供給する。有機発光ダイオードELは、流される電流の大きさに応じた発光量で点灯する。
【0023】
制御回路35は、信号出力回路31及び走査回路32の動作に係る信号(同期信号Sig1)を出力して信号出力回路31と走査回路32の動作を制御する。同期信号Sig1は、例えば信号出力回路31及び走査回路32に対するクロック信号等を含む。係るクロック信号は、例えば入力信号IPに同期して制御回路35を動作させるために制御装置11から出力される同期信号CLに応じて出力される。また、制御回路35は、制御部として機能し、切替回路33の動作を制御する。具体的には、制御回路35は、1フレームの画像表示期間内において画素に印加される電圧をより高い電圧に切り替えるよう切替部を1回以上動作させる。ここでいう画素とは、本実施形態の場合、画素48が有する副画素49をさす。制御回路35の詳細については後述する。
【0024】
次に、画像表示パネル駆動部30と副画素49との関係についてより詳細に説明する。
図5は、画像表示パネル駆動部30の各構成と副画素49との接続関係の一例を示す模式図である。
図6は、切替回路33と高電位用配線PVDDとの接続関係の一例を示す模式図である。
図6では、2行1列分の副画素49
m,49
m+1を例示しているが、他の副画素49も同様の構成を有する。
【0025】
図1、
図5に示すように、信号出力回路31は、信号線DTLを介して画素48が有する副画素49の各々と接続されている。また、走査回路32は、走査線SCLを介して画素48が有する副画素49の各々と接続されている。信号線DTLは、列方向に並ぶ複数の副画素49で共有されている。走査線SCLは、行方向に並ぶ複数の副画素49で共有されている。信号出力回路31は、出力信号を信号線DTLに出力する。走査回路32は、駆動信号を走査線SCLに出力する。
【0026】
なお、
図5では走査回路32がアクティブエリアAAを挟んで対向する2辺に沿う2つの走査回路32a,32bとして設けられているが、これは走査回路32の具体的構成例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。また、
図5では切替回路33がアクティブエリアAAを挟んで対向する2辺に沿う2つの走査回路33a,33bとして設けられているが、これは切替回路33の具体的構成例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0027】
図6に示すように、副画素49は、制御用トランジスタSSTと、駆動用トランジスタDRTと、電荷保持用コンデンサCsと、EL電源開閉用トランジスタBCTとを含む。制御用トランジスタSSTのゲートが走査線SCLに接続され、ドレインが信号線DTLに接続され、ソースが駆動用トランジスタDRTのゲートに接続されている。電荷保持用コンデンサCsの一端が駆動用トランジスタDRTのゲートに接続され、他端が駆動用トランジスタDRTのソースに接続されている。駆動用トランジスタDRTのドレインが高電位用配線PVDD側に接続されており、駆動用トランジスタDRTのソースが自発光体である有機発光ダイオードELのアノード側に接続されている。有機発光ダイオードELのカソードは、例えばアース等の基準電位として機能する低電位用配線PVSSに接続されている。
【0028】
なお、
図6では制御用トランジスタSSTがnチャネル型トランジスタ、駆動用トランジスタDRTがpチャネル型トランジスタの例を示しているが、それぞれのトランジスタの極性はこれに限定されない。必要に応じて、制御用トランジスタSST及び駆動用トランジスタDRTそれぞれの極性を決めればよい。また、
図5では、低電位用配線PVSSに隣接する副画素49のみ低電位用配線PVSSからの破線矢印が図示されているが、実際には低電位用配線PVSSは例えばアクティブエリアAA全体に広がる面部を有する電極を有し、全ての副画素49が低電位用配線PVSSと接続されている。
【0029】
制御用トランジスタSSTは、走査線SCLに駆動信号が出力されているタイミングで信号線DTLに出力されている出力信号に応じた電流を電荷保持用コンデンサCsに流すよう動作する。電荷保持用コンデンサCsは、出力信号に応じた電荷を静電容量として蓄積し、駆動用トランジスタDRTのソース・ドレイン間を流れる電流を決定する。駆動用トランジスタDRTのソース・ドレイン間には、高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSの電位差に応じた電圧が生じており、電荷保持用コンデンサCsに蓄積されている静電容量に応じて駆動用トランジスタDRTが動作することで、当該電圧に基づいた電流が有機発光ダイオードELに流れる。すなわち、駆動用トランジスタDRTは、高電位用配線PVDD−低電位用配線PVSS間の電位差による電圧に応じた電流を発光素子(例えば、有機発光ダイオードEL)に流す経路に設けられて、発光素子に流れる電流を電荷保持用コンデンサCsに蓄積された電荷に応じた電流とするよう機能する。このようにして出力信号に応じた電流が有機発光ダイオードELに流れるようになっている。
【0030】
さらに、高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間には、駆動用トランジスタDRTのドレイン側にEL電源開閉用トランジスタBCTが設けられている。EL電源開閉用トランジスタBCTのゲートがEL電源開閉信号線BGに接続され、ドレインが高電位用配線PVDDに接続され、ソースが低電位用配線PVSS側に設けられている駆動用トランジスタDRTのドレイン側に接続されている。EL電源開閉用トランジスタBCTは、EL電源開閉信号線BGの信号の切り替わりに応じて動作してソース・ドレイン間の電圧に応じた出力を生じさせる。また、EL電源開閉用トランジスタBCTと駆動用トランジスタDRTとの間には、副画素49の出力をリセットするためのリセット線Vrstが接続されている。リセット線Vrstの電位は、オフセットキャンセル動作時にEL電源開閉用トランジスタBCTと駆動用トランジスタDRTとの間の電位をPVSS以下にするためのリセット信号として機能する。また、リセット線Vrstには、リセット用トランジスタRSTが設けられている。リセット用トランジスタRSTのゲートがリセット信号線RGと接続され、ソース及びドレインがリセット線Vrstに介在している。走査回路32は、フレーム画像の更新に先立ってリセット信号をリセット線Vrstに出力して電荷保持用コンデンサCsの静電容量及び有機発光ダイオードELの発光状態をリセットする。その後、再度走査回路32が駆動信号を走査線SCLに出力するタイミングに応じて信号出力回路31が出力信号を信号線DTLに出力する。
【0031】
次に、高電位用配線PVDDの電位切り替えについて説明する。切替回路33は、複数の高電位線(例えば、第1高電位線PVDD1、第2高電位線PVDD2)のうちいずれか一方と高電位用配線PVDDとを接続するスイッチSWを有する。スイッチSWは、制御部として機能する制御回路35からの制御信号Sig2に応じて動作し、高電位用配線PVDDと接続される高電位線を切り替える。
【0032】
図7は、駆動用トランジスタDRTを流れるドレイン電流(ID)及びドレイン電圧(VD)と、駆動用トランジスタDRTのゲート−ソース間電圧を決定する第1高電位線PVDD1第1高電位線PVDD1、第2高電位線PVDD2との関係の一例を示すグラフである。ドレイン電圧(VD)が大きいほどドレイン電流(ID)が大きくなるため、第2高電位線PVDD2に接続されているときは第1高電位線PVDD1に接続されているときよりも駆動用トランジスタDRTを流れるドレイン電流(ID)は大きくなる。第1高電位線PVDD1、第2高電位線PVDD2はそれぞれ異なる電圧を生成する第1電圧生成部34a、第2電圧生成部34bと接続されており、異なる電位を示す。本実施形態では、第1電圧生成部34aに比して第2電圧生成部34bの方がより高い電圧を出力している。
【0033】
出力信号に応じて静電容量が蓄積された直後のタイミングにおいて、切替回路33のスイッチSWは、相対的に低い電位を示す第1高電位線PVDD1と高電位用配線PVDDとを接続する。当該タイミングの電荷保持用コンデンサCsは出力信号に応じた静電容量を十分に蓄積しており、駆動用トランジスタDRTのゲートを開く電圧を十分に生じさせているが、当該タイミングからの時間の経過に応じて漏電により電荷保持用コンデンサCsの静電容量が徐々に失われて駆動用トランジスタDRTのソース・ドレイン間を流れる電流が徐々に小さくなる。このため、高電位用配線PVDD及び低電位用配線PVSSの電位が一定であると仮定すると、有機発光ダイオードELの発光量を決定する高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間を流れる電流は、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの間に電荷保持用コンデンサCsの静電容量が徐々に失われることに伴って徐々に小さくなる。従って、当該仮定の条件下では、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの間に有機発光ダイオードELの輝度が低下し続けることになる。
【0034】
そこで、本実施形態では、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの間に制御回路35が制御信号Sig2を出力してスイッチSWを動作させ、高電位用配線PVDDと接続される高電位線を、相対的に高い電位を示す第2高電位線PVDD2に切り替える。これによって、高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの電位差をより大きくして高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間を流れる電流を大きくすることができる。
【0035】
図7に示す例では、フレーム画像の更新タイミングT
0に第2高電位線PVDD2と低電位用配線PVSSとが接続されていたと仮定すると、フレーム画像の更新タイミングT
0後に第1高電位線PVDD1と低電位用配線PVSSとが接続されている場合に比して電流上昇分UPだけ大きい電流が有機発光ダイオードELに流れるものとしている。また、本実施形態では、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間の半分の時間が経過したタイミングT
1に生じる電荷保持用コンデンサCsの静電容量の減少(所謂リーク)によって第2高電位線PVDD2と低電位用配線PVSSとの間の電圧に応じて流れる電流が電流上昇分UPだけ減少し、フレーム画像の更新タイミングT
0の際に第1高電位線PVDD1と高電位用配線PVDDとが接続された場合のドレイン電流(ID)とタイミングT
1の際に第2高電位線PVDD2と高電位用配線PVDDとが接続された場合のドレイン電流(ID)とが等しくなるよう、第2高電位線PVDD2と接続される第2電圧生成部34bの出力電圧が設定されている。係る電荷保持用コンデンサCsの静電容量の減少と第2高電位線PVDD2と低電位用配線PVSSとの間の電圧に応じて流れる電流との関係は、予め行われた測定等の調査に基づいて特定されている。なお、例えば第1高電位線PVDD1から第2高電位線PVDD2への切り替えのように高電位用配線PVDDの電圧が高くなることで高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間の電位差が大きくなると、チャネル長変調効果が生じて駆動用トランジスタDRTのチャネルの長さが短くなることから、ドレイン電流(ID)が増えることになる。
【0036】
図8は、フレーム画像の更新タイミングT
0からの経過時間と有機発光ダイオードELの輝度との関係の一例を示すグラフである。本実施形態では、制御回路35は、フレーム画像の更新タイミングT
0に高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第1高電位線PVDD1にする。また、制御回路35は、フレーム画像の更新タイミングT
0後に所定時間が経過したタイミング(例えば、タイミングT
1)で高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第2高電位線PVDD2にする。これによって、
図7に示すように、タイミングT
1で有機発光ダイオードELに流れる電流を、フレーム画像の更新タイミングT
0に第1高電位線PVDD1と低電位用配線PVSSとの間の電圧に応じて流れる電流と同等にすることができる。従って、
図8に示すように、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間内で生じる有機発光ダイオードELの輝度の低下をDW
1、DW
2に抑えることができる。
【0037】
図9は、フレーム画像の更新タイミングT
0からの経過時間と有機発光ダイオードELの輝度との関係の比較例を示すグラフである。フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間に高電位用配線PVDDと接続されている電位が一定の電位(例えば、第1高電位線PVDD1が示す電位)であると仮定すると、
図9に示すように、フレーム画像の更新タイミングT
0から有機発光ダイオードELの輝度が低下し続ける。このため、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間内で生じる有機発光ダイオードELの輝度の低下の度合いは、DW
1、DW
2よりも大きいDW
3になる。フレーム更新に伴う有機発光ダイオードELの輝度の極端な変化は、画像表示パネル40のフリッカとして視認されることがある。このため、
図9に示す例の場合、
図8に示す例に比してフリッカが視認されやすくなる。これに対し、本実施形態では高電位用配線PVDDと接続される高電位線を切り替えることで、フリッカの発生を抑制することができる。
【0038】
本実施形態の表示部は、1フレームの画像表示期間が相対的に短い高リフレッシュレートモードと1フレームの画像表示期間が相対的に長い低リフレッシュレートモードとを切り替え可能に設けられている。具体的には、高リフレッシュレートモードは、例えば画像表示パネル40の表示出力内容を毎秒60回更新する動作モード(60Hz)である。低リフレッシュレートモードは、例えば画像表示パネル40の表示出力内容を毎秒30回更新する動作モード(30Hz)である。
【0039】
本実施形態の制御回路35は、低リフレッシュレートモードの場合に切替部を動作させる。具体的には、制御回路35は、フレーム画像の更新タイミングT
0に高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第1高電位線PVDD1にする。また、制御回路35は、フレーム画像の更新タイミングT
0後、タイミングT
1で高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第2高電位線PVDD2にする。これによって、
図8に示すように、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間内で生じる有機発光ダイオードELの輝度の低下をDW
1、DW
2に抑えることができる。一方、本実施形態の制御回路35は、高リフレッシュレートモードの場合には、高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第1高電位線PVDD1とし、第2高電位線PVDD2への切り替えを行わない。これは、高リフレッシュレートモードの場合には、タイミングT
1でフレーム画像の更新が行われることから、フレーム画像の更新後に生じる有機発光ダイオードELの輝度の低下がDW
1で済むからである。
【0040】
本実施形態では、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの時間が30Hzにおける1つのフレーム画像の表示期間に対応する。また、フレーム画像の更新タイミングT
0からタイミングT
1までの時間が60Hzにおける1つのフレーム画像の表示期間に対応する。
【0041】
高電位用配線PVDDと接続される高電位線の切り替えタイミングは任意であるが、本実施形態の制御回路35は、走査回路32が行単位で行う走査線SCLへの駆動信号の出力タイミングと同期して行単位で高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第1高電位線PVDD1とする。また、制御回路35は、当該タイミングから所定時間が経過したタイミング(例えば、タイミングT
1)で高電位用配線PVDDと接続される高電位線を第2高電位線PVDD2とする。これによって、高電位用配線PVDDと接続される高電位線の切り替えタイミングを行単位で行われる副画素49への出力信号の伝送タイミングと同期させることができる。
【0042】
図10は、高電位線の切り替えの一例を示すタイミングチャートである。本実施形態では、例えば
図6に示す副画素49
mの電荷保持用コンデンサCsのリセット及びリロードを行うタイミングに同期して、制御回路35は、スイッチSW
mに対する制御信号Sig2
mを出力して副画素49
mの高電位用配線PVDDに接続される高電位線を第1高電位線PVDD1にする。具体的には、まずリセット信号線RG
mの信号がハイになることで、副画素49
mのEL電源開閉用トランジスタBCT−有機発光ダイオードEL間がリセット信号の電圧でリセットされる(
図10のS1)。このリセットの際、EL電源開閉信号線BG
mの信号はロウになり、EL電源開閉用トランジスタBCTのソース−ドレイン間は遮断される。また、このリセットの期間中に、副画素49
mの高電位用配線PVDDに接続される高電位線は、前のフレーム画像の出力に際して接続されていた第2高電位線PVDD2から、第1高電位線PVDD1に切り替わる(
図10のS2)。高電位線の切り替わり後、電荷保持用コンデンサCsをリセットするためのリセット電位の出力(
図10のS3)及び画像の表示出力のための出力信号(
図10のS4)に応じて走査線SCLmに駆動信号が出力されることで、電荷保持用コンデンサCsは、静電容量を蓄積する。なお、
図10のS3の期間は、副画素49
mのオフセットキャンセル期間である。高電位用配線PVDDに接続される高電位線を第2高電位線PVDD2から第1高電位線PVDD1に切り替える動作は、オフセットキャンセル期間の開始前に行われる。
【0043】
このような副画素49
mの動作に係る信号出力のタイミング制御と同様に、制御回路35は、副画素49
m+1の電荷保持用コンデンサCsのリセット及びリロードを行うタイミングに同期して、スイッチSW
m+1に対する制御信号Sig2
m+1を出力して副画素49
m+1の高電位用配線PVDDに接続される高電位線を第1高電位線PVDD1にする。ただし、本実施形態では行単位で表示出力内容の更新が行われるので、副画素49
mの動作に係る信号出力の開始タイミングと副画素49
m+1の動作に係る信号出力の開始タイミングとの間には所定期間(例えば、1クロック期間)のずれがある。フレーム画像の更新タイミングT
0からタイミングT
1までの時間が経過すると、制御回路35は、スイッチSW
mに対する制御信号Sig2
mを出力して副画素49
mの高電位用配線PVDDに接続される高電位線を第2高電位線PVDD2にする(
図10のS5)。また、所定期間経過後、制御回路35は、スイッチSW
m+1に対する制御信号Sig2
m+1を出力して副画素49
m+1の高電位用配線PVDDに接続される高電位線を第2高電位線PVDD2にする(
図10のS6)。すなわち、本実施形態では、全ての副画素49でフレーム画像の更新が完了した後に、高電位用配線PVDDに接続される高電位線が第2高電位線PVDD2に切り替えられる。
【0044】
図11は、行方向に並ぶ複数の副画素49でリセット用トランジスタRSTを共有する場合の構成例を示す図である。
図6では、副画素49内にリセット用トランジスタRSTが設けられている例が示されているが、リセット用トランジスタRSTの動作タイミングは行方向に並ぶ複数の画素で共通であるので、行方向に並ぶ複数の画素で共有されてもいい。具体的には、例えば
図11及び後述する
図14で示すように、行方向に並ぶ複数の画素が共通のリセット線Vrstと接続されていてもよい。この場合、当該リセット線Vrstによるリセット信号の出力の有無を切り替えるためのリセット用トランジスタRSTが、当該行方向に並ぶ複数の画素で共有されることになる。当該リセット用トランジスタRSTは、例えば
図11及び
図14に示すように走査回路32に設けられていてもよいし、走査回路32の外に設けられていてもよい。
図11及び
図14では、1行2列分の副画素49
w,49
w+1を例示しているが、同一の行に配置されている他の列の副画素49も同様にリセット線Vrstを共有することができる。また、
図11及び
図14では、リセット信号線RG
mの行を例示しているが、リセット信号線RG
m+1等、他の行においても同一の行に配置されている複数の副画素49でリセット線Vrstを共有することができる。
【0045】
以上、本実施形態によれば、1フレームの画像表示期間内において画素48が有する副画素49に印加される電圧をより高い電圧に切り替えるので、1フレームの画像表示期間内に生じる副画素49の輝度の低下の度合いをより小さくすることができる。従って、更新前後の輝度差によるフリッカをより低減することができる。
【0046】
また、高電位を切り替えることで、低電位側の接続を固定したままでも1フレームの画像表示期間内に生じる副画素49の輝度の低下の度合いをより小さくすることができる。
【0047】
また、低リフレッシュレートモードの場合に切替部を動作させることで、高リフレッシュレートモードに比して1つのフレーム画像の表示期間が相対的に長いために副画素49の輝度の低下の度合いがより激しくなってフリッカが顕在化しやすい傾向を示す低リフレッシュレートモードにおけるフリッカをより低減することができる。
【0048】
(変形例)
以下、本発明に係る実施形態の変形例について説明する。変形例の説明に係り、実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略することがある。
【0049】
図12は、変形例に係る表示装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図13は、変形例における切替回路33と低電位用配線PVSSとの接続関係の一例を示す模式図である。
図14は、変形例において行方向に並ぶ複数の副画素49でリセット用トランジスタRSTを共有する場合の構成例を示す図である。変形例では、
図12に示すように、第1電圧生成部34c、第2電圧生成部34dが設けられている。変形例の電圧生成回路34は、高電位用配線PVSSの電位よりも低い電位を示す電圧を生成して低電位用配線PVSSに供給する。また、変形例では、高電位用配線PVDDが固定の高電位であり、例えば実施形態における低電位用配線PVSSと同様の仕組みで設けられる。一方、変形例では、実施形態における切替回路33に代えて、切替回路33Aが設けられている。切替回路33Aは、複数の低電位線(例えば、第1低電位線PVSS1、第2低電位線PVSS2)のうちいずれか一方と低電位用配線PVSSとを接続するスイッチSWを有する。第1低電位線PVSS1、第2低電位線PVSS2はそれぞれ異なる電圧の第1電圧生成部34c、第2電圧生成部34dと接続されており、異なる電位を示す。本実施形態では、第1電圧生成部34cに比して第2電圧生成部34dの方がより低い電圧を出力している。
【0050】
変形例における切替回路33Aは、切り替えの対象が高電位用配線PVDDではなく低電位用配線PVSSであるという点を除いて、実施形態における切替回路33と同様の構成である。すなわち、変形例では、フレーム画像の更新タイミングT
0から次のフレーム画像の更新タイミングT
2までの間に制御回路35が制御信号Sig2を出力してスイッチSWを動作させ、低電位用配線PVSSと接続される低電位線を、相対的に高い電位を示す第1低電位線PVSS1から相対的に低い電位を示す第2低電位線PVSS2に切り替える。これによって、高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの電位差をより大きくして高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間を流れる電流を大きくすることができ、
図8と同様の輝度の変化パターンを実現することができる。
【0051】
具体的には、例えば
図13、
図14に示す副画素49
mの電荷保持用コンデンサCsのリセット及びリロードを行うタイミングに同期して、制御回路35は、スイッチSW
mに対する制御信号Sig2
mを出力して副画素49
mの低電位用配線PVSSに接続される低電位線を第1低電位線PVSS1にする。その後、
図8におけるフレーム画像の更新タイミングT
0からタイミングT
1までの時間が経過すると、制御回路35は、スイッチSW
mに対する制御信号Sig2
mを出力して副画素49mの低電位用配線PVSSに接続される低電位線を第2低電位線PVSS2にする。同様に、副画素49
m+1の電荷保持用コンデンサCsのリセット及びリロードを行うタイミングに同期して、制御回路35は、スイッチSW
m+1に対する制御信号Sig2
m+1を出力して副画素49
m+1の低電位用配線PVSSに接続される低電位線を第1低電位線PVSS1にする。その後、
図8におけるフレーム画像の更新タイミングT
0からタイミングT
1までの時間が経過すると、制御回路35は、スイッチSW
m+1に対する制御信号Sig2
m+1を出力して副画素49
m+1の低電位用配線PVSSに接続される低電位線を第2低電位線PVSS2にする。
【0052】
以上、変形例によれば、低電位を切り替えることでも、実施形態と同様の効果を得られる。また、高電位側の接続を固定したままでも、1フレームの画像表示期間内に生じる副画素49の輝度の低下の度合いをより小さくすることができる。
【0053】
なお、上記実施形態及び変形例(以下、実施形態等)では、フレーム画像の更新期間中に行われる電圧の切り替えが1回であるが、2回以上電圧の切り替えが行われるようにしてもよい。すなわち、n回(nは、1以上の自然数)の切り替え回数に応じて、n+1パターンの電圧を高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間の電位差で実現するための電圧生成部が設けられていればよい。具体例として、n=2の場合、電圧は3パターンあればよい。3パターンの電圧は、例えば高電位用配線PVDD又は低電位用配線PVSSのいずれか一方で切り替えられる電位が3パターンであってもよいし、高電位用配線PVDD及び低電位用配線PVSSの両方で切り替えられる電位が2パターンであってもよい。具体的には、高電位用配線PVDDに第1高電位線PVDD1が接続され、低電位用配線PVSSに第1低電位線PVSS1が接続されている状態から、高電位用配線PVDD又は低電位用配線PVSSのいずれか一方が切り替えられ、その後他方が切り替えられることで高電位用配線PVDDと低電位用配線PVSSとの間の電位差を2回切り替えることができる。なお、複数回切り替えを行う場合、切り替え後の駆動用トランジスタDRTのドレイン電流(ID)がフレーム画像の更新タイミングT
0の際の電流と略等しくなるよう、予め第2高電位線PVDD2、第2低電位線PVSS2の電圧を設定しておく。また、制御回路35は、駆動用トランジスタDRTの各々のゲートーソース間電圧に応じたVD−ID特性のカーブと電荷保持用コンデンサCsの放電特性のカーブをデータ(例えば、テーブル形式のデータ)として保持するとともに、第2高電位線PVDD2の電圧を可変とし、係るデータに基づいて切り替えタイミングと第2高電位線PVDD2の電圧を適宜変更することができるよう設けられていてもよい。その場合、第2高電位線PVDD2への切り替え後の駆動用トランジスタDRTの電圧は、フレーム画像の更新タイミングT
0の際の電流と略等しくなるよう、第2高電位線PVDD2の電圧が設定される。
【0054】
また、本実施形態等において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。